(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230526BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2020170921
(22)【出願日】2020-10-09
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】兼子 潔人
(72)【発明者】
【氏名】宮永 真
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 忠
(72)【発明者】
【氏名】石黒 隆行
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-161289(JP,A)
【文献】特開2019-30404(JP,A)
【文献】特開2021-159638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F5/04、7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に
前側発光素子、後面に
後側発光素子をそれぞれ実装した回路基板と、
前記回路基板の前面に重ねられて、
前記前側発光素子の光を前方に出向させて光演出を行う第1演出部と、
前記回路基板の後面に重ねられる板状をなして
、前記後側発光素子からの光を取り込む後側透光板と、
前記後側透光板に設けられ、前方から視認可能で前記後側発光素子の光を前方に出光させて光演出を行う出光部と、を有し、
前記回路基板にて、前記後側透光板と前記第1演出部との間を遮光する遊技機
であって、
前記第1演出部は、前記回路基板の前面に重ねられる板状をなし、前記前側発光素子からの光を取り込み、拡散させて前側主平面から出光させる前側透光板と、前記前側透光板の前面に、遊技のキャラクターが描かれかつ光を拡散させて透過する装飾シートを挟んで重ねられる装飾用透光板と、を有する遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技の演出を行うための回路基板を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機として、回路基板の前面に、遊技の演出を行うための発光素子やソレノイド等の動作部品を実装したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-37537号公報(
図6参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしならが、上記した従来の遊技機に対し、遊技者から視認不能な回路基板の後面を有効利用する技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の遊技機は、前面に前側発光素子、後面に後側発光素子をそれぞれ実装した回路基板と、前記回路基板の前面に重ねられて、前記前側発光素子の光を前方に出向させて光演出を行う第1演出部と、前記回路基板の後面に重ねられる板状をなして、前記後側発光素子からの光を取り込む後側透光板と、前記後側透光板に設けられ、前方から視認可能で前記後側発光素子の光を前方に出光させて光演出を行う出光部と、を有し、前記回路基板にて、前記後側透光板と前記第1演出部との間を遮光する遊技機であって、前記第1演出部は、前記回路基板の前面に重ねられる板状をなし、前記前側発光素子からの光を取り込み、拡散させて前側主平面から出光させる前側透光板と、前記前側透光板の前面に、遊技のキャラクターが描かれかつ光を拡散させて透過する装飾シートを挟んで重ねられる装飾用透光板と、を有する遊技機である。
【発明の効果】
【0006】
本開示の遊技機では、回路基板の前面には、前側実装部品が実装されると共に第1演出部が重ねられている。そして、第1演出部で前側実装部品の出力を利用した遊技演出を行う。一方の、回路基板の後面には、後側実装部品である後側発光素子が実装されると共に、後側透光板が重ねられている。そして、後側透光板に後側発光素子からの光が取り込まれ、後側透光板のうち前方から視認可能な位置に設けられた出光部から前方に出光されて光演出が行われる。これにより、回路基板の後面の有効利用が図られると共に、回路基板が後側透光板と第1演出部との間を遮光する遮光板の役割を兼ね、回路基板自体の有効利用も図られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図7】前側透光板と回路基板とが重なった状態の前面側の斜視図
