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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】塩回収溶液とそれを使用するプロセス
(51)【国際特許分類】
   B01D 11/04 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
B01D11/04 B
【請求項の数】 50
(21)【出願番号】P 2020517910
(86)(22)【出願日】2018-10-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 NZ2018050135
(87)【国際公開番号】W WO2019070134
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-09-15
(31)【優先権主張番号】62/567,545
(32)【優先日】2017-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519114786
【氏名又は名称】アクアフォータス テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AQUAFORTUS TECHNOLOGIES LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ブリッグス、ダリル ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】プラカシュ、チャイトラ
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-012705(JP,A)
【文献】特開昭56-009223(JP,A)
【文献】米国特許第05705074(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 11/04
C02F 1/26
C01D 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の水溶液から塩を分離するプロセスであって、
(a)前記塩を含有する前記第1の水溶液を、a)少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と、b)少なくとも1つのエノール化可能カルボニルとを備える塩回収溶液に添加するステップと、
(b)添加された前記第1の水溶液からの前記塩が、前記塩回収溶液を通過して沈殿るステップと
を備え
前記塩を含有する前記第1の水溶液が海水またはブライン溶液であり、
前記少なくとも1つの第三級アミン含有化合物が、
(i)1-エチルピロリジン、2-メチルピリジン、N-メチルピペリジン、4-エチルモルホリン;(ii)N(C -C アルキル) ;(iii)N(C アルキル) (すなわちトリエチルアミン)から選択されるか、または、
【化1】
から選択される、前記プロセス。
【請求項2】
前記プロセスは、前記塩回収溶液内に保持された水をさらに放出するために前記塩回収溶液に添加剤を添加するさらなるステップを含む、請求項に記載のプロセス。
【請求項3】
前記添加剤がクエン酸またはクエン酸溶液である、請求項に記載のプロセス。
【請求項4】
前記塩回収溶液は、さらなる分離プロセスで使用するためにリサイクルされる、請求項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記プロセスは連続プロセスである、請求項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記塩回収溶液は、式Iの少なくとも1つのエノール化可能カルボニルを備え、
【化2】
a)R およびR は独立して、-C -C アルキルまたは-C -C 単環から選択されるか、または
b)R とR の一方が-O-(C -C アルキル)から選択され、他方が-C -C アルキルから選択されるか、または
c)R およびR は、式Iの前記エノール化可能カルボニルと一緒になって、3-15員の単環式ケトンまたは3-15員の単環式複素環式ケトンを形成するか、または
d)R およびR は、式Iの前記エノール化可能カルボニルと一緒になって、S、NまたはOから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含む8-15員芳香族系を形成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記塩回収溶液は、式IIの少なくとも1つのエノール化可能カルボニルを備え、
【化3】
Xは、S、NまたはOから選択されるヘテロ原子を任意に含む5-8員の芳香族単環であり、
各R は、存在する場合には、ハロ、ヒドロキシ、-NO 、C -C アルキル、または-O-(C -C アルキル)から独立して選択され、
は、ハロ;-O-(C -C アルキル);ハロ、ヒドロキシ、-O-(C -C アルキル)またはC -C 単環で任意に置換されたC -C アルキル;またはハロ、ヒドロキシ、C -C アルキルまたは-O-(C -C アルキル)で任意に置換されたC -C 単環;から選択され、
