特許 7291386 遊技機

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2023-06-07

(45)【発行日】2023-06-15

(54)【発明の名称】遊技機

(51)【国際特許分類】

   A63F 7/02 20060101AFI20230608BHJP

【ＦＩ】

A63F7/02 320

A63F7/02 304D

【請求項の数】 1

(21)【出願番号】P 2019119221

(22)【出願日】2019-06-27

(65)【公開番号】P2021003400

(43)【公開日】2021-01-14

【審査請求日】2022-06-20

(73)【特許権者】

【識別番号】599104196

【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ

(74)【代理人】

【識別番号】110002158

【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】市原 卓人

【審査官】橘 皇徳

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１６－２０２６４３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１３－００９８４５（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１７－０４２２４２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１９－０３３８８８（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ａ６３Ｆ ７／０２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

遊技者が操作可能な操作手段と、
前記操作手段を振動させる振動装置と、
当否判定に関する情報であって、既に当否判定結果を報知する演出が開始されているものに対応する変動中保留情報、および未だ当否判定結果を報知する演出が開始されていないものに対応する一または複数の変動前保留情報を記憶する記憶手段と、
遊技者に対して前記操作手段の操作を促す演出であって、前記変動中保留情報に対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する操作演出を実行する演出実行手段と、
を備え、
前記操作演出として、前記操作手段が操作されたことを契機として前記変動中保留情報に対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性が示唆されることに加え、一または複数の前記変動前保留情報のうちのいずれかに対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性が示唆される特殊態様が発生することがあり、
前記特殊態様は、前記振動装置による前記操作手段の振動が発生することで、一または複数の前記変動前保留情報のうちのいずれかに対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高まったことが示唆されるものであることを特徴とする遊技機。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、遊技機に関する。

【背景技術】

【0002】

遊技者に対し、押しボタン等の操作手段の操作が促される操作演出を実行可能な遊技機が公知である（例えば、下記特許文献１参照）。操作された結果として実行される演出により、いわゆる信頼度が示唆される。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２０１８－１５２４５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

本発明は、操作演出における操作手段の操作意欲を向上させることが可能な遊技機を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0005】

上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、前方に遊技領域が形成される遊技盤と、前記遊技盤の前面から前方に向かって突出するように設けられた遊技部材と、前記遊技部材の前方に位置し、遊技領域を視認可能とする材料で形成された被覆部材と、を備え、前記被覆部材には、その後面から後方に向かって突出した部分であって、前記遊技部材の先端側の一部に隣接するように位置する突出部が形成されていることを特徴とする。

【発明の効果】

【0006】

本発明にかかる遊技機によれば、操作演出における操作手段の操作意欲を向上させることが可能である。

【図面の簡単な説明】

【0007】

【図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である。

【図2】表示領域に表示された識別図柄および保留図柄を示した図である。

【図3】操作演出（通常態様・特殊態様）を説明するための図である。

【図4】操作演出に関する第一具体例を説明するための図である。

【図5】操作演出に関する第四具体例を説明するための図である。

【図6】操作演出に関する第五具体例を説明するための図である。

【図7】操作演出に関する第六具体例を説明するための図である。

【発明を実施するための形態】

【0008】

１）遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機１（ぱちんこ遊技機）の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図１を参照して遊技機１の全体構成について簡単に説明する。

【0009】

遊技機１は遊技盤９０を備える。遊技盤９０は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置９０８（発射ハンドル）の操作によって発射された遊技球を遊技領域９０２に案内する通路を構成するガイドレール９０３が略円弧形状となるように設けられている。

【0010】

遊技領域９０２には、表示装置９１、始動領域９０４、大入賞口９０６、アウト口などが設けられている。表示装置９１の表示領域９１１は、遊技盤９０に形成された開口９０１を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域９０２には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘１０Ｋが複数設けられている。遊技領域９０２を流下する遊技球は、遊技釘１０Ｋに衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。

