(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】電動駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20230523BHJP
H02K 5/04 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K5/04
(21)【出願番号】P 2019040762
(22)【出願日】2019-03-06
【審査請求日】2021-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 匡一
(72)【発明者】
【氏名】川田 昌昭
【審査官】稲葉 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-023352(JP,A)
【文献】実開昭63-187550(JP,U)
【文献】特開2001-327116(JP,A)
【文献】特開2017-180217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02K 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向
の一方側に突出する第1凸部を有する第1ハウジングを含むモータと、
前記第1方向
の前記一方側に突出
する第2凸部を有する第2ハウジングを含
む電子制御装置であって、当該第2ハウジングは、前記第1ハウジングに対して前記第1方向に交差する第2方向
の一方側に積み重ねられ
、前記第2凸部は、前記第1凸部に対して前記第2方向で対向して配置される電子制御装置と、
前記第2方向に延び前記第1凸部と前記第2凸部とを
締結する連結部材と、
前記第2ハウジングの側面から前記第1方向
の一方側に突出
するリブと、
を備え
、
前記第2ハウジングの前記側面は、前記第2方向の一方側に行くに従って径方向の外側に向かうテーパ面を有し、当該テーパ面に前記リブが取り付けられ、
前記リブは、前記第2方向の他方側に第1端面を有し、前記第1凸部は、前記第2方向の一方側に第2端面を有し、前記第1端面が前記第2端面に当接して当該第2端面を前記第2方向で支持する、
電動駆動装置。
【請求項2】
前記第1方向及び前記第2方向の双方に交差する第3方向から見て、前記リブは、
前記テーパ面から前記第1方向の一方側に延び且つ前記第1端面に沿う第1辺と、当該第1辺における前記第1方向の一方側の端から前記第2方向の一方側に延びる第2辺と、前記テーパ面に沿って延び且つ前記第1辺と前記第2辺とを繋ぐ第3辺と、を含み、前記第1辺と前記第2辺との交差角が直角となる直角三角形の形状を有する、
請求項1に記載の電動駆動装置。
【請求項3】
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、同軸の中心軸を有し、
前記中心軸の軸心方向から見た状態で、前記リブは、前記連結部材の中心と前記中心軸の軸心とを結ぶ直線上に配置される
請求項1又は2に記載の電動駆動装置。
【請求項4】
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、同軸の中心軸を有し、
前記リブは複数設けられ、前記中心軸の軸心方向から見た状態で、複数の前記リブは、前記連結部材の中心と前記中心軸の軸心とを結ぶ直線に対して対称の位置に配置される
請求項1又は2に記載の電動駆動装置。
【請求項5】
前記リブは、
前記第2方向の一方側に行くに従って、前記第1方向及び前記第2方向の双方に交差する第3方向に沿った厚さが変化する
請求項1から4のいずれか1項に記載の電動駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータによって補助操舵トルクを発生させる電動パワーステアリング装置は、モータとモータを制御する電子制御装置とを備えている(特許文献1参照)。特許文献1では、フロントフレームとリアフレームとをスルーボルトで連結した回転電機が開示される。詳細には、フロントフレーム及びリアフレームのそれぞれには、径方向外側に突出するボルト挿通部が設けられ、これらのボルト挿通部同士をスルーボルトで連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記ボルト挿通部は、径方向外側に突出するため、スルーボルトの引っ張り応力が印加されると損傷する可能性がある。このボルト挿通部の損傷を抑制する方策として、例えば、前記ボルト挿通部を大型化することが考えられるが、装置全体の大きさや重量が大きくなるため、望ましくない。