【
図9】回路基板と後側透光板とが重なった状態の後面図
【
図10】電飾パネルの一部を拡大した前面側の分解斜視図
【
図11】電飾パネルの一部を拡大した後面側の分解斜視図
【
図12】回路基板と後側透光板とが重なった状態の一部拡大後面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図15を参照して、本開示の一実施形態に係るパチンコ遊技機10(本発明の「遊技機」に相当する。)について説明する。
図1に示すように、パチンコ遊技機10は、前面を前面枠10Zで覆われ、その前面枠10Zのガラス窓10Wを通して
図2に示す遊技板11の遊技領域R1が視認可能になっている。以下の説明において、特記しない限り「右」及び「左」とは、遊技機10を前方から見た場合の「右」及び「左」を指すものとする。また、図面には、横方向を符号「H1」で示し、その矢印の右側を「R」、左側を「L」として示すと共に、前後方向を符号「H2」で示し、その矢印の前側を「F」、後側を「B」として示す。
【0009】
図2に示すように、遊技領域R1は全体をガイドレール12により囲まれ、内側に遊技板11を貫通する表示開口11Hを備える。遊技領域R1のうち表示開口11Hの周囲には、複数の普通入賞口21と、複数の始動入賞口14と、大入賞口20及び始動ゲート18と、図示しない複数の障害釘とが分散配置されている。また、遊技領域R1の下端部にはアウト口22が設けられている。そして、遊技機10の前面右下の操作ハンドル28(
図1参照)の操作に応じて遊技球が遊技領域R1に打ち込まれ、何れかの入賞口かアウト口22を通して遊技板11の後側に取り込まれる。また、入賞口に遊技球が入球(入賞)すると、複数の遊技球(賞球)が遊技機10の上皿26(
図1参照)に払い出される。さらには、始動ゲート18を遊技球が通過するか、始動入賞口14に遊技球が入賞すると、当否判定が行われて、その判定結果が当りになると遊技者に一定の利益が付与される。
【0010】
また、遊技板11は、透明な樹脂で構成され、右側部から右下部に亘る範囲には、塗装が施されて遊技板11の後側の視認が困難になっているが、それ以外は遊技板11の後側を前方から視認可能になっている。そして、その遊技板11の後側には、
図3に示した演出装置30が取り付けられている。
【0011】
演出装置30は、表示装置13と可動役物装置31と電飾パネル32とを支持枠17に組み付けてなる。表示装置13は、液晶ディスモニタであって、全体が四角形の板状をなし、支持枠17の後面に備えた図示しない嵌合部に嵌合されている。そして、表示装置13の前面の表示画面13Gが、支持枠17の内側開口17Hと遊技板11の表示開口11Hを通して前方に臨んでいる。また、表示画面13Gには、遊技のキャラクターの映像を含む演出画像が表示されると共に、上述の当否判定の判定結果が表示される。
【0012】
可動役物装置31は、
図3に輪郭のみを示された複数の可動装飾部材31Aを、表示装置13の前方に配置された回転リング31Rに支持し、図示しないモータでそれら回転リング31Rと可動装飾部材31Aとを駆動するようになっている。また、通常は、複数の可動装飾部材31Aの大部分が、遊技板11における右側の被塗装部分の後側に隠れている。そして、遊技の進行に応じて遊技板11の透明部分や表示開口11Hを通して視認可能な位置で迫り出す。また、例えば、可動役物装置31の複数の可動装飾部材31Aは、遊技のメインキャラクターを構成していて、表示画面13Gに表示される演出画像に合わせて、複数の可動装飾部材31Aからなるメインキャラクターが動作することで、趣向性が高い演出が行えるようになっている。
【0013】
電飾パネル32は、略C字形をなし、可動役物装置31の可動領域より前側で、支持枠17の左側部の全体と上辺部及び下辺部の左端部とに重ねて取り付けられている。また、
図2に示すように、電飾パネル32の大部分は、表示開口11Hより側方に位置して、遊技板11の透明部分を通して視認可能になっている。さらには、