【0011】

このような遊技機１では、発射装置９０８を操作することにより遊技領域９０２に向けて遊技球を発射する。遊技領域９０２を流下する遊技球が、始動領域９０４や大入賞口９０６等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。

【0012】

なお、遊技機１の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機１の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。

【0013】

大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動領域９０４への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域９０４として、第一始動領域９０４ａ（いわゆる「特図１」の始動領域）と第二始動領域９０４ｂ（いわゆる「特図２」の始動領域）が設けられている。始動領域９０４への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値（当否判定情報）が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される（いわゆる変動が開始される）こととなるが、未だ当否判定結果の報知が完了していない当否判定情報が存在する場合には、新たに取得された当否判定情報は保留情報として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。記憶手段に保留情報が記憶されていることは、保留図柄７０として表示される。

【0014】

本実施形態では、保留図柄７０として、当否判定結果を報知する報知演出（識別図柄８０（識別図柄群８０ｇ）の変動開始から、当否判定結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出、いわゆる一変動中分の演出をいう）は開始されているものの、当否判定結果の報知は完了していない情報（以下、変動中保留情報と称することもある）に対応する変動中保留図柄７１（いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄）と、当否判定結果を報知する報知演出が開始されていない情報（以下、変動前保留情報と称することもある）に対応する変動前保留図柄７２が表示される（図２参照）。本実施形態では、変動中保留図柄７１と変動前保留図柄７２の基本的な形態は同じであり、両者を区別するために変動中保留図柄７１の方が変動前保留図柄７２よりも大きく表示される。変動中保留図柄７１と変動前保留図柄７２の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。また、変動中保留図柄７１が表示されない構成としてもよい。なお、変動前保留図柄７２に対応する当否判定結果の報知が完了する順番（いわゆる保留「消化順」）は、右に位置するものほど早い。

【0015】

変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域９０４ａに入賞することによって得られる第一変動前保留情報（特図１保留）の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域９０４ｂに入賞することによって得られる第二変動前保留情報（特図２保留）の最大の記憶数は四つである。したがって、特図１および特図２の一方に相当する保留図柄７０に関していえば、一つの変動中保留図柄７１と、最大四つの変動前保留図柄７２が表示されることがある（図２参照）。

【0016】

本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置９１の表示領域９１１に表示される識別図柄８０（図２参照）の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄８０を含む識別図柄群８０ｇ（左識別図柄群８０ｇＬ、中識別図柄群８０ｇＣ、右識別図柄群８０ｇＲ）が変動を開始し、最終的に各識別図柄群８０ｇから一の識別図柄８０が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群８０ｇから選択されて停止した識別図柄８０の組み合わせは所定の組み合わせ（例えば、同じ識別図柄８０の三つ揃い）となる。はずれである場合にはそれ以外（大当たりとなる組み合わせ以外）の組み合わせとなる。識別図柄８０は、数字とキャラクタ等が組み合わされたものとしてもよい。

【0017】

本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態が設定されている。特別遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域９０４に遊技球が入賞しにくい低ベース状態（低確率・時短無）である。特別遊技状態としては、第一特別遊技状態と第二特別遊技状態が設定されている。第一特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が高い高確率遊技状態であり、かつ、始動領域９０４に遊技球が入賞しやすい高ベース状態（高確率・時短有）である。第二特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域９０４に遊技球が入賞しやすい高ベース状態（低確率・時短有）である。通常遊技状態においては、遊技者は、第一始動領域９０４ａを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「左打ち」を行う。特別遊技状態は、第二始動領域９０４ｂを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「右打ち」を行う。特別遊技状態は、普通始動領域９０５に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域９０４ｂの開放抽選に当選しやすい状態であるため、比較的容易に第二始動領域９０４ｂに遊技球が入賞する。なお、遊技状態の移行に関する設定はどのようなものであってもよいから説明を省略する。また、上記のような遊技状態が設定されていることはあくまで一例である。

