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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/28 20060101AFI20230523BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
G01N1/28 U
G01N1/28 F
G01N35/04 E
G01N35/04 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021554196
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2020036558
(87)【国際公開番号】W WO2021079688
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2021-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2019193508
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 研吾
(72)【発明者】
【氏名】奥田 洋平
【審査官】奥野 尭也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-267942(JP,A)
【文献】特開2008-096177(JP,A)
【文献】実開平04-045968(JP,U)
【文献】実開平04-021951(JP,U)
【文献】特開2003-344242(JP,A)
【文献】特開2017-201285(JP,A)
【文献】特開2005-315754(JP,A)
【文献】実開昭60-170321(JP,U)
【文献】特開2002-181834(JP,A)
【文献】特開2015-120601(JP,A)
【文献】特開平08-043405(JP,A)
【文献】特開昭56-011337(JP,A)
【文献】中国実用新案第206331178(CN,U)
【文献】特開2017-032302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
G01N 1/28- 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を分析する分析装置であって、
前記検体を入れる検体容器を収納する収納容器と、
前記検体容器に試料を供給するための試料作成台と、
前記検体容器を前記収納容器から前記試料作成台に向けて押し出す搬送機構と、
前記試料を撮像する撮像台とを備え、
前記撮像台上には、前記検体容器を保持するための保持部が設けられ、
前記収納容器は、
それぞれ前記検体容器を収納可能な複数の領域を含み、
前記収納容器の第1の側面から前記第1の側面の反対側の前記収納容器の第2の側面に向けて、前記複数の領域の各々を貫通する複数の搬送用口を設けられ、
前記分析装置はさらに、
前記搬送機構が移動することで前記複数の搬送用口のいずれかを通過するように、前記搬送機構の移動方向に対して垂直方向に前記収納容器を移動させる駆動部を備え、
前記搬送機構は、
前記収納容器を貫通して、前記検体容器を前記試料作成台まで押し出し、
前記検体容器に試料が供給されたことに基づいて、前記検体容器を再度押し出して、前記検体容器を前記保持部に押し込む、分析装置。
【請求項2】
前記保持部には、脱落防止部品が設けられ、
前記検体容器に前記試料が供給されたことに基づいて、前記検体容器を再度押し出して、前記検体容器を前記保持部に押し込むことは、前記試料作成台上に複数の前記検体容器があることに基づいて、前記複数の前記検体容器の全てを前記保持部に向けて押し出すことを含み、
前記脱落防止部品は、複数の前記検体容器のうちの1つが前記保持部に押し込まれたことに基づいて、押し込まれた前記検体容器の脱落を防止すると共に、後続の前記検体容器が前記保持部に押し込まれるのを防止する、請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記複数の領域は、それぞれ、複数の前記検体容器を積み重ねて収納され、
前記複数の領域の1つであり、前記搬送機構の押し出し位置にある第1の領域に積み重ねられた前記検体容器のうち最も下側の前記検体容器は、前記第1の領域を貫通する第1の搬送用口を通過する前記搬送機構によって押し出される位置に収納される、請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
前記収納容器は、前記分析装置から交換可能である、請求項1に記載の分析装置。
【請求項5】
前記分析装置を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、
前記搬送機構が前記検体容器を搬送した回数をカウントし、
当該カウントに基づいて、前記複数の領域の1つであり、前記試料作成台に前記検体容器を供給している第2の領域に収納される前記検体容器が無くなったことを検出し、
前記検出に基づいて、前記収納容器を移動させ、前記第2の領域の隣の第3の領域を前記搬送機構の押し出し位置に移動させる、請求項1~3のいずれかに記載の分析装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記収納容器の移動回数をカウントし、
前記収納容器の移動回数のカウントに基づいて、前記収納容器に収容された前記検体容器の残数の範囲を検出する、請求項に記載の分析装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記搬送機構の押し出し回数をカウントし、
