(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】通信端末排出装置
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20230524BHJP
【FI】
G07G1/12 361C
(21)【出願番号】P 2020060704
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】吉永 尚人
(72)【発明者】
【氏名】秋田 基晴
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-357444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 - 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する筐体と、
前記筐体内に設けられ、通信端末が配置される搬送路と、
前記搬送路上の前記通信端末を前記開口に向かって押す押部と
を備え、
前記搬送路は、平面部と、前記平面部と連結された凹部とを有し、
前記凹部は、前記平面部よりも前記開口に近い位置に設けられた第1傾斜面を有し、
前記第1傾斜面は、前記開口に近づくほど高さが高くなり、
前記平面部と前記凹部との境界から前記第1傾斜面の前記開口側の端部までの長さは、前記通信端末における重心と第1端部との間の長さより長く、前記通信端末の前記第1端部と前記第1端部と反対側の第2端部との間の長さよりも短くなっており、
前記第1端部は、前記平面部に配置された前記通信端末において、前記通信端末が押される方向と逆方向に設けられた端部である、通信端末排出装置。
【請求項2】
前記凹部における前記開口側の端部の前記筐体の下面からの高さは、前記平面部と前記凹部との境界の前記筐体の下面からの高さと同等である、請求項1に記載の通信端末排出装置。
【請求項3】
前記境界において、前記通信端末の上面と接し、前記平面部との間で前記通信端末を支持する支持部をさらに備える、請求項1又は2に記載の通信端末排出装置。
【請求項4】
前記押部は、前記平面部上に設けられた押部材と、前記押部材を前記平面部上でスライドさせる機構とを含み、
前記押部材は、前記平面部上に配置された前記通信端末と接触し、
前記支持部は、前記押部材の一部である、請求項3に記載の通信端末排出装置。
【請求項5】
前記凹部と前記開口との間に設けられたストッパをさらに備え、
前記ストッパは、前記凹部における前記開口側の端部に連結され、
前記ストッパにおける前記開口側の前記筐体の下面からの高さは、前記凹部における前記開口側の端部の前記筐体の下面からの高さよりも高い、請求項1から4のいずれか一項に記載の通信端末排出装置。
【請求項6】
前記筐体内において、前記凹部の下方に設けられた箱部材をさらに備え、
前記凹部は、前記第1傾斜面の下端側に第1開口部を有し、
前記箱部材は、前記第1開口部と連結された第2開口部を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の通信端末排出装置。
【請求項7】
前記凹部は、前記第1傾斜面と前記平面部とに連結された第2傾斜面を有し、
前記第2傾斜面は、前記平面部側ほど高さが高くなり、
前記第2傾斜面と、前記平面部と平行な面とが成す角度は90度以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載の通信端末排出装置。
【請求項8】
前記搬送路の上方に設けられ、前記通信端末を収容する収納部と、
前記収納部から前記平面部に前記通信端末を送り出す送出し機構と、
をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の通信端末排出装置。
【請求項9】
