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特許7291448エレクタ装置、覆工体構築システムおよび覆工体の構築方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】エレクタ装置、覆工体構築システムおよび覆工体の構築方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/40 20060101AFI20230608BHJP
   E21D 11/08 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
E21D11/40 B
E21D11/40 C
E21D11/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019227314
(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公開番号】P2021095733
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】木下 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】伊東 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 清志
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠喜
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-107696(JP,A)
【文献】特開2018-131853(JP,A)
【文献】特開2002-115494(JP,A)
【文献】特開平10-238280(JP,A)
【文献】特開平11-294073(JP,A)
【文献】実開平05-077398(JP,U)
【文献】特開平10-196297(JP,A)
【文献】特開2019-065472(JP,A)
【文献】特開平02-088893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/40
E21D 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のシールドフレーム内に設置され、当該シールドフレームの中心軸を中心にして回転可能とされたエレクタリングと、
前記シールドフレームの軸方向に沿って延びるように前記エレクタリングに取り付けられ、前記エレクタリングの回転中心を挟んで相互に対向する位置に配置された一対の支持アームと、
前記支持アームに取り付けられて当該支持アームにより支持されるとともに、前記エレクタリングの回転で旋回し、セグメントを把持して組み付けを行う第1のエレクタと、
前記エレクタリングの回転中心に対して前記第1のエレクタと点対称の位置となるように前記支持アームに取り付けられて当該支持アームにより支持されるとともに、前記エレクタリングの回転で旋回し、セグメントを把持して組み付けを行う第2のエレクタとを有し、
前記第1のエレクタは、
セグメントの中央部を中心に揺動可能に把持する把持部が設けられた吊りビームと、
一対の前記支持アームに固定された一対の筒体と、
前記吊りビームの両端に設けられて前記筒体を貫通した一対のガイドロッド、および前記ガイドロッドを前記筒体の軸方向に摺動させる一対の伸縮ジャッキからなり、前記吊りビームを前記シールドフレームの径方向に往復動させる径方向移動手段とを備え、
前記第2のエレクタは、
セグメントの中央部を中心に揺動可能に把持する把持部が設けられた吊りビームと、
前記第1のエレクタの前記筒体に対して前記シールドフレームの軸方向にずれた位置で一対の前記支持アームに固定された一対の筒体と、
前記吊りビームの両端に設けられて前記筒体を貫通した一対のガイドロッド、および前記ガイドロッドを前記筒体の軸方向に摺動させる一対の伸縮ジャッキからなり、前記吊りビームを前記シールドフレームの径方向に往復動させる径方向移動手段とを備える、
ことを特徴とするエレクタ装置。
【請求項2】
地盤を掘削するカッタヘッドが進行方向先端に回転可能に設置された円筒状のシールドフレーム、および前記シールドフレーム内に設置された請求項1記載のエレクタ装置を備えたシールド掘進機と、
掘削坑の内周面を覆うリング状の覆工体内の下部に形成されたセグメント供給路と、
を有することを特徴とする覆工体構築システム。
【請求項3】
地盤を掘削するカッタヘッドが進行方向先端に回転可能に設置された円筒状のシールドフレーム、および前記シールドフレーム内に設置された請求項1記載のエレクタ装置を備えたシールド掘進機と、
掘削坑の内周面を覆うリング状の覆工体内の下部および上部に形成されたセグメント供給路と、
を有することを特徴とする覆工体構築システム。
【請求項4】
