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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】車両情報システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230607BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G01C21/36
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019158731
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021039431
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】犬童 翔太
(72)【発明者】
【氏名】福富 駿祐
(72)【発明者】
【氏名】村上 祐貴彦
(72)【発明者】
【氏名】神部 芳幸
(72)【発明者】
【氏名】伏見 萌
(72)【発明者】
【氏名】中山 欣也
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-105174(JP,A)
【文献】特開2000-004420(JP,A)
【文献】特開2004-139204(JP,A)
【文献】特開2013-152671(JP,A)
【文献】特開平11-338486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
G07C 1/00-15/00
F02D 43/00-45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を駆動するパワーユニットが発する音を示す音情報を取得する音情報取得部と、
前記音情報取得部で取得された前記音情報を、取得された時間および取得時の目的地に関連付けて記憶する記憶部と、
前記音情報が示す音を車両において再生可能な音再生部と、
前記記憶部に記憶された前記音情報のうち、時間および目的地を含む所定の抽出条件を満たす前記音情報を抽出する情報抽出部と、
前記情報抽出部で抽出された前記音情報が示す音を前記音再生部によって再生させる再生制御部と、
を備える車両情報システム。
【請求項2】
前記音情報取得部で前記音情報を取得する車両と、取得および記憶された音を前記音再生部で再生する車両とが別体の車両である請求項1に記載の車両情報システム。
【請求項3】
前記パワーユニットの駆動に従って発生する車室内の振動を示す振動情報を取得する振動情報取得部と、
前記振動情報が示す振動を車両において再生可能な振動再生部と、
をさらに備え、
前記記憶部は、前記振動情報取得部で取得された前記振動情報を、取得された時間および取得時の目的地に関連付けて記憶し、
前記情報抽出部は、前記記憶部に記憶された前記振動情報のうち、時間および目的地を含む所定の抽出条件を満たす前記振動情報を抽出し、
前記再生制御部は、前記情報抽出部で抽出された前記振動情報が示す振動を前記振動再生部によって再生させる請求項1または2に記載の車両情報システム。
【請求項4】
車輪を駆動するパワーユニットが発する音、および、前記パワーユニットの駆動に従って発生する車室内の振動の少なくとも一方の情報を含むコンテンツ情報を取得するコンテンツ情報取得部と、
前記コンテンツ情報取得部で取得された前記コンテンツ情報を、取得された時間に関連付けて記憶する記憶部と、
前記コンテンツ情報が示すコンテンツを車両において再生可能な再生部と、
前記記憶部に記憶された前記コンテンツ情報のうち、指定された人物を基準とした指定された時代を示す時代条件を満たす前記コンテンツ情報を抽出する情報抽出部と、
前記情報抽出部で抽出された前記コンテンツ情報が示すコンテンツを前記再生部によって再生させる再生制御部と、
を備える車両情報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両とサーバ装置との間で通信可能な車両情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車にはエンジンやモータといった特性の異なる駆動源が用いられる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-228165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザは、過去の自動車での運転に関係する出来事を懐かしく思うことがある。
