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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】電力制御ユニット
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/00 20060101AFI20230606BHJP
   B62D 21/00 20060101ALI20230606BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20230606BHJP
   H01G 11/08 20130101ALI20230606BHJP
【FI】
B60K1/00
B62D21/00 A
H01M10/44 Z
H01G11/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020044102
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021142940
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢満田 博之
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-158594(JP,A)
【文献】特開2012-188022(JP,A)
【文献】特開2016-55701(JP,A)
【文献】特開2012-76540(JP,A)
【文献】特開2018-24382(JP,A)
【文献】特開2013-209078(JP,A)
【文献】国際公開第2013/080736(WO,A1)
【文献】特開2011-152828(JP,A)
【文献】特開2018-100014(JP,A)
【文献】特開2017-74819(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0301039(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00- 6/12
B60K 7/00- 8/00
B60K 16/00
B62D 21/00
H01M 10/42- 10/48
H01G 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された蓄電装置に入力される電力と、前記蓄電装置から出力される電力とを制御する、前記車両の前部空間に搭載される電力制御ユニットであって、
筐体と、
前記筐体内に設けられた複数の電子部品と、
を備えており、
前記複数の電子部品には、前記車両の走行中に動作電圧が所定値以上の高電圧となる高電圧部品と、前記車両の走行中に前記高電圧部品よりも低電圧となる低電圧部品とが含まれており、
前記筐体内には、筐体上部と筐体下部とを仕切る仕切り壁部が設けられており、
前記筐体上部と前記筐体下部との少なくとも一方における前記筐体の車両前後方向の前側面の一部が、前記前側面の他部よりも車両前後方向の前側に突出した突出部が設けられており、
前記突出部の一部分は、前記前側面の他部よりも車両前後方向の前側に延在した前記仕切り壁部であり、
前記低電圧部品の一部が、前記突出部に配置されている、
ことを特徴とする電力制御ユニット。
【請求項2】
低電圧部品の車両前後方向の後ろ側に、前記高電圧部品が位置していることを特徴とする請求項1に記載の電力制御ユニット。
【請求項3】
前記筐体の後ろ側面に、車両前後方向の後ろ側に向かって立設するリブを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の電力制御ユニット。
【請求項4】
前記筐体に前記突出部を補強する補強部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の電力制御ユニット。
【請求項5】
前記低電圧部品には、前記蓄電装置に対して、前記車両の外部に設けられた外部電源からの電力によって充電を行う充電器が含まれることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の電力制御ユニット。
【請求項6】
前記筐体は、金属製であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の電力制御ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された電動車両は、キャビンの前方に設けられた前部空間であるフロントコンパートメント内に、走行用モータと、走行用モータへの供給電力を制御する電力制御ユニットとが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-024382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された電動車両の電力制御ユニットにおいては、金属製の筐体内に、走行中に高電圧となる電子部品が設けられている。