図3に示すように、電飾パネル32の下端部には、遊技領域R1の下部中央の始動入賞口14と左下部の1対の普通入賞口21とに入賞した遊技球を受け入れて下方に案内するダクト30Dが一体形成されている。そして、電飾パネル32の略全体には、例えば、可動役物装置31に使用されているメインキャラクター以外の複数のキャラクターの図柄(以下、「キャラクター図柄」という)で装飾され、それらキャラクター図柄が発光するようになっている。以下、電飾パネル32の構成について詳説する。
【0014】
図4に示すように、電飾パネル32は、透光カバー板33と装飾シート34と前側透光板35と回路基板36と後側透光板37とを前側から順番に重ねた5層構造をなしている。装飾シート34は、透明なフィルムの後面に図柄部34Aを重ねてなり、その図柄部34Aは、例えば、複数(例えば、4つ)のキャラクター図柄を描いた塗料層の後ろに白色のベース塗料層を重ねてなる。また、複数のキャラクター図柄は縦に並べられて、それらキャラクター図柄同士の間を仕切るように、図柄部34Aを有しない透明な帯状透光部34Bが設けられている。また、各帯状透光部34Bは、キャラクター図柄の輪郭に沿って装飾シート34の右側端部から左端部の手前位置まで延びている。なお、装飾シート34の外縁部には、複数のピン孔34Pと複数の位置決溝34Rとが形成されている。また、装飾シート34の下端部には、ダクト30D(
図3参照)との干渉を回避するための切欠34Xが形成されている。
【0015】
透光カバー板33は、特許請求の範囲の「装飾用透光板」に相当し、全体が透明な樹脂で構成されている。
図5に示すように、透光カバー板33の後面には、外縁部の略全体から突出する包囲壁33Aと、包囲壁33Aに内側から隣接する複数の位置決ピン33Pと、前述したダクト30Dの一部を構成するダクト構成部33Dとが備えられている。そして、透光カバー板33の後面に装飾シート34が重ねられ、装飾シート34の複数のピン孔34Pと位置決溝34Rとに位置決ピン33Pが受容されている(
図11参照)。
【0016】
図4に示すように、透光カバー板33の前面には、装飾シート34の各キャラクター図柄の前方に、各キャラクター図柄に対応した凹凸を有する肉盛部41が形成されている。また、透光カバー板33の前面のうち装飾シート34の帯状透光部34Bの前方には、肉盛部41を分割するように帯状平坦部33Jが形成されている。さらには、透光カバー板33のうち右側外縁部と上辺部分の下縁部と下辺部分の上縁部とに亘る外縁部にも帯状平坦部33Hが形成されている(以下、帯状平坦部33Hを「第1帯状平坦部33H」といい、帯状平坦部33Jを「第2帯状平坦部33J」という)。また、
図13に示すように、透光カバー板33のうち第1帯状平坦部33Hを備えた外縁部では、前述の包囲壁33Aは、第1帯状平坦部33Hの幅方向の内側部分に位置し、包囲壁33Aから外側に庇部33Bが張り出した構造になっている。
【0017】
図4に示すように、前側透光板35は、装飾シート34の各キャラクター図柄毎の第1~第4の前側透光板35A~35Dに分割されている。また、第1~第4の各前側透光板35A~35Dは、複数のピン孔35Pをそれぞれ有し、それらピン孔35Pに透光カバー板33の位置決ピン33Pが挿入されて透光カバー板33に対して位置決めされる。さらには、第1~第4の各前側透光板35A~35Dは、透明な樹脂製であって、前面全体が平滑面をなし、後面の略全体が、曇りガラスと同様の微細な凹凸を有する反射粗面35S(
図14参照)になっている。そして、前側透光板35の内部に入光した光が反射粗面35Sで乱反射して前側透光板35の前面全体から出光される。前側透光板35の入光面35Nに関しては、後に説明する。なお、前側透光板35の下端部にも、装飾シート34と同様に、ダクト30D(
図3参照)との干渉を回避するための切欠35Xが形成されている。
【0018】
図6に示すように、回路基板36は、上下方向の途中位置で第1と第2の回路基板36A,36Bとに二分割され、それら第1と第2の回路基板36A,36Bの間には、前述した装飾シート34の上から2番目の帯状透光部34Bに対応した幅の隙間が空けられている。そして、上側の第1の回路基板36Aに、上から1番目の帯状透光部34Bに対応したスリット36Zが形成され、下側の第2の回路基板36Bに、上から3番目の帯状透光部34Bに対応したスリット36Zが形成されている。また、第1及び第2の各回路基板36A,36Bの外縁部には、透光カバー板33の位置決ピン33Pが貫通される複数のピン孔36Pが形成されている。さらに、第2の回路基板36Bの下端部には、装飾シート34及び前側透光板35と同様に、ダクト30Dとの干渉を回避するための切欠36Xが形成されている。
