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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-01
(45)【発行日】2023-06-09
(54)【発明の名称】エアコン装置の室外機用プロペラファン
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/38 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
F04D29/38 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019132470
(22)【出願日】2019-07-18
(65)【公開番号】P2021017819
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2021-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】山田 周平
(72)【発明者】
【氏名】諸我 勝巳
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-371994(JP,A)
【文献】国際公開第2015/092924(WO,A1)
【文献】特開2014-080970(JP,A)
【文献】特開2012-241684(JP,A)
【文献】国際公開第2018/158859(WO,A1)
【文献】特開2010-144702(JP,A)
【文献】特開2018-109356(JP,A)
【文献】特開2000-110785(JP,A)
【文献】特開2011-202517(JP,A)
【文献】米国特許第06341940(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心に位置すると共に回転可能に設けられたハブ部と、このハブ部の外周に設けられている羽根と、からなるプロペラファンにおいて、
前記羽根は、回転方向を基準として前端に位置する前縁部と、後端に位置する後縁部と、前記ハブ部に沿って形成された内縁部と、径方向の外側の端部に位置し自由端とされている外縁部と、前記前縁部から前記後縁部まで連続して凹状に1つだけ形成されている凹部と、この凹部よりも外側に位置し前記外縁部から前記後縁部まで連続して凸状に1つだけ形成されている凸部と、を有していると共に前記内縁部の肉厚が前記外縁部の肉厚よりも厚く形成され、
前記凹部は、前記内縁部よりも軸線方向の一方向に凹状に形成され、
前記凸部は、前記内縁部よりも軸線方向の他方向に凸状に形成されていることを特徴とするエアコン装置の室外機用プロペラファン。
【請求項2】
前記ハブ部の中心から前記凹部の後端までの長さは、前記ハブ部の中心から前記凹部の前端までの長さよりも短く、且つ、
前記ハブ部の中心から前記凸部の後端までの長さは、前記ハブ部の中心から前記凸部の前端までの長さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載のエアコン装置の室外機用プロペラファン。
【請求項3】
前記凹部と、前記凸部とは、湾曲状に連続して形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエアコン装置の室外機用プロペラファン。
【請求項4】
前記凹部と前記凸部との変曲点である部位を境界部とした場合に、
この境界部が連続して形成された境界線は、前記内縁部よりも前記外縁部に近い部位に位置していることを特徴とする請求項3に記載のエアコン装置の室外機用プロペラファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転することにより送風を行うプロペラファンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、エアコン装置の室外機内には、熱交換器に送風を行うためのプロペラファンが設けられている。このようなプロペラファンに関する従来技術として、特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に示されるような、プロペラファンは、回転するボスと、このボスの外周に設けられた翼と、を有し、翼は、上流側に膨らむ屈曲部を有している。
【0004】
特許文献1に開示されたプロペラファンによれば、送風量を増加しつつ低騒音化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5933721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
翼を回転させると、遠心力等の影響により、翼の表面のうち後縁の外側に風が集中する。これを外側の外方に漏らすことなく後縁の全体に流すことができれば、送風効率を向上させることができる。
【0007】
本発明は、送風効率を向上させることができるプロペラファンの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、中心に位置すると共に回転可能に設けられたハブ部と、このハブ部の外周に設けられている羽根と、からなるプロペラファンにおいて、