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、装置全体の大きさや重量を拡大しないでボルト挿通部の損傷を抑制することができる電動駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、一態様に係る電動駆動装置は、第1方向に突出する第1凸部を有する第1ハウジングを含むモータと、前記第1方向に突出し前記第1凸部に対して前記第1方向に交差する第2方向で対向して配置される第2凸部を有する第2ハウジングを含み、当該第2ハウジングは、前記第1ハウジングに対して前記第2方向に積み重ねられる電子制御装置と、前記第2方向に延び前記第1凸部と前記第2凸部とを連結する連結部材と、前記第1凸部と前記第2凸部との間であって、前記第2ハウジングの側面から前記第1方向に突出し、前記第1凸部に当接して前記第2方向に支持するリブと、を備える。
【0007】
第1ハウジングの第1凸部と第2ハウジングの第2凸部とは、第2方向に延びる連結部材を介して連結される。よって、第1凸部には、第2方向であって互いに近づく方向に引っ張り応力が作用するため、第1凸部に損傷が生じる可能性がある。従って、第1凸部の損傷を抑制するために、例えば第1凸部を大きくして剛性を向上させることが考えられる。
【0008】
ここで、本開示のリブは、第2ハウジングに設けられ第1凸部を第2方向に支持する。従って、当該リブの支持力により、第1凸部に作用する引っ張り応力が減少する。これにより、第1凸部を拡大させず、従って、装置全体の大きさや重量を拡大させずに、第1凸部の損傷を抑制することができる。
【0009】
望ましい態様として、前記第2ハウジングの前記側面は、前記第1ハウジングから前記第2ハウジングに近づくに従って、径方向の外側に向かうテーパ面を有する。
【0010】
従って、前記第2ハウジングの前記側面を円筒面とした場合よりも、径方向の肉厚が厚くなり、連結部材で締結した場合の第2凸部の保持剛性が向上する。
【0011】
望ましい態様として、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、同軸の中心軸を有し、前記中心軸の軸心方向から見た状態で、前記リブは、前記連結部材の中心と前記中心軸の軸心とを結ぶ直線上に配置される。
【0012】
第1凸部のうち連結部材による引っ張り応力が大きく作用する部位は、中心軸の軸心方向から見た状態で、前記連結部材の中心と中心軸の軸心とを結ぶ直線が、第1ハウジング及び第2ハウジングの側面と交差する部位である。従って、当該部位を支持するリブを設けることにより、第1凸部の損傷をより抑制することができる。
【0013】
望ましい態様として、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、同軸の中心軸を有し、前記リブは複数設けられ、前記中心軸の軸心方向から見た状態で、複数の前記リブは、前記連結部材の中心と前記中心軸の軸心とを結ぶ直線に対して対称の位置に配置される。
【0014】
リブが複数設けられるため、第1凸部及び第2凸部の損傷をより抑制することができる。複数のリブは、前記連結部材の中心と中心軸の軸心とを結ぶ直線に対して対称の位置に配置される。よって、複数のリブのそれぞれで略均等に第1凸部を支持するため、当該支持力が大きくなる。
【0015】
望ましい態様として、前記リブは、前記第1ハウジングから前記第2ハウジングに近づくに従って、前記第1方向及び前記第2方向の双方に交差する第3方向に沿った厚さが変化する。
【0016】
リブは、第1ハウジングから第2ハウジングに近づくに従って第3方向に沿った厚さが変化する。従って、リブと第1ハウジング又は第2ハウジングとを、金属の鋳造(例えば、アルミダイキャスト)又は樹脂の射出成形で成形する場合、金型に抜き勾配を設けることにより、リブの離型をスムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、装置全体の大きさや重量を拡大せずに損傷を抑制することができる電動駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、第1実施形態の電動パワーステアリング装置の模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の電動駆動装置を模式的に示した斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2におけるモータを模式的に示した斜視図である。
