(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
D06F39/02 A
D06F39/02 Z
(21)【出願番号】P 2019213167
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】小室 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】椎橋 貞人
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-037357(JP,A)
【文献】特開2019-042186(JP,A)
【文献】特開2016-091765(JP,A)
【文献】特開2005-285713(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0023241(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/00 - 39/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を収容する衣類処理槽と、
衣類を処理する衣類処理剤を貯留するタンクと、
前記タンクに貯留されている衣類処理剤を前記衣類処理槽内に投入する自動投入部と、
前記タンクを着脱可能に収容するタンク収容部と、
前記タンク収容部に設けられている収容部側接続部と、
前記タンク
の後部に設けられ、
前記収容部側接続部を介して前記自動投入部に接続されるタンク側接続部と、
前記タンク収容部のうち前記タンク側接続部とは反対側
となる面であって、且つ、前記タンク収容部のうち前記収容部側接続部が設けられた面と対向する面に設けられ、前記タンク収容部内に収容された前記タンクをロックするロック部と、
を備える衣類処理装置。
【請求項2】
前記タンク収容部内に収容された前記タンクを前記タンク側接続部とは反対側に向かって付勢する付勢手段をさらに備える請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記タンク側接続部に設けられる逆止弁と、
前記逆止弁を付勢するばねと、
を備え、
前記ばねが前記付勢手段として機能する請求項2に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記ロック部による前記タンクのロック状態を解除するロック解除手段と、
前記ロック解除手段によって前記ロック状態が解除されることに応じて、前記タンクを前記タンク収容部の外方に向かって押し出す押し出し手段と、
を備える請求項1から3の何れか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記ロック部の一部が前記ロック解除手段として機能する請求項4に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記タンクは、使用者の手指が掛けられる手掛け部を備え、
前記手掛け部は、前記ロック部によってロックされる被ロック部として機能する請求項1から5の何れか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
前記ロック部による前記タンクのロック状態を維持するロック状態維持手段を備える請求項1から6の何れか1項に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、衣類に所定の処理を施す衣類処理装置の一例である洗濯機においては、使用者の利便性向上の要望に応えるため、衣類処理剤を自動投入用のタンク内に予め複数回分貯留しておき、洗濯運転中に必要量をタンクから自動的に水槽内へ投入する自動投入部を備えた構成が開発されている。そして、この種の洗濯機においては、タンクは、給水部に設けられているタンク収容部内に収容されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来構成では、タンクの底面の凹部に設けられた突起が、タンク収容部の底面から突出する2つのガイドリブによって挟まれることにより、タンクがタンク収容部内に固定されるようになっている。即ち、タンク収容部内においてタンクをロックする部分がタンクの下側に設けられた構成となっている。このような構成では、タンク収容部内においてタンクをロックする部分がタンク自体によって隠れてしまうため、使用者は、タンク収容部内においてタンクが適切にロックされているか否かを確認することが困難である。
【0005】
