(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】車両、及び、車両の生産方法
(51)【国際特許分類】
B60K 15/05 20060101AFI20230606BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20230606BHJP
B60L 53/16 20190101ALI20230606BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
B60K15/05 B
H01R13/639 Z
B60L53/16
B60R16/02 620Z
(21)【出願番号】P 2020150850
(22)【出願日】2020-09-08
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 昌也
(72)【発明者】
【氏名】大林 明広
(72)【発明者】
【氏名】篠田 佳典
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-212133(JP,A)
【文献】特開2013-113059(JP,A)
【文献】特開2012-215055(JP,A)
【文献】特開2017-155520(JP,A)
【文献】特開2014-118694(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0200210(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/00-15/10
B60R 16/02
B60L 53/00-53/80
H01R 13/62、13/639
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両であって、
車体と、
インレットと、
前記インレットを覆うリッドと、
前記インレットまたは前記リッドをロックする給電部電子ロック装置と、
前記給電部電子ロック装置の手動解除部に接続され
ているケーブルモジュール
と、
を有し、
前記ケーブルモジュールが、
前記車体に固定されている保持部材と、
前記保持部材に保持されるケーブル部材と、
を有し、
前記ケーブル部材が、把持部と、前記把持部に接続されているケーブルとを有し、
前記保持部材が、前記ケーブル部材を、第1位置と第2位置とに保持することが可能であり、
前記第1位置と前記第2位置のそれぞれにおいて、前記ケーブルのうちの前記把持部と反対側に位置する先端部が前記保持部材の外側に位置するように前記ケーブル部材が前記保持部材に保持され、
前記第1位置では、前記第2位置よりも、前記ケーブルのうちの前記保持部材から外側に伸びる部分の長さが長
く、
前記ケーブルが、前記給電部電子ロック装置の前記手動解除部に接続されており、
前記保持部材が、前記ケーブル部材を前記第2位置に保持している、
車両。
【請求項2】
請求項1の車両の生産方法であって、
前記保持部材を前記車体に固定する工程と、
前記保持部材が前記ケーブル部材を前記第1位置に保持している状態で、前記ケーブルを前記給電部電子ロック装置の前記手動解除部に接続する工程と、
前記ケーブルを前記給電部電子ロック装置の前記手動解除部に接続する前記工程を実施した後に、前記把持部を引っ張ることによって前記ケーブル部材を前記第1位置から前記第2位置へ移動させる工程、
を有する生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、ケーブルモジュールに関する。
【0002】
特許文献1には、車両に搭載された充電用のインレットに充電コネクタを接続する接続機構が開示されている。この接続機構は、充電コネクタをインレットにロックする電子ロック装置を有している。この電子ロック装置は、通常は、モータの駆動力によってロック及びロック解除を実行する。また、この電子ロック装置は、緊急解除装置を有している。緊急解除装置は、ケーブル状の解除操作部を有している。作業者が解除操作部を引っ張ると、電子ロック装置によるロックが解除され、充電コネクタをインレットから取り外すことが可能となる。このように、この電子ロック装置では、手動によるロックの解除が可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業者がケーブルを引っ張ったときにロックが解除される電子ロック装置においては、ケーブルの緩みを少なくする必要がある。ケーブルの緩みが大きいと、適切にロックを解除できない場合があるためである。他方、電子ロック装置を設置する際には、ケーブルの緩みが小さいと、ケーブルを電子ロック装置に接続する作業が困難となる。