(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】外科用スネア装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
A61B17/32 528
(21)【出願番号】P 2022078352
(22)【出願日】2022-05-11
(62)【分割の表示】P 2021070959の分割
【原出願日】2016-10-21
【審査請求日】2022-05-18
(32)【優先日】2015-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515308028
【氏名又は名称】エンドチョイス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ENDOCHOICE, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】カン、ギル
(72)【発明者】
【氏名】ナップ、トレイシー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブス、チャーリー
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5759187(US,A)
【文献】特表2014-527849(JP,A)
【文献】特開平10-99342(JP,A)
【文献】特開2001-70315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22 - A61B 17/221
A61B 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収装置であって、前記回収装置は、
平面に位置するワイヤループであって、二分する面が前記ワイヤループのワイヤを第1の側と第2の側とに二分するとともに前記二分する面は前記ワイヤループが位置する前記平面
に少なくとも部分的に延びる、ワイヤループと、
前記ワイヤループを覆って積層されるとともに前記ワイヤループを包囲する接合材料であって、前記接合材料は前記ワイヤの前記第1の側に第1の部分を、前記ワイヤの前記第2の側に第2の部分を含む、接合材料と、
前記接合材料に接合されるとともに前記ワイヤループに外接する開口部を有するメッシュであって、前記メッシュは
、前記第1の部分のみに接合されている、メッシュと、
を含み、
前記ワイヤループおよび前記メッシュの少なくとも一方は、第1の波長範囲の光に露光されたときに、400nm~570nmおよび620nm~750nmの波長範囲の光を反射し、571nm~619nmの波長範囲の光を吸収するような色を含む、回収装置。
【請求項2】
前記メッシュは1平方センチメートルあたり15~40個の孔の範囲の多孔度を有する、請求項1に記載の回収装置。
【請求項3】
前記メッシュは複数の孔を包囲する複数のストランドを含み、かつ前記孔は、六角形、円形、三角形、正方形、長方形、五角形または多面を備えた多角形の形状を有する請求項1に記載の回収装置。
【請求項4】
前記メッシュは、前記接合材料を粘着状態に加熱し、前記メッシュの外縁を前記接合材料を覆って配置し、かつ前記接合材料を冷却させるプロセスを経て前記接合材料に固着されたものである、請求項1に記載の回収装置。
【請求項5】
回収装置であって、前記回収装置は、
スネアループであって、
中央開口部と、
前記中央開口部を包囲するとともに平面に位置するループ部材であって、二分する面が前記ループ部材のワイヤを第1の側と第2の側に二分するとともに前記二分する面は前記ループ部材が位置する前記平面
に少なくとも部分的に延びる、ループ部材と、
前記ループ部材を覆う材料の層であって、前記材料の層は前記ワイヤの前記第1の側に第1の部分を前記ワイヤの前記第2の側に第2の部分を含む材料の層と、
を含むスネアループと、
前記スネアループの前記中央開口部にわたって延びる
とともに前記第1の部分のみに接合されているメッシュであって、前記メッシュは、複数の孔を定義し、かつ前記孔のそれぞれは、各々が前記メッシュの複数のストランドのストランドを構成する複数の側部によって定義され
るメッシュと、
を含み、
前記複数のストランドのそれぞれが複数の開口部を含み、前記複数の開口部のそれぞれが前記複数の孔のそれぞれより小さ
い、回収装置。
【請求項6】
前記複数の孔のそれぞれは、六角形である、請求項5に記載の回収装置。
【請求項7】
前記材料の層が第1の範囲にある波長を有する光に露光されたときに、同材料の層が前記第1の範囲とは異なる第2の範囲にある波長を有する光を反射するように、同材料の層が着色されている、請求項5に記載の回収装置。
【請求項8】
請求項5に記載の回収装置さらに、
シースであって、
内腔と、
近位端と、
遠位端と、
遠位開口部であって、前記内腔が前記近位端と前記遠位端との間に延びるとともに前記内腔が前記遠位開口部と連通している、遠位開口部と、
を含むシースと、
前記シースの前記内腔を通って前記スネアループまで延びる駆動要素と、
を備え、
前記シースの前記内腔内における前記駆動要素の移動は:
前記スネアループの少なくとも一部および前記メッシュの少なくとも一部を、前記シースの前記遠位開口部から遠位方向に移動させ、かつ
前記スネアループの少なくとも一部および前記メッシュの少なくとも一部を、前記シースの前記遠位開口部内へと近位方向に移動させるように構成され、
前記スネアループおよび前記メッシュが前記シースの遠位開口部を通って移動するときに前記複数のストランドの前記一部は前記材料の層に対して静止したままである、回収装置。
【請求項9】
前記材料の層の色は青色である請求項7に記載の回収装置。
【請求項10】
反射される光は380~570nmの波長を有する請求項7に記載の回収装置。
【請求項11】
反射される光は620~750nmの波長を有する請求項7に記載の回収装置。
【請求項12】
回収装置であって、前記回収装置は、
平面に位置するワイヤループであって、二分する面が前記ワイヤループのワイヤを第1の側と第2の側とに二分す
る、ワイヤループと、
前記ワイヤループを包囲する材料の層であって、前記材料の層は前記ワイヤの前記第1の側に第1の部分を、前記ワイヤの前記第2の側に第2の部分を含む、材料の層と、
前記第1の部分においてのみ前記材料の層に接合されるとともに前記ワイヤループに外接する開口部を有するメッシ
ュと、
を含み、
前記ワイヤループおよび前記メッシュの少なくとも一方は、第1の波長範囲の光に露光されたときに、400nm~570nmおよび620nm~750nmの波長範囲の光を反射し、571nm~619nmの波長範囲の光を吸収するような色を含む、回収装置。
【請求項13】
前記メッシュは、複数のストランドと、前記複数のストランドの間にある複数の孔と、を含み、前記複数のストランドの一部は前記材料の層に接合され、前記複数のストランドの前記一部は前記メッシュの外縁に沿って配置されるとともに1つまたは複数の末端部を含み、前記1つまたは複数の末端部は前記材料の層に直接接合されるとともに前記材料の層によって包囲され、前記1つまたは複数の末端部は前記第1の部分のみに接合されており、前記孔のそれぞれは、各々が前記メッシュの前記複数のストランドのストランドを構成する複数の側部によって定義され、
前記複数のストランドのそれぞれが複数の開口部を含み、前記複数の開口部のそれぞれが前記複数の孔のそれぞれより小さい、請求項12に記載の回収装置。
【請求項14】
前記材料の層の色は青色である請求項12に記載の回収装置。
【請求項15】
前記メッシュは1平方センチメートルあたり15~40個の孔の範囲の多孔度を有する、請求項12に記載の回収装置。
【請求項16】
前記ワイヤループは第1の近位アームと第2の近位アームとを含み、前記回収装置は、
長尺状の本体と、近位端と、遠位端と、その内部に内腔と、を含む管状シースであって、接合されたメッシュを有する前記ワイヤループは、前記内腔内に格納可能であるとともに前記管状シースの前記遠位端にて開口部を通って前記内腔から延出可能であるように構成されている管状シースと、
前記管状シースの内腔を通って前記ワイヤループまで延びる駆動ストランドであって、前記管状シースの前記内腔内における前記駆動ストランドの移動は、前記ワイヤループおよび前記メッシュを前記管状シースに対して移動させるように構成されており、前記材料の層に接合される前記
メッシュの一部は、前記ワイヤループおよび前記メッシュの、前記管状シースの遠位開口部への、および遠位開口部からの移動時に前記材料の層に対して静止したままである、駆動ストランドと、
前記第1の近位アームを前記第2の近位アームに固定するように構成された収縮チューブであって、前記第1の近位アームおよび前記第2の近位アームが前記収縮チューブ内で互いに接触しており、前記収縮チューブが前記メッシュの一部を含む、収縮チューブと、
をさらに含む、請求項12に記載の回収装置。
【請求項17】
前記複数の孔は、六角形、円形、三角形、正方形、長方形、五角形または多面を備えた多角形の形状を有する請求項
13に記載の回収装置。
【請求項18】
前記複数のストランドの前記一部は前記材料の層に融合されている、請求項
13に記載の回収装置。
【請求項19】
前記メッシュを、機械方向に少なくとも10%~40%前進させるか、伸縮させるか、または伸長させ、機械横断方向に少なくとも20%~70%前進させるか、伸縮させるか、または伸長させる、請求項12に記載の回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して外科用器具に関する。より詳細には、本明細書は、体内管腔から対象物を除去するために使用される外科用スネア装置に関し、外科用スネア装置の被覆ループ部材にはメッシュまたはネットが融着および接合されている。
