(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
A47L 23/02 20060101AFI20230524BHJP
D06F 37/12 20060101ALI20230524BHJP
D06F 17/10 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
A47L23/02 A
D06F37/12 H
D06F17/10 A
D06F17/10 B
(21)【出願番号】P 2019139807
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(72)【発明者】
【氏名】芦江 美沙音
(72)【発明者】
【氏名】公文 ゆい
(72)【発明者】
【氏名】三角 勝
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-115484(JP,U)
【文献】実開昭54-154141(JP,U)
【文献】実開昭63-008867(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 23/02
D06F 37/12
D06F 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗濯物が入れられる洗濯槽と、
前記洗濯槽の底部に配置され、回転する撹拌体と、
前記洗濯槽の内側に配置され、前記撹拌体の回転方向に沿って並ぶ複数のブラシ部を有するブラシユニットと、を備え、
前記複数のブラシ部の各々は、複数の毛束を有し、
前記複数のブラシ部は、ロングブラシ部と、
前記ロングブラシ部よりも前記回転方向の中央側に設けられており前記ロングブラシ部よりも前記複数の毛束の長さ寸法が短いショートブラシ部と、を含む、
洗濯機。
【請求項2】
前記複数のブラシ部は、2つの前記ロングブラシ部と、前記ショートブラシ部と、を含み、
前記ショートブラシ部は、前記撹拌体の回転方向において、前記2つのロングブラシ部の間に配置されている、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記ショートブラシ部は、前記ロングブラシ部よりも前記複数の毛束の密度が大きい、
請求項1又は2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記ショートブラシ部は、前記ロングブラシ部よりも剛性が高い、
請求項1~3のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記ショートブラシ部は、前記撹拌体の回転軸方向において、前記複数の毛束が、前記洗濯槽の前記底部から離れるにつれて長さ寸法が長くなるように構成されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記複数のブラシ部は、前記回転方向の一方側から前記中央側に向かうにつれて前記複数の毛束の長さが短くなるように設けられた、
請求項1~5のいずれか1項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、靴洗浄機(洗濯機)の一例が記載されている。特許文献1に記載の靴洗浄機は、靴ホルダ部と、ブラシ部とを備えている。靴ホルダ部は、洗濯槽の中央に位置する回転軸に固定されている。ブラシ部は、靴ホルダ部の径方向外側に位置しているブラシホルダに固定されている。ブラシ部は、毛の先端側が靴ホルダ部に固定された靴側を向くように固定されている。靴の洗浄時においては、ブラシホルダに固定されたブラシ部の回転が抑止されており、回転軸に固定された靴ホルダ部が回転する。これにより、ブラシ部と靴とが接触を繰り返し、ブラシ部による靴の洗浄が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗濯機では、被洗濯物の洗浄むらを抑制することが望まれている。
【0005】
本開示の主な目的は、被洗濯物の洗浄むらを抑制することができる洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る洗濯機は、洗濯槽と、撹拌体と、ブラシユニットと、を備える。前記洗濯槽は、被洗濯物が入れられる。前記撹拌体は、前記洗濯槽の底部に配置され、回転する。前記ブラシユニットは、前記洗濯槽の内側に配置され、前記撹拌体の回転方向に沿って並ぶ複数のブラシ部を有する。前記複数のブラシ部の各々は、複数の毛束を有する。前記複数のブラシ部は、ロングブラシ部と、前記ロングブラシ部よりも前記複数の毛束の長さ寸法が短いショートブラシ部と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る洗濯機の外観斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の洗濯機における洗濯槽の概略平面図である。