【
図8】
図8は、
図2の要部を側方から見た模式的な側面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態のリブを模式的に示した斜視図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態のECUを模式的に示した底面図である。
【
図11】
図11は、第4実施形態のECUを模式的に示した底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の電動パワーステアリング装置の模式図である。車両は、電動パワーステアリング装置102を搭載している。
図1を参照して電動パワーステアリング装置102の概要を説明する。
【0021】
電動パワーステアリング装置102は、運転者(操作者)から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール91と、ステアリングシャフト92と、ユニバーサルジョイント96と、インターミディエイトシャフト97と、ユニバーサルジョイント98と、第1ラックアンドピニオン機構99と、タイロッド72と、を備える。電動パワーステアリング装置102は、電動駆動装置の一例である。電動パワーステアリング(EPS、Electric Power Steering)装置は、モータを用いてステアリングの操舵力を軽減させる装置である。
【0022】
また、電動パワーステアリング装置102は、ステアリングシャフト92の操舵トルクを検出するトルクセンサ94と、モータ30と、モータ30を制御する電子制御装置(以下、ECU(Electronic Control Unit)という。)10と、減速装置75と、第2ラックアンドピニオン機構70と、を備える。
【0023】
車速センサ82、電源装置83(例えば車載のバッテリ)、及びイグニッションスイッチ84は、車体に備えられる。車速センサ82は、車両101の走行速度を検出する。車速センサ82は、検出した車速信号SVをCAN(Controller Area Network)通信によりECU10に出力する。ECU10には、イグニッションスイッチ84がオンの状態で電源装置83から電力が供給される。
【0024】
図1に示すように、ステアリングシャフト92は、入力軸92Aと、出力軸92Bと、トーションバー92Cと、を備える。入力軸92Aは、一方の端部がステアリングホイール91に接続され、他方の端部がトーションバー92Cに接続される。出力軸92Bは、一方の端部がトーションバー92Cに接続され、他方の端部がユニバーサルジョイント96に接続される。
【0025】
なお、トルクセンサ94は、トーションバー92Cのねじれを検出することで、ステアリングシャフト92に加わる操舵トルクを検出する。トルクセンサ94は、検出した操舵トルクに応じた操舵トルク信号TをCAN通信によりECU10に出力する。ステアリングシャフト92は、ステアリングホイール91に付与された操舵力により回転する。
【0026】
インターミディエイトシャフト97は、アッパーシャフト97Aと、ロアシャフト97Bとを有し、出力軸92Bのトルクを伝達する。アッパーシャフト97Aは、ユニバーサルジョイント96を介して出力軸92Bに接続される。一方、ロアシャフト97Bは、ユニバーサルジョイント98を介して第1ラックアンドピニオン機構99の第1ピニオンシャフト99Aに接続される。アッパーシャフト97Aとロアシャフト97Bとは、例えば、スプライン結合されている。
【0027】
第1ラックアンドピニオン機構99は、第1ピニオンシャフト99Aと、第1ピニオンギヤ99Bと、ラックシャフト99Cと、第1ラック99Dと、を有する。第1ピニオンシャフト99Aは、一方の端部がユニバーサルジョイント98を介してロアシャフト97Bに接続され、他方の端部が第1ピニオンギヤ99Bに接続される。ラックシャフト99Cに形成された第1ラック99Dは、第1ピニオンギヤ99Bと噛み合う。ステアリングシャフト92の回転運動は、インターミディエイトシャフト97を介して第1ラックアンドピニオン機構99に伝達される。この回転運動は、第1ラックアンドピニオン機構99によりラックシャフト99Cの直線運動に変換される。タイロッド72は、ラックシャフト99Cの両端にそれぞれ接続される。
【0028】
電動駆動装置1は、モータ30と、モータ30に固定したECU10と、を備える。モータ30は、運転者の操舵をアシストするための補助操舵トルクを発生させるモータである。モータ30は、ブラシレスモータでもよいし、ブラシ及びコンミテータを有するブラシモータでもよい。モータ30の構造は、詳細に後述する。