【0005】
そこで、本発明は、過去の運転の思い出に浸ることを支援可能な車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両情報システムは、車輪を駆動するパワーユニットが発する音を示す音情報を取得する音情報取得部と、音情報取得部で取得された音情報を、取得された時間および取得時の目的地に関連付けて記憶する記憶部と、音情報が示す音を車両において再生可能な音再生部と、記憶部に記憶された音情報のうち、時間および目的地を含む所定の抽出条件を満たす音情報を抽出する情報抽出部と、情報抽出部で抽出された音情報が示す音を音再生部によって再生させる再生制御部と、を備える。
【0007】
また、車両情報システムは、音情報取得部で音情報を取得する車両と、取得および記憶された音を音再生部で再生する車両とが別体の車両であってもよい。
【0008】
また、パワーユニットの駆動に従って発生する車室内の振動を示す振動情報を取得する振動情報取得部と、振動情報が示す振動を車両において再生可能な振動再生部と、をさらに備え、記憶部は、振動情報取得部で取得された振動情報を、取得された時間および取得時の目的地に関連付けて記憶し、情報抽出部は、記憶部に記憶された振動情報のうち、時間および目的地を含む所定の抽出条件を満たす振動情報を抽出し、再生制御部は、情報抽出部で抽出された振動情報が示す振動を振動再生部によって再生させてもよい。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の車両情報システムは、車輪を駆動するパワーユニットが発する音、および、パワーユニットの駆動に従って発生する車室内の振動の少なくとも一方の情報を含むコンテンツ情報を取得するコンテンツ情報取得部と、コンテンツ情報取得部で取得されたコンテンツ情報を、取得された時間に関連付けて記憶する記憶部と、コンテンツ情報が示すコンテンツを車両において再生可能な再生部と、記憶部に記憶されたコンテンツ情報のうち、指定された人物を基準とした指定された時代を示す時代条件を満たすコンテンツ情報を抽出する情報抽出部と、情報抽出部で抽出されたコンテンツ情報が示すコンテンツを再生部によって再生させる再生制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、過去の運転の思い出に浸ることを支援可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態による車両情報システムの概要を説明する図である。
図2】車両情報システムの構成を示す概略図である
図3】車両におけるコンテンツ情報取得部の動作の流れを説明するフローチャートである。
図4】車両における情報抽出部および再生制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
図5】サーバ装置において条件情報を受信したサーバ制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、本実施形態による車両情報システム1の概要を説明する図である。車両情報システム1は、ユーザが過去に所有していた車両10a(以後、過去の車両10aまたは当時の車両10aと呼ぶ場合がある)、ユーザが現在所有している車両10b(以後、現在の車両10bと呼ぶ場合がある)、および、サーバ装置12を含む。
【0014】
過去の車両10aは、例えば、車輪を駆動するパワーユニット14aがエンジンであるエンジン自動車である。これに対して、現在の車両10bは、例えば、車輪を駆動するパワーユニット14bがモータである電気自動車である。例えば、ユーザは、過去の車両10aから現在の車両10bに乗り換えた(過去の車両10aを手放して現在の車両10bを取得した)とする。
【0015】
サーバ装置12は、例えば、クラウドサーバであり、車両情報システム1の管理者などにより管理される。サーバ装置12は、記憶部16を含んでいる。記憶部16は、例えば、ハードディスクドライブなどの不揮発性記憶装置である。過去の車両10aおよび現在の車両10bは、サーバ装置12と無線通信することができる。
【0016】
