(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
(21)【出願番号】P 2021026721
(22)【出願日】2021-02-22
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】原 一功
(72)【発明者】
【氏名】野田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】加治佐 隆恭
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-17554(JP,A)
【文献】特開2020-151386(JP,A)
【文献】特開2002-368374(JP,A)
【文献】特許第2816322(JP,B2)
【文献】特許第5606407(JP,B2)
【文献】特許第6353250(JP,B2)
【文献】実開昭63-24832(JP,U)
【文献】特許第5001449(JP,B1)
【文献】特開2011-193939(JP,A)
【文献】特許第6142189(JP,B1)
【文献】特許第3967840(JP,B2)
【文献】特開2006-68252(JP,A)
【文献】特許第3976974(JP,B2)
【文献】特許第6724642(JP,B2)
【文献】特開2018-157166(JP,A)
【文献】特開平5-67872(JP,A)
【文献】特開2012-95879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に関する制御を行う制御基板に、2列に並んだ複数の
接続部を有する実装部品が実装された遊技機において、
前記実装部品の前記接続部を1つずつ半田付け可能な特別導体部を2列に並べて備え、
各前記特別導体部は、第1の前記実装部品の前記
接続部を半田付け可能な第1実装領域と、前記第1の前記実装部品よりも前記
接続部の列
同士の間隔が大きい第2の前記実装部品を半田付け可能な第2実装領域と、を、
前記特別導体部の列と直交する方向で並べて有する遊技機。
【請求項2】
前記特別導体部における前記第1実装領域と前記第2実装領域とは、レジストを挟んで分離されている請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第1の前記実装部品は、
第1のICソケットであり、
前記第2の前記実装部品は、
第2のICソケットが実装された特別基板である請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記第1実装領域に前記第1のICソケットが実装されている一方、
前記第2実装領域には何も実装されていない請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記第2実装領域に前記特別基板が実装される一方、
前記第1実装領域には何も実装されていない請求項3に記載の遊技機。
【請求項6】
前記
第1及び第2のICソケットにはROMが装着される請求項
3から5の何れか1の請求項に記載の遊技機。
【請求項7】
前記特別導体部は、前記実装部品を表面実装するためのパッドである請求項1から6の何れか1の請求項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技を制御する制御基板を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機として、制御基板に実装部品が実装されているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-095879号公報(段落[0032]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の遊技機においては、複数種類の実装部品を適用可能な制御基板の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の遊技機は、遊技に関する制御を行う制御基板に、2列に並んだ複数の接続部を有する実装部品が実装された遊技機において、前記実装部品の前記接続部を1つずつ半田付け可能な特別導体部を2列に並べて備え、各前記特別導体部は、第1の前記実装部品の前記接続部を半田付け可能な第1実装領域と、前記第1の前記実装部品よりも前記接続部の列同士の間隔が大きい第2の前記実装部品を半田付け可能な第2実装領域と、を、前記特別導体部の列と直交する方向で並べて有する遊技機である。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る遊技機によれば、1つの制御基板に複数種類の実装部品を適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】ROMソケットを実装したROMソケット実装部の平面図