前記第1傾斜面の長さは、前記通信端末の前記第1端部と前記第2端部との間の長さよりも短い、請求項1から8のいずれか一項に記載の通信端末排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗等での利用者の呼出しに用いられる通信端末を排出する通信端末排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フードコート等の店舗において商品を受け取る利用者を呼び出すために様々な方法が提案されている。具体的には、利用者から注文を受け付けた時に無線式の子機を利用者に手渡し、注文された商品が出来上がると親機から子機を無線により呼び出す方法等である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、店舗における省人化が求められ、上記した子機等の通信端末を自動排出する装置が提供されつつある。このような通信端末の自動排出装置では、排出された通信端末を利用者自身が取り出すため、利用者が通信端末を取出しやすい構造が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る通信端末排出装置は、筐体、搬送路、及び押部を備える。筐体は、開口を有する。搬送路は、筐体内に設けられており、通信端末が配置される。押部は、搬送路上の通信端末を開口に向かって押す。搬送路は、平面部と、平面部と連結された凹部とを有する。凹部は、平面部よりも開口に近い位置に設けられた第1傾斜面を有する。第1傾斜面は、開口に近づくほど高さが高くなる。平面部と凹部との境界から凹部における開口側の端部までの長さは、通信端末の第1端部から通信端末の重心までの長さより長く、通信端末における第1端部と第1端部と反対側の第2端部との間の長さよりも短い。第1端部は、平面部に配置された通信端末において、通信端末が押される方向と逆方向に設けられた端部である。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、排出された通信端末を利用者が取出しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る通信端末排出装置の外観を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す通信端末排出装置の概略構成を示す断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す通信端末排出装置の概略構成を示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す通信端末排出装置の概略構成を示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す通信端末排出装置の一部を抜き出した概略断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す通信端末排出装置の比較例を示す概略断面図である。
【
図7】
図7は、
図5に示す通信端末排出装置の比較例を示す概略断面図である。
【
図8A】
図8Aは、実施形態2に係る通信端末排出装置の概略構成を示す断面図である。
【
図8B】
図8Bは、実施形態2に係る通信端末排出装置の概略構成を示す断面図である。
【
図9A】
図9Aは、実施形態3に係る通信端末排出装置の概略構成を示す断面図である。
【
図9B】
図9Bは、実施形態3に係る通信端末排出装置の概略構成を示す断面図である。
【
図9C】
図9Cは、実施形態3に係る通信端末排出装置の概略構成を示す断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態4に係る通信端末排出装置の概略構成を示す断面図である。
【
図11】
図11は、変形例(1)に係る通信端末排出装置の概略構成を示す断面図である。
【
図12】
図12は、変形例(6)における通信端末排出装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。図面において、X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交し、X軸及びY軸は水平面に平行であり、Z軸は鉛直線に平行である。
【0009】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る通信端末排出装置1の外観を表す図である。通信端末排出装置1は、例えば、フードコートに配置された注文受付装置(図示略)と電気的に接続されてもよい。注文受付装置で注文が受け付けられると、通信端末排出装置1は、注文が受け付けられるごとに、予め内部に収納された通信端末2を1台ずつ排出する。通信端末2は、近距離無線通信端末である。通信端末2は、RFID(Radio Frequency Identifier)タグと、例えば呼出音を出力する報知部とが内蔵されている。通信端末2は、電気的に接続された他の装置との間で信号を受信及び/又は送信する機能を有するものであればよい。
【0010】
通信端末排出装置1は、
