(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】光走査装置及び複合機
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20230524BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20230524BHJP
B41J 2/47 20060101ALI20230524BHJP
H04N 1/113 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
G02B26/10 A
G02B26/10 B
G03G15/04 111
B41J2/47 101M
H04N1/113
(21)【出願番号】P 2019109932
(22)【出願日】2019-06-12
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【氏名又は名称】山内 博明
(72)【発明者】
【氏名】松本 和剛
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-017722(JP,A)
【文献】特開2011-075648(JP,A)
【文献】特開2004-034487(JP,A)
【文献】特開2007-045075(JP,A)
【文献】特開2011-257572(JP,A)
【文献】米国特許第05321434(US,A)
【文献】特開2012-113233(JP,A)
【文献】特開平11-115240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10,26/12
B41J 2/47
H04N 1/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する第1の発光素子と、
光を出射する第2の発光素子と、
前記第1の発光素子から出射された光を像担持体を走査する第1の走査光に変換し、前記第2の発光素子から出射された光を前記像担持体を走査する第2の走査光に変換する光偏向手段と、
前記第1の走査光が前記像担持体を走査する期間及び
前記第2の走査光が前記像担持体を走査する期間の何れとも異なる期間において、前記第1の走査光及び前記第2の走査光を受光できる第1の受光素子と、
前記第1の走査光が前記像担持体を走査する期間及び
前記第2の走査光が前記像担持体を走査する期間の何れとも異なる期間において、前記第1の走査光及び前記第2の走査光を受光できる第2の受光素子と、
前記第1の走査光が前記第1の受光素子を走査するときに前記第1の発光素子を発光させ、前記第1の走査光が前記第2の受光素子を走査するときに前記第1の発光素子を消灯させる第1発光素子発光タイミング調整手段と、
前記第2の走査光が前記第1の受光素子を走査するときに前記第2の発光素子を消灯させ、前記第2の走査光が前記第2の受光素子を走査するときに前記第2の発光素子を発光させる第2発光素子発光タイミング調整手段と、
を備え
た光走査装置であって、
前記第2発光素子発光タイミング調整手段は、前記第1の受光素子が前記第1の走査光を検出した時刻に基づき前記第2の発光素子の発光と消灯を制御する場合と、前記第2の受光素子が前記第2の走査光を検出した時刻に基づき前記第2の発光素子の発光と消灯を制御する場合とを有しており、前記光走査装置が初期状態から定常状態まで移行するときは、前記第1の受光素子が前記第1の走査光を検出した時刻に基づいて前記第2の発光素子の発光と消灯を制御することを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光走査装置であって、
前記第1の走査光が前記第1の受光素子を走査する期間と、前記第2の走査光が前記第2の受光素子を走査する期間とが異なるように構成されていることを特徴とする光走査装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光走査装置であって、
前記第1発光素子発光タイミング調整手段は、前記第1の受光素子が前記第1の走査光を検出した時刻に基づいて前記第1の発光素子の発光と消灯を制御することを特徴とする光走査装置。
【請求項4】
光を出射する第1の発光素子と、
光を出射する第2の発光素子と、
前記第1の発光素子から出射された光を像担持体を走査する第1の走査光に変換し、前記第2の発光素子から出射された光を前記像担持体を走査する第2の走査光に変換する光偏向手段と、
前記第1の走査光が前記像担持体を走査する期間及び前記第2の走査光が前記像担持体を走査する期間の何れとも異なる期間において、前記第1の走査光及び前記第2の走査光を受光できる第1の受光素子と、
前記第1の走査光が前記像担持体を走査する期間及び前記第2の走査光が前記像担持体を走査する期間の何れとも異なる期間において、前記第1の走査光及び前記第2の走査光を受光できる第2の受光素子と、
前記第1の走査光が前記第1の受光素子を走査するときに前記第1の発光素子を発光させ、前記第1の走査光が前記第2の受光素子を走査するときに前記第1の発光素子を消灯させる第1発光素子発光タイミング調整手段と、
前記第2の走査光が前記第1の受光素子を走査するときに前記第2の発光素子を消灯させ、前記第2の走査光が前記第2の受光素子を走査するときに前記第2の発光素子を発光させる第2発光素子発光タイミング調整手段と、
を備えた光走査装置であって、
前記第2発光素子発光タイミング調整手段は、前記第1の受光素子が前記第1の走査光を検出した時刻及び前記第2の受光素子が前記第2の走査光を検出した時刻の何れか一方に基づいて前記第2の発光素子の発光と消灯を制御することを特徴とする光走査装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の光走査装置であって、
前記第2発光素子発光タイミング調整手段は、少なくとも当該光走査装置が定常状態にないときには、前記第1の受光素子が前記第1の走査光を検出した時刻に基づいて前記第2の発光素子の発光と消灯を制御することを特徴とする光走査装置。
【請求項6】
光を出射する第1の発光素子と、
光を出射する第2の発光素子と、
前記第1の発光素子から出射された光を像担持体を走査する第1の走査光に変換し、前記第2の発光素子から出射された光を前記像担持体を走査する第2の走査光に変換する光偏向手段と、
前記第1の走査光が前記像担持体を走査する期間及び前記第2の走査光が前記像担持体を走査する期間の何れとも異なる期間において、前記第1の走査光及び前記第2の走査光を受光できる第1の受光素子と、
前記第1の走査光が前記像担持体を走査する期間及び前記第2の走査光が前記像担持体を走査する期間の何れとも異なる期間において、前記第1の走査光及び前記第2の走査光を受光できる第2の受光素子と、