mは0、1、2または3個の炭素であり、各炭素は、ハロ;ヒドロキシ;ハロまたはヒドロキシで任意に置換されたC -C アルキル;C -C アルキル;O-(C -C アルキル);またはC -C 単環から選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換され、
nは0、1、2、または3であり、mとnの両方が0である場合を除く、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記塩回収溶液が、
(i)式Iのエノール化可能カルボニルのうちの2つ以上の組み合わせを含むか、または
(ii)式Iおよび式IIのエノール化可能カルボニルのうちの2つ以上の組み合わせを含む、請求項6または7に記載のプロセス。
【請求項9】
式IのR およびR は独立して、メチルおよびエチルから選択される、請求項6に記載のプロセス。
【請求項10】
式Iの各R およびR は、ハロ、-OH、-CN、-NO 、-CΞCH、-SH、-C -C アルキル、-(C -C アルキル)-OH、-NH 、-NH(C -C アルキル)、-N(C -C アルキル) 、-O(C -C アルキル)、-C(O)-O(-C -C アルキル)、-C(O)OH、-C(O)-H、-C(O)-(C -C アルキル)から選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されている、請求項6に記載のプロセス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と前記1つ以上のエノール化可能カルボニルとのモル比が1:99または99:1の比で存在する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と前記1つ以上のエノール化可能カルボニルとのモル比が1:50または50:1の比で存在する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と前記少なくとも1つのエノール化可能カルボニルとのモル比が1:10または10:1の比で存在する、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と前記1つ以上のエノール化可能カルボニルとのモル比が1:5または5:1の比で存在する、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と前記1つ以上のエノール化可能カルボニルとのモル比が1:3または3:1の比で存在する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と前記1つ以上のエノール化可能カルボニルとのモル比が1:2または2:1の比で存在する、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と前記1つ以上のエノール化可能カルボニルとのモル比が1:1の比で存在する、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記プロセスは非膜プロセスである、請求項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記プロセスは非浸透圧プロセスである、請求項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記プロセスは非膜非浸透圧プロセスである、請求項に記載のプロセス。
【請求項21】
前記プロセスは前記塩を含有する前記第1の水溶液を濃縮する、請求項に記載のプロセス。
【請求項22】
前記プロセスは最小排出プロセスである、請求項に記載のプロセス。
【請求項23】
前記プロセスはゼロ液体排出プロセスである、請求項に記載のプロセス。
【請求項24】
沈殿した前記塩が、前記塩回収溶液とは異なる水性層の一部を形成する、請求項に記載のプロセス。
【請求項25】
塩含有第1水溶液を濃縮するプロセスであって、
)前記塩含有第1水溶液を、a)少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と、b)少なくとも1つのエノール化可能カルボニルとを備える塩回収溶液に添加するステップと、
)前記塩含有第1水溶液からの水前記塩回収溶液に吸収されることにより前記塩含有第1水溶液を濃縮するステップとを備え
前記塩含有第1水溶液が海水またはブライン溶液であり、
前記少なくとも1つの第三級アミン含有化合物が、
(i)1-エチルピロリジン、2-メチルピリジン、N-メチルピペリジン、4-エチルモルホリン;(ii)N(C -C アルキル) ;(iii)N(C アルキル) (すなわちトリエチルアミン)から選択されるか、または、
【化4】
から選択される、前記プロセス。
【請求項26】
前記塩回収溶液は、式Iの少なくとも1つのエノール化可能カルボニルを備え、
【化5】
a)R およびR は独立して、-C -C アルキルまたは-C -C 単環から選択されるか、または