【
図5】制御基板に実装したROMソケットの側断面図
【
図7】(A)変換基盤の斜視図 (B)変換基盤の底面図
【
図9】制御基板にROMソケットが固定された変換基盤の側断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図7を参照して、本開示の第1実施形態に係る遊技機10について説明する。
図1に示すように、本実施形態の遊技機10はパチンコ遊技機であって、前側が前面枠10Zにて覆われており、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して遊技盤11の遊技領域R1が視認可能になっている。ガラス窓10Wの上方には、両角部にスピーカ25Sが備えられている。以下の説明において、遊技機10のうち遊技者に近い側を「前側」、その反対側を「後側」といい、遊技機10のうち、その前側から対峙した遊技者にとっての「右側」及び「左側」を単に「右側」及び「左側」ということとする。
【0009】
前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26と下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側には操作ハンドル28が設けられている。操作ハンドル28を回動操作すると、上皿26に収容された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。
【0010】
遊技領域R1は、遊技盤11の前面から突出したガイドレール12に四方を囲まれることで形成されている。遊技領域R1の中央には、遊技盤表示窓11Hが貫通形成されており、その遊技盤表示窓11Hに遊技盤11の裏面側から表示装置13が対向している。表示装置13は、例えば、液晶モジュールで構成され、その前面が遊技に関する演出を行う表示画面13Gとなっている。表示画面13Gには、遊技に関する種々の演出が表示される。また、遊技に関する種々の演出に応じて、スピーカ25Sから音楽や効果音等の音声が発生されると共に、図示しない役物に搭載された役物装飾ランプ等が点灯する。
【0011】
遊技盤11の前面中央には、表示画面13Gを囲むように表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技盤11の前面側から遊技盤表示窓11Hに嵌め込まれて、遊技盤表示窓11Hの内側に張り出すと共に、遊技盤11の前面から突出している。そして、遊技領域R1を流下する遊技球が、表示装飾枠23の前側を通過して表示装飾枠23の内側に進入しないように構成されている。
【0012】
遊技領域R1のうち表示装置13の下方には、第1と第2の始動入賞口14A,14B、大入賞口15が、上から順に間隔を開けて並べて設けられている。また、これら入賞口14A,14B,15を挟む左右の両側には、ガイドレール12に沿って一般入賞口20が複数設けられている。各入賞口14A,14B,15,20の何れにも入賞しなかった遊技球は、遊技領域R1の下端に配置されたアウト口16に全て取り込まれる。また、表示装置13の左側には、始動ゲート18が設けられている。また、遊技領域R1には多数の障害釘が植設されている。
【0013】
一般入賞口20は、所謂、ポケット構造をなし、遊技球が丁度1つ入球可能な大きさで上方に開口している。一般入賞口20に遊技球が入賞すると、所定数の遊技球が賞球として付与される。
【0014】
始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなしている。そして、遊技球が始動ゲート18を通過すると、普通図柄当否判定が行われ、普通図柄表示部(図示せず)にて判定結果が表示される。
【0015】
第1と第2の始動入賞口14A,14Bは、共に遊技盤11から突出した部材の上面に開口を備えたポケット構造をなしている。上側に配置された第1の始動入賞口14Aは、遊技球が1つだけ入る開口幅を有している。下側に配置された第2の始動入賞口14Bは、第1の始動入賞口14Aの真下に配置され、その開口の左右両側には可動翼片14Cが備えられている。これら両可動翼片14Cは、常には起立状態になっており、第2の始動入賞口14Bの上方空間は、常には、第1の始動入賞口14Aを構成する部材と可動翼片14Cとで囲まれて、遊技球が入らないようになっている(
図1に示す状態)。そして、上述した普通図柄当否判定で当りとなった場合に、可動翼片14Cが所定期間に亘って横に倒される。すると、第2の始動入賞口14Bの上方空間が側方に開放し、第1の始動入賞口14Aの両脇を通過した遊技球が可動翼片14Cに受け止められて第2の始動入賞口14Bに案内されるようになる。