【背景技術】
【0002】
身体の器官または体腔から異物を把持および除去するための既存の外科用装置には、機械的に作動する鉗子、機械的に作動するスネアまたは機械的に作動するバスケットが含まれる。これらの外科用装置の各々は、内視鏡での可視化、蛍光透視による可視化または直接的な可視化の下で体内に配置され得る。
【0003】
機械的に作動するスネアは、シース内に封入されたワイヤのループに取り付けられた可撓性ウェブ部材のアセンブリを含む。ワイヤのループは、シースを越えて拡張されて、自動的に成形開口部に拡張することができ、その結果、取り付けられた/装着されたウェブ部材を捕捉ポケット内に開くことができる。開口部のサイズは、シースの端部を越えて前進したワイヤの長さによって制御される。使用時には、スネアが対象物に隣接して配置された後、ワイヤは、対象物よりも大きなループが形成されるまで、シースの端部を越えて前進される。次いで、ループは、ウェブ部材およびループの面が対象物を取り囲むまで位置決めされる。その後、ループおよびウェブ部材が対象物を取り囲み、わなにかける/捕捉するように、シースを前進させてワイヤを格納する。
【0004】
ウェブ部材は、典型的には、織り込みによっておよび/またはワイヤのループの外周に沿ってクリップまたはリングレットを使用することによってワイヤのループに取り付けられる。ループがシース内に引き込まれるとともに対象物の周りのループを閉じるために、ウェブ部材をループに連結する材料のストランド、および場合によってはウェブ部材を含む材料がループに沿って摺動し、ループの遠位端で圧縮される可能性がある。また、ウェブ材料は一塊にされて対象物とループの遠位端との間に置かれる可能性がある。同様に、ウェブ部材がループに接合されるクリップまたはリングレットの存在は、対象物の捕捉を妨害し、さらに同対象物の捕捉をより困難にして、時間のかかるものにする可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、手技を妨害することがないように、ウェブ部材、メッシュまたはネットを外科用スネア装置のループ部材に取り付けるまたは連結する改良された方法が当該技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の実施形態およびその態様は、例示的かつ事例的であり、範囲を限定するものではないことが意図されるシステム、ツールおよび方法と関連して説明され、図示される。本願は、多数の実施形態を開示する。
【0007】
本明細書は、メッシュをループ部材に取り付ける方法を開示し、同方法は、ある形状を有するループ部材を形成するためにワイヤを加工する(manipulating)ステップであって、第1の材料からなるワイヤを加工するステップと、ループ部材に接着剤の層を適用するステップと、ループ部材を覆ってメッシュを配置するステップであって、前記メッシュが第2の材料であり、前記メッシュが前記ループ部材の外周を少なくとも部分的に覆い、前記メッシュの一部が前記ループ部材の外周を超えて延在する、配置するステップと、メッシュがループ部材の上に配置されている間に接着剤をエネルギー源にさらすステップと、前記メッシュを前記接着剤と接合させるステップと、前記メッシュの前記ループ部材の外周を越えて延在する部分を切り取るステップと、を含み、前記ループ部材は、取り付けられたメッシュとともに、同ループ部材および同取り付けられたメッシュをシースの内腔に格納することによって折り畳み可能であり、かつ同ループ部材および同取り付けられたメッシュを前記シースから延出することにより前記形状に拡張可能であるように構成されている。
【0008】
エネルギー源は、放熱オーブン、紫外線放射源、赤外線放射源、およびレーザ源のうちの少なくとも1つであってもよい。
前記ループ部材の前記形状は、楕円形、円形、涙滴型(tear drop)、正方形、長方形、四辺形、または多角形のいずれかであってもよい。
【0009】
任意選択で、ループ部材は、ループ部材の中心を通る長手方向軸に沿った第1の寸法と、長手方向軸に垂直でかつループ部材の中心を通る別の軸に沿った第2の寸法とを有する。第1の寸法は前記第2の寸法よりも長くてもよい。第1の寸法は30~70ミリメートルの範囲であり、第2の寸法は15~40ミリメートルの範囲であってもよい。第1の寸法は第2の寸法と等しくてもよい。第1の寸法は第2の寸法より小さくてもよい。
【0010】
前記ワイヤの第1の材料は、ニチノール、鋼またはステンレス鋼のうちの少なくとも1つであってもよい。
任意選択で、前記メッシュは、接合後にループ部材の中心にポーチを有する。
【0011】
本明細書はまた、メッシュをループ部材に取り付ける方法を開示し、同方法は、第1の材料のワイヤを第2の材料の層で被覆するステップと、ループ部材を形成するために前記ワイヤおよび前記層を加工するステップであって、前記ループ部材はある形状を有し、前記ループ部材は、同ループ部材の中心を通る長手方向軸に沿った第1の寸法と、長手方向軸と垂直に、かつループ部材の中心を通る別の軸に沿った第2の寸法とを有する加工するステップと、前記メッシュを前記ループ部材を覆って配置するステップであって、前記メッシュが第3の材料であり、前記メッシュがループ部材の外周を少なくとも部分的に覆い、前記メッシュの一部がループ部材の外周を越えて延在する、配置するステップと、前記メッシュが前記ループ部材の上に配置されている間に、第2の材料を部分的に溶融させて粘着性を増加させるために熱を前記層に伝達するステップと、前記メッシュを前記ループ部材の外周に沿って前記層の前記第2の材料と一緒に接合させ、冷却時に強固な接合を形成させるステップと、前記メッシュの前記ループ部材の外周を越えて延在する部分を切り取るステップと、を含み、前記ループ部材は、取り付けられたメッシュとともに、同ループ部材を同取り付けられたメッシュとともにシースの内腔に格納することによって折り畳み可能であり、かつ同ループ部材が同取り付けられたメッシュとともに前記シースから延出するときに前記形状に拡張可能であるように構成されている。
【0012】
ループ部材の前記形状は、楕円形、円形、涙滴型、正方形、長方形、四辺形、及び多角形のいずれかであってもよい。
第1の寸法は前記第2の寸法よりも長くてもよい。第1の寸法は30~70ミリメートルの範囲であってもよく、第2の寸法は15~40ミリメートルの範囲であってもよい。第1の寸法は第2の寸法と等しくてもよい。第1の寸法は第2の寸法より小さくてもよい。
【0013】
前記ワイヤの第1の材料は、ニチノール、鋼またはステンレス鋼のうちの少なくとも1つであってもよい。
前記メッシュの第3の材料は、ナイロンまたはPETのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0014】
任意選択で、前記ループ部材は、同ループ部材を高温空気にさらすことによって加熱され、前記高温空気は120~180℃の範囲の温度または前記第2の材料の溶融温度の範囲内の温度を有する。
【0015】
任意選択で、前記メッシュは、接合後、ループ部材の中心にポーチを有する。
また、本明細書は、回収装置(retrieval device)を開示し、同回収装置は、可撓性ワイヤループと、前記ワイヤループを覆って(over)積層された接合材料と、前記ワイヤループに外接する開口部を有するネットを形成するように構成された前記接合材料に接合されたメッシュであって、前記メッシュは、前記接合材料を粘着状態に加熱し、前記メッシュの外縁を前記接合材料を覆って配置し、前記接合材料を冷却させるプロセスを経て前記接合材料に固着される、メッシュと、長尺状の本体と、近位端と、遠位端と、その内部に内腔と、を含む管状シースと、を含み、前記接合されたメッシュを有する前記可撓性ワイヤループは、前記内腔内に格納可能であるように構成されるとともに、前記管状シースの前記近位端に配置されたリンク部材を操作することによって前記管状シースの前記遠位端にて開口部を通って前記内腔から延出するように構成されており、前記ループおよび前記メッシュの少なくとも一方が第1の波長範囲の光に露光されたときに、400nm~570nmおよび620nm~750nmの波長範囲を有する光を反射し、571nm~619nmの波長範囲の光を吸収するような色を含む。
【0016】
任意選択で、前記メッシュは複数の孔を含む。
前記孔は、六角形、円形、三角形、正方形、長方形、五角形または多面を備えた(multi-sided)多角形の形状を有することができる。
【0017】
本明細書はまた、メッシュをループ部材に取り付ける方法を開示し、同方法は、ある形状を有するループ部材を形成するためにワイヤを加工するステップであって、第1の材料からなるワイヤを加工するステップと、ループ部材に接着剤の層を適用するステップと、ループ部材を覆ってメッシュを配置するステップであって、前記メッシュが第2の材料であり、前記メッシュが前記ループ部材の外周を少なくとも部分的に覆い、前記メッシュの一部が前記ループ部材の外周を越えて延在する、配置するステップと、メッシュがループ部材の上に保持されている間に接着剤を紫外線にさらすステップと、前記メッシュを前記接着剤と接合させるステップと、前記メッシュの前記ループ部材の外周を越えて延在する部分を切り取るステップと、を含み、前記ループ部材は、取り付けられたメッシュとともに、シースの内腔に格納することによって折り畳み可能であり、かつ前記シースから延出するときに前記形状に拡張可能である。
【0018】
前記ループ部材の前記形状は、楕円形、円形、涙滴型、正方形、長方形、四辺形、または多角形のいずれかであってもよい。