【0019】
回路基板36には、前面と後面とに複数の発光素子42,42Bが実装されている。発光素子42,42Bは、
図6に示すように、何れもチップ型のものであって、下面を回路基板36に重ねた状態に固定されている。そして、複数の発光素子42,42Bのうち大部分を占めかつ回路基板36の前後の両面に実装されている発光素子42は、側面に発光部42A(
図13参照)を有する。一方、
図8に示すように、回路基板36の後面のみに実装されている発光素子42Bは、回路基板36への実装面の反対側に発光部を有する(以下、発光素子42Bを、適宜「上面点灯型の発光素子42B」という)。また、回路基板36の前面の発光素子42は、例えば、無色の光を出光するものである一方、回路基板36の後面の発光素子42,42Bは、赤、緑、青等の有色の光を出光するものとなっている。さらには、
図6に示すように、回路基板36の複数箇所には、スルーホールやランド等の導電部36Fが露出している。また、
図9に示すように、回路基板36の後面には、回路基板36のうち発光素子42の近傍に、チップ型の抵抗素子42Fが実装されている。
【0020】
より具体的には、
図6に示すように、第1の回路基板36Aの前面においては、スリット36Zより下側の左側縁部に沿って複数の発光素子42が並べて配置され、それらの発光部42Aは右側を向いている。さらに、第1の回路基板36Aの前面におけるスリット36Zより上側部分には、第1の回路基板36Aの左側縁部と上縁部との間をショートカットするように斜めに延びる架空の線に沿って複数の発光素子42が並べて配置され、それらの発光部42Aは右側を向いている。また、第2の回路基板36Bの前面においては、左側縁部と下縁部とに沿って複数の発光素子42が並べて配置されている。そして、左側縁部の複数の発光素子42の発光部42Aが右側を向き、下縁部の複数の発光素子42の発光部42Aが上側を向いている。回路基板36の各後面における発光素子42等の配置は、後に説明する。
【0021】
図6及び
図7に示すように、上述した第2及び第3の前側透光板35B,35Cは、回路基板36の前面の発光素子42からの光を取り込むために、左側面が入光面35Nになっている。また、第4の前側透光板35Dは、左側面と下面とが入光面35Nになっている。さらには、第1の前側透光板35Aは、上下方向に対して傾斜した架空の線に沿って並ぶ複数の矩形孔35Kを有し、それら矩形孔35Kに回路基板36の発光素子42が受容される。また、各矩形孔35Kは、上下方向と横方向H1とに平行な内側面を有し、それらのうち右側内側面が入光面35Nになっている。
【0022】
なお、第1の前側透光板35Aの後面には、第1の回路基板36Aのスルーホールやランド等の導電部36Fと第1の前側透光板35Aとの接触を避けるために、複数の凹部35Mが形成されている。また、複数の矩形孔35Kの近傍には、それらに収容される複数の発光素子42の近傍の導電部36Fとの接触を避けるための溝部35Lが形成されている。
【0023】
図4に示すように、後側透光板37は、平坦な前面と後面とを有し、全体を透明な樹脂で構成されている。また、
図4及び
図10に示すように、後側透光板37の前面の左側縁部、上縁部及び下縁部からは、透光カバー板33の包囲壁33Aに対応した包囲壁37Aが突出し、その内側に、透光カバー板33の位置決ピン33Pが貫通する複数のピン孔37Pが形成されている。各ピン孔37Pの開口縁からは押え突部37Rが突出し、その先端面は、包囲壁37Aの先端面と略面一になっている。また、後側透光板37の前面のうち上記した包囲壁37Aを有する縁部以外の残りの縁部の全体からは、包囲壁37Aと面一の先端面を有しかつ、包囲壁37Aより幅が広い出光突条48が突出している。また、後側透光板37の前面のうち装飾シート34の帯状透光部34Bと対向する位置にも、包囲壁37Aと面一の先端面を有しかつ、包囲壁37Aより幅が広い出光突条49が突出している。以下、出光突条48を「第1出光突条48」といい、出光突条49を「第2出光突条49」という。