請求項2記載の覆工体構築システムを用い、長辺接合部および前記長辺接合部の両側に突出形成されたV字状の傾斜接合部を備えた六角形セグメントの前記長辺接合部を掘削坑の前後を向けて千鳥状に組み立て、1リングを形成するセグメント数が4の倍数となる覆工体の構築方法であって、
前記エレクタリングを180度回転させながら前記セグメント供給路で供給された前記六角形セグメントを前記第1のエレクタおよび前記第2のエレクタで順次把持して、
前記第1のエレクタによる組み付けと前記第2のエレクタによる組み付けとを同時に行う、
ことを特徴とする覆工体の構築方法。
【請求項5】
請求項3記載の覆工体構築システムを用い、長辺接合部および前記長辺接合部の両側に突出形成されたV字状の傾斜接合部を備えた六角形セグメントの前記長辺接合部を掘削坑の前後を向けて千鳥状に組み立て、1リングを形成するセグメント数が4の倍数となる覆工体の構築方法であって、
下部の前記セグメント供給路で供給された前記六角形セグメントを前記第1のエレクタで把持するとともに上部の前記セグメント供給路で供給された前記六角形セグメントを前記第2のエレクタで把持して、
前記第1のエレクタによる組み付けと前記第2のエレクタによる組み付けとを同時に行う、
ことを特徴とする覆工体の構築方法。
【請求項6】
前記シールド掘進機の掘進に伴い、前記第1のエレクタを支持する支持アームと第2のエレクタを支持する支持アームとは前後方向に往復動する、
ことを特徴とする請求項4または5記載の覆工体の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクタ装置、覆工体構築システムおよび覆工体の構築方法に関し、特に六角形セグメントを掘削坑の周方向に千鳥状に組み立ててリング状の覆工体を構築する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機は、切羽の安定を図りながら切羽に押し当てられたカッタ盤を回転させることにより地山を掘削するとともにその一方で、外部から運び込まれたセグメントを掘削坑の内周に組み付けることによりトンネルを形成する機器である。
【0003】
掘進作業においては、機内の複数のジャッキをセグメント組立体であるリング状の覆工体に押し当て反力を取りながらシールド掘進機を前進させる工程と、シールド掘進機の前進によりシールド掘進機の後部と掘削坑の先端の覆工体との間に生じた隙間にエレクタ装置で新たなセグメントを組み付ける工程とを繰り返すことによりトンネルを形成している。
【0004】
覆工体を構成するセグメントとして、六角形セグメントが知られている。この六角形セグメントは、相互に平行に形成された長辺接合部および長辺接合部の両側に突出形成されたV字状の傾斜接合部を備えた形状を呈しており、矩形セグメントと異なり、全てのセグメント形状は同一である。
【0005】
この六角形セグメントは、切羽側からトンネル後方へ押し込む形(軸挿入式)で設置される。そして、トンネル周方向に対向する六角形セグメントの前後の傾斜接合部同士を交互に千鳥状に接合、連結することによって、切羽に近い凸部と、この凸部から六角形セグメントの半分の幅分窪んだ台形状の凹部を形成し、当該凹部に次の六角形セグメントの前半部を軸挿入して嵌合させながら覆工体を構築していく。
【0006】
なお、六角形セグメントの組み立てについては、例えば特許文献1(特開2002-115494号公報)に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-115494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、セグメント(六角形セグメント)の組み立てには、シールド掘進機のシールドフレーム内に設置されたエレクタ装置が用いられる。エレクタ装置は、回転可能なエレクタリングと、このエレクタリングに配置されたエレクタとを備え、セグメントを把持し、移動させ、所定の位置に設置させるための機構である。一般的に、シールド掘進機にはエレクタが1機設けられている。また、エレクタリングによるエレクタの移動を容易にするために、エレクタの回転中心に対して点対称となる位置に、エレクタの重量分(セグメント重量は含まれない)のカウンタウエイトが設置されて、エレクタとの釣り合いがとられている。
【0009】
エレクタが1機の場合、エレクタはセグメントを設置した後に把持位置(一般的には、エレクタリングの下部)に戻るので、設置するセグメントの数だけ往復する必要がある。
