(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】移動システム
(51)【国際特許分類】
B60F 5/02 20060101AFI20230524BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20230524BHJP
B64C 37/02 20060101ALI20230524BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20230524BHJP
B64F 1/36 20170101ALI20230524BHJP
【FI】
B60F5/02
B64C27/08
B64C37/02
B64D27/24
B64F1/36
(21)【出願番号】P 2019051825
(22)【出願日】2019-03-19
【審査請求日】2022-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 祐介
(72)【発明者】
【氏名】岡本 正也
(72)【発明者】
【氏名】国府寺 弘明
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 直人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 友宏
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-076048(JP,A)
【文献】国際公開第2018/230680(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60F 5/02
B64C 27/08
B64C 37/02
B64D 27/24
B64F 1/36
G06Q 50/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭乗可能なキャビンと、
前記キャビンに対して連結および解除可能に構成され、バッテリの電力を消費して空を移動する航空装置と、
前記キャビンに対して連結および解除可能に構成され、地上を移動する走行装置と、を備え、
前記走行装置は、前記航空装置の前記バッテリに電力を供給する給電部を有
し、
前記キャビンと前記航空装置とが連結されて形成される航空ユニットが、前記走行装置から前記航空装置への給電を行う位置である給電位置に移動するとともに、前記キャビンが連結されていない前記走行装置が、前記給電位置に移動し、前記給電位置において、前記走行装置における前記給電部から、前記航空ユニットにおける前記航空装置の前記バッテリに電力が供給される、移動システム。
【請求項2】
サーバをさらに備え
、
前記サーバは、
前記航空ユニットが移動可能な距離以内において、交通情報に基づいて、複数の前記給電位置の候補を決定し、
複数の前記給電位置の候補のうち、前記給電位置の候補での前記走行装置の前記給電部のバッテリ容量が、前記航空ユニットが前記給電位置の候補から目的地まで移動するのに必要な残りのバッテリ容量である残必要バッテリ容量より大きいという条件を満たす前記給電位置の候補を、前記給電位置に決定する、請求項1に記載の移動システム。
【請求項3】
前記サーバは、
複数の前記給電位置の候補のうち、前記走行装置が前記給電位置の候補に移動する移動時間が、所定時間以内であり、かつ、前記給電位置の候補での前記走行装置の前記給電部のバッテリ容量が、前記残必要バッテリ容量より大きいという条件を満たす前記給電位置の候補を、前記給電位置に決定する、請求項2に記載の移動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭乗者が搭乗可能なキャビンを移動させる移動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、結合するモジュールに応じて、乗客用モジュールを、地上を通じて移動させたり、空中を通じて移動させることが可能な乗客輸送システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような移動システムにおいて、空中を通じて乗客用モジュールを移動させる場合、バッテリ容量(SOC)が少ないと、目的地まで移動させることができない。
【0005】
そこで、本発明は、バッテリ容量が少なくても空中を通じて目的地まで移動可能な移動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の移動システムは、搭乗可能なキャビンと、キャビンに対して連結および解除可能に構成され、バッテリの電力を消費して空を移動する航空装置と、キャビンに対して連結および解除可能に構成され、地上を移動する走行装置と、を備え、走行装置は、航空装置のバッテリに電力を供給する給電部を有し、キャビンと航空装置とが連結されて形成される航空ユニットが、走行装置から航空装置への給電を行う位置である給電位置に移動するとともに、キャビンが連結されていない走行装置が、給電位置に移動し、給電位置において、走行装置における給電部から、航空ユニットにおける航空装置のバッテリに電力が供給される。
【0007】
また、移動システムは、サーバをさらに備え、サーバは、航空ユニットが移動可能な距離以内において、交通情報に基づいて、複数の給電位置の候補を決定し、複数の給電位置の候補のうち、給電位置の候補での走行装置の給電部のバッテリ容量が、航空ユニットが給電位置の候補から目的地まで移動するのに必要な残りのバッテリ容量である残必要バッテリ容量より大きいという条件を満たす給電位置の候補を、給電位置に決定するとしてもよい。