図1に示すように、筐体10を有する。筐体10は、略直方体形状を有するキャビネット11と前面カバー12とを有する。キャビネット11の一の面は開口されており、当該一の面に前面カバー12が取り付けられている。前面カバー12は、通信端末2を取り出すための開口1aを有する。通信端末2は、通信端末2の一部が開口1aから突き出し、且つ傾斜した状態で排出される。以下の説明では、開口1aが設けられた面を通信端末排出装置1の正面、開口1aが設けられた面と反対側の面を通信端末排出装置1の背面とする。
【0011】
以下、通信端末排出装置1の構成を
図2~
図4を参照して具体的に説明する。
図2~
図4は、
図1に示す通信端末排出装置1の概略構成を示す断面図である。
図2~
図4では、通信端末2が排出される様子が段階的に示されている。
【0012】
図2に示すように、通信端末排出装置1は、筐体10内に、収納部20、送出し機構21、押部30、搬送路40、リーダライタ50、及び制御部60を備える。
【0013】
制御部60は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリ(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)(いずれも図示略)を有する。制御部60は、CPUがメモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、通信端末排出装置1の各部を制御して通信端末2を排出する。
【0014】
収納部20は、筐体10内の上面に取り付けられ、筐体10内において搬送路40より上方に配置される。収納部20は、正面(Y軸負方向側の面)と底面(Z軸負方向側の面)とが開口された直方体形状を有する。
【0015】
送出し機構21は、収納部20の後部に設けられ、制御部60と電気的に接続される。送出し機構21は、収納部20の底部に設けられた可動爪部材(図示略)を有する。送出し機構21は、収納部20の最下に配置される通信端末2を可動爪部材によって支持するとともに、制御部60の制御の下、可動爪部材を動作させて最下の通信端末2を搬送路40へ送り出す。
【0016】
押部30は、押部材31と、押部材31を搬送路40上でスライドさせるスライド機構32とを含む。
【0017】
押部材31は、搬送路40上のデフォルト位置から所定位置までスライド機構32によってスライドされる。デフォルト位置は、収納部20から搬送路40に送り出された通信端末2の位置よりも通信端末排出装置1の背面側の位置である。
【0018】
以下の説明において、搬送路40に配置された通信端末2の一方の端部を第1端部、第1端部と反対側の端部を第2端部とする。第1端部は、搬送路40上の通信端末2において、通信端末2が押される押方向と反対側の端部であり、第2端部は、第1端部と反対側の端部である。
【0019】
スライド機構32は、モータ等のアクチュエータを含む。スライド機構32は、制御部60の制御の下、押部材31をY軸方向にスライドさせる。本実施形態において、スライド機構32は、
図3に示すように、リーダライタ50と平面視で重なる位置で通信端末2が静止するように押部材31を一時停止させる。スライド機構32は、押部材31を一時停止させた後、
図4に示すように、搬送路40の所定位置まで押部材31をスライドさせる。
【0020】
搬送路40は、平面部41と凹部42とを有する。凹部42は、開口1aと平面部41との間に設けられ、凹部42の一方の端部は平面部41と連結されている。本実施形態では、凹部42の他方の端部が開口1aに達して開口1aにつながっているが、凹部42の他方の端部と開口1aとの間に空間があってもよい。要は、凹部42は、平面部41よりも開口1aに近い位置に設けられていればよい。
【0021】
平面部41は、Y軸方向において、収納部20が設けられた位置から凹部42まで連続する略水平な平面を有する。
【0022】
凹部42は、第1傾斜面421と第2傾斜面422とを有する。
【0023】
第1傾斜面421は、第2傾斜面422よりも開口1a側に設けられ、開口1a側ほど高さが高くなっている。
【0024】
第2傾斜面422は、第1傾斜面421の最下端と平面部41とに連結され、平面部41側ほど高さが高くなっている。
図2~
図4の例において、第2傾斜面422と平面部41に平行な平面とが成す角度θは鈍角である。また、第1傾斜面421及び第2傾斜面422における筐体10の底面からの最上端の高さは略同じである。
【0025】