【0010】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、六角形セグメントを用いた覆工体の構築における作業時間の短縮を図ることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明のエレクタ装置は、円筒状のシールドフレーム内に設置され、当該シールドフレームの中心軸を中心にして回転可能とされたエレクタリングと、前記シールドフレームの軸方向に沿って延びるように前記エレクタリングに取り付けられ、前記エレクタリングの回転中心を挟んで相互に対向する位置に配置された一対の支持アームと、前記支持アームに取り付けられて当該支持アームにより支持されるとともに、前記エレクタリングの回転で旋回し、セグメントを把持して組み付けを行う第1のエレクタと、前記エレクタリングの回転中心に対して前記第1のエレクタと点対称の位置となるように前記支持アームに取り付けられて当該支持アームにより支持されるとともに、前記エレクタリングの回転で旋回し、セグメントを把持して組み付けを行う第2のエレクタとを有し、前記第1のエレクタは、セグメントの中央部を中心に揺動可能に把持する把持部が設けられた吊りビームと、一対の前記支持アームに固定された一対の筒体と、前記吊りビームの両端に設けられて前記筒体を貫通した一対のガイドロッド、および前記ガイドロッドを前記筒体の軸方向に摺動させる一対の伸縮ジャッキからなり、前記吊りビームを前記シールドフレームの径方向に往復動させる径方向移動手段とを備え、前記第2のエレクタは、セグメントの中央部を中心に揺動可能に把持する把持部が設けられた吊りビームと、前記第1のエレクタの前記筒体に対して前記シールドフレームの軸方向にずれた位置で一対の前記支持アームに固定された一対の筒体と、前記吊りビームの両端に設けられて前記筒体を貫通した一対のガイドロッド、および前記ガイドロッドを前記筒体の軸方向に摺動させる一対の伸縮ジャッキからなり、前記吊りビームを前記シールドフレームの径方向に往復動させる径方向移動手段とを備える、ことを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するため、請求項2に記載の本発明の覆工体構築システムは、地盤を掘削するカッタヘッドが進行方向先端に回転可能に設置された円筒状のシールドフレーム、および前記シールドフレーム内に設置された請求項1記載のエレクタ装置を備えたシールド掘進機と、掘削坑の内周面を覆うリング状の覆工体内の下部に形成されたセグメント供給路と、を有することを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するため、請求項3に記載の本発明の覆工体構築システムは、地盤を掘削するカッタヘッドが進行方向先端に回転可能に設置された円筒状のシールドフレーム、および前記シールドフレーム内に設置された請求項1記載のエレクタ装置を備えたシールド掘進機と、掘削坑の内周面を覆うリング状の覆工体内の下部および上部に形成されたセグメント供給路と、を有することを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するため、請求項4に記載の本発明の覆工体の構築方法は、請求項2記載の覆工体構築システムを用い、長辺接合部および前記長辺接合部の両側に突出形成されたV字状の傾斜接合部を備えた六角形セグメントの前記長辺接合部を掘削坑の前後を向けて千鳥状に組み立て、1リングを形成するセグメント数が4の倍数となる覆工体の構築方法であって、前記エレクタリングを180度回転させながら前記セグメント供給路で供給された前記六角形セグメントを前記第1のエレクタおよび前記第2のエレクタで順次把持して、前記第1のエレクタによる組み付けと前記第2のエレクタによる組み付けとを同時に行う、ことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するため、請求項5に記載の本発明の覆工体の構築方法は、請求項3記載の覆工体構築システムを用い、長辺接合部および前記長辺接合部の両側に突出形成されたV字状の傾斜接合部を備えた六角形セグメントの前記長辺接合部を掘削坑の前後を向けて千鳥状に組み立て、1リングを形成するセグメント数が4の倍数となる覆工体の構築方法であって、下部の前記セグメント供給路で供給された前記六角形セグメントを前記第1のエレクタで把持するとともに上部の前記セグメント供給路で供給された前記六角形セグメントを前記第2のエレクタで把持して、前記第1のエレクタによる組み付けと前記第2のエレクタによる組み付けとを同時に行う、ことを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決するため、請求項6に記載の本発明の覆工体の構築方法は、請求項4または5記載の発明において、前記シールド掘進機の掘進に伴い、前記第1のエレクタを支持する支持アームと第2のエレクタを支持する支持アームは前後方向に往復動する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第1のエレクタおよび第2のエレクタで六角形セグメントを把持して同時に組み付けることで、六角形セグメントの把持と設置に要する時間を少なくすることができるとともに、六角形セグメントを搬送する際のエレクタリングの回転角度の合計を小さくすることができる。これにより、六角形セグメントを用いた覆工体の構築における作業時間の短縮を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施の形態である覆工体構築システムについてシールド掘進機の後胴部の内部を側面から透かして見た構成図である。
図2図1のシールド掘進機に設けられたエレクタ装置を後方から見た図である。