ループ部材は、ループ部材の中心を通る長手方向軸に沿った第1の寸法と、長手方向軸に垂直でかつループ部材の中心を通る別の軸に沿った第2の寸法とを有する。第1の寸法は前記第2の寸法よりも長くてもよい。任意選択で、第1の寸法は30~70ミリメートルの範囲であり、第2の寸法は15~40ミリメートルの範囲であってもよい。代替的に、第1の寸法は第2の寸法と等しくてもよい。さらに代替的に、第1の寸法は第2の寸法より小さくてもよい。
【0019】
前記ワイヤの第1の材料は、ニチノール、鋼またはステンレス鋼のうちの少なくとも1つであってもよい。
前記メッシュの第2の材料はポリマーであってもよい。任意選択で、前記メッシュの第2の材料は、ナイロン、PETまたはペバックス(登録商標)のうちの少なくとも1つである。
【0020】
接合後のメッシュは、ループ部材の中心にポーチを有することができる。
本明細書はまた、回収装置を開示し、同回収装置は、可撓性ワイヤループと、前記ワイヤループを覆って積層された接合材料と、前記ワイヤループに外接する開口部を有するネットを形成するために前記接合材料に接合されたメッシュであって、前記メッシュは、前記接合材料をわずかに粘性であるか、部分的に湿潤状態であるか、あるいは粘着状態に加熱し、前記メッシュの外縁を前記接合材料を覆って配置し、前記接合材料を冷却させるプロセスを経て前記接合材料に固着された、メッシュと、長尺状の本体と、近位端と、遠位端と、その内部に内腔と、を含む管状シースと、を含み、前記接合されたメッシュを備えた前記可撓性ワイヤループは、前記内腔内に格納可能であるとともに、前記管状シースの前記近位端に配置された伝達リンクを操作することによって前記管状シースの前記遠位端にて開口部を通って前記内腔から延出可能である。
【0021】
いくつかの実施形態では、メッシュは複数の孔を含む。任意選択で、前記孔は、六角形、円形、三角形、正方形、長方形、五角形または多面を備えた多角形の形状を有する。
任意選択で、層および/またはメッシュは、第1の波長範囲の光にさらされたときのような色を含み、第2の波長範囲にて光を反射する。さらに任意選択で、第1の波長範囲は400~750nmである。さらに任意選択で、第2の波長範囲は380~750nmである。さらに任意選択で、571~619nmの範囲の波長は、前記第2の波長範囲から除外される。
【0022】
本明細書はまた、メッシュをループ部材に取り付ける方法を開示し、この方法は、第1の材料のワイヤを第2の材料の層で被覆するステップと、ループ部材を形成するために前記ワイヤおよび前記層を加工するステップであって、前記ループ部材はある形状を有し、前記ループ部材は、同ループ部材の中心を通る長手方向軸に沿った第1の寸法と、長手方向軸と垂直に、かつループ部材の中心を通る別の軸に沿った第2の寸法とを有する加工するステップと、前記メッシュを前記ループ部材を覆って配置するステップであって、前記メッシュが第3の材料であり、前記メッシュがループ部材の外周を少なくとも部分的に覆い、前記メッシュの一部がループ部材の外周を越えて延在する、配置するステップと、前記メッシュが前記ループ部材の上に保持されている間に、第2の材料を部分的に溶融させて粘着性、わずかに粘性または部分的に湿潤性とするために熱を前記層に伝達するステップと、前記メッシュを前記ループ部材の外周に沿って前記層の部分的に溶融した粘着性の第2の材料と一緒に接合させ、冷却時に強固な接合を形成させるステップと、前記メッシュの前記ループ部材の外周を越えて延在する部分を切り取るステップと、を含み、前記ループ部材は、取り付けられたメッシュとともに、シースの内腔に格納することによって折り畳み可能であり、かつ前記シースから延出するときに前記形状に拡張可能であるように構成されている。
【0023】
ループ部材の形状は、楕円形、円形、涙滴型、正方形、長方形、四辺形、及び多角形のいずれかであってもよい。
任意選択で、前記第1の寸法は前記第2の寸法よりも長い。さらに任意選択で、前記第1の寸法は30~70ミリメートルの範囲であり、前記第2の寸法は15~40ミリメートルの範囲である。代替的に、前記第1の寸法は前記第2の寸法に等しい。さらに代替的に、前記第1の寸法は前記第2の寸法よりも小さい。
【0024】
前記ワイヤの第1の材料は、ニチノール、鋼またはステンレス鋼のうちの少なくとも1つであってもよい。任意選択で、前記層の第2の材料はポリマーである。さらに任意選択で、前記層の第2の材料は、ナイロン、ペバックス(登録商標)またはPETのうちの少なくとも1つである。
【0025】
任意選択で、前記メッシュの第3の材料はポリマーである。さらに任意選択で、前記メッシュの第3の材料は、ナイロンまたはPETの少なくとも1つである。
層は、前記ワイヤ上に被覆されてもよい。
【0026】
任意選択で、前記層は、前記ワイヤが挿入される中空管を含む。
任意選択で、前記メッシュは、前記ループ部材の前記形状に近似する形状を有する。
前記熱は、前記ワイヤを加熱することによって前記層の前記第2の材料に伝達されてもよい。ワイヤは、外部電源を使用して電気的に加熱されてもよい。前記メッシュが前記ループ部材の上に保持されている間に、同ループ部材を加熱することにより、前記熱が前記層の前記第2の材料に伝達されてもよい。任意選択で、前記ループ部材は、前記ループ部材を高温空気にさらすことによって加熱され、前記高温空気は、120~180℃の範囲内の温度または前記第2の材料の溶融温度の範囲内の温度を有する。
【0027】
任意選択で、前記層は、0.05mm~0.6mmの範囲の厚さを有する。
接合後のメッシュは、ループ部材の中心にポーチを有していてもよい。
本明細書はまた、メッシュをループ部材に取り付ける方法を開示し、この方法は、形状化されたワイヤを形成するためにワイヤを加工するステップであって、前記ワイヤは第1の材料である前記加工するステップと、ループ部材を形成するために、前記形状化されたワイヤを第2の材料の層で被覆するステップと、メッシュを前記ループ部材上に配置するステップであって、前記メッシュが第3の材料であり、前記メッシュがループ部材の外周を少なくとも部分的に覆い、前記メッシュの一部がループ部材の外周を越えて延在する、配置するステップと、前記メッシュが前記ループ部材の上に保持されている間に、第2の材料を部分的に溶融させて粘着性、わずかに粘性または部分的に湿潤性とするために熱を前記層に伝達するステップと、前記メッシュを前記層の前記部分的に溶融させた粘着性の第2の材料と一緒に接合するステップと、前記メッシュの前記ループ部材の外周を越えて延在する部分を切り取るステップと、を含み、前記ループ部材は、取り付けられたメッシュとともに、シースの内腔に格納することによって折り畳み可能であり、かつ前記シースから延出するときに前記形状に拡張可能であるように構成されている。
【0028】
前記ワイヤの形状は、楕円形、円形、涙滴型、正方形、長方形、四辺形、または多角形のいずれかであってもよい。
ループ部材は、ループ部材の中心を通る長手方向軸に沿った第1の寸法と、長手方向軸に垂直でかつループ部材の中心を通る別の軸に沿った第2の寸法とを有する。第1の寸法は前記第2の寸法よりも長くてもよい。任意選択で、第1の寸法は30~70ミリメートルの範囲であり、第2の寸法は15~40ミリメートルの範囲であってもよい。代替的に、前記第1の寸法は前記第2の寸法と等しくてもよい。さらに代替的に、前記第1の寸法は前記第2の寸法より小さくてもよい。
【0029】
前記ワイヤの第1の材料は、ニチノール、鋼またはステンレス鋼のうちの少なくとも1つであってもよい。
前記層の第2の材料はポリマーであってもよい。任意選択で、前記層の第2の材料は、ナイロン、PETまたはペバックス(登録商標)のうちの少なくとも1つである。
【0030】
前記メッシュの第3の材料はポリマーであってもよい。任意選択で、前記メッシュの第3の材料は、ナイロンまたはPETのうちの少なくとも1つである。
層は、前記形状化されたワイヤの上に被覆されてもよい。
【0031】
任意選択で、前記層は、前記形状化されたワイヤが挿入される中空管である。
前記形状化されたワイヤを加熱することにより、前記層の前記第2の材料に熱を伝達することができる。任意選択で、前記形状化されたワイヤは、外部電源を用いて電気的に加熱される。
【0032】
前記メッシュが前記ループ部材の上に保持されている間に、前記ループ部材を加熱することによって、前記層の前記第2の材料に熱を伝達することができる。任意選択で、前記ループ部材は、前記ループ部材を高温空気の吹き付けにさらすことによって加熱され、前記高温空気は120~180℃の範囲内の温度または前記第2の材料の溶融温度の範囲内にある。
【0033】
任意選択で、前記層は、0.05mm~0.6mmの範囲の厚さを有する。
接合後のメッシュは、ループ部材の中心にポーチを有することができる。
本明細書はまた、メッシュをループ部材に取り付ける方法を開示し、同方法は、第1の材料のワイヤを第2の材料の層で被覆するステップと、ループ部材を形成するために層とともに前記ワイヤを加工するステップであって、前記ループ部材はある形状を有し、前記ループ部材は、同ループ部材の中心を通る長手方向軸に沿った第1の寸法と、長手方向軸と垂直に、かつループ部材の中心を通る別の軸に沿った第2の寸法とを有する加工するステップと、前記ループ部材を基部固定具であって同基部固定具内に埋め込まれた複数の磁石によって少なくとも部分的に保持される基部固定具上に配置するステップであって、前記保持されたループ部材は、前記基部固定具内に形成された中空部を包囲し、前記中空部はポーチ形状固定具を受承するように構成されている前記配置するステップと、前記メッシュを前記ループ部材上に配置するステップであって、前記メッシュが第3の材料であり、前記メッシュが前記中空部とともに前記ループ部材の外周を少なくとも部分的に覆い、前記メッシュの一部がループ部材の外周を越えて延在する、前記配置するステップと、前記ポーチ形状固定具をメッシュの上に配置し、それによりメッシュを中空部内に押し込むステップと、前記メッシュが前記ループ部材の上に保持されている間に、第2の材料を部分的に溶融させて粘着性、わずかに粘性または部分的に湿潤性とするために熱を前記層に伝達するステップと、前記メッシュを前記ループ部材の外周に沿って前記層の部分的に溶融した粘着性の第2の材料と一緒に接合させ、冷却時に強固な接合を形成させるステップと、前記メッシュの前記ループ部材の外周を越えて延在する部分を切り取るステップと、を含み、前記ループ部材は、取り付けられたメッシュとともに、シースの内腔に格納することによって折り畳み可能であり、かつ前記シースから延出するときに前記形状に拡張可能である。