エンジン自動車である車両10aでは、ユーザの運転に従った独特のエンジン音や振動が発生する。例えば、ユーザには、エンジン自動車である車両10aに娘が同乗して出かけた思い出があるとする。ユーザによっては、そのときの出来事とともに、移動時の車両10aのエンジン音や振動も思い出として覚えていることがある。その出来事から何年か後に、ユーザは、電気自動車である車両10bに乗り換え、娘は、ユーザである親から独立していたとする。ユーザは、過去に娘と出かけた場所に一人で再び出かけようとしたとする。このような場合、ユーザが娘と出かけたときの思い出に浸りたいことがある。しかし、現在の車両10bでは、思い出当時の車両10aと雰囲気が異なるため、当時の思い出に十分に浸れない可能性がある。そこで、車両情報システム1は、このような思い出にユーザが浸り易くなるように支援する。
【0017】
車両情報システム1では、例えば、娘と出かけるなどのイベントがある場合、そのときにユーザが運転している車両10aのエンジン音や振動を取得してサーバ装置12の記憶部16に記憶させる。その後、乗り換え後の現在の車両10bにおいて、ユーザが過去の車両10aでの娘との思い出に浸りたいと思った場合、車両情報システム1では、記憶部16に記憶されている当時の車両10aのエンジン音や振動を現在の車両10bで再生させる。これにより、現在の車両10bがエンジン自動車ではなくても、現在の車両10bにおける運転の雰囲気が、当時の車両10bにおける運転の雰囲気に近づき、臨場感が高くなる。このため、車両情報システム1を利用するユーザは、当時の思い出に浸り易くなる。
【0018】
なお、ここでは、エンジン音や振動の記憶対象がエンジン自動車であり、エンジン音や振動の再生対象が電気自動車である例を挙げたが、例えば、エンジン音や振動の記憶対象と再生対象とが、ともにエンジン自動車であってもよいし、エンジン音や振動の記憶対象と再生対象とが同一の車両であってもよい。エンジンの型式や運転の仕方によっては、エンジン音や振動が、過去と現在とで異なる場合があるからである。また、音や振動の記憶対象が電気自動車であり、音や振動の再生対象が電気自動車あるいはエンジン自動車であってもよい。
【0019】
図2は、車両情報システム1の構成を示す概略図である。以下では、本実施形態に関係する構成や処理について詳細に説明し、本実施形態と無関係の構成や処理については説明を省略する。図2の車両10は、エンジン音や振動を取得する機能と、エンジン音や振動を再生する機能との両方を有する。つまり、図2の車両10は、図1の過去の車両10aであってもよいし、図1の現在の車両10bであってもよい。なお、エンジン音や振動を取得する機能と、エンジン音や振動を再生する機能とが、それぞれ別体の車両に設けられてもよい。
【0020】
サーバ装置12は、記憶部16の他、サーバ通信部20およびサーバ制御部22を含む。サーバ通信部20は、車両10と無線通信することができる。サーバ制御部22は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路から構成される。サーバ制御部22については、後に詳述する。
【0021】
車両10は、車輪を駆動するパワーユニット14を含む。パワーユニット14は、例えば、エンジンである。なお、パワーユニット14は、車両10がエンジン音や振動の再生のみを行う場合には、車輪を駆動するモータであってもよい。
【0022】
車両10は、パワーユニット14の他、車両通信部30、収音部32、音再生部34、振動センサ36、振動再生部38、ナビゲーション装置40および車両制御部42を含む。車両通信部30は、サーバ装置12と無線通信することができる。
【0023】
収音部32は、主としてパワーユニット14の音、つまり、エンジン音を収音可能なマイクである。収音部32は、パワーユニット14の音を効率よく収音するために、パワーユニット14の近傍に設置される。なお、収音部32は、パワーユニット14の音だけでなく、車室内の音(例えば、搭乗者の会話音など)や、車外の音(例えば、環境音)なども収音してもよい。この場合、収音部32を複数設けてもよい。
【0024】
音再生部34は、音を再生可能なスピーカである。音再生部34は、ユーザが音を聞き易いように車室内に設置される。音再生部34では、収音部32で収音された音が再生されることとなる。なお、音再生部34は、ユーザが、より聞き易いように、例えば、運転座席のヘッドレストなどに設けられてもよいし、複数設けられてもよい。また、収音部32および音再生部34は、収音部32で収音された音を音再生部34で再生する際の再現性が高くなるように、設置位置やゲインなどが調整されるとしてもよい。