前記収納容器の移動回数のカウントと、前記搬送機構の押し出し回数のカウントに基づいて、前記収納容器に収容された前記検体容器の残数を検出する、請求項に記載の分析装置。
【請求項8】
前記複数の搬送用口のそれぞれの面積は、前記検体容器の前記複数の搬送用口のいずれかを通過する面の面積よりも大きく、
前記搬送機構の押し出し面の面積は、前記検体容器の前記複数の搬送用口のいずれかを通過する面の面積よりも小さい、請求項1~のいずれかに記載の分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分析装置に関し、より特定的には、分析装置の検体容器を供給する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
尿検査において、検体の成分を分析する検体分析装置が提案されている。検体分析装置には、検体容器内で検体および薬剤を混合し、撮像装置により検体を撮像するものがある。このような検体分析装置では、予め装置内の収容容器に複数の検体容器が収容されている。収容容器内の検体容器は、検査時に収納容器から1枚ずつ、検査ステージに向けて供給される。この検体容器の供給速度は、検査速度に影響するため、より信頼性が高く、高速に動作可能な検体容器の供給機構が求められている。
【0003】
検体容器の供給機構に関し、例えば、特開2008-096177号公報(特許文献1)は、「複数の標本用プレートを収納可能、かつ収納された該標本用プレートを1枚ずつ取り出すための取り出し口を有する標本用プレート収納カセットと、該標本用プレート収納カセットを設置するためのカセット設置部が、複数個設けられた回転体と、該回転体を回転させるための駆動手段と、該カセットの上部に配置され、該カセットの取出口から該標本用プレートを取り出すための標本用プレート取出手段と、を有する」標本用プレート供給装置を開示している([要約]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-096177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術によると、高速な検査が求められる環境において検体容器の供給速度が間に合わない可能性がある。したがって、検体容器を検査ステージに向けてより高速に供給する技術が必要とされている。
【0006】
本開示は、上記のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面における目的は、検体容器を検査ステージに向けてより高速に供給する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある実施の形態に従う分析装置は、検体を入れる検体容器を収納する収納容器と、検体容器を収納容器から試料作成台に向けて押し出す搬送機構と、を備える。収納容器は、それぞれ検体容器を収納可能な複数の領域を含み、収納容器の第1の側面から第1の側面の反対側の収納容器の第2の側面に向けて、複数の領域の各々を貫通する複数の搬送用口を設けられる。分析装置はさらに、搬送機構が移動することで複数の搬送用口のいずれかを通過するように、搬送機構の移動方向に対して垂直方向に収納容器を移動させる駆動部を備える。
【0008】
ある局面において、複数の領域は、それぞれ、複数の検体容器を積み重ねて収納される。複数の領域の1つであり、搬送機構の押し出し位置にある第1の領域に積み重ねられた検体容器のうち最も下側の検体容器は、第1の領域を貫通する第1の搬送用口を通過する搬送機構によって押し出される位置に収納される。
【0009】
ある局面において、収納容器は、分析装置から交換可能である。
ある局面において、分析装置は、分析装置を制御する制御部をさらに備える。制御部は、搬送機構が検体容器を搬送した回数をカウントし、当該カウントに基づいて、複数の領域の1つであり、試料作成台に検体容器を供給している第2の領域に収納される検体容器が無くなったことを検出し、検出に基づいて、収納容器を移動させ、第2の領域の隣の第3の領域を搬送機構の押し出し位置に移動させる。
【0010】
ある局面において、制御部は、収納容器の移動回数をカウントし、収納容器の移動回数のカウントに基づいて、収納容器に収容された検体容器の残数の範囲を検出する。
【0011】
ある局面において、制御部は、搬送機構の押し出し回数をカウントし、収納容器の移動回数のカウントと、搬送機構の押し出し回数のカウントに基づいて、収納容器に収容された検体容器の残数を検出する。
【0012】
ある局面において、複数の搬送用口のそれぞれの面積は、検体容器の複数の搬送用口のいずれかを通過する面の面積よりも大きい。搬送機構の押し出し面の面積は、検体容器の複数の搬送用口のいずれかを通過する面の面積よりも小さい。
【発明の効果】
【0013】
ある実施の形態に従うと、検体容器を検査ステージに向けてより高速に供給することが可能である。
【0014】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ある実施の形態に従う分析装置の外観の一例を示す図である。
図2】ある実施の形態に従う分析装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】分析装置20における検体の分析の工程の一例を示す図である。
図4】分析装置20を上面から見た内部機構の一例を示す図である。
図5】分析装置20の内部機構の動作手順(1)の一例を示す図である。
図6】分析装置20の内部機構の動作手順(2)の一例を示す図である。