前記第1の走査光が前記第1の受光素子を走査するときに前記第1の発光素子を発光させ、前記第1の走査光が前記第2の受光素子を走査するときに前記第1の発光素子を消灯させる第1発光素子発光タイミング調整手段と、
前記第2の走査光が前記第1の受光素子を走査するときに前記第2の発光素子を消灯させ、前記第2の走査光が前記第2の受光素子を走査するときに前記第2の発光素子を発光させる第2発光素子発光タイミング調整手段と、
を備えた光走査装置であって、
前記第1の走査光が前記第1の受光素子を走査する期間において前記第1の発光素子から出射する光を受光する第3の受光素子と、
前記第1の走査光が前記第1の受光素子を走査する期間において前記第1の
発光素子から前記第3の受光素子が受光した光の強度に基づいて、前記第1の発光素子が出射する光の強度を調整する第1発光素子発光強度調整手段を更に備えることを特徴とする光走査装置。
【請求項7】
光を出射する第1の発光素子と、
光を出射する第2の発光素子と、
前記第1の発光素子から出射された光を像担持体を走査する第1の走査光に変換し、前記第2の発光素子から出射された光を前記像担持体を走査する第2の走査光に変換する光偏向手段と、
前記第1の走査光が前記像担持体を走査する期間及び前記第2の走査光が前記像担持体を走査する期間の何れとも異なる期間において、前記第1の走査光及び前記第2の走査光を受光できる第1の受光素子と、
前記第1の走査光が前記像担持体を走査する期間及び前記第2の走査光が前記像担持体を走査する期間の何れとも異なる期間において、前記第1の走査光及び前記第2の走査光を受光できる第2の受光素子と、
前記第1の走査光が前記第1の受光素子を走査するときに前記第1の発光素子を発光させ、前記第1の走査光が前記第2の受光素子を走査するときに前記第1の発光素子を消灯させる第1発光素子発光タイミング調整手段と、
前記第2の走査光が前記第1の受光素子を走査するときに前記第2の発光素子を消灯させ、前記第2の走査光が前記第2の受光素子を走査するときに前記第2の発光素子を発光させる第2発光素子発光タイミング調整手段と、
を備えた光走査装置であって、
前記第2発光素子発光タイミング調整手段は、更に、前記第2の走査光が前記像担持体を走査する期間、前記第1の走査光が前記第1の受光素子を走査する期間、及び、前記第2の走査光が前記第2の受光素子を走査する期間の何れとも異なる追加期間において、前記第2の発光素子を発光させ、
前記光走査装置は、
前記追加期間において前記第2の発光素子から出射する光を受光する第4の受光素子と、
前記追加期間において前記第2の発光素子から前記第4
の受光素子が受光した光の強度に基づいて、前記第2の発光素子が出射する光の強度を調整する第2発光素子発光強度調整手段を更に備えることを特徴とする光走査装置。
【請求項8】
請求項1乃至
7の何れか1項に記載の光走査装置であって、
前記第1の受光素子が前記第1の走査光を受光した時刻に基づいて、前記第1の走査光を第1の画像信号により変調する期間を調整する第1変調期間調整手段と、
前記第2の受光素子が前記第2の走査光を受光した時刻に基づいて、前記第2の走査光を第2の画像信号により変調する期間を調整する第2変調期間調整手段と、
を更に備えることを特徴とする光走査装置。
【請求項9】
請求項
8に記載の光走査装置であって、
前記第1変調期間調整手段は、前記第1の受光素子が前記第1の走査光を受光した時刻から前記第1の走査光を前記第1の画像信号により変調する期間の開始時刻までの期間を第1テストパターンを利用して調整することを特徴とする光走査装置。
【請求項10】
請求項
9に記載の光走査装置であって、
前記第1テストパターンとは、前記第1の受光素子が前記第1の走査光を受光した時刻から前記第1の走査光を前記第1の画像信号により変調する期間の開始時刻までの期間に応じて前記第1テストパターンの主走査方向の位置が変化すると、所定の主走査方向位置における副走査方向に沿った前記第1テストパターンの2点間距離が変化するものであることを特徴とする光走査装置。
【請求項11】
請求項
8乃至
10の何れか1項に記載の光走査装置であって、
前記第2変調期間調整手段は、前記第2の受光素子が前記第2の走査光を受光した時刻から前記第2の走査光を前記第2の画像信号により変調する期間の開始時刻までの期間を第2テストパターンを利用して調整することを特徴とする光走査装置。
【請求項12】
請求項
11に記載の光走査装置であって、
前記第2テストパターンとは、前記第2の受光素子が前記第2の走査光を受光した時刻から前記第2の走査光を前記第2の画像信号により変調する期間の開始時刻までの期間に応じて前記第2テストパターンの主走査方向の位置が変化すると、所定の主走査方向位置における副走査方向に沿った前記第2テストパターンの2点間距離が変化するものであることを特徴とする光走査装置。
【請求項13】
請求項
8に記載の光走査装置であって、
前記第1変調期間調整手段は、前記第1の受光素子が前記第1の走査光を受光した時刻から前記第1の走査光を前記第1の画像信号により変調する期間の開始時刻までの期間を第1テストパターン及び第2テストパターンを利用して調整し、
前記第2変調期間調整手段は、前記第2の受光素子が前記第2の走査光を受光した時刻から前記第2の走査光を前記第2の画像信号により変調する期間の開始時刻までの期間を第1テストパターン及び第2テストパターンを利用して調整することを特徴とする光走査装置。
【請求項14】
請求項
13に記載の光走査装置であって、
前記第1テストパターンとは、前記第1の受光素子が前記第1の走査光を受光した時刻から前記第1の走査光を前記第1の画像信号により変調する期間の開始時刻までの期間に応じて前記第1テストパターンの主走査方向の位置が変化すると、所定の主走査方向位置における副走査方向に沿った前記第1テストパターンの2点間距離が変化するものであり、
前記第2テストパターンとは、前記第2の受光素子が前記第2の走査光を受光した時刻から前記第2の走査光を前記第2の画像信号により変調する期間の開始時刻までの期間に応じて前記第2テストパターンの主走査方向の位置が変化すると、所定の主走査方向位置における副走査方向に沿った前記第2テストパターンの2点間距離が変化するものであることを特徴とする光走査装置。
【請求項15】
請求項1乃至
14の何れか1項に記載の光走査装置を備えることを特徴とする複合機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置及びこれを備える複合機に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿読み取り機能、原稿複写機能、原稿印刷機能、原稿データ送受信機能、原稿データ入出力機能などを含む複合機の多くは、電子写真式の画像形成装置を備えている。
【0003】