【
図4】
図4は、同上の洗濯機におけるブラシユニットの概略構成図である。
【
図5】
図5は、同上のブラシユニットにおけるショートブラシモジュールの概略構成図である。
【
図6】
図6Aは、同上のブラシユニットにおけるショートブラシモジュールの複数の毛束の配置の説明図である。
図6Bは、同上のブラシユニットにおけるミドルブラシモジュールの複数の毛束の配置の説明図である。
図6Cは、同上のブラシユニットにおけるロングブラシモジュールの複数の毛束の配置の説明図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の第1変形例に係るブラシユニットの概略構成図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の第2変形例に係るブラシユニットの概略構成図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態の第2変形例に係る別形態のブラシユニットの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る洗濯機1の模式的斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る洗濯機1の模式的断面図である。
図3は、第1実施形態における洗濯槽12の要部を表す模式的平面図である。なお、各図において、ブラシユニット6を概略的に記載しており、実際の形状とは異なる場合がある。
【0010】
図1及び
図2に示す洗濯機1は、例えば、固形部を含む被洗濯物70(
図4,5等を参照。)の洗濯に好適な洗濯機である。固形部を含む被洗濯物70としては、例えば、靴、スリッパ、サンダル等の履物等が挙げられる。洗濯機1は、被洗濯物70が洗濯可能なものである限りにおいて特に限定されないが、被洗濯物70の洗濯及び脱水が可能なものであることが好ましい。すなわち、洗濯機1は、洗濯脱水機であることが好ましい。
【0011】
(洗濯機1の概略構成)
図1及び
図2を参照して洗濯機1の概略構成について説明する。
【0012】
図1に示すように、洗濯機1は、外箱10と、上面部材20と、上蓋30と、ベース部材40とを含む。
【0013】
図2に示すように、外箱10は、上方及び下方に開口する筒状に形成されている。外箱10の上側開口部には、上面部材20が接続されている。一方、外箱10の下側開口部には、ベース部材40が接続されている。
【0014】
上面部材20には、被洗濯物70を出し入れするための開口部21が形成されている。開口部21は、上面部材20に回転可能に取り付けられた上蓋30によって開閉可能である。
【0015】
外箱10内には、水槽11が配置されている。水槽11は、上方に開口した略有底円筒状である。水槽11の開口部は、開口部21に接続されている。水槽11の底部には、水槽11内の水を排水するための排水部が設けられている。
【0016】
水槽11内には、洗濯槽12が配されている。洗濯槽12も、水槽11と同様に上方に開口した略有底円筒状である。洗濯槽12と水槽11とは、互いの回転軸が一致するように配置されている。洗濯槽12は、水槽11に対して回転可能である。洗濯槽12の底部121に水抜部が形成されていると共に、洗濯槽12の周壁の最上部に複数の排水孔が形成されており、洗濯槽12の周壁のその他部分には排水孔が形成されていない。もっとも、本発明は、この構成に限定されない。本発明では、脱水時に排水するための複数の排水孔が洗濯槽12の周壁の実質的に全域にわたって形成されていてもよい。
【0017】
洗濯槽12の底部121には、撹拌体13が配されている。撹拌体13は、洗濯槽12内の水を撹拌するための部材である。撹拌体13は、洗濯槽12に対して回転可能である。撹拌体13の回転軸A1は、洗濯槽12の回転軸と一致している。撹拌体13は、駆動機構50に接続されている。駆動機構50は、洗濯槽12の下方に配置されている。この駆動機構50により撹拌体13が回転駆動される。
【0018】