しかしながら、特許文献1に開示された電動車両の電力制御ユニットでは、電動車両が走行中に前部にて衝突した際、電子制御ユニットの筐体が損傷して、前記高電圧となる電子部品が外部に露出するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、車両が前部にて衝突した際に、筐体からの露出抑制対象として定められる電子部品が筐体内から外部に露出することを抑制することができる電力制御ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電力制御ユニットは、車両に搭載された蓄電装置に入力される電力と、前記蓄電装置から出力される電力とを制御する、前記車両の前部空間に搭載される電力制御ユニットであって、筐体と、前記筐体内に設けられた複数の電子部品と、を備えており、前記複数の電子部品には、前記車両の走行中に動作電圧が所定値以上の高電圧となる高電圧部品と、前記車両の走行中に前記高電圧部品よりも低電圧となる低電圧部品とが含まれており、前記筐体内には、筐体上部と筐体下部とを仕切る仕切り壁部が設けられており、前記筐体上部と前記筐体下部との少なくとも一方における前記筐体の車両前後方向の前側面の一部が、前記前側面の他部よりも車両前後方向の前側に突出した突出部が設けられており、前記突出部の一部分は、前記前側面の他部よりも車両前後方向の前側に延在した前記仕切り壁部であり、前記低電圧部品の一部が、前記突出部に配置されている、ことを特徴とするものである。
【0014】
また、上記において、低電圧部品の車両前後方向の後ろ側に、前記高電圧部品が位置してもよい。
【0015】
これにより、損傷した突出部から高電圧部品が外部に露出することを抑制しつつ、筐体内における高電圧部品のレイアウトの自由度を高めることが可能となる。
【0016】
また、上記において、前記筐体の後ろ側面に、車両前後方向の後ろ側に向かって立設するリブを設けてもよい。
【0017】
これにより、車両が前部にて衝突して、筐体が後方に向かって押し出された際に、筐体の後ろ側面よりも先にリブが衝突荷重を受けることによって、前記後ろ側面へ入力される衝突荷重を低減させることが可能となり、筐体を損傷し難くすることが可能となる。
【0018】
また、上記において、前記筐体に前記突出部を補強する補強部材を設けてもよい。
【0019】
これにより、補強部材によって突出部の強度を高めて損傷し難くすることが可能となる。
【0022】
また、上記において、前記低電圧部品には、前記蓄電装置に対して、前記車両の外部に設けられた外部電源からの電力によって充電を行う充電器が含まれていてもよい。
【0023】
これにより、走行中の車両が前部にて衝突した際に、筐体の突出部が損傷しても、損傷した突出部から外部に露出する電子部品を、車両の走行中に電力が供給されない充電器にすることができる。
【0024】
また、上記において、前記筐体は、金属製であってもよい。
【0025】
これにより、筐体の強度を高めることができ、損傷し難くすることが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る電力制御ユニットは、電動車両が前部にて衝突した際に、筐体の側面の一部に設けられた突出部が、前記側面の他部よりも先に衝突荷重を受け易い。そして、本発明に係る電力制御ユニットは、突出部が損傷したとしても、突出部に低電圧部品の一部を配置しているため、損傷した突出部から高電圧部品が外部に露出することを抑制することができる。よって、本発明に係る電力制御ユニットは、車両が前部にて衝突した際に、筐体からの露出抑制対象として定められる電子部品が筐体内から外部に露出することを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、実施形態に係る電動車両のボディを示した図である。
図2図2は、コンパートメントの平面図である。
図3図3は、コンパートメントの斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る電動車両の電力制御に関するブロック図である。
図5図5は、SPUの外観斜視図である。
図6図6は、図5のD-D断面にてSPUを車両高さ方向に切断した断面図である。
図7図7(a)は、図5のE-E断面にてケース上部を車両前後方向に切断した断面図である。図7(b)は、図5のC-C断面にてケース下部を車両前後方向に切断した断面図である。
図8図8は、SPUを車両前後方向の後ろ側から見た図である。
図9図9は、SPUを搭載したコンパートメントの平面図である。
図10図10は、部品搭載フレームに取り付けられたSPUの部分拡大図である。
図11図11(a)は、図9のD-D断面での構成例1に係るSPUにおける車両幅方向の右側の部分を示した図である。図11(b)は、図9のE-E断面での構成例1に係るSPUにおける車両幅方向の左側の部分を示した図である。
図12図12(a)は、図9中のD-D断面での構成例2に係るSPUの右側部分を示した図である。図12(b)は、図9中のE-E断面での構成例2に係るSPUの左側部分を示した図である。
図13図13(a)は、構成例3に係るSPUの右側部分を示した図である。図13(b)は、構成例3に係るSPUの左側部分を示した図である。
図14図14(a)は、構成例4に係るSPUの右側部分を示した図である。図14(b)は、構成例4に係るSPUの左側部分を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る電力制御ユニットの実施形態について説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0029】
図1は、実施形態に係る電動車両1のボディ10を示した図である。ボディ10は、フロントピラー11と、フロントピラー11から前方に向かって伸びるエプロンアッパメンバ14(すなわち、右エプロンアッパメンバ14Rと左エプロンアッパメンバ14L)を有している。ボディ10は、2つのエプロンアッパメンバ14に囲まれた範囲に、車両前部区画であるコンパートメント16を有している。コンパートメント16は、キャビン12よりも前方に設けられている。