図7】分析装置20の内部機構の動作手順(3)の一例を示す図である。
図8】分析装置20の内部機構の動作手順(4)の一例を示す図である。
図9】分析装置20の内部機構の動作手順(5)の一例を示す図である。
図10】分析装置20の内部機構の動作手順(6)の一例を示す図である。
図11】分析装置20の内部機構の動作手順(7)の一例を示す図である。
図12】分析装置20の内部機構の動作手順(8)の一例を示す図である。
図13】分析装置20の内部機構の動作手順(9)の一例を示す図である。
図14】分析装置20の内部機構の動作手順(10)の一例を示す図である。
図15】分析装置20の内部機構の動作手順(11)の一例を示す図である。
図16】カセット403を拡大した俯瞰図の一例である。
図17】分析装置20におけるプレパラート70の供給機構の一例を示す図である。
図18】カセット403の断面を横から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0017】
図1は、本実施の形態に従う分析装置の外観の一例を示す図である。分析装置20は、内部に情報処理装置と、外部機器と接続可能な入力インターフェイスおよび出力インターフェイスとを備える。ある局面において、マウスおよびキーボードなどの入力装置が、入力インターフェイスに接続され得る。その場合、分析装置20は、入力装置からの指示に従い動作する。他の局面において、液晶ディスプレイなどの出力装置が、出力インターフェイスに接続され得る。その場合、分析装置20は、検体の分析結果を出力装置に出力する。
【0018】
分析装置20は、種々の検体の分析に利用され得る。分析される検体は、一例として尿を含み、他の例として髄液(たとえば、腰椎髄液)を含み、さらに他の例として後頭下液を含み、さらに他の例として脳室液を含む。分析装置20は、本体20Aと、搬送部20Bとを含む。本体20Aは、後述する制御部210、試料調製部222、および撮像装置223などを収容する。
【0019】
搬送部20Bは、検体を収容する容器(スピッツ)を搬送する。より具体的には、分析装置20において、各検体は、容器4に収容される。ラック7は、1本以上の容器4を収容する。搬送部20Bは、溝250を含む。搬送部20Bでは、1本以上の容器4が、ラック7に収容された状態で搬送される。図1を参照して説明された容器4の搬送態様は、単なる一例である。分析装置20において、容器4は、ラック7に収容されることなく単独で搬送されてもよい。
【0020】
容器4の素材は、荷電イオンが生じにくいという観点から、プラスチック素材(ポリスチレン、ポリカーボン、ポリプロピレンなど)であることが好ましい。一般的に容器4の素材として利用されるガラスは、通常マイナスに帯電する。一方、PLL(ポリ-L-リジン)などでコートされた容器は、プラスに帯電する。このため、検体が白血球などのマイナスに帯電している細胞を含む場合、容器4の素材が検体(試料)内の要素(細胞など)の沈降速度に影響を及ぼし得る。ただし、容器4の素材が検体(試料)内の要素の沈降速度に影響を及ぼす場合であっても、キャリブレーションにより、当該影響を考慮した分析が実現され得る。
【0021】
本体20Aには、バーコードリーダー224が設けられている。各容器4には、各検体を識別するためのバーコードが付されている。分析装置20は、容器4のそれぞれのバーコードをバーコードリーダー224で読み取ることにより、検査対象の検体のそれぞれを識別する。
【0022】
図2は、本実施の形態に従う分析装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。分析装置20は、制御部210と、通信部221と、試料調製部222と、撮像装置223と、バーコードリーダー224と、第1の駆動部225と、第2の駆動部226と、第3の駆動部227と、操作部228と、入力インターフェイス229と、出力インターフェイス230とを含む。制御部210は、CPU(Central Processing Unit)211と記憶装置212とを有する。
【0023】
CPU211は、記憶装置212に読み込まれた各種プログラムおよびデータを実行または参照する。ある局面において、CPU211は、組み込みCPUであってもよいし、FPGA(Field-Programmable Gate Array)であってもよいし、またはこれらの組み合わせなどによって構成される。CPU211は、分析装置20の各種機能を実現するためのプログラムを実行し得る。
【0024】
ある局面において、CPU211は、撮像された画像を解析することによって、検体の分析結果を特定する。画像の解析の一例は、有形成分分析である。有形成分分析では、CPU211は、検体の画像において予め記憶された有形成分の画像パターンが含まれるか否かを判断する。その後、CPU211は、検体の画像が有形成分の画像パターンを含むと判断すると、画像における当該有形成分の個数を計数し、当該個数を出力する。
【0025】
記憶装置212は、CPU211が実行または参照する任意のプログラムおよびデータを保存し得る。以下の説明において、記憶装置212は、情報の記憶場所の一例として説明される。つまり、「記憶装置212に記憶される」情報は、CPU211などの、本明細書において処理を実行するプロセッサがアクセス可能な記憶装置に格納されていれば、必ずしも記憶装置212に記憶されている必要はない。
【0026】