また、駆動機構50は、洗濯槽12を回転駆動する。駆動機構50と、洗濯槽12及び撹拌体13との間には、クラッチ51が設けられている。このクラッチ51により、駆動機構50の動力が洗濯槽12及び撹拌体13に伝達される状態と、撹拌体13のみに伝達される状態とが切り替えられる。洗濯槽12と撹拌体13とのうちの撹拌体13のみと駆動機構50とがクラッチ51により接続されている状態においては、洗濯槽12は、水槽11及び撹拌体13に対して、正転方向及び逆転方向の双方向に回転可能である。もっとも、本発明において、洗濯槽12と撹拌体13とのうちの撹拌体13のみと駆動機構50とがクラッチ51により接続されている状態において、洗濯槽12が水槽11に対して回転不能であってもよい。
【0019】
洗濯槽12内には、複数のホルダ部が配置されている。ホルダ部は、被洗濯物70が固定される部材である。本実施形態では、複数のホルダ部は、洗濯槽12に対して回転可能に設けられている。具体的に、複数のホルダ部は、撹拌体13に設けられている。このため、複数のホルダ部は、撹拌体13と共に回転する。
【0020】
複数のホルダ部は、撹拌体13の回転軸A1の周りに等間隔に設けられている。撹拌体13が有するホルダ部の個数は特に限定されない。撹拌体13は、例えば、2~10のホルダ部を有することが好ましく、4~6のホルダ部を有することが好ましい。
【0021】
ホルダ部は、例えば、撹拌体13から上方に向かって延びる棒状体や板状体により構成することができる。この場合、例えば、ホルダ部を構成している棒状体や板状体を被洗濯物70としての履物等に挿入することにより被洗濯物70を固定することができる。
【0022】
なお、本発明において、「固定」には、被固定物に対して固定物が完全に変位不能であることのみならず、固定物の被固定物に対する変位が規制されていることを含むものとする。
【0023】
(ブラシユニット6)
ブラシユニット6について、
図2~
図6を参照して詳細に説明する。
【0024】
図2及び
図3に示すように、ブラシユニット6は、洗濯槽12の内側に設けられている。ブラシユニット6は、固定部61と、複数のブラシモジュール62と、を有しており、洗濯槽12の内周面12aに設けられている。複数のブラシモジュール62の各々は、ベース63と、ベース63に設けられたブラシ部64と、を有する。ブラシ部64は、複数の毛束65(
図6A~
図6C参照)で構成されている。
【0025】
固定部61は、複数のブラシモジュール62を洗濯槽12に固定する固定部材である。固定部61は、例えば樹脂成形品である。固定部61は、洗濯槽12の内周面12aに、例えばビス等を用いて取り付けられている。固定部61は、各ブラシモジュール62を保持する保持機構を有している。保持機構は、例えば、各ブラシモジュール62のベース63を位置決め及び保持する溝である。また、保持機構は、固定部61からブラシモジュール62が脱落することを抑制するために、ベース63に引っかかる爪、ベース63を固定部61に固定するビス等を備えていてもよい。
【0026】
複数のブラシモジュール62は、撹拌体13の回転方向D1に沿って並ぶように固定部61に取り付けられている。各ブラシモジュール62は、固定部61を介して洗濯槽12の内周面12aに固定されている。本実施形態ではブラシユニット6は、複数のブラシモジュール62として、第1ブラシモジュール621、第2ブラシモジュール622、第3ブラシモジュール623、第4ブラシモジュール624、及び第5ブラシモジュール625を有する。複数のブラシモジュール62は、撹拌体13の回転方向D1の一方側(
図3では上側)から、第1ブラシモジュール621、第2ブラシモジュール622、第3ブラシモジュール623、第4ブラシモジュール624、第5ブラシモジュール625の順に設けられている。
【0027】
図3に示すように、各ブラシモジュール62は、ベース63と、ブラシ部64と、を有する。
【0028】
ベース63は、例えば樹脂成形品である。ベース63は、撹拌体13の回転軸A1(
図4参照)に沿った方向(回転軸方向D2)を長手方向とする矩形板状に形成されている(
図5参照)。ベース63は、固定部61に固定されている。ベース63は、撹拌体13の回転軸A1側の面から突出するようにブラシ部64が設けられている。
【0029】
図6A~