また、サーバは、複数の給電位置の候補のうち、走行装置が給電位置の候補に移動する移動時間が、所定時間以内であり、かつ、給電位置の候補での走行装置の給電部のバッテリ容量が、残必要バッテリ容量より大きいという条件を満たす給電位置の候補を、給電位置に決定するとしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バッテリ容量が少なくても空中を通じて目的地まで移動可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態による移動システムの構成を示す概略図である。
【
図2】キャビン、航空装置および走行装置の関係を説明する図である。
【
図3】航空ユニットおよび走行装置の関係を説明する図である。
【
図4】データベース部に格納されるキャビンテーブル、航空装置テーブルおよび走行装置テーブルを示す概略図である。
【
図5】移動途中における航空ユニットへの給電を説明する図である。
【
図6】端末装置における抽出要求部および手配要求部の動作を説明するフローチャートである。
【
図7】サーバにおける抽出部および手配部の動作を説明するフローチャートである。
【
図8】給電位置決定処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0011】
図1は、本実施形態による移動システム1の構成を示す概略図である。
図1では、制御信号の流れを破線の矢印で示している。以下では、本実施形態に関係する構成や処理について詳細に説明し、本実施形態と無関係の構成や処理については説明を省略する。
【0012】
移動システム1は、複数種類(
図1では、3種類)のキャビン10、複数種類(
図1では、3種類)の航空装置12、複数種類(
図1では、3種類)の走行装置14、端末装置16、通信ネットワーク18およびサーバ20を含む。ここでは、キャビン10、航空装置12および走行装置14をそれぞれ3種類挙げて説明するが、その種類は、3種類に限らず、1種類でもよいし、2種類でもよいし、4種類以上であってもよい。また、キャビン10の種類の数、航空装置12の種類の数および走行装置14の種類の数は、それぞれ等しくてもよいし、等しくなくてもよい。
【0013】
キャビン10は、中空に形成されており、搭乗者が搭乗可能となっている。キャビン10は、車輪、プロペラおよびそれらの駆動装置を有していない。つまり、キャビン10は、自体に推進力がない。複数種類のキャビン10は、例えば、搭乗可能人数などによって、大きさ、形状、外観やデザインなどが異なっていてもよい。なお、
図1では、キャビン10にハッチングを施すことで外観やデザインが異なることを示している。
【0014】
航空装置12は、プロペラ、駆動装置およびバッテリ22を有している。航空装置12の駆動装置は、バッテリ22の電力を消費してプロペラを駆動させる。プロペラの数は、例えば、4個であるが、1~3個であってもよいし、5個以上であってもよい。つまり、航空装置12は、プロペラを回転させることで揚力を発生させ、空を飛行することができる。航空装置12は、例えば、ドローン(無人航空機)である。また、航空装置12には、搭乗者を乗せる部分が付いていない。複数種類の航空装置12は、飛行するための装置出力やバッテリ容量などによって、大きさや形状などが異なっていてもよい。
【0015】
走行装置14は、車輪、駆動装置およびバッテリ24を有している。走行装置14の駆動装置は、バッテリ24の電力を消費して車輪を駆動させる。つまり、走行装置14は、車輪を回転させることで推進力を発生させ、地上を走行することができる。また、走行装置14には、搭乗者を乗せる部分が付いていない。つまり、走行装置14は、電気自動車からキャビンを除いたものに相当する。複数種類の走行装置14は、走行するための装置出力やバッテリ容量などによって、大きさや形状などが異なっていてもよい。
【0016】
図2は、キャビン10、航空装置12および走行装置14の関係を説明する図である。キャビン10には、航空装置連結部30および走行装置連結部32が設けられる。航空装置連結部30は、キャビン10の鉛直上部に設けられ、走行装置連結部32は、キャビン10の鉛直下部に設けられる。
【0017】
航空装置12には、キャビン連結部34が設けられる。キャビン連結部34は、例えば、航空装置12の鉛直下部に設けられる。また、走行装置14には、キャビン連結部36が設けられる。キャビン連結部36は、例えば、前輪と後輪との間の鉛直上部に設けられる。
【0018】
航空装置12は、キャビン10に対して連結および解除可能に構成されている。例えば、航空装置12のキャビン連結部34には、複数の爪が形成される。また、キャビン10の航空装置連結部30には、キャビン連結部34の複数の爪に対応する溝が形成される。キャビン連結部34は、航空装置連結部30を爪で引っ掛けて掴むことで、航空装置連結部30と連結することができる。また、キャビン連結部34は、航空装置連結部30を掴んでいた爪を開くことで、連結されていた航空装置連結部30との連結を解除することができる。
【0019】
航空装置12とキャビン10とが連結されると、航空ユニット40が形成される。航空ユニット40は、空を通じて移動することができる。航空ユニット40は、基本的には、航空装置12が自動運転することで、キャビン10を移動させる。なお、航空ユニット40は、キャビン10に設けられる運転装置を通じて、搭乗者の運転によって移動してもよい。
【0020】
走行装置14は、キャビン10に対して連結および解除可能に構成されている。例えば、キャビン10の走行装置連結部32には、複数の突起が形成される。走行装置14のキャビン連結部36は、走行装置連結部32の複数の突起を各々挟んで支持することで、走行装置連結部32と連結することができる。また、キャビン連結部36は、突起を挟むことを解除することで、連結されていた走行装置連結部32との連結を解除することができる。
【0021】