【0030】
図2は、コンパートメント16の平面図である。図3は、コンパートメント16の斜視図である。コンパートメント16の最後部には、ダッシュパネル20が配置されている。ダッシュパネル20は、コンパートメント16とキャビン12を分離している。右エプロンアッパメンバ14Rと左エプロンアッパメンバ14Lは、コンパートメント16の左右の両縁に沿って伸びている。右エプロンアッパメンバ14Rと左エプロンアッパメンバ14Lは、ボディ10の最前部において、コアサポート18によって互いに接続されている。コアサポート18は、コンパートメント16の前縁を構成している。
【0031】
コンパートメント16の内部に、一対のフロントサイドメンバ22(右フロントサイドメンバ22Rと左フロントサイドメンバ22L)が設けられている。各フロントサイドメンバ22は、前後方向に沿って伸びている。フロントサイドメンバ22は、エプロンアッパメンバ14よりも下側に配置されている。右フロントサイドメンバ22Rと左フロントサイドメンバ22Lは、コンパートメント16内において、フロントクロスメンバ24によって互いに接続されている。また、右フロントサイドメンバ22Rと左フロントサイドメンバ22Lは、ボディ10の最前部において、バンパリインフォースメント26に接続されている。
【0032】
コンパートメント16の内部に、部品搭載フレーム30が配置されている。部品搭載フレーム30は、コンパートメント16内で、ボディ10に固定されている。部品搭載フレーム30は、前方クロスメンバ32、後方クロスメンバ34、右接続メンバ36、及び、左接続メンバ38を有している。
【0033】
前方クロスメンバ32は、左右方向に長く伸びている。前方クロスメンバ32の右端部は、ブラケット42に接続されている。ブラケット42は、斜め上方向に向かって伸びており、右エプロンアッパメンバ14Rに接続されている。すなわち、前方クロスメンバ32の右端部は、ブラケット42を介して、右エプロンアッパメンバ14Rに接続されている。前方クロスメンバ32の左端部は、ブラケット44に接続されている。ブラケット44は、斜め上方向に向かって伸びており、左エプロンアッパメンバ14Lに接続されている。すなわち、前方クロスメンバ32の左端部は、ブラケット44を介して、左エプロンアッパメンバ14Lに接続されている。
【0034】
後方クロスメンバ34は、左右方向に長く伸びている。後方クロスメンバ34は、前方クロスメンバ32よりも後方に配置されている。後方クロスメンバ34の後ろ側面34a(ダッシュパネル20に対向する側面)には、凹部34bが形成されている。後方クロスメンバ34の右端部は、ブラケット46を介して右フロントサイドメンバ22Rに接続されている。後方クロスメンバ34の左端部は、ブラケット48を介して左フロントサイドメンバ22Lに接続されている。
【0035】
右接続メンバ36は、前後方向に長く伸びている。右接続メンバ36は、前方クロスメンバ32と後方クロスメンバ34を接続している。左接続メンバ38は、前後方向に長く伸びている。左接続メンバ38は、前方クロスメンバ32と後方クロスメンバ34を接続している。
【0036】
図4は、実施形態に係る電動車両1の電力制御に関するブロック図である。図4に示すように、電動車両1は、SPU(Smart Power Unit)50、DC(Direct Current)充電インレット61、AC(alternating current)充電インレット62、駆動側PCU(Power Control Unit)70、駆動モータ74、発電側PCU80、発電モータ84、補機91、補機用バッテリ92、メインバッテリ100、及び、車両ECU(Electronic Control Unit)110などを備えている。
【0037】
本発明の電力制御ユニットであるSPU50は、充電ECU511、DCDCコンバータ512、端子台513、中継バスバー514、DC充電リレー521、及び、AC充電器522などの複数の電子部品を備えている。
【0038】
SPU50は、電動車両1に搭載された蓄電装置であるメインバッテリ100に入力される電力と、メインバッテリ100から出力される電力とを制御する。すなわち、SPU50は、メインバッテリ100と駆動モータ74との間での電力制御や、DC充電インレット61及びAC充電インレット62を介したメインバッテリ100の外部充電での電力制御や、発電モータ84とメインバッテリ100との間での電力制御などを実施する。SPU50は、金属製の筐体であるケース53(図5参照)と、ケース53内に設けられた複数の電子部品と、を備えている。複数の電子部品には、ケース53からの露出抑制対象として定められる第1種部品であって、電動車両1の走行中に動作電圧が所定値以上の高電圧となる高電圧部品51と、第1種部品以外の第2種部品であって、電動車両1の走行中に高電圧部品51よりも低電圧となる低電圧部品52とが含まれている。
【0039】
なお、高電圧部品51は、例えば、安全性の見地から、車両の衝突時等におけるケース53の損傷によってケース53からの露出の抑制が要請される任意の電子部品とすることができる。このような要請は、例えば、法律等の種々の規則の規定によるものであってもよい。高電圧部品51は、例えば、動作電圧がDC60[V]以上またはAC30[V]以上の電子部品とすることができる。また、高電圧部品51の動作電圧は、DC100[V]以上とすることができる。また、高電圧部品51の動作電圧は、DC300[V]以下とすることができる。