記憶装置212は、RAM(Random Access Memory)および不揮発性記憶装置を含む。ある局面において、DRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)が、RAMとして使用されてもよい。他の局面において、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリー、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはこれらの組み合わせが、不揮発性記憶装置として使用されてもよい。
【0027】
通信部221は、制御部210からのデータを他の機器に送信し、他の機器からの情報を制御部210に入力する。ある局面において、有線LAN(Local Area Network)ポートおよびWi-Fi(登録商標)モジュールなどが通信部221として使用されてもよい。他の局面において、通信部221は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)などの通信プロトコルを用いてデータを送受信してもよい。
【0028】
試料調製部222は、分析に必要な試料を調製する。試料は、たとえば、容器4内の検体と測定に必要な試薬とが混合攪拌されることによって、調製される。
【0029】
撮像装置223は、試料調製部222によって調製された試料の画像を撮像する。撮像装置223は、自動ピント合わせの機構を有する。これにより、試料調製部222で調製された試料は、撮像装置223によって自動的に撮像される。撮像装置223は、撮像された画像を、制御部210へ出力する。
【0030】
バーコードリーダー224は、容器4に付されたバーコードを読み、読み出した情報を制御部210へ出力する。ある局面において、バーコードは、1次元バーコードであってもよいし、2次元バーコードであってもよい。他の局面において、非接触ICリーダーが、バーコードリーダー224の代わりに使用されてもよい。その場合、容器4には、非接触ICが設けられる。
【0031】
撮像装置223は、1つの検体に対して、複数枚の画像を撮像し、制御部210へ出力してもよい。CPU211は、1つの検体に対する複数の画像のうち、予め定められた記憶装置212に格納された画像パターン(たとえば、尿に関する特定の有形成分の画像パターン)を含む画像を、検体ごとに、当該有形成分に関連付けて、記憶装置212に記憶してもよい。
【0032】
第1の駆動部225は、搬送部20B(図1参照)に設けられたモータなどを、ラック7(または、容器4)を搬送するために駆動する。第2の駆動部226は、後述する搬送機構404を駆動する。第3の駆動部227は、後述するカセット403またはカセット403が載置される台座等を駆動する。ある局面において、第1の駆動部225、第2の駆動部226および第3の駆動部227は、それぞれモータを制御する回路およびモータの両方を含んでいてもよい。制御部210は、これらの各駆動部を制御する。
【0033】
操作部228は、たとえば、本体20Aに設けられたハードウェアボタンなどによって実現される。操作部228は、当該操作部228が操作されると、操作されたボタンなどの種類に応じた信号をCPU211へ出力する。
【0034】
入力インターフェイス229は、キーボード、マウスまたはゲームパッドなどの任意の入力装置に接続され得る。ある局面において、USB(Universal Serial Bus)端子、PS/2端子およびBluetooth(登録商標)モジュールなどが入力インターフェイス229として使用されてもよい。
【0035】
出力インターフェイス230は、ブラウン管ディスプレイ、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどの任意の出力装置に接続され得る。ある局面において、USB(Universal Serial Bus)端子、D-sub端子、DVI(Digital Visual Interface)端子およびHDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)端子などが出力インターフェイス230として使用されてもよい。
【0036】
図3は、分析装置20における検体の分析の工程の一例を示す図である。検体の分析は、主に図3に示される5つの工程(工程(i)~(v))を含む。工程(i)は、試料の調製である。より具体的には、検体ごとに検体容器であるプレパラート70が準備される。プレパラート70は、貯留部71と、凹部72と、カバーガラス73とを含む。カバーガラス73は、凹部72を覆う。工程(i)では、容器4(図1参照)から検体(の一部)が抽出されて貯留部71へ注入され、さらに、貯留部71へ薬剤(たとえば、染色液)が注入される。これにより、貯留部71において試料が調製される。薬剤の添加は省略され得る。つまり、工程(i)では、検体(の一部)の貯留部71への注入のみが実行され得る。
【0037】
工程(ii)は、貯留部71において調製された試料(検体+薬剤)の混合、および、加熱(加温)である。当該混合および加熱は、公知の技術によって実現されてもよい。加熱によって、試料は、分析に適した、予め設定された温度まで加熱される。混合および加熱の少なくとも一方は、不要な場合には省略され得る。
【0038】
工程(iii)は、貯留部71内の試料の、凹部72への導入である。より具体的には、貯留部71内の検体は、たとえば毛細管現象によって、凹部72へと導入される。試料の導入を促進するために、カバーガラス73に刺激が加えられてもよい。
【0039】
工程(iv)は、検体(試料)の撮像である。より具体的には、撮像装置223は、凹部72へ導入された検体(試料)を、カバーガラス73の上方から撮像する。当該画像の撮像は、オートフォーカス機能により自動化されていてもよい。工程(v)は、工程(iv)で撮像された画像の解析である。解析の一例は、検体(試料)における所定の成分の含有量の特定を含む。