図3】トンネルの施工に用いられる六角形セグメントの平面図である。
図4図3の六角形セグメントの正面図である。
図5図3の六角形セグメントの側面図である。
図6図3の六角形セグメントを組み立てて構築されたリング状の覆工体を側面から示す図である。
図7図6の展開図である。
図8】(a)~(i)は、本実施の形態の覆工体構築システムによる覆工体の構築を連続的に示す説明図である。
図9】(a)~(j)は、本実施の形態の覆工体構築システムによる覆工体の構築を図8(i)から連続的に示す説明図である。
図10】(a)~(i)は、本実施の形態の変形例としての覆工体構築システムによる覆工体の構築を連続的に示す説明図である。
図11】(a)~(d)は、本実施の形態の変形例としての覆工体構築システムによる覆工体の構築を図10(i)から連続的に示す説明図である。
図12】本発明の変形例としてのシールド掘進機の後胴部の内部を側面から透かして見た構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
図1に示す本実施の形態のシールド掘進機Mは、カッタヘッドで掘削されてチャンバ内に取り込まれた土砂に粘性を有する泥水を注入して泥水圧を発生させ、その泥水圧を切羽の土圧に対抗させた状態で掘削坑を構築する泥水式のシールド掘進機である。シールド掘進機Mは、互いに連結された前胴部(図示せず)および後胴部11aからなる筒状のシールドフレーム11を有している。
【0023】
図示は省略されているが、前胴部には、地盤を掘削する複数のビットを備えたカッタヘッドが進行方向先端に回転可能に設置され、その後方には、シールドフレーム11の内部をチャンバ側と機内側とに区画する隔壁が当該シールドフレーム11に固定されて設けられている。そして、カッタヘッドと隔壁との間が、カッタヘッドで掘削された土砂が取り込まれるチャンバになっている。また、隔壁には、チャンバ内の泥水を排出するための排泥管の前端開口部、およびチャンバ内に粘性を有する泥水を供給するための送水管の前端開口部が形成されている。
【0024】
さて、図1に示すように、後胴部11aの前端部内周面には、セグメントSを環状に組み立てた覆工体SLをシールドフレーム11の後方に向けて押し出して当該シールドフレーム11を前方に進めるための推進ジャッキ(図示せず)の反力をとるリングガーダ12が設置されている。そして、このリングガーダ12には、セグメントSを組み立てて掘削坑の内周面を覆う覆工体SLを構築するエレクタ装置13が設けられている。なお、エレクタ装置13の詳細については後述する。
【0025】
シールドフレーム11を構成する後胴部11aの進行方向後端部の内周面には、鋼製のワイヤや発泡ウレタンなどからなる複数本のテールブラシ14が、当該進行方向に対して間隔を開けて環状に設けられている。テールブラシ14は、覆工体SLの外周面と接触するような長さで内方に延びており、シールドフレーム11の内周面と覆工体SLの外周面との間に、シール材が充填されるシール室14aを形成する。
【0026】
さて、図1および図2において、エレクタ装置13は、リングガーダ12の後部に回転可能に設置されたエレクタリング13a、エレクタリング13aに取り付けられた一対の支持アーム13bを備えている。そして、支持アーム13bには、セグメントSを把持してリング状の覆工体SLを組み立てるための第1のエレクタE1および第2のエレクタE2が、シールド掘進機Mの軸方向に沿って取り付けられている。
【0027】
なお、第1のエレクタE1および第2のエレクタE2にとって、点対象の位置に設けられた相手方のエレクタE1,E2がカウンタウエイトになるので、別途、カウンタウエイトを設置する必要はない。
【0028】
図2に示すように、第2のエレクタE2は、エレクタリング13aの回転中心に対して第1のエレクタE1と点対称の位置(つまり、第1のエレクタE1と第2のエレクタE2とが相互に180°の回転角ずれた位置)となるように支持アーム13bに取り付けられている。また、前述のように、支持アーム13bはエレクタリング13aに取り付けられていることから、第1のエレクタE1および第2のエレクタE2はエレクタリング13aの回転によって旋回する。
【0029】
ここで、第1のエレクタE1および第2のエレクタE2は、セグメントSをセグメントSの中央に設けられた把持孔H1を中心に揺動可能に把持する把持部13caが設けられた吊りビーム13cと、吊りビーム13cを掘削坑の径方向に往復動させる径方向移動手段13dを備えている。径方向移動手段13dは、一対の支持アーム13bにそれぞれ固定された筒体13da、吊りビーム13cの両端に設けられて筒体13daを貫通した一対のガイドロッド13db、およびガイドロッド13dbを筒体13daの軸方向に摺動させる一対の伸縮ジャッキ13dcからなる。伸縮ジャッキ13dcは、ハウジング13dcaが筒体13daに、伸縮ロッド13dcbが吊りビーム13cにそれぞれ固定されている。したがって、伸縮ロッド13dcbがストロークするとガイドロッド13dbが筒体13daの軸方向に摺動し、これにより吊りビーム13cが掘削坑の径方向に往復動することになる。