【0034】
ループ部材の形状は、楕円形、円形、涙滴型、正方形、長方形、四辺形、及び多角形のいずれかであってもよい。
第1の寸法は前記第2の寸法よりも長くてもよい。任意選択で、前記第1の寸法は30~70ミリメートルの範囲であり、前記第2の寸法は15~40ミリメートルの範囲である。代替的に、前記第1の寸法は前記第2の寸法に等しい。さらに代替的に、前記第1の寸法は前記第2の寸法よりも小さい。
【0035】
前記ワイヤの第1の材料は、ニチノール、鋼またはステンレス鋼であってもよい。
前記層の第2の材料はポリマーであってもよい。任意選択で、前記層の第2の材料は、ナイロン、ペバックス(登録商標)またはPETである。
【0036】
前記メッシュの第3の材料はポリマーであってもよい。任意選択で、前記メッシュの第3の材料は、ナイロンまたはPETである。
層は、前記ワイヤの上に被覆されてもよい。
【0037】
任意選択で、前記層は、前記ワイヤが挿入される中空管である。
メッシュは、前記ループ部材の前記形状に近似する形状を有していてもよい。
前記ワイヤを加熱することによって、前記層の前記第2の材料に熱を伝達することができる。任意選択で、前記ワイヤは、外部電源を用いて電気的に加熱される。
【0038】
任意選択で、メッシュが前記ループ部材の上に保持されている間に、前記ループ部材を加熱することにより、前記層の前記第2の材料に熱が伝達されてもよい。任意選択で、前記ループ部材は、前記ループ部材を高温空気の吹き付けにさらすことによって加熱され、前記高温空気は120~180℃の範囲内の温度または前記第2の材料の溶融温度の範囲内にある。
【0039】
任意選択で、前記層は、0.05mm~0.6mmの範囲の厚さを有する。
接合後のメッシュは、ループ部材の中心にポーチを有することができる。
本明細書はまた、メッシュをループ部材に取り付ける方法を開示し、この方法は、形状化されたワイヤを形成するためにワイヤを加工するステップであって、前記ワイヤは第1の材料である前記加工するステップと、ループ部材を形成するために、前記形状化されたワイヤを第2の材料の層で被覆するステップと、前記ループ部材を基部固定具であって同基部固定具内に埋め込まれた複数の磁石によって少なくとも部分的に保持される基部固定具上に配置するステップであって、前記保持されたループ部材は、前記基部固定具内に形成された中空部をその間にて包囲し、前記中空部はポーチ形状固定具を受承するように構成されている前記配置するステップと、前記メッシュを前記ループ部材上に配置するステップであって、前記メッシュが第3の材料であり、前記メッシュが前記中空部とともに前記ループ部材の外周を少なくとも部分的に覆い、前記メッシュの一部がループ部材の外周を越えて延在する、前記配置するステップと、前記ポーチ形状固定具をメッシュの上に配置し、それによりメッシュを中空部内に押し込むステップと、前記メッシュが前記ループ部材の上に保持されている間に、第2の材料を部分的に溶融させて粘着性、わずかに粘性または部分的に湿潤性とするために熱を前記層に伝達するステップと、前記メッシュを前記層の部分的に溶融された第2の材料と接合させるステップと、前記メッシュの前記ループ部材の外周を越えて延在する部分を切り取るステップと、を含み、前記ループ部材は、取り付けられたメッシュとともに、シースの内腔に格納することによって折り畳み可能であり、かつ前記シースから延出するときに前記形状に拡張可能である。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、メッシュをループ部材に取り付ける方法および同方法により形成された回収装置が提供された。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1A】本明細書の実施形態に従うスネアループの底面斜視図である。
【
図2A】一実施形態に従う目標対象物を捕捉および回収するスネア装置の斜視図であり、拡大部も同時に示す。
【
図2B】本明細書の実施形態に従う多孔性メッシュを有するスネアループの一部の拡大斜視図である。
【
図2C】本明細書の実施形態に従うメッシュが除去された涙滴型の形態であるスネアループを示す上面斜視図である。
【
図3】
図1Aのスネアループが内部に保管され、完全に格納または折り畳まれた位置にある管状部材またはシースの断面図である。
【
図4】本明細書の実施形態に従うスネアループの被覆ループ部材の断面概略図である。
【
図5A】本明細書のいくつかの実施形態に従う、スネアループの被覆ループ部材を示す。
【
図5B】本明細書の別の実施形態に従う、スネアループの被覆ループ部材を示す。
【
図6】本明細書の実施形態に従う、スコープによって放出され、スネアループによって反射される波長範囲の可視光の波長スペクトルを示す。
【
図7A】一実施形態に従う、ループの近位端での、少なくとも1つの溶接部などの締結具、接合または留め金を備えるループ部材の平面図を示す。
【
図7B】大まかに切断された、よって、波状の、またはギザギザの切断面を有する溶接部のような締結具を示す。
【
図7C】滑らかな切断面をもたらすように切断された、溶接部などの締結具を示す。
【
図8】一実施形態において、メッシュを被覆ループ部材に取り付け、接合または連結するために使用される固定具の斜視図である。
【
図9】メッシュが被覆ループ部材に接合される熱接合機構を示す図である。
【
図10】一実施形態に従う、被覆ループ部材に接合されたメッシュの延長部分を切断するためのレーザビームの使用を示す図である。
【
図11】被覆ループ部材に接合されたメッシュの延長部分を切断するために使用されるメッシュ切断用ダイの斜視図である。
【
図12】被覆ループ部材の近位端を補強する収縮チューブを形成する、同被覆ループ部材の近位端に沿って接合されたメッシュの一部を示す。
【
図13】本明細書の実施形態に従う、メッシュ/ネットを被覆ループ部材に取り付ける/連結する例示的なステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本明細書の前述のおよび他の実施形態は、以下に提供される図面および詳細な説明においてより深く説明される。
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、添付の図面と関連して考慮されるとき、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解される。
【0043】
ヒト被検者内から対象物を回収するための外科用スネアまたは回収装置が開示される。スネア装置は、内視鏡内での使用のために設計されており、例えば食道から詰まった食物塊を回収するような、比較的狭い内腔内の比較的重い対象物を回収するために使用することができる。同装置を議論する上において、遠位および近位という用語は、オペレータの手に対して使用される。言い換えれば、装置が内視鏡または同様の装置の作業/サービスチャネル内で使用されるとき、近位および遠位の方向は、外科医または装置のオペレータに対するものであり、近位の位置は、外科医または装置のオペレータにより近い装置の部分を表し、遠位の位置は、患者に向けられた装置の遠い先端部を表す。
【0044】
本明細書は、複数の実施形態に向けたものである。以下の開示は、当業者が本発明を実施できるようにするために提供される。本明細書で使用される言語は、任意の特定の実施形態の一般的な否定として解釈されるべきではなく、または特許請求の範囲をその中で使用される用語の意味を超えて限定するために使用されるべきではない。本明細書で定義される一般的な原理は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の実施形態および応用に適用されてもよい。また、使用される用語および表現は、例示的な実施形態を説明するためのものであり、限定的なものとみなされるべきではない。したがって、本発明は、開示された原理および特徴に合致する多くの代替、修正、および均等物を含む最も広い範囲が与えられるべきである。明瞭にするために、本発明に関連する技術分野において知られている技術的材料に関する詳細は、本発明を不必要に不明瞭にしないように詳細には記載されていない。
【0045】
本明細書では、特定の実施形態に関連して説明される任意の特徴または構成要素が、他に明白に示されない限り、任意の他の実施形態とともに使用および実施され得ることに留意すべきである。
【0046】
本出願の詳細な説明および特許請求の範囲において、用語「含む(comprise)」「含む(include)」および「有する」という単語およびその形態は、必ずしも当該単語が関連し得るリストの要素に限定されるものではない。
【0047】
本明細書で使用されるように、不定冠詞「a(1つの)」および「an(1つの)」は、文脈上他に明確に指示されない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味する。