そこで、本実施形態は、タンク収容部内においてタンクが適切にロックされているか否かを容易に確認することができるようにした衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の衣類処理装置は、衣類を収容する衣類処理槽と、衣類を処理する衣類処理剤を貯留するタンクと、前記タンクに貯留されている衣類処理剤を前記衣類処理槽内に投入する自動投入部と、前記タンクを着脱可能に収容するタンク収容部と、前記タンク収容部に設けられている収容部側接続部と、前記タンクの後部に設けられ、前記収容部側接続部を介して前記自動投入部に接続されるタンク側接続部と、前記タンク収容部のうち前記タンク側接続部とは反対側となる面であって、且つ、前記タンク収容部のうち前記収容部側接続部が設けられた面と対向する面に設けられ、前記タンク収容部内に収容された前記タンクをロックするロック部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図2】本実施形態に係る給水部の構成例を概略的に示す図
【
図3】本実施形態に係るタンク収容部の構成例を概略的に示すものであって、ロック部材によるタンクのロック状態が維持されている状態例を概略的に示す縦断側面図
【
図4】本実施形態に係るタンク収容部の構成例を概略的に示すものであって、ロック部材によるタンクのロック状態が解除され、且つ、タンクがロック部材に接触している状態例を概略的に示す縦断側面図
【
図5】本実施形態に係るタンク収容部の構成例を概略的に示すものであって、ロック部材によるタンクのロック状態が解除され、且つ、タンクがロック部材から離間した状態例を概略的に示す縦断側面図
【
図6】本実施形態に係るタンク側接続部および収容部側接続部の構成例を概略的に示すものであって、接続状態および非接続状態を比較して示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、衣類処理装置に係る一実施形態について図面を参照ながら説明する。
図1に例示する洗濯機1は、衣類に所定の処理、この場合、少なくとも、洗い処理、すすぎ処理、脱水処理を施すことが可能な衣類処理装置の一例である。また、洗濯機1は、回転槽の回転中心軸が水平方向あるいは水平方向に対して傾斜する方向に延びる、いわゆるドラム式の洗濯機である。
【0009】
洗濯機1は、その外郭を構成する矩形箱状の外箱2の内部に、衣類を洗浄するための洗浄槽3を備えている。洗浄槽3は、衣類処理槽の一例であり、有底円筒状の水槽の内部に、同じく有底円筒状のドラムを回転可能に備えた構成である。ドラムの周壁には多数の小孔が設けられており、また、ドラムの内周面には、衣類をかき上げるためのバッフルが設けられている。洗浄槽3の前面開口部は、外箱2の前面に設けられたドア5によって開閉可能となっている。使用者は、ドア5を開くことにより、洗浄槽3の前面開口部を通して当該洗浄槽3内に衣類を出し入れすることができる。
【0010】
また、洗濯機1は、洗浄槽3内に水を供給するための給水部4、および、洗浄槽3内の水を機外に排水するための排水部6を備えている。給水部4は、例えば水道などの図示しない水源から洗浄槽3に延びる給水経路の途中に、後述する給水弁ユニット10などを備えた構成となっている。また、排水部6は、洗浄槽3の底部から機外に延びる排水経路の途中に排水弁7などを備えた構成となっている。排水弁7が閉じられた状態で給水部4により洗浄槽3内に水が供給されることにより、洗浄槽3内に所定量の水が溜められる。また、排水弁7が開かれることにより、洗浄槽3内の水が排水経路を介して機外に排出される。
【0011】
図2に例示するように、給水部4は、図示しない水源から洗浄槽3に延びる給水経路の途中に、給水弁ユニット10、自動投入部11、注水ケース12などを備えた構成となっている。給水弁ユニット10の入口は、例えば水道などの図示しない水源に接続されている。また、給水弁ユニット10は、少なくとも2つの給水弁10a,10bを有している。給水弁10aは、手動用給水弁の一例であり、手動用供給経路13aを介して注水ケース12に接続されている。給水弁10bは、自動用給水弁の一例であり、自動用供給経路13bを介して注水ケース12に接続されている。以下、給水弁10aを手動用給水弁10aと称し、給水弁10bを自動用給水弁10bと称する。注水ケース12の出口は、給水ホース14を介して洗浄槽3に接続されている。
【0012】
自動投入部11は、洗剤タンク15および柔軟剤タンク16を備えている。洗剤タンク15および柔軟剤タンク16は、給水部4に対し着脱可能に備えられている。具体的には、洗剤タンク15および柔軟剤タンク16は、給水部4を構成するタンク収容部100の内部に着脱可能に備えられている。このタンク収容部100およびその周辺部分の構成例については後述する。
【0013】
洗剤タンク15内には、運転複数回分の衣類処理剤、この場合、洗浄槽3内に収容されている衣類を洗浄するための洗剤を貯留可能となっている。一方、柔軟剤タンク16内には、運転複数回分の衣類処理剤、この場合、洗浄槽3内に収容されている衣類に柔軟処理を施すための柔軟剤を貯留可能となっている。
【0014】