【0040】
工程(i)~(iii)は、分析装置20の試料調製部222によって実行される。試料の画像の撮像(工程(iv))は、撮像装置223によって実行される。撮像装置223は、試料の画像を取得するためのカメラを含む。カメラは、たとえば、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ、3CCDイメージセンサ、または、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサである。撮像装置223のカメラによって撮像される面積は、当該カメラの解像度および/またはレンズの倍率に依存する。たとえば、生物顕微鏡(例、オリンパス光学社製BX-50)に20倍の対物レンズを装着して、CCDカメラ(例、ソニー社製XC-003)で撮像する場合には被写体の撮像範囲が0.0432mmとなる(横0.24mm、縦0.18mm)。工程(v)は、制御部210によって実行される。
【0041】
図4は、分析装置20を上面から見た内部機構の一例を示す図である。最初に、分析装置20の内部機構について説明する。分析装置20は、図1の構成に加えて、センサー401A,401B,401Cと、カセット403と、搬送機構404と、搬送台405と、撮像台406と、保持部407と、廃棄容器408と、薬剤入れ409と、洗浄部410とを備える。保持部407は、外壁407Aと、脱落防止部品407Bとを含む。
【0042】
センサー401A,401B,401Cは、それぞれ溝250の壁面付近まで運ばれてきたラック7を検出する。溝250は、2つの区画(区画(A),区画(B))に分けられており、1以上のラック7が区画(A)にセットされる。ラック7は、溝250の壁面などに設けられた第1の駆動部225によって、区画(A)から区画(B)に1つずつ搬送される。センサー401A,401B,401Cは、それぞれラック7の進行方向となる溝250の壁面に設けられている。ある局面において、ラック7は、区画(B)にセットされて、区画(A)に搬送されてもよい。
【0043】
カセット403(収納容器)は、検体の分析に使用されるプレパラート70を収納する。分析装置20は、検体の分析毎にプレパラート70をカセット403から取り出す。図4の例では、カセット403は、4つの収納部を備える。それぞれの収納部は、たとえば、10~100枚のプレパラート70、好ましくは20~70枚のプレパラート、一例として40枚のプレパラート70を収納する領域である。
【0044】
カセット403は、第3の駆動部227によって、搬送機構404の進行方向に対して垂直に駆動される。搬送機構404の正面に位置する収納部内のプレパラート70が搬送台405(試料作成台)に押し出される。
【0045】
制御部210は、カセット403が移動した回数をカウントしておくことで、どの収納部からプレパラート70が搬送台405に向けて供給されているかを検出する。ある局面において、制御部210は、どの収納部からプレパラート70が搬送台405に向けて供給されているかに基づいて、カセット403に収納されたプレパラート70の残数の範囲を検出し得る。
【0046】
一例として、第1~第4の収納部にそれぞれ40枚のプレパラート70が収納されているとする。カセット403が移動した回数が0の場合、プレパラート70は、例えば、第1の収納部から供給されていると検出することができる。この場合のプレパラート70の残数は、第2~第4の収納部のプレパラート70の枚数「3*40=120」と、第1の収納部のプレパラート70の残数「0~40」との合計である。よって、制御部210は、プレパラート70の残り枚数を「120~160」であると検出する。
【0047】
他の例として、カセット403が移動した回数が3の場合、プレパラート70は、例えば、第4の収納部から供給されていると検出することができる。この場合のプレパラート70の残数は、第4の収納部のプレパラート70の残数「0~40」である。よって、制御部210は、プレパラート70の残り枚数を「0~40」であると検出する。
【0048】
また、他の局面において、カセット403は、赤外線センサーまたはスイッチなどの各種センサーを備えていてもよい。その場合、制御部210は、当該センサーの検出結果に基づいて、収納部におけるプレパラート70の残数が0であるか否かを判定し得る。制御部210は、搬送機構404の押し出し位置にある収納部のプレパラート70の残数が0である場合、カセット403を移動させる。
【0049】
搬送機構404は、直動機構であり、カセット403の収納部に収納されたプレパラート70を搬送台405まで押し出す。搬送機構404は、第2の駆動部226によって、駆動される。プレパラート70は、搬送台405の上で試料の調製を行なわれる。その後、搬送機構404は、搬送台405上のプレパラート70を撮像台406まで押し出す。
【0050】
ある局面において、制御部210は、搬送機構404が、搬送機構404の押し出し位置にある収納部からプレパラート70を押し出した回数をカウントしてもよい。制御部210は、カセット403が移動した回数と、搬送機構404が収納部からプレパラート70を押し出した回数とに基づいて、カセット403に収納されるプレパラート70の残数を検出し得る。他の局面において、制御部210は、通信部221または出力インターフェイス230を介して、カセット403に収納されたプレパラート70の残数の範囲、またはカセット403に収納されるプレパラート70の残数をユーザーに通知してもよい。これらの構成により、ユーザーは、カセット403に収納されるプレパラート70が無くなる前に、カセット403の交換またはプレパラート70の補充を行い得る。