【0016】
各始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞すると、予め定められた所定数の遊技球が賞球として付与されると共に、特別図柄当否判定が行われる。その判定結果は、表示装置13の表示画面13Gにおいて特別図柄13A,13B,13Cの組み合わせで表示される。
【0017】
具体的には、表示画面13Gには、
図1に示すように、通常、3つの左、中、右の特別図柄13A,13B,13Cが横並びに停止表示されている。これら各特別図柄13A,13B,13Cは、例えば、「0」~「11」の数字を表記した複数種類のもので構成されており、通常は、各特別図柄13A,13B,13Cごと、所定の種類のものが停止表示されている。そして、第1及び第2の始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞したときに、これら3つの特別図柄13A,13B,13Cが、上下方向にスクロール表示され、所定時間後に、例えば、左、右、中の順で各特別図柄13A,13B,13Cが停止表示される。そして、判定結果が当り(以下、「大当り」という)の場合には、各特別図柄13A,13B,13Cが全て同じ図柄(ゾロ目)で停止表示され、遊技が「大当り遊技状態」に移行する。これに対し、判定結果が外れの場合には、ゾロ目以外の組み合わせで停止表示され、「大当り遊技状態」ではない通常遊技状態が続く。
【0018】
大入賞口15は、遊技盤11の前面に開放して横長形状をなしており、常には、可動扉15Tにて閉塞されている。そして、上記したように「大当り遊技状態」になると、可動扉15Tが前側に倒れて大入賞口15が開放し、可動扉15Tをガイドにして大入賞口15に遊技球が入賞可能になる。大入賞口15に遊技球が入賞すると、所定数の遊技球が賞球として付与される。
【0019】
図2には、遊技機10の電気的な構成が示されている。同図において、符号50は、主制御基板50であって、CPU50A、RAM50B、ROM50C及び複数のカウンタを備えたマイクロコンピュータと、このマイクロコンピュータとサブ制御基板52を結ぶ入出力回路を備えると共に、第1始動入賞センサ、第2始動入賞センサ、ゲートセンサ、一般入賞センサ、大入賞センサ等が接続された中継回路、及び、操作ハンドル28のタッチセンサや払い出される賞球を検出する払出センサ等が接続された払出制御基板、と接続される入出力回路も備え、遊技に関わる主制御を行う。CPU50Aは、当否判定部、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグ等を備え、演算制御を行う他、特図判定や普図判定に関する乱数等も生成し、制御信号をサブ制御基板52等へ出力(送信)可能に構成されている。RAM50Bは、CPU50Aで生成される各種乱数値用の記憶領域、各種データを一時的に記憶する記憶領域やフラグ、CPU50Aの作業領域を備える。ROM50Cには、制御データ、特別図柄及び普通図柄の変動表示に関する図柄変動データ等が書き込まれている。
【0020】
サブ制御基板52は、主制御基板50と同様に、CPU52A、RAM52B、ROM52C及び複数のカウンタを備えたマイクロコンピュータと、このマイクロコンピュータと主制御基板50を結ぶ入出力回路と、表示制御基板54、音声制御基板55、ランプ制御基板56等を結ぶ入出力回路を備えている。CPU52Aは、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグ等を備え、演算制御を行う他、制御信号を表示制御基板54、音声制御基板55、ランプ制御基板56等へ出力(送信)可能に構成されている。RAM52Bは、各種データの記憶領域とCPU52Aによる作業領域を有している。ROM52Cには、各種演出のデータ等が記憶されている。
【0021】
表示制御基板54は、表示装置13に設けられていて、CPU、RAM及びROMを有している。表示制御基板54のCPUは、サブ制御基板52から出力される制御信号に基づき、画像データをROMから取得し、その画像データに基づいて表示画面13Gに画像を表示する。
【0022】
音声制御基板55は、スピーカ25Sに接続され、サブ制御基板52から出力される制御信号から出力された音声の制御信号を中継するための基板である。
【0023】
ランプ制御基板56は、役物に搭載された役物装飾ランプ等のランプに接続され、サブ制御基板52から出力されたランプの制御信号を中継するための基板である。
【0024】
なお、主制御基板50及びサブ制御基板52、その他の基板(払出制御基板等)は、電源基板57からの電源供給を受けて作動する。
【0025】
