(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成装置におけるユニット管理プログラムおよびユニット管理方法
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20230524BHJP
【FI】
G03G21/00 500
G03G21/00 398
G03G21/00 386
G03G21/00 510
(21)【出願番号】P 2019088722
(22)【出願日】2019-05-09
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】南川 友樹
(72)【発明者】
【氏名】直井 宏夫
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-005588(JP,A)
【文献】特開2012-138663(JP,A)
【文献】特開2010-182001(JP,A)
【文献】特開2018-151703(JP,A)
【文献】特開2002-108512(JP,A)
【文献】特開2009-237149(JP,A)
【文献】特開2004-037526(JP,A)
【文献】特開2011-061309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体から給電を受ける記憶手段を有するとともに当該装置本体に対して着脱可能に設けられるユニット
としてのトナーカートリッジを備え
、画像データに基づく画像を画像記録媒体に形成する画像形成処理を行う画像形成装置であって、
前記記憶手段にアクセスするアクセス手段と、
前記アクセス手段による前記記憶手段へのアクセスに不具合が発生したときに当該記憶手段への前記給電を一旦停止した後に再開する給電制御処理を実行する給電制御手段と、をさらに備え
、
前記給電制御処理は、前記画像形成処理とは独立して実行される、画像形成装置。
【請求項2】
前記給電制御処理の実行によって前記不具合が解消されたときに当該給電制御処理に係る第1履歴情報を前記記憶手段に記憶するように前記アクセス手段を制御する第1制御手段をさらに備える、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記給電制御処理の実行によっても前記不具合が解消されないときに警告を行う警告手段をさらに備える、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記給電制御処理の実行によっても前記不具合が解消されないときに前記ユニットを前記装置本体から一旦取り外して当該装置本体に装着し直す再装着作業を含む当該ユニットの保守作業の実行を要請する要請手段をさらに備える、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記保守作業の実行によって前記不具合が解消されたときに当該保守作業に係る第2履歴情報を前記記憶手段に記憶するように前記アクセス手段を制御する第2制御手段をさらに備える、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記保守作業の実行によっても前記不具合が解消されないときに警告を行う警告手段をさらに備える、請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記不具合が発生したときに前記記憶手段をリセットするためのリセット信号を当該記憶手段に供給するリセット処理を実行するリセット手段をさらに備え、
前記給電制御手段は、前記リセット処理の実行によっても前記不具合が解消されないときに前記給電制御処理を実行する、請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記リセット処理の実行によって前記不具合が解消されたときに当該リセット処理に係る第3履歴情報を前記記憶手段に記憶するように前記アクセス手段を制御する第3制御手段をさらに備える、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
装置本体から給電を受ける記憶手段を有するとともに当該装置本体に対して着脱可能に設けられるユニット
としてのトナーカートリッジを備え
、画像データに基づく画像を画像記録媒体に形成する画像形成処理を行う画像形成装置におけるユニット管理プログラムであって、
前記画像形成装置のコンピュータに、
前記記憶手段にアクセスするアクセス手順と、
前記アクセス手順による前記記憶手段へのアクセスに不具合が発生したときに当該記憶手段への前記給電を一旦停止した後に再開する給電制御処理を行う給電制御手順と、を実行させ
、
前記給電制御手順を、前記画像形成処理とは独立して前記コンピュータに実行させる、ユニット管理プログラム。
【請求項10】
装置本体から給電を受ける記憶手段を有するとともに当該装置本体に対して着脱可能に設けられるユニット
としてのトナーカートリッジを備え
、画像データに基づく画像を画像記録媒体に形成する画像形成処理を行う画像形成装置におけるユニット管理方法であって、
前記記憶手段にアクセスするアクセスステップと、
前記アクセスステップによる前記記憶手段へのアクセスに不具合が発生したときに当該記憶手段への前記給電を一旦停止した後に再開する給電制御処理を行う給電制御ステップと、を含
み、
前記給電制御処理を、前記画像形成処理とは独立して行う、ユニット管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置におけるユニット管理プログラムおよびユニット管理方法に関し、特に、装置本体から給電を受ける記憶手段を有するとともに当該装置本体に対して着脱可能に設けられるユニットを備える、画像形成装置、画像形成装置におけるユニット管理プログラムおよびユニット管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置として、たとえば特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示された画像形成装置によれば、当該画像形成装置に交換可能に装着されるユニットが設けられる。そして、ユニットが交換されたか否かを検知するデバイスを含む複数のデバイス間で通信が行われる。併せて、これら複数のデバイス間での通信のリトライ回数がカウントされる。このリトライ回数が予め定められた回数に達すると、ユニットの装着不良が発生している旨の報知が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述のようなユニットの装着不良を含め、当該ユニットに不具合が発生したときに、このことを報知するだけでなく、たとえば当該不具合の解消が自動的に図られるのが、望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、ユニットに不具合が発生したときに、とりわけ当該ユニットとしてのトナーカートリッジが有する記憶手段へのアクセスに不具合が発生したときに、この不具合の解消が自動的に図られる、新規な画像形成装置、画像形成装置におけるユニット管理プログラムおよびユニット管理方法を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、画像形成装置に係る第1の発明と、画像形成装置におけるユニット管理プログラムに係る第2の発明と、画像形成装置におけるユニット管理方法に係る第3の発明とを含む。