【0018】

２）操作演出
以下、本実施形態にかかる遊技機１が実行可能な操作演出について説明する。なお、以下の説明において、単に画像というときは、動画および静止画の両方を含むものとする。操作演出は、遊技者に対して操作手段１０（以下、単に操作手段１０というときは、図１に示される第一操作手段１１のことをいうものとする）の操作が促される演出である。操作手段１０は遊技者が操作可能なものであればよい。本実施形態における操作手段１０はいわゆる押しボタンである。

【0019】

本実施形態における操作演出は、導入部分にて、操作が促される対象の操作手段１０を表す画像（操作画像５１）、操作態様を示す画像（指示画像５２）、操作手段１０の操作が演出に反映される操作有効時間の残り（経過）を示す画像（時間画像５３）等が表示される（図３（ａ）参照）。なお、これらの画像が表示されることはあくまで一例である。これ以外の画像が表示されることがあってもよいし、一部の画像が表示されないものであってもよい。

【0020】

本実施形態では、通常態様の操作演出（図３（ａ）→（ｂ－１））と、特殊態様の操作演出（図３（ａ）→（ｂ－２））とが発生しうる。

【0021】

通常態様の操作演出は、遊技者に対して操作手段１０の操作が促される導入部分（図３（ａ）参照）と、操作有効時間中に操作手段１０の操作がなされることを契機として実行される結果部分（図３（ｂ－１）参照）とを含む。操作有効時間中に操作手段１０の操作がなされなければ結果部分が実行されない構成としてもよいし、操作有効時間中に操作手段１０の操作がなされなくても操作有効時間の経過を契機として結果部分が実行される構成としてもよい。本実施形態における操作演出は、コメント演出である。導入部分にて所定のキャラクタが表示され、結果部分にて当該キャラクタのコメント（セリフ）が表示される。コメントの内容や文字の色や大きさ等（結果画像６０の態様）にて変動中保留情報に対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性（大当たり信頼度）が示唆される。すなわち、結果画像６０として表示されうる複数種の画像が設定されており、そのうちいずれの画像が結果画像６０として実際に表示されるかに応じ変動中保留情報に対応する当否判定結果の大当たり信頼度が示唆される。ただし、結果部分（結果画像６０）は、当否判定結果が大当たりであるか否かを明確に示すものではない。また、結果部分として実行される演出は表示領域９１１に画像が表示されることに限られない。遊技者の感覚により把握可能な演出要素が出力されるものであればよい。例えば、スピーカから出力される演出音の態様により変動中保留情報に対応する当否判定結果の大当たり信頼度が示唆されるものとしてもよい。

【0022】

特殊態様の操作演出は、通常態様の操作演出にて発生することに加え、以下で説明する事象（以下、付加事象と称することもある）が発生するもの（通常態様＋α）である。導入部分にて操作手段１０の操作が促されるまでは通常態様と同じである（図３（ａ）参照））。操作有効時間中に操作手段１０が操作された場合、それを契機として上述した結果部分が実行されるだけでなく、付加事象が実行される（図３（ｂ－２）参照）。これが特殊態様の操作演出である。なお、裏を返せば、上記通常態様の操作演出は、操作有効時間中における操作手段１０の操作を契機として付加事象が発生しないものであるということができる。本実施形態における付加事象は、操作手段１０が振動することである。具体的には、操作手段１０には少なくとも遊技者が触れる部分を振動させる振動装置２０（振動装置２０それ自体は公知であるから具体的な構造の説明は省略する）が設けられており、付加事象として当該振動装置２０が駆動することで操作手段１０が振動することが設定されている。付加事象が発生する契機は操作手段１０の操作であるのである（操作手段１０の操作が検出されるとすぐに付加事象が発生する）から、振動装置２０による振動は遊技者に伝わることになる。