リーダライタ50は、搬送路40の下方に設けられる。リーダライタ50は、制御部60と電気的に接続されている。リーダライタ50は、
図3に示すように、リーダライタ50と平面視で重なる位置に配置された通信端末2と無線通信を行ってRFIDタグを読み取り、読み取った情報(以下、通信端末情報と称する)を制御部60へ出力する。以下の説明において、リーダライタ50と平面視で重なる平面部41上の位置を読取位置と記載する。
【0026】
(動作)
次に、
図2~
図4を参照して通信端末排出装置1の動作について説明する。
【0027】
通信端末排出装置1が注文受付装置(図示略)からの受付信号を取得すると、送出し機構21によって、収納部20の最下に配置された通信端末2が搬送路40の平面部41上に送り出される(
図2参照)。
【0028】
続いて、デフォルト位置に配置された押部材31がスライド機構32によってY軸負方向側にスライドされ、通信端末2が読取位置まで移動する。読取位置に配置された通信端末2のRFIDタグがリーダライタ50によって読み取られ、通信端末情報がリーダライタ50から制御部60へ出力される。
【0029】
通信端末2が読取位置に配置された後、
図4に示すように、スライド機構32によって、押部材31が平面部41上の所定位置まで通信端末2をY軸負方向側にスライドさせる。所定位置は、平面部41における凹部42側の端部の位置である。つまり、通信端末2の第1端部が平面部41と凹部42との境界を超えるまで押部材31はスライドされる。なお、押部材31は、所定位置までスライドされた後、スライド機構32によってデフォルト位置までスライドされる。
【0030】
図4に示すように、実線で示す通信端末2の第1端部が、平面部41と凹部42との境界に達した状態では、通信端末2は、凹部42における平面部41側の端部と開口1a側の端部とによって一時的に略水平に支持され、通信端末2の第2端部側の一部が開口1aから外側に突き出る。通信端末2の第1端部が平面部41と凹部42との境界を超えると、凹部42における開口1a側の端部を支点として、通信端末2の第1端部側の一部が自然落下し、一点鎖線で示すように通信端末2は第1傾斜面421に沿って配置される。その結果、通信端末2は、通信端末2の第2端部側の一部が通信端末排出装置1の外側に突き出し、且つ傾斜した状態で排出される。
【0031】
ここで、
図4に示す凹部42の構造をより具体的に説明する。
図5は、
図4に示す通信端末排出装置1の一部を抜き出した概略断面図である。また、
図6及び
図7は、
図5に示す通信端末排出装置1の比較例を示す概略断面図である。
【0032】
図5に示すように、本実施形態における凹部42の開口1a側の端部Aと平面部41側の端部Bとの間の長さL1は、通信端末2の重心2Pから第1端部までの長さL2よりも長い。従って、通信端末2の第1端部が凹部42の端部Bを超えるより前に通信端末2の重心2Pが凹部42の端部Aを超えることはない。そのため、通信端末2の第1端部が凹部42の端部Bを超える前に、通信端末2が開口1aから落下しない。また、長さL1は、通信端末2の第1端部から第2端部までの長さより短い。すなわち、長さL1は、通信端末2が押される方向と平行な方向における通信端末2の長さ(以下、全長)より短い。さらに、第1傾斜面421の長さは、通信端末2の全長より短い。そのため、通信端末2の第1端部が凹部42の端部Bを超え、通信端末2が第1傾斜面421上に落下した後、通信端末2の第2端部側の一部が開口1aから突き出し、且つ通信端末2は傾斜した状態で配置される。
【0033】
なお、通信端末2の重心2Pが凹部42の端部Bを超えると、通信端末2は、第2端部側が第1傾斜面421に向かって傾き、第2端部が第1傾斜面421に接触する。しかしながら、通信端末2は、第1端部が凹部42の端部Bを超えるまで押部30によって押されるため、第1傾斜面421に接触しながら開口1aに向かって進む。つまり、通信端末2の重心2Pが端部Bを超えた際に、通信端末2の第2端部が第1傾斜面421に接触し、通信端末2の第1端部が平面部41から浮き上がった状態において、通信端末2は、第1傾斜面421と押部30とに挟まれながら第1傾斜面421上を進む。言い換えると、通信端末2の重心2Pが端部Bを超えたとき、通信端末2は、第2端部が第1傾斜面421に突き当たる角度が鋭角となり、押部30と凹部42の端部Bと第1傾斜面421とに接触した状態で第1傾斜面421に沿って押し進められる。押部30は、平面部41の凹部42側の端部、すなわち凹部42の端部Bで停止するまで通信端末2の第1端部と接触するように押部材の高さが規定されていればよい。そのため、通信端末2の第1端部が凹部42の端部Bに達した状態において、通信端末2は、凹部42の端部A及び端部Bによって一旦略水平に支持され、第1端部が凹部42の端部Bから落下すると第1傾斜面421に沿って配置される。