洗剤タンク15は、洗剤用計量ポンプ17を介して自動用供給経路13bに接続されている。洗剤用計量ポンプ17は、例えば、モータやソレノイドなどのアクチュエータによってピストンを駆動することにより液体を吸引して送出する構成となっている。洗剤用計量ポンプ17は、洗剤タンク15内から所定量、この場合、1回の運転に使用する量の洗剤を吸引し、その吸引した洗剤を自動用供給経路13b内に送出する。そして、自動用供給経路13b内に送出された洗剤は、給水弁ユニット10の自動用給水弁10bから供給される水とともに注水ケース12内に導入される。そして、注水ケース12内に導入された洗剤は、同じく注水ケース12内に導入された水とともに給水ホース14を介して洗浄槽3内に供給される。これにより、洗剤タンク15内から洗浄槽3内に洗剤が自動的に投入される。なお、洗剤用計量ポンプ17は、液体を吸引するものに限られず、例えば、液体を押し出すものであってもよい。
【0015】
柔軟剤タンク16は、柔軟剤用計量ポンプ18を介して自動用供給経路13bに接続されている。柔軟剤用計量ポンプ18は、例えば、モータやソレノイドなどのアクチュエータによってピストンを駆動することにより液体を吸引して送出する構成となっている。柔軟剤用計量ポンプ18は、柔軟剤タンク16内から所定量、この場合、1回の運転に使用する量の柔軟剤を吸引し、その吸引した柔軟剤を自動用供給経路13b内に送出する。そして、自動用供給経路13b内に送出された柔軟剤は、給水弁ユニット10の自動用給水弁10bから供給される水とともに注水ケース12内に導入される。そして、注水ケース12内に導入された柔軟剤は、同じく注水ケース12内に導入された水とともに給水ホース14を介して洗浄槽3内に供給される。これにより、柔軟剤タンク16内から洗浄槽3内に柔軟剤が自動的に投入される。なお、柔軟剤用計量ポンプ18は、液体を吸引するものに限られず、例えば、液体を押し出すものであってもよい。
【0016】
また、注水ケース12内には、手動投入用ケース12aが出し入れ可能に収容されている。手動投入用ケース12a内には、使用者の手動によって洗剤が投入される図示しない手動洗剤投入部、および、使用者の手動によって柔軟剤が投入される図示しない手動柔軟剤投入部が設けられている。手動洗剤投入部に投入されている洗剤、あるいは、手動柔軟剤投入部に投入されている柔軟剤は、給水弁ユニット10から手動用供給経路13aを介して注水ケース12内に注水される水とともに給水ホース14を介して洗浄槽3内に供給される。
【0017】
以上のように構成される給水部4において、手動用供給経路13aは、使用者が手動で投入する洗剤や柔軟剤などの衣類処理剤を洗浄槽3内に供給するための供給経路を構成している。また、自動用供給経路13bは、自動投入部11が自動で投入する洗剤や柔軟剤などの衣類処理剤を洗浄槽3内に供給するための供給経路を構成している。
【0018】
次に、タンク収容部100およびその周辺部分の構成例について説明する。
図3に例示するタンク収容部100は、ほぼ矩形箱状に構成されており、この場合、給水部4を構成する注水ケース12の上部に一体的に設けられている。タンク収容部100の上部には、ほぼ矩形状に開口する開口部101が設けられている。また、タンク収容部100の底部は、図示しない連通部を介して注水ケース12の内部に連通されている。
【0019】
タンク収容部100の開口部101は、ほぼ矩形板状の図示しないタンク蓋部によって開閉可能に構成されている。タンク蓋部は、開口部101の後部に設けられている回動軸を中心として、開口部101を閉塞する閉塞位置と、開口部101を開放する開放位置との間で回動可能に設けられている。また、タンク蓋部の回動可能角度、つまり、閉塞位置と開放位置との間の角度は、この場合、少なくとも90度以上となっている。
【0020】
タンク収容部100の内部には、洗剤タンク15および柔軟剤タンク16が着脱可能に収容される。即ち、使用者は、タンク蓋部を開放位置に回動させて開口部101を開放状態とし、その開口部101を通して、洗剤タンク15および柔軟剤タンク16をタンク収容部100内に収容したり、あるいは、タンク収容部100内から洗剤タンク15および柔軟剤タンク16を取り出したりすることが可能となっている。
【0021】
次に、洗剤タンク15および柔軟剤タンク16の構成例について説明する。なお、洗剤タンク15および柔軟剤タンク16の要部の構成例は同一である。そのため、説明の便宜上、洗剤タンク15および柔軟剤タンク16をタンク15,16と称して説明する。タンク15,16は、その本体部を構成するほぼ矩形容器状のタンク本体部15a,16aを備えている。タンク本体部15a,16aの前部の上部には、図示しない衣類処理剤補給口が設けられている。使用者は、この衣類処理剤補給口を介して、タンク本体部15a,16aの内部に衣類処理剤を補給することができる。なお、衣類処理剤補給口は、図示しない蓋部材によって開閉可能となっている。