【0025】
振動センサ36は、例えば、車室内の運転座席の下に設けられる。振動センサ36は、パワーユニット14の駆動に従って発生する車室内の振動(例えば、アイドリングや走行時における運転座席の振動)を検出する。
【0026】
振動再生部38は、例えば、振動を発生することが可能な振動子を含む。振動再生部38は、運転座席の下に設けられ、運転座席を振動させることができる。つまり、振動再生部38は、振動センサ36で検出された振動を車両10において再生可能である。なお、振動センサ36および振動再生部38は、振動センサ36で検出された振動を振動再生部38で再生する際の再現性が高くなるように、設置位置などが調整されるとしてもよい。
【0027】
ナビゲーション装置40は、例えば、車両通信部30を通じて、地図を示す地図情報や交通規制などを示す交通情報を取得できる。ナビゲーション装置40は、入出力部50を含む。入出力部50は、例えば、タッチパネルなどであり、車両10の搭乗者の入力操作を受け付ける入力機能と、各種の情報(例えば、地図情報や交通情報など)を表示する出力機能とを有する。
【0028】
ナビゲーション装置40は、入出力部50を通じた搭乗者の入力操作により出発地および目的地を取得することができる。また、ナビゲーション装置40は、GPS(全地球測位システム)により現在地を取得することができる。
【0029】
車両制御部42は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路から構成される。車両制御部42は、プログラムを実行することで、走行制御部60、コンテンツ情報取得部62、情報抽出部64および再生制御部66として機能する。
【0030】
走行制御部60は、例えば、アクセルペダルの踏込み量、ブレーキペダルの踏込み量、ステアリングホイールの回転角度などの運転操作に関する各種の情報を取得する。走行制御部60は、運転操作に関する各種の情報に基づいて、パワーユニット14などの駆動機構、ブレーキなどの制動機構、ステアリングギアなどの操舵機構を制御する。
【0031】
コンテンツ情報取得部62は、音情報取得部70および振動情報取得部72を含む。音情報取得部70は、収音部32で収音された音(パワーユニット14の音)を示す音情報を取得する。振動情報取得部72は、振動センサ36で検出された車室内の振動(運転座席の振動)を示す振動情報を取得する。このように、コンテンツ情報取得部62は、パワーユニット14の音や車室内の振動といったコンテンツを示すコンテンツ情報を取得する。
【0032】
なお、コンテンツ情報は、音情報および振動情報のうち少なくとも一方の情報を含んでいればよい。また、コンテンツ情報は、音情報および振動情報に限らない。例えば、車外を撮像する撮像装置が車両10に設けられる場合、コンテンツ情報取得部62は、撮像装置で撮像された車外の映像を示す映像情報をコンテンツ情報として取得してもよい。また、このような映像情報を取得する態様では、例えば、取得された映像を再生可能な映像再生部を設けてもよい。映像再生部は、例えば、取得された車外の映像を、車両10の窓ガラスに半透明的に表示してもよい。
【0033】
ユーザは、例えば、娘と出かけるなどのイベントの始めに、ナビゲーション装置40の入出力部50などを通じて、コンテンツの記憶開始指示の入力を行う。なお、記憶開始指示は、音声入力などで行ってもよい。コンテンツ情報取得部62は、コンテンツの記憶開始指示を受信すると、収音部32を通じてパワーユニット14の音を示す音情報を取得するとともに、振動センサ36を通じて車室内の振動を示す振動情報を取得する。取得された音情報や振動情報などのコンテンツ情報は、現在の日時(年月日および時刻)、車両10の現在地および目的地に関連付けられる。
【0034】
コンテンツ情報取得部62は、現在の日時等に関連付けられたコンテンツ情報を、大凡リアルタイムに車両通信部30を通じてサーバ装置12に送信する。サーバ装置12のサーバ制御部22は、サーバ通信部20を通じてコンテンツ情報(音情報および振動情報)を受信すると、受信したコンテンツ情報を記憶部16に記憶させる。
【0035】