b)R とR の一方が-O-(C -C アルキル)から選択され、他方が-C -C アルキルから選択されるか、または
c)R およびR は、式Iの前記エノール化可能カルボニルと一緒になって、3-15員の単環式ケトンまたは3-15員の単環式複素環式ケトンを形成するか、または
d)R およびR は、式Iの前記エノール化可能カルボニルと一緒になって、S、NまたはOから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含む8-15員芳香族系を形成する、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記塩回収溶液は、式IIの少なくとも1つのエノール化可能カルボニルを備え、
【化6】
Xは、S、NまたはOから選択されるヘテロ原子を任意に含む5-8員の芳香族単環であり、
各R は、存在する場合には、ハロ、ヒドロキシ、-NO 、C -C アルキル、または-O-(C -C アルキル)から独立して選択され、
は、ハロ;-O-(C -C アルキル);ハロ、ヒドロキシ、-O-(C -C アルキル)またはC -C 単環で任意に置換されたC -C アルキル;またはハロ、ヒドロキシ、C -C アルキルまたは-O-(C -C アルキル)で任意に置換されたC -C 単環;から選択され、
mは0、1、2または3個の炭素であり、各炭素は、ハロ;ヒドロキシ;ハロまたはヒドロキシで任意に置換されたC -C アルキル;C -C アルキル;O-(C -C アルキル);またはC -C 単環から選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換され、
nは0、1、2、または3であり、mとnの両方が0である場合を除く、
請求項25に記載のプロセス。
【請求項28】
前記塩回収溶液が、
(i)式Iのエノール化可能カルボニルのうちの2つ以上の組み合わせを含むか、または
(ii)式Iおよび式IIのエノール化可能カルボニルのうちの2つ以上の組み合わせを含む、請求項26または27に記載のプロセス。
【請求項29】
式IのR およびR は独立して、メチルおよびエチルから選択される、請求項26に記載のプロセス。
【請求項30】
式Iの各R およびR は、ハロ、-OH、-CN、-NO 、-CΞCH、-SH、-C -C アルキル、-(C -C アルキル)-OH、-NH 、-NH(C -C アルキル)、-N(C -C アルキル) 、-O(C -C アルキル)、-C(O)-O(-C -C アルキル)、-C(O)OH、-C(O)-H、-C(O)-(C -C アルキル)から選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されている、請求項26に記載のプロセス。
【請求項31】
前記少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と前記1つ以上のエノール化可能カルボニルとのモル比が1:99または99:1の比で存在する、請求項25に記載のプロセス。
【請求項32】
前記少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と前記1つ以上のエノール化可能カルボニルとのモル比が1:50または50:1の比で存在する、請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
前記少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と前記少なくとも1つのエノール化可能カルボニルとのモル比が1:10または10:1の比で存在する、請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
前記少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と前記1つ以上のエノール化可能カルボニルとのモル比が1:5または5:1の比で存在する、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
前記少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と前記1つ以上のエノール化可能カルボニルとのモル比が1:3または3:1の比で存在する、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
前記少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と前記1つ以上のエノール化可能カルボニルとのモル比が1:2または2:1の比で存在する、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
前記少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と前記1つ以上のエノール化可能カルボニルとのモル比が1:1の比で存在する、請求項36に記載のプロセス。
【請求項38】
前記プロセスは非膜プロセスである、請求項25に記載のプロセス。