【0022】
また、タンク本体部15a,16aの後部の下部には、後方に突出する突出部15b,16bが設けられている。この突出部15b,16bの内部には、詳しくは後述するタンク側接続部300が設けられている。一方、タンク本体部15a,16aの前部の上部には、当該タンク15,16を着脱するときに使用者が手指を掛ける手掛け部15c,16cが設けられている。
【0023】
この場合、手掛け部15c,16cは、タンク収容部100内にタンク15,16が収容されている状態において、当該タンク15,16の前面の上部から前方に突出するようにして設けられている。また、手掛け部15c,16cは、上方から見ると、上面が開放したほぼ矩形枠状をなしており、その前面および左右の両側面が平面状となっている。また、手掛け部15c,16cの下面は、前方から後方に向かって直線状に傾斜する傾斜面となっている。また、手掛け部15c,16cの前面には、当該手掛け部15c,16cの前面を貫通する係止孔15d,16dが設けられている。使用者は、このように構成されている手掛け部15c,16c内に手指を入れることで、タンク15,16の着脱操作を容易に行えるようになっている。
【0024】
次に、タンク収容部100側の構成例について説明する。タンク収容部100には、ロック部の一例であるロック部材200が設けられている。この場合、ロック部材200は、タンク収容部100の前部の上部に設けられている。即ち、ロック部材200は、タンク15,16後部の突出部15b,16b内に設けられるタンク側接続部300とは反対側、つまり、タンク15,16の前面よりも前側に位置して設けられている。また、ロック部材200は、タンク収容部100の前部のうちでも、使用者の目に入りやすい上部に位置して設けられている。
【0025】
ロック部材200は、ロック部材本体部201および回動軸部202を備えている。ロック部材本体部201は、ほぼ矩形の台状をなしており、その上面が平坦な押圧面部201aとなっている。ロック部材本体部201の一部を構成する押圧面部201aは、ロック解除手段の一例として機能するものであり、少なくとも、使用者の指先で押圧操作が可能な程度の面積を有する平坦な面部となっている。
【0026】
また、ロック部材本体部201のうちタンク収容部100内側となる面には、係止突部201bが設けられている。この場合、係止突部201bは、ロック部材本体部201のうちタンク収容部100内側となる面のうち下部に位置して設けられている。
【0027】
回動軸部202は、ロック部材本体部201のうち係止突部201bとは反対側となる面、この場合、前側の面の上部から上方に延びるように設けられている。回動軸部202は、回動軸202aを有しており、ロック部材200は、この回動軸202aを回動中心として、矢印R1,R2方向に回動可能に枢支されている。矢印R1方向は、ロック部材200を前側、つまり、タンク収容部100内とは反対側に回動させようとする方向である。一方、矢印R2は、ロック部材200を後側、つまり、タンク収容部100内側に回動させようとする方向である。また、ロック部材200は、付勢ばね202bによって、この場合、矢印R2方向に付勢されている。この付勢ばね202bは、ロック状態維持手段の一例として機能する。
【0028】
また、タンク収容部100の底面には、プッシュピン400が設けられている。この場合、プッシュピン400は、タンク収容部100の底面のうち前側寄りに位置して設けられている。プッシュピン400は、押し出し手段の一例であり、この場合、図示しない付勢ばねによって上方に付勢されたピン400aを備えている。プッシュピン400は、タンク収容部100内に収容されているタンク15,16を、ピン400aによってタンク収容部100の外方、この場合、上方に向かって押し出すことが可能となっている。
【0029】
また、
図6に例示するように、タンク15,16の下部の後部、この場合、突出部15b,16bの内部には、それぞれ、内部の衣類処理剤を外部に流出させるためのタンク側接続部300が設けられている。一方、タンク収容部100の下部の後部には、タンク15,16に対応する2つの収容部側接続部301が設けられている。なお、洗剤タンク15に対応する収容部側接続部301は、自動投入部11を構成する洗剤用計量ポンプ17に接続されている。また、柔軟剤タンク16に対応する収容部側接続部301は、自動投入部11を構成する柔軟剤用計量ポンプ18に接続されている。
【0030】
タンク側接続部300は、タンク15,16が所定の装着位置に装着された状態において上下方向に延びる第1流出口部302および水平方向に延びる第2流出口部303を備えている。第2流出口部303の一端部、この場合、タンク15,16の内部側となる端部は、第1流出口部302の上端部に接続されている。第1流出口部302の下端部は、タンク15,16の底部の上面から若干離間した状態となっている。第2流出口部303の他端部は、タンク15,16の後壁部の下部、この場合、突出部15b,16bの後面に接続されている。