【0007】
このうちの画像形成装置に係る第1の発明は、アクセス手段と、給電制御手段と、を含む。ここで、画像形成装置は、ユニットとしてのトナーカートリッジを備え、画像データに基づく画像を画像記録媒体に形成する画像形成処理を行う。そして、ユニットは、画像形成装置の本体から給電を受ける記憶手段を有するとともに、当該画像形成装置の本体に対して着脱可能に設けられる。その上で、アクセス手段は、記憶手段にアクセスする。そして、給電制御手段は、アクセス手段による記憶手段へのアクセスに不具合が発生したときに、当該記憶手段への給電を一旦停止した後に再開する給電制御処理を実行する。この給電制御処理は、画像形成処理とは独立して実行される。
【0008】
なお、本第1の発明においては、第1制御手段が、さらに備えられてもよい。この第1制御手段は、給電制御手段による給電制御処理の実行によって前述の不具合が解消されたときに、当該給電制御処理に係る第1履歴情報を記憶手段に記憶するように、アクセス手段を制御する。
【0009】
また、本第1の発明においては、警告手段が、さらに備えられてもよい。この警告手段は、給電制御手段による給電制御処理の実行によっても前述の不具合が解消されないときに、警告を行う。
【0010】
加えて、本第1の発明においては、要請手段が、備えられてもよい。この要請手段は、給電制御手段による給電制御処理の実行によっても前述の不具合が解消されないときに、ユニットの保守作業の実行を要請する。この保守作業には、ユニットを画像形成装置の本体から一旦取り外して当該画像形成装置の本体に装着し直す再装着作業が含まれる。
【0011】
このような要請手段が備えられる場合には、さらに、第2制御手段が、備えられてもよい。この第2制御手段は、要請手段による要請に応じてのユニットの保守作業の実行によって前述の不具合が解消されたときに、当該保守作業に係る第2履歴情報を記憶手段に記憶するように、アクセス手段を制御する。
【0012】
また、要請手段が備えられる場合にも、警告手段が、備えられてもよい。この場合、警告手段は、要請手段による要請に応じてのユニットの保守作業の実行によっても前述の不具合が解消されないときに、警告を行う。
【0013】
本第1の発明においては、リセット手段が、さらに備えられてもよい。このリセット手段は、前述の不具合が発生したときに、記憶手段をリセットするためのリセット信号を当該記憶手段に供給するリセット処理を実行する。この場合、給電制御手段は、リセット手段によるリセット処理の実行によっても前述の不具合が解消されないときに、給電制御処理を実行する。
【0014】
このようなリセット手段が備えられる場合には、さらに、第3制御手段が、備えられてもよい。この第3制御手段は、リセット手段によるリセット処理の実行によって前述の不具合が解消されたときに、当該リセット処理に係る第3履歴情報を記憶手段に記憶するように、アクセス手段を制御する。
【0016】
本発明のうちの第2の発明に係る画像形成装置におけるユニット管理プログラムは、当該画像形成装置のコンピュータに、アクセス手順と、給電制御手順と、を実行させる。ここで、画像形成装置は、ユニットとしてのトナーカートリッジを備え、画像データに基づく画像を画像記録媒体に形成する画像形成処理を行う。そして、ユニットは、画像形成装置の本体から給電を受ける記憶手段を有するとともに、当該画像形成装置の本体に対して着脱可能に設けられる。その上で、アクセス手順では、記憶手段にアクセスする。そして、給電制御手順では、アクセス手順による記憶手段へのアクセスに不具合が発生したときに、当該記憶手段への給電を一旦停止した後に再開する給電制御処理を行う。この給電制御処理は、画像形成処理とは独立して行われる。
【0017】
本発明のうちの第3の発明に係る画像形成装置におけるユニット管理方法は、アクセスステップと、給電制御ステップと、を含む。ここで、画像形成装置は、ユニットとしてのトナーカートリッジを備え、画像データに基づく画像を画像記録媒体に形成する画像形成処理を行う。そして、ユニットは、画像形成装置の本体から給電を受ける記憶手段を有するとともに、当該画像形成装置の本体に対して着脱可能に設けられる。その上で、アクセスステップでは、記憶手段にアクセスする。そして、給電制御ステップでは、アクセスステップによる記憶手段へのアクセスに不具合が発生したときに、当該記憶手段への給電を一旦停止した後に再開する給電制御処理を行う。この給電制御処理は、画像形成処理とは独立して行われる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ユニットとしてのトナーカートリッジが有する記憶手段へのアクセスに不具合が発生したときに、この不具合の解消が自動的に図られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施例に係る複合機の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施例における画像形成部の一部の電気的な構成を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施例における警告画面の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施例における主記憶部のRAM内の構成を概念的に示すメモリマップである。
【
図5】
図5は、第1実施例におけるカートリッジ管理タスクの流れを示すフロー図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施例におけるカートリッジ管理タスクの一部の流れを示すフロー図である。
【
図7】
図7は、本発明の第3実施例における保守作業要請画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第3実施例におけるカートリッジ管理タスクの一部の流れを示すフロー図である。
【
図9】
図9は、本発明の第4実施例におけるカートリッジ管理タスクの一部の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施例]
本発明の第1実施例について、
図1に示される複合機(MultiFunction Peripheral:MFP)10を例に挙げて説明する。
【0021】