【0051】
搬送台405は、プレパラート70が搬送される通路である。プレパラート70は、搬送機構404によって、一旦、搬送台405の中央に配置される。プレパラート70は、搬送台405上で試料の調製を行なわれてから、搬送機構404によって、撮像台406に押し出される。
【0052】
撮像台406は、撮像装置223がプレパラート70内の試料を撮像するための台である。撮像台406の上部には、撮像装置223が配置されている。撮像装置223は、撮像台406上に配置されたプレパラート70内の試料を撮像する。
【0053】
保持部407は、撮像台406上に配置されたプレパラート70を保持し、プレパラート70の位置を調整する。保持部407は、駆動部(図示せず)と接続されている。当該駆動部により、保持部407は、撮像装置223の撮像方向に対して垂直方向、すなわち撮像台406に対して水平方向に移動することができる。保持部407が移動することにより、プレパラート70の撮像装置223に対する位置も調整される。
【0054】
外壁407Aは開口部を有しており、プレパラート70は、搬送機構404によって、当該開口部から外壁407Aの内部に挿入される。外壁407Aは、内部に挿入されたプレパラート70を3方向から囲む。脱落防止部品407Bは、バネなどの弾性体を含み、外壁407Aの開口部の一部を塞ぐことで、外壁407Aの内部のプレパラート70の脱落を防止する。また、脱落防止部品407Bは、プレパラート70の進行方向に相対する面に傾斜が設けられている。搬送機構404がプレパラート70を保持部407に向かって押し出すと、脱落防止部品407Bの傾斜面がプレパラート70に押圧される。そして、脱落防止部品407Bは、プレパラート70が開口部から外壁407Aの内部に押し込まれることを妨げない位置に移動する。プレパラート70が外壁407A内に押し込まれると、脱落防止部品407Bは、元の位置に戻り、外壁407A内のプレパラート70が外壁407A内から脱落しないようにする。
【0055】
廃棄容器408は、撮像後のプレパラート70が廃棄される。撮像完了後、保持部407は、駆動部によって、撮像台406から廃棄容器408までスライド移動する。保持部407が廃棄容器408までスライド移動すると、保持部407の内部のプレパラート70は、廃棄容器408内に落下する。プレパラート70が廃棄容器408内に落下した後、保持部407は、撮像台406まで戻る。
【0056】
薬剤入れ409は、検体と混ぜ合わされて試料を作成するための薬剤(例えば、試料中の有形成分の視認性を高めるための染色液など)が入っている。搬送台405の上部には、後述する可動式の検体取得部が設けられている。検体取得部は、薬剤入れ409から薬剤を取得し、搬送台405上のプレパラート70に薬剤を入れる。検体取得部は、同様に、分析装置20の中央に配置される検査対象の容器4から、検体を取得し、搬送台405上のプレパラート70に検体を入れる。
【0057】
洗浄部410は、検体取得部の先端を洗浄する。検体取得部は、洗浄部410内で、内部から洗浄液を排出することで、検体取得部の先端を洗浄する。洗浄部410は、洗浄液用の排水溝を有する。
【0058】
次に、図5図15を参照して、分析装置20の内部機構および各機構の動作手順について詳細に説明する。図5は、分析装置20の内部機構の動作手順(1)の一例を示す図である。動作手順(1)において、溝250にセットされたラック7は、溝250の壁面などに設けられた第1の駆動部225によって、矢印501の方向に搬送される。センサー401Aが、ラック7を検出すると、ラック7の搬送の向きが変わり、ラック7は、矢印502の方向に搬送される。ラック7が搬送されることにより、分析対象のスピッツ503は、分析装置20の中央に運ばれてくる。
【0059】
図6は、分析装置20の内部機構の動作手順(2)の一例を示す図である。動作手順(2)において、搬送機構404は、矢印601の方向に駆動する。そして、搬送機構404は、カセット403のいずれかの収納部から、1枚のプレパラート70を搬送台405の中央に押し出す。搬送機構404は、プレパラート70を搬送台405の中央に押し出した後、そのままの位置で停止する。
【0060】
搬送機構404の押し出し動作によって、搬送機構404の押し出し位置にある収納部のプレパラート70の残数が0になった場合、制御部210は、搬送機構404が元の位置に戻るタイミングで、駆動部を制御してカセット403を移動させ、プレパラート70を供給する収納部を変更する。
【0061】
図7は、分析装置20の内部機構の動作手順(3)の一例を示す図である。動作手順(3)において、検体取得部701は、薬剤入れ409から薬剤を取得し、矢印702の向きに移動し、搬送台405上のプレパラート70に薬剤を供給する。
【0062】
図8は、分析装置20の内部機構の動作手順(4)の一例を示す図である。動作手順(4)において、検体取得部701は、プレパラート70に薬剤を供給した後、矢印801の向きに移動し、洗浄部410に検体取得部701の先端を入れて、洗浄処理を行なう。検体取得部701は、内部から洗浄液を排出することで、検体取得部701の先端の吸い取り口を洗浄する。
【0063】
図9は、分析装置20の内部機構の動作手順(5)の一例を示す図である。動作手順(5)において、検体取得部701は、洗浄処理の完了後、矢印901の向きに移動し、分析対象のスピッツ503から、検体を取得する。
【0064】