【0040】
実施形態に係る電動車両1において、高電圧部品51としては、例えば、電動車両1の走行中に電力が供給される、充電ECU511、DCDCコンバータ512、端子台513、及び、中継バスバー514などである。また、低電圧部品52としては、例えば、電動車両1の走行中に電力が供給されない、メインバッテリ100の外部充電に用いられる電子部品であるDC充電リレー521及びAC充電器522などである。
【0041】
充電ECU511は、車両ECU110からの制御信号に基づいて、DCDCコンバータ512、DC充電リレー521、及び、AC充電器522などの制御を行う。
【0042】
AC充電器522は、電動車両1の外部に設けられた外部AC電源からのAC電力をDC電力に変換してメインバッテリ100に供給し、メインバッテリ100を充電する。DCDCコンバータ512は、カーナビゲーションシステムやエアーコンディショナーなどの補機91に電力を供給するための補機用バッテリ92に、メインバッテリ100から供給されるDC電力を降圧する。端子台513及び中継バスバー514は、高圧電流の電流経路と、外部DC電源からDC電力による急速充電時の電流経路となる。
【0043】
実施形態に係る電動車両1は、停車時に、DC外部電源からDC充電インレット61を介して供給されるDC電力を用いて、メインバッテリ100を充電するDC外部充電が可能に構成されている。
【0044】
DC充電インレット61は、DC外部電源に一端が接続されたDC充電ケーブルの他端に設けられたDC充電コネクタと接続可能に構成されている。通常、メインバッテリ100のDC外部充電を行わないときには、DC充電インレット61がDC充電リッドによって覆われている。そして、メインバッテリ100のDC外部充電を行う際には、DC充電リッドが開かれてDC充電インレット61にDC充電コネクタが接続される。
【0045】
DC充電リレー521の一端は、電力線を介してDC充電インレット61と電気的に接続されている。DC充電リレー521の他端は、電力線を介してメインバッテリ100と電気的に接続されている。DC充電リレー521は、充電ECU511からの制御信号にしたがって開閉状態が切り替えられる。DC充電リレー521は、メインバッテリ100のDC外部充電が行われる際に、開状態から閉状態に切り替えられる。このように、DC充電リレー521が閉状態に切り替えられることによって、DC充電コネクタからDC充電インレット61を介して受けたDC電力をメインバッテリ100に供給することができる。これにより、DC外部電源から供給されたDC電力を用いてメインバッテリ100が充電される。
【0046】
また、実施形態に係る電動車両1は、停車時に、AC外部電源からAC充電インレット62を介して供給されるAC電力を用いて、メインバッテリ100を充電するAC外部充電が可能に構成されている。
【0047】
AC充電インレット62は、AC外部電源に一端が接続されたAC充電ケーブルの他端に設けられたAC充電コネクタと接続可能に構成されている。通常、メインバッテリ100のAC外部充電を行わないときには、AC充電インレット62がAC充電リッドによって覆われている。そして、メインバッテリ100のAC外部充電を行う際には、AC充電リッドが開かれてACインレット90にAC充電コネクタが接続される。
【0048】
AC充電器522は、電力線を介してAC充電インレット62とメインバッテリ100とに電気的に接続されている。AC充電器522は、充電ECU511からの制御信号によって作動し、AC充電コネクタからAC充電インレット62を介して受けたAC電力を、メインバッテリ100に充電可能なDC電力に変換してメインバッテリ100に供給する。これにより、AC外部電源から供給されるAC電力を用いてメインバッテリ100が充電される。
【0049】
駆動側PCU70には、駆動側モータECU71、駆動側DCDCコンバータ72、及び、駆動側インバータ73などが設けられている。駆動側DCDCコンバータ72は、駆動側モータECU71からの制御信号に基づいて、メインバッテリ100からSPU50を介して供給されたDC電圧を昇圧する。昇圧されたDC電圧は、駆動側インバータ73に供給される。駆動側インバータ73は、駆動側モータECU71からの制御信号に基づいて、駆動側DCDCコンバータ72からのDC電力をAC電力に変換して、そのAC電力を駆動モータ74に供給する。
【0050】
駆動モータ74は、PCU160からのAC電力によって回転駆動する。駆動モータ74からの回転駆動力は、トランスアクスルや車軸などを介して、電動車両1の前輪である駆動輪に伝達され、これにより電動車両1が走行する。また、駆動モータ74は、走行している電動車両1の減速時などに、駆動輪から車軸などを介して伝達される回転駆動力によって回生発電する。駆動モータ74によって発電されたAC電力は、駆動側PCU70に設けられた駆動側DCDCコンバータ72及び駆動側インバータ73によって所定電圧のDC電力に変換されて、SPU50を介してメインバッテリ100に蓄えられる。
【0051】
発電側PCU80には、発電側モータECU81、発電側DCDCコンバータ82、及び、発電側インバータ83などが設けられている。発電モータ84は、電動車両1の走行時に、電動車両1の後輪から車軸などを介して伝達される回転駆動力によって回生発電する。発電モータ84によって発電されたAC電力は、駆動側モータECU71からの制御信号に基づいて、発電側DCDCコンバータ82及び発電側インバータ83によって、所定電圧のDC電力に変換されて、SPU50を介してメインバッテリ100に蓄えられる。