本明細書では、ケーブルの緩みを抑制しながらケーブルを電子ロック装置に接続可能なケーブルモジュールを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示するケーブルモジュールは、電子ロック装置の手動解除部に接続される。このケーブルモジュールは、保持部材と、前記保持部材に保持されるケーブル部材と、を有する。前記ケーブル部材が、把持部と、前記把持部に接続されているケーブルとを有する。前記保持部材が、前記ケーブル部材を、第1位置と第2位置とに保持することが可能である。前記第1位置と前記第2位置のそれぞれにおいて、前記ケーブルのうちの前記把持部と反対側に位置する先端部が前記保持部材の外側に位置するように前記ケーブル部材が前記保持部材に保持される。前記第1位置では、前記第2位置よりも、前記ケーブルのうちの前記保持部材から外側に伸びる部分の長さが長い。
【0006】
このケーブルモジュールを電子ロック装置に接続するときには、まず、保持部材を固定する。例えば、車両に搭載された電子ロック装置にケーブルモジュールを接続する場合には、保持部材を車体に固定することができる。次に、保持部材がケーブル部材を第1位置に保持している状態で、ケーブルを電子ロック装置の手動解除部に接続する。第1位置では、ケーブルのうちの保持部材から外側に伸びる部分の長さが長いので、ケーブルを電子ロック装置の手動解除部に容易に接続することができる。この段階では、ケーブル部材が第1位置にあるので、手動解除部に接続されたケーブルは緩んでいる。次に、把持部を引っ張ってケーブル部材を第1位置から第2位置へ移動させることで、ケーブルの緩みを小さくすることができる。このように、このケーブルモジュールによれば、ケーブルの緩みが小さい状態で容易にケーブルを電子ロック装置に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】ケーブル部材が第1位置にあるときのケーブルモジュールの斜視図。
【
図2】ケーブル部材が第2位置にあるときのケーブルモジュールの斜視図。
【
図3】車両の給電口の斜視図(リッドを省略した図)。
【
図5】ケーブル34とワイヤ64の接続工程の説明図。
【
図6】ケーブル44とワイヤ74の接続工程の説明図(リッドを省略した図)。
【
図7】ケーブル34、44を第1位置から第2位置へ移動させる工程の説明図(リッドを省略下図)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書が開示する電動車両の技術要素を、以下に列記する。なお、以下の各技術要素は、それぞれ独立して有用なものである。
【0009】
本明細書が開示する一例の車両は、ケーブルモジュールを有していてもよい。この車両は、車体と、リッドと、前記リッド内に設けられたインレットと、前記リッドまたは前記インレットをロックする給電部電子ロック装置と、を有していてもよい。前記保持部材が、前記車体に固定されていてもよい。前記ケーブルが、前記給電部電子ロック装置の手動解除部に接続されていてもよい。前記保持部材が、前記ケーブル部材を前記第2位置に保持していてもよい。
【0010】
この車両では、給電部電子ロック装置の手動解除部に緩みが少ない状態でケーブルが接続されているので、ケーブルを引っ張ることで容易に給電部電子ロック装置のロックを解除できる。
【0011】
本明細書が開示する一例の車両の生産方法では、前記保持部材を前記車体に固定する工程と、前記保持部材が前記ケーブル部材を前記第1位置に保持している状態で前記ケーブルを前記給電部電子ロック装置の前記手動解除部に接続する工程と、前記ケーブルを前記給電部電子ロック装置の前記手動解除部に接続する前記工程を実施した後に前記把持部を引っ張ることによって前記ケーブル部材を前記第1位置から前記第2位置へ移動させる工程、を有していてもよい。
【0012】
この生産方法によれば、ケーブルの緩みが小さい状態で容易にケーブルを給電部電子ロック装置に接続することができる。
【実施例】
【0013】
図1、2に示す実施例のケーブルモジュール10は、保持部材20とケーブル部材30、40を有している。ケーブル部材30、40は、保持部材20によって保持される。保持部材20は、
図1に示す位置にケーブル部材30、40を保持することができるとともに、
図2に示す位置にケーブル部材30、40を保持することができる。
【0014】