【0029】
ECU10は、回転角度センサ23aを備える。回転角度センサ23aは、モータ30の回転位相を検出する。ECU10は、回転角度センサ23aからモータ30の回転位相信号を取得し、トルクセンサ94から操舵トルク信号Tを取得し、車速センサ82から車両101の車速信号SVを取得する。ECU10は、回転位相信号と操舵トルク信号Tと車速信号SVとに基づいて、アシスト指令の補助操舵指令値を算出する。ECU10は、算出された補助操舵指令値に基づいて、電流をモータ30に供給する。ECU10の構造は、詳細に後述する。
【0030】
減速装置75は、モータ30のシャフト34と一体に回転するウォームシャフト75Aと、ウォームシャフト75Aと噛み合うウォームホイール75Bと、を備える。したがって、シャフト34の回転運動は、ウォームシャフト75Aを介してウォームホイール75Bに伝達される。
【0031】
第2ラックアンドピニオン機構70は、第2ピニオンシャフト71Aと、第2ピニオンギヤ71Bと、第2ラック71Cと、を有する。第2ピニオンシャフト71Aは、一方の端部がウォームホイール75Bと同軸、かつ一体に回転するように固定される。第2ピニオンシャフト71Aは、他方の端部が第2ピニオンギヤ71Bに接続される。ラックシャフト99Cに形成された第2ラック71Cは、第2ピニオンギヤ71Bと噛み合う。モータ30の回転運動は、減速装置75を介して第2ラックアンドピニオン機構70に伝達される。この回転運動は、第2ラックアンドピニオン機構70によりラックシャフト99Cの直線運動に変換される。
【0032】
ステアリングホイール91に入力された運転者の操舵力は、ステアリングシャフト92、及びインターミディエイトシャフト97を介して、第1ラックアンドピニオン機構99に伝達される。第1ラックアンドピニオン機構99は、伝達された操舵力をラックシャフト99Cの軸心方向に加わる力としてラックシャフト99Cに伝達する。この際、ECU10は、ステアリングシャフト92に入力された操舵トルク信号Tをトルクセンサ94から取得する。ECU10は、車速信号SVを車速センサ82から取得する。ECU10は、モータ30の回転位相信号を回転角度センサ23aから取得する。そして、ECU10は、制御信号を出力してモータ30の動作を制御する。モータ30が作り出した補助操舵トルクは、減速装置75を介して第2ラックアンドピニオン機構70に伝達される。第2ラックアンドピニオン機構70は、補助操舵トルクをラックシャフト99Cの軸心方向に加わる力としてラックシャフト99Cに伝達する。このようにして、運転者のステアリングホイール91の操舵が電動パワーステアリング装置102によりアシストされる。
【0033】
図2は、第1実施形態の電動駆動装置を模式的に示した斜視図である。
図3は、
図2におけるモータを模式的に示した斜視図である。
図4は、
図3のモータの模式的な断面図である。
図5は、
図3のECUを模式的に示した斜視図である。
【0034】
図2に示すように、電動駆動装置1は、モータ30と、ECU10と、を備える。電動駆動装置1の下部には、モータ30が配置される。モータ30は、第1ハウジング31と、ステータ32と、ロータ33と、を有する。
【0035】
第1ハウジング31は、円筒状の形状を有する。第1ハウジング31の側面310の下端部には、径方向外側に向けて取付フランジ311が突出している。取付フランジ311には、モータ30の軸心方向(
図2の上下方向)に沿って貫通する貫通孔312が設けられている。また、第1ハウジング31の下端部には、シャフト34が下方に突き出ている。
【0036】
図2~
図4に示すように、第1ハウジング31の上端部には、第1凸部313が設けられている。第1凸部313は、第1ハウジング31の側面310から径方向外側に向けて突出している。第1凸部313は、軸心方向から見た平面視において、略三角形の形状を有し、軸心方向に貫通する貫通孔314(取付部)が設けられている。貫通孔314には、スルーボルト315(連結部材)が挿入される。第1凸部313の軸心方向に沿った長さはHである。スルーボルト315は、頭部315aが下側に配置され、雄ねじ部が第2凸部111の貫通孔112の内周に設けられた雌ねじ部に噛み合っている。即ち、スルーボルト315の頭部315aは、第1凸部313の下面を上方に向けて押圧している。なお、径方向は、第1方向であり、モータ30の軸心方向は第2方向である。第2方向は第1方向に交差する。また、貫通孔314は、スルーボルト315(連結部材)の取付部である。
【0037】
図3及び