【0052】
メインバッテリ100は、充放電可能に構成された車載の蓄電装置であり、車載のDC電源として機能する。メインバッテリ100には、例えば、リチウムイオン二次電池もしくはニッケル水素電池などの二次電池、または、電気二重層キャパシタなどのキャパシタを採用することができる。
【0053】
図5は、SPU50の外観斜視図である。図5に示すように、実施形態に係るSPU50においては、ケース53の前側面53aの一部に突出部54が設けられている。具体的には、ケース53の前側面53aにおいて、車両幅方向の右側であって車両高さ方向の下側に、前側面53aの他部よりも車両前後方向の前側に突出した突出部54が設けられている。この突出部54は、ケース53の前側面53aの一部を他部よりも車両前後方向の前側に突出させて形成している。そのため、突出部54の前側面54aは、ケース53の前側面53aの一部である。ケース53の前側面53aの一部を他部よりも車両前後方向の前側に突出させて突出部54を形成することによって、突出部54をケース53とは別体にて設ける場合よりも、部品点数を減らすことができ、低コスト化を図ることが可能となる。ケース53は、例えば、ダイカストなどによって突出部54と一体にて成型することが可能である。
【0054】
なお、本実施形態においては、ケース53の前後左右の各側面などに、ケース53内の各電子部品と電気的に接続するためのコネクタや開口部、及び、後述する流路57(図6参照)に対して冷却液を流入や流出させるためのノズルなどが設けられているが、それらの図示は省略している。
【0055】
図6は、図5のA-A断面にてSPU50を車両高さ方向に切断した断面図である。図7(a)は、図5のB-B断面にてケース上部53Aを車両前後方向に切断した断面図である。図7(b)は、図5のC-C断面にてケース下部53Bを車両前後方向に切断した断面図である。
【0056】
図6に示すように、ケース53の内部は、平板状の仕切り壁部55によって、ケース上部53Aとケース下部53Bとに仕切られている。ケース下部53B内において、仕切り壁部55の下面には、流路形成部材56が取り付けられており、仕切り壁部55と流路形成部材56とによって囲まれた空間に、冷却液を流すための流路57が形成されている。図7(a)に示すように、ケース上部53Aには、高電圧部品51と低電圧部品52とが配置されている。また、図7(b)に示すように、ケース下部53Bには、低電圧部品52が配置されている。そして、車両前後方向にて低電圧部品52の一部が突出部54に配置されている。そして、ケース上部53A内に配置された高電圧部品51及び低電圧部品52と、ケース下部53B内に配置された低電圧部品52とは、流路57を流れる冷却液によって冷却される。
【0057】
図8は、SPU50を車両前後方向の後ろ側から見た図である。図8に示すように、ケース53の後ろ側面53bには、3つの電力ケーブル131,132,133が配設されている。3つの電力ケーブル131,132,133は、ケース53の後ろ側面53bに設けられた3つのコネクタ部141,142,143に電気的に接続されている。
【0058】
電力ケーブル131は、コネクタ部141を介してSPU50とメインバッテリ100とを電気的に接続している。また、電力ケーブル132は、コネクタ部142Aを介してSPU50と駆動側PCU70とを電気的に接続している。また、電力ケーブル133は、コネクタ部143を介してSPU50と発電側PCU80とを電気的に接続している。
【0059】
また、図8に示すように、ケース53の後ろ側面53bには、3つの電力ケーブル131,132,133のそれぞれに隣接させて3つのリブ58A,58B,58Cが設けられている。3つのリブ58A,58B,58Cは、ケース53の後ろ側面53bから車両前後方向の後ろ側、すなわちダッシュパネル20側に向かって立設している。3つのリブ58A,58B,58Cのそれぞれの後ろ側面53bからの高さは、3つのコネクタ部141,142,143の後ろ側面53bからの高さよりも高くなっている。
【0060】
図9は、SPU50を搭載したコンパートメント16の平面図である。図9に示すように、コンパートメント16を上から見たときに、SPU50のケース53の後ろ側面53bは、後方クロスメンバ34の後ろ側面34a(凹部34bを含む後ろ側面34a全体)よりも前方に位置している。すなわち、コンパートメント16を上から見たときに、ケース53は、後方クロスメンバ34の後ろ側面34aよりも後方には突出していない。また、図9に示すように、コンパートメント16を上から見たときに、ケース53の前側面53aは、前方クロスメンバ32の前側面32aよりも後方に位置している。すなわち、コンパートメント16を上から見たときに、ケース53は、前方クロスメンバ32の前側面32aよりも前方には突出していない。また、図9に示すように、コンパートメント16を上から見たときに、突出部54は、前方クロスメンバ32の前側面32aよりも前方に突出している。
【0061】
電動車両1が前部にて衝突した際には、ボディ10が変形する。ボディ10の変形によって、ケース53が部品搭載フレーム30と共に、後方(ダッシュパネル20側)に向かって押し出される。このとき、ケース53の後ろ側面53bにリブ58A,58B,58Cを設けていることによって、後ろ側面53bよりも先にリブ58A,58B,58Cがダッシュパネル20と衝突し易くなる。これにより、リブ58A,58B,58Cが突っ張って、ケース53の後ろ側面53bとダッシュパネル20との間に電力ケーブル131,132,133が挟まれ難くなり、電力ケーブル131,132,133の損傷を抑制することができる。また、ケース53の後ろ側面53bよりも先にリブ58A,58B,58Cがダッシュパネル20と衝突して、リブ58A,58B,58Cが衝突荷重を受けることによって、後ろ側面53bへ入力される衝突荷重を低減させることが可能となり、ケース53を損傷し難くすることが可能となる。