電子写真式の画像形成装置においては、画像信号により変調されたレーザ光により像担持体である感光体ドラムに潜像を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-23988号公報
【文献】特開2015-222295号公報
【文献】特開2005-331657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、印刷画像の解像度を上げるために複数のレーザ光源を用いる画像形成装置がある。複数のレーザ光源を含んだレーザ発光モジュール(以下、単に「モジュール」ということもある。)が市販されているが、1つのモジュールの価格は、1つのモジュールに含まれるレーザ発光源の数に比例せず、1つのモジュールに含まれるレーザ発光源に依存して指数関数的に高くなる。そこで、複数のモジュールを用いて、コストを下げる構成が考えられる。例えば、8つのレーザ光源が必要である場合、8つのレーザ光源を含んだ1つのモジュールを用いるよりも、4つのレーザ光源を含んだ2つのモジュールを用いた方がコストを下げることができる。
【0006】
1又は複数の発光素子を有するモジュールを例えば2組用いた光走査装置がある。このような光走査装置においては、例えば42.3μmの副走査方向のレーザビームピッチを得るためにこれらの2つのモジュールを副走査方向にずらして配置するが、主走査方向には、例えば、100μmずらして配置する。従って、第1のモジュールの発光素子が発光した光がBDセンサを走査するBDタイミングと第2のモジュールの発光素子が同一のBDセンサを走査するBDタイミングは非常に近接する。従って、BDセンサから出力される光検出信号の波形は両方のBDタイミングについての波形が僅かにずれながらも重なったものとなってしまうため、BDセンサから出力される光検出信号の波形に基づいて、それぞれのBDタイミングを分離して求めることが困難である。
【0007】
特許文献1乃至3に開示されている発明では、1つのBDセンサに時系列にビームを入射させ、各ビームの検出信号を分離することによって、個別に書き出しのタイミングを取っているが、主走査方向のビームピッチ間隔が狭い場合、BDセンサの応答が間に合わなくなり、各ビームを区別できなくなる可能性があった。また、ビーム毎に主走査方向の走査位置にズレが生じ、スクリーンとの干渉によるモアレが発生したり、画像が歪んだりしてしまう可能性があった。
【0008】
これを解決するために、ポリゴン面毎に交互に同期検知用ビームを切り替える方式を採用すると、ポリゴンミラーは正確な六角柱ではないので、ポリゴン面間で誤差が発生してしまう。
【0009】
また、これを解決するために、ポリゴンミラーが一周する周期でポリゴン面が更新される度に同期検知用ビームを切り替える方式を採用すると、ポリゴンモータの回転ムラの影響を受けてしまう。また、タイミングカウンタを高精度にして最大カウント数を大きくする必要が生じ、更に、ロジック回路が煩雑になってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、複数のレーザ発光モジュールを備えた光走査装置であって、低コストで精度が高い光走査をすることが可能なもの、及びこれを備える複合機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、
光を出射する第1の発光素子と、
光を出射する第2の発光素子と、
前記第1の発光素子から出射された光を像担持体を走査する第1の走査光に変換し、前記第2の発光素子から出射された光を前記像担持体を走査する第2の走査光に変換する光偏向手段と、
前記第1の走査光が前記像担持体を走査する期間及び第2の走査光が前記像担持体を走査する期間の何れとも異なる期間において、前記第1の走査光及び前記第2の走査光を受光できる第1の受光素子と、
前記第1の走査光が前記像担持体を走査する期間及び第2の走査光が前記像担持体を走査する期間の何れとも異なる期間において、前記第1の走査光及び前記第2の走査光を受光できる第2の受光素子と、
前記第1の走査光が前記第1の受光素子を走査するときに前記第1の発光素子を発光させ、前記第1の走査光が前記第2の受光素子を走査するときに前記第1の発光素子を消灯させる第1発光素子発光タイミング調整手段と、
前記第2の走査光が前記第1の受光素子を走査するときに前記第2の発光素子を消灯させ、前記第2の走査光が前記第2の受光素子を走査するときに前記第2の発光素子を発光させる第2発光素子発光タイミング調整手段と、
を備えることを特徴とする光走査装置が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、上記の光走査装置を備えることを特徴とする複合機が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、低コストで精度が高い光走査をすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施の形態による光走査装置の構成を示す概念図である。
【
図2】
図1に示す第1BDセンサ、第2BDセンサ及びBD基板の構成を示す平面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態による光走査装置の全体の動作を説明するためのタイミング図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態による光走査装置の画像信号による走査光の変調の期間の調整の必要性を説明するためのタイミング図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態による光走査装置の画像信号による走査光の変調の期間の調整のために用いられるパッチパターンなどを示す平面図である。
【
図6】(a)乃至(d)は、それぞれ、
図5に示すパッチパターンの変形例を示す平面図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態による光走査装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態による光走査装置の他の構成を示す機能ブロック図である。
【
図9】本発明の第1の実施の形態による光走査装置の更に他の構成を示す機能ブロック図である。
【
図10】本発明の第5の実施の形態による光走査装置の構成を示す概念図である。
【
図11】本発明の第6の実施の形態による光走査装置の構成を示す概念図である。
【
図12】本発明の第7の実施の形態による複合機の概念的断面図である。
【
図13】本発明の第7の実施の形態による複合機の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0016】
[第1の実施の形態]