図6Cに示すように、ブラシ部64は、複数の毛束65で構成されている。毛束65は、束ねられた複数の毛で構成されている。毛は、弾性を有する細長い線状部材であり、例えば樹脂、シリコン、金属、生物の毛、等で構成されている。複数の毛束65は、ベース63に植毛されている。各毛束65は、例えばベース63に形成された円形の穴から突出するようにベース63に保持されている。複数の毛束65は、撹拌体13の回転軸方向D2に沿った列方向、及び列方向に直交する行方向それぞれに沿って並ぶようにマトリクス状に配置されている。複数の毛束65の配置については、後述する。
【0030】
本実施形態では、第3ブラシモジュール623のブラシ部64は、複数の毛束65が撹拌体13の回転軸A1に向かって突出するように形成されている。他の第1,第2,第4,第5ブラシモジュール621,622,624,625それぞれのブラシ部64は、複数の毛束65が、第3ブラシモジュール623のブラシ部64の複数の毛束65と略平行となるように形成されている。
【0031】
複数のブラシモジュール62(本実施形態では第3ブラシモジュール623を除く)の各々において、複数の毛束65の長さ寸法は、互いに同じである。本開示における「毛束65の長さ寸法」とは、毛束65を構成する複数の毛の長さ(ベース63からの突出寸法)の代表値(例えば、平均値、中央値、最大値、等)である。つまり、1つのブラシ部64における複数の毛束65は、長さ寸法が互いに同じである。ここでいう「長さ寸法が互いに同じ」とは、厳密に同じ値である場合に限らず、誤差の範囲で異なる場合も含む。以下の説明では、1つのブラシモジュール62における複数の毛束65の長さ寸法の代表値(例えば、平均値、中央値、最大値、等)を、ブラシ寸法ともいう。
【0032】
本実施形態では、複数のブラシモジュール62において、ブラシ寸法(複数の毛束65の長さ寸法)が互いに異なる。複数のブラシモジュール62は、ブラシ寸法の大きさに応じてロングブラシモジュール62L、ショートブラシモジュール62S、ミドルブラシモジュール62Mに区別される。ロングブラシモジュール62Lは、ブラシ部64としてロングブラシ部64Lを有しており、複数のブラシモジュール62のうち最もブラシ寸法が大きい。ショートブラシモジュール62Sは、ブラシ部64としてショートブラシ部64Sを有しており、複数のブラシモジュール62のうち最もブラシ寸法が小さい。ミドルブラシモジュール62Mは、ブラシ部64としてミドルブラシ部64Mを有しており、ロングブラシモジュール62Lよりもブラシ寸法が小さく、ショートブラシモジュール62Sよりもブラシ寸法が大きい。つまり、ロングブラシ部64Lのブラシ寸法をL1、ミドルブラシ部64Mのブラシ寸法をL2、ショートブラシ部64Sのブラシ寸法をL3、とした場合、ブラシ寸法L1~L3の関係は、L1>L2>L3である。
【0033】
本実施形態では、第1ブラシモジュール621及び第5ブラシモジュール625がロングブラシモジュール62Lであり、第2ブラシモジュール622及び第4ブラシモジュール624がミドルブラシモジュール62Mであり、第3ブラシモジュール623がショートブラシモジュール62Sである。つまり、ロングブラシモジュール62Lは、複数のブラシモジュール62のうち、撹拌体13の回転方向D1の端側(外側)に位置する。ショートブラシモジュール62Sは、複数のブラシモジュール62のうち、撹拌体13の回転方向D1の中央側(内側)に位置する、言い換えれば、2つのロングブラシモジュール62Lの間に位置する。ミドルブラシモジュール62Mは、複数のブラシモジュール62のうち、ロングブラシモジュール62Lとショートブラシモジュール62Sとの間に位置する。すなわち、複数のブラシモジュール62は、撹拌体13の回転方向D1において、端側から中央側に向かうにつれてブラシ寸法が小さくなるように配置されている。
【0034】
また、
図5に示すように、本実施形態では、ショートブラシモジュール62S(第3ブラシモジュール623)は、撹拌体13の回転軸方向D2において、ショートブラシ部64S(ブラシ部64)の複数の毛束65の長さ寸法が異なるように構成されている。本実施形態では、ショートブラシ部64Sは、複数の毛束65が、洗濯槽12の底部121(
図2参照)から離れるにつれて長さ寸法が長くなるように構成されている。つまり、ショートブラシ部64Sにおける複数の毛束65のうち、洗濯槽12の底部121に最も近い毛束65の長さ寸法が最も短く、洗濯槽12の底部121から最も遠い毛束65の長さ寸法が最も長い。本実施形態では、ショートブラシ部64Sは、洗濯槽12の底部121から離れるにつれて、毛束65の長さ寸法が徐々に長くなるように構成されている。なお、ショートブラシ部64Sは、洗濯槽12の底部から離れるにつれて、毛束65の長さ寸法が段階的に長くなるように構成されていてもよい。