図4に示すように、第1凸部313は第1ハウジング31の周方向に沿って3つ設けられている。第1ハウジング31の径方向中央部には、シャフト34が配置される。シャフト34の中心軸AXの軸心方向の先端(
図4の上端)には、円盤状の磁石341が固定されている。シャフト34の径方向外側には、円筒状のロータ33が設けられ、ロータ33の径方向外側にはステータ32が設けられる。ステータ32の径方向外側に、第1ハウジング31の側壁316が配置される。側壁316の外周面が側面310となる。第1ハウジング31の中心軸AXを挟んだ両側に、3つずつの端子35が配置される。なお、第1ハウジング31の上部開口は、カバー36で覆われる。
【0038】
図5に示すように、ECU10に設けられるECU用ハウジング100は、第2ハウジング110と、第2ハウジング110の上側に配置された第3ハウジング120と、を有する。
【0039】
第2ハウジング110は、第1ハウジング31の上側に配置される。即ち、第2ハウジング110は、第1ハウジング31に対して第2方向に積み重ねられる。
【0040】
図5に示すように、第2ハウジング110は、下側側面113(側面)と、上側側面114と、を有する。下側側面113は、第2ハウジング110の下端113aから上方に向けて上端113bまで延びる。具体的には、下側側面113は、中心軸AXを中心とし、軸心方向の上方に行くに従って外径が徐々に大きくなる略円錐台状のテーパ面である。即ち、下側側面113は、中心軸AXの軸心方向の上方に行くに従って、中心軸AXから径方向に沿った距離が徐々に大きくなるテーパ面である。よって、
図5及び
図8に示すように、下側側面113の各部位と中心軸AXとの径方向に沿った距離のうち、下端113aと中心軸AXとの径方向に沿った第1距離が最も小さく、上端113bと中心軸AXとの径方向に沿った第2距離が最も大きい。また、下側側面113から径方向の外側に向けてリブ400が突出して設けられる。リブ400については、詳細に後述する。さらに、
図2及び
図5に示すように、下側側面113は、第1凸部313に対応する3箇所の部位に周方向に沿って設けられる。なお、下側側面113の下端113aは、第1ハウジング31の側面310の上端310a(
図2参照)と略同一形状を有する。従って、
図2に示すように、第1ハウジング31の側面310の上端部と第2ハウジング110の下側側面113の下端部とは、径方向の寸法が略同一である。
【0041】
図5に示すように、下側側面113の上側には、上側側面114が形成される。上側側面114は、軸心方向から見て矩形状に形成される。上側側面114は、軸心方向に沿って延びる平面に形成される。上側側面114の角部115において、下側に配置される下側側面113との間に段差部が形成される。換言すれば、上側側面114の角部115は、下側側面113よりも径方向外側に突き出ている。なお、上側側面114は、境界114aを介して下側側面113と隣接して繋がっている。
【0042】
図5に示す2つの角部115には、軸心方向に貫通する貫通孔が1つの角部115に2つずつ設けられる。一の貫通孔115aは、締結ボルト116が挿通する孔であり、雌ねじ部は設けられていない。他の貫通孔115bの内周には雌ねじ部が設けられ、当該雌ねじ部とスルーボルト315の雄ねじ部とが噛み合う。第3ハウジング120の側面も第2ハウジング110の上側側面と略同一形状に形成されている。第3ハウジング120の4つの角部と第2ハウジング110の4つの角部115とは締結ボルト116を介して固定される。
【0043】
第2ハウジング110の下端には、周方向に沿って円筒状に延びるフランジ部117を有する。フランジ部117は下方に向けて延びる円筒状に形成される。フランジ部117の外周には、ゴム製のシール部材Sが嵌められている。また、
図6及び
図7に示すように、第2ハウジング110の下端部には、円盤部118が設けられる。円盤部118には、径方向中央部に円形の貫通孔118aが設けられ、径方向外側部に2つの矩形の貫通孔118bが設けられる。
【0044】
円形の貫通孔118aからは、回路基板1111と回路基板1111に設けられる検出回路1112とが露出している。検出回路1112は、磁石341の回転状態を検出する。矩形の貫通孔118bからは、モータ30の端子35と接続可能な第1コネクタ1113が露出している。なお、第3ハウジング120の上端には第2コネクタ121が設けられる。
【0045】
図6は、
図5のECUを模式的に示した底面図である。
図7は、
図5のリブを模式的に示した斜視図である。
図8は、
図2の要部を側方から見た模式的な側面図である。