図1を参照すると、本発明の第1の実施の形態による光走査装置は、第1LD(第1レーザダイオード)101-1、第2LD(第2レーザダイオード)101-2を備える。第1LD101-1は、1つの第1発光素子として機能し、第2LD101-2は、1つの第2発光素子として機能する。
【0017】
また、この光走査装置は、第1コリメータレンズ103-1、第2コリメータレンズ103-2、入射CYL(入射シリンドリカルレンズ)105、ポリゴンミラー107、fθレンズ109を備える。
【0018】
第1LD101-1、第2LD101-2が出射したそれぞれの光は、第1コリメータレンズ103-1、第2コリメータレンズ103-2により平行光に変換され、入射CYL105により幅が狭められ、光偏向手段としてのポリゴンミラー107により走査光に変換され、fθレンズ109により線速度が変換され、像担持体740(感光体ドラム)740を走査する第1走査光、第2走査光になる。
【0019】
更に、この光走査装置は、ミラー111、BDレンズ(ビーム・ディテクション・レンズ)113、第1BDセンサ(第1ビーム・ディテクション・センサ)115-1、第2BDセンサ(第2ビーム・ディテクション・センサ)115-2、BD基板117を備える。
【0020】
第1BDセンサ115-1及び第2BDセンサ115-2は、BD基板117に搭載される。
【0021】
上記の第1走査光及び第2走査光は、ミラー111にも入射する。ここで反射した第1走査光及び第2走査光は、それぞれ、BDレンズ113を通過した後、第1BDセンサ115-1及び第2BDセンサ115-2に入射する。なお、第1走査光及び第2走査光が第1BDセンサ115-1及び第2BDセンサ115-2をどのように走査するかということに関する説明は後述する。
【0022】
なお、第1LD101-1及び第2LD101-2からの光を受光することができる第3受光素子131がこれらの近傍に配置される。第3の受光素子を第1LD101-1専用のものと第2LD101-2専用のものとに分離してもよい。
【0023】
図2を参照すると、BD基板117には、第1BDセンサ115-1及び第2BDセンサ115-2が主走査方向に並ぶように配置されている。
【0024】
また、第1BDセンサ115-1及び第2BDセンサ115-2は、それぞれ、第1LD101-1及び第2LD101-2から出射された第1主走査光及び第2主走査光をを検出できるようにが配置される。
【0025】
第1LD101-1から出射された第1主走査光に対して第2LD101-2から出射された第2主走査光は、第1BDセンサ115-1及び第2BDセンサ115-2の副走査方向で見て下方を走査する。
【0026】
第1LD101-1から出射された第1主走査光が第1BDセンサ115-1の副走査方向で見て中央付近を走査し、第2LD101-2から出射された第2主走査光が第2BDセンサ115-2の副走査方向で見て中央付近を走査するように、第1BDセンサ115-1及び第2BDセンサ115-2は、副走査方向で見てずらして配置されるが、副走査方向で見て同一位置に配置されてもよい。
【0027】
図3を参照すると、BD1は、第1BDセンサ115-1が走査光を検出するとLOWになる信号であり、BD2は、第2BDセンサ115-2が走査光を検出するとLOWになる信号である。
【0028】
また、APC1は、第1LD101-1の発光/消灯を制御するための信号であり、LOWであるときに第1LD101-1は発光する。同様に、APC2は、第2LD101-2の発光/消灯を制御するための信号であり、LOWであるときに第2LD101-2は発光する。
【0029】
図1に示すように、第1LD101-1による第1主走査光が、第1BDセンサ115-1、第2BDセンサ115-2及び像担持体740を1主走査においてこの順に走査するように構成されている。
【0030】
同様に、第2LD101-1による第2主走査光が、第1BDセンサ115-1、第2BDセンサ115-2及び像担持体740を1主走査においてこの順に走査するように構成されている。
【0031】
第1LD101-1は、APC1により、第1主走査光が第1BDセンサ115-1を通過するときに点灯し、第1主走査光が第2BDセンサ115-2を通過するときに消灯するように制御される。
【0032】
また、第2LD101-2は、APC2により、第2主走査光が第1BDセンサ115-1を通過するときに消灯し、第2主走査光が第2BDセンサ115-2を通過するときに点灯するように制御される。
【0033】
従って、第1BDセンサ115-1は、
図3に示すようなBD1を発生する。つまり、第1BDセンサ115-1は、第1主走査光が第1BDセンサ115-1を通過し始める時刻t1のみにおいてHIGHからLOWに変化するBD1を発生する。
【0034】
また、第2BDセンサ115-2は、
図3に示すようなBD2を発生する。つまり、第2BDセンサ115-2は、第2主走査光が第2BDセンサ115-2を通過し始める時刻t4のみにおいてHIGHからLOWに変化するBD2を発生する。
【0035】
更に、第2LD101-2は、APC2により、第2主走査光が第1BDセンサ115-1を通過する前にある追加期間に点灯するように制御される。
【0036】
具体的には、APC1は、時刻t1から期間Tc1が経過した時刻t2においてLOWからHIGHに変化する。また、APC1は、時刻t1から期間Tc2が経過した時刻t10においてHIGHからLOWに変化する。更に、繰り返しとなるが、時刻t101から期間Tc1が経過した時刻t102においてLOWからHIGHに変化する。
【0037】
APC2は、時刻t4から期間Td1が経過した時刻t5においてLOWからHIGHに変化する。また、APC2は、時刻t4から期間Td2が経過した時刻t8においてHIGHからLOWに変化する。更に、時刻t4から期間Td3が経過した時刻t9においてLOWからHIGHに変化し、時刻t4から期間Td4が経過した時刻t103においてHIGHからLOWに変化する。更に、繰り返しとなるが、時刻t104から期間Td1が経過した時刻t105においてLOWからHIGHに変化する。
【0038】
時刻t10から時刻t102までのAPC1がLOWである期間が第1LDのBD1信号生成のための点灯時間である。なお、この期間において、第1LD101-1の発光強度調整のための光量測定も第3受光素子131により行われる。
【0039】
時刻t103から時刻t105までのAPC2がLOWである期間が第2LDのBD2信号生成のための点灯時間である。
【0040】
時刻t8から時刻t9までのAPC2がLOWである期間が追加期間である。この追加期間において、第2LD101-2の発光強度調整のための光量測定が第3受光素子131により行われる。
【0041】
次に、DATA1は、第1走査光を変調する第1画像信号であり、第1BDセンサ115-1が第1走査光を検出した時刻t1から期間Ta1が経過した時刻t6から期間Ta2に渡り第1走査光を変調する。