【0035】
また、
図6A~
図6Cに示すように、本実施形態では、ロングブラシモジュール62L、ショートブラシモジュール62S、及びミドルブラシモジュール62Mは、ブラシ部64が有する複数の毛束65の密度が互いに異なるように構成されている。本開示における「複数の毛束65の密度」とは、単位面積あたりの毛束65(毛)の数である。本実施形態では、ロングブラシモジュール62L、ショートブラシモジュール62S、及びミドルブラシモジュール62Mで、ベース63の大きさが互いに同じであるが、ベース63に設けられている複数の毛束65の数が異なる。ロングブラシモジュール62Lは、複数のブラシモジュール62のうち、複数の毛束65の密度が最も小さい。ショートブラシモジュール62Sは、複数のブラシモジュール62のうち、複数の毛束65の密度が最も大きい。ミドルブラシモジュール62Mは、複数のブラシモジュール62のうち、複数の毛束65の密度が、ロングブラシモジュール62Lよりも小さく、ショートブラシモジュール62Sよりも大きい。
【0036】
具体的には、
図6Aに示すように、ショートブラシモジュール62Sが有するショートブラシ部64Sは、列方向(回転軸方向D2)に並ぶ複数の毛束65の全てが隣の列の毛束65と隣り合うように配置されている。言い換えれば、ショートブラシ部64Sは、複数の毛束65の各々が、列方向、及び列方向に直交する行方向のそれぞれにおいて、少なくとも1つの毛束65と隣り合うように連続的に配置されている。
【0037】
図6Bに示すように、ミドルブラシモジュール62Mが有するミドルブラシ部64Mは、毛束65の数が、ショートブラシ部64Sが有する毛束65の数の半分である。ミドルブラシ部64Mは、隣り合う2列の複数の毛束65において、各毛束65の行方向の位置が異なるように配置されている。言い換えれば、ミドルブラシ部64Mは、複数の毛束65の各々が、列方向及び行方向のそれぞれにおいて、毛束65と隣り合わないように間欠的に配置されている。
【0038】
図6Cに示すように、ロングブラシモジュール62Lが有するロングブラシ部64Lは、毛束65の数が、ミドルブラシ部64Mが有する毛束65の数の半分、言い換えればショートブラシ部64Sが有する毛束65の数の四分の一である。ロングブラシ部64Lは、複数の毛束65の列数が、ミドルブラシ部64Mの複数の毛束65の列数の半分であって、複数の毛束65の各々が、列方向及び行方向のそれぞれにおいて、毛束65と隣り合わないように間欠的に配置されている。
【0039】
また、ショートブラシモジュール62Sが有するショートブラシ部64Sは、ロングブラシモジュール62Lが有するロングブラシ部64Lに比べて剛性(曲げ剛性)が高くなるように構成されている。つまり、ショートブラシ部64Sは、ロングブラシ部64Lに比べて変形しにくい(撓みにくい)ように構成されている。
【0040】
上述したように、ショートブラシ部64Sは、ロングブラシ部64Lよりもブラシ寸法が短い。さらに、ショートブラシ部64Sは、ロングブラシ部64Lよりも複数の毛束65の密度が大きい。これにより、ショートブラシ部64Sは、ロングブラシ部64Lよりも剛性が高くなる。また、ショートブラシ部64Sとロングブラシ部64Lとで、毛束65を構成する毛の剛性が互いに異なっていてもよい。例えば、ショートブラシ部64Sの毛束65を構成する毛が、ロングブラシ部64Lの毛束65を構成する毛よりも太く構成されていてもよい。これにより、ショートブラシ部64Sは、ロングブラシ部64Lよりも剛性が高くなる。また、ショートブラシ部64Sとロングブラシ部64Lとで、毛束65を構成する毛の材料が異なっていてもよい。例えば、ショートブラシ部64Sの毛束65を構成する毛が、ロングブラシ部64Lの毛束65を構成する毛よりも硬い(剛性が高い)材料で構成されていてもよい。これにより、ショートブラシ部64Sは、ロングブラシ部64Lよりも剛性が高くなる。
【0041】
(洗濯機1の動作に関する概略説明)
次に、洗濯機1の動作概要について説明する。
【0042】
(被洗濯物70の洗濯)
被洗濯物70の洗濯は、履物等の被洗濯物70がホルダに固定され、洗濯槽12内に洗剤及び水が溜められた状態で行われる。被洗濯物70の洗濯は、撹拌体13及び洗濯槽12のうち撹拌体13のみが駆動機構50によって回転駆動される。これにより、撹拌体13に設けられたホルダ部に固定された被洗濯物70に対してブラシユニット6が相対的に回転する。その結果、ブラシユニット6の複数のブラシ部64が被洗濯物70と接触し、被洗濯物70が洗濯される。