走行装置14とキャビン10とが連結されると、走行ユニット42が形成される。走行ユニット42は、地上を通じて移動することができる。走行ユニット42は、走行装置14が自動運転することでキャビン10を移動させてもよいし、キャビン10に設けられる運転装置を通じて、搭乗者の運転によって移動してもよい。
【0022】
キャビン10は、航空装置12に連結される場合、走行装置14との連結が解除される。また、キャビン10は、走行装置14に連結される場合、航空装置12との連結が解除される。なお、ここでは、総重量の低減化のために航空装置12または走行装置14の一方にキャビン10が連結されると他方との連結を解除する例を挙げているが、キャビン10は、航空装置12および走行装置14の両方に同時に(並行して)連結されてもよい。
【0023】
以下、航空装置12および走行装置14を総称して、移動装置と呼ぶ場合がある。また、航空ユニット40および走行ユニット42を総称して、移動ユニットと呼ぶ場合がある。
【0024】
図3は、航空ユニット40および走行装置14の関係を説明する図である。航空ユニット40は、通常、キャビン10と走行装置14との連結が解除された状態で飛行する。ここで、航空ユニット40は、バッテリ22のバッテリ容量(SOC)が少なくなった場合などにおいて、走行装置14のバッテリ24から電力の供給を受けることができる。
【0025】
具体的には、航空ユニット40は、走行装置14上に着陸可能である。航空ユニット40が走行装置14上に着陸すると、航空ユニット40のキャビン10は、走行装置14と連結される。つまり、航空装置12は、キャビン10を通じて走行装置14と連結される。
【0026】
そうすると、
図3の実線の矢印で示すように、走行装置14は、バッテリ24からキャビン10を通じて航空装置12のバッテリ22に電力を供給することができる。つまり、走行装置14のバッテリ24は、航空装置12のバッテリ22に電力を供給する給電部として機能する。給電が完了すると、キャビン10と走行装置14との連結が解除され、航空ユニット40は、走行装置14から離陸して飛行することができる。
【0027】
なお、
図3では、キャビン10を通じて給電が行われる例を示していた。しかし、走行装置14のバッテリ24は、例えば、走行装置14と航空装置12とを接続する電力ケーブルなどを通じて、直接的に航空装置12のバッテリ22に電力を供給してもよい。この場合、航空ユニット40のキャビン10は、必ずしも走行装置14に連結されなくてもよい。すなわち、航空ユニット40が走行装置14の近傍に着陸し、電力ケーブルを通じてバッテリ22に電力が供給される。
【0028】
図1に戻って、移動システム1では、キャビン10および移動装置(航空装置12および走行装置14)が複数種類あるため、キャビン10に対する移動装置の組み合わせパターン(換言すると、移動ユニットのパターン)が複数ある。移動システム1は、例えば、このような複数種類の移動ユニット(複数種類のキャビン10、航空装置12および走行装置14)を複数のユーザ(換言すると、移動ユニットに搭乗する搭乗者)で共有(シェア)するような構成である。
【0029】
端末装置16は、例えば、スマートフォンやタブレットなどである。端末装置16は、通信部50、入出力インターフェース52および制御部54を含む。なお、端末装置16は、キャビン10の中に設けられたユーザインターフェースなどであってもよい。
【0030】
通信部50は、外部と通信(無線通信または有線通信)を確立し、通信ネットワーク18を通じて各種の情報を送受信することができる。通信ネットワーク18は、例えば、通信キャリアの無線通信ネットワークであってもよいし、インターネットであってもよい。具体的には、通信部50は、通信ネットワーク18を通じてサーバ20と通信する。
【0031】
入出力インターフェース52は、ユーザによる入力操作を受け付ける入力機能と、各種の情報をユーザに表示するディスプレイなどの出力機能とを有する。
【0032】
制御部54は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路から構成される。制御部54は、プログラムを実行することで、抽出要求部56および手配要求部58として機能する。
【0033】
移動システム1では、移動ユニットが複数種類あるため、ユーザが入出力インターフェース52を通じて入力した抽出条件を満たす移動ユニットが抽出される。抽出条件は、複数種類の移動ユニットの中から、1または複数の移動ユニットを抽出するための各種の情報である。抽出条件は、具体的な内容の説明については省略するが、例えば、搭乗人数など各種設定することができる。
【0034】
抽出要求部56は、ユーザによって入力された抽出条件が格納された抽出要求を、通信部50および通信ネットワーク18を通じてサーバ20に送信する。サーバ20では、複数種類の移動ユニットの中から抽出条件を満たす移動ユニットの抽出が行われる。抽出結果は、端末装置16に送られる。
【0035】
抽出要求部56は、抽出結果を受信すると、抽出結果を入出力インターフェース52のディスプレイに表示させる。これにより、ユーザは、抽出された移動ユニットの中から使用したい移動ユニットを選択することができる。
【0036】
ユーザは、抽出された移動ユニットの中から選択した1の移動ユニット、出発地および目的地を、入出力インターフェース52を通じて入力する。出発地および目的地は、住所で特定してもよいし、建物などのランドマークで特定してもよいし、緯度経度で特定してもよい。
【0037】
手配要求部58は、ユーザが入出力インターフェース52を通じて入力した手配情報が格納された手配要求を、通信部50および通信ネットワーク18を通じてサーバ20に送信する。手配情報には、入力(選択)された移動ユニット、出発地および目的地が含まれる。手配要求は、入力された移動ユニットで出発地から目的地に移動したいことをサーバ20に要求するものである。