【0023】

操作演出が特殊態様となるか否かは、変動中保留情報に対応する当否判定結果の大当たり信頼度を示唆するものではなく、変動前保留情報のうちのいずれかに対応する当否判定結果の大当たり信頼度を示唆するものとされる。本実施形態では、特殊態様の操作演出が発生した場合、一または複数の変動前保留情報（対象の変動前保留情報）のうちのいずれかに対応する当否判定結果が大当たりとなることが確定するように設定されている（図３（ｂ－２）参照）。ただし、これはあくまで一例である。特殊態様の操作演出が発生した場合の方が、発生しなかった場合に比して、対象の変動前保留情報のうちのいずれかが大当たりとなる蓋然性が高いということに留まる（大当たり確定ではなく、いわゆる「チャンスアップ」に留まる）設定としてもよい。なお、対象の変動前保留情報のうちのいずれかに対応する当否判定結果が大当たりとなるものである場合であっても、特殊態様の操作演出が発生しないことがある設定としてもよい。

【0024】

一または複数の変動前保留情報についての大当たり信頼度を示唆するものであるということは、付加事象の発生は、いわば「先読み演出」の一種であるということができる。すなわち、特殊態様の操作演出は、操作手段１０の操作を契機として、いわゆる「当該変動」の大当たり信頼度示唆を行うだけでなく、先読み機能を発現するものであるともいえる。なお、「対象の変動前保留情報」は、操作演出の結果部分にて大当たり信頼度が示唆される対象の報知演出が開始される時点において記憶手段に記憶されている一または複数の変動前保留情報が該当する。

【0025】

本実施形態では、操作演出が特殊態様となることは、変動中保留情報に対応する当否判定結果が大当たりとなる場合には発生しないようにされている。つまり、操作演出が特殊態様となるのは、あくまで変動中保留情報に対応する当否判定結果がはずれとなる場合に限定されている。対象の変動前保留情報のうちのいずれかが大当たりとなる場合であっても、それよりも前に当否判定結果が大当たりとなって大当たり遊技が実行されることになるから、特殊態様を発生させて先読み機能を発現させる意義が小さいといえる。また、操作演出の結果部分は「はずれ」に対応する内容、すなわち低信頼度の内容になる蓋然性が高い。そうすると、操作演出の特殊態様は、低信頼度の結果部分とともに付加事象（チャンスアップを示す事象）が発生する（信頼度の面において相反する事象が同時に発生する）という斬新な態様が多くなる。

【0026】

また、本実施形態では、操作演出を特殊態様とすることが事前に（内部的に）決定されていた場合であっても、操作有効時間中に操作手段１０の操作がなされなければ、付加事象が発生しないように制御される。つまり、付加事象が発生するのは、操作有効時間中に操作手段１０が操作された場合に限られる。したがって、操作演出を特殊態様とすることが事前に（内部的に）決定されていた場合に操作有効時間中に操作手段１０の操作がなされなければ、結果部分は実行されるものの、付加事象は発生しないことになる。

【0027】

このように、本実施形態にかかる遊技機１の操作演出は、操作手段１０の操作を契機として、変動中保留情報に対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が示唆されるだけでなく、一または複数の変動前保留情報（対象の変動前保留情報）のうちのいずれかに対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が示唆される特殊態様が発生する場合があるから、操作演出における遊技者の操作意欲を向上させることが可能である。

【0028】

特に、本実施形態では、操作有効時間中に操作手段１０の操作がなされなければ付加事象が発生することはない（操作有効時間中に操作手段１０を操作しなければ付加事象に接することができない）のであるから、操作演出における遊技者の操作意欲をさらに向上させることが可能であるといえる。

【0029】

また、本実施形態における操作演出の特殊態様（付加事象）は、操作手段１０の操作を契機として当該操作手段１０が振動するものであるため、特殊態様（付加事象）の発生に遊技者が気付かない蓋然性は極めて低い。

【0030】

以下、上記操作演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。

【0031】

〇第一具体例
付加事象（特殊態様）として発生するものは、操作手段１０の振動に限られない。例えば、保留図柄７０（変動前保留図柄７２）の態様が変化することが付加事象として設定された構成とすることが考えられる。上述した通り、特殊態様は、一または複数の変動前保留情報のうちのいずれかに対応する当否判定結果の大当たり信頼度を示唆するものである。よって、当該一または複数の変動前保留情報の存在を示す変動前保留図柄７２の態様を変化（変化前図柄７０ａから変化後図柄７０ｂに変化）させ、当該態様が変化した変動前保留図柄７２に対応する当否判定結果について大当たりとなることに期待がもてることを示す（図４参照）。