ケーブル部材30は、全体が樹脂により構成された部材である。ケーブル部材30は、把持部32とケーブル34を有している。把持部32は、人の指を挿入可能なリング形状を有している。ケーブル34は、把持部32に接続されている。ケーブル34のうちの把持部32に接続されている部分を含む主要部34aは、帯状である。ケーブル34の先端34t(把持部32とは反対側のケーブル34の端部)には、他の部材を連結可能な連結部34cが設けられている。主要部34aと連結部34cは、中間部34bにより接続されている。ケーブル部材40は、全体が樹脂により構成された部材である。ケーブル部材40は、把持部42とケーブル44(すなわち、主要部44a、中間部44b及び連結部44c)を有している。ケーブル部材40の構成は、ケーブル部材30の構成と等しい。
【0015】
保持部材20は、ベースプレート24、第1ストッパ21、第2ストッパ22、及び、4つのガイドフィン26を有している。ベースプレート24は、板状の部材であり、略水平に伸びる水平部24aと、傾斜して伸びる傾斜部24bを有している。傾斜部24bは、水平部24aの一方の端部に設けられている。傾斜部24bは、水平部24aから斜め下方向に伸びている。ケーブル部材30は、ケーブル34の先端34t側の部分が傾斜部24bの下端24xから下側に伸びる状態でベースプレート24上に配置されている。ケーブル部材40は、ケーブル44の先端44t側の部分が傾斜部24bの下端24xから下側に伸びる状態でベースプレート24上に配置されている。
【0016】
第1ストッパ21は、傾斜部24bの上面に立設されている。第1ストッパ21は複数の端部を有しており、第1ストッパ21の各端部と傾斜部24bの間に、間隔が設けられている。
図1に示すように、第1ストッパ21の各端部と傾斜部24bの間の間隔に把持部32、42を上側から挿入して固定することができる。このように、第1ストッパ21は、ケーブル部材30、40を保持することができる。以下では、
図1に示すように第1ストッパ21に保持されているときのケーブル部材30、40の位置を、第1位置という。
【0017】
第2ストッパ22は、傾斜部24bとは反対側の水平部24aの端部に設けられている。第2ストッパ22は、水平部24aの上面から上側に突出している複数の爪部を有している。各ガイドフィン26は、ベースプレート24の上面から上側に突出している。各ガイドフィン26は、水平部24aの上面から傾斜部の上面まで直線状に伸びている。各ガイドフィン26は、互いに平行に伸びている。
図2に示すように、第2ストッパ22の各爪部に、把持部32、42を引っ掛けることができる。すなわち、第2ストッパ22は、ケーブル部材30、40を保持することができる。以下では、
図2に示すように第2ストッパ22に保持されているときのケーブル部材30、40の位置を、第2位置という。ケーブル部材30、40が第2位置にある状態では、ケーブル34の主要部34aが一対のガイドフィン26の間に配置され、ケーブル44の主要部44aが一対のガイドフィン26の間に配置される。
【0018】
図1に示すようにケーブル部材30、40が第1位置にあるときに把持部32、42を上側に引っ張って
図2に示すように第2ストッパ22に引っ掛けることで、ケーブル部材30、40を第1位置から第2位置へ移動させることができる。
図1に示すようにケーブル部材30が第1位置にあるときには、ケーブル34のうちの保持部材20から外側に伸びる部分の長さ(すなわち、保持部材20の傾斜部24bの下端24xからケーブル34の先端34tまでの長さ)は長さL1である。
図2に示すようにケーブル部材30が第2位置にあるときには、ケーブル34のうちの保持部材20から外側に伸びる部分の長さ(すなわち、保持部材20の傾斜部24bの下端24xからケーブル34の先端34tまでの長さ)は長さL2である。長さL1は長さL2よりも長い。同様に、ケーブル44が第1位置にあるときには、ケーブル44が第2位置にあるときよりも、ケーブル44のうちの保持部材20から外側に伸びる部分の長さが長い(すなわち、
図1、2において、L3>L4である。)。
【0019】
次に、ケーブルモジュール10が取り付けられる車両について説明する。
図3、4に示す車両50は、バッテリを内蔵しており、バッテリの電力を利用して走行する。車両50は、電気自動車であってもよいし、ハイブリッド車であってもよい。車両50の外側パネル52(いわゆる、クォーターパネル)には、給電口54が設けられている。給電口54内には、給電用のインレット70が設けられている。
図4に示すように、車両50は、インレット70(すなわち、給電口54)を覆うリッド60を有している。なお、
図3ではリッド60が省略されている。
図4に示すリッド60は、外側パネル52に対して回動可能に取り付けられている。リッド60によって、給電口54を開閉することができる。リッド60を開き、インレット70に外部から充電コネクタを接続することで、車両50のバッテリを充電することができる。
【0020】