【0046】
図5~
図8に示すように、第2ハウジング110の下側側面113(側面)には、リブ400が設けられる。リブ400は、スルーボルト315の近傍の下側側面113の部位に一体に形成される。即ち、
図6に示すように、軸心方向から見た底面視で、第2ハウジング110の下側側面113の部位のうち、スルーボルト315の貫通孔115bに最も近接した部位にリブ400が設けられる。
【0047】
ここで、
図6の右側に配置される2つの角部115は、第2凸部111でもあるため、第2ハウジング110には、第2凸部111が3箇所設けられる。
図6に示すように、軸心方向から見て、スルーボルト315の貫通孔115bの中心と中心軸AXとを通る直線L(一点鎖線で示す)を設定した場合、直線Lがリブ400を通る位置にリブ400が配置される。即ち、直線L上にリブ400が配置される。換言すると、
図2及び
図6に示すように、スルーボルト315と対向する下側側面113の部位にリブ400が設けられる。第2凸部111は、第1凸部313に対して径方向に交差する軸心方向(第2方向)で対向して配置される。なお、軸心方向から見て、貫通孔115bの中心は、スルーボルト315の中心と略一致する。
【0048】
また、
図2に示すように、リブ400は軸心方向(
図2の上下方向)に沿って延びる。スルーボルト315も上下方向に沿って延びるため、換言すると、リブ400はスルーボルト315に沿って延びる。
【0049】
さらに、
図7及び
図8に示すように、リブ400は、側方から見て三角形状の平板である。三角形の底辺となる第1辺410は、第2ハウジング110の径方向に延びる。第2ハウジング110の径方向外側に配置される第2辺420は、第2ハウジング110の軸心方向に延びる。第1辺410と第2辺420とは、略直交して交差する。第1ハウジング31の径方向内側に配置される第3辺430は、第2ハウジング110の下側側面113に一体に設けられる。ここで、第2ハウジング110の下側側面113は、下方に行くに従って径方向内側に向けて傾斜している。従って、第3辺430も下方に行くに従って径方向内側に向けて傾斜している。
【0050】
なお、リブ400の厚さtは、軸心方向及び径方向に向かう部位のいずれの部位でも略同一である。従って、第1辺410を含む底面となる第1面411は、径方向に延びる長方形の形状を有する。第2辺420を含む第2面421は、軸心方向に延びる長方形の形状を有する。第3辺430を含む第3面431は、下方に行くに従って径方向内側に向けて傾斜する長方形の形状を有する。なお、リブ400の厚さは、第2ハウジング110の周方向(第3方向)に沿った距離である。第3方向は、第1方向及び第2方向の双方に交差する方向である。
【0051】
次いで、スルーボルト315による第1凸部313への荷重の入力状態を説明する。
図8に示すように、スルーボルト315の端部に設けられた雄ねじ部は、第2凸部111に設けられた貫通孔115bの内周の雌ねじ部と噛み合う。従って、スルーボルト315を回転させてスルーボルト315を第2凸部111の雌ねじ部に締結していくと、第1凸部313の下面313bは、スルーボルト315の頭部315aによって上方に押圧される。従って、矢印で示すように、第1凸部313には回転モーメントMが作用し、第1凸部313は上方に移動しようとする。即ち、第1凸部313及び第2凸部111には、第2方向であって互いに近づく方向に引っ張り応力が作用する。なお、貫通孔115bは、スルーボルト315(連結部材)の取付部である。
【0052】
ここで、第2ハウジング110の下側側面113は、軸心方向(第2方向)に沿って延びるリブ400が形成されている。リブ400の底面である第1面411は、第1凸部313の上面313aを支持している。よって、第1凸部313及び第2凸部111に作用する引っ張り応力が低減し、回転モーメントMによる第1凸部313の上方移動が抑制される。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置102は、径方向(第1方向)に突出する第1凸部313を有する第1ハウジング31を含むモータ30と、径方向に突出し第1凸部313に対して径方向に交差する軸心方向(第2方向)で対向して配置される第2凸部111を有する第2ハウジング110を含み、第2ハウジング110は、第1ハウジング31に対して軸心方向(第2方向)に積み重ねられる電子制御装置10と、軸心方向に延び第1凸部313と第2凸部111とを連結するスルーボルト315(連結部材)と、第1凸部313と第2凸部111との間であって、第2ハウジング110の側面から径方向に突出し、第1凸部に当接して軸心方向に支持するリブ400と、を備える。