【0031】
そして、第1流出口部302と第2流出口部303との接続部の内部には、逆止弁304が設けられている。逆止弁304は、例えば圧縮コイルばね305によって第2流出口部303の他端部側、この場合、後方に向かって付勢されている。これにより、逆止弁304は、タンク側接続部300のうち、特に、第2流出口部303内に設けられている流出孔部306を閉塞する方向、この場合、後方に向かって付勢された状態となっている。
【0032】
一方、収容部側接続部301は、直線状に延びるほぼ円筒状に設けられており、その中心部に、衣類処理剤が流通可能な流通路301aを有している。タンク収容部100内においてタンク15,16が所定の装着位置に装着される過程において、収容部側接続部301は、第2流出口部303の他端部側から当該第2流出口部303の内部に挿通される。そして、タンク収容部100内においてタンク15,16が所定の装着位置に装着されると、逆止弁304が収容部側接続部301の先端部によって押し込まれる。これにより、逆止弁304は、圧縮コイルばね305の付勢力に抗して第2流出口部303内を当該第2流出口部303の一端側に向かって移動し、流出孔部306を開放状態とする。これにより、タンク15,16内の衣類処理剤は、ポンプ17,18の吸引力を受けることで、第1流出口部302および第2流出口部303を通してタンク15,16の外部に流出可能な状態となる。
【0033】
以上の構成によれば、タンク収容部100内において洗剤タンク15が所定の装着位置に装着されることで、洗剤タンク15のタンク側接続部300は、対応する収容部側接続部301に適切に接続される。これにより、自動投入部11により洗剤タンク15内の洗剤を自動的に投入することが可能な状態を形成することができる。また、タンク収容部100内において柔軟剤タンク16が所定の装着位置に装着されることで、柔軟剤タンク16のタンク側接続部300は、対応する収容部側接続部301に適切に接続される。これにより、自動投入部11により柔軟剤タンク16内の柔軟剤を自動的に投入することが可能な状態を形成することができる。
【0034】
そして、上述の構成例において、圧縮コイルばね305は、タンク収容部100内に収容されたタンク15,16をタンク側接続部300とは反対側、この場合、前側に向かって付勢する付勢手段の一例としても機能するようになっている。即ち、タンク収容部100内においてタンク15,16が所定の装着位置に装着された状態においては、圧縮コイルばね305は、逆止弁304によって押し込まれて圧縮された状態となり、その復帰しようとする力がタンク15,16側に作用する。そして、この圧縮コイルばね305から与えられる力を受けて、タンク15,16は、タンク収容部100内を所定方向、この場合、前側に付勢されるようになる。
【0035】
これにより、タンク15,16は、タンク収容部100内において前側に押されるような状態となり、タンク15,16の後部には、
図3に例示するように、タンク収容部100の内面とタンク15,16の外面との間に所定の大きさを有する隙間Gが形成されるようになる。即ち、圧縮コイルばね305は、タンク収容部100内においてタンク15,16を所定方向である前側に付勢することにより、所定方向とは反対側である後側に所定の隙間Gを形成するようになっている。なお、この隙間Gの大きさは、少なくとも数mm以上の大きさを有していればよく、その大きさは適宜変更して実施することができる。
【0036】
以上のように構成される洗濯機1において、タンク15,16は、
図3から
図5に例示するように、タンク収容部100に対し、当該タンク収容部100の後部の上部を基準として円弧状に回動するようにして着脱される。
【0037】
即ち、タンク収容部100内にタンク15,16を取り付ける場合には、
図5に例示するように、当該タンク15,16を後部側が低くなるように下降傾斜させて、後部側からタンク収容部100内に入れ込む。そして、タンク15,16を、タンク収容部100の後部の上部を基準として円弧状を描くように下側に回動させる。そうすると、
図4に例示するように、タンク15,16の手掛け部15c,16cの前面がロック部材200、この場合、ロック部材本体部201のタンク収容部100内側の面に当接するようになる。
【0038】
そして、さらにタンク15,16がタンク収容部100内に入れ込まれることに伴い、ロック部材200がタンク15,16の手掛け部15c,16cによって押されて矢印R1方向に回動する。そして、さらにタンク15,16がタンク収容部100内に入れ込まれると、タンク15,16の手掛け部15c,16cの前面が、ロック部材200のロック部材本体部201のタンク収容部100内側の面に対峙する状態となる。これにより、