【0034】
これに対し、
図6に示すように、仮に、凹部42における端部Aと端部Bの間の長さL11が、通信端末2の重心2Pから第1端部までの長さL2よりも短い場合、通信端末2の第1端部が凹部42の端部Bを超えるより前に通信端末2の重心2Pが凹部42の端部Aを超え、開口1aから通信端末2が落下する。
【0035】
また、
図7に示すように、仮に、凹部42における端部Aと端部Bの長さL12が、通信端末2の全長よりも長い場合、通信端末2の重心2Pが凹部42の端部Bを超えたときに、通信端末2が第2端部から凹部42に落下する。その結果、通信端末2の第2端部が第1傾斜面421に引っ掛かり、押部材31で押されても通信端末2が開口1aに向かって移動しないことが生じうる。
【0036】
図1~
図5を参照して説明した通信端末排出装置1において、搬送路40は平面部41と凹部42とを有する。凹部42は、開口1a側に設けられた第1傾斜面421と平面部41側に設けられた第2傾斜面422とで構成される。第1傾斜面421は、開口1a側ほど高さが高くなり、第2傾斜面422は、平面部41側ほど高さが高くなっている。
図5に示したように、凹部42の開口1a側の端部Aと平面部41側の端部Bとの間の長さL1は、通信端末2の重心2Pから第1端部までの長さL2よりも長い。そのため、通信端末2の第1端部が凹部42の端部Bを超える前に通信端末2の重心2Pが凹部42の端部Aを超えず、通信端末2の第1端部が凹部42の端部Bを超えたときに第1傾斜面421上に通信端末2を落下させることができる。また、長さL1は、通信端末2の第1端部と第2端部との間の長さより短いため、第1傾斜面421上に落下した通信端末2の第2端部側の一部が開口1aの外側に突き出し、通信端末2は第1傾斜面421に沿って傾斜した状態で配置される。その結果、通信端末2の一部が外部に突き出ることなく、通信端末2が略水平に排出される場合と比べて、利用者は通信端末2を取り出しやすい。また、通信端末2が略水平に排出される場合と比べて筐体10のY軸方向の長さをより短くすることができ、通信端末排出装置1を小型化できる。
【0037】
また、仮に、第2傾斜面422と平面部41に平行な平面とが鋭角を成している場合、通信端末2の第1端部が凹部42の端部Bを超えたときに、通信端末2の第1端部が第2傾斜面422に引っ掛かり、第1傾斜面421と第2傾斜面422との間に通信端末2が止まってしまう可能性がある。
図5に示した通信端末排出装置1は、第2傾斜面422と平面部41に平行な平面とが鈍角を成している。そのため、通信端末2の第1端部が凹部42の端部Bを超えた後、通信端末2の第1端部が第2傾斜面422に引っ掛かることなく、第1傾斜面421に沿って通信端末2を配置させることができる。
【0038】
[実施形態2]
上述した実施形態1では、通信端末2が押される速度、第1傾斜面421と第2傾斜面422との間の角度、又は第1傾斜面421の長さ等によって、通信端末2の重心2Pが凹部42の端部Bを超えた後、通信端末2の第2端部が第1傾斜面421に引っ掛かり、通信端末2の一部が開口1aから外部へ突き出ない場合がある。具体的には、通信端末2が筐体10内に留まる場合が生じうる。また、第1傾斜面421における筐体10の底面からの最上端の高さが、第2傾斜面422における筐体10の底面からの最上端の高さ(平面部41の高さ)よりも低い場合には、通信端末2が開口1aの外側へ落下する場合がある。本実施形態では、通信端末2の一部が開口1aから外部へ突き出ない状態や、通信端末2が開口1aの外部へ落下する状態を防止する。
【0039】
図8A及び8Bは、実施形態2に係る通信端末排出装置1Aの概略構成を示す断面図である。
図8A及び
図8Bは、通信端末2が平面部41から凹部42に移動する様子を示している。
図8A及び8Bにおいて、実施形態1と同じ構成には実施形態1と同じ符号が付されている。
図8A及び8Bでは、実施形態1と同様、第1傾斜面421及び第2傾斜面422における筐体10の底面からの最上端の高さは同等である。以下、主として、実施形態1と異なる構成について説明する。
【0040】