【請求項39】
前記プロセスは非浸透圧プロセスである、請求項25に記載のプロセス。
【請求項40】
前記プロセスは非膜非浸透圧プロセスである、請求項25に記載のプロセス。
【請求項41】
前記プロセスは、前記塩含有第1水溶液を少なくとも20%濃縮する、請求項25から40のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項42】
前記プロセスは、前記塩含有第1水溶液を少なくとも30%濃縮する、請求項25から41のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項43】
前記プロセスは、前記塩含有第1水溶液を少なくとも40%濃縮する、請求項25から42のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項44】
前記プロセスは、前記塩含有第1水溶液を少なくとも50%濃縮する、請求項25から43のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項45】
前記プロセスは、前記塩含有第1水溶液を少なくとも60%濃縮する、請求項25から44のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項46】
前記プロセスは、前記塩含有第1水溶液を少なくとも70%濃縮する、請求項25から45のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項47】
前記プロセスは、前記塩含有第1水溶液を少なくとも80%濃縮する、請求項25から45のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項48】
前記プロセスは、前記塩含有第1水溶液を少なくとも90%濃縮する、請求項25から47のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項49】
前記プロセスは最小排出プロセスである、請求項25から48のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項50】
前記プロセスはゼロ液体排出プロセスである、請求項25から49のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、塩回収溶液、および、水溶液から塩を分離するプロセスに関する。本開示はまた、塩回収溶液、および、塩水またはブライン溶液から水を回収することにより塩水またはブライン溶液を濃縮するための塩回収溶液の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶液からの塩の抽出は、通常、高いエネルギーと時間のかかるプロセスであり、水の除去と塩の結晶化が必要である。2016年にTongらによって報告されたように(非特許文献1)、ゼロ液体排出(ZLD)は、プラントまたは施設境界を出るあらゆる液体廃棄物をなくす野心的な廃水管理戦略であり、水の大部分は再利用のために回収される。しかし、ZLDの達成はエネルギーの積極的な使用と高いコストによって一般に特徴付けられ、その結果、ZLDは長い間技術的に考慮されてきたが、経済的には実行可能ではなく、限られた場合にのみ適用されている。近年、水不足と水環境汚染という二重の課題に対する認識が高まり、ZLDへの世界的な関心が復活してきた。より厳格な規制、廃水処理費用の増加、および、淡水の価値向上により、ZLDは廃水管理にとって有益なまたは必要な選択肢になりつつある。ZLDの世界市場は、北米、および、ヨーロッパの先進国から中国やインドなどの新興経済国へと急速に広がり、年間投資額は少なくとも1億から2億ドルに達すると推定される。初期のZLDシステムは、スタンドアロン型の熱プロセスに基づいており、通常、廃水をブライン濃縮器、続いてブライン晶析装置または蒸発池で蒸発させていた。ZLDシステムで凝縮された蒸留水は再利用のために収集され、生成された固形物は埋め立て地に送られるか、貴重な塩の副産物として回収される。このようなシステムは、40年間にわたって正常に動作し、現在も建築されているため、かなりのエネルギーと資本が必要である。淡水化に広く適用されている膜ベースの技術である逆浸透(RO)は、エネルギーとコスト効率を改善するためにZLDシステムに組み込まれている。しかしながら、ROは、熱蒸発よりもエネルギー効率ははるかに高いものの、限られた塩分範囲の給水にしか適用できない。したがって、電気透析(ED)、正浸透(FO)、膜蒸留(MD)などの高塩分の給水を処理できる他の塩濃縮技術が、ROをしのぐ更なる廃水濃縮のための代替ZLD技術として最近登場した。
ZLDには、水質汚染の低減と給水量の増加という大きな期待を持てるが、ZLDの実行可能性はZLDの利点、エネルギー消費、および、資本・運用コストなどのバランスによって決まる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Tongら、Environ.Sci.Technol.,2016年、50号、6846-6855頁,American Chemical Society