【0032】

上記実施形態のように、操作手段１０が振動する付加事象であると、当該振動が何を示唆しているのか分からないというおそれがある。本例のように、保留図柄７０（変動前保留図柄７２）の態様が変化するようにすることで、特殊態様（付加事象）の対象が明確になるという利点がある。

【0033】

付加事象として発生する保留図柄７０（変動前保留図柄７２）の態様の変化は、付加事象としてのみ発生しうるような設定としてもよい。すなわち、変化後図柄７０ｂの態様は、通常の保留変化演出の結果として表示されることがない設定とする。換言すれば、変化後図柄７０ｂの態様は、「特殊態様（付加事象）専用」の態様とする。このようにすることで、付加事象として発生した保留図柄７０（変動前保留図柄７２）の態様の変化が、通常の保留変化演出として捉えられる蓋然性が低くなる。つまり、操作手段１０が操作された結果として保留図柄７０（変動前保留図柄７２）の態様が変化したと遊技者が認識する蓋然性が高まるため、操作演出にて操作手段１０を操作しようとする操作意欲の向上に資する。

【0034】

〇第二具体例
上記実施形態における操作演出の特殊態様は、操作手段１０の操作が検出されるとすぐに（操作が検出されると同時に）付加事象が発生することを説明したが、操作手段１０の操作が検出された時点から所定時間経過した後に付加事象が発生するという構成としてもよい。

【0035】

〇第三具体例
付加事象として発生する事象の態様は一定でなくてもよい。例えば、操作手段１０が振動する時間の長さが異なる第一事象（最も短い）、第二事象、第三事象（最も長い）の三種類のうちのいずれかが付加事象として発生しうる設定とする。そして、付加事象として第一事象が発生した場合よりも第二事象が発生した場合の方が、また、第二事象が発生した場合よりも第三事象が発生した場合の方が、対象の変動前保留情報のうちのいずれかが大当たりとなる蓋然性が高くなる設定とする。つまり、付加事象の内容（種類）に応じ、対象の変動前保留情報のうちのいずれかが大当たりとなる蓋然性が異なるものとする。このようにすることで、付加事象が発生するかどうか（特定態様となるかどうか）だけでなく、付加事象が発生する場合にはその内容（種類）にも注目すべき遊技性を実現することができる。

【0036】

〇第四具体例
操作演出の結果部分の内容（種類）によっては、付加事象が発生しないものとする。例えば、操作演出の結果部分として発生しうる候補演出として、第一結果（演出）～第四結果（演出）の四種類が設定されているものとする。第一結果、第二結果、第三結果、第四結果（最も高い）の順で、変動中保留情報に対応する当否判定結果の大当たり信頼度が高くなるものとする（図５（ａ）参照）。つまり、操作演出は、基本的には、結果部分として第一結果～第四結果のいずれが実行されるかにより、「当該変動」の大当たり信頼度が示唆されるものとする。

【0037】

これを前提とし、結果部分として実行される候補演出（第一結果～第四結果）のうちの一部が発生する場合は、付加事象が発生しないものとする。具体的には、候補演出のうち、大当たり信頼度が低いほうから数えて一または複数の演出が結果部分として実行される場合には付加事象が発生する可能性があるものの、それ以外の演出が結果部分として実行される場合には付加事象が発生しないようにされる。例えば、操作演出の結果部分が第一結果となる場合には付加事象が発生する可能性がある（図５（ｂ）参照）ものの、操作演出の結果部分が第二結果～第四結果のいずれかとなる場合には付加事象が発生することがない（図５（ｃ）参照）設定とする。