図8A及び8Bに示すように、本実施形態に係る押部材311は、実施形態1の押部材31と形状が異なる。具体的には、押部材311は、通信端末2の第1端部と通信端末2の上面の一部とに接するように屈曲した形状を有する。押部材311は、押部材31と同様、平面部41におけるデフォルト位置から所定位置までスライド機構32によってスライドされる。
【0041】
押部材311は、通信端末2の第1端部だけでなく通信端末2の上面と接する。そのため、
図8Aに示すように、通信端末2の重心2Pが凹部42の端部Bを超えても、通信端末2は押部材311と平面部41とによって挟持され、通信端末2の第2端部側が第1傾斜面421の方へ傾きにくい。その結果、
図8Bに示すように、通信端末2の第1端部が凹部42の端部Bに達するまで、通信端末2の姿勢が略一定に保たれる。通信端末2の第1端部が凹部42の端部Bに達した後は、通信端末2が第1傾斜面421に沿って配置され、通信端末2の一部が開口1aから外部へ突き出る。
【0042】
押部材311において通信端末2の上面の一部と接する部分は、凹部42の端部B、すなわち、平面部41の凹部42側の端部において、通信端末2を支持する支持部として機能する。つまり、押部材311は、平面部41との間で通信端末2を支持する支持部と通信端末2を押す部分とが一体的に形成されている。そのため、部品点数を増やすことなく、通信端末2の一部が開口1aから外部へ突き出ない状態を防止することができる。また、
図8A及び8Bにおいて、第1傾斜面421における筐体10の底面からの最上端の高さが、第2傾斜面422における筐体10の底面からの最上端の高さ(平面部41の高さ)よりも低い場合であっても、凹部42の端部Bにおいて通信端末2は押部材311と平面部41とによって挟持され、通信端末2が開口1aの外部へ落下しにくい。
【0043】
[実施形態3]
本実施形態では、実施形態2とは異なる方法で、通信端末2の一部が開口1aから外部へ突き出ない状態を防止する。
【0044】
図9A~9Cは、実施形態3に係る通信端末排出装置1Bの概略構成を示す断面図である。
図9A~9Cは、通信端末2が平面部41から凹部42に移動する様子を段階的に示している。
図9A~9Cでは、実施形態1と同様、第1傾斜面421及び第2傾斜面422における筐体10の底面からの最上端の高さは同等である。
図9A~9Cにおいて、実施形態1と同じ構成には実施形態1と同じ符号が付されている。以下、主として、実施形態1と異なる構成について説明する。
【0045】
図9A~9Cに示すように、本実施形態では、凹部42の端部B、すなわち、平面部41の凹部42側の端部において、平面部41より上方に支持部材33が設けられている。支持部材33は、略直方体形状を有し、筐体10内において、Y軸方向に回動可能に軸支されている。
【0046】
図9Aに示すように、通信端末2の第2端部が支持部材33に接触し、押部材31によって通信端末2が凹部42側へ押されると、支持部材33がY軸負方向に回動する。その結果、
図9Bに示すように、支持部材33は通信端末2の上面と接触し、平面部41との間で通信端末2を挟持する。
図9Cに示すように、押部材31が所定位置までスライドし、通信端末2の第1端部が凹部42の端部Bを通過するまで、支持部材33は通信端末2の上面と接触する。その結果、通信端末2は、重心2Pが凹部42の端部Bを超えても、支持部材33によって第2端部側が傾きにくく、第1端部が凹部42の端部Bを超えるまで、通信端末2の姿勢が略一定に保たれる。通信端末2の第1端部が凹部42の端部Bに達した後は、通信端末2が第1傾斜面421に沿って配置され、通信端末2の一部が開口1aから外部に突き出る。
【0047】
実施形態3では、押部材31とは別に筐体10内に支持部材33が設けられる。そのため、実施形態2と比べて部品点数は増えるが、通信端末2の一部が開口1aから外部に突き出ない状態を防止することができる。
【0048】
なお、支持部材33は
図9A~9Cに示す構造に限定されない。つまり、支持部材の形状は、直方体形状に限らず、回動しない固定されたものであってもよい。要は、凹部42の端部Bに通信端末2の重心2Pが達した後、支持部材が、凹部42の端部Bにおいて通信端末2の上面の一部と接触していればよい。これにより、凹部42の端部Bに通信端末2の重心2Pが達した後、通信端末2の第2端部側が第1傾斜面421の方へ傾いて第1端部側が平面部41から浮き上がりにくく、凹部42に通信端末2が留まりにくい。また、