図3には、サブ制御基板52の一部が示されている。サブ制御基板52は、矩形状の配線基板であり、表面に、上述したCPU52A、RAM52B、ROM52C等の実装部品が実装されている。各種実装部品のうちROM52Cは、ROMソケット70を介してサブ制御基板52に接続されている。以下、ROMソケット70と、ROMソケット70を実装するためにサブ制御基板52に設けられたROMソケット実装部60について詳細を説明する。
【0026】
図4に示すように、ROMソケット70は、本体部71と、複数の端子72とを備える。具体的には、本体部71は、その中央に長手方向に沿って延びる凹部71Aを有する、所謂、溝状であって、凹部71Aを挟んだ両側には突部71B,71Bが設けられる。突部71B,71Bの上面の中央は、長手方向に延びて開口し、ROM52Cの下面から下方に延びる端子ピン52Caを受容する受容部71Cとなっている。受容部71C内には、端子ピン52Caに接続される接続端子71C1が複数配されている(
図5参照)。本体部71の長辺部で、突部71Bの外側の側面71D,71Dからは、複数の端子72が突出している。端子72は、所謂、L字形状であり、側面71Dの上下方向の途中から、側面71Dに沿って下方に向かって垂直に延びる垂直部72Aと、垂直部72Aの下端から屈曲して、サブ制御基板52の上面に沿って本体部71から離れる方向に真っ直ぐ延びる直線部72Bとを有する。この端子72は、本体部の両側面71D,71Dに、同数ずつ(本実施形態ではそれぞれ5個ずつ)、対称的に配されている。つまり、本実施形態では、ROMソケット70は、複数の端子72を2列に並べて有している。
【0027】
サブ制御基板52に設けられたROMソケット実装部60は、ROMソケット70の2列の端子72列に対応して配置された複数の特別パッド80を有している。具体的には、複数の特別パッド80は、全て同一サイズの長方形であって、中央に一定の間隔をあけて2列が平行に並んで配置される。そして、ROMソケット70をサブ制御基板52に実装したときに、ROMソケット70の両側面から側方に突出する複数の端子72のそれぞれの直線部72Bの下面と、複数の特別パッド80とが当接する。
図5に示されるように、特別パッド80にROMソケット70の端子72(詳細には、端子72の直線部72Bの下面)が半田付けされることでROMソケット70がサブ制御基板52に表面実装されている。
【0028】
ここで、本実施形態では、特別パッド80に、第1実装領域80Aと第2実装領域80Bとが備えられている。具体的には、サブ制御基板52の表面にはレジスト52Rが塗布され、サブ制御基板52の略全域が覆われている。
図6に示すように、このレジスト52Rは、長方形の特別パッド80を長辺方向で2分割するように、特別パッド80の表面にも直線状に塗られ(
図5参照)、直線状のレジスト52Rを挟んで特別パッド80を第1実装領域80Aと第2実装領域80Bとに分離している。第1実装領域80Aと第2実装領域80Bとは、どちらも長方形であって、第1実装領域80Aの方が、第2実装領域80Bよりも長辺が長くなっている。特別パッド80は、一定の間隔をあけて2列に並んでおり、それぞれの特別パッド80列の内側同士に第1実装領域80Aが配され、外側同士に第2実装領域80Bが配されている。つまり、2列に並んだ特別パッド80の第1実装領域80Aと第2実装領域80Bとは、2列の間の隙間を挟んで対称となるように設けられている。
【0029】
本実施形態のROMソケット70は、特別パッド80のうち、第1実装領域80Aに実装されている。
図5に示されるように、特別パッド80の第1実装領域80Aは、ROMソケット70の複数の端子72をサブ制御基板52に固定するときに、複数の端子72のそれぞれが当接する位置に設けられている。この第1実装領域80Aに、ROMソケット70の複数の端子70の直線部72Bの下面を半田付けして、ROMソケット70がサブ制御基板52に実装されている。
【0030】
本実施形態の遊技機10の構成は以上である。次に、遊技機10の作用効果について説明する。遊技機10では、サブ制御基板52に、ROMソケット70を介してROM52Cが接続されている。ROMソケット70は、サブ制御基板52に半田付けによって実装されているが、ROM52Cは、ROMソケット70に着脱可能に取り付けられているので、ROM52Cと端子の数や配置が同じであれば、ROMソケット70のROM52Cを交換することができる。
【0031】
ところで、従来のサブ制御基板においては、メンテナンス等においてROMの仕様変更を行う場合や他機種の開発を行う場合に、端子の数や配置が異なるROMを利用しようとすると、異なる種類のROMソケットや、ROMソケットの端子の配置を変換するための変換基板が必要になり、ROMソケット実装部をそのまま利用することができず、サブ制御基板を新たに設計し直す必要があった。
【0032】