【0024】
図14に示すように、第1出光突条48は、後面側に反射斜面46を有する。反射斜面46は、第1出光突条48の後面における幅方向の中間位置と第1出光突条48の側面における前寄り位置との間を連絡するように傾斜している。また、
図12及び
図13に示すように、反射斜面46は、長手方向に山部46Aと谷部46Bとを交互に備える波形面になっていて、その波形は三角波になっている。そして、
図14に示すように、後側透光板37の内部に入光した光が、反射斜面46で反射されて第1出光突条48の前面から前方に出光される。これを前方から見ると、第1出光突条48全体が発光して見える。
【0025】
図12に示すように、第2出光突条49は、その幅方向の一方寄り位置に前後に貫通するスリット49Sを有する。そして、スリット49Sより第2出光突条49の幅方向の他方側の外面に第1出光突条48の反射斜面46と同様に三角波形状をなした反射斜面50を備え、
図15に示すように、反射斜面50がスリット49Sに向かって下るように傾斜した構造をなしている。そして、後側透光板37の内部に入光した光が、反射斜面50で反射されて第2出光突条49の前面から前方に出光される。これを前方から見ると、第2出光突条49全体が発光して見える。
【0026】
図8に示すように、第1出光突条48と第2出光突条49とを発光させるために回路基板36の後面には、複数の発光素子42,42Bが配置されると共に、それらの近傍には抵抗素子42Fが配置されている。具体的には、回路基板36の上縁部には、発光素子42と上面点灯型の発光素子42Bとが交互に並べて配置されている。回路基板36の上縁部以外では、回路基板36の長手方向の複数位置における回路基板36の縁部から離れた部分に、複数の発光素子42と複数の抵抗素子42Fとからなる素子群が設けられている。
【0027】
上記した回路基板36の後面の複数の発光素子42,42Bからの光を後側透光板37の内部に取り込むために後側透光板37の上縁部には矩形孔43Xと丸孔43Yとが交互に並べて形成されて、それらに発光素子42,42Bが受容されている。また、後側透光板37の上縁部以外では、回路基板36の各素子群を受容する複数の受光窓43が形成されている。そして、矩形孔43X,丸孔43Y、受光窓43の内面を入光面37Nとし、発光素子42,42Bからの光が後側透光板37に取り込まれて、第1出光突条48及び第2出光突条49に向かう。そのために、複数の発光素子42の発光部42Aは様々な方向に向けられ、これに対応して、受光窓43が異形状をなして内面が様々な方向を向いている。なお、
図13に示すように、後側透光板37は、包囲壁37Aと第1出光突条48と第2出光突条49とによって回路基板36の後面から全体が浮いた状態になり、その浮いた状態を維持するために受光窓43の開口縁から前方に複数の当接突部43T(
図10参照)が突出している。また、後側透光板37の下端部には、ダクト30Dを構成するためのダクト構成部37Dが備えられている。
【0028】
上記してきた電飾パネル32の透光カバー板33等の複数の構成部品は、以下のように組み付けられている。即ち、透光カバー板33、装飾シート34、前側透光板35、回路基板36及び後側透光板37を重ね合わせると、前端と後端の後側透光板37と透光カバー板33とが合体して基板ケース38になる。即ち、後側透光板37のピン孔37Pに透光カバー板33の位置決ピン33Pを挿入して透光カバー板33と後側透光板37とを合体させると、
図13に示すように、包囲壁37A及び第1出光突条48の先端面が、透光カバー板33の包囲壁33Aに当接して収容空間が形成され、装飾シート34、前側透光板35及び回路基板36を収容可能な基板ケース38が形成される。そして、基板ケース38内では、装飾シート34、前側透光板35及び回路基板36が、透光カバー板33の複数の位置決ピン33Pによって位置決めされると共に、透光カバー板33の後面と後側透光板37における複数の押え突部37R(
図10参照)とに挟まれて固定される。また、透光カバー板33及び後側透光板37のダクト構成部33D,37Dが合体して演出装置30のダクト30Dになる。
【0029】
また、
図13に示すように、透光カバー板33の包囲壁33Aは、後側透光板37の第1出光突条48の前面のうち内縁部のみに当接し、第1出光突条48の前面のうち内縁部以外は透光カバー板33の庇部33Bに対向した状態になる。さらには、