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一つの目的は、これらの困難を克服する解決策を提供するかまたは少なくとも有用な代替案を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、本発明は、第1の水溶液から塩を回収するのに適した塩回収溶液を提供し、塩回収溶液は、a)少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と、b)少なくとも1つのエノール化可能カルボニル(enolisable carbonyl)とを備える。
【0006】
一実施形態では、塩回収溶液は、
a)少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と、
b)式Iの少なくとも1つのエノール化可能カルボニルとを備え、
【0007】
【化1】
c)RおよびRは独立して、-C-Cアルキルまたは-C-C単環から選択されるか、または
d)RとRの一方が-O-(C-Cアルキル)から選択され、他方が-C-Cアルキルから選択されるか、または
e)RおよびRは、式Iの前記カルボニルと一緒になって、3-15員の単環式ケトンまたは3-15員の単環式複素環式ケトンを形成する。
【0008】
一実施形態では、塩回収溶液は、
a)少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と、
b)式Iの少なくとも1つのエノール化可能カルボニルとを備え、
【0009】
【化2】
およびRは、式Iのカルボニルと一緒になって、S、NまたはOから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含む8-15員芳香族系を形成する、
別の実施形態では、塩回収溶液は、式IIの少なくとも1つのエノール化可能カルボニルを備える。
【0010】
【化3】
Xは、S、NまたはOから選択されるヘテロ原子を任意に含む5-8員の芳香族単環であり、
各Rは、存在する場合には、ハロ、ヒドロキシ、-NO、C-Cアルキル、または-O-(C-Cアルキル)から独立して選択され、
は、ハロ;-O-(C-Cアルキル);ハロ、ヒドロキシ、-O-(C-Cアルキル)またはC-C単環で任意に置換されたC-Cアルキル;またはハロ、ヒドロキシ、C-Cアルキルまたは-O-(C-Cアルキル)で任意に置換されたC-C単環;から選択され、
mは0、1、2または3個の炭素であり、各炭素は、ハロ;ヒドロキシ;ハロまたはヒドロキシで任意に置換されたC-Cアルキル;C-Cアルキル;O-(C-Cアルキル);またはC-C単環から選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換され、
nは0、1、2、または3である、
一実施形態では、Xは6員芳香族単環式である。
【0011】
一実施形態において、Rは、ハロ、ヒドロキシ、-O-(C-Cアルキル)、またはC-C単環で任意に置換されたC-Cアルキルである。
一実施形態では、式IIのエノール化可能カルボニルは、アセトフェノンおよび4-フェニル-2ブタノンから選択される。
【0012】
別の態様では、本発明は、第1の水溶液から塩を回収するプロセスを提供し、このプロセスは、
(a)前記塩を含有する前記第1の水溶液を塩回収溶液に添加するステップと、
(b)前記塩回収溶液を通過する際に前記塩を沈殿させるステップとを含む。
【0013】
一実施形態では、プロセスはゼロ液体排出プロセスである。
プロセスは非膜(non-membrane)プロセスである。
プロセスは非浸透圧(non-osmotic)プロセスである。
【0014】
塩回収溶液の使用は、非膜非浸透圧プロセスで行われる。
別の態様では、本発明は、塩含有第1水溶液を濃縮するプロセスを提供し、このプロセスは、
(a)前記塩含有第1水溶液を塩回収溶液に添加するステップと、
(b)前記塩含有水溶液からの水を前記塩回収溶液に通過させるステップとを備える。
【0015】
一実施形態では、沈殿した塩は、塩回収溶液とは異なる水性層(aqueous layer)の一部を形成する。
一実施形態では、プロセスは非膜プロセスである。
【0016】
一実施形態では、プロセスは非浸透圧プロセスである。
一実施形態では、プロセスは非膜非浸透圧プロセスである。
一実施形態では、プロセスは第1水溶液を少なくとも20%濃縮する。
【0017】
他の実施形態では、プロセスは、第1水溶液を少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%または少なくとも90%濃縮する。
【0018】
一実施形態では、プロセスは最小排出プロセスである。
一実施形態では、プロセスはゼロ液体排出プロセスである。
前述の概要では、本発明の特定の実施形態の特徴および技術的利点を広く説明した。さらなる技術的利点については、本発明の詳細な説明および以下の実施例で説明する。
【0019】