本第1実施例に係る複合機10は、コピー機能、プリンタ機能、イメージスキャナ機能、ファクス機能などの複数の機能を有する。このため、複合機10は、画像読取部12と、画像形成部14と、制御部16と、補助記憶部18と、通信部20と、表示部22と、操作部24と、を備える。これらは、互いに共通のバス30を介して接続される。
【0022】
画像読取部12は、画像読取手段の一例である。すなわち、画像読取部12は、不図示の原稿の画像を読み取って、当該原稿の画像に応じた2次元の読取画像データを出力する、画像読取処理を担う。このような画像読取部12は、原稿が載置される不図示の原稿載置台を備える。併せて、画像読取部12は、不図示の光源、複数のミラー、レンズ、ラインセンサなどを含む画像読取ユニットを備える。さらに、画像読取部12は、画像読取ユニットによる画像読取位置を移動させるための不図示の駆動機構を備える。また、画像読取部12は、オプション装置の1つである不図示の自動原稿送り装置(Auto Document Feeder:ADF)を備えることがある。
【0023】
画像形成部14は、画像形成手段の一例である。すなわち、画像形成部14は、画像読取部12から出力される読取画像データなどの適宜の画像データに基づく画像を不図示の用紙などのシート状の画像記録媒体に形成する、画像形成処理を担う。この画像形成処理は、たとえば公知の電子写真方式により行われる。このため、画像形成部14は、不図示の感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置などを備える。併せて、画像形成部14は、ユニットとしてのトナーカートリッジ14aを備える。詳しい図示は省略するが、トナーカートリッジ14aは、複合機10(画像形成部14)の本体に対して着脱可能に設けられる。このトナーカートリッジ14aが着脱される際には、複合機10の筐体の一部を構成する不図示のカバー(ドア)が開閉される。この画像形成部14による画像形成処理により画像が形成された後の画像記録媒体、言わば印刷物は、不図示の排紙トレイに排出される。なお、
図1においては、図示を含む説明の便宜上、トナーカートリッジ14aが1つのみ設けられているが、カラーの画像形成処理の実現のために、たとえばCMYKカラーモデルに従う4色分(4つ)の当該トナーカートリッジ14aが設けられる。また、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置などについても、それぞれ4色分(4つ)設けられる。
【0024】
制御部16は、複合機10の全体的な制御を司る、制御手段の一例である。このため、制御部16は、制御実行手段としてのコンピュータ、たとえばCPU(Central Processing Unit)16a、を有する。併せて、制御部16は、CPU16aが直接的にアクセス可能な主記憶手段としての主記憶部16bを有する。主記憶部16bは、不図示のROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む。このうちのROMには、CPU16aの動作を制御するための制御プログラム(ファームウェア)が記憶される。RAMは、CPU16aが制御プログラムに基づく処理を実行する際の作業領域やバッファ領域などを構成する。
【0025】
補助記憶部18は、補助記憶手段の一例である。すなわち、補助記憶部18には、前述の画像読取部12から出力される読取画像データなどの種々のデータが適宜に記憶される。このような補助記憶部18は、たとえば不図示のハードディスクドライブを含む。また、補助記憶部18は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリを含む場合がある。
【0026】
通信部20は、通信手段の一例である。すなわち、通信部20は、不図示の通信網と接続されることで、当該通信網を介しての双方向通信を担う。この通信部20と通信網との接続は、有線によるものであってもよいし、無線によるものであってもよい。また、ここで言う通信網としては、LAN(Local Area Network)やインターネット、公衆交換電話網などがある。
【0027】
表示部22は、表示手段の一例であり、とりわけ画像表示手段としてのディスプレイ22aを有する。ディスプレイ22aは、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)であるが、これに限らず、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどであってもよい。また、表示部22は、ディスプレイ22aの他に、不図示の発光ダイオード(LED)などの適宜の発光手段を有する。
【0028】
操作部24は、操作受付手段の一例であり、とりわけタッチ操作受付手段としてのタッチパネル24aを有する。タッチパネル24aは、ディスプレイ22aの表示面上に重なるように設けられることで、当該ディスプレイ22aと協働してタッチパネル付きディスプレイを構成する。このようなタッチパネル24aは、たとえば静電容量方式のパネルであるが、これに限らず、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式などの他の方式のパネルであってもよい。また、操作部24は、タッチパネル24a以外に、不図示の押しボタンスイッチなどの適宜のハードウェアスイッチ手段を含む。
【0029】
ところで、トナーカートリッジ14aは、
図2に示されるように、記憶手段としてのCRUM(Customer Replaceable Unit Memory)100を有する。このCRUM100は、プリント基板110に搭載された状態でトナーカートリッジ14aの筐体に取り付けられる。また、プリント基板110には、ドロワコネクタとしての適当なコネクタ(たとえばプラグ)120が搭載される。これに対して、複合機10の本体側にも、プリント基板130が設けられる。このプリント基板130には、トナーカートリッジ14a側のコネクタ120と対を成すコネクタ(たとえばレセプタクル)140が搭載される。すなわち、トナーカートリッジ14aが複合機10の本体に装着されると、双方のコネクタ120および140が互いに嵌合する。これにより、CRUM100は、複合機10の本体側と通信可能となり、詳しくはCPU16aと通信可能となり、つまりは当該CPU16aによりアクセス可能となる。
【0030】
CRUM100と複合機10の本体側(CPU16a)との通信は、たとえば公知のI2C(I-Squared-C)規格に従う。併せて、CRUM100は、複合機10の本体側から給電を受ける。このため、CRUM100は、不図示のシリアルクロック(SCL)端子およびシリアルデータ(SDA)端子を有する。これらのシリアルクロック端子およびシリアルデータ端子は、それぞれコネクタ120および140を介して複合機10の本体側のシリアルクロックライン150およびシリアルデータライン152に接続され、ひいてはバス30を介してCPU16aに接続される。併せて、CRUM100は、不図示の電源端子および接地端子を有する。これらの電源端子および接地端子は、それぞれコネクタ120および140を介して複合機10の本体側の電源ライン154および接地ライン156に接続される。電源ライン154には、接地電位を基準とする所定の電源電圧が供給され、たとえば+3.3Vの直流電圧が供給される。接地ライン156は、接地電位点に接続され、たとえば複合機10の本体のフレームに接続される。