【0042】
同様に、DATA2は、第2走査光を変調する第2画像信号であり、第2BDセンサ115-2が第2走査光を検出した時刻t4から期間Tb1が経過した時刻t7から期間Tb2に渡り第2走査光を変調する。
【0043】
なお、上記では、時刻t5を、時刻t4から期間Td1が経過した時刻として求めているが、その代わりに、時刻t1から期間Td1´として求めてもよい。
【0044】
時刻t5を時刻t1を基準にして求めることは、特に、第2LD101-2を消灯させたまま、第1LD101-1の発光のみで初期状態から定常状態まで移行させる場合に有効であるが、この場合以外にこのようにして求めてもよい。
【0045】
次に、
図4を参照すると、温度変化による光学箱や基板の熱膨張などによりBD1が時間的に前に移動して、BD1とBD2との時間間隔が広がると、第1画像信号による第1走査光の変調期間が第2画像信号による第2走査光の変調期間に対して時間的に前に移動してしまい、画像で見た場合、水平方向のジッタが発生してしまう。
【0046】
図示していないが、BD1が時間的に後ろに移動した場合、BD2が時間的に前又は後ろに移動した場合も同様である。
【0047】
これを避けるために、下記のように、
図3に示した期間Ta1、期間Tb1を調整する。
【0048】
後述する中間転写ベルト35に
図5に示すようなパッチパターンを形成する。
【0049】
図5を参照すると、第1LD101-1による第1走査光によりパッチパターン123-1を中間ベルト35に形成し、第2LD101-2による第2走査光によりパッチパターン123-2を中間ベルト35に形成する。
【0050】
BD1の位置ズレなどによりパッチパターン123-1の主走査方向の位置がずれると、レジセンサ121を用いて検出することができるV字の2つの斜め線の副走査方向における距離T1が変動する。具体的には、V字が主走査方向に沿って始点側に移動すると距離T1は長くなり、逆に、V字が主走査方向に沿って終点側に移動すると距離T1は短くなる。この距離T1が所定の距離T10と等しくなるように、期間Ta1を調整する。
【0051】
同様に、BD2の位置ズレなどによりパッチパターン123-2の主走査方向の位置がずれると、レジセンサ121を用いて検出することができるV字の2つの斜め線の副走査方向における距離T2が変動する。具体的には、V字が主走査方向に沿って始点側に移動すると距離T2は長くなり、逆に、V字が主走査方向に沿って終点側に移動すると距離T2は短くなる。この距離T2が所定の距離T20と等しくなるように、期間Tb1を調整する。
【0052】
別の調整方法としては、距離T1と距離T2が等しくなるように、期間Ta1、期間Tb1の双方又は一方を調整する。全体のオフセットは別途調整するようにしてもよい。
【0053】
図6(a)乃至
図6(d)は、パッチパターンの変形例を示す。
【0054】
図7を参照すると、1構成例による光走査装置は、第1発光素子発光タイミング調整部141-1、第1発光素子発光強度調整部143-1、第1変調期間調整部145-1、第1発光素子駆動部147-1を含む。
【0055】
また、同様に、1構成例による光走査装置は、第2発光素子発光タイミング調整部141-2、第2発光素子発光強度調整部143-2、第2変調期間調整部145-2、第2発光素子駆動部147-2を含む。
【0056】
なお、光走査装置が、第1発光素子101-1、第2発光素子101-2、第1受光素子115-1,第2受光素子115-2、第3受光素子131を含んでいるとみてもよい。
【0057】
第1発光素子発光タイミング調整部141-1は、第1の走査光が第1の受光素子115-1を走査するときに第1の発光素子101-1を発光させ、第1の走査光が第2の受光素子115-2を走査するときに第1の発光素子101-1を消灯させる。
【0058】
また、第1発光素子発光タイミング調整部141-1は、第1の受光素子115-1が第1の走査光を検出した時刻に基づいて第1の発光素子101-1の発光と消灯を制御する。
【0059】
第1発光素子発光強度調整部143-1は、第1の走査光が第1の受光素子115-1を走査する期間において第1の発光素子101-1から第3の受光素子131が受光した光の強度に基づいて、第1の発光素子101-1が出射する光の強度を調整する。
【0060】
第1変調期間調整部145-1は、第1の受光素子115-1が第1の走査光を受光した時刻に基づいて、第1の走査光を第1の画像信号により変調する期間を調整する。
【0061】
また、第1変調期間調整部145-1は、第1の受光素子115-1が第1の走査光を受光した時刻から第1の走査光を第1の画像信号により変調する期間の開始時刻までの期間を第1テストパターンを利用して調整する。
【0062】
第1テストパターンとは、
図5、
図6に示すパッチパターン123-1に対応し、第1の受光素子115-1が第1の走査光を受光した時刻から第1の走査光を第1の画像信号により変調する期間の開始時刻までの期間に応じて第1テストパターンの主走査方向の位置が変化すると、所定の主走査方向位置における副走査方向に沿った前記第1テストパターンの2点間距離が変化するものである。
【0063】
第1発光素子駆動部147-1は、第1発光素子発光タイミング調整部141-1の出力、第1発光素子発光強度調整部143-1の出力、第1変調期間調整部145-1の出力に基づいて生成した駆動信号により第1発光素子101-1を駆動する。
【0064】
第2発光素子発光タイミング調整部141-2は、第2の走査光が第1の受光素子115-1を走査するときに第2の発光素子101-2を消灯させ、第2の走査光が第2の受光素子115-2を走査するときに第2の発光素子を発光させる。
【0065】
また、第2発光素子発光タイミング調整部141-2は、第2の受光素子115-2が第2の走査光を検出した時刻に基づいて第2の発光素子101-2の発光と消灯を制御する。
【0066】
更に、第2発光素子発光タイミング調整部141-2は、更に、第2の走査光が像担持体740を走査する期間、第1の走査光が第1の受光素子115-1を走査する期間、及び、第2の走査光が第2の受光素子115-2を走査する期間の何れとも異なる追加期間において、第2の発光素子101-2を発光させる。
【0067】
第2発光素子発光強度調整部143-2は、追加期間において第2の発光素子101-2から第3受光素子131が受光した光の強度に基づいて、第2の発光素子101-2が出射する光の強度を調整する。
【0068】
なお、上述したように、第3の受光素子は、第1発光素子101-1専用の受光素子と第2発光素子101-2専用の受光素子に分離されていてもよい。
【0069】
第2変調期間調整部145-2は、第2の受光素子115-2が第2の走査光を受光した時刻に基づいて、第2の走査光を第2の画像信号により変調する期間を調整する。