【0030】
また、図1に示すように、第1のエレクタE1における吊りビーム13cとガイドロッド13dbとの前後方向の取付位置と、第2のエレクタE2における吊りビーム13cとガイドロッド13dbとの前後方向の取付位置とは互いに逆になっており、結果として第1のエレクタE1の把持部13caと第2のエレクタE2の把持部13caとがシールド掘進機Mの軸方向に対して同じ位置となっている。
【0031】
これにより、それぞれセグメントSを把持した第1のエレクタE1および第2のエレクタE2は、覆工体SLを構成する同一のリングの相互に異なる位置に組み付けを行うことができる。
【0032】
さて、図1に示すように、以上の構成を有するエレクタ装置13にセグメントSを供給するためのセグメント供給路Yが、掘削坑の内周面を覆うリング状の覆工体SLの内の下部に形成されている。このセグメント供給路Yは、覆工体SL内に敷設されたレールY1と、セグメントSを搭載してレールY1上を走行するセグメント台車Y2とからなり、第1のエレクタE1および第2のエレクタE2は、エレクタリング13aの回転により下端位置に旋回してセグメント台車Y2からセグメントSを受け取る。
【0033】
そして、このようなセグメント供給路Yと前述のシールド掘進機Mとにより、覆工体構築システムMSが構成される。
【0034】
さて、本実施の形態では、このような覆工体構築システムMSを用い、六角形のセグメント(以下、「六角形セグメント」)Sを千鳥状に組み立ててリングの覆工体SLとし、これを連続させることで掘削坑の内周面を覆うトンネルが構築される。
【0035】
ここで、トンネルの直線部の施工に用いられる六角形セグメントについて、図3図7を用いて説明する。
【0036】
図3図5に示すように、六角形セグメントSは、トンネル周方向に湾曲して平面六角形状に形成された鉄筋コンクリート製であり、相互に対向して形成された2つの長辺接合部J1、および長辺接合部J1の両側に突出形成されたV字状の傾斜接合部J2を有している。また、内面の中央部には、第1のエレクタE1および第2のエレクタE2で把持されるときのアンカ(図示せず)が挿入される把持孔H1が形成されている。
【0037】
この六角形セグメントS内には、傾斜接合部J2の一方の傾斜面と平行に、斜辺間継手ボルトが貫通するシース管Tが埋設され、一方の長辺接合部J1には、斜辺間継手ボルトを締め付けるための締付孔H2がシース管Tと連続して形成されている。また、傾斜接合部J2の他方の傾斜面と平行に、接合される他の六角形セグメントSのシース管Tを貫通した斜辺間継手ボルトとねじ結合するインサートアンカF1が埋設されている。さらに、他方の長辺接合部J1から内部に向けて、六角形セグメントSを吊す際に用いられる吊り用インサートF2が埋設されている。
【0038】
そして、六角形セグメントSの外周面には、他の六角形セグメントSと凹凸嵌合して位置合わせを行うための部位として、凹部であるリング間ソケットR1ならびに凸部であるリング間プラグR2が形成されている。
【0039】
なお、六角形セグメントSは、本実施の形態では鉄筋コンクリート製であるが、鋼製であってもよい。
【0040】
このような六角形セグメントSを掘削坑の周方向に千鳥状に組み立てて、図6に示すリング状の覆工体SLが構築される。覆工体SLにおいて、六角形セグメントSの長辺接合部J1が掘削坑の前後(つまり、切羽側と坑口側)を向くように配置されており、前後方向に位置する六角形セグメントSにおける傾斜接合部J2同士が交互に連結されることで、切羽に近い凸部と、この凸部から六角形セグメントSの半分の幅分窪んだ台形状の凹部が周方向に沿って交互に形成される。そして、形成された凹部に次の六角形セグメントSの前半部を軸挿入して嵌合されている。
【0041】
また、六角形セグメントSを組み立てる際には、既に環状に組み立てられた六角形セグメントSからなる覆工体SLの切羽側を推進ジャッキにより押圧して反力をとりながらシールド掘進機Mを六角形セグメントSの幅分だけ前進させて組み立てスペースを形成する。
【0042】
ここで、図2に示すように、本実施の形態の覆工体構築システムMSで組み立てられる覆工体SLは、1リングのセグメント数が4の倍数である12となった12分割タイプである。すなわち、前述したように、第1のエレクタE1と第2のエレクタE2とがエレクタリング13aの回転中心に対して点対称の位置となったエレクタ装置13は、1リングを形成する六角形セグメントSのセグメント数が4の倍数となる覆工体SLの構築に対して用いられる。
【0043】
以下、本実施の形態の覆工体構築システムMSにより六角形セグメントSで覆工体SLを構築する順序について、図8および図9を用いて説明する。これらの図面において、エレクタリング13aの回転が時計回りのときを+(プラス)、反時計回りのときを-(マイナス)としている。また、P1~P12は覆工体SLにおける六角形セグメントSの組み付け位置を示している。
【0044】