【0031】
さらに、電源ライン154とコネクタ140との間には、スイッチ手段としての適当なスイッチ回路160が設けられる。このスイッチ回路160は、コネクタ140および120を介してCRUM100へ給電を行う第1状態としてのON状態と、当該CRUM100への給電を停止する第2状態としてのOFF状態と、の2つの状態に選択的に切り替わるように設けられる。このスイッチ回路160の切替動作は、CPU16aにより制御される。このスイッチ回路160は、たとえばFET(Field Effect Transistor)を用いた半導体スイッチ回路であるが、これに限らず、リレーを用いた機械式スイッチ回路などであってもよい。
【0032】
加えて、シリアルクロックライン150は、プルアップ抵抗器170を介して電源ライン154に接続され、厳密には当該プルアップ抵抗器170およびスイッチ回路160を介して電源ライン154に接続される。併せて、シリアルデータライン152もまた、別のプルアップ抵抗器172を介して電源ライン154に接続され、厳密には当該プルアップ抵抗器172およびスイッチ回路160を介して電源ライン154に接続される。すなわち、シリアルクロックライン150およびシリアルデータライン152は、スイッチ回路160がON状態にあるときにプルアップされる。そして、スイッチ回路160がOFF状態にあるときには、シリアルクロックライン150およびシリアルデータライン152それぞれのプルアップが無効化される。
【0033】
CRUM100には、トナーカートリッジ14aの型名や製造番号などの当該トナーカートリッジ14aごとの固有の情報であるカートリッジデータが記憶される。このカートリッジデータは、予め記憶され、たとえばトナーカートリッジ14aの製造時に記憶される。併せて、CRUM100には、トナーカートリッジ14aの累積的な使用時間や印刷枚数などの当該トナーカートリッジ14aを管理するための情報である後述するカートリッジ管理データ356が記憶される。このカートリッジ管理データ356は、複合機10の使用(運用)時の適宜のタイミングで自動的に記憶される。
【0034】
ここで、CRUM100と複合機10の本体側(CPU16a)との通信が何らかの原因により正常に行われなくなることがあり、いわゆる通信エラーが発生することがある。言い換えれば、CPU16aによるCRUM100へのアクセスに不具合が発生して、当該CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが正常に行われなくなることがある。本第1実施例では、このような不具合が発生したときに、当該不具合の解消が自動的に試みられる。
【0035】
具体的には、CPU16aによるCRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが或る規定回数にわたって、たとえば3回にわたって、連続して失敗したときに、スイッチ回路160が一旦OFFされた後、当該スイッチ回路160がONされる。すなわち、CRUM100への給電が一旦停止された後、当該CRUM100への給電が再開される。これにより、CRUM100が強制的に再起動されて、CPU16aによる当該CRUM100へのアクセスの不具合が解消されることがある。たとえば、何らかの原因によりCRUM100がビジー状態になり、このビジー状態から当該CRUM100が復帰しないときに、このようなCRUM100の強制的な再起動は極めて有効である。
【0036】
このCRUM100の強制的な再起動によって、CPU16aによる当該CRUM100へのアクセスの不具合が解消されると、改めて当該CPU16aによるCRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが行われる。なお、CRUM100の強制的な再起動のために、当該CRUM100への給電が一旦停止される時間は、当該CRUM100が確実に再起動するのに必要かつ十分な程度の時間であり、たとえば数百ミリ秒間~1秒間程度である。
【0037】
一方、CRUM100の強制的な再起動が行われても、詳しくは当該CRUM100の強制的な再起動が規定回数にわたって、たとえば3回にわたって、行われても、前述の不具合が解消されない場合がある。この場合は、
図3に示されるような警告画面200がディスプレイ22aに表示される。この警告画面200は、たとえば異常が発生したために複合機10の動作を停止させることを表す適当な文字列202を含む。この警告画面200が一定期間にわたって、たとえば数十秒間~数分間程度にわたって、表示された後、複合機10の電源が自動的にOFFされる。なおたとえば、複合機10がコンビニエンスストアに設置される場合には、警告画面200の表示に加えて、サービスマンを呼ぶためのサービスコールが本部の管理サーバ宛に発信されてもよい。また、警告画面200の表示に加えて、もしくは、これに代えて、当該警告画面200によるのと同様の内容の警告が音声により出力されてもよい。
【0038】
図4に、主記憶部16bのRAM内の構成を概念的に表すメモリマップ300を示す。
【0039】
このメモリマップ300に示されるように、RAMは、プログラム記憶領域310およびデータ記憶領域350を有する。このうちのプログラム記憶領域310には、前述の制御プログラムが記憶される。具体的には、制御プログラムは、表示制御プログラム312、操作検出プログラム314、画像読取プログラム316、画像形成プログラム318、通信制御プログラム320、カートリッジ管理プログラム322などを含む。
【0040】
表示制御プログラム312は、ディスプレイ22aに前述の警告画面200や不図示の操作用画面などの各種の画面を表示させるのに必要な表示画面データを生成するためのプログラムである。操作検出プログラム314は、タッチパネル24aへの操作状態を検出するためのプログラムである。画像読取プログラム316は、画像読取部12を制御するためのプログラムである。画像形成プログラム318は、画像形成部14を制御するためのプログラムである。通信制御プログラム320は、通信部20を制御するためのプログラムである。そして、カートリッジ管理プログラム322は、CPU16aに後述するカートリッジ管理タスクを実行させるためのプログラムである。
【0041】
一方、データ記憶領域350には、各種のデータが記憶される。この各種のデータとしては、表示画像生成データ352、操作データ354、カートリッジ管理データ356などがある。
【0042】