【0038】
サーバ20は、移動システム1の管理者によって設置される。サーバ20は、通信部60、データベース部62および制御部64を含む。
【0039】
通信部60は、外部と通信(無線通信または有線通信)を確立し、通信ネットワーク18を通じて各種の情報を送受信することができる。通信部60は、端末装置16、各キャビン10および各移動装置と通信することができる。
【0040】
データベース部62は、例えば、不揮発性メモリで構成される。データベース部62には、キャビンテーブル、航空装置テーブルおよび走行装置テーブルが格納されている。
【0041】
図4は、データベース部62に格納されるキャビンテーブル、航空装置テーブルおよび走行装置テーブルを示す概略図である。
図4(a)には、キャビンテーブルが示されており、
図4(b)には、航空装置テーブルが示されており、
図4(c)には、走行装置テーブルが示されている。なお、航空装置テーブルおよび走行装置テーブルを総称して、移動装置テーブルと呼ぶ場合がある。
【0042】
図4(a)に示すように、キャビンテーブルには、キャビン10の各々を識別するキャビン識別子が記載されている。また、キャビンテーブルには、航空連結タイプおよび走行連結タイプがキャビン識別子に関連付けられて記載されている。航空連結タイプは、例えば、航空装置連結部30の連結規格などである。走行連結タイプは、例えば、走行装置連結部32の連結規格などである。
【0043】
なお、図示を省略するが、キャビンテーブルには、キャビン10に関する各種の情報(例えば、搭乗可能人数など)が、キャビン識別子に関連付けられて記載されてもよい。
【0044】
図4(b)に示すように、航空装置テーブルには、航空装置12の各々を識別する航空装置識別子が記載されている。また、航空装置テーブルには、キャビン連結タイプ、装置出力およびバッテリ容量が、航空装置識別子に関連付けられて記載されている。キャビン連結タイプは、例えば、キャビン連結部34の連結規格などである。装置出力は、航空装置12を飛行させるための出力である。
【0045】
航空装置テーブルにおけるバッテリ容量は、航空装置12に搭載されるバッテリ22の容量である。バッテリ容量は、例えば、現在のSOC(State of Charge)を示し、リアルタイムに更新される。例えば、サーバ20は、各航空装置12から現在のバッテリ容量を定期的または所定のタイミングで取得し、航空装置テーブルのバッテリ容量を更新してもよい。所定のタイミングは、例えば、抽出要求を受信したときなどでもよい。
【0046】
なお、図示を省略するが、航空装置テーブルには、航空装置12に関する各種の情報(例えば、航空装置12の形状など)が、航空装置識別子に関連付けられて記載されてもよい。
【0047】
図4(c)に示すように、走行装置テーブルには、走行装置14の各々を識別する走行装置識別子が記載されている。また、走行装置テーブルには、キャビン連結タイプ、装置出力およびバッテリ容量が、走行装置識別子に関連付けられて記載されている。キャビン連結タイプは、例えば、キャビン連結部36の連結規格などである。装置出力は、走行装置14を走行させるための出力である。
【0048】
走行装置テーブルにおけるバッテリ容量は、走行装置14に搭載されるバッテリ24の容量である。バッテリ容量は、例えば、現在のSOCを示し、リアルタイムに更新される。走行装置テーブルのバッテリ容量の更新は、例えば、航空装置テーブルのバッテリ容量の更新と同様にして行われる。
【0049】
なお、図示を省略するが、走行装置テーブルには、走行装置14に関する各種の情報(例えば、走行装置14の形状など)が、走行装置識別子に関連付けられて記載されてもよい。
【0050】
また、データベース部62には、交通情報が格納され、リアルタイムに更新される。交通情報には、カーナビゲーションシステムで利用されるような地図情報、渋滞情報、交通規制情報、道路工事情報などが含まれる。
【0051】
また、交通情報には、給電位置候補情報も含まれる。給電位置候補情報は、走行装置14から航空ユニット40の航空装置12に給電を行うことが可能な位置(給電位置)の候補を示す。給電位置の候補は、給電時に走行装置14が停止可能であり、航空ユニット40が着陸可能な位置に予め設定される。交通情報は、例えば、定期的または所定タイミングで更新される。所定タイミングは、例えば、後述する移動ユニットの手配時などでもよい。
【0052】
図1に戻って、サーバ20の制御部64は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路から構成される。制御部64は、プログラムを実行することで、抽出部66および手配部68として機能する。
【0053】
抽出部66は、端末装置16から抽出要求を受信すると、抽出要求に含まれる抽出条件を満たす移動ユニットを抽出する。移動ユニットの抽出については、具体的な内容の説明を省略するが、例えば、抽出部66は、キャビンテーブルおよび移動装置テーブルを参照し、抽出条件を満たすキャビン10および移動装置の組み合わせ(移動ユニット)を抽出する。抽出部66は、移動ユニットの抽出結果を通信部60および通信ネットワーク18を通じて端末装置16に送信する。
【0054】
手配部68は、端末装置16から手配要求を受信すると、手配要求に含まれる手配情報(移動ユニット、出発地および目的地)に基づいて移動ユニットの手配を行う。
【0055】
ここで、手配要求された移動ユニットが、航空ユニット40であったとし、航空ユニット40が出発地に到達したとする。出発地に到達した航空ユニット40は、バッテリ22における現在のバッテリ容量が少ないと、出発地から目的地まで移動できない場合がある。そこで、移動システム1では、移動ユニットの手配時において、出発地に到達した航空ユニット40が、バッテリ容量が少なくて目的地に到達できないと予想されると、移動途中において航空ユニット40のバッテリ22への給電を可能にさせる。