詳細には、ROMソケット70とは端子の配置が異なる別のROMソケット90をサブ制御基板52に実装するには、別のROMソケット90を直接実装する他に、
図7(A)に示すように、変換基板100の表面に設けられた図示されていないパッドに、別のROMソケット90の複数の端子91を半田付けし、変換基板100をサブ制御基板52に実装することが考えられる。
図7(B)に示すように、変換基板100の裏面(即ち、別のROMソケット90が取り付けられた面と反対側の面)には、2列に並んだ複数のパッド100Aが設けられ、この複数のパッド100Aと、サブ制御基板52の特別パッド80とを半田付けすることで、別のROMソケット90をサブ制御基板52に接続することができる。
【0033】
ところが、
図8に示すように、サブ制御基板52の従来のパッド180は、ROMソケット70の複数の端子72に対応する位置に設けられていた。ROMソケット70の2列の複数の端子72の間の幅よりも、変換基板100の2列の複数のパッド100Aの間の幅の方が広いため、変換基板100をサブ制御基板52に固定することができず、サブ制御基板52にROMソケット70を実装することはできたが、変換基板100を介して別のROMソケット90を実装することはできなかった。また、変換基板100のパッド100Aを中央側に寄せて配置し、従来のパッド180に実装することも考えられるが、不安定になり、外れやすくなるという問題があった。
【0034】
これに対して、本実施形態の遊技機10によれば、
図6に示すように、ROMソケット実装部60の複数の特別パッド80には、第1実装領域80Aと第2実装領域80Bとが備えられている。第1実装領域80Aは、ROMソケット70の複数の端子72に対応する位置に設けられ、第2実装領域80Bは、変換基板100の複数のパッド100Aに対応する位置に設けられているので、サブ制御基板52に、ROMソケット70を取り付けることも、変換基板100(即ち、別のROMソケット90)を取り付けることも可能となる。
【0035】
具体的には、
図9に示すように、ROMソケット90は、本体部91の中央に凹部91Aを有する直方体の箱型であり(
図7(A)参照)、凹部91Aを挟んだ両側に設けられた側壁部91B,91Bの上面の中央が開口し、ROM152Cの下面から下方に延びる端子ピン152Caを受容する受容部91Cとなっている。受容部91C内には、端子ピン152Caに接続される接続端子91C1が複数配されている。本体部91の側壁部91B,91Bの外側の側面91D,91Dからは、所謂、L字形状の複数の端子92が突出し、この複数の端子92の下面が、変換基板100の表面の図示しないパッドに半田付けされている。変換基板100の裏面には、サブ制御基板52の第2実装領域80Bに対応する位置に複数のパッド100Aが設けられている(
図7(B)参照)。この複数のパッド100Aと、サブ制御基板52の第2実装領域80Bとを半田付けすることによって、ROM152CがROMソケット90と変換基板100を介してサブ制御基板52に接続される。
【0036】
このように、本実施形態では、ROMソケット実装部60の複数の特別パッド80が、第1実装領域80Aと第2実装領域80Bとを有しているので、新たにサブ制御基板52を設計し直すことなく、1つのサブ制御基板52に、ROMソケット70も、ROMソケット70とは端子の配置が異なる別のROMソケット90も、どちらも実装することが可能となる。
【0037】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、ROMソケット実装部60として、第1実装領域80Aと第2実装領域80Bとを有する特別パッド80が設けられるのは、サブ制御基板52であったが、主制御基板50、表示制御基板54、音声制御基板55、又はランプ制御基板56等の他の基板に適用してもよい。
【0038】
(2)上記実施形態では、ROMソケット70,別のROMソケット90及び変換基板100は、サブ制御基板52に表面実装されていたが、基板の穴(スルーホール)にリード端子を挿入して半田付けを行う挿入実装であってもよい。
【0039】
(3)上記実施形態では、ROMソケット70と別のROMソケット90は、変換基板を介してサブ制御基板52に実装されていたが、特別パッド80の第2実装領域80Bに対応する位置に端子が設けられたROMソケットの端子を、第2実装領域80Bに半田付けして、サブ制御基板52に、ROMソケット70とは異なるROMソケットが直接実装されてもよい。
【0040】
(4)上記実施形態では、ROMソケット70の端子の数,別のROMソケット90の端子の数及び変換基板100の裏面のパッドの数は、それぞれ合計10個であったが、それ以外の数でもよい。
【0041】