表示画像生成データ352は、前述の表示制御プログラム312に基づく表示画面データの生成に用いられるポリゴンデータやテクスチャデータなどのデータである。操作データ354は、タッチパネル24aに対する操作状態を表すデータであり、詳しくは当該タッチパネル24aに対するユーザのタッチ位置(座標)を表す時系列のデータである。そして、カートリッジ管理データ356は、前述の如くトナーカートリッジ14aの累積的な使用時間や印刷枚数などの当該トナーカートリッジ14aを管理するためのデータである。
【0043】
前述したように、本第1実施例によれば、CPU16aによるCRUM100へのアクセスに不具合が発生したときに、当該不具合の解消が自動的に試みられるが、これを実現するために、CPU16aは、カートリッジ管理プログラム322に従ってカートリッジ管理タスクを実行する。このカートリッジ管理タスクの流れを、
図5に示す。なお、CPU16aは、CRUM100へアクセスしようとするときに、詳しくは当該CRUM100にカートリッジ管理データ356を書き込もうとするときに、このカートリッジ管理タスクを実行する。
【0044】
このカートリッジ管理タスクによれば、CPU16aは、まず、ステップS1において、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みを試みる。そして、CPU16aは、ステップS3へ処理を進める。
【0045】
ステップS3において、CPU16aは、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが失敗したかどうかを判定する。ここでたとえば、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが成功した場合(S3:NO)、CPU16aは、そのままこのカートリッジ管理タスクを終了する。一方、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが失敗した場合(S3:YES)、CPU16aは、処理をステップS5へ進める。
【0046】
ステップS5において、CPU16aは、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが規定回数にわたって、たとえば前述の如く3回にわたって、連続して失敗したかどうかを判定する。ここでたとえば、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みがまだ規定回数にわたって失敗していない場合は(S5:NO)、CPU16aは、処理をステップS1へ戻す。一方、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが規定回数にわたって失敗した場合は(S5:YES)、CPU16aは、処理をステップS7へ進める。
【0047】
ステップS7において、CPU16aは、スイッチ回路160を一旦OFFした後、当該スイッチ回路160をONし、つまりCRUM100への給電を一旦停止した後、当該給電を再開する。これにより、CRUM100が強制的に再起動される。このステップS7の実行後、CPU16aは、処理をステップS9へ進める。
【0048】
ステップS9において、CPU16aは、改めてCRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みを試みる。そして、CPU16aは、処理をステップS11へ進める。
【0049】
ステップS11において、CPU16aは、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが失敗したかどうかを改めて判定する。ここでたとえば、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが成功した場合(S11:NO)、CPU16aは、カートリッジ管理タスクを終了する。一方、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが失敗した場合(S11:YES)、CPU16aは、処理をステップS13へ進める。
【0050】
ステップS13において、CPU16aは、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが規定回数にわたって、たとえば前述の如く3回にわたって、連続して失敗したかどうかを判定する。ここでたとえば、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みがまだ規定回数にわたって連続して失敗していない場合は(S13:NO)、CPU16aは、処理をステップS7へ戻す。一方、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが規定回数にわたって連続して失敗した場合は(S13:YES)、CPU16aは、処理をステップS15へ進める。
【0051】
ステップS15において、CPU16aは、警告を出力し、つまり前述の警告画面200を一定期間にわたってディスプレイ22aに表示する。また前述したように、警告画面200の表示に加えて、もしくは、これに代えて、CPU16aは、当該警告画面200によるのと同様の内容の警告を音声により出力してもよい。そして、CPU16aは、処理をステップS17へ進める。
【0052】
ステップS17において、CPU16aは、複合機10の動作を停止させ、厳密にはそのための処理を行う。このステップS17の実行をもって、CPU16aは、カートリッジ管理タスクを終了する。
【0053】
このように本第1実施例によれば、CPU16aによるCRUM100へのアクセスに不具合が発生したときに、当該不具合の解消が自動的に試みられ、詳しくは当該CRUM100が強制的に再起動される。これにより特に、CRUM100が何らかの原因によりビジー状態になることによる不具合が解消される。
【0054】
なお、本第1実施例において、CRUM100へアクセスするCPU16aは、本発明に係るアクセス手段の一例である。また、CPU16aがカートリッジ管理タスクにおけるステップS7を実行することで、CRUM100への給電が一旦停止された後、当該給電が再開されるが、このステップS7の処理は、本発明に係る給電制御処理の一例である。そして、ステップS7を実行するCPU16aは、本発明に係る給電制御手段の一例である。さらに、CPU16aがステップS15を実行することで、ディスプレイ22aに警告画面200が表示されるが、当該ステップS15を実行するCPU16aは、ディスプレイ22aと協働して、本発明に係る警告手段の一例を構成する。
【0055】
加えて前述したように、カートリッジ管理タスクは、カートリッジ管理プログラム322に従って実行され、つまり画像読取プログラム316や画像形成プログラム318に従う不図示のタスクとは別個に(独立して)実行される。このようないわゆるマルチタスクによる実行により、印刷ジョブなどの他のジョブの効率を落とすことなく、カートリッジ管理タスクが実行され、つまりCRUM100の強制的な再起動を伴うリトライが実行される。