ユーザは、イベントが終了すると、ナビゲーション装置40の入出力部50などを通じて、コンテンツの記憶終了指示の入力を行う。なお、記憶終了指示は、音声入力などで行ってもよい。コンテンツ情報取得部62は、記憶終了指示を受信するまで、コンテンツ情報の取得および送信を継続して行う。これにより、サーバ装置12の記憶部16には、取得された時間および取得時の目的地に関連付けられたコンテンツ情報(音情報および振動情報)が蓄積される。なお、コンテンツ情報の記憶時に、コンテンツ情報に優先度(重み)を付与して記憶部16に記憶させてもよい。
【0036】
情報抽出部64は、コンテンツ情報の再生時に機能する。情報抽出部64は、記憶部16に記憶されたコンテンツ情報のうち、再生するコンテンツ情報を抽出するための所定の抽出条件を満たすコンテンツ情報を抽出する。抽出条件は、再生したいコンテンツ情報が取得された時間、および、再生したいコンテンツ情報が取得された時の目的地を含む。抽出条件におけるコンテンツ情報の取得時の目的地については、例えば、現在のナビゲーション装置40に設定されている目的地が反映される。
【0037】
また、抽出条件におけるコンテンツ情報の取得された時間については、ユーザに入力させる。ユーザは、特定の人物を基準とした特定の時代を指定することができる。つまり、抽出条件には、ユーザによって指定された人物を基準とした指定された時代を示す時代条件が含まれる。情報抽出部64は、記憶部16に記憶されたコンテンツ情報のうち、このような時代条件を満たすコンテンツ情報を抽出することとなる。
【0038】
ここで、ユーザがA湖を目的地として移動しようとする場合、娘が小学校時代のときに娘とA湖に出かけたときの思い出に浸ろうとする例を挙げる。この場合、情報抽出部64は、まず、ナビゲーション装置40に入力された目的地(この例では、A湖)を取得する。
【0039】
次に、情報抽出部64は、誰の、どの時代に記憶されたコンテンツ情報を再生したいかを、ナビゲーション装置40の入出力部50を通じてユーザに入力させる。例えば、人物を特定する情報(例えば、娘の名前と生年月日とを関連付けた情報など)を情報抽出部64に予め登録しておくとする。情報抽出部64は、登録済の名前のリストを表示し、基準となる人物の特定を促す。ユーザは、リストの中から、例えば、娘を選択する。次に、情報抽出部64は、指定された人物を基準とした時代(例えば、成長過程における小学校時代、中学校時代、高校時代など)のリストを表示する。ユーザは、リストの中から、例えば、小学校時代を選択する。情報抽出部64は、入力された人物および時代と、予め登録されてある人物を特定する情報とに基づいて、コンテンツ情報の抽出対象となる期間(時間範囲)を特定する。
【0040】
また、情報抽出部64は、コンテンツ情報をより的確に抽出するために、さらに詳細な抽出条件(詳細条件)をユーザに入力させてもよい。例えば、情報抽出部64は、娘の小学校時代のうち何年生のときか、季節はどの時期か、などのように対象となる時間をより狭くしてもよい。また、情報抽出部64は、娘の小学校時代のうち学年を指定せずに月日が現在の月日にもっとも近い月日のコンテンツ情報を優先的に抽出するというような抽出条件を受け付けてもよい。なお、詳細条件は、例示した具体例に限らない。
【0041】
情報抽出部64は、これらの抽出条件を示す条件情報を生成してサーバ装置12に送信する。サーバ装置12のサーバ制御部22は、条件情報を受信すると、その条件情報が示す抽出条件を満たすコンテンツ情報を記憶部16から読み出す。上述の例では、サーバ制御部22は、目的地がA湖であり、かつ、コンテンツ情報の取得時期が娘の小学校時代に該当するコンテンツ情報を読み出す。そして、サーバ制御部22は、読み出したコンテンツ情報を、条件情報の送信元の車両10にサーバ通信部20を通じて送信する。
【0042】
なお、抽出条件を満たすコンテンツ情報がない場合には、サーバ制御部22は、条件情報の送信元の車両10に、その旨を連絡し、抽出条件を再度入力させてもよい。また、サーバ制御部22は、抽出条件を満たすコンテンツ情報が複数ある場合には、それら複数のコンテンツ情報の中から、再生するコンテンツ情報をユーザに選択させてもよいし、コンテンツ情報に優先度(重み)が付与されていれば、その優先度の高いものを優先的に抽出してもよい。
【0043】