(5)上記実施形態では、ROMソケット70の2列の端子72の間隔と、変換基板100の2列のパッド100Aの間隔が逆であってもよい(即ち、第1実装領域80Aに変換基板100が固定され、第2実装領域80BにROMソケット70が固定されてもよい)。なお、この場合、別のROMソケット90がROMソケット70よりも小さい場合に、変換基板100を必要以上に大きくしなくてもよくなり、コスト低減が図られる。
【0042】
(6)上記実施形態では、サブ制御基板52の特別パッド80の形状が長方形であったが、長方形以外の形状でもよい。
【0043】
(7)上記実施形態では、第1実装領域80Aの方が第2実装領域80Bよりも長辺の長い長方形であったが、第2実装領域80Bの方が第1実装領域80Aよりも長辺の長い長方形であってもよい。
【0044】
(8)上記実施形態では、第1実装領域80Aと第2実装領域80Bの形状が長方形であったが、どちらか一方が長方形で、もう一方が正方形であってもよい。また、それ以外の形状でもよい。
【0045】
(9)上記実施形態では、2列に並ぶ特別パッド80列を有し、2辺に端子72が並ぶROMソケット70、又は、2列に並ぶパッド100Aを有する変換基板100を実装していたが、第1方向で並ぶ2列の特別パッド列と、第1方向と直交する第2方向で並ぶ2列の特別パッド列とを有する構成で、4辺に端子が並ぶROMソケットを実装可能としてもよい。
【0046】
(10)上記実施形態では、サブ制御基板52に、変換基板100を介してROMソケット90を実装していたが、ROMソケット以外のICソケットでもよいし、ICソケットを直接実装する構成でもよい。
【0047】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形し、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【0048】
<付記>
以下、上述した各実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
【0049】
以下の特徴群は、「遊技を制御する制御基板を備えた遊技機」に関し、「特許文献A(特開2012-095879号公報(段落[0032]等)の遊技機のように、制御基板に実装部品が実装されているものが知られている」という背景技術について、「複数種類の実装部品を適用可能な制御基板の開発が求められている」という課題をもってなされたものである。
【0050】
[特徴1]
遊技に関する制御を行う制御基板(サブ制御基板52)に、2列に並んだ複数の端子(端子72)を有する実装部品(ROMソケット70)が実装された遊技機(遊技機10)において、
前記制御基板(サブ制御基板52)は、第1の前記実装部品(ROMソケット70)の前記端子(端子72)を半田付け可能な第1実装領域(第1実装領域80A)と、前記第1の前記実装部品(ROMソケット70)よりも前記端子の列の幅が大きい第2の前記実装部品(変換基板100)を半田付け可能な第2実装領域(第2実装領域80B)と、を横並びに有する特別導体部(特別パッド80)を備える遊技機(遊技機10)。
【0051】
[特徴2]
前記特別導体部(特別パッド80)における前記第1実装領域(第1実装領域80A)と前記第2実装領域(第2実装領域80B)とは、レジスト(レジスト52R)を挟んで分離されている請求項1に記載の遊技機(遊技機10)。
【0052】
[特徴3]
前記第1の前記実装部品は、ICソケット(ROMソケット70)であり、
前記第2の前記実装部品は、ICソケット(別のROMソケット90)が実装された特別基板(変換基板100)である請求項1又は2に記載の遊技機(遊技機10)。
【0053】
[特徴4]
前記第1実装領域(第1実装領域80A)に前記第1のICソケット(ROMソケット70)が実装されている一方、
前記第2実装領域(第2実装領域80B)には何も実装されていない請求項3に記載の遊技機(遊技機10)。
【0054】
[特徴5]
前記第2実装領域(第2実装領域80B)に前記特別基板(変換基板100)が実装される一方、
前記第1実装領域(第1実装領域80A)には何も実装されていない請求項3に記載の遊技機(遊技機10)。
【0055】
[特徴6]
前記ICソケット(ROMソケット70,別のROMソケット90)にはROM(ROM52C,ROM152C)が装着される請求項1から5の何れか1の請求項に記載の遊技機(遊技機10)。
【0056】
[特徴7]
前記特別導体部(特別パッド80)は、前記実装部品(ROMソケット70,変換基板100)を表面実装するためのパッドである請求項1から6の何れか1の請求項に記載の遊技機(遊技機10)。
【符号の説明】
【0057】
10 遊技機
52 サブ制御基板52
70 ROMソケット
72 端子
80 特別パッド
80A 第1実装領域
80B 第2実装領域
100 変換基板
100A パッド