なお、六角形セグメントSは、覆工体SLの周方向に対して一つおきに組み付けられる。これは、図6図7に示すように、覆工体SLの切羽側(つまり、六角形セグメントSが組み付けられる側)が凸部と凹部とが周方向に沿って交互に形成されているからである。つまり、凹部に六角形セグメントSを組み付けると、組み付けた箇所が凸部になり、それまで凸部であった箇所が新たな凹部になるので、続いてこの新たな凹部に六角形セグメントSを組み付けるようにするからである。
【0045】
ここで、第1のエレクタE1や第2のエレクタE2は六角形セグメントSを把持部13caで把持した後、径方向移動手段13dによりシールドフレーム11の軸方向と交差する方向に移動する。次に、エレクタリング13aがシールドフレーム11の周方向に回転して組立位置へと移動される。そして、支持アーム13bにより第1のエレクタE1および第2のエレクタE2がシールドフレーム11の軸方向にスライド移動することにより目的の位置に組み付けられる。
【0046】
さて、図8(a)に示すように、エレクタリング13aの下端に位置する第1のエレクタE1で六角形セグメントSを把持し、次に、図8(b)に示すように、エレクタリング13aを±180°回転させて第2のエレクタE2を下端にして六角形セグメントSを把持する。そして、図8(c)に示すように、エレクタリング13aを+60°回転させ、第1のエレクタE1で位置P3に、第2のエレクタE2で位置P9に、それぞれ六角形セグメントSを同時に組み付ける。
【0047】
次に、図8(d)に示すように、エレクタリング13aを-60°回転させて第2のエレクタE2を下端にして六角形セグメントSを把持し、続いて、図8(e)に示すように、エレクタリング13aを±180°回転させて第1のエレクタE1を下端にして六角形セグメントSを把持する。そして、図8(f)に示すように、エレクタリング13aを-60°回転させ、第1のエレクタE1で位置P11に、第2のエレクタE2で位置P5に、それぞれ六角形セグメントSを同時に組み付ける。
【0048】
次に、図8(g)に示すように、エレクタリング13aを-120°回転させて第2のエレクタE2を下端にして六角形セグメントSを把持し、続いて、図8(h)に示すように、エレクタリング13aを±180°回転させて第1のエレクタE1を下端にして六角形セグメントSを把持する。そして、図8(i)に示すように、エレクタリング13aを回転させずに(つまり、そのままの位置にしておいて)、第1のエレクタE1で位置P1に、第2のエレクタE2で位置P7に、それぞれ六角形セグメントSを同時に組み付ける。
【0049】
ここまで(前段工程)で、覆工体SLの周方向に対して一つおきに形成されていた凹部に対する六角形セグメントSの組み付けが完了する(図8(i)参照)。これにより、それまで凸部であった箇所が凹部になるので、以下の後段工程では、この新たに一つおきに凹部になった箇所に対する六角形セグメントSの組み付けが行われることになる。なお、前段工程でのエレクタリング13aの回転角度の合計は840°である。
【0050】
さて、図9(a)に示すように、エレクタリング13aを回転させずに、下端に位置している第1のエレクタE1で六角形セグメントSを把持し、続いて、図9(b)に示すように、エレクタリング13aを±180°回転させて第2のエレクタE2を下端にして六角形セグメントSを把持する。そして、図9(c)に示すように、エレクタリング13aを+30°回転させ、第1のエレクタE1で位置P8に、第2のエレクタE2で位置P2に、それぞれ六角形セグメントSを同時に組み付ける。
【0051】
次に、図9(d)に示すように、エレクタリング13aを-30°回転させて第2のエレクタE2を下端にして六角形セグメントSを把持し、続いて、図9(e)に示すように、エレクタリング13aを±180°回転させて第1のエレクタE1を下端にして六角形セグメントSを把持する。そして、図9(f)に示すように、エレクタリング13aを-30°回転させ、第1のエレクタE1で位置P12に、第2のエレクタE2で位置P6に、それぞれ六角形セグメントSを同時に組み付ける。
【0052】
次に、図9(g)に示すように、エレクタリング13aを+30°回転させて第1のエレクタE1を下端にして六角形セグメントSを把持し、続いて、図9(h)に示すように、エレクタリング13aを±180°回転させて第2のエレクタE2を下端にして六角形セグメントSを把持する。そして、図9(i)に示すように、エレクタリング13aを+90°回転させ、第1のエレクタE1で位置P10に、第2のエレクタE2で位置P4に、それぞれ六角形セグメントSを同時に組み付ける。
【0053】
以上で新たに一つおきに凹部になった箇所に対する六角形セグメントSの組み付けが完了し、全体として1リング分の六角形セグメントSの組み付けが完了することになる。
【0054】
そして、図9(j)に示すように、エレクタリング13aを+90°回転させると、第1のエレクタE1が下端、第2のエレクタE2が上端となった位置、すなわち図8(a)に示す組立開始位置に戻ることになる。また、後段工程でのエレクタリング13aの回転角度の合計も840°である。よって、1リングを組み立てるためのエレクタリング13aの回転角度の合計(前段工程と後段工程との合計)は1,680°となる。