図3に例示するように、ロック部材200が矢印R2方向に付勢されて復帰し、ロック部材200側の係止突部201bがタンク15,16側の係止孔15d,16dに嵌り込む。そして、このように、ロック部材200側の係止突部201bがタンク15,16側の係止孔15d,16dに係止することによって、タンク収容部100内に収容されたタンク15,16が所定の装着位置においてロックされる。このとき、タンク15,16の手掛け部15c,16cは、ロック部材200によってロックされる被ロック部として機能している。
【0039】
また、このようにロック部材200がタンク収容部100内に収容されたタンク15,16をロックしたロック状態において、プッシュピン400は、ピン400aがタンク15,16の底面によって下方に押し込まれた状態となる。このとき、タンク15,16は、プッシュピン400によって上方に付勢された状態となる。しかし、タンク15,16は、ロック部材200によってロックされているため、タンク収容部100の外側に向かって押し出されてしまうことが抑制される。
【0040】
また、タンク収容部100内からタンク15,16を取り外す場合には、使用者は、
図3に例示する状態において、ロック部材200の押圧面部201aを指先によって下方に押圧する。すると、
図4に例示するように、ロック部材200が付勢ばね202bの付勢力に抗しながら矢印R1方向に回動し、ロック部材200側の係止突部201bがタンク15,16側の係止孔15d,16dから外される。つまり、ロック部材200がタンク収容部100内に収容されたタンク15,16をロックしたロック状態が解除される。
【0041】
即ち、ロック部材200の押圧面部201aは、使用者によって押圧操作が行われることによって、ロック部材200によるタンク15,16のロック状態を解除するロック解除手段として機能する。そして、ロック部材200によるタンク15,16のロック状態が解除されることによって、使用者は、
図5に例示するように、タンク収容部100内からタンク15,16を取り外すことができる。このとき、使用者は、手掛け部15c,16cに手指を掛けることで、タンク収容部100内からタンク15,16を容易に取り出すことができる。
【0042】
また、ロック部材200によるタンク15,16のロック状態が解除されることに応じて、プッシュピン400は、ピン400aによってタンク15,16を上方に向かって押し出す。即ち、プッシュピン400は、ロック部材200によるロック状態が解除されることに応じてタンク15,16を上方に向かって押し出すことで、使用者によるタンク収容部100内からのタンク15,16の取り出し操作を支援するようになっている。
【0043】
以上に例示した洗濯機1によれば、タンク収容部100内に収容されたタンク15,16をロックするロック部材200を、タンク側接続部300、つまり、タンク収容部100の奥部に設けられる自動投入部11との接続部分とは反対側に設けている。この構成によれば、タンク15,16をロックするためのロック部材200を、使用者の目に入りやすい部分、この場合、タンク収容部100の前側部分に設けることができ、タンク収容部100内においてタンク15,16が適切にロックされているか否かを容易に確認することができる。
【0044】
また、洗濯機1によれば、使用者の目に入りやすい部分にロック部材200が設けられているため、ロック部材200の清掃や交換などのメンテナンスを一層容易に行うことができる。
【0045】
また、洗濯機1によれば、タンク収容部100内に収容されたタンク15,16をタンク側接続部300とは反対側、つまり、タンク15,16を取り外す方向に向かって付勢する付勢手段を備えている。この構成によれば、ロック部材200によるロック状態が解除されたときに、タンク15,16を、当該タンク15,16を取り外す方向に押し出すことができ、タンク収容部100内からのタンク15,16の取り外し操作を一層容易に行うことができる。
【0046】
また、洗濯機1によれば、このような付勢手段として、タンク側接続部300の逆止弁304を付勢する圧縮コイルばね305を利用している。この構成によれば、部品点数の増加を抑制しつつ、タンク収容部100内からタンク15,16を取り出しやすくすることができる。
【0047】
また、洗濯機1によれば、ロック部材200によるタンク15,16のロック状態が解除されることに応じて、当該タンク15,16をタンク収容部100の外方に向かって押し出すプッシュピン400を備えている。この構成によれば、タンク収容部100内からタンク15,16を一層取り出しやすくすることができる。
【0048】