図9A~9Cにおいて、第1傾斜面421における筐体10の底面からの最上端の高さが、第2傾斜面422における筐体10の底面からの最上端の高さ(平面部41の高さ)よりも低い場合であっても、凹部42の端部Bにおいて通信端末2は支持部材33と平面部41とによって挟持され、通信端末2が開口1aの外部へ落下しにくい。
【0049】
[実施形態4]
上述した実施形態1において通信端末2の一部が開口1aに突き出ていない状態、すなわち、通信端末2が排出されていない状態では、開口1aから塵等の異物が筐体10内部に侵入しやすい。開口1aから侵入した異物が平面部41側に入り込むと通信端末2を開口1aに排出することが困難になる。本実施形態では、平面部41まで異物が入り込みにくい構造について説明する。
【0050】
図10は、実施形態4に係る通信端末排出装置1Cの概略構成を示す断面図である。
図10において、実施形態1と同じ構成には実施形態1と同じ符号が付されている。以下、主として、実施形態1と異なる構成について説明する。
【0051】
図10に示すように、本実施形態における凹部42は、第1傾斜面421と第2傾斜面422との間に開口42aを有する。開口42aは、第1傾斜面421の下端側に開口42aが形成されていればよい。なお、開口42aのY軸方向の長さは、通信端末2の厚みよりも小さい。
【0052】
また、通信端末排出装置1Cは、筐体10内において、凹部42の下方に配置された箱部材70を有する。
【0053】
箱部材70は、略直方体形状を有し、開口42a側の面に開口70aを有する。開口70aは、凹部42における開口42aと連結され、箱部材70の内部は開口70aを介して凹部42の第1傾斜面421とつながっている。なお、箱部材70は、開口42aと連結された開口を有する容器であれば、
図10に示す形状に限定されない。
【0054】
箱部材70が凹部42の下方に設けられることにより、開口1aから塵等の異物が侵入しても、第1傾斜面421に沿って異物が箱部材70に入り込みやすくなり、平面部41に異物が入り込みにくい。その結果、異物侵入によって通信端末2の一部が開口1aから外部へ突き出ない状態を防止することができる。
【0055】
以上、図面(
図1~
図10)を参照しながら通信端末排出装置の実施形態を説明した。但し、通信端末排出装置は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下、上述した実施形態の変形例を説明する。
【0056】
(変形例)
(1)
図1~
図10を用いて説明した通信端末排出装置1及び1A~1Cにおいて、通信端末2が押される速度が速くなると、開口1aから通信端末2が飛び出しやすく、通信端末2が落下する可能性がある。本変形例では、通信端末2が開口1aから落下することを防止する構成について説明する。
【0057】
図11は、本変形例に係る通信端末排出装置1Dの概略構成を示す断面図である。
図11において、
図5に示す通信端末排出装置1と同じ構成には
図5と同じ符号が付されている。以下、主として、
図5と異なる構成について説明する。
【0058】
図11に示すように、本変形例に係る通信端末排出装置1Dは、筐体10A内にストッパ80を有する。ストッパ80は、凹部42の端部Aと開口1aとの間に配置されている。ストッパ80の一方の端部は、凹部42の端部Aと連結され、他方の端部は、開口1aにつながっている。ストッパ80は、通信端末排出装置1Dの下方(Z軸負方向)に折れ曲がった屈曲形状を有する。通信端末2の第1端部が凹部42の端部Bに達した状態において、通信端末2の第2端部はストッパ80の開口1a側の端部Cに到達しない。すなわち、凹部42の端部Bからストッパ80の端部Cまでの長さは、通信端末2の全長よりも長い。また、ストッパ80の端部Cの高さは、凹部42の端部Aの高さより高い。ここで、高さは、筐体10Aの下面からの高さを示す。
【0059】
ストッパ80を凹部42に連結することによって通信端末排出装置1Dの筐体10のY軸方向の長さは、
図5に示す通信端末排出装置1の筐体10のY軸方向の長さよりも長くなる。しかしながら、通信端末2の第2端部が凹部42の端部Aを超えた場合、通信端末2の第2端部がストッパ80に衝突し、その反動で通信端末2は凹部42側へ戻される。その結果、通信端末2は凹部42の第1傾斜面421に沿って配置される。本変形例では、凹部42の第1傾斜面421に沿って通信端末2が配置された状態において、通信端末2の一部が開口1aから突き出ることはないが、通信端末2が開口1aから飛び出して落下することを防止することができる。
【0060】