【0043】
本実施形態では、ブラシユニット6は、複数のブラシモジュール62として、2つのロングブラシモジュール62L(第1,第5ブラシモジュール621,625)、2つのミドルブラシモジュール62M(第2,第4ブラシモジュール622,624)、及び1つのショートブラシモジュール62S(第3ブラシモジュール623)を備えている。ロングブラシモジュール62Lのロングブラシ部64L、ミドルブラシモジュール62Mのミドルブラシ部64M、ショートブラシモジュール62Sのショートブラシ部64Sは、互いにブラシ寸法が異なっている。これにより、ロングブラシモジュール62L、ミドルブラシモジュール62M、及びショートブラシモジュール62Sは、被洗濯物70に対して接触する箇所が互いに異なる。
【0044】
ここでは、被洗濯物70の一例として靴(以降、靴70ともいう)を想定する。
図5に示すように、靴70は、撹拌体13に設けられたホルダに対して靴底71が洗濯槽12の内側(回転軸A1側)を向くように固定される。したがって、
図4に示すように、ブラシユニット6は、靴70の甲部72、及び側部73に接触することとなる。
【0045】
具体的には、ロングブラシ部64Lのブラシ寸法L1は、ロングブラシ部64Lの先端部が靴70の側部73と接触するような寸法に設定されている。ショートブラシ部64Sのブラシ寸法L3は、ショートブラシ部64Sの先端部が靴70の甲部72と接触するような寸法に形成されている。ミドルブラシ部64Mのブラシ寸法L2は、ミドルブラシ部64Mの先端部が靴70における甲部72と側部73との間の部分と接触するような寸法に設定されている。これにより、回転軸A1を中心に靴70が回転することにより、各ブラシ部64は、靴70におけるブラシ寸法に応じた部分(甲部72、側部73など)に先端部が接触し、靴70が洗浄される。つまり、本実施形態の洗濯機1は、ブラシ寸法が異なる複数のブラシ部64を備えることにより、三次元形状の被洗濯物70(靴70)の洗浄むらを抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態では、
図3、
図4に示すように回転方向D1の一方側から、ロングブラシ部64L、ミドルブラシ部64M、ショートブラシ部64S、ミドルブラシ部64M、ロングブラシ部64Lの順に配置されている。したがって、被洗濯物70が回転軸A1を中心として正転、及び逆転のいずれの方向で回転した場合であっても、ロングブラシ部64L、ミドルブラシ部64M、ショートブラシ部64Sというブラシ寸法が大きい順に被洗濯物70が接触する。そのため、ロングブラシ部64Lは、ロングブラシ部64Lよりもブラシ寸法が小さい隣のミドルブラシ部64Mに支えられることにより、回転移動する被洗濯物70につられてミドルブラシ部64M側に撓むことが抑制される。同様に、ミドルブラシ部64Mは、ミドルブラシ部64Mよりもブラシ寸法が小さい隣のショートブラシ部64Sに支えられることにより、回転移動する被洗濯物70につられてショートブラシ部64S側に撓むことが抑制される。これにより、ロングブラシ部64Lの後に被洗濯物70に接触するミドルブラシ部64M及びショートブラシ部64Sの先端部を被洗濯物70に接触させやすくなる。したがって、被洗濯物70の洗浄むらを抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態では、剛性が高い順にショートブラシ部64S、ミドルブラシ部64M、ロングブラシ部64Lとなるように構成されている。つまり、複数のブラシ部64のうち、最初に被洗濯物70と接触するロングブラシ部64Lの剛性が最も低い。これにより、ブラシユニット6と被洗濯物70とが衝突した際の衝撃を、ロングブラシ部64Lでやわらげることができ、ブラシユニット6及び被洗濯物70にかかる負荷を軽減することができる。
【0048】
また、被洗濯物70が靴70である場合、ロングブラシ部64Lのブラシ寸法は、先端部が靴70の側部73に接触するような寸法に設定されている。靴70の側部73、特に側部73における靴底71に近い部分は、砂、土、泥等のような固形物が靴70の表面に付着することにより汚れている場合がある。このような固形物は、ブラシ部64と接触する力が比較的弱い場合であっても、容易に除去することができる。したがって、ショートブラシ部64Sに比べてロングブラシ部64Lの剛性が低い場合であっても、靴70の側部の汚れを除去することができ、洗浄むらを抑制することができる。
【0049】