【0056】
図5は、移動途中における航空ユニット40への給電を説明する図である。
図5では、目的地まで移動可能なバッテリ容量がある場合の航空ユニット40の移動距離を実線の矢印A10で示している。
【0057】
バッテリ容量が少ない場合、航空ユニット40は、そのバッテリ容量の電力で移動可能な距離(移動可能距離)までしか移動できない。移動可能距離は、
図5において、出発地を中心とした、二点鎖線の矢印A12で示す半径に相当する。したがって、移動可能距離の限界は、二点鎖線A14のようになる。
【0058】
手配部68は、手配要求された航空ユニット40について、現在のバッテリ容量に基づいて移動可能距離を導出する。手配部68は、移動可能距離(二点鎖線の矢印A12)が、目的地までの移動距離(実線の矢印A10)以上ではない場合、移動途中で給電が必要とみなし、交通情報に基づいて給電位置および給電元となる走行装置14を決定する。以後、給電元となる走行装置14を、給電用走行装置と呼ぶ場合がある。給電位置および給電用走行装置の決定は、具体的には以下のように行われる。
【0059】
手配部68は、交通情報の地図上において候補抽出範囲を設定する。
図5では、候補抽出範囲を二点鎖線の閉曲線A20で示している。候補抽出範囲(閉曲線A20)は、出発地から大凡目的地に向かう方向であり、航空ユニット40の移動可能距離の限界(二点鎖線A14)よりも出発地側に設定される。候補抽出範囲は、給電位置の候補が少なくとも1個以上含まれるように所定の広さに設定される。なお、候補抽出範囲は、給電位置の候補が1個も含まれない場合には、段階的に広さが広がるようにしてもよい。
図5では、給電位置の候補を丸印P10で示している。交通情報には給電位置候補情報が含まれるため、手配部68は、交通情報を参照し、候補抽出範囲内に位置する給電位置の候補を取得する。
【0060】
手配部68は、給電位置の候補の中から1の給電位置を仮決定する。以後、仮決定された給電位置を仮給電位置と呼ぶ場合がある。手配部68は、航空ユニット40が仮給電位置から目的地まで移動するのに必要な残りのバッテリ容量である残必要バッテリ容量を導出する。
【0061】
手配部68は、仮給電位置の周囲の走行装置14の中から、以下の給電条件を満たす走行装置14を探し出す。給電条件を満たすとは、手配要求された航空ユニット40のキャビン10に連結可能であり、所定時間内に仮給電位置に移動可能であり、走行装置14が給電位置に到達したときのバッテリ容量が残必要バッテリ容量より多いことである。所定時間は、例えば、航空ユニット40が出発地から仮給電位置に移動するまでの時間以下に設定される。
【0062】
手配部68は、このような給電条件を満たす走行装置14があれば、その走行装置14を給電用走行装置に決定し、そのときの仮給電位置を給電位置に決定する。
【0063】
また、手配部68は、給電条件を満たす走行装置14がなければ、まだ仮決定されていない給電位置の候補について仮給電位置を再設定し、上述と同様に、再設定された仮給電位置の周囲の走行装置14の中から、給電条件を満たす走行装置14を探し出す。
【0064】
このようにして、手配部68は、給電条件を満たす給電位置および給電用走行装置を決定する。
図5では、決定された給電位置をハッチングされた丸印P12で示し、決定された給電用走行装置を、破線の閉曲線P14で示している。
【0065】
なお、給電条件を満たす給電位置および走行装置14がなかった場合、手配要求のあった航空ユニット40では目的地まで適切に移動できないため、手配部68は、移動ユニットの手配エラーを、端末装置16を通じて報知させてもよい。
【0066】
給電位置および給電用走行装置が決定されると、手配部68は、決定された給電用走行装置を決定された給電位置に移動させるように手配する。また、手配部68は、手配要求のあった航空ユニット40を出発地に移動させるように手配する。そして、手配部68は、
図5の一点鎖線の矢印A30で示すように、決定された給電位置を経由して目的地に移動させるように航空ユニット40の移動先を設定する。
【0067】
これにより、手配要求された航空ユニット40は、決定された給電位置において走行装置14から電力の供給を受けることができる。このため、手配要求された航空ユニット40は、バッテリ容量が少なかったとしても、目的地まで適切に移動できる。
【0068】
なお、ここでは、航空ユニット40への給電が1回(1箇所で)行われる態様を説明していた。しかし、航空ユニット40の移動途中での給電は、複数回(複数個所で)行われてもよい。この態様における手配部68は、航空ユニット40の手配時に、給電位置を複数個所決定し、決定された給電位置毎に給電用走行装置を決定してもよい。
【0069】
また、本実施形態では、走行装置14から航空ユニット40(航空装置12)に電力を供給していた。これは、航空ユニット40は、走行装置14(走行ユニット42)に比べ、バッテリ容量に対する移動可能距離が短く、目的地まで到達できない可能性が高いからである。また、走行装置14は、エンジンを駆動して発電した電力でバッテリ24を充電したり、減速時にモータを発電機として機能させる回生ブレーキなどによってバッテリ容量の減少を抑えることができるため、バッテリ24から航空ユニット40のバッテリ22に十分な電力を供給することができる。
【0070】
図6は、端末装置16における抽出要求部56および手配要求部58の動作を説明するフローチャートである。抽出要求部56および手配要求部58は、ユーザの入力操作に応じた一連の処理を行う。
【0071】