【0056】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について、
図6をさらに参照して説明する。
【0057】
本第2実施例においては、前述のCRUM100の強制的な再起動が行われることにより、CPU16aによる当該CRUM100へのアクセスの不具合が解消された場合に、当該CRUM100の強制的な再起動を伴うリトライに係る履歴データがCRUM100に記憶される。この履歴データには、たとえばCRUM100の強制的な再起動を伴うリトライの総実行回数を表すデータが含まれる。また、直近N(N:1以上の整数)回分の当該リトライの実行日時を表すデータも、ここで言う履歴データに含まれる。さらに、直近M(M:1以上の整数)回分の不具合事由、詳しくは当該不具合が発生したビットの位置、を表すデータもまた、ここで言う履歴データに含まれる。
【0058】
このような第2実施例においては、前述(
図5)のカートリッジ管理タスクの一部として、さらに
図6に示されるステップS31が加わる。このステップS31は、ステップS11において、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが成功した場合に(S11:NO)、実行される。
【0059】
すなわち、ステップS31において、CPU16aは、CRUM100の強制的な再起動を伴うリトライに係る前述の履歴データをCRUM100へ書き込む。この履歴データには、前述の如く当該リトライの総実行回数を表すデータが含まれる。また、直近N回分の当該リトライの実施日時を表すデータや、直近M回分の不具合自由を表すデータなども、ここで言う履歴データに含まれる。このステップS31の実行をもって、CPU16aは、カートリッジ管理タスクを終了する。
【0060】
このように本第2実施例によれば、CRUM100の強制的な再起動が行われることにより、CPU16aによる当該CRUM100へのアクセスの不具合が解消された場合に、当該CRUM100の強制的な再起動を伴うリトライに係る履歴データがCRUM100に記憶される。このような履歴データは、不具合の解析や原因の究明に供される。
【0061】
なお、ステップS31において、CRUM100に記憶される履歴データは、本発明に係る第1履歴情報の一例である。そして、ステップS31を実行するCPU16aは、本発明に係る第1制御手段の一例である。そして、このステップS31において、CRUM100に記憶される履歴データは、本発明に係る第1履歴情報の一例である。
【0062】
[第3実施例]
次に、本発明の第3実施例について、
図7および
図8をさらに参照して説明する。
【0063】
本第3実施例においては、前述のCRUM100の強制的な再起動が規定回数にわたって行われても、CPU16aによる当該CRUM100へのアクセスの不具合が解消されない場合に、ユーザに対してトナーカートリッジ14aの保守作業の実行が要請される。具体的には、
図7に示されるような保守作業要請画面400がディスプレイ22aに表示される。
【0064】
この保守作業要請画面400は、トナーカートリッジ14aに異常が発生したことを表す適当な文字列402を含む。併せて、保守作業要請画面400は、これから表示される不図示の画面による案内に従ってトナーカートリッジ14aを取り外すとともに、当該トナーカートリッジ14aの不図示の端子部を清掃するよう要請する内容を表す適当な文字列404を含む。
【0065】
この保守作業要請画面400の表示を受けて、ユーザによりトナーカートリッジ14aが複合機10の本体から取り外されるとともに、当該トナーカートリッジ14aの不図示の端子部が清掃される。その後、トナーカートリッジ14aが改めて複合機10の本体に装着される。このトナーカートリッジ14aの着脱に際して、前述の如く複合機10のカバーが開閉される。また、トナーカートリッジ14aが着脱されることにより、CRUM100が再起動されることになる。
【0066】
このような保守作業が実行されることにより、CPU16aによるCRUM100へのアクセスの不具合が解消されることがある。たとえば、トナーカートリッジ14aが複合機10の本体に正しく装着されていなかったり、あるいは、当該トナーカートリッジ14aの端子部が汚れていたりする場合に、このような保守作業の実行は極めて有効である。
【0067】
この保守作業の実行によって、CPU16aによるCRUM100へのアクセスの不具合が解消されると、改めて当該CPU16aによるCRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが行われる。併せて、保守作業の実行に係る履歴データがCRUM100に記憶される。この履歴データには、たとえば保守作業要請画面400が表示された総回数を表すデータが含まれる。また、直近P(P:1以上の整数)回分の保守作業要請画面400の表示日時を表すデータも、ここで言う履歴データに含まれる。さらに、直近Q(Q:1以上の整数)回分の不具合事由、詳しくは当該不具合が発生したビットの位置、を表すデータもまた、ここで言う履歴データに含まれる。
【0068】
一方、保守作業が実行されても、前述の不具合が解消されない場合がある。この場合は、詳しくは保守作業の実行後に、CPU16aによるCRUM100へのアクセスが規定回数にわたって、たとえば3回にわたって、行われても、当該アクセスが成功しない場合は、前述(
図3)の警告画面200がディスプレイ22aに表示される。この警告画面200が一定期間にわたって、たとえば数十秒間~数分間程度にわたって、表示された後、複合機10の電源が自動的にOFFされる。なお前述したように、たとえば複合機10がコンビニエンスストアに設置される場合には、警告画面200の表示に加えて、サービスマンを呼ぶためのサービスコールが本部の管理サーバ宛に発信されてもよい。また、警告画面200の表示に加えて、もしくは、これに代えて、当該警告画面200によるのと同様の内容の警告が音声により出力されてもよい。
【0069】
このような第3実施例においては、前述(
図5)のカートリッジ管理タスクの一部として、さらに
図8に示されるステップS51~ステップS61が加わる。具体的には、ステップS13において、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが規定回数(たとえば3回)にわたって連続して失敗した場合に(S13:YES)、ステップS51が実行される。
【0070】
すなわち、ステップS51において、CPU16aは、
図7に示される保守作業要請画面400をディスプレイ22aに表示することで、ユーザに保守作業の実行を要請する。この保守作業要請画面400は、たとえば複合機10のカバーが開かれるまで表示される。そして、複合機10のカバーが開かれた後は、当該カバーが閉じられるまで、保守作業の要領を説明するための不図示の案内画面が適宜に表示される。このステップS51の実行後、CPU16aは、処理をステップS53へ進める。