【0070】
第2変調期間調整部145-2は、第2の受光素子115-2が第2の走査光を受光した時刻から第2の走査光を第2の画像信号により変調する期間の開始時刻までの期間を第2テストパターンを利用して調整する。
【0071】
第2テストパターンとは、
図5、
図6に示すパッチパターン123-2に対応し、第2の受光素子が第2の走査光を受光した時刻から第2の走査光を第2の画像信号により変調する期間の開始時刻までの期間に応じて第2テストパターンの主走査方向の位置が変化すると、所定の主走査方向位置における副走査方向に沿った第2テストパターンの2点間距離が変化するものである。
【0072】
第2発光素子駆動部147-2は、第2発光素子発光タイミング調整部141-2の出力、第2発光素子発光強度調整部143-2の出力、第2変調期間調整部145-2の出力に基づいて生成した駆動信号により第2発光素子101-2を駆動する。
【0073】
既に説明したように、第1変調期間調整部145-1は、第1の受光素子が第1の走査光を受光した時刻から第1の走査光を第1の画像信号により変調する期間の開始時刻までの期間を第1テストパターン及び第2テストパターンを利用して調整してもよいし、第2変調期間調整部145-2は、第2の受光素子が第2の走査光を受光した時刻から第2の走査光を第2の画像信号により変調する期間の開始時刻までの期間を第1テストパターン及び第2テストパターンを利用して調整してもよい。
【0074】
図8は、他の構成例による光走査装置を示す。この構成例においては、第2発光素子発光タイミング調整部141-2は、第1の受光素子115-1が第1の走査光を検出した時刻に基づいて第2の発光素子の発光と消灯を制御する。
【0075】
図9は、更に他の構成例による光走査装置を示す。この構成例においては、第2発光素子発光タイミング調整部141-2は、第1の受光素子115-1が第1の走査光を検出した時刻及び第2の受光素子115-2が第2の走査光を検出した時刻の何れか一方に基づいて第2の発光素子101-2の発光と消灯を制御する。
【0076】
また、第2発光素子発光タイミング調整部141-2は、少なくとも当該光走査装置が定常状態にないときには、第1の受光素子115-1が第1の走査光を検出した時刻に基づいて第2の発光素子101-2の発光と消灯を制御する。
【0077】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、第1LD101-1及び第2LD101-2は、それぞれ、1つのみの発光素子を備えるものであった。これに対して、第2の実施の形態では、第1LD101-1及び第2LD101-2は、それぞれ、複数の発光素子を備えるモジュール型のものである。第1LD101-1及び第2LD101-2がそれぞれ複数の発光素子を備えるものである場合には、第1LD101-1の特定の1つの発光素子及び第2LD101-2の特定の1つの発光素子が第1BDセンサ115-1、第2BDセンサ115-2を照射するように制御され、他の発光素子は、第1BDセンサ115-1、第2BDセンサ115-2を照射しないように制御されるようにしてもよい。また、第2の実施の形態では、第3受光素子131は、第1LD101-1の上記特定の1つの発光素子及び第2LD101-2の上記特定の1つの発光素子が発光するときの光を受光する。
【0078】
パッチパターン123-1、123-2及びレジセンサ121を用いたタイミングの調整は、発光素子毎に行うことができる。例えば、第1LD101-1に4つの発光素子が備わる場合、第1LD101-1のうちの1つの発光素子を用いて発生させたBD信号を基準にして、これから第1乃至第4の発光素子に対応した第1乃至第4のパッチパターンにより第1乃至第4の走査光を変調する期間を個別に調整する。
【0079】
[第3の実施の形態]
第1のBDセンサ115-1と第2のBDセンサ115-2を主走査方向においてできる限り近接させることにより、温度変化による両センサ間の距離の変動を抑えることができる。これにより、温度変化があっても第1LD101-1により形成される画像と第2LD101-2により形成される画像の主走査方向におけるズレを抑えることができるようになる。
【0080】
特に、第1のBDセンサ115-1と第2のBDセンサ115-2を同一の基板に実装することにより、上記のことが容易になる。
【0081】
更に、その基板をガラスエポキシ基板のような低膨張基板にすることにより、上記の効果を高めることができる。
【0082】
[第4の実施の形態]
図2には、第1BDセンサ115-1及び第2BDセンサ115-2が近接して配置されている例が示されている。また、第3の実施の形態では、両センサを近接させて配置して両者間の主走査方向における距離が温度変動しないような構成が示されている。
【0083】
しかし、両者間の主走査方向における距離が温度変動しないような構成である限り、両センサの主走査方向における相対位置に制限はなく、ある程度、離間して両センサが配置されてもよい。
【0084】
第1の走査光と第2の走査光の時間的なズレと、第1BDセンサ115-1と第2BDセンサ115-2の走査方向における位置の間隔としては、
図10(a)乃至
図10(c)の3通りがある。
【0085】
図10(a)の例では、第1走査光が消灯しつつ第2BDセンサ115-1を通過する期間と、第2走査光が消灯しつつ第1BDセンサ115-2を通過する期間が重複する。
【0086】
図10(b)の例では、第1走査光が消灯しつつ第2BDセンサ115-1を通過する期間の後に、第2走査光が消灯しつつ第1BDセンサ115-2を通過する期間が存在する。
【0087】
図10(c)の例では、第1走査光が消灯しつつ第2BDセンサ115-1を通過する期間の前に、第2走査光が消灯しつつ第1BDセンサ115-2を通過する期間が存在する。
【0088】
これらの3通りの組み合わせの何れにおいても、第1LD101-1は、第1BDセンサ115-1を通過するときに発光し、第2BDセンサ115-2を通過するときに消灯する。また、第2LD101-2は、第1BDセンサ115-1を通過するときに消灯し、第2BDセンサ115-2を通過するときに発光する。
【0089】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態は、第4の実施の形態を拡張したものである。
【0090】
第4の実施の形態では、第1の走査光と第2の走査光が、主走査方向の同一位置を異なった時刻に走査するように構成されていることを前提としたものであるが、第8の実施の形態では、
図11(a)に示すように、少なくとも、第1BDセンサ115-1と第2BDセンサ115-2に関しては、第1の走査光と第2の走査光が、主走査方向の同一位置を同一の時刻に走査するように構成されている。