まず、抽出要求部56は、ユーザが希望する移動ユニットの抽出条件を受け付ける(S100)。例えば、抽出要求部56は、搭乗人数などの各種の抽出条件の選択肢を入出力インターフェース52のディスプレイに表示させて、抽出条件の入力をユーザに促す。抽出要求部56は、入出力インターフェース52を通じて入力された抽出条件を取得する。抽出要求部56は、取得した抽出条件が格納された抽出要求をサーバ20に送信する(S110)。
【0072】
次に、抽出要求部56は、抽出結果を受信したか否かを判断する(S120)。抽出結果を受信していない場合(S120におけるNO)、抽出要求部56は、抽出結果を受信するまで待機する。
【0073】
抽出結果を受信した場合(S120におけるYES)、抽出要求部56は、抽出結果を入出力インターフェース52のディスプレイに表示させる(S130)。
【0074】
次に、ユーザは、抽出されて表示された移動ユニットの中から、使用を希望する移動ユニットを、入出力インターフェース52を通じて入力する。これにより、手配要求部58は、移動ユニットの入力を受け付ける(S140)。
【0075】
次に、手配要求部58は、出発地の入力を受け付ける(S150)。例えば、手配要求部58は、入出力インターフェース52に地図を表示させ、出発地とする地図上の位置をユーザに指定させることで出発地を取得する。なお、手配要求部58は、出発地の住所を入力させることで出発地を取得してもよい。また、出発地が現在地である場合、手配要求部58は、出発地を全地球測位システム(GPS)によって取得してもよい。
【0076】
次に、手配要求部58は、目的地の入力を受け付ける(S160)。例えば、手配要求部58は、入出力インターフェース52に地図を表示させ、目的地とする地図上の位置をユーザに指定させることで目的地を取得する。なお、手配要求部58は、目的地の住所を入力させることで目的地を取得してもよい。
【0077】
次に、手配要求部58は、入力された移動ユニットを示す移動ユニット識別子、出発地および目的地が格納された手配要求を送信し(S170)、一連の処理を終了する。
【0078】
図7は、サーバ20における抽出部66および手配部68の動作を説明するフローチャートである。
【0079】
抽出部66は、抽出要求を受信すると、キャビンテーブルおよび移動装置テーブルなどを参照し、抽出要求に含まれる抽出条件を満たす移動ユニットを抽出する(S200)。例えば、抽出条件が搭乗人数1人で最短移動したいというようなものである場合、抽出部66は、1人乗りのキャビン10と、そのキャビン10に連結可能な航空装置12とから構成される1または複数種類の移動ユニットを抽出する。
【0080】
次に、抽出部66は、抽出された移動ユニットの各々に、キャビン識別子および移動装置識別子に関連付けられた移動ユニット識別子を付与する。そして、抽出部66は、抽出された移動ユニットの情報を移動ユニット識別子とともにリスト化し、通信部60を通じて端末装置16に送信する(S210)。
【0081】
次に、手配部68は、手配要求を受信したか否かを判断する(S220)。手配要求を受信していない場合(S220におけるNO)、手配部68は、手配要求を受信するまで待機する。
【0082】
手配要求を受信した場合(S220におけるYES)、手配部68は、手配要求に含まれる移動ユニット識別子が、航空ユニット40を示すものであるか否かを判断する(S300)。航空ユニット40を示すものではない場合(S300におけるNO)、入力された移動ユニットが走行ユニット42であるため、手配部68は、入力された移動ユニット(走行ユニット42)を手配し(S380)、一連の処理を終了する。具体的には、手配部68は、入力された走行ユニット42に対応するキャビン10および走行装置14と通信し、そのキャビン10および走行装置14から成る走行ユニット42を出発地に移動させる。
【0083】
一方、航空ユニット40を示すものである場合(S300におけるYES)、手配部68は、入力された移動ユニット(航空ユニット40)に対してステップS310以降の処理を行う。つまり、手配部68は、移動途中で給電が必要か否かを確認する給電要否確認処理を行う。以後、給電要否確認処理の対象となる航空ユニット40(入力された航空ユニット40)を、対象航空ユニットと呼ぶ場合がある。また、対象航空ユニットを構成する航空装置12を、対象航空装置と呼ぶ場合がある。
【0084】
ステップS310において、手配部68は、航空装置テーブルを参照し、対象航空装置の装置出力などに基づいて、対象航空ユニットの移動速度を導出する(S310)。
【0085】
次に、手配部68は、航空装置テーブルを参照し、対象航空装置の現在のバッテリ容量および装置出力に基づいて、対象航空ユニットの移動可能時間を導出する(S320)。
【0086】
次に、手配部68は、対象航空ユニットの移動速度および移動可能時間に基づいて、対象航空ユニットの移動可能距離を導出する(S330)。
【0087】
次に、手配部68は、出発地、目的地および交通情報に基づいて、対象航空ユニットが移動すべき移動距離を導出する(S340)。
【0088】
次に、手配部68は、移動可能距離が移動距離以上であるか否かを判断する(S350)。移動可能距離が移動距離以上である場合(S350におけるYES)、移動途中での給電が不要とみなし、手配部68は、ステップS380の処理に進む。つまり、手配部68は、入力された移動ユニット(対象航空ユニット)を手配し(S380)、一連の処理を終了する。具体的には、手配部68は、対象航空ユニットに対応するキャビン10および航空装置12と通信し、そのキャビン10および航空装置12から成る対象航空ユニットを出発地に移動させる。
【0089】
一方、移動可能距離が移動距離以上ではない場合(S350におけるNO)、移動途中で給電が必要とみなし、手配部68は、移動経路の途中において対象航空ユニットへの給電を行う給電位置を決定する給電位置決定処理を行う(S360)。給電位置決定処理(S360)では、給電位置および給電用走行装置が決定される。給電位置決定処理の流れについては、後に詳述する。