前記羽根は、回転方向を基準として前端に位置する前縁部と、後端に位置する後縁部と、径方向の外側の端部に位置する外縁部と、前記前縁部から前記後縁部まで連続して凹状に形成されている凹部と、この凹部よりも外側に位置し前記外縁部又は前記前縁部から前記後縁部まで連続して凸状に形成されている凸部と、を有していることを特徴とするプロペラファンが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、羽根は、前縁部から後縁部まで連続して凹状に形成されている凹部と、凹部よりも外側に位置し外縁部又は前縁部から後縁部まで連続して凸状に形成されている凸部と、を有している。凹部を形成することにより、凹部に沿ってより多くの風を流すと共に、凸部を凹部の外側に形成することにより、径方向外方への風の流れを抑制する。これにより、後縁部の全体に風を流すことができ、送風効率を向上させることができる。つまり、送風効率を向上させたプロペラファンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例によるプロペラファンが搭載されたエアコン装置の模式図である。
図2図1に示されたプロペラファン、熱交換器、及び、ベルマウスについて説明する図である。
図3図2に示されたプロペラファンの斜視図である。
図4図3に示されたプロペラファンの正面図である。
図5図5Aは、図4の5A線断面図、図5Bは、図4の5B線断面図、図5Cは、図4の5C線断面図、図5Dは、図4の5D線断面図、図5Eは、図4の5E線断面図である。
図6図6Aは、図4に示されたプロペラファンの作用を説明する図、図6Bは、図6Aの6B-6B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
<実施例>
【0012】
図1を参照する。図1には、プロペラファン40を含むエアコン装置10が示されている。エアコン装置10は、屋内Inを冷却する冷房機能と、屋内Inを暖房する暖房機能と、を備えている。
【0013】
エアコン装置10は、屋外Ouに設けられた室外機20及び屋内Inに設けられた室内機30を備えてなる。室外機20と、室内機30とは、冷媒を循環させることができるよう互いに接続されている。以下、特に説明のない限り、冷媒の循環する方向は、冷房運転時を基準とする。
【0014】
室外機20は、冷房運転時及び暖房運転時における冷媒の循環する方向を切り替える四路切替弁21と、この四路切替弁21を通過した冷媒が流され冷媒を圧縮する圧縮機22と、この圧縮機22において圧縮され高温高圧となった冷媒が流れる室外熱交換器23と、この室外熱交換器23に向かって送風を行うプロペラファン40と、これらの室外熱交換器23及びプロペラファン40の外周に設けられているベルマウス25と、室外熱交換器23を通過した冷媒を減圧する膨張弁26と、を有する。
【0015】
図2を参照する。プロペラファン40は、ベルマウス25の内部においてモータ27によって回転可能に支持されている。モータ27を作動させプロペラファン40を回転させることにより、室外熱交換器23の外部から空気を取り入れ、ベルマウス25に向かって送風を行うことができる。この送風方向を基準として、以下、図面右側を上流又は上流側、図面左側を下流又は下流側という。
【0016】
図1を参照する。室内機30は、屋内Inにおいて壁Waに掛けて用いられる。室内機30は、壁Waに固定され前面に送風口31bを有するケース31に、室内から空気を取り込み送風を行う室内ファン32と、この室内ファン32が取り込んだ空気を冷却する室内熱交換器33と、が収納されてなる。
【0017】
冷房運転時において、圧縮機22で高温高圧とされた冷媒は、室外熱交換器23において外気と熱交換を行い、熱を放出する。このとき、プロペラファン40が作動することによって、外気を強制的に室外熱交換器23の外周に流し、熱交換を促す。室外熱交換器23を通過し熱を放出した冷媒は、膨張弁26において減圧され、温度が低下する。温度が低下した冷媒は、室内熱交換器33に送られる。
【0018】
室内熱交換器33に送られた温度の低い冷媒は、室内熱交換器33において屋内Inの空気と熱交換を行い、屋内の空気を冷却する。冷却された空気は、室内ファン32によって屋内Inに送風される。なお、室内ファン32は、空気を強制的に室内熱交換器33の外周に流し、熱交換を促す役割を果たす。
【0019】
暖房運転時には、四路切替弁21が冷媒の流路を切り替え、冷房運転時とは逆方向に冷媒を循環させる。
【0020】
図3及び図4を参照する。プロペラファン40は、モータ27(図2参照)に連結されている略円柱状のハブ部41と、このハブ部41の側壁面41aに一体的に形成された3枚の羽根50と、を有する。プロペラファン40は、例えば、時計回り方向に回転する。
【0021】
ハブ部41は、プロペラファン40の中心に位置し、ハブ部41の中心Oは、モータ27の軸線に一致している。
【0022】
3枚の羽根50は、ハブ部41の側面に周方向を基準として等間隔に配置されていると共に、同じ形状を呈する。羽根50は、回転方向を基準として前端に位置する前縁部51と、後端に位置する後縁部52と、径方向の内側の端部に位置しハブ部41に沿って形成された内縁部53と、径方向の外側の端部に位置する外縁部54と、を有する。
【0023】
前縁部51は、ハブ部41側の端部が最も下流側に位置し、径方向外側の端部が最も上流側に位置するよう、傾斜している。換言すれば、前縁部51は、ハブ部41から径方向外側に向かって下り勾配に形成されている。
【0024】
後縁部52は、径方向内側の端部と径方向外側の端部とが送風方向を基準として略同じ位置(略同じ高さ)になるよう形成されている。
【0025】
内縁部53は、前縁部51側の端部が最も上流側に位置し、後縁部54側の端部が最も下流側に位置している。つまり、内縁部53は、前縁部51側から後縁部52側に向かって上り勾配に形成されている。
【0026】
外縁部54は、ハブ部41の中心Oを中心とした円弧形状を呈する。外縁部54は、前縁部51側の端部が最も上流側に位置し、後縁部52側の端部が最も下流側に位置している。つまり、外縁部54は、前縁部51側から後縁部52側に向かって上り勾配に形成されている。