【0091】
また、他の例として、
図11(b)に示すように、少なくとも、第1BDセンサ115-1と第2BDセンサ115-2に関しては、第1の走査光と第2の走査光が、主走査方向の同一位置を僅かにずれた時刻に走査するように構成されている。
【0092】
このような構成であっても、第1LD101-1が、第1BDセンサ115-1を通過するときに発光し、第2BDセンサ115-2を通過するときに消灯し、また、第2LD101-2が、第1BDセンサ115-1を通過するときに消灯し、第2BDセンサ115-2を通過するときに発光すれば、第1BD信号と第2BD信号を正常に発生させることができる。
【0093】
[第6実施の形態]
同一のモジュールに含まれる複数の発光素子を別々のモジュールに含まれる発光素子と同様にして扱って上記の実施形態を適用することもできる。
【0094】
例えば、4個の発光素子を含む2つのモジュールを利用する場合、第1BDセンサ及び第2BDセンサを第1BDセンサ乃至第8BDセンサに増加させる。そして、8つの発光素子は、対応するBDセンサを通過するときに点灯させるが、対応しないBDセンサを通過するときに消灯させる。そして、対応するBDセンサから出力されるBD信号に基づいて画像信号により走査光を変調する期間を調整する。
【0095】
[第7の実施の形態]
第7の実施の形態は、第1乃至第6の実施の形態による複合機800に関するものである。
図12及び
図13は、複合機800の構成などを示すものである。
【0096】
図12及び
図13に示すように、複合機800は、原稿の画像を読み取る原稿読取装置820と、シートに画像を形成する複合機本体(画像形成部本体)830と、原稿読取装置820及び複合機本体830を操作するための操作パネル部843と、操作パネル部843による操作に基づいて原稿読取装置820及び複合機本体830を制御する演算処理部841と、を備えている。
【0097】
画像読取りのために原稿読取装置820を単体で用いること、画像形成のために複合機本体830を単体で用いることの他に、画像を複写するためにこれらを連動させることもできる。また、複合機800は図示しない記憶装置及びファクシミリ装置を含んでいてもよい。記憶装置は、原稿読取装置820により読み取られた画像やファクシミリ装置により受信した画像を格納することができる。ファクシミリ装置は、原稿読取装置820により読み取られた画像や記憶装置に格納されている画像を送信することと、外部から画像を受信することができる。更に、複合機800は、ネットワークを介してパーソナルコンピュータと接続するためのインターフェースを含んでいてもよい。複合機800に接続されたパーソナルコンピュータは、これが管理できるデータについて複合機の機能を利用することができる。
【0098】
原稿読取装置820は、原稿を自動給送する原稿自動給送部SPF(Single Pass Feeder)824と、原稿の画像を読み取る読取装置本体822と、を備えている。なお、原稿読取装置820は、
図13に示す構成要素の他に、
図13は示されないが
図12に示される構成要素も含む。また、
図12に示すように、読取装置本体822には、原稿台826が備わる。
【0099】
複合機本体830は、シートを給送するシート給送部10と、シートを手差し給送可能な手差し給送部20と、シート給送部10又は手差し給送部20により給送されるシートに画像を形成する画像形成部30と、を備えている。
【0100】
シート給送部10は、シートを積載するシート積載部11と、シート積載部11に積載されたシートを1枚ずつ分離給送する分離給送部12と、を備えている。シート積載部11は、回転軸13を中心に回動する中板14を備えており、中板14は、シートを給送する際に回動してシートを上方に持ち上げる。分離給送部12は、中板14により持ち上げられたシートを給送するピックアップローラ15と、ピックアップローラ15により給送されるシートを1枚ずつに分離する分離ローラ対16と、を備えている。
【0101】
手差し給送部20は、シートを積載可能な手差しトレイ21と、手差しトレイ21に積載されたシートを1枚ずつ分離給送する分離給送部22と、を備えている。手差しトレイ21は、複合機本体830に回動自在に支持されており、手差し給送する際には、所定の角度に固定させることでシートを積載可能になる。分離給送部22は、手差しトレイ21に積載されたシートを給送するピックアップローラ23と、ピックアップローラ23により給送されるシートを1枚ずつに分離する分離ローラ24及び分離パッド25と、を備えている。
【0102】
画像形成部30は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像を形成する4つのプロセスカートリッジ31Y~31Kと、後述する感光体ドラム740Y~740Kと、これらの表面を露光する露光装置32と、感光体ドラム740Y~740Kの表面に形成されたトナー像をシートに転写する転写部(転写手段)33と、転写したトナー像をシートに定着させる定着部34と、を備えている。なお、符号の最後に付すアルファベット(Y、M、C、K)は、それぞれの色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)を示している。
【0103】
4つのプロセスカートリッジ31Y~31Kのそれぞれは、複合機本体830から取り外し可能に構成されており、交換可能となっている。なお、4つのプロセスカートリッジ31Y~31Kは、形成する画像の色が異なること以外は同様な構成であるため、イエロー(Y)の画像を形成するプロセスカートリッジ31Yの構成のみの説明し、プロセスカートリッジ31M~31Kの説明は省略する。
【0104】
プロセスカートリッジ31Yは、像担持体としての感光体ドラム740Yと、感光体ドラム740Yを帯電させる帯電器741Yと、感光体ドラム740Y上に形成された静電潜像を現像する現像装置742Yと、感光体ドラム740Yの表面に残留するトナーを除去するドラムクリーナ743Yと、を備えている。現像装置742Yは、感光体ドラム740Yを現像する現像装置本体(詳細には図示せず)と、現像装置本体にトナーを供給するトナーカートリッジ(詳細には図示せず)と、を備えている。トナーカートリッジは、現像装置本体に着脱可能に構成されており、収容されたトナーが無くなると、現像装置本体から取り外して、交換することができるようになっている。
【0105】