車両50は、電子ロック装置72を有している。電子ロック装置72は、インレット70に取り付けられている。電子ロック装置72は、内蔵するアクチュエータ(例えば、モータ)を作動させることで、インレット70のロック及びアンロックを行う。インレット70に充電コネクタを接続すると、自動的に電子ロック装置72が作動して、充電コネクタがインレット70にロックされる。車両50または充電装置にて所定の操作を行うと、電子ロック装置72によるロックが解除され、充電コネクタをインレット70から取り外すことが可能となる。
図3に示すように、電子ロック装置72は、ワイヤ74を有している。電子ロック装置72がロックしている状態においてワイヤ74を引っ張ると、アクチュエータを作動させることなく電子ロック装置72のロックを解除することができる。すなわち、ワイヤ74は、電子ロック装置72のロックを手動で解除するための手動解除部である。何等かの原因で電子ロック装置72のアクチュエータでアンロックができなくなった場合であっても、ワイヤ74が引っ張られると電子ロック装置72のロックが解除される。ワイヤ74の先端には、球体部74aが設けられている。
【0021】
図4に示すように、車両50は、電子ロック装置62を有している。電子ロック装置62は、リッド60に取り付けられている。電子ロック装置62は、内蔵するアクチュエータ(例えば、モータ)を作動させることで、リッド60のロック及びアンロックを行う。リッド60を閉じると、自動的に電子ロック装置62が作動して、リッド60がロックされる。すなわち、リッド60を開くことが禁止される。車両50で所定の操作を行うと、電子ロック装置62によるロックが解除され、リッド60が開く。電子ロック装置62はワイヤ64を有している。電子ロック装置62がロックしている状態においてワイヤ64を引っ張ると、アクチュエータを作動させることなく電子ロック装置62のロックを解除することができる。すなわち、ワイヤ64は、電子ロック装置62のロックを手動で解除するための手動解除部である。何等かの原因で電子ロック装置62のアクチュエータでアンロックができなくなった場合であっても、ワイヤ64が引っ張られると電子ロック装置62のロックが解除される。ワイヤ64の先端には、球体部64aが設けられている。
【0022】
次に、ケーブルモジュール10を車両50に取り付ける方法について説明する。
図3に示すように、車両50は、外側パネル52の内側に車体を構成するフレーム56を有している。車両50の生産方法では、まず、
図3に示すようにフレーム56の上面にケーブルモジュール10の保持部材20を固定する。ここでは、ケーブル部材30、40の把持部32、42が保持部材20上に位置する向きで保持部材20をフレーム56に固定する。また、保持部材20をフレーム56に固定するとき、または、固定した後に、ケーブル部材30、40を第1位置にセットする。ケーブル部材30、40が第1位置にセットされた状態では、ケーブル34、44が把持部32、42から下方向に垂れ下がる。
【0023】
次に、ケーブル部材30、40が第1位置にセットされた状態で、ワイヤ64、74を、ケーブル34、44に接続する。
【0024】
図4に示すように、ケーブル34の連結部34cは、スリットを有している。スリットの幅は、ケーブル34の先端34tにおいて狭くなっている。作業者は、ワイヤ64の先端に設けられた球体部64aを連結部34cのスリット内に挿入し、その後、球体部64aをスリット内で先端34t側に移動させることで、
図5に示すようにワイヤ64を連結部34c(すなわち、ケーブル34)に接続することができる。上述したようにケーブル34が第1位置にセットされているので、ケーブル34のうちの保持部材20から外側に伸びる部分の長さ(すなわち、
図1の長さL1)は長い。したがって、ケーブル34の長さに余裕があり、作業者は容易にワイヤ64をケーブル34に接続することができる。ワイヤ64をケーブル34に接続したら、リッド60を閉じる。リッド60を閉じると、ケーブル34及びワイヤ64の緩みが増加する。
【0025】
図3に示すように、ケーブル44の連結部44cは、スリットを有している。スリットの幅は、ケーブル44の先端44tにおいて狭くなっている。作業者は、ワイヤ74の先端に設けられた球体部74aを連結部44cのスリット内に挿入し、その後、球体部74aをスリット内で先端44t側に移動させることで、
図6に示すようにワイヤ74を連結部44c(すなわち、ケーブル44)に接続することができる。上述したようにケーブル44が第1位置にセットされているので、ケーブル44のうちの保持部材20から外側に伸びる部分の長さ(すなわち、
図1の長さL3)は長い。したがって、ケーブル44の長さに余裕があり、作業者は容易にワイヤ74をケーブル44に接続することができる。この段階では、ケーブル44及びワイヤ74は緩んだ状態にある。
【0026】