【0090】
次に、手配部68は、給電位置決定処理(S360)において決定された給電用走行装置を手配する(S370)。具体的には、手配部68は、給電用走行装置と通信し、その給電用走行装置を給電位置に移動させる。
【0091】
次に、手配部68は、入力された移動ユニット(対象航空ユニット)を手配し(S380)、一連の処理を終了する。具体的には、手配部68は、対象航空ユニットに対応するキャビン10および航空装置12と通信し、そのキャビン10および航空装置12から成る対象航空ユニットを出発地に移動させる。この際、手配部68は、対象航空ユニットに、最終的な目的地(端末装置16を通じてユーザが入力した目的地)だけでなく、最初の目的地として給電位置を設定する。これにより、対象航空ユニットは、移動途中で給電を受けることができ、最終的な目的地に適切に移動可能となる。
【0092】
図8は、給電位置決定処理の流れを説明するフローチャートである。まず、手配部68は、対象航空ユニットの移動可能距離および交通情報に基づいて、給電位置の候補を取得する(S400)。具体的には、手配部68は、交通情報の地図上において候補抽出範囲を設定し、交通情報を参照して、候補抽出範囲内に位置する給電位置の候補を取得する。
【0093】
次に、手配部68は、候補抽出範囲内および候補抽出範囲の周辺に存在する走行装置14から各種の情報(走行装置情報)を取得する(S410)。具体的には、手配部68は、候補抽出範囲内および候補抽出範囲の周辺に向けて、走行装置14を対象として、走行装置情報をサーバ20に送信するよう要求する要求信号をブロードキャストする。走行装置情報は、例えば、走行装置識別子、走行装置14のキャビン連結タイプ、走行装置14の装置出力、走行装置14の現在の位置、走行装置14の現在のバッテリ容量および走行装置14の現在の使用状況を含む。要求信号を受信した走行装置14は、このような走行装置情報をサーバ20に送信する。
【0094】
次に、手配部68は、ステップS410で認識された走行装置14のうち、現在使用されていない走行装置14を給電用走行装置の候補に決定する(S420)。
【0095】
次に、手配部68は、候補抽出範囲内の給電位置の候補の中から、1の給電位置を仮決定する(仮給電位置を決める)(S430)。
【0096】
次に、手配部68は、仮給電位置および目的地に基づいて、仮給電位置から目的地までの残りの移動距離である残移動距離を導出する(S440)。次に、手配部68は、残移動距離および対象航空ユニットの移動速度に基づいて、仮給電位置から目的地までの残りの移動時間である残移動時間を導出する(S450)。次に、手配部68は、残移動時間および対象航空ユニットの装置出力に基づいて、残必要バッテリ容量を導出する(S460)。
【0097】
次に、手配部68は、給電用走行装置の候補の中から、1の走行装置14を仮決定する(S470)。以後、仮決定された走行装置14を、仮走行装置と呼ぶ場合がある。
【0098】
次に、手配部68は、仮走行装置が対象航空ユニットのキャビン10に連結可能か否かを判断する(S480)。例えば、仮走行装置におけるキャビン連結タイプと、対象航空ユニットのキャビン10における走行装置連結タイプとが共通している場合、連結可能と判断する。
【0099】
連結可能である場合(S480におけるYES)、手配部68は、交通情報、仮走行装置の現在の位置および仮走行装置の装置出力に基づいて、仮走行装置が仮給電位置まで移動するのに必要な時間である走行装置移動時間を導出する(S490)。
【0100】
次に、手配部68は、走行装置移動時間が所定時間以下であるか否かを判断する(S500)。
【0101】
走行装置移動時間が所定時間以下である場合(S500におけるYES)、手配部68は、現在のバッテリ容量、走行装置移動時間および仮走行装置の装置出力に基づいて、仮走行装置が仮給電位置に到達したとき残っていると予想される仮走行装置のバッテリ容量(仮走行装置の仮給電位置でのバッテリ容量)を導出する(S510)。
【0102】
次に、手配部68は、仮走行装置の仮給電位置でのバッテリ容量が残必要バッテリ容量より多いか否かを判断する(S520)。
【0103】
仮走行装置の現在のバッテリ容量が残必要バッテリ容量より多い場合(S520におけるYES)、手配部68は、現在の仮走行装置を給電用走行装置に決定する(S530)。そして、手配部68は、現在の仮給電位置を給電位置に決定し(S540)、
図8の一連の処理を終了する。
【0104】
また、連結可能ではない場合(S480におけるNO)、走行装置移動時間が所定時間以下ではない場合(S500におけるNO)、または、仮走行装置の現在のバッテリ容量が残必要バッテリ容量より多くない場合(S520におけるNO)、手配部68は、仮走行装置では対象航空ユニットに給電することができないとみなし(S600)、ステップS610の処理に進む。
【0105】
ステップS610において、手配部68は、給電用走行装置の候補のすべてを仮決定したか否かを判断する。すべてを仮決定していない場合(S610におけるNO)、手配部68は、ステップS470の処理に戻り、まだ仮決定されていない給電用走行装置の候補について仮決定する。つまり、手配部68は、すべての給電用走行装置の候補について、仮給電位置において給電が可能であるかの確認を行うまで、給電用走行装置を順番に仮決定しつつ、仮給電位置において給電が可能であるかの確認を繰り返す。
【0106】
給電用走行装置の候補のすべてを仮決定した場合(S610におけるYES)、手配部68は、給電位置の候補についてすべて仮決定したか否かを判断する(S620)。すべて仮決定していない場合(S620におけるNO)、手配部68は、ステップS430の処理に戻り、まだ仮決定されていない給電位置の候補について仮決定する。つまり、手配部68は、すべての給電位置の候補について、その給電位置での給電が可能であるかの確認を行うまで、給電位置を順番に仮決定しつつ、その給電位置での給電が可能であるかの確認を繰り返す。