【0062】
また、電動車両1が前部にて衝突した際には、前部ボディ構成部材(コンパートメント16の前部を構成するボディ構成部材(例えば、コアサポート18等))が、後方(ケース53側)に向かって押し出される。これにより、前部ボディ構成部材が、ケース53及び部品搭載フレーム30に接触する。このとき、ケース53が前方クロスメンバ32の前側面32aよりも後側に配置されているため、前部ボディ構成部材がケース53に衝突するよりも先に、前部ボディ構成部材が前方クロスメンバ32に衝突し易い。このため、ケース53に加わる荷重が軽減され易く、ケース53が損傷し難い。
【0063】
図10は、部品搭載フレーム30に取り付けられたSPU50の部分拡大図である。SPU50は、部品搭載フレーム30に対してボルトによって固定されている。例えば、図10に示すように、ケース53の右側面53cに設けられたブラケット501と、部品搭載フレーム30の前方クロスメンバ32とが、ボルト300によって締結されている。
【0064】
ケース53の右側面53cに設けられたブラケット501は、ケース53の前側面53aに設けられた突出部54と隣接している。そして、ブラケット501の前側面501aと、突出部54の右側面54bとが、ガセット502によって接続されている。これにより、ガセット502が突出部54の右側面54bを補強する補強部材として機能し、突出部54の右側面54bの強度を高めて損傷し難くすることが可能となる。また、突出部54に入力された衝突荷重が、ガセット502、ブラケット501及びボルト300を介して、前方クロスメンバ32に入力されることによって、ケース53へ入力される衝突荷重を低減させることが可能となり、ケース53を損傷し難くすることが可能となる。また、突出部54の上面54cと、突出部54よりも上側に位置する前側面53aとが、SPU50を運搬する際などにチャックアームによって保持される保持部503によって接続されている。これにより、保持部503が突出部54の上面54cを補強する補強部材として機能し、突出部54の上面54cの強度を高めて損傷し難くすることが可能となる。
【0065】
ここで、実施形態に係るSPU50においては、ケース上部53Aとケース下部53Bとの少なくとも一方における前側面53aの一部が、前側面53aの他部よりも車両前後方向の前側に突出して突出部54が形成されている。そして、実施形態に係るSPU50では、突出部54の後方であって車両前後方向の前側に、低電圧部品52を配置している。
【0066】
(構成例1)
図11(a)は、図9のD-D断面での構成例1に係るSPU50における車両幅方向の右側の部分を示した図である。図11(b)は、図9のE-E断面での構成例1に係るSPU50における車両幅方向の左側の部分を示した図である。なお、構成例1を含めて以下の各構成例では、ケース下部53Bに設けられた流路形成部材56及び流路57の図示を省略している。
【0067】
また、以下の説明では、SPU50における車両幅方向の右側の部分を、単にSPU50の右側部分50Rとも記載する。また、以下の説明では、SPU50における車両幅方向の左側の部分を、単にSPU50の左側部分50Lとも記載する。
【0068】
また、以下の説明では、SPU50の右側部分50Rにおけるケース53の前側面53aにおいて、ケース上部53Aに対応する面を、右上前側面53aRAとも記載する。また、以下の説明では、SPU50の右側部分50Rにおけるケース53の前側面53aにおいて、ケース下部53Bに対応する面を、右下前側面53aRBとも記載する。また、以下の説明では、SPU50の左側部分50Lにおけるケース53の前側面53aにおいて、ケース上部53Aに対する面を、左上前側面53aLAとも記載する。また、以下の説明では、SPU50の左側部分50Lにおけるケース53の前側面53aにおいて、ケース下部53Bに対応する面を、左下前側面53aLBとも記載する。
【0069】
構成例1に係るSPU50では、図11(a)及び図11(b)に示すように、ケース53の突出部54が、前側面53aの他部、すなわち、右上前側面53aRA、左上前側面53aLA、及び、左下前側面53aLBよりも、車両前後方向の前側に突出して形成されている。
【0070】
図11(a)に示すように、SPU50の右側部分50Rにおけるケース上部53A内には、高電圧部品51が配置されている。また、SPU50の右側部分50Rにおけるケース下部53B内には、低電圧部品52が配置されている。そして、車両前後方向にて低電圧部品52の一部が突出部54配置されている。
【0071】
図11(b)に示すように、SPU50の左側部分50Lにおけるケース上部53A内には、車両前後方向の前側に低電圧部品52が配置されており、車両前後方向の後ろ側に高電圧部品51が配置されている。また、SPU50の左側部分50Lにおけるケース下部53B内には、低電圧部品52が配置されている。
【0072】
構成例1に係るSPU50では、電動車両1が前部にて衝突した際に、突出部54の前側面54aが、他の前側面53a、すなわち、右上前側面53aRA、左上前側面53aLA、及び、左下前側面53LBよりも先に衝突荷重を受け易い。そして、突出部54が損傷したとしても、図11(a)に示すように、車両前後方向にて低電圧部品52の一部が突出部54に配置されており、高電圧部品51は突出部54に隣接させて配置していないため、損傷した突出部54から高電圧部品51が外部に露出することを抑制することができる。