【0055】
以下、シールド掘進機Mを推進させながら、1リングについて図8(a)~図8(i)、図9(a)~図9(j)の操作を繰り返しながら覆工体SLを構築していく。
【0056】
ここで、前述のように、本実施の形態において、1リングを組み立てるためのエレクタリング13aの回転角度の合計は1,680°である。一方、エレクタが1機のとき、同じように12個の六角形セグメントSで1リングを組み立てる場合には、エレクタリング13aの回転角度の合計は2,160°になる。エレクタリング13aの回転角度の合計はエレクタE1,E2の移動距離の合計に置き換えることができ、これらの合計値の大小は作業時間の長短に直結する。そして、本実施の形態のように2機のエレクタE1,E2で六角形セグメントSを組み立てた場合には、1機のエレクタで組み立てた場合よりも、エレクタリング13aの回転角度の合計が2割以上小さくなる。
【0057】
このように、本実施の形態によれば、第1のエレクタE1および第2のエレクタE2で六角形セグメントSを把持して同時に組み付けるようにしているので、六角形セグメントSの設置位置の調整と設置、斜辺間継手ボルトによる固定に要する時間を六角形セグメントSを一つ組み付ける場合と同程度に少なくすることができるとともに、六角形セグメントSを搬送する際のエレクタリング13aの回転角度の合計を小さくする(つまり、第1のエレクタE1および第2のエレクタE2の移動距離を短くする)ことができる。これにより、六角形セグメントSを用いた覆工体SLの構築における作業時間の短縮を図ることが可能になる。
【0058】
さて、以上では、エレクタ装置13に六角形セグメントSを供給するためのセグメント供給路Yが覆工体SLの内の下部に形成されている場合について説明した。ここで、覆工体SLの内の上部にもさらにセグメント供給路Yを形成し、上下2系統のセグメント供給路Yでエレクタ装置13に六角形セグメントSを供給することもできる。
【0059】
このような供給形態で覆工体SLを構築する順序について、図10および図11を用いて説明する。なお、これらの図面においても、エレクタリング13aの回転が時計回りのときを+(プラス)、反時計回りのときを-(マイナス)としている。また、P1~P12は覆工体SLにおける六角形セグメントSの組み付け位置を示している。
【0060】
先ず、図10(a)に示すように、エレクタリング13aの下端に位置する第1のエレクタE1で六角形セグメントSを把持するともに、エレクタリング13aの上端に位置する第2のエレクタE2でも六角形セグメントSを把持する。そして、図10(b)に示すように、エレクタリング13aを+60°回転させ、第1のエレクタE1で位置P3に、第2のエレクタE2で位置P9に、それぞれ六角形セグメントSを同時に組み付ける。
【0061】
次に、図10(c)に示すように、エレクタリング13aを-60°回転させて第1のエレクタE1を下端に、第2のエレクタE2を上端にし、エレクタリング13aの下端に位置する第1のエレクタE1とエレクタリング13aの上端に位置する第2のエレクタE2でそれぞれ六角形セグメントSを把持する。そして、図10(d)に示すように、エレクタリング13aを-60°回転させ、第1のエレクタE1で位置P11に、第2のエレクタE2で位置P5に、それぞれ六角形セグメントSを同時に組み付ける。
【0062】
次に、図10(e)に示すように、エレクタリング13aを+60°回転させて第1のエレクタE1を下端に、第2のエレクタE2を上端にし、エレクタリング13aの下端に位置する第1のエレクタE1とエレクタリング13aの上端に位置する第2のエレクタE2でそれぞれ六角形セグメントSを把持する。そして、図10(f)に示すように、エレクタリング13aを回転させずに、そのままの位置で第1のエレクタE1で位置P1に、第2のエレクタE2で位置P7に、それぞれ六角形セグメントSを同時に組み付ける。
【0063】
ここまで(前段工程)で、覆工体SLの周方向に対して一つおきに形成されていた凹部に対する六角形セグメントSの組み付けが完了する(図10(f)参照)。そして、以下の後段工程では、新たに一つおきに凹部になった箇所に対する六角形セグメントSの組み付けが行われる。なお、前段工程でのエレクタリング13aの回転角度の合計は240°である。
【0064】
さて、図10(g)に示すように、エレクタリング13aを回転させずに、エレクタリング13aの下端に位置する第1のエレクタE1とエレクタリング13aの上端に位置する第2のエレクタE2でそれぞれ六角形セグメントSを把持する。そして、図10(h)に示すように、エレクタリング13aを+30°回転させ、第1のエレクタE1で位置P8に、第2のエレクタE2で位置P2に、それぞれ六角形セグメントSを同時に組み付ける。
【0065】