また、洗濯機1によれば、ロック部材200の一部を構成する押圧面部201aが、ロック部材200によるタンク15,16のロック状態を解除するロック解除手段として機能する。この構成によれば、ロック解除手段として機能する専用の部品を設ける必要が無く、部品点数の増加を抑制することができ、また、構造の複雑化を回避することができる。なお、ロック解除手段は、ロック部材200とは別の部材により構成してもよい。この場合、ロック解除手段は、ロック部材200の近傍部分、あるいは、使用者の目に入りやすい部分に設けるとよい。
【0049】
また、洗濯機1によれば、タンク15,16の手掛け部15c,16cが、ロック部材200によってロックされる被ロック部として機能する。即ち、タンク15,16の着脱の際に使用者が手指を掛ける手掛け部15c,16c、つまり、着脱の際に使用者の目に入りやすい構成要素を被ロック部として備えることで、タンク収容部100内においてタンク15,16が適切にロックされているか否かを一層容易に確認しやすくすることができる。即ち、本実施形態の場合では、使用者は、手掛け部15c,16cの係止孔15d,16dにロック部材200の係止突部201bが係止しているか否かを目視確認することに基づき、タンク収容部100内においてタンク15,16が適切にロックされているか否かを容易に確認することができる。なお、被ロック部は、手掛け部15c,16cに限られず、例えば、タンク15,16の表面に設けられている突起部分を被ロック部として構成してもよい。
【0050】
また、洗濯機1によれば、ロック部材200がタンク収容部100内に収容されたタンク15,16をロックしたロック状態を維持する付勢ばね202bを備えている。この構成によれば、ロック部材200によるタンク15,16のロック状態が意図せず解除されてしまうことを回避することができ、ひいては、タンク収容部100内からタンク15,16が意図せず外れてしまうことを回避することができる。
【0051】
なお、本実施形態は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や拡張を行うことができる。例えば、タンク15,16は、係止孔15d,16dに代えて、ロック部材200側の係止突部201bが係止可能な溝部やスリット部を備える構成としてもよい。また、洗濯機1は、タンク15,16側に係止突部を備え、ロック部材200側に係止突部が係止可能な孔部、溝部、スリット部などを備える構成としてもよい。また、ロック部材200は、タンク収容部100内に収容される複数のタンクにそれぞれ対応して複数設けるようにしてもよいし、複数のタンクに係止可能な共通の一部材により構成してもよい。また、ロック部材200は、使用者の目に入りやすい部位、例えばタンク収容部100の上部あるいはその周辺部分であれば、その設置位置を適宜変更して実施することができる。また、洗濯機1は、プッシュピン400を備えない構成としてもよい。
【0052】
また、タンクは、洗剤を貯留する洗剤タンク15や柔軟剤を貯留する柔軟剤タンク16に限られるものではなく、例えば、消臭剤を貯留する消臭剤タンク、除菌剤を貯留する除菌剤タンク、漂白剤を貯留する漂白剤タンクなど、衣類に何らかの処理を施す種々の処理剤を貯留するタンクであれば種々の種類のタンクを適宜採用することができる。また、給水部4に備えられる複数のタンクは、同じ種類の処理剤を貯留するタンクであってもよいし、異なる種類の処理剤を貯留するタンクであってもよい。また、洗濯機1は、給水部4に1つのタンクを備える構成としてもよし、3つ以上の複数のタンクを備える構成としてもよい。また、洗剤用計量ポンプ17および柔軟剤用計量ポンプ18は、液体を吸引するものに限られず、例えば、液体を押し出すものであってもよい。
【0053】
また、本実施形態は、回転槽の回転中心軸が鉛直方向に延びる、いわゆる縦軸型の洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有する洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有しない洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、例えば、衣類の消臭、脱臭、除菌など、衣類に対して何らかの処理を施す装置であれば、種々の衣類処理装置に適用することができる。
【0054】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
図面中、1は洗濯機(衣類処理装置)、3は洗浄槽(衣類処理槽)、11は自動投入部、15は洗剤タンク(タンク)、15cは手掛け部(被ロック部)、16は柔軟剤タンク(タンク)、16cは手掛け部(被ロック部)、100はタンク収容部、200はロック部材(ロック部)、201aは押圧面部(ロック解除手段)、202bは付勢ばね(ロック状態維持手段)、300はタンク側接続部、301は収容部側接続部、304は逆止弁、305は圧縮コイルばね(付勢手段)、400はプッシュピン(押し出し手段)、を示す。