【0073】
また、図11(a)及び図11(b)に示すように、突出部54の一部分は、前側面53aの他部(右上前側面53aRA、左上前側面53aLA、及び、左下前側面53aLB)よりも車両前後方向の前側に延在した仕切り壁部55によって形成されている。これにより、電動車両1が前部にて衝突した際の突出部54の圧縮強度を高めることができ、突出部54を損傷し難くすることが可能となる。
【0074】
(構成例2)
図12(a)は、図9中のD-D断面での構成例2に係るSPU50の右側部分50Rを示した図である。図12(b)は、図9中のE-E断面での構成例2に係るSPU50の左側部分50Lを示した図である。
【0075】
構成例2に係るSPU50は、図12(a)及び図12(b)に示すように、ケース53の突出部54が、前側面53aの他部、すなわち、右上前側面53aRA、左上前側面53aLA、及び、左下前側面53aLBよりも、車両前後方向の前側に突出して形成されている。
【0076】
図12(a)に示すように、SPU50の右側部分50Rにおけるケース上部53A内には、高電圧部品51が配置されている。また、SPU50の右側部分50Rにおけるケース下部53B内には、低電圧部品52が配置されている。そして、車両前後方向にて低電圧部品52の一部が突出部54に配置されている。
【0077】
図12(b)に示すように、SPU50の左側部分50Lにおけるケース上部53A内には、車両前後方向の前側に低電圧部品52が配置されており、車両前後方向の後ろ側に高電圧部品51が配置されている。また、SPU50の左側部分50Lにおけるケース下部53B内には、低電圧部品52が配置されている。
【0078】
構成例2に係るSPU50では、構成例1に係るSPU50と同様に、電動車両1が前部にて衝突した際に、突出部54が損傷したとしても、図12(a)に示すように、高電圧部品51は車両前後方向にて突出部54に隣接させて配置していないため、損傷した突出部54から高電圧部品51が外部に露出することを抑制することができる。
【0079】
また、構成例2に係るSPU50には、図12(b)に示すように、ケース53の左上前側面53aLAに、樹脂製の端子カバー150が配置されている。この端子カバー150は、例えば、ケース53の左上前側面53aLAに設けられた開口部を介して電気的に接続される、低電圧部品52であるDC充電リレー521側の端子と、DC充電インレット61に電気的に接続された電力線側の端子との接続部分を覆う。なお、端子カバー150は、図12(a)に示した、ケース53の右下前側面53aRBに設けられた突出部54よりも車両前後方向の前側に突出させないことが望ましい。
【0080】
端子カバー150は、金属製のケース53よりも強度が低い。したがって、電動車両1が前部にて衝突した際に、前部ボディ構成部材に衝突した端子カバー150が、ケース53に向かって加圧されても、ケース53は損傷し難い。このように、ケース53の左上前側面53aLAに樹脂製の端子カバー150が設けられていても、ケース53の損傷を抑制することができる。また、仮に、端子カバー150がケース53に向かって加圧されて、ケース53の左上前方壁面53aLAが損傷したとしても、図12(b)に示すように、ケース上部53A内にて車両前後方向の後ろ側に高電圧部品51が配置されているため、高電圧部品51が外部に露出することを抑制することができる。
【0081】
(構成例3)
図13(a)は、構成例3に係るSPU50の右側部分50Rを示した図である。図13(b)は、構成例3に係るSPU50の左側部分50Lを示した図である。なお、図13(a)に示したSPU50の右側部分50Rの切断位置は、図9のD-D断面に相当する位置である。また、図13(b)に示したSPU50の左側部分50Lの切断位置は、図9のE-E断面に相当する位置である。
【0082】
構成例3に係るSPU50は、図13(a)及び図13(b)に示すように、ケース53の突出部54が、前側面53aの他部、すなわち、右上前側面53aRA、左上前側面53aLA、及び、左下前側面53aLBよりも、車両前後方向の前側に突出して形成されている。
【0083】
図13(a)に示すように、SPU50の右側部分50Rにおけるケース上部53A内には、高電圧部品51が配置されている。また、SPU50の右側部分50Rにおけるケース下部53B内には、車両前後方向の前側に低電圧部品52が配置されており、車両前後方向の後ろ側に高電圧部品51が配置されている。言い換えると、ケース下部53B内には、車両前後方向にて一部が突出部54に配置された低電圧部品52の車両前後方向の後ろ側に高電圧部品51が配置されている。
【0084】
図13(b)に示すように、SPU50の左側部分50Lにおけるケース上部53A内には、高電圧部品51が配置されている。SPU50の左側部分50Lにおけるケース下部53B内には、車両前後方向の前側に低電圧部品52が配置されており、車両前後方向の後ろ側に高電圧部品51が配置されている。
【0085】
構成例3に係るSPU50では、構成例1に係るSPU50と同様に、電動車両1が前部にて衝突した際に、突出部54が損傷したとしても、図13(b)に示すように、ケース下部53B内にて突出部54の後方であって、車両前後方向の前側に低電圧部品52が配置されており、車両前後方向の後ろ側に高電圧部品51が配置されているため、損傷した突出部54から高電圧部品51が外部に露出することを抑制することができる。