【0054】
第1ハウジング31の第1凸部313と第2ハウジング110の第2凸部111とは、軸心方向(第2方向)に延びるスルーボルト315(連結部材)を介して連結される。よって、第1凸部313及び第2凸部111には、軸心方向であって互いに近づく方向に引っ張り応力が作用する。よって、第1凸部313に損傷が生じる可能性があり、当該損傷を抑制するために、例えば第1凸部313を大きくして剛性向上を図ることが考えられる。しかし、第1凸部313の大型化は、電動パワーステアリング装置102全体の大型化及び重量アップになるため、望ましくない。
【0055】
ここで、リブ400は、第2ハウジング110に設けられ第1凸部313を軸心方向に支持する。従って、リブ400の支持力により、第1凸部313に作用する引っ張り応力が減少する。これにより、第1凸部313を拡大しないで、第1凸部313の損傷を抑制することができる。
【0056】
第1ハウジング31の側面310及び第2ハウジング110の下側側面113(側面)は、同軸の中心軸AXを有し、中心軸AXの軸心方向から見た状態で、リブ400は、スルーボルト315(連結部材)の中心と中心軸AXの軸心とを結ぶ直線L上に配置される。
【0057】
第1凸部313のうち引っ張り応力が大きく作用する部位は、中心軸AXの軸心方向から見た状態で、スルーボルト315(連結部材)の中心と中心軸AXの軸心とを結ぶ直線Lが、第2ハウジング110の下側側面113(側面)と交差する部位である。従って、当該部位にリブ400を設けることにより、第1凸部313の損傷をより抑制することができる。
【0058】
第2ハウジング110の下側側面113(側面)は、
図5に示すように、第1ハウジング31から第2ハウジング110に近づくにつれて径方向の外側に向かうテーパ面である。従って、下側側面113を円筒面とした場合よりも、径方向の肉厚が厚くなり、スルーボルト315で締結した場合の第2凸部111の保持剛性が向上する。特に、本実施形態では、
図5に示すように、下側側面113と上側側面114とが隣接しているため、下側側面113に印加された荷重が上側側面114に伝達され、第2凸部111の保持剛性がより向上する効果を有する。
【0059】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態と同一構造の部位には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
図9は、第2実施形態のリブを模式的に示した斜視図である。
第2ハウジング110の下側側面113(側面)には、第2実施形態のリブ400Aが設けられる。リブ400Aは、下側側面113と一体に形成される。詳細には、リブ400Aは、側方から見て三角形状の板状部材である。底辺となる第1辺410Aは、第2ハウジング110の径方向に延びる。第2ハウジング110の径方向外側に配置される第2辺420Aは、第2ハウジング110の軸心方向に延びる。第1辺410Aと第2辺420Aとは、略直交して交差する。第2ハウジング110の径方向内側に配置される第3辺430Aは、第2ハウジング110の下側側面113に一体に設けられる。
【0061】
ここで、第2ハウジング110の下側側面113は、下方に行くに従って径方向内側に向けて傾斜している。従って、第3辺430Aも下方に行くに従って径方向内側に向けて傾斜している。なお、リブ400Aの厚さは、軸心方向の下側に行くに従って徐々に小さくなる。第1辺410Aを含む底面となる第1面411Aは、径方向に延びる長方形の形状を有する。第2辺420Aを含む第2面421Aは、軸心方向の下側に行くに従って徐々に小さくなる台形の形状を有する。
【0062】
リブ400Aの上端の厚さはt1であり、下端の厚さはt2である。厚さt1は厚さt2よりも大きい。また、第2面421Aにおける左右の第2辺420Aは、同一の長さを有する。第3辺430Aを含む第3面431Aは、軸心方向の下側に行くに従って徐々に小さくなる台形の形状を有する。第3面431Aにおける左右の第3辺430Aは、同一の長さを有する。なお、リブ400Aの厚さは、第2ハウジング110の周方向(第3方向)に沿った距離である。第3方向は、第1方向及び第2方向の双方に交差する方向である。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係るリブ400Aは、第1ハウジング31から第2ハウジング110に近づくに従って、周方向(第3方向)に沿った厚さが変化する。このように、リブ400Aは、第1ハウジング31から第2ハウジング110に近づくに従って周方向(第3方向)に沿った厚さが変化する。従って、リブ400Aと第1ハウジング31とを、金属の鋳造又は樹脂の射出成形で成形する場合、金型に抜き勾配を設けることにより、リブ400Aの離型をスムーズに行うことができる。