図11の例では、ストッパ80が筐体10A内に設けられているが、筐体10の外側の面にストッパが設けられていてもよい。つまり、前面カバー12(
図1参照)の表面において、開口1aの下側にストッパが連結されてもよい。この場合のストッパは、ストッパ80のように屈曲した形状ではなく、平板形状であってもよいが、ストッパの先端の高さは、凹部42の端部Aの高さより高い方が好ましい。このように構成することにより、開口1aから通信端末2が飛び出しても、ストッパに通信端末2の第2端部が衝突し、その反動で凹部42側へ通信端末2が戻される。その結果、凹部42の第1傾斜面421に沿って通信端末2が配置され、通信端末2の落下を防止することができる。
【0061】
なお、筐体10の外側にストッパが設けられる場合、通信端末排出装置1DのY軸方向の長さが
図5に示す通信端末排出装置1よりも大きくなる。そのため、ストッパの前面カバー12との連結部分にバネ等の弾性部材を用い、弾性部材の付勢力によってストッパを開口1aに押し付け、通信端末2の第2端部がストッパに衝突したときにストッパが開口1aから離れるようにしてもよい。
【0062】
(2)
図1~
図11を用いて説明した通信端末排出装置1及び1A~1Dにおいて、通信端末2のRFIDタグは、収納部20から通信端末2が平面部41に送り出されたときに読み取られるようにしてもよい。この場合には、リーダライタ50を、平面部41の下方であって、収納部20と平面視で重なる位置に配置してもよい。
【0063】
(3)
図1~
図11を用いて説明した通信端末排出装置1及び1A~1Dにおいて、凹部42における第2傾斜面422と平面部41と平行な平面とが成す角度は90°以上であればよい。第2傾斜面422と、平面部41と平行な平面とが成す角度が90°であっても、通信端末2が凹部42に落下した後、通信端末2の第1端部が第2傾斜面422に引っ掛かりにくい。
【0064】
(4)
図1~
図11を用いて説明した通信端末排出装置1及び1A~1Dは、フードコート以外の施設において、注文等の何等かの受付を行った利用者を呼び出す際に用いられてもよい。
【0065】
(5)
図1~
図11を用いて説明した通信端末排出装置1及び1A~1Dは、筐体10、10Aの内部に収納部20が設けられる例を説明したが、収納部20が筐体10、10A内に設けられていなくてもよい。例えば、筐体10、10Aの上面側又は背面側に収納部20が設けられ、筐体10、10Aの上面側又は背面側から平面部41上に通信端末2が配置されるように構成されてもよい。
【0066】
(6)
図1~
図11を用いて説明した通信端末排出装置1及び1A~1Dにおいて、第1傾斜面421の開口1a側に窪みが形成されていてもよい。
図12は、本変形例の通信端末排出装置1の概略断面図である。また、
図13は、
図12に示す通信端末排出装置の凹部42部分を拡大した模式図である。
図12に示すように、第1傾斜面421は、斜面部421aと、破線で示す窪み421bとを有する。
図12及び
図13に示すように、斜面部421aは、平面部41から落下し、第1傾斜面421に配置された通信端末2のX軸方向の両端と接触し、通信端末2を支持する。窪み421bは、第1傾斜面421において、端部A側であって斜面部421aのX軸方向の両端よりも内側に形成されている。つまり、第1傾斜面421において、斜面部421aより内側に窪み421bが形成されており、通信端末2が第1傾斜面421に配置された状態で窪み421bは通信端末2と接触しない。言い換えると、第1傾斜面421は、開口1a側において、X軸方向の両端よりも高さが低い段差を有する。このように構成することにより、第1傾斜面421全体が平坦である場合と比べ、利用者が窪み421bに手を入れて通信端末2を取り出しやすくなる。
【0067】
(7)
図1~
図13を用いて説明した通信端末排出装置1及び1A~1Dでは、通信端末2を排出する例を説明したが、通信端末2に替えて、通信機能を備えていない商品等の物体を排出してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1、1A~1D 通信端末排出装置
1a、42a、70a 開口
2 通信端末
10、10A 筐体
11 キャビネット
12 前面カバー
20 収納部
21 送出し機構
30 押部
31、311 押部材
32 スライド機構
33 支持部材
40 搬送路
41 平面部
42 凹部
50 リーダライタ
60 制御部
70 箱部材
80 ストッパ
421 第1傾斜面
422 第2傾斜面