【0086】
構成例3に係るSPU50のように、ケース53内において、突出部54の後方であっても車両前後方向の後ろ側に高電圧部品51を配置することが可能であるため、ケース53内における高電圧部品51のレイアウトの自由度が高くなる。その結果、ケース53内のスペースを有効活用することが可能となり、SPU50の小型化を図ることが可能となる。
【0087】
(構成例4)
図14(a)は、構成例4に係るSPU50の右側部分50Rを示した図である。図14(b)は、構成例4に係るSPU50の左側部分50Lを示した図である。なお、図14(a)に示したSPU50の右側部分50Rの切断位置は、図9のD-D断面に相当する位置である。また、図14(b)に示したSPU50の左側部分50Lの切断位置は、図9のE-E断面に相当する位置である。
【0088】
構成例4に係るSPU50は、図14(a)及び図14(b)に示すように、ケース53の突出部54が、前側面53aの他部、すなわち、右下前側面53aRB、左上前側面53aLA、及び、左下前側面53aLBよりも、車両前後方向の前側に突出して形成されている。
【0089】
図14(a)に示すように、SPU50の右側部分50Rにおけるケース上部53A内には、低電圧部品52が配置されている。さらに、車両前後方向にて低電圧部品52の一部が突出部54に配置されている。また、SPU50の右側部分50Rにおけるケース下部53B内には、高電圧部品51が配置されている。
【0090】
図14(b)に示すように、SPU50の左側部分50Lにおけるケース上部53A内には、低電圧部品52が配置されている。SPU50の左側部分50Lにおけるケース下部53B内には、車両前後方向の前側に低電圧部品52が配置されており、車両前後方向の後ろ側に高電圧部品51が配置されている。
【0091】
構成例4に係るSPU50では、電動車両1が前部にて衝突した際に、突出部54の前側面54aが、他の前側面53a、すなわち、右下前側面53aRB、左上前側面53aLA、及び、左下前側面53LBよりも先に衝突荷重を受け易い。そして、突出部54が損傷したとしても、図14(a)に示すように、車両前後方向にて低電圧部品52の一部突出部54に配置されており、突出部54に隣接させて高電圧部品51は配置されていない。そのため、損傷した突出部54から高電圧部品51が外部に露出することを抑制することができる。
【0092】
なお、上記構成例1~4のSPU50では、いずれもケース53の右側部分53Rに突出部54が形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、実施形態に係るSPU50では、ケース53の左側部分53Lに突出部54が形成されていてもよい。すなわち、ケース53の左上前側面53aLAと左下前側面53aLBとの少なくとも一方の一部が、前側面53aの他部よりも車両前後方向の前側に突出して突出部54を形成してもよい。また、例えば、実施形態に係るSPU50では、ケース53の右側部分53Rと左側部分53Lとにわたって、前側面53aの一部が、前側面53aの他部よりも車両前後方向の前側に突出して突出部54を形成してもよい。そして、いずれの例の場合にも、車両前後方向にて突出部54に隣接させて高電圧部品51を配置しなければよい。
【0093】
以上に説明したように、実施形態に係る電動車両1おいては、電動車両1が前部にて衝突した際に、ケース53が損傷して高電圧部品51が外部に露出することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 電動車両
10 ボディ
11 フロントピラー
12 キャビン
14 エプロンアッパメンバ
14L 左エプロンアッパメンバ
14R 右エプロンアッパメンバ
16 コンパートメント
18 コアサポート
20 ダッシュパネル
22 フロントサイドメンバ
22L 左フロントサイドメンバ
22R 右フロントサイドメンバ
24 フロントクロスメンバ
26 バンパリインフォースメント
30 部品搭載フレーム
32 前方クロスメンバ
32a 前側面
34 後方クロスメンバ
34a 後ろ側面
34b 凹部
36 右接続メンバ
38 左接続メンバ
42,44,46,48 ブラケット
50 SPU
50L 左側部分
50R 右側部分
51 高電圧部品
52 低電圧部品
53 ケース
53A ケース上部
53B ケース下部
53a 前側面
53b 後ろ側面
54 突出部
54a 前側面
54b 右側面
54c 上面
55 仕切り壁部
56 流路形成部材
57 流路
58A,58B,58C リブ
61 DC充電インレット
62 AC充電インレット
70 駆動側PCU
71 駆動側モータECU
72 駆動側DCDCコンバータ
73 駆動側インバータ
74 駆動モータ
80 発電側PCU
81 発電側モータECU
82 発電側DCDCコンバータ
83 発電側インバータ
84 発電モータ
91 補機
92 補機用バッテリ
100 メインバッテリ
110 車両ECU
131,132,133 電力ケーブル
141,142,143 コネクタ部
150 端子カバー
300 ボルト
501 ブラケット
501a 前側面
502 ガセット
503 保持部
511 充電ECU
512 DCDCコンバータ
513 端子台
514 中継バスバー
521 DC充電リレー
522 AC充電器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14