【0064】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。第1及び第2実施形態と同一構造の部位には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
図10は、第3実施形態のECUを模式的に示した底面図である。
図10は、第1実施形態に係る
図6と対応する。
【0066】
第3実施形態のECU10Bにおいては、第2ハウジング110の下側側面113(側面)には、第3実施形態のリブ400Bが設けられる。リブ400Bは、下側側面113と一体に形成される。
図10に示すように、軸線方向から見た底面視で、第2ハウジング110の下側側面113の部位のうち、スルーボルト315が締結される貫通孔115bに対向する部位に2つのリブ400が設けられる。詳細には、本実施形態に係るリブ400Bは、2つ(複数)のリブ400を含む。中心軸AXの軸心方向から見た状態で、2つのリブ400は、スルーボルト315(連結部材)の中心と中心軸AXの軸心とを結ぶ直線Lに対して対称の位置に配置される。リブ400の形状は、第1及び第3実施形態に示したリブ400と同一形状である。
【0067】
以上説明したように、本実施形態では、第1ハウジング31の側面310及び第2ハウジング110の下側側面113(側面)は、同軸の中心軸AXを有する。リブ400は2つ(複数)設けられ、中心軸AXの軸心方向から見た状態で、複数のリブ400Bは、スルーボルト315(連結部材)の中心と中心軸AXの軸心とを結ぶ直線Lに対して対称の位置に配置される。
【0068】
このように、リブ400が複数設けられるため、第1凸部313を支持する支持力がさらに高くなるため、第1凸部313の損傷をより抑制することができる。また、2つのリブ400は、スルーボルト315(連結部材)の中心と中心軸AXの軸心とを結ぶ直線Lに対して対称の位置に配置される。よって、複数のリブ400Bのそれぞれで略均等に第1凸部313を支持するため、当該支持力が更に大きくなる。
【0069】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。第1~第3実施形態と同一構造の部位には、同一の符号を付して説明を省略する。
図11は、第4実施形態のECUを模式的に示した底面図である。
図11は、第1実施形態に係る
図6及び第2実施形態に係る
図10と対応する。
【0070】
第4実施形態のECU10Cにおいて、第2ハウジング110の下側側面113(側面)には、第4実施形態のリブ400Cが設けられる。リブ400Cは、下側側面113と一体に形成される。
【0071】
図11に示すように、軸線方向から見た底面視で、第2ハウジング110の下側側面113の部位のうち、スルーボルト315が締結される貫通孔115bに対向する部位に3つのリブ400が設けられる。詳細には、本実施形態に係るリブ400Cは、3つ(複数)のリブ400を含む。中心軸AXの軸心方向から見た状態で、3つのリブ400は、スルーボルト315(連結部材)の中心と中心軸AXの軸心とを結ぶ直線Lに対して対称の位置に配置される。リブ400の形状は、第1及び第3実施形態に示したリブ400と同一形状である。即ち、3つのリブ400のうち、中央のリブ400が直線L上に配置される。
【0072】
以上説明したように、本実施形態でも、第3実施形態と同様に、複数のリブ400は、スルーボルト315(連結部材)の中心と中心軸AXの軸心とを結ぶ直線Lに対して対称の位置に配置される。よって、複数のリブ400Cのそれぞれで略均等に第1凸部313を支持するため、当該支持力が大きくなる。
【0073】
以上、本実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、リブ400を第2ハウジング110に設けたが、第1ハウジング31に設けてもよい。また、リブ400の数を3つまで示したが、4つ以上あってもよい。
【符号の説明】
【0074】
10 電子制御装置
30 モータ
31 第1ハウジング
102 電動パワーステアリング装置(電動駆動装置)
110 第2ハウジング
111 第2凸部
113 下側側面(側面)
313 第1凸部
315 スルーボルト(連結部材)
400,400A,400B,400C リブ
AX 中心軸