【0038】

操作演出にて大当たり信頼度が低い結果が発生すると、遊技者は操作手段１０を操作する意味がないのではないかと考えるおそれがある。すなわち、このような状況が操作意欲の減衰を招く。よって、大当たり信頼度が低い一または複数の結果のうちのいずれかが発生する場合に限り、特殊な事象（付加事象）が発生しうるようにして操作手段１０を操作することに意味をもたせる。

【0039】

結果部分として実行される蓋然性の高低に応じ候補演出を区分けしてもよい。例えば、第一結果、第二結果、第三結果、第四結果（最も低い）の順で、結果部分として実行される蓋然性（発生頻度）が低くなるものとする。すなわち、操作演出にて操作手段１０が操作した結果として発生する確率は、第一結果が最も高く、第四結果が最も低い設定であるとする。そして、候補演出のうち、発生頻度が高いほうから数えて一または複数の演出が結果部分として実行される場合には付加事象が発生する可能性があるものの、それ以外の演出が結果部分として実行される場合には付加事象が発生しないようにされる。例えば、操作演出の結果部分が第一結果および第二結果となる場合には付加事象が発生する可能性があるものの、操作演出の結果部分が第三結果および第四結果のいずれかとなる場合には付加事象が発生することがない設定とする。

【0040】

発生頻度が高いほど、遊技者が演出として接する頻度が多くなって「またこの演出か」と遊技者が感じてしまうおそれがあり、このような状況の発生が操作意欲の減衰を招く。よって、発生頻度が高い一または複数の結果のうちのいずれかが発生する場合に限り、特殊な事象（付加事象）が発生しうるようにして操作手段１０を操作することに意味をもたせる。

【0041】

〇第五具体例
操作手段１０として、複数種の操作手段１０を備えるものとする。例えば、第一操作手段１１と第二操作手段１２を備えるものとする（図１参照）。なお、構造物として同じであっても、その操作方法（操作されたときの動き）が異なるものは、操作手段１０の種類が異なるものとする。

【0042】

操作演出として、第一操作手段１１の操作が促される第一操作演出（図６（ａ－１）参照）と、第二操作手段１２の操作が促される第二操作演出（図６（ｂ－１）参照）が発生するものとする。第一操作演出が発生した場合よりも、第二操作演出が発生した場合の方が、変動中保留情報に対応する当否判定結果の大当たり信頼度が高い（大当たり信頼度が高い結果部分が実行されやすい）設定であるとする。すなわち、第二操作演出は、いわゆる「チャンスアップ」の操作演出であるとする。第一操作演出と第二操作演出は、操作手段１０の操作が促される時点（操作手段１０の種類が示される時点）までの態様が同じである（操作演出用に表示される画像の態様が同じであるということであって、それ以外の画像（例えば識別図柄８０）の態様が同じとなることまでを要するものではない）ことが好ましい。また、第一操作演出が発生する蓋然性（頻度）よりも、第二操作演出が発生する蓋然性（頻度）の方が低く設定される。すなわち、第二操作演出の方が「レア」な演出とされる。

【0043】

そして、第一操作演出については特殊態様となる（付加事象が発生する）可能性がある（図６（ａ－２）参照）ものの、第二操作演出については特殊態様となる（付加事象が発生する）可能性がない（図６（ｂ－２）参照）設定とする。第二操作演出は、いわゆる「チャンスアップ」の操作演出であり、遊技者の操作意欲は第一操作演出発生時よりも大きいであろうから、第二操作演出を特殊態様とする必要はないとする。すなわち、「チャンスアップ」ではない、通常（デフォルト）の操作演出である第一操作演出にて付加事象が発生するようにする。なお、第二操作手段１２は、振動した状態となることが可能なものであるとする。第二操作演出について特殊態様（付加事象が発生する）となる可能性がないとは、対象の変動前保留情報に対応する当否判定結果の大当たり信頼度が高まったことを示す事象として発生する可能性がないという意味であって、一般的な操作演出、すなわち変動中保留情報に対応する当否判定結果の大当たり信頼度を示唆する演出として第二操作手段１２の操作が促される操作演出は発生する可能性があり、操作された結果として第二操作手段１２が振動することがあってもよい。つまり、本例は、第二操作演出にて第二操作手段１２を振動させること（付加事象を発生させること）ができるにも拘わらず、変動前保留情報に対応する当否判定結果の大当たり信頼度が高まったことを示す事象としては敢えて第二操作手段１２の振動が発生しないようにするというものである。