情報抽出部64は、このようにして、サーバ装置12から抽出条件を満たすコンテンツ情報を取得することができる。つまり、情報抽出部64は、記憶部16に記憶されたコンテンツ情報(音情報および振動情報)のうち、時間および目的地を含む所定の抽出条件を満たすコンテンツ情報(音情報や振動情報)を抽出する。
【0044】
再生制御部66は、情報抽出部64によって抽出されたコンテンツ情報(サーバ装置12から取得したコンテンツ情報)を自車両において再生させる。具体的には、再生制御部66は、取得した音情報の音を音再生部34によって再生させ、取得した振動情報の振動を振動再生部38によって再生(再現)させる。つまり、音再生部34および振動再生部38は、コンテンツ情報を再生する再生部として機能する。
【0045】
これにより、抽出条件で指定された当時のパワーユニット14の音および車室内の振動が、現在の車両10で再生され、現在の車両10の雰囲気が、抽出条件で指定された当時の車両10の雰囲気に近づき、臨場感が高くなる。その結果、ユーザは、当時(例えば、娘が小学校時代にA湖に出かけた時)の思い出に浸り易くなる。
【0046】
図3は、車両10におけるコンテンツ情報取得部62の動作の流れを説明するフローチャートである。コンテンツ情報取得部62は、コンテンツの記憶開始指示を受信すると図3に示す一連の処理を実行する。
【0047】
コンテンツ情報取得部62は、まず、ナビゲーション装置40から車両10の現在地および目的地を取得する(S110)。次に、コンテンツ情報取得部62は、現在の日時(年月日および時刻)をカレンダなどから取得する(S120)。現在の日時は、コンテンツ情報が取得された時間に相当する。
【0048】
次に、コンテンツ情報取得部62は、自車両においてコンテンツ情報を取得する(S130)。具体的には、コンテンツ情報取得部62は、収音部32を通じてパワーユニット14の音を示す音情報を取得し、振動センサ36を通じて車室内(例えば、運転座席)の振動を示す振動情報を取得する。コンテンツ情報取得部62は、例えば、コンテンツ情報(音情報および振動情報)を所定時間に亘って継続して取得する。所定時間は、例えば、1分間であるが、この例に限らない。
【0049】
次に、コンテンツ情報取得部62は、取得したコンテンツ情報を、車両10の現在地、目的地、現在の日時、および、ユーザを識別するユーザIDに関連付けて、サーバ装置12に送信するための送信情報を生成する(S140)。そして、コンテンツ情報取得部62は、生成した送信情報を、車両通信部30を通じてサーバ装置12に送信する(S150)。コンテンツ情報取得部62は、この一連の処理を、記憶終了指示を受信するまで、連続的に繰り返す。
【0050】
サーバ装置12のサーバ制御部22は、現在の日時等が関連付けられたコンテンツ情報である送信情報を受信すると、その送信情報の内容を記憶部16に記憶させる。これにより、コンテンツ情報が取得された時間および取得時の目的地が関連付けられたコンテンツ情報が、記憶部16に蓄積される。
【0051】
図4は、車両10における情報抽出部64および再生制御部66の動作の流れを説明するフローチャートである。情報抽出部64は、コンテンツ情報の抽出開始指示を受信すると、図4に示す一連の処理を実行する。
【0052】
まず、情報抽出部64は、ナビゲーション装置40から車両10の現在地および目的地を取得する(S200)。
【0053】
次に、情報抽出部64は、再生したいコンテンツ情報が属する時代の入力を受け付ける(S210)。例えば、情報抽出部64は、基準となる人物(例えば、娘)の名前と、その人の大凡の時代(小学生時代など)を入力させる。なお、情報抽出部64は、再生したいコンテンツ情報が属する時代を西暦などで直接入力させてもよい。次に、情報抽出部64は、詳細条件の入力を受け付ける(S220)。詳細条件については、上述のように、時代をより狭い範囲に絞るような条件としてもよい。
【0054】
次に、情報抽出部64は、ステップS200からステップS220で取得した内容に基づいて、抽出条件を示す条件情報を生成する(S230)。次に、情報抽出部64は、生成した条件情報をサーバ装置12に送信する(S240)。
【0055】
条件情報をサーバ装置12に送信すると、サーバ装置12では、条件情報を満たすコンテンツ情報の抽出が行われ、抽出されたコンテンツ情報が車両10に送信されることとなる。サーバ装置12での動作の流れについては、後に詳述する。
【0056】