露光装置32は、レーザ光を照射する光源(図示せず)と、レーザ光を感光体ドラム740Y~740Kに導く複数のミラー(図示せず)等と、を備えている。転写部33は、感光体ドラム740Y~740Kに形成されたトナー像を担持する中間転写ベルト35と、感光体ドラム740Y~740Kに形成されたトナー像を中間転写ベルト35に一次転写する一次転写ローラ36Y~36Kと、中間転写ベルト35に転写されたトナー像をシートに二次転写する二次転写ローラ37と、中間転写ベルト35に残留するトナーを除去するベルトクリーナ38と、を備えている。中間転写ベルト35は、駆動ローラ39a及び従動ローラ39bに掛け渡されており、一次転写ローラ36Y~36Kによって感光体ドラム740Y~740Kに押し付けられている。二次転写ローラ37は、駆動ローラ39aとで中間転写ベルト35をニップ(挟持)しており、ニップ部Nで中間転写ベルト35が担持するトナー像をシートに転写する。定着部34は、シートを加熱する加熱ローラ34aと、加熱ローラ34aに圧接する加圧ローラ34bと、を備えている。
【0106】
操作パネル部843は、所定の情報を表示する表示部845と、利用者が原稿読取装置820及び複合機本体830への指示を入力する入力部847と、を備えている。本実施形態においては、操作パネル部843は、読取装置本体822の正面側に配設されている。なお、正面側は
図12の紙面の手前側に対応し、裏面側は
図12の背面側に対応する。
【0107】
図13に示すように、演算処理部841は、シート給送部10、手差し給送部20、画像形成部30及び原稿読取装置820を駆動制御するCPU841aと、CPU841aを動作させるための各種プログラムとCPU841aが用いる各種情報等を記憶するメモリ841bと、を備えている。演算処理部841は、利用者による操作パネル部843への操作に基づいて、シート給送部10、手差し給送部20、画像形成部30及び原稿読取装置820の動作を統合して制御し、シートに画像を形成させる。
【0108】
次に、上述のように構成された複合機800による画像形成動作(演算処理部841による画像形成制御)について説明する。本実施形態においては、原稿自動給送部824により給送され、読取装置本体822により読み取られた読取原稿の画像を、シート給送部10により給送されるシートに画像形成部30が形成する画像形成動作を例にとり説明する。
【0109】
利用者による操作パネル部843の入力部847への入力により、画像形成開始信号が発信されると、利用者により原稿自動給送部824に載置された読取原稿が原稿読取位置に向けて自動給送され、原稿読取位置で読取装置本体822によって画像が読み取られる。
【0110】
読取装置本体822により原稿の画像が読み取られると、読み取られた原稿の画像情報に基づいて、露光装置32が感光体ドラム740Y~740Kに向けて、それぞれに対応する複数のレーザ光を照射する。このとき、感光体ドラム740Y~740Kは、それぞれ、帯電器741Y~741Kにより予め帯電されており、それぞれに対応するレーザ光が照射されることで感光体ドラム740Y~740K上にそれぞれの静電潜像が形成される。その後、現像装置742Y~742Kにより感光体ドラム740Y~740K上にそれぞれ形成された静電潜像が現像され、感光体ドラム740Y~740K上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー像が形成される。感光体ドラム740Y~740K上に形成された各色のトナー像は、一次転写ローラ36Y~36Kによって中間転写ベルト35に重畳転写され、重畳転写されたトナー像(フルカラーのトナー像)は、中間転写ベルト35に担持された状態でニップ部Nまで搬送される。
【0111】
上述の画像形成動作に並行して、シート積載部11に積載されたシートが、分離給送部12によって1枚ずつに分離されながら、ピックアップローラ15によりシート搬送路26に給送される。そして、ニップ部Nのシート搬送方向上流にあるレジストローラ対27で、斜行が補正されると共に、所定の搬送タイミングでニップ部Nに搬送される。ニップ部Nに搬送されたシートは、二次転写ローラ37によって中間転写ベルト35が担持するフルカラーのトナー像が転写される。
【0112】
トナー像が転写されたシートは、定着部34で加熱・加圧されることでトナー像が溶融定着され、排出ローラ対18により装置外に排出される。装置外に排出されたシートは、排出シート積載部19に積載される。
【0113】
なお、シートの両面(第1面及び第2面)に画像を形成する場合には、第1面に画像が形成されたシートが装置外に排出される前に、排出ローラ対18を逆回転させて両面搬送路17に搬送し、両面搬送路17を介して画像形成部30に再搬送する。そして、第1面と同様に、第2面に画像を形成し、装置外に排出する。装置外に排出されたシートは、排出シート積載部19に積載される。
【0114】
なお、上記の光走査装置は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合わせにより実現することができる。また、上記の光走査装置により行なわれる光走査方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらに組合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0115】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0116】
本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の種々の形で実施することができる。そのため、前述した各実施形態は単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるべきではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更はすべて本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、電子写真式の画像形成装置などにおいて光走査のために利用することができる。
【符号の説明】
【0118】
101-1 第1LD(第1発光素子)
101-2 第2LD(第2発光素子)
103-1、103-2 コリメータレンズ
105 入射CYL(入射シリンドリカルレンズ)
107 ポリゴンミラー
109 Fθレンズ
111 ミラー
113 BDレンズ(ビーム・ディテクション・レンズ)
115-1 第1BDセンサ(第1ビーム・ディテクション・センサ;第1受光素子)
115-2 第2BDセンサ(第2ビーム・ディテクション・センサ;第2受光素子)
117 BD基板
121 レジセンサ
123-1 LD1によるパッチパターン
123-2 LD2によるパッチパターン
131 第3受光素子
141-1 第1発光素子発光タイミング調整部
141-2 第2発光素子発光タイミング調整部
143-1 第1発光素子発光強度調整部
143-2 第2発光素子発光強度調整部
145-1 第1変調期間調整部
145-2 第2変調期間調整部
147-1 第1発光素子駆動部
147-2 第2発光素子駆動部
740 像担持体(感光体ドラム)