【0071】
ステップS53において、CPU16aは、複合機10の前述のカバーが開閉されるのを、厳密には当該カバーが閉じられるのを、待つ(S53:NO)。そして、複合機10のカバーが閉じられると(S53:YES)、CPU16aは、処理をステップS55へ進める。
【0072】
ステップS55において、CPU16aは、改めてCRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みを試みる。そして、CPU16aは、処理をステップS57へ進める。
【0073】
ステップS57において、CPU16aは、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが失敗したかどうかを改めて判定する。ここでたとえば、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが失敗した場合(S57:YES)、CPU16aは、処理をステップS59へ進める。一方、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが成功した場合は(S57:NO)、CPU16aは、処理を後述するステップS61へ進める。
【0074】
ステップS61において、CPU16aは、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが規定回数にわたって、たとえば3回にわたって、連続して失敗したかどうかを判定する。ここでたとえば、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みがまだ規定回数にわたって連続して失敗していない場合は(S59:NO)、CPU16aは、処理をステップS55へ戻す。一方、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが規定回数にわたって連続して失敗した場合は(S59:YES)、CPU16aは、処理を前述(
図5)のステップS15へ進める。
【0075】
また、ステップS57からステップS61へ処理を進めた場合、CPU16aは、当該ステップS61において、前述の保守作業に係る履歴データをCRUM100へ書き込む。この履歴データには、前述の如くたとえば保守作業要請画面400が表示された総回数を表すデータが含まれる。また、直近P回分の保守作業要請画面400の表示日時を表すデータや、直近Q回分の不具合事由を表すデータなども、ここで言う履歴データに含まれる。このステップS61の実行をもって、CPU16aは、カートリッジ管理タスクを終了する。
【0076】
このように本第3実施例によれば、CRUM100の強制的な再起動が規定回数にわたって行われても、CPU16aによる当該CRUM100へのアクセスの不具合が解消されない場合に、ユーザに対してトナーカートリッジ14aの保守作業の実行が要請される。この要請に応じてトナーカートリッジ14aの保守作業が実行されることで、CPU16aによるCRUM100へのアクセスの不具合が解消されることがある。特に、トナーカートリッジ14aが複合機10の本体に正しく装着されていなかったり、あるいは、当該トナーカートリッジ14aの端子部が汚れていたりすることによる不具合が解消される。また、不具合が解消された場合は、保守作業の実行に係る履歴データがCRUM100に記憶される。この履歴データは、不具合の解析や原因の究明に供される。
【0077】
なお、本第3実施例において、CPU16aがステップS51を実行することにより、保守作業要請画面400がディスプレイ22aに表示されるが、当該ステップS51を実行するCPU16aは、本発明に係る要請手段の一例である。また、保守作業要請画面400の表示に加えて、もしくは、これに代えて、当該保守作業要請画面400により示されるのと同様の内容の音声が出力されてもよい。
【0078】
そして、ステップS61において、CRUM100に記憶される履歴データは、本発明に係る第2履歴情報の一例である。併せて、ステップS61を実行するCPU16aは、本発明に係る第2制御手段の一例である。
【0079】
本第3実施例においては、第2実施例(
図6)におけるのと同様のステップS31が設けられてもよい。すなわち、前述のCRUM100の強制的な再起動が行われることにより、CPU16aによる当該CRUM100へのアクセスの不具合が解消された場合に、当該CRUM100の強制的な再起動を伴うリトライに係る履歴データがCRUM100に記憶されてもよい。
【0080】
また、本第3実施例においては、ステップS61が設けられなくてもよい。すなわち、保守作業の実行によって不具合が解消された場合は、当該保守作業の実行に係る履歴データのCRUM100への記憶は行われなくてもよい。
【0081】
[第4実施例]
次に、本発明の第4実施例について、
図9をさらに参照して説明する。
【0082】
本第4実施例においては、CPU16aによるCRUM100へのアクセスに不具合が発生した場合に、当該CRUM100の強制的な再起動が行われる前に、当該CRUM100をリセットするためのリセット信号(リセットコマンド)が当該CRUM100へ供給される。この言わばリセット処理の実行によりCRUM100が復帰し、つまりCPU16aによる当該CRUM100へのアクセスの不具合が解消されることがある。たとえば、CRUM100の動作が不安定である場合に、換言すれば当該CRUM100にこれを強制的に再起動させる必要がない程度の動作不良が生じている場合に、このようなリセット処理という簡易的な処理の実行は、極めて有効である。
【0083】
このリセット処理の実行によって、CPU16aによるCRUM100へのアクセスの不具合が解消されると、改めて当該CPU16aによるCRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが行われる。併せて、リセット処理を伴うリトライに係る履歴データがCRUM100に記憶される。この履歴データには、たとえばリセット処理を伴うリトライの総実行回数を表すデータが含まれる。また、直近R(R:1以上の整数)回分の当該リトライの実行日時を表すデータも、ここで言う履歴データに含まれる。さらに、直近S(S:1以上の整数)回分の不具合事由、詳しくは当該不具合が発生したビットの位置、を表すデータもまた、ここで言う履歴データに含まれる。
【0084】
一方、リセット処理の実行によっても、詳しくは当該リセット処理が規定回数にわたって、たとえば3回にわたって、実行されても、前述の不具合が解消されない場合がある。CRUM100がビジー状態にある場合などが、これに当たる。この場合は、前述の如くCRUM100への給電が一旦停止された後、当該給電が再開されることによる、当該CRUM100の強制的な再起動が行われる。
【0085】
このような第4実施例においては、前述(
図5)のカートリッジ管理タスクの一部として、さらに