【0027】
図4及び図5A図5Eを参照する。羽根50の断面形状は、回転方向を基準とした前方から後方に向かって連続的に変化している。羽根50は、前縁部51から後縁部52まで連続して凹状に形成されている凹部55と、この凹部55よりも外側に位置し外縁部54から後縁部52まで連続して凸状に形成されている凸部56と、を有している。
【0028】
特に図5A図5Eを参照する。凹部55の底である底点P1~P5が連続して形成された線を、底線L1という。また、凸部56の頂である頂点P6~P8が連続して形成された線を頂線L2という。凹部55と凸部56との変曲点となる部位を境界部P9~P11とすると共に、この境界部P9~P11が連続して形成された線を境界線L3という。
【0029】
なお、凸部56は、凹部55の外側において前縁部51から形成されていてもよいが、図に示すように、前後方向の途中において外縁部54から後縁部52まで形成されていることが好ましい。理由は、後述する。
【0030】
ハブ部41の中心Oから凹部55の後端までの長さr1は、ハブ部41の中心Oから凹部55の前端までの長さr2よりも短い。
【0031】
ハブ部41の中心Oから凸部56の後端までの長さr3は、ハブ部41の中心Oから凸部56の前端までの長さr4よりも短い。
【0032】
頂線L2が底線L1に平行になるよう、凹部55と凸部56とは、形成されている。
【0033】
境界線L3は、頂線L2及び底線L1に平行である。また、境界線L3から底線L1までの長さW1は、境界線L3から頂線L2までの長さW2よりも長い。つまり、境界線L3は、底線L1よりも頂線L2に近い部位に位置している。
【0034】
図6A及び図6Bを参照する。羽根50は、前縁部51から後縁部52まで連続して凹状に形成されている凹部55と、凹部55よりも外側に位置し外縁部54から後縁部52まで連続して凸状に形成されている凸部56と、を有している。凹部55を形成することにより、凹部55に沿ってより多くの風を流す(図6B二点鎖線によって囲われた領域参照)と共に、凸部56を凹部55の外側に形成することにより、径方向外方への風の流れを抑制する。これにより、後縁部52の全体に風を流すことができ、小さなトルクによってプロペラファン40を回転させることができる。換言すれば、同じトルクでプロペラファン40を回転させた際の送風量を増加させることができ、プロペラファン40の送風効率を向上させることができる。つまり、送風効率を向上させたプロペラファン40を提供することができる。
【0035】
また、凸部56を形成し、外縁部54の外方へ風が漏れることを抑制することにより、外縁部54とベルマウス25との間の渦流れを原因とする騒音の発生を抑制することができる。
【0036】
なお、上述のとおり、凸部56は、前縁部51から形成されていてもよいが、外縁部54から形成されていることがより好ましい。前縁部51から羽根50の表面を流れる風は、遠心力によって外縁部54と後縁部52との角に向かって流れる。換言すれば、外縁部54のうち、前縁部51に近い部位では、外縁部54の外に流れる風量は少ない。外縁部54側への風の漏れが発生しやすい部位にのみ凸部56を形成することにより、後縁部52のより広い範囲に風を送ることができる。このため、凸部56は、外縁部54から形成されていることがより好ましい。
【0037】
図4を参照する。ハブ部41の中心Oから凹部55の後端までの長さr1は、ハブ部41の中心Oから凹部55の前端までの長さr2よりも短く、且つ、ハブ部41の中心Oから凸部56の後端までの長さr3は、ハブ部41の中心Oから凸部56の前端までの長さr4よりも短い。つまり、凹部55及び凸部56は、後方に向かうに連れてハブ部41に寄るように形成されている。これにより、より内側にも風を導くことができ、遠心力による外向きの力と合わせて羽根50の全体に風を流すことができる。
【0038】
図5A図5Eを併せて参照する。凸部56の頂点P6~P8が連続して形成された頂線L2は、凹部55の底点P1~P5が連続して形成された底線L1に略平行である。凹部55の幅を狭めることなく広く確保することにより、円滑な流れを確保することができる。
【0039】
境界部P9~P11が連続して形成された境界線L3は、頂線L2及び底線L1に平行であると共に、底線L1よりも頂線L2に近い部位に位置している。これにより、凹部55をより広く確保することができる。凹部55の幅をより広く確保することにより、円滑な流れを確保することができる。
【0040】
尚、本発明によるプロペラファンは、羽根が3枚である例を基に説明したが、羽根の枚数は、3枚に限られず、任意の枚数とすることができる。また、プロペラファンは、エアコン装置の室外機に限らず、その他の用途に用いてもよい。つまり、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のプロペラファンは、エアコン装置の室外機に用いるのに好適である。
【符号の説明】
【0042】
40…プロペラファン
41…ハブ部
50…羽根
51…前縁部
52…後縁部
53…内縁部
54…外縁部
55…凹部
56…凸部
P1~P5…底点
P6~P8…頂点
P9~P11…境界部
L1…底線
L2…頂線
L3…境界線
r1…ハブ部の中心から凹部の後端までの長さ
r2…ハブ部の中心から凹部の前端までの長さ
r3…ハブ部の中心から凸部の後端までの長さ
r4…ハブ部の中心から凸部の前端までの長さ
W1…境界線から底線までの長さ
W2…境界線から頂線までの長さ
O…ハブ部の中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6