車両10における情報抽出部64は、抽出されたコンテンツ情報をサーバ装置12から受信したか否かを判断する(S250)。コンテンツ情報を受信していない場合(S250におけるNO)、情報抽出部64は、コンテンツ情報を受信するまで待機する。
【0057】
コンテンツ情報をサーバ装置12から受信した場合(S250におけるYES)、情報抽出部64は、再生準備ができた旨を、ナビゲーション装置40の入出力部50に表示させる(S260)。再生準備ができた旨が表示されると、ユーザは、コンテンツ情報の再生を開始させる再生開始指示を行うことができる。
【0058】
次に、再生制御部66は、ナビゲーション装置40の入出力部50を通じて、再生開始指示を受信したか否かを判断する(S270)。再生開始指示を受信していない場合(S270におけるNO)、再生制御部66は、再生開始指示を受信するまで待機する。
【0059】
再生開始指示を受信した場合(S270におけるYES)、再生制御部66は、受信したコンテンツ情報の再生を開始させる(S280)。具体的には、再生制御部66は、コンテンツ情報のうち音情報が示す音を音再生部34で再生させ、コンテンツ情報のうち振動情報が示す振動を振動再生部38で再生させる。
【0060】
なお、再生制御部66は、ナビゲーション装置40から取得した車両10の現在地と、コンテンツ情報に関連付けられている当時の現在地とが、大凡一致するように、コンテンツ情報の再生タイミングや再生時間を調整しつつ再生してもよい。
【0061】
図5は、サーバ装置12において条件情報を受信したサーバ制御部22の動作の流れを説明するフローチャートである。サーバ制御部22は、条件情報を受信すると、受信した条件情報を解析する(S300)。
【0062】
次に、サーバ制御部22は、条件情報が示す抽出条件を満たすコンテンツ情報を記憶部16から読み出す(S310)。具体的には、サーバ制御部22は、ユーザID、目的地が一致し、車両10の出発地が記録開始時の車両10の現在地に大凡一致し、取得された日時が指定された時代に属するようなコンテンツ情報を読み出す。なお、サーバ制御部22は、詳細条件がある場合には、その詳細条件も満たすコンテンツ情報を読み出す。
【0063】
サーバ制御部22は、読み出したコンテンツ情報を、条件情報の送信元の車両10にサーバ通信部20を通じて送信し(S320)、一連の処理を終了する。送信されたコンテンツ情報は、上述のように、車両10において再生される。
【0064】
以上のように、本実施形態の車両情報システム1では、パワーユニット14の音を示す音情報および車室内の振動を示す振動情報が記憶部16に記憶され、その音情報および振動情報が、将来において音再生部34および振動再生部38によって再生可能となっている。つまり、本実施形態の車両情報システム1では、過去の車両10におけるパワーユニットの音および車室内の振動を、現在の車両10において再生可能である。これにより、現在の車両10の雰囲気が、指定した当時の車両10の雰囲気に近くなり、ユーザは、指定した当時の思い出に浸り易くなる。
【0065】
したがって、本実施形態の車両情報システム1によれば、過去の運転の思い出に浸ることを支援可能である。
【0066】
また、本実施形態の車両情報システム1では、パワーユニット14の音を示す音情報および車室内の振動を示す振動情報の少なくとも一方を含むコンテンツ情報が、取得された時間に関連付けて記憶部16に記憶され、指定された人物を基準とした指定された時代を示す時代条件を満たすコンテンツ情報が、将来において再生可能となっている。これにより、ユーザは、思い出に浸りたい時代を特定して、思い出に浸ることが可能となる。
【0067】
また、本実施形態の車両情報システム1では、音情報取得部70で音情報を取得する車両(例えば、図1の車両10a)と、取得および記憶された音を音再生部34で再生する車両(例えば、図1の車両10b)とが別体の車両であってもよい。この場合においても、現在の車両10の雰囲気を、当時の車両10の雰囲気に近くすることができ、過去の運転の思い出に浸ることを支援可能である。
【0068】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0069】
1 車両情報システム
10 車両
16 記憶部
34 音再生部(再生部)
38 振動再生部(再生部)
62 コンテンツ情報取得部
64 情報抽出部
66 再生制御部
70 音情報取得部
72 振動情報取得部
図1
図2
図3
図4
図5