【0048】
本明細書で述べられるような用語「内視鏡」は、いくつかの実施形態に従って結腸鏡および胃カメラを特に指してもよいが、結腸鏡および胃カメラのみに限定されるものではないことに留意されたい。用語「内視鏡」は、身体の中空の器官または空洞の内部を検査するために使用される任意の器具を指してもよい。
【0049】
図1Aおよび
図1Bはそれぞれ、スネアループ101の底面斜視図および側方斜視図であり、
図2Aおよび
図3はそれぞれ、本明細書の一実施形態に従う標的対象物捕捉および回収スネア装置100の斜視図および長手方向断面図である。ここで
図1A、
図1B、
図2Aおよび
図3を参照すると、スネアループ101は、可撓性かつ伸張性の被覆ループ部材105(以下、「ループ」とも交換可能に称される)を含み、メッシュまたはネット110が分離可能、着脱可能ではあるが、強固に取り付けられているかまたは連結されている。ループ部材105は、
図3を参照して以下に説明するように、ループ105のワイヤが接合材料によって被覆または包囲されているため、「被覆された(coated)」と記載されている。スネア装置100は、近位端115aおよび遠位端115bを備えた長尺状の本体を有する管状部材またはシース115と、
図3に示されるように完全に折り畳まれてかつ格納された位置にあるときに取り付けられたメッシュまたはネット110を備える被覆ループ部材105をその内部に回収可能に保管するための通路または内腔120と、をさらに含む。
【0050】
一実施形態では、メッシュまたはネット110は、限定するものではないが、ナイロンまたはPET(ポリエチレンテレフタレート)(または本明細書の後に記載される他のポリマー)などのポリマー材料の複数のストランドをラップ編みする(wrap knitting)ことのようなプロセスによって形成される一方で、管状部材またはシース115は、高密度ポリエチレン(HDPE)、テトラフルオロエチレン(TFE)樹脂またはテフロン(登録商標)およびフルオン(登録商標)などのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ポリマーを含む絶縁性の可撓性材料から製造される。一実施形態によれば、メッシュ、ネットまたはウェブ110のポリマー材料はエラストマー特性を有し、それにより、ポリマー材料を機械方向(MD)に少なくとも10%~40%前進させるか、伸縮させるか、または伸長させ、機械横断方向(CMD)に少なくとも20%~70%前進させるか、伸縮させるか、または伸長させる。当業者であれば、「機械方向(MD)」なる用語は、本明細書では、プロセスを通る材料の流れの方向を指すものとして使用され、「機械横断方向」(CMD)なる用語は、機械方向にほぼ垂直な方向を指すものとして使用されることを理解できるであろう。種々の実施形態において、メッシュ110は、1平方センチメートルあたり15~40個の孔の範囲の多孔度を有する。いくつかの実施形態では、メッシュまたはネット110を形成するポリマー材料の厚さは、0.05mm~0.3mmの範囲である。代替的に、メッシュ110は、ポリマー材料の連続した膜またはウェブであってもよい。また、種々の実施形態において、メッシュ、ネットまたはウェブ110は、テクスチャ加工されているか、またはテクスチャ加工されていない。一実施形態によれば、メッシュ、ネットまたはウェブ110は、メッシュ110を被覆ループ部材105と接合させると、ポーチまたはサグ145を含む。
図2Bは、種々の実施形態に従う複数の「形状化された(shaped)」孔からなるメッシュ110を含むスネアループ101の一部の拡大斜視図である。一実施形態では、
図2Bに示されるように、メッシュ110の複数の孔の各々は、6面の多角形または六角形の形状に形状化される。種々の代替実施形態では、複数の孔の各々は、限定されるものではないが、円形、三角形、正方形、長方形、五角形または任意の他の多面を備えた多角形のような形状を有することができる。
【0051】
シース115は、内腔120と連通する遠位開口部122を有し、この遠位開口部122を通って、被覆ループ部材105は、展開のために部分的または完全に伸長され得、かつ保管のために部分的または完全に格納され得る。シース内腔120内からの被覆ループ部材105の伸長および格納は、一実施形態では、シース115の近位開口部124を介して被覆ループ部材105の近位端107に連結する運動伝達リンク170を使用して達成される。種々の実施形態において、運動伝達リンク170は、ステンレス鋼などの中空管、ねじりストランドワイヤまたは適切な剛性材料の編組線である。オペレータが近位開口部124からリンク170を引っ張り出すと、被覆ループ部材105はシース115内に引き込まれ、一方、オペレータがリンク170を近位開口部124に押し込むと、被覆ループ部材105はシース115の遠位開口部122を越えて延出する。
【0052】
図2Aに示されるように、シース115は、ハンドルアセンブリ196の遠位端196aから遠位に延びる。一実施形態では、ハンドルアセンブリ196の遠位端196aに近接する一定の長さのシース115は、シャフトストレインリリーフ197を含む。スネアループを展開するために伝達リンク170がシース115内に前進されるときに、シャフトストレインリリーフ197がシース115を覆い、剛性の運動伝達リンク170(
図3に示される)にストレインリリーフを提供する。シャフトストレインリリーフ197はスネアループの適切な展開を容易にするために伝達リンク170の円滑な動きを保証する。
【0053】
図4は、本明細書の態様に従って製造された、標的対象物捕捉および回収装置の被覆ループ部材105の断面概略図である。
図1A、
図1B、
図2A、
図3および
図4を参照すると、被覆ループ部材105のコアには、弾性であるが耐久性かつ導電性の材料で構成された直径「d」のワイヤ130があり、同材料は所望のループ形状に形状化しやすい。一実施形態によれば、ワイヤ130の直径「d」は、0.2~0.6ミリメートルの範囲である。被覆ループ部材105が、管状部材またはシース115内のその折り畳まれたまたは格納された位置(
図3)から拡張されたとき(
図1A、1Bおよび2A)、同被覆ループ部材105は自動的に拡張して所望のループ形状の形態を保持し、それにより、取り付けられたメッシュまたはネット110に対して開口部を提供する。同様に、管状部材またはシース115内に格納されると、被覆ループ部材105は、取り付けられたメッシュまたはネット110とともに収縮し、シース内腔120内で圧縮される。種々の実施形態において、ワイヤ130は、編組鋼、ニチノールなどの金属形状記憶合金、または可撓性であり、熱および電気の導体であり、かつ同時に展開時に所望のループ形状を維持するのに十分な弾性を有する任意の他の適切な材料から形成される。
【0054】
一実施形態では、ワイヤ130の、したがって被覆ループ部材105の所望の拡張形状は涙滴型の形状であり(被覆ループ部材105のメッシュ/ネットを除去した状態にて示す
図2Cに示されるように)、一方、代替的な実施形態において、所望の拡張形状は、楕円形(
図1A、1B)、円形、正方形、長方形、四辺形、多角形、または当業者には明らかに有利である任意の他の適切な形状である。
図1Aを参照すると、楕円形または涙滴型の形状に関して説明した一実施形態では、ループは、ループの基準中心155を通る長手方向軸150に沿った第1の寸法L
1と、長手方向軸150に対してほぼ垂直であるとともに、ループの基準中心155を通る別の軸に沿った第2の寸法L
2とを有する。種々の実施形態では、第1の寸法L
1は第2の寸法L
2より大きい。いくつかの実施形態では、第1の寸法L
1は第2の寸法L
2に等しい。さらに他の実施形態では、第1の寸法L
1は第2の寸法L
2より小さい。種々の実施形態によれば、ワイヤ130の所望の形状が涙滴型または楕円形である場合、第1の寸法L
1は30~70ミリメートルの範囲であり、第2の寸法L
2は15~40ミリメートルの範囲である。
【0055】
図4を参照すると、本明細書の一態様によれば、ワイヤ130は、厚さ「t」を有する層135であって、一実施形態では、「自己接合性接着剤」として機能するポリマー材料からなる層135によって被覆され、または包囲される。本明細書で使用される場合、「自己接合性接着剤」なる用語は、熱または溶媒の適用によって、十分に粘着性(tacky)または粘性(sticky)になることによって変化し得る(あるいは部分的に溶融し得る)材料であって、冷却すると別のポリマー材料および/または金属と強固な接合を形成する材料を意味するように定義される。「自己接合性接着剤」は、メッシュとループを両者の間の接触領域にて接合し、接着剤が冷却されると強固な連結を提供する。本明細書の目的のために、粘着性は、粘性の性質を有するか、または部分的に濡れているか、または完全に乾燥していないものとして定義され、粘着性の増加は、粘性の性質、部分的に濡れている状態、または完全に乾燥していない状態が高められて、それによりその粘性の性質が高められているものとして定義される。ポリマー材料は、その分解温度または発火温度よりも低い温度に加熱されると、類似の表面または金属のような異種の表面に接合するのに十分な粘着特性あるいは接着特性を備えた熱可塑性となる。ポリマー材料の例は、ポリオレフィン、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリウレタン、ポリノルボルネン、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリアミド(ポリエーテルブロックアミド、Pebax(登録商標)とも呼ばれる)、ポリシロキサン、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステル、トランス-ポリイソプレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、架橋トランスポリオクチレン、架橋ポリエチレン、架橋ポリイソプレン、架橋ポリシクロオクテン、無機-有機ハイブリッドポリマー、ポリエチレンとKraton(登録商標)とのコポリマーブレンド、スチレン-ブタジエンコポリマー、ウレタン-ブタジエンコポリマー、ポリカプロラクトンまたはオリゴカプロラクトンコポリマー、ポリ乳酸(PLLA)またはポリラクチド(PL/DLA)コポリマー、PLLA-ポリグリコール酸(PGA)コポリマーおよび光架橋性ポリマーを含む。