図15に示すように、第2出光突条49は、回路基板36のスリット36Zや前側透光板35及び回路基板36の隙間と、装飾シート34の帯状透光部34Bとを通して透光カバー板33の第2帯状平坦部33Jに対向する。
【0030】
本実施形態の遊技機10の構成に関する説明は以上である。次に、この遊技機10の作用効果について説明する。表示装置13で実行される遊技の表示演出に合わせて、電飾パネル32の回路基板36に実装されている発光素子42,42Bが点灯する。すると、
図14及び
図15に示すように、回路基板36の前面の複数の発光素子42からの無色の光が前側透光板35に取り込まれ、前側透光板35内の前面と後面とで反射して前側透光板35内を進む。ここで、前側透光板35内の後面の略全体は反射粗面35Sになっているので、反射粗面35Sで反射した光の一部は、前側透光板35の前面から前方に出光し、前面側から見て前側透光板35の略全体が発光した状態になる。これにより、前側透光板35が装飾シート34のバックライトとして機能し、装飾シート34のうち前側透光板35と対向する複数の図柄部34A(
図4参照)が発光する。また、装飾シート34の前面には、複数の図柄部34Aのキャラクター図柄に対応した肉盛部41が備えられてレンズ効果を奏し、しかも、その前には、透明な遊技板11が重なっているので、その遊技板11でも光が屈折して、平坦な装飾シート34が立体的に見える。
【0031】
一方、回路基板36の後面の複数の発光素子42,42Bからの有色の光は、回路基板36の後面を覆う後側透光板37に取り込まれる。そして、後側透光板37内の前面と後面とで反射して後側透光板37内を進み、第1出光突条48か第2出光突条49に到達する。
図14に示すように、第1出光突条48に到達した光は、反射斜面46で反射して第1出光突条48の前面から出光し、透光カバー板33の第1帯状平坦部33Hと遊技板11とを通して、反射斜面46が有色に発光する帯状の発光部として見える。しかも、反射斜面46は、三角波形状をなしているので、反射斜面46による帯状の発光部には光の強弱が繰り返される光の縞模様が形成される。また、
図15に示すように、第2出光突条49に到達した光に関しても反射斜面50で反射し、透光カバー板33の第2帯状平坦部33Jと遊技板11とを通して、反射斜面50が有色光の縞模様を有した帯状の発光部として見える。そして、これら反射斜面46,50からなる帯状の発光部で装飾シート34の複数のキャラクター図柄の輪郭に光の装飾の施され、各キャラクター図柄を際出させることができる。
【0032】
ここで、本実施形態の電飾パネル32では、回路基板36がその前側の前側透光板35と後側の後側透光板37との間で光を遮断する遮蔽板の役割を兼ねているので、回路基板36の後面側の発光素子42,42Bの有色光が前側透光板35に混入することなく、減り張りを有する光装飾を行うことができる。また、回路基板36の後面側の発光素子42のみを点滅させる場合に、それに伴ったバックライトとしての前側透光板35の点滅が防がれる。
【0033】
このように本実施形態の遊技機10では、回路基板36の前面に第1演出部としての透光カバー板33、装飾シート34及び前側透光板35を重ねて、それらと回路基板36の前側の発光素子42とで第1の光演出を行うと共に、回路基板36の後面に後側透光板37を重ねて、それと回路基板36の後側の発光素子42,42Bとで第2の光演出を行う。これにより、回路基板36の後面の有効利用が図られると共に、回路基板36が後側透光板37と前側透光板35との間を遮光する遮光板の役割を兼ね、回路基板36自体の有効利用も図られる。また、回路基板36と前側透光板35等の板状の複数部品が層構造をなすように前後方向H2で重ねられるので、前後方向H2でコンパクトになる。しかも、透光カバー板33と後側透光板37とから基板ケース38が構成されて、それに装飾シート34と前側透光板35と回路基板36とが収容されてユニット化されるので、遊技機10の組付作業が容易になる。
【0034】