次に、図10(i)に示すように、エレクタリング13aを-30°回転させて第1のエレクタE1を下端に、第2のエレクタE2を上端にし、エレクタリング13aの下端に位置する第1のエレクタE1とエレクタリング13aの上端に位置する第2のエレクタE2でそれぞれ六角形セグメントSを把持する。そして、図11(a)に示すように、エレクタリング13aを-30°回転させ、第1のエレクタE1で位置P12に、第2のエレクタE2で位置P6に、それぞれ六角形セグメントSを同時に組み付ける。
【0066】
次に、図11(b)に示すように、エレクタリング13aを+30°回転させて第1のエレクタE1を下端に、第2のエレクタE2を上端にし、エレクタリング13aの下端に位置する第1のエレクタE1とエレクタリング13aの上端に位置する第2のエレクタE2でそれぞれ六角形セグメントSを把持する。そして、図11(c)に示すように、エレクタリング13aを+90°回転させ、第1のエレクタE1で位置P10に、第2のエレクタE2で位置P4に、それぞれ六角形セグメントSを同時に組み付ける。
【0067】
以上で新たに一つおきに凹部になった箇所に対する六角形セグメントSの組み付けが完了し、全体として1リング分の六角形セグメントSの組み付けが完了することになる。
【0068】
そして、図11(d)に示すように、エレクタリング13aを-90°回転させると、第1のエレクタE1が下端、第2のエレクタE2が上端となった図10(a)に示す組立開始位置に戻ることになる。また、後段工程でのエレクタリング13aの回転角度の合計は300°である。よって、上下2系統のセグメント供給路Yでエレクタ装置13に六角形セグメントSを供給したときの1リングを組み立てるためのエレクタリング13aの回転角度の合計(前段工程と後段工程との合計)は540°となる。
【0069】
前述のように、下部だけの1系統のセグメント供給路Yでエレクタ装置13に六角形セグメントSを供給したときの1リングを組み立てるためのエレクタリング13aの回転角度の合計1,680°であるから、2系統供給路で六角形セグメントSを組み立てた場合には、1系統供給路の場合よりも、エレクタリング13aの回転角度の合計が1/3以下になる。したがって、六角形セグメントSを用いた覆工体SLの構築における作業時間をさらに短縮することが可能になる。
【0070】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0071】
例えば、六角形セグメントSの組み立て順序については、本実施の形態に限定されるものではなく、位置P1と位置P7から組み付けていくなど、自由に決定することができる。
【0072】
また、本実施の形態では、図1および図2に示すエレクタ装置13が備えられたシールド掘進機Mで構成された覆工体構築システムMSにより、1リングを形成するセグメント数が4の倍数となる覆工体SLを六角形セグメントSで組み立てる場合を説明したが、組み立てに用いられるエレクタ装置13は、エレクタリング13aの回転中心に対して点対称の位置に第1のエレクタE1と第2のエレクタE2とが設けられていれば足り、エレクタ装置13の構造については本実施の形態に限定されるものではない。
【0073】
さらに、本実施の形態におけるエレクタ装置13の支持アーム13bは、エレクタリング13aと第1のエレクタE1および第2のエレクタE2をつないで支持するだけであるが、図12に示すように、径方向に伸びる筒体13daに加えて軸方向に伸びる筒体13dabを設けて当該筒体13dabを支持アーム13bに摺動可能に設け、第1のエレクタE1と第2のエレクタE2とを掘削坑の前後方向に往復道させることができるようにしてもよい。
【0074】
このようなエレクタ装置13によれば、筒体13dabを摺動させて第1のエレクタE1と第2のエレクタE2との位置を六角形セグメントSの幅分だけ移動させることができるので、シールド掘進機Mを前進させながら六角形セグメントSを組み立てることができる(六角形セグメントによるシールド掘進とセグメント組立の同時施工)。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上の説明では、本発明を泥水式のシールド掘進機に適用した場合が示されているが、これに限定されるものではなく、泥土圧式のシールド掘進機など、様々な密閉型のシールド掘進機に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
11 シールドフレーム
11a 後胴部
12 リングガーダ
13 エレクタ装置
13a エレクタリング
13b 支持アーム
13c 吊りビーム
13ca 把持部
13d 径方向移動手段
13da,13dab 筒体
13db ガイドロッド
13dc 伸縮ジャッキ
13dca ハウジング
13dcb 伸縮ロッド
E1 第1のエレクタ
E2 第2のエレクタ
J1 長辺接合部
J2 傾斜接合部
M シールド掘進機
MS 覆工体構築システム
P1~P12 位置
S 六角形セグメント
SL 覆工体
Y セグメント供給路
Y1 レール
Y2 セグメント台車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12