【0056】
一実施形態では、層135のポリマー材料は、ナイロンまたはペバックス(登録商標)である。一実施形態では、層135は、押出、オーバーモールディングまたは浸漬などの従来の方法を使用して、ワイヤ130にペバックス(登録商標)などのポリマー材料を被覆することによって形成される。別の実施形態では、層135は、ペバックス(登録商標)のようなポリマー材料の中空管であり、管130がシースのようにワイヤ130を包囲または覆うようにその中にワイヤ130が挿入される。いくつかの実施形態では、中空管の形態の層135は、0.3mm~1.0mmの範囲の内径と、0.5mm~1.50mmの範囲の外径とを有する。種々の実施形態において、ペバックス(登録商標)などのポリマー材料の被覆または中空管の形態の層135は、0.05mm~0.6mmの範囲の厚さtを有する。
【0057】
図5Aは、スネアループ101aの実施形態を示し、層135(被覆または中空チューブの形態で)がワイヤ130を連続的に包囲または覆う。
図5Bのスネアループ101bとして示される代替的な実施形態では、層135はワイヤ130の複数の部分130’が露出した状態のままであるか、または被覆または中空管(層135)を備えていない状態のままであるように、複数のセグメントに分割される。この不連続またはセグメント化された層135は、スネアループ101が伸長または格納しているときに変形しやすい可撓性をメッシュ110に提供する。一態様によれば、(被覆または中空チューブの形態の)層135および/またはメッシュ110は、限定されるものではないが、青色、緑色または赤色などの明るい色を有する。層135および/またはメッシュ110の明るい色は、例えば内視鏡処置中のようなループ101が体液と流体連通している間、ループおよびループ境界の視認性を改善することを可能にする。種々の実施形態では、マスターバッチ混合、予備配合の有無にかかわらず顔料配合、液体着色剤添加、または装飾手順を使用してスネアループ101aまたは101bの層135および/またはメッシュ110に色を加える。一実施形態では、マスターバッチ混合を使用して、基材(例えば、ペバックス(登録商標))の粘度と同様の粘度を有するポリアミドが基材と配合される。種々の実施形態において、ポリアミド着色剤の配合率は0.3%~3%である。種々の実施形態では、層135および/またはメッシュ110を色で装飾する方法は、レーザ印刷、ホット印刷、インク印刷、クリアコートおよびラッカー、および同時成形、インサート成形およびインモールドラベリングのようなインモールド技術を含む。一実施形態では、装飾の後、層135および/またはメッシュ110を熱成形し、スネアループアセンブリのために打ち抜くことができる。
【0058】
種々の態様によれば、層135および/またはメッシュ110の明るい色は、スネアループ101aまたは101bが400~750nmの第1の範囲(全可視スペクトル)の波長を有する光にさらされると、第2の範囲の波長を有する光を反射する。別の実施形態では、スネアループは、内視鏡装置に使用される従来の照明器またはLEDによって放射される波長を有する光にさらされてもよい。一実施形態では、スネアループは、400~750nmの範囲の波長を放射するか、またはそのサブ部分にある波長を放射する光ファイバ光またはLEDのような内視鏡光源からの光にさらされる。別の実施形態では、スネアループは、青色(450nm)または緑色(550nm)にて、もしくはその付近で、放射が増加した状態の400~750nmの範囲の波長を放射する光ファイバ光またはLEDなどの内視鏡光源からの光にさらされる。
【0059】
一実施形態では、第2の範囲は380~750nmである。別の実施形態では、スネアループは、
図6の可視光スペクトル600に示されるように、第2の範囲605、610における波長を有する光を反射するが、第3の範囲615を除外する(したがって、吸収する)。従って、別の実施形態では、第2の範囲605、610は、380~570nmの範囲、および620~750nmの範囲にそれぞれ対応する一方で、第3の範囲615は571~619nmの範囲の波長に対応し、それは反射されない。第2の範囲605、610の波長を反射する層135および/またはメッシュ110は、内視鏡処置中に体液に浸されたとき、または塗布されたときでさえ、容易に視認可能であり、識別可能であることを理解されたい。
【0060】
金属は、同金属に衝突する可視光のほぼ全波長スペクトルを反射するため、銀色または灰色に見える非被覆または裸の金属材料でできている従来のスネアループ。可視光のすべての波長は、電子遷移を可能にする連続的に利用可能な空の電子状態のために、金属によって吸収される。吸収された放射線の大部分は、反射光として現れる可視光の形で金属の表面から再放出される。同様に、従来のメッシュも白っぽい灰色である。従来のスネアループおよびメッシュは、典型的には銀色、白っぽいまたは灰色に見えるので、特に体液と流体連通しているときに視認性が損なわれる。以前の設計とは対照的に、本明細書のスネアループおよび/またはメッシュは、(金属によって反射されるような)可視スペクトル600のすべての波長ではなく、第2の範囲605、610に対応するような特定の波長範囲を反射する。したがって、スネアループは、571~619nmの範囲の波長を除いて、可視スペクトル600のすべての波長を反射する材料からなる。
【0061】
本明細書のスネアループ101を製造または組み立てるプロセスの間、一実施形態では、ワイヤ130は、最初に曲げられ、または所望のループ形状に折り畳まれ、その後、層135で被覆または包囲される。しかしながら、代替的な実施形態において、ワイヤ130は、まず、層135で被覆または包囲された後、所望のループ形状に曲げられまたは折り畳まれる。いくつかの実施形態では、既に所望のループ形状に曲げられまたは折り畳まれているワイヤ130は、
図7Aに示されるように、ループ105の近位端に締結具(fastener)、接合部(bind)または留め金(clasp)140を含む。種々の実施形態では、締結具、接合部または留め金140は、ワイヤ130のループ105への曲げから生じる近位アーム141、142を一緒に保持する少なくとも1つの溶接部、ハイポチューブ、少なくとも1つのクリップまたは他の固定具を含む。しかしながら、ワイヤ130が中空管135内に包囲される必要がある実施形態では、締結具、接合部または留め金140が邪魔になる。したがって、一実施形態では、少なくとも1つの溶接部のような締結具140はワイヤ130を損傷することなく切断される一方でその切断部での滑らかな領域または表面を維持する。不適切にまたは粗く切断された溶接部のような締結具または接合部は、
図7Bに示されるように、波状のまたはギザギザの表面143を有する一方で、溶接などの適切に切断された締結具または接合部は、
図7Cに示されるように、滑らかな表面143’を生ずる。種々の実施形態において、ワイヤ130および/または中空チューブ135の内部チャネルは、ワイヤ130を中空チューブ135内に納めるプロセス中の摩擦を低減するために、乾燥潤滑剤で被覆されてもよい。乾燥潤滑剤の非限定的な例には、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)粉末、McLube(登録商標)、シリコンオイルなどが挙げられる。しかしながら、いくつかの実施形態において、ワイヤ130は、溶接部を備えることなく、所望のループ形状に曲げられるか、または折り畳まれる。そのような実施形態では、中空管135内にワイヤ130を納めることは容易に達成される。
【0062】
以下では、本明細書の実施形態に従う
図7A、7B、7Cおよび8~12とともに
図1A、1B、2A、3、4、5Aおよび5Bを同時に参照して、メッシュまたはネット110を被覆ループ部材105に取り付けるために、同メッシュまたはネット110が被覆ループ部材105上に配置され、かつ保持されて、ワイヤ130が加熱される。メッシュ110の形状は、被覆ループ部材105の形状に近似される。また、メッシュ110のサイズは、メッシュ110の部分が、下にある被覆ループ部材105の外周を越えて、メッシュ110の縁部に沿って延びるように選択される。一実施形態では、メッシュ110は、被覆ループ部材105上に配置されている間に意図的なたるみ(slack)を有する。同たるみは、好ましくは、メッシュ110が被覆ループ部材105に取り付けられ、または連結された後に、同被覆ループ部材105の中心155にポーチ145を形成する。
【0063】
図8は、メッシュ110を被覆ループ部材105に取り付けるために使用されるベース固定具175の実施形態を示す。ベース固定具175は、被覆ループ部材の形状に近似するループ保持領域176をその上面177に含む。一実施形態では、ループ保持領域176は、被覆ループ部材105がループ保持領域176の上に配置されると、被覆ループ部材105を定位置にしっかりと保持する複数の磁石178を備える。ループ保持領域176は、ベース固定具175との間に、かつベース固定具175内に形成される中空部分を画定する。中空部分は、その中にポーチ形状固定具180を受容するように構成される。