また、ショートブラシ部64Sは、ロングブラシ部64Lに比べて、複数の毛束65の密度が大きく、かつ剛性が高い。これにより、ショートブラシ部64Sの先端部が、靴70の甲部72に接触する力を高めることができ、洗浄性能の向上を図ることができる。例えば、靴70の甲部72が布地であり汚れが染み込んでいる場合でも、甲部72を効率よく洗浄することができ、洗浄むらを抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態では、
図5に示すように、靴70は、つま先部74が洗濯槽12の底部121と反対側(開口部21側)を向くように固定される。
図5に示すように、靴70の甲部72は、つま先部74から踵部75側に向かうにつれて靴底71から離れるように傾斜している。本実施形態では、
図5に示すように、ショートブラシ部64Sが有する複数の毛束65は、洗濯槽12の底部121から離れるにつれて長さ寸法が長くなるように構成されている。つまり、ショートブラシ部64Sは、靴70の甲部72の傾斜に沿うように、先端部が傾斜している。これにより、ショートブラシ部64Sの先端部を、傾斜している甲部72に効率よく接触させることができるので、甲部72を効率よく洗浄することができ、洗浄むらを抑制することができる。
【0051】
なお、被洗濯物70の洗濯時においては、洗濯槽12とホルダ部とが相対的に回転すればよく、洗濯槽12は、水槽11に対して回転不能とされていてもよいし、回転可能とされていてもよい。
【0052】
(被洗濯物70の脱水)
被洗濯物70の洗濯後、被洗濯物70の脱水が任意で行われる。具体的には、被洗濯物70の洗濯が終了すると、洗濯槽12に設けられた水抜部及び排水孔を経由して洗濯槽12から洗剤及び水が排出される。次に、撹拌体13と洗濯槽12とが駆動機構によって一体的に回転駆動される。その結果、撹拌体13に設けられたホルダ部に固定された被洗濯物70に遠心力が作用し、被洗濯物70の脱水が行われる。
【0053】
なお、例えば被洗濯物70が靴70である場合、靴70の開口が径方向外側を向くように靴70をホルダ部に固定することが好ましい。そうすることにより、靴70内の水を外部に効率的に排出することができる。
【0054】
(変形例)
以下に、本実施形態に洗濯機1の変形例について説明する。以下に説明する変形例は、上述した実施形態、又は他の変形例と適宜組み合わせて適用可能である。また、以下の説明では、上述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0055】
(第1変形例)
上述した例では、複数のブラシ部64は、互いに平行となるように構成されていたが、これに限らない。
図7に示すように、複数のブラシ部64は、少なくとも2つが非平行となるように構成されていてもよい。
【0056】
本変形例のブラシユニット6では、ショートブラシ部64Sに対して、2つのロングブラシ部64L、及び2つのミドルブラシ部64Mが非平行となるように構成されている。ロングブラシ部64Lは、基端部から先端部に向かうにつれてショートブラシ部64Sから離れるように外向きに構成されている。ミドルブラシ部64Mは、基端部から先端部に向かうにつれてショートブラシ部64Sに近付くように内向きに構成されている。
【0057】
本変形例では、ロングブラシ部64Lは、外向きとなるように構成されていることによって、先端部がブラシユニット6に近付いてくる被洗濯物70に向くこととなる。これにより、ロングブラシ部64Lの先端部を被洗濯物70に接触させやすくなり、洗浄力の向上を図ることができる。
【0058】
また、ロングブラシ部64Lがミドルブラシ部64M及びショートブラシ部64Sから離れるように外向きに構成されていることによって、ロングブラシ部64Lが被洗濯物70につられて内側に撓んだとしても、ロングブラシ部64Lが、ミドルブラシ部64M及びショートブラシ部64Sの先端部と被洗濯物70との接触を阻害することを抑制することができる。
【0059】
(第2変形例)
上述した例では、複数のブラシ部64は、互いにブラシ寸法が異なる3種類のブラシ部64(ロングブラシ部64L、ミドルブラシ部64M、ショートブラシ部64S)を含んでいたが、これに限らない。ブラシユニット6は、互いにブラシ寸法が異なる少なくとも2種類のブラシ部64を備えていればよい。
【0060】
例えば、
図8に示すように、ブラシユニット6は、複数のブラシ部64として、2つのロングブラシ部64Lと、3つのショートブラシ部64Sと、を備えていてもよい。3つのショートブラシ部64Sは、回転方向D1において2つのロングブラシ部64Lの間に配置されている。2つのロングブラシ部64Lは、ショートブラシ部64Sから離れるように外向きに構成されている。