図10は、分析装置20の内部機構の動作手順(6)の一例を示す図である。動作手順(6)において、検体取得部701は、検体取得の完了後、矢印1001の向きに移動し、搬送台405上のプレパラート70に検体を供給する。動作手順(6)までの処理によって、図3の工程(i)~(iii)において説明した撮像対象の試料が調製される。
【0065】
図11は、分析装置20の内部機構の動作手順(7)の一例を示す図である。動作手順(7)において、検体取得部701は、プレパラート70に検体を供給した後、矢印1101の向きに移動し、洗浄部410に検体取得部701の先端を入れて、洗浄処理を行なう。検体取得部701は、内部から洗浄液を排出することで、検体取得部701の先端の吸い取り口を洗浄する。なお、図11に示すように、実際には、2枚以上のプレパラート70が搬送台405に搬送されてもよい。
【0066】
図12は、分析装置20の内部機構の動作手順(8)の一例を示す図である。動作手順(8)において、プレパラート70に試料(検体+薬剤)が供給された後、搬送機構404は、矢印1201の方向に駆動する。そして、搬送機構404は、搬送台405上のプレパラート70を保持部407内に挿入する。2枚以上のプレパラート70が搬送台405にある場合、搬送機構404は、搬送台405にある全てのプレパラート70を保持部407の方向に押し出す。
【0067】
ある局面において、脱落防止部品407Bは、プレパラート70と対面する位置に傾斜面を設けられていてもよい。さらに、プレパラート70の脱落防止部品407Bと接する位置にも傾斜面が設けられていてもよい。搬送機構404が、2枚のプレパラート70を保持部407に向けて押し出した場合、1枚目のプレパラート70の傾斜面は、脱落防止部品407Bの傾斜面と接することで、脱落防止部品407Bを開口部の外側に押し出す。脱落防止部品407Bは、開口部の外側に移動するため、1枚目のプレパラート70の外壁407A内への移動を妨げない。
【0068】
1枚目のプレパラート70が完全に外壁407A内に入った後、脱落防止部品407Bは、元の位置に戻り、続けて2枚目のプレパラート70の傾斜面と接することで、2枚目のプレパラート70が外壁407A内に移動することを阻害する。このように、分析装置20は、脱落防止部品407Bおよびプレパラート70の両方に傾斜面を備えることで、搬送機構404の押し出し量を精密に制御することなく、プレパラート70が2枚同時に撮像台406に供給され、保持部407が詰まることを防止し得る。
【0069】
図13は、分析装置20の内部機構の動作手順(9)の一例を示す図である。動作手順(9)において、保持部407は、撮像装置223の撮像方向に対して垂直になる2軸方向(矢印1301の2軸方向)に動くことで、撮像装置223に対するプレパラート70の位置を調整する。撮像装置223は、プレパラート70に対して上下方向に移動することで、撮像装置223のレンズのフォーカスを調整する。撮像装置223は、プレパラート70の位置の調整および撮像装置223のレンズのフォーカスの調整が完了した後に、プレパラート70内の検体(試料)を撮像する。なお、図13以降の動作時に、分析装置20は、後続のプレパラート70に対して、図5~11までの動作を実施し得る。
【0070】
図14は、分析装置20の内部機構の動作手順(10)の一例を示す図である。動作手順(10)において、保持部407は、プレパラート70内の検体(試料)の撮像の完了後、廃棄容器408の位置(矢印1401の方向)に動くことで、プレパラート70を廃棄する。
【0071】
図15は、分析装置20の内部機構の動作手順(11)の一例を示す図である。動作手順(11)において、動作手順(1)~(10)が完了する毎に、次の検査対象の容器4が分析装置20の中央に来るように、ラック7が矢印1501~1503の向きに運ばれていく。
【0072】
次に、図16図18を参照して、カセット403およびプレパラート70を高速に供給する仕組みについて詳細に説明する。図16は、カセット403を拡大した俯瞰図の一例である。カセット403は、一例として、4つの収納部1601A~1601Dを含む。以下、収納部1601A~1601Dを総称する場合は収納部1601と呼ぶ。
【0073】
各収納部1601は、壁によって仕切られた空間であり、各収納部1601の中に、それぞれプレパラート70が積み重ねて収納される。一例として、各収納部1601が40枚のプレパラート70を収納したとすると、カセット403は、合計160枚のプレパラート70を収納することになる。
【0074】
カセット403の面の底面付近には、搬送口1602A~1602Dが設けられている。搬送口1602A~1602Dは、面1603と、その裏側の面1604に対になるように設けられている。以下、搬送口1602A~1602Dを総称する場合は搬送口1602と呼ぶ。面1603および面1604は、それぞれカセット403の側面である。
【0075】
面1603の搬送口1602A~1602Dと、面1604の搬送口1602A~1602Dとは、それぞれ、収納部1601A~1601Dを貫通して繋がっている。一例として、面1603の搬送口1602Aおよび面1604の搬送口1602Aは、収納部1601Aを貫通して繋がっている。
【0076】
搬送機構404は、一例として、面1604の搬送口1602Aから収納部1601A内に進み、プレパラート70を面1603の搬送口1602Aから外に押し出す。押し出し動作の詳細については後述する。
【0077】
図17は、分析装置20におけるプレパラート70の供給機構の一例を示す図である。カセット403は、第3の駆動部227と接続される。制御部210は、第3の駆動部227を制御して、カセット403を搬送機構404の押し出し方向に対して垂直方向に移動させる。
【0078】