【0064】
組み立てるために、被覆ループ部材105は、ループ保持領域176の上に配置され、それにより被覆ループ部材105が複数の磁石178によってしっかりと保持される。一実施形態では、複数の磁石178は、ループ保持領域176によって画定された外周または境界にほぼ沿って位置するべくベース固定具175内に埋め込まれる。次に、メッシュ110は、保持された被覆ループ部材105の上に置かれる。この時点で、メッシュ110は、同メッシュ110の部分が、下にある被覆ループ部材105の外周を越えて、その縁部に沿って延びるように、被覆ループ部材105を覆う。次に、ポーチ形状固定具180は、中空部分の上にあるメッシュ110の部分の上に配置され、それによって、メッシュ110を中空部分内に押圧する、または押し込む(forcing)。中空部分を充填するためにメッシュ110を押圧することにより、ポーチ145(
図1Bに示す)が形成される。1つの態様によれば、メッシュ110は、少なくともポーチ形状固定具180の重量によって定位置に保持される。複数のガイドピン孔182は、メッシュ110、ループ105およびポーチ形状固定具180を一緒に整列して保持および/または維持するために、対応するガイドピンを挿入可能とする。
【0065】
メッシュ110を被覆ループ部材105に取り付けるかまたは連結するために、ワイヤ130を適切な温度に加熱し、ナイロンまたはペバックス(登録商標)などのポリマー材料の層135を部分的に溶融し、軟化させ、燃焼または分解することなく十分に粘着性または粘性にする。適切な温度は、少なくとも使用される特定のポリマー材料に依存する。一実施形態では、外部電気回路/外部電力源を使用してワイヤ130を電気的に加熱することによって、熱が層135に伝達される。代替的な実施形態では、上にあるメッシュ110をしっかりと保持しながら被覆ループ部材105を高温空気の吹き付けにさらして、熱を層135に伝達する。種々の実施形態において、高温空気は、120~180℃の範囲内の温度、または接合材料の溶融温度の範囲内の温度を有する。いくつかの実施形態では、加熱はオーブン内で達成される。一実施形態では、オーブンは、所定のワイヤおよびメッシュ装置をその中に入れる前に、特定の温度に予熱される。さらに別の実施形態では、
図9に示されるように、ホットアイロン、サーマルプレス185(または当業者には明らかなその他の熱源)を用いて、被覆ループ部材105の外周の上にあるメッシュ110をその遠部に沿ってホットアイロン、熱プレスまたは熱溶接することによって熱が層135に伝達される。その結果、メッシュ110の複数のポリマーストランド(例えば、ナイロンまたはPETストランドなど)は、粘着性または粘性の層135によってループワイヤに接合され、したがって、冷却時に強固な接合を形成する。
【0066】
メッシュ110を層135(したがって被覆ループ部材105)に強固に接合すると、
図10に示されるように、被覆ループ部材105の外周を越えて延びるメッシュ110の部分186が切断され、または切り取られ、接合されていない端部または部分186(「延在部」とも呼ばれる)が除去される。一実施形態では、
図10に示されるように、レーザビーム187を用いて延在部186を切断または切り取る。代替的な実施形態では、
図11に示されるように、メッシュ切断用ダイ190が使用される。図示されているように、取り付けられた、接合されたまたは融合されたメッシュ110および被覆ループ部材105のアセンブリ(以下、「接合アセンブリ」とも称される)は、案内または整列ピン192、194の間に配置され、整列される。切断用ダイ190はループ部材105の形状に近似しており、かつ、ダイ190が「接合アセンブリ」の上に押し付けられると、形成されたポーチ145を取り囲む中空部分195を有する。ダイ190を「接合アセンブリ」の上に押し込む、または強制的に押圧することにより、延在部186が切断または切り取られる。切断用ダイ190が「接合アセンブリ」の上に押し付けられて、ダイ190の「接合アセンブリ」に対する適切なアライメントが可能になると、嵌合孔192’が整列ピン192を受承し、それにより延在部186を正確に切断または切り取ることができる。さらなる実施形態では、延在部186を切断または切り取るために超音波溶接が使用される。超音波溶接によって熱が発生し、それにより、メッシュの領域が溶解され、それらが切断される。
【0067】
図12に示されるように、一実施形態によれば、ループ105の近位の長さ198にわたって延びるメッシュ110の部分は、近位の長さ198に沿って層135の対応する部分と融着または接合される。延在部186を切断または切り取った(
図10および
図11に示す)後に、近位の長さ198は、その上に収縮チューブを形成するメッシュ110の溶融部分を保持し、これにより一緒に保持し、近位アーム141、142(
図7Aに認められる)に対して十分な補強部を提供する。
【0068】
本明細書の代替的な実施形態によれば、メッシュ110はワイヤ130に直接接合され、層135の必要性を排除する。このような実施形態では、メッシュ110は、接着剤を用いてワイヤ130に接着され、その後、乾燥、紫外線、レーザまたは熱溶接、;熱かしめ、または当業者に知られている任意の他の方法が実施される。一実施形態では、メッシュ110は、UV(紫外線)硬化接着剤を使用して硬化プロセスでワイヤ130に直接接着される(層135を必要とせずに)が、ここで、高強度の紫外線または放射線を使用して(接着剤を紫外線にさらす、または紫外線照射することにより)接着剤の硬化または乾燥をスピードアップする。UV硬化接着剤の一例は、Henkelによって販売されるLoctite(登録商標)ブランドの接着剤である。
【0069】
使用中、その内部に圧縮された可撓性かつ伸張性の被覆ループ部材105を有する管状部材またはシース115は、ポリープ、切断されたヒト組織、異物または詰まった食物塊のような身体の管腔内の標的対象物の近くに位置するように内視鏡の作用チャネルまたはサービスチャネルを介して挿入される。標的対象物の捕捉が行われようとするとき、被覆ループ部材105は、管状部材またはシース115から延出され、そのプロセスで自動的に拡張し、それによって、取り付けられたメッシュ110、したがってポーチ145に開口部を提供する。一実施形態において、標的対象物がメッシュ110に捕捉されるとき、被覆ループ部材105は部分的に格納されて、同標的対象物をメッシュ110内に確保する。別の実施形態では、標的対象物がメッシュ110内に捕捉されると、回収デバイスおよび標的対象物は、被覆ループ部材105をシース115内に格納することなく患者から除去される。一実施形態において、ポーチ145の存在は、標的対象物を確実に保持することをさらに支援する。
【0070】
図13は、本明細書の種々の実施形態に従って、被覆ループ部材を形成し、メッシュまたはネットを被覆ループ部材に取り付ける、接合するまたは連結する方法の例示的なステップを示すフローチャートである。ステップ1310で、ワイヤが得られる。ワイヤは、直径「d」を有し、編組鋼、ステンレス鋼、ニチノールまたは当業者に知られている他の形状記憶合金である。一実施形態では、ステップ1315aにおいて、ワイヤは、厚さ「t」のナイロンまたはペバックス(登録商標)など(それらに限定されるものではないが)のポリマー材料の層で被覆されるか、または包囲される。層は、ポリマー材料でワイヤを被覆するか、またはポリマー材料の中空管にワイヤを挿入することによって形成することができる。次いで、ステップ1320aにおいて、ポリマー材料の層で被覆または包囲されたワイヤを、曲げまたは折り畳みなどによって、所望の形状およびサイズのループに加工して、被覆ループ部材を形成する。別の実施形態では、ステップ1315bにおいて、ワイヤは、曲げまたは折り畳みなどによって、所望の形状およびサイズのループに最初に加工される。その後、ステップ1320bにおいて、形状化されたループワイヤは、ポリマー材料の層で被覆されるか、または包囲されて、被覆ループ部材を形成する。
【0071】
いくつかの実施形態では、ステップ1315bにおいて、最初に所望のループ形状に曲げられ、または折り畳まれたワイヤは、ループの近位端に、締結具、接合部または留め金を含み、ワイヤの曲げによって得られる近位アームを一緒に保持する。種々の実施形態において、締結具、接合部または留め金は、当業者に明らかな少なくとも1つの溶接部、ハイポチューブ、少なくとも1つのクリップまたは他の固定具を含む。このような実施形態では、少なくとも1つの溶接部のような締結具が、ステップ1320bの、ワイヤをポリマー材料の層(一実施形態では中空管など)で被覆または包囲する前に最初に切断または除去され、被覆ループ部材を形成する。
【0072】
種々の実施形態において、ループの所望の形状は、楕円形、円形、涙滴型、正方形、長方形、四辺形または多角形である。一実施形態では、ループは、被覆ループ部材の中心を通る長手方向軸に沿った第1の寸法と、長手方向軸に垂直で、かつ被覆ループ部材の中心を通る別の軸に沿った第2の寸法と、を有する。種々の実施形態では、第1の寸法は第2の寸法よりも長い。いくつかの実施形態では、第1の寸法は第2の寸法に等しい。さらに他の実施形態では、第1の寸法は第2の寸法より小さい。被覆ループ部材は、ステップ1315aに続いてステップ1320aを使用するか、或いはステップ1315bに続いてステップ1320bを使用して形成されることを理解されたい。
【0073】