【0061】
本変形例では、ショートブラシ部64Sの数が増加することにより、汚れが溜まりやすい靴70の甲部72を効率よく洗浄することができる。
【0062】
また、
図9に示すように、ブラシユニット6は、互いにブラシ寸法が異なる5つのブラシ部64を備えていてもよい。
図9に示す例では、ブラシユニット6は、1つのロングブラシモジュール62Lと、1つのショートブラシモジュール62Sと、3つの第1~第3ミドルブラシモジュール62M1~62M3と、を備えている。第1~第3ミドルブラシモジュール62M1~62M3は、それぞれ第1~第3ミドルブラシ部64M1~64M3を有する。第1~第3ミドルブラシ部64M1~64M3は、互いにブラシ寸法が異なっている。第1~第3ミドルブラシ部64M1~64M3のうち、第1ミドルブラシ部64M1のブラシ寸法が最も短く、第3ミドルブラシ部64M3のブラシ寸法が最も長い。
【0063】
第1~第3ミドルブラシ部64M1~64M3は、回転方向D1において、ショートブラシ部64Sとロングブラシ部64Lとの間に配置されている。ショートブラシ部64S側から、第1ミドルブラシ部64M1、第2ミドルブラシ部64M2、第3ミドルブラシ部64M3の順に配置されている。つまり、
図9に示す例では、複数のブラシ部64は、回転方向D1の一方から他方に向かうにつれて、ブラシ寸法が長くなる(又は短くなる)ように配置されている。
【0064】
(その他の変形例)
以下、ブラシユニット6のその他の変形例について列挙する。
【0065】
上述した例では、複数のブラシ部64は、撹拌体13の回転方向D1において、端側から中央側に向かうにつれてブラシ寸法が小さくなるように配置されていたが、これに限らない。例えば、ブラシユニット6は、1つのロングブラシ部64L、2つのミドルブラシ部64M、2つのショートブラシ部64Sを備え、回転方向D1の一方側からショートブラシ部64S、ミドルブラシ部64M、ロングブラシ部64L、ミドルブラシ部64M、ショートブラシ部64Sの順に配置されていてもよい。つまり、複数のブラシ部64は、撹拌体13の回転方向D1において、端側から中央側に向かうにつれてブラシ寸法が大きくなるように配置されていてもよい。
【0066】
上述した例では、ブラシユニット6は、5つのブラシ部64を備えていたが、ブラシ部64の数は5つに限らず、ブラシ寸法が異なる少なくとも2つブラシ部64を備えた構成であればよい。例えば、ブラシユニット6は、2つのロングブラシ部64Lと、2つのロングブラシ部64Lの間に配置された1つのショートブラシ部64Sと、の3つのブラシ部64を備えた構成であってもよい。
【0067】
上述した例では、複数のブラシ部64は、複数のベース63と一対一に対応するように設けられていたが、この構成に限らない。ブラシ部64は、他のブラシ部64と共通のベース63に設けられていてもよい。例えば、1つのベース63に2つ以上のブラシ部64が設けられていてもよい。
【0068】
上述した例では、
図5に示すように、ショートブラシ部64Sは、回転軸方向D2に沿って複数の毛束65の長さが異なるように構成されていたが、この構成に限らず、複数の毛束65の長さが一定であってもよい。
【0069】
上述した例では、
図6A~
図6Cに示すように、ロングブラシ部64L、ミドルブラシ部64M、及びショートブラシ部64Sで、複数の毛束65の密度が互いに異なっていたが、同じであってもよい。
【0070】
上述した例では、毛束65は複数の毛で構成されていたが、1本の毛で構成されていてもよい。
【0071】
上述した例では、洗濯機は、1つのブラシユニット6を備えていたが、これに限らず、2以上のブラシユニット6をそなえていてもよい。
【0072】
上述した例では、ブラシユニット6は、洗濯槽12の内周面12aに設けられていたが、これに限らない。例えば、ブラシユニット6は、撹拌体13から回転軸A1と同軸となるように突出した円柱部に設けられていてもよい。この場合、ブラシユニット6が回転するように構成されるため、被洗濯物70は固定されない、あるいは洗濯槽12の内周面12aに固定されることが好ましい。
【符号の説明】
【0073】
1 洗濯機
12 洗濯槽
121 底部
13 撹拌体
62 ブラシユニット
64 ブラシ部
64L ロングブラシ部
64S ショートブラシ部
65 毛束
70 被洗濯物
D1 回転方向
D2 回転軸方向