また、上記した第1の光演出に関しては、遊技のキャラクター図柄が描かれた装飾シート34の全体を拡散した光で発光させることができ、目に優しい光装飾を行うことができる。さらには、装飾シート34には、キャラクター図柄が描かれた部分より透光率の高い帯状透光部34Bを設けて、その後に後側透光板37の出光部である第2出光突条49を重ねたので、キャラクター図柄が描かれた図柄部34Aとそれ以外の部分とを異なる態様で発光させて趣向性が高い光演出を行うことができる。発光素子42は、チップ構造をなして回路基板36に固定されかつ側面に発光部42Aを有しているので、回路基板36からの発光素子42の突出量が抑えられる。
【0035】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、回路基板36の前面の発光素子42が無色の光を発光し、後面の発光素子42,42Bが有色の光を発光する構成であったが、例えば、回路基板36の前面の発光素子42が有色の光を発光し、後面の発光素子42,42Bが無色の光を発光する構成であってもよい。また、発光素子42,42Bとして発光色を切り替え可能なタイプを使用し、表示演出に合わせて発光色を切り替える構成であってもよい。
【0036】
(2)上記実施形態では、特許請求の範囲の「第1演出部」が、透光カバー板33、装飾シート34及び前側透光板35から構成されていたが、例えば、イルミパネルであってもよい。また、第1演出部は光演出を行うものに限らず、可動部材と、その可動部材を駆動させる駆動機構とを備え、可動部材を移動又は変化させる演出を行う構成であってもよい。
【0037】
(3)上記実施形態では、回路基板36の後面の発光素子42によって帯状の発光部を形成したが、回路基板36の後面の発光素子42によって発光する部分はどのような形状であってよく、例えば、ハートやロゴマーク、遊技に関するキャラクターやモノ(ボール、ライター、剣等)であってもよい。
【0038】
(4)上記実施形態では、回路基板36の後面の発光素子42の発光部42Aが右側を向き、その光を後側透光板37の側面である入光面37Nから入光させる構成であったが、例えば、発光素子42の発光部42Aが後側を向き、その光を後側透光板37の前面から入光させる構成であってもよい。
【0039】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【0040】
<付記>
以下、上述した実施形態から抽出される発明群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0041】
(発明群)
上記実施形態から抽出される発明群は、「回路基板の前面に、遊技の演出を行うための発光素子やソレノイド等の動作部品を実装した従来の遊技機(例えば、特開2019-37537号公報(
図6参照))に対し、遊技者から視認不能な回路基板の後面を有効利用することを目的にしてなされたものである。
【0042】
[発明1]
前面に前側実装部品(36F,42)、後面に後側実装部品(42,42B,42F)をそれぞれ実装した回路基板(36)と、
前記回路基板の前面に重ねられて、前記前側実装部品の出力を利用した遊技演出を行う第1演出部(33,34,35)と、
前記回路基板の後面に重ねられる板状をなして、前記後側実装部品である後側発光素子からの光を取り込む後側透光板(37)と、
前記後側透光板に設けられ、前方から視認可能で前記後側発光素子の光を前方に出光させて光演出を行う出光部(48,49)と、を有し、
前記回路基板にて、前記後側透光板と前記第1演出部との間を遮光している遊技機である。
【0043】
発明1では、回路基板の前面には、前側実装部品が実装されると共に第1演出部が重ねられている。そして、第1演出部で前側実装部品の出力を利用した遊技演出を行う。一方の、回路基板の後面には、後側実装部品である後側発光素子が実装されると共に、後側透光板が重ねられている。そして、後側透光板に後側発光素子からの光が取り込まれ、後側透光板のうち前方から視認可能な位置に設けられた出光部から前方に出光されて光演出が行われる。これにより、回路基板の後面の有効利用が図られると共に、回路基板が後側透光板と第1演出部との間を遮光する遮光板の役割を兼ね、回路基板自体の有効利用も図られる。
【0044】
[発明2]
前記第1演出部は、前記前側実装部品である前側発光素子(42)からの光を前方に出向させて光演出を行う発明1に記載の遊技機である。
【0045】
発明2によれば、回路基板の前側実装部品及び後側実装部品が共に発光素子であるので、回路基板により、後側発光素子から前側への光の遮光と、前側発光素子から後側への光の遮光との両方が行われる。