【0044】

〇第六具体例
操作演出が特殊態様となること（付加事象の発生）により大当たり信頼度が示唆される対象となる変動前保留情報が、特定の変動前保留情報に限定されている構成とする。例えば、操作演出が実行されているときの変動中保留情報の次に当否判定結果が報知される変動前保留情報（いわゆる「消化順」が最も早い変動前保留情報（対象図柄７２Ｔに対応する変動前保留情報））が、操作演出が特殊態様となることによって大当たり信頼度が示唆される対象と決められた設定とする（図７参照）。

【0045】

上記実施形態では、複数の変動前保留情報が存在する場合、操作演出が特殊態様となることによって大当たり信頼度が示唆される（上記実施形態では大当たり確定となる）対象の変動前保留情報がいずれであるか分からない。本例のようにすれば、大当たり信頼度が示唆される対象の変動前保留情報を把握することが可能（数回特殊態様の操作演出に接することで把握することが可能）となる。

【0046】

３）以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

【0047】

４）上記実施形態から得られる具体的手段（遊技機）を以下に列挙する。

【0048】

・手段１
遊技者が操作可能な操作手段と、当否判定に関する情報であって、既に当否判定結果を報知する演出が開始されているものに対応する変動中保留情報、および未だ当否判定結果を報知する演出が開始されていないものに対応する一または複数の変動前保留情報を記憶する記憶手段と、遊技者に対して前記操作手段の操作を促す演出であって、前記変動中保留情報に対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する操作演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記操作演出として、前記操作手段が操作されたことを契機として前記変動中保留情報に対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性が示唆されることに加え、一または複数の前記変動前保留情報のうちのいずれかに対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性が示唆される特殊態様が発生しうることを特徴とする遊技機。
上記遊技機は、操作手段の操作を契機として、変動中保留情報に対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性示唆されるだけでなく、一または複数の変動前保留情報のうちのいずれかに対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性が示唆される特殊態様が発生する場合があるから、操作演出における操作手段の操作意欲を向上させることが可能である。

【0049】

・手段２
前記特殊態様は、前記変動中保留情報に対応する当否判定結果が当たりとなる場合には発生しないことを特徴とする手段１に記載の遊技機。
変動中保留情報に対応する当否判定結果が当たりとなる場合、一または複数の変動前保留情報に対応する当否判定結果の報知がなされるよりも前に当たり遊技が実行されることになるから、特殊態様による示唆を行う必要性があまりないといえる。

【0050】

・手段３
前記操作手段を振動させる振動装置を備え、前記特殊態様は、前記振動装置による前記操作手段の振動が発生することで、一または複数の前記変動前保留情報のうちのいずれかに対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高まったことが示唆されるものであることを特徴とする手段１または手段２に記載の遊技機。
このようにすることで、特殊態様が発生したことに遊技者が気付かない状況となってしまうおそれを低減することが可能である。

【0051】

・手段４
一または複数の前記変動前保留情報の存在を示す保留図柄が表示されるものであり、前記特殊態様は、一または複数の前記保留図柄のうちのいずれかの態様が変化することで、当該態様が変化した保留図柄に対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高まったことが示唆されるものであることを特徴とする手段１または手段２に記載の遊技機。
このようにすることで、特殊態様により当たりとなる蓋然性が高まったことが示唆される対象の変動前保留情報が明確になる。

【符号の説明】

【0052】

１ 遊技機
１０ 操作手段
２０ 振動装置
７０ 保留図柄
８０ 識別図柄
９１ 表示装置
９１１ 表示領域

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】