【0107】
給電位置の候補のすべてを仮決定した場合(S620におけるYES)、手配部68は、移動ユニットの手配エラーを報知させ(S630)、
図8の一連の処理を終了する。この場合、給電位置の候補のいずれにおいても給電可能な走行装置14を適切に手配できない。このため、対象航空ユニットでは、移動途中で電力の供給を受けられず、目的地に適切に到達することができない。したがって、この場合、手配部68は、
図7のステップS370以降の処理を中止し、手配エラーを端末装置16に送信する。
【0108】
端末装置16は、移動ユニットの手配エラーを受信すると、その旨を入出力インターフェース52のディスプレイに表示させる。ユーザは、移動ユニットの手配エラーを認識すると、使用を希望する移動ユニットを他の移動ユニットに決定し直して、再度、移動ユニットの手配要求を行ってもよい。
【0109】
なお、ここでは、給電が可能な1の仮給電位置および1の仮走行装置が見つかると、給電位置および給電用走行装置をそれらに決定していた。しかし、候補抽出範囲内には、既に決定した給電位置および給電用走行装置よりも更によい給電位置および給電用走行装置があるかもしれない。このため、手配部68は、給電可能な1の仮給電位置および1の仮走行装置が見つかった後も、候補抽出範囲内に存在する仮給電位置のすべてについて、給電可能な仮給電位置および仮走行装置を探し出してもよい。そして、手配部68は、見つかった仮給電位置および仮走行装置のうち、給電後に走行装置14のバッテリ容量が最も残る仮給電位置および仮走行装置を給電位置および給電用走行装置に決定してもよい。また、手配部68は、見つかった仮給電位置および仮走行装置のうち、給電後に航空装置12のバッテリ容量が最も残る仮給電位置および仮走行装置を給電位置および給電用走行装置に決定してもよい。
【0110】
以上のように、本実施形態の移動システム1は、キャビン10、航空装置12および走行装置14を備えており、走行装置14は、航空装置12のバッテリ22に電力を供給する給電部(具体的には、バッテリ24)を有している。このため、本実施形態の移動システム1では、航空装置12およびキャビン10が連結された航空ユニット40の移動途中において、走行装置14の給電部から航空装置12のバッテリ22に給電可能である。これにより、航空ユニット40(航空装置12)は、移動途中においてバッテリ容量が少なくなったとしても、目的地まで到達することができる。
【0111】
したがって、本実施形態の移動システム1によれば、バッテリ容量が少なくても空中を通じて目的地まで移動することができる。
【0112】
また、本実施形態の移動システム1では、走行装置14が移動可能であるため、給電位置を柔軟に決定することができる。このため、本実施形態の移動システム1では、航空装置12のバッテリ22に電力を供給する固定設備を各地に設けなくとも、航空装置12のバッテリ22に適切に給電可能である。
【0113】
また、本実施形態の移動システム1では、走行装置14から航空装置12への給電を行う位置が交通情報に基づいて決定される。このため、本実施形態の移動システム1では、より確実に航空装置12に給電することができる。
【0114】
なお、本実施形態では、走行装置14を走行させる電力と、航空装置12に給電する電力との両方が、バッテリ24から出力されていた。しかし、航空装置12に給電するためのバッテリ(給電部)は、走行装置14を走行させるためのバッテリ24と独立して設けられてもよい。
【0115】
また、走行装置14から航空ユニット40への給電は、走行装置14のバッテリ24から航空装置12のバッテリ22に電力を供給する態様に限らない。例えば、走行装置14に航空装置12の予備のバッテリ22が予め積載され、給電位置において、航空装置12のバッテリ22が、走行装置14に積載された予備のバッテリ22と交換されてもよい。
【0116】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0117】
例えば、上記実施形態の航空装置12は、プロペラを有するドローンであった。しかし、複数の航空装置12は、ドローンに限らず、例えば、翼によって飛行する航空装置12を含んでもよい。
【0118】
また、上記実施形態の走行ユニット42は、バッテリ24の電力を消費して移動する電気自動車であった。しかし、走行ユニット42は、電気自動車に限らず、例えば、エンジン自動車およびハイブリッド自動車を含んでもよい。この場合、走行装置14は、エンジン等の駆動系とは別に、航空装置12のバッテリ22に電力を供給する給電部を有してもよい。
【0119】
また、上記実施形態では、給電条件として、走行装置14が航空ユニット40のキャビン10と連結可能であることが含まれていた。しかし、連結可能であるという条件を給電条件から省略してもよい。これは、走行装置14から航空装置12へ直接的に給電する態様では、走行装置14とキャビン10とが連結されなくても給電可能だからである。
【0120】
また、上記実施形態のサーバ20では、キャビン10と移動装置との連結タイプ、移動ユニットの形状、移動ユニットの空力抵抗、移動装置の装置出力、移動装置およびキャビン10の重量および積載重量、現在のバッテリ容量などから、移動ユニットを構成する移動装置およびキャビン10の対応付けが適切に行われてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、搭乗者が搭乗可能なキャビンを移動させる移動システムに利用できる。
【符号の説明】
【0122】
1 移動システム
10 キャビン
12 航空装置
14 走行装置
20 サーバ