【0046】
[発明3]
前記第1演出部には、前記回路基板の前面に重ねられる板状をなし、前記前側発光素子からの光を取り込み、拡散させて前側主平面から出光させる前側透光板(35)が含まれている発明2に記載の遊技機である。
【0047】
発明3では、回路基板、前側透光板等の複数の板状部品が前後方向に重ねられて層構造をなしているので、前後方向でコンパクトになる。
【0048】
[発明4]
前記第1演出部は、前記前側透光板の前面に、遊技のキャラクター図柄が描かれかつ光を拡散させて透過する装飾シート(34)を挟んで重ねられる装飾用透光板(33)を有する発明3に記載の遊技機である。
【0049】
発明4によれば、遊技のキャラクター図柄が描かれた装飾シートの全体を拡散した光で発光させることができ、目に優しい光装飾を行うことができる。
【0050】
[発明5]
前記装飾用透光板と前記後側透光板とにより、前記回路基板、前記前側透光板及び前記装飾シートを収容する基板ケース(38)が構成されている発明4に記載の遊技機である。
【0051】
発明5によれば、基板ケースに、回路基板と前後の透光板と装飾シートとが収容されてユニット化されるので、組付作業が容易になる。
【0052】
[発明6]
前記装飾シートには、前記キャラクター図柄が描かれた部分より透光率の高い透光部(34B)が設けられ、前記透光部が前記後側透光板の前記出光部に重ねられている請求項5に記載の遊技機である。
【0053】
発明6のようにキャラクター図柄が描かれた部分より透光率の高い透光部を設けられてその後に後側透光板の出光部が重ねられることで、キャラクター図柄が描かれた部分とそれ以外の部分とを異なる態様で発光させて趣向性が高い光演出を行うことができる。
【0054】
[発明7]
前記後面側発光素子は、前記回路基板の後面から突出する素子本体の側面に発光部(42A)を有し、前記後側透光板の入光面(37N)は、前記後側透光板の前側主平面又は後側主平面に対して交差し、前記発光部に対向配置されている発明1から6の何れか1の請求項に記載の遊技機である。
【0055】
発明7では、後面側発光素子が回路基板の後面から突出する素子本体の側面に発光部を有する構造をなし、後側透光板のうち後側透光板の前側主平面又は後側主平面に対して交差する入光面に発光部が対向しているので、回路基板の後側への突出量が抑えられる。
【0056】
[発明8]
前記後側透光板の前記入光面は、前記後側透光板に形成された貫通孔(43)又は切欠部の内側面である発明7に記載の遊技機である。
【0057】
発明8によれば、後面側発光素子が後側透光板の貫通孔又は切欠部の内側面である入光面に囲まれ、光の漏れが抑えられる。
【0058】
[発明9]
前記後側透光板の前記出光部は、前記後側透光板の前側主平面又は後側主平面の一方の主平面に対して斜めに交差するベース斜面(46,50)に複数の凹凸面を形成してなる発明1から8の何れか1の発明に記載の遊技機である。
【0059】
発明9によれば、後側透光板の出光部に備えた凹凸面により光を分散させて趣向性が高い光装飾を行うことができる。
【0060】
[発明10]
前記複数の凹凸面は、前記一方の主平面から離れる方向に延びる複数の稜線を有する波形面の山部(46A)と谷部(46B)とによって構成されている発明9に記載の遊技機である。
【0061】
発明10によれば、後側透光板の出光部が波形になっているので、一定のパターンの光模様を提供することができる。
【0062】
[発明11]
前記後側透光板の出光部は、前記後側透光板の前側主平面又は後側主平面の一方又は両方の主平面との間に段差面を有して、前記一方又は両方の主平面から突出している発明1から10の何れか1の発明に記載の遊技機である。
【0063】
発明11によれば、出光部で出光せずに内側に反射した光を段差面で出光部側に反射するか段差面から出光させることができ、出光部及びその周辺を効率よく発光させることができる。
【符号の説明】
【0064】
10 パチンコ遊技機
33 透光カバー板
33H,33J 帯状平坦部
34 装飾シート
34B 帯状透光部
35 前側透光板
36 回路基板
37 後側透光板
38 基板ケース
42,42B 発光素子
46,50 反射斜面
46A 山部
46B 谷部
48,49 出光突条