ある局面において、カセット403は、分析装置20から取り外し可能であってもよい。その場合、ユーザーは、分析装置20の筐体の取り出し口などから、第3の駆動部227に接続される土台などに設置されたカセット403を交換し得る。
【0079】
図17に示す例では、収納部1601Aのプレパラート70の残数が0になっている。制御部210は、第3の駆動部227を制御して、収納部1601Bを搬送機構404の押し出し位置に移動させている。次に、収納部1601Bのプレパラート70の残数が0になった場合、制御部210は、第3の駆動部227を制御して、収納部1601Cを搬送機構404の押し出し位置に移動させる。
【0080】
ある局面において、制御部210は、最後の収納部1601Dを搬送機構404の押し出し位置に移動させた時点で、通信部221または出力インターフェイス230を介して、カセット403に収納されたプレパラート70の残数の範囲、カセット403に収納されるプレパラート70の残数またはプレパラート70がもうすぐ無くなることをユーザーに通知してもよい。
【0081】
他の局面において、制御部210は、カセット403に収納されるプレパラート70の残数が予め定められた任意の数以下になった時点で、通信部221または出力インターフェイス230を介して、カセット403に収納されたプレパラート70の残数の範囲、カセット403に収納されるプレパラート70の残数またはプレパラート70がもうすぐ無くなることをユーザーに通知してもよい。
【0082】
図18は、カセット403の断面を横から見た図である。図18を参照して、搬送機構404がカセット403からプレパラート70を押し出す動作について説明する。一例として、搬送機構404が、収納部1601Aからプレパラート70を押し出す動作について説明する。搬送機構404は、他の収納部1601B~1601Dに対しても同様にプレパラート70を押し出す。
【0083】
状態1801において、収納部1601Aには、複数のプレパラート70が積み重ねて収納されている。面1603および面1604の搬送口1602は、カセット403の底付近に設けられている。搬送機構404の押し出し面は、基準の位置にあり、収納部1601Aのプレパラート70も押し出されていない。
【0084】
状態1802において、搬送機構404は、面1604の搬送口1602から、収納部1601Aの内部に進む。収納部1601A内の最も底のプレパラート70は、搬送機構404の押し出し面に押されて、面1603の搬送口1602から外部に押し出されていく。
【0085】
状態1803において、搬送機構404は、収納部1601A内の最も底のプレパラート70を完全にカセット403の外側まで押し出した後は、元の位置に戻る。搬送機構404が面1604の搬送口1602から外に出ることにより、残りの収納部1601A内に積み重ねられたプレパラート70は、自重により収納部1601Aの底に落下する。すなわち、残りの収納部1601A内に積み重ねられたプレパラート70は、プレパラート70の高さ1枚分ずつ落下する。
【0086】
ある局面において、搬送口1602のそれぞれの面積は、プレパラート70の搬送口1602を通過する面の面積よりも大きくてもよい。また、搬送機構404の押し出し面の面積は、プレパラート70の搬送口1602を通過する面の面積よりも小さくてもよい。このように各構成の面の大きさに差を設けることで、プレパラート70の搬送時に、プレパラート70または搬送機構404が搬送口1602に詰まることを抑制し得る。
【0087】
以上説明したように、本実施の形態に従うプレパラート70の供給機構は、搬送機構404の直動運動のみを用いて、収納部1601に積み重ねて収納されたプレパラート70を搬送台405の方向に順次供給する。当該構成により、次に搬送されるプレパラート70は、前に搬送されたプレパラート70の搬送完了と共に、その自重により搬送機構404の前に落下してくるため、分析装置20は、プレパラート70を搬送台405の方向に高速に供給することができる。さらに、本実施の形態に従うプレパラート70の供給機構は、機械的動作が少なく、弾性体等の経時劣化しやすい部材を使用する必要もないため、経時的な部材の弾性劣化等によるプレパラート供給の誤作動の可能性を低減させることができ、信頼性およびメンテナンス性において優れる。また、従来よりも少ない部品数でよいため製造コスト面でもメリットがある。
【0088】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均などの意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0089】
4 容器、7 ラック、20 分析装置、20A 本体、20B 搬送部、70 プレパラート、71 貯留部、72 凹部、73 カバーガラス、210 制御部、212 記憶装置、221 通信部、222 試料調製部、223 撮像装置、224 バーコードリーダー、225 第1の駆動部、226 第2の駆動部、227 第3の駆動部、228 操作部、229 入力インターフェイス、230 出力インターフェイス、250 溝、401A,401B,401C センサー、403 カセット、404 搬送機構、405 搬送台、406 撮像台、407 保持部、407A 外壁、407B 脱落防止部品、408 廃棄容器、409 薬剤入れ、410 洗浄部、503 分析対象のスピッツ、701 検体取得部、1601 収納部、1602 搬送口、1603,1604 面、1801,1802,1803 状態。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17
図18