次に、ステップ1325において、ナイロン、PETなどのポリマー材料のメッシュ、ウェブまたはネットが得られる。メッシュは、被覆ループ部材の形状に近似する形状であり、被覆ループ部材のサイズよりもいくらか大きいサイズである。ステップ1330で、被覆ループ部材を、複数の磁石を有するベース固定具上に配置して、被覆ループ部材を定位置に保持する。その後、メッシュまたはネットは、その縁に沿ったメッシュの部分が被覆ループ部材の外周を越えて延びるように、被覆ループ部材上に配置され、保持される。いくつかの実施形態では、メッシュは、ループ部材の外周を部分的に覆う。他の実施形態では、メッシュは、ループ部材の外周を完全に覆う。一実施形態では、被覆ループ部材の中心を覆うメッシュの一部分は、ポーチ形成固定具を使用して、(メッシュが少なくともポーチ形状固定具の重量によってその位置にとどまるように)ベース固定具内に画定された中空内に押圧されるか、または押し込められる。これは、被覆ループ部材の上に置かれている間、メッシュに意図的なたるみを生じさせる。このたるみは、メッシュが被覆ループ部材に連結された後に、被覆ループ部材の中心にポーチを形成することとなる。
【0074】
ここで、ステップ1335において、熱がポリマー材料の層に伝達される。一実施形態では、被覆ループ部材のワイヤは、燃焼または分解を引き起こすことなく、ポリマー材料の層を部分的に溶融させ、軟化させ、十分に粘着性になり、わずかに粘性になり、または部分的に濡らすこととなるような適切な温度に加熱される。限定されるものではないが、オーブンのような外部電気回路または外部電力源を用いて下にあるワイヤを電気的に加熱すること、被覆ループ部材を高温空気の吹き付けにさらすこと(ループの上に置かれたメッシュは、高温空気吹き付けが両者に吹き付けられている間にしっかりと所定位置に保持される)、被覆ループ部材の外周を覆うその境界に沿ってメッシュ上に熱アイロン、熱プレスを適用すること、または当業者にとって有利であることが明らかである任意の他の方法を用いることによってポリマー材料の層に熱が伝達される。その結果、ステップ1340において、被覆ループ部材の外周の表面上に位置する複数のメッシュのストランドが、粘着性または粘性の層と融着または接着し、冷却時に被覆ループ部材と強固に接合する。最後に、ステップ1345において、被覆ループ部材の外周を越えて延びる接合されたメッシュの部分が、レーザビーム、超音波溶接またはメッシュ切断用ダイを用いて切断または切り取られる。これにより、内視鏡処置時の使用中にメッシュが包囲する組織を裂傷および/または損傷する可能性があるような被覆ループ部材を越えて延びる接合されていない端部またはストランドが存在していないことが保証される。
【0075】
上記の例は、本明細書の方法およびシステムの多くの用途の単なる例示である。本発明のいくつかの実施形態のみを本明細書で説明したが、本発明は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく多くの他の特定の形態で具体化され得ることを理解されたい。したがって、本実施例および実施形態は例示的であって限定的ではなく、添付の特許請求の範囲内で本発明を変更することができる。
【0076】
以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。
[付記1]
メッシュをループ部材に取り付ける方法において、前記方法は、
ある形状を有するループ部材を形成するためにワイヤを加工するステップであって、第1の材料からなるワイヤを加工するステップと、
前記ループ部材に接着剤の層を適用するステップと、
ループ部材を覆ってメッシュを配置するステップであって、前記メッシュが第2の材料であり、前記メッシュが前記ループ部材の外周を少なくとも部分的に覆い、前記メッシュの一部が前記ループ部材の外周を越えて延在する、ステップと、
メッシュがループ部材の上に配置されている間に接着剤をエネルギー源にさらすステップと、
前記メッシュを前記接着剤と接合させるステップと、
前記メッシュの前記ループ部材の外周を越えて延在する部分を切り取るステップと、を含み、
前記ループ部材は、取り付けられたメッシュとともに、同ループ部材および同取り付けられたメッシュをシースの内腔に格納することによって折り畳み可能であり、かつ同ループ部材および同取り付けられたメッシュを前記シースから延出するときに前記形状に拡張可能であるように構成されている方法。
【0077】
[付記2]
前記エネルギー源は、放熱オーブン、紫外線放射源、赤外線放射源、およびレーザ源のうちの少なくとも1つである付記1に記載の方法。
【0078】
[付記3]
前記ループ部材の前記形状は、楕円形、円形、涙滴型、正方形、長方形、四辺形、または多角形のいずれか1つである付記1に記載の方法。
【0079】
[付記4]
前記ループ部材は、同ループ部材の中心を通る長手方向軸に沿った第1の寸法と、長手方向軸に垂直でかつ同ループ部材の中心を通る別の軸に沿った第2の寸法とを有する付記1に記載の方法。
【0080】
[付記5]
前記第1の寸法は前記第2の寸法よりも長い付記4に記載の方法。
[付記6]
前記第1の寸法は30~70ミリメートルの範囲であり、前記第2の寸法は15~40ミリメートルの範囲である付記5に記載の方法。
【0081】
[付記7]
前記第1の寸法は前記第2の寸法と等しい付記4に記載の方法。
[付記8]
前記第1の寸法は前記第2の寸法より小さい付記4に記載の方法。
【0082】
[付記9]
前記ワイヤの第1の材料は、ニチノール、鋼またはステンレス鋼のうちの少なくとも1つである付記1に記載の方法。
【0083】
[付記10]
前記メッシュは、接合後に前記ループ部材の中心にポーチを有する付記1に記載の方法。
【0084】
[付記11]
メッシュをループ部材に取り付ける方法において、前記方法は、
第1の材料のワイヤを第2の材料の層で被覆するステップと、
ループ部材を形成するために前記ワイヤおよび前記層を加工するステップであって、前記ループ部材はある形状を有し、前記ループ部材は、同ループ部材の中心を通る長手方向軸に沿った第1の寸法と、前記長手方向軸と垂直に、かつループ部材の中心を通る別の軸に沿った第2の寸法とを有するステップと、
前記ループ部材を覆って前記メッシュを配置するステップであって、前記メッシュが第3の材料であり、前記メッシュがループ部材の外周を少なくとも部分的に覆い、前記メッシュの一部がループ部材の外周を越えて延在する、ステップと、
前記メッシュが前記ループ部材の上に配置されている間に、第2の材料を部分的に溶融させて粘着性を増加させるために熱を前記層に伝達するステップと、
前記メッシュを前記ループ部材の外周に沿って前記層の前記第2の材料と一緒に接合させ、冷却時に強固な接合を形成させるステップと、
前記メッシュの前記ループ部材の外周を越えて延在する部分を切り取るステップと、を含み、前記ループ部材は、取り付けられたメッシュとともに、同ループ部材を同取り付けられたメッシュとともにシースの内腔に格納することによって折り畳み可能であり、かつ同ループ部材が同取り付けられたメッシュとともに前記シースから延出するときに前記形状に拡張可能であるように構成されている方法。
【0085】
[付記12]
前記ループ部材の前記形状は、楕円形、円形、涙滴型、正方形、長方形、四辺形、及び多角形のいずれか1つである付記11に記載の方法。
【0086】
[付記13]
前記第1の寸法は前記第2の寸法よりも長い付記11に記載の方法。
[付記14]
前記第1の寸法は30~70ミリメートルの範囲であり、前記第2の寸法は15~40ミリメートルの範囲である付記13に記載の方法。
【0087】
[付記15]
前記第1の寸法は前記第2の寸法と等しい付記11に記載の方法。
[付記16]
前記第1の寸法は前記第2の寸法より小さい付記11に記載の方法。
【0088】
[付記17]
前記ワイヤの第1の材料は、ニチノール、鋼またはステンレス鋼のうちの少なくとも1つである付記11に記載の方法。
【0089】
[付記18]
前記メッシュの第3の材料は、ナイロンまたはPETのうちの少なくとも1つである付記11に記載の方法。
【0090】
[付記19]
前記ループ部材は、同ループ部材を高温空気にさらすことによって加熱され、前記高温空気は120~180℃の範囲の温度または前記第2の材料の溶融温度の範囲内の温度を有する付記18に記載の方法。
【0091】
[付記20]
前記メッシュは、接合後に前記ループ部材の中心にポーチを有する付記11に記載の方法。
【0092】
[付記21]
回収装置であって、前記回収装置は、
可撓性ワイヤループと、
前記ワイヤループを覆って積層された接合材料と、
前記ワイヤループに外接する開口部を有するネットを形成するために構成された前記接合材料に接合されたメッシュであって、前記メッシュは、前記接合材料を粘着状態に加熱し、前記メッシュの外縁を前記接合材料を覆って配置し、かつ前記接合材料を冷却させるプロセスを経て前記接合材料に固着される、メッシュと、
長尺状の本体と、近位端と、遠位端と、その内部に内腔と、を含む管状シースと、を含み、前記接合されたメッシュを有する前記可撓性ワイヤループは、前記内腔内に格納可能であるとともに、前記管状シースの前記近位端に配置されたリンク部材を操作することによって前記管状シースの前記遠位端にて開口部を通って前記内腔から延出可能であるように構成されており、前記ループおよび前記メッシュの少なくとも一方は、第1の波長範囲の光に露光されたときに、400nm~570nmおよび620nm~750nmの波長範囲の光を反射し、571nm~619nmの波長範囲の光を吸収するような色を含む、回収装置。
【0093】
[付記22]
前記メッシュは複数の孔を含む付記21に記載の装置。
[付記23]
前記孔は、六角形、円形、三角形、正方形、長方形、五角形または多面を備えた多角形の形状を有する付記22に記載の装置。