次に、ケーブル部材30、40を第2位置へ移動させることで、ケーブル34、44の緩みを減少させる。
【0027】
作業者は、ケーブル部材30の把持部32を上側に引っ張って第2ストッパ22に引っ掛けることで、
図7に示すようにケーブル部材30を第1位置から第2位置へ移動させることができる。上述したように、ケーブル部材30が第1位置にある状態では、ケーブル34及びワイヤ64に緩みが生じている。ケーブル部材30を第1位置から第2位置へ移動させると、ケーブル34のうちの保持部材20から外側に伸びる部分の長さが
図1に示す長さL1から
図2に示す長さL2に減少する。このため、
図7に示すように、ケーブル部材30を第2位置へ移動させると、ケーブル34及びワイヤ64の緩みが減少する。
【0028】
また、作業者は、ケーブル部材40の把持部42を上側に引っ張って第2ストッパ22に引っ掛けることで、
図7に示すようにケーブル部材40を第1位置から第2位置へ移動させることができる。上述したように、ケーブル部材40が第1位置にある状態では、ケーブル44及びワイヤ74に緩みが生じている。ケーブル部材40を第1位置から第2位置へ移動させると、ケーブル44のうちの保持部材20から外側に伸びる部分の長さが
図1に示す長さL3から
図2に示す長さL4に減少する。このため、
図7に示すように、ケーブル部材40を第2位置へ移動させると、ケーブル44及びワイヤ74の緩みが減少する。
【0029】
以上に説明したように、上記の生産方法によれば、ケーブル34、44に余裕がある状態でケーブル34、44をワイヤ64、74に接続することができるので、作業者は接続作業を容易に行うことができる。また、その後、ケーブル部材30、40を第2位置へ移動させることで、ケーブル34、44の緩みを減少させることができる。したがって、ケーブル34、44の緩みが少ない状態で車両50を出荷することができる。
【0030】
車両50の使用中に何らかの異常によって電子ロック装置62、72によるロック(すなわち、リッド60またはインレット70のロック)を電気的に解除できなくなった場合には、手動操作によってロックの解除を行うことができる。
【0031】
手動操作によって電子ロック装置62によるロック(すなわち、リッド60のロック)を解除する場合には、手動操作の作業者は、ケーブル部材30の把持部32(第2位置にある把持部32)を引っ張ることができる。把持部32を引っ張ると、ケーブル34を介してワイヤ64が引っ張られて、電子ロック装置62によるロックが解除される。このとき、ケーブル34及びワイヤ64の緩みが大きいと、手動操作の作業者は、把持部32を引っ張るときに張力を感じることができず、正しく作業を行えているか否か判断し難い。これに対し、上記の生産方法により生産された車両50では、ケーブル34及びワイヤ64の緩みが少ないので、手動操作の作業者は把持部32を引っ張るときに張力を感じることができる。また、ケーブル34及びワイヤ64の緩みが少ないので、把持部32を少量引っぱった段階でロックが解除される。このため、作業者が判断に迷うことが防止される。作業者は、正しく電子ロック装置62によるロックを解除することができる。
【0032】
また、手動操作によって電子ロック装置72によるロック(すなわち、インレット70のロック)を解除する場合には、手動操作の作業者は、ケーブル部材40の把持部42(第2位置にある把持部42)を引っ張ることができる。把持部42を引っ張ると、ケーブル44を介してワイヤ74が引っ張られて、電子ロック装置72によるロックが解除される。このとき、ケーブル44及びワイヤ74の緩みが大きいと、手動操作の作業者は、把持部42を引っ張るときに張力を感じることができず、正しく作業を行えているか否か判断し難い。これに対し、上記の生産方法により生産された車両50では、ケーブル44及びワイヤ74の緩みが少ないので、手動操作の作業者は把持部42を引っ張るときに張力を感じることができる。また、ケーブル44及びワイヤ74の緩みが少ないので、把持部42を少量引っぱった段階でロックが解除される。このため、作業者が判断に迷うことが防止される。作業者は、正しく電子ロック装置72によるロックを解除することができる。
【0033】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0034】
10:ケーブルモジュール
20:保持部材
21:第1ストッパ
22:第2ストッパ
24:ベースプレート
26:ガイドフィン
30:ケーブル部材
32:把持部
34:ケーブル
40:ケーブル部材
42:把持部
44:ケーブル
50:車両
52:外側パネル
54:給電口
56:フレーム
60:リッド
62:電子ロック装置
64:ワイヤ
70:インレット
72:電子ロック装置
74:ワイヤ