図9に示されるステップS71~ステップS79が加わる。具体的には、ステップS5において、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが規定回数(たとえば3回)にわたって連続して失敗した場合に(S5:YES)、ステップS71が実行される。
【0086】
すなわち、ステップS71において、CPU16aは、リセット信号をCRUM100へ送信する。このステップS71の実行後、CPU16aは、処理をステップS73へ進める。
【0087】
ステップS73において、CPU16aは、改めてCRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みを試みる。そして、CPU16aは、処理をステップS75へ進める。
【0088】
ステップS75において、CPU16aは、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが失敗したかどうかを改めて判定する。ここでたとえば、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが失敗した場合(S75:YES)、CPU16aは、処理をステップS77へ進める。一方、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが成功した場合は(S75:NO)、CPU16aは、処理を後述するステップS79へ進める。
【0089】
ステップS77において、CPU16aは、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが規定回数にわたって、たとえば3回にわたって、連続して失敗したかどうかを判定する。ここでたとえば、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みがまだ規定回数にわたって連続して失敗していない場合は(S77:NO)、CPU16aは、処理をステップS71へ戻す。一方、CRUM100へのカートリッジ管理データ356の書込みが規定回数にわたって連続して失敗した場合は(S77:YES)、CPU16aは、処理を前述(
図5)のステップS7へ進める。
【0090】
また、ステップS75からステップS79へ処理を進めた場合、CPU16aは、当該ステップS79において、前述のリセット処理を伴うリトライに係る履歴データをCRUM100へ書き込む。この履歴データには、前述の如くたとえばリセット処理を伴うリトライの総実行回数を表すデータが含まれる。また、直近R回分の当該リトライの実行日時を表すデータや、直近S回分の不具合事由を表すデータなども、ここで言う履歴データに含まれる。このステップS79の実行をもって、CPU16aは、カートリッジ管理タスクを終了する。
【0091】
このように本第4実施例によれば、CPU16aによるCRUM100へのアクセスに不具合が発生した場合に、当該CRUM100の強制的な再起動が行われる前に、当該CRUM100をリセットするためのリセット処理が行われる。このリセット処理の実行によりCRUM100が復帰し、つまりCPU16aによる当該CRUM100へのアクセスの不具合が解消されることがある。たとえば、CRUM100を強制的に再起動させる必要がない程度の動作不良が当該CRUM100に生じている場合に、このようなリセット処理の実行は極めて有効である。また、このリセット処理の実行により不具合が解消された場合は、当該リセット処理を伴うリトライに係る履歴データがCRUM100に記憶される。この履歴データは、不具合の解析や原因の究明に供される。
【0092】
なお、本第4実施例において、CPU16aがステップS71を実行することにより、リセット処理が行われるが、このようなステップS71を実行するCPU16aは、本発明に係るリセット手段の一例である。また、ステップS79において、CRUM100に記憶される履歴データは、本発明に係る第3履歴情報の一例である。そして、ステップS79を実行するCPU16aは、本発明に係る第3制御手段の一例である。
【0093】
本第4実施例においても、第2実施例(
図6)におけるのと同様のステップS31が設けられてもよい。また、第3実施例(
図8)におけるのと同様のステップS51~ステップS61が設けられてもよい。
【0094】
さらに、本第4実施例においては、ステップS79が設けられなくてもよい。すなわち、リセット処理の実行によって不具合が解消された場合は、当該リセット処理を伴うリトライに係る履歴データのCRUM100への記憶は行われなくてもよい。
【0095】
[その他の適用例]
以上の各実施例は、本発明の具体例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。これら各実施例以外の局面にも、本発明を適用することができる。
【0096】
たとえば、CRUM100と複合機10の本体側(CPU16a)との通信は、前述のI2C規格に限らず、公知のSPI(Serial Peripheral Interface)規格やJTAG(Joint Test Action Group)などの他のシリアル通信規格に従ってもよい。また、シリアル通信規格ではなく、パラレル通信規格に従って、当該通信が行われてもよい。
【0097】
そして、記憶手段としてのCRUM100を例示したが、これに限らない。また、ユニットとしてトナーカートリッジ14aを例示したが、これに限らない。すなわち、CRUM100以外の記憶手段を採用する構成や、トナーカートリッジ14a以外のユニットを採用する構成にも、本発明を適用することができる。
【0098】
さらに、前述の各実施例では、複合機10を例に挙げて説明したが、これに限らない。すなわち、コピー機やプリンタなどの複合機10以外の画像形成装置にも、本発明を適用することができる。
【0099】
加えて極端には、CPU16aによるCRUM100へのアクセスに不具合が発生したときに、当該CRUM100への給電を一旦停止した後、当該給電を再開させるのではなく、最初からユーザに対してトナーカートリッジ14aの保守作業を要請するよう構成されてもよい。すなわち、
図5に示されるカートリッジ管理タスクにおけるステップS7~ステップS13に代えて、
図8に示されるステップS51~ステップS61が実行されてもよい。
【0100】
そして、本発明は、複合機10という画像形成装置に限らず、当該画像形成装置におけるトナーカートリッジ14aなどのユニットの管理プログラムや管理方法にも、適用することができる。
【符号の説明】
【0101】
10 … 複合機
14 … 画像形成部
14a … トナーカートリッジ
16 … 制御部
16a … CPU
22 … ディスプレイ
100 … CRUM
160 … スイッチ回路
200 … 警告画面
400 … 保守作業要請画面
ネットワークシステム
20 … 複合機
30 … PC
204 … 画像形成部
206 … 通信部
208 … 制御部
208a … CPU
208b … 主記憶部