本発明の特徴であると考えられる新規の特徴は、添付の図面および実施例と関連づけて考慮することで本発明の詳細な説明からよりよく理解される。しかし、本明細書で提供される図面および実施例は、本発明の例示を支援すること、または本発明の理解を深めることを支援することを意図し、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の塩回収プロセスを概略的に示す。
図2図2は、湿潤塩回収溶液から水を除去するために使用された添加剤または再生剤溶液を重ねた添加剤または再生剤溶液のガスクロマトグラムを示す。
図3図3は、ブライン添加前の塩回収溶液と、ブライン添加後の吸収水を伴う塩回収溶液と、その後の再生後の塩回収溶液との一連のガスクロマトグラムを重ねて示す。
図4図4は、浸透圧測定に対するNaCl溶液の検量線を示す。
図5図5は、比率の異なる塩回収溶液(TEA:MEK)を使用して濃縮した後のNaCl溶液の濃度の棒グラフを示す。
図6図6は、比率の異なる塩回収溶液(TEA:MEK)を使用して濃縮した後のNaCl溶液の浸透圧のグラフを示す。
図7図7は、比率の異なるN-エチルピペリジン:シクロヘキサノン塩回収溶液を使用して濃縮した後のNaCl溶液の濃度の棒グラフを示す。
図8図8は、比率の異なる塩回収溶液(N-エチルピペリジン:シクロヘキサノン)を使用して濃縮した後のNaCl溶液の浸透圧のグラフを示す。
図9図9は、浸透圧測定に対するNHSO溶液の検量線を示す。
図10図10は、比率の異なる塩回収溶液(TEA:MEK)を使用して濃縮した後のNHSO溶液の濃度の棒グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明は、多数の例示的な構成、パラメータなどを示す。しかしながら、そのような説明は本発明の範囲を限定するものではなく、例示的な実施形態の説明として提供されることを認識すべきである。
【0022】
定義
本明細書の各例において、本発明の説明、実施形態、および実施例において、「備える」、「含む」などの用語は、限定ではなく広範に読まれるべきである。したがって、文脈がそうではないことを明確に要求しない限り、説明、および特許請求の範囲を通して、「備える」、「含む」などの言葉は、排他的な意味とは反対の包括的意味で、すなわち「含むがこれに限定されない」という意味で解釈すべきである。
【0023】
「約」または「およそ」という用語は、通常、所定の値または範囲の20%以内、より好ましくは10%以内、最も好ましくは5%以内を意味する。あるいは、「約」という用語は、好ましくは所与の値の対数で2倍以内(すなわち1桁以内)を意味する。
【0024】
本明細書で使用される「添加剤」という用語は、塩回収溶液内に保持された水を放出させる添加剤を意味する。クエン酸またはクエン酸溶液は、塩回収溶液内に結合した水を放出させると示されている適切な添加剤の非限定的な例である。本明細書を通して、「再生剤(regenerant)」という用語は、「添加剤」という用語と同じ意味で使用されている。というのは、添加剤が塩回収溶液を再生するためである。
【0025】
本明細書で使用される「最小排出」という用語は、流出物または排出物が最小量だけ残る塩水またはブライン処理プロセスを意味する。
本明細書を通して使用される「ブライン」または「ブライン溶液」という用語は、水中で或る濃度を有する或る塩の水溶液を意味する。水中での塩は塩化ナトリウムを含むことがあるが、硫酸アンモニウムなどを含む他の塩溶液も想定される。水溶液中の塩の濃度は、約3.5%(典型的な海水の濃度)から、25%などのはるかに高い濃度までの範囲であってよく、食品の塩漬けに使用される塩水溶液も含まれる。繊維加工、半導体産業、または石油ガス産業からの他のブライン廃水溶液も、本明細書で定義されている現在の塩回収溶液およびプロセスでの使用に適用可能であろう。
【0026】
本明細書で使用されるゼロ液体排出という用語は、本明細書全体で使用される場合、廃液(effluent)または排出が残らない廃水処理プロセスを意味する。
本明細書で使用するとき、用語「C-Cアルキル」は、分岐のまたは非分岐の完全に飽和した炭化水素部分を指し、当該部分は炭素数が1-7個という特定範囲の直鎖または分岐鎖であってよい。好ましくは、当該アルキルは、1-7個の炭素原子、または1-4個の炭素原子を備える。C-Cアルキルの代表例には、限定ではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチルなどが含まれる。例えば、C-C-アルキルという文言は、限定ではないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、tert-ブチルおよびイソブチルを包含する。一実施形態では、C-Cアルキル基は、以下の基のうちの1つまたは複数で置換されていてもよい。すなわち、ハロ、-OH、-CN、-NO、-CΞCH、-SH、-C-Cアルキル、-(C-Cアルキル)-OH、-NH、-NH(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)、-O(C-Cアルキル)、-C(O)-O(-C-Cアルキル)、-C(O)OH、-C(O)-H、または-C(O)-(C-Cアルキル)。
【0027】
本明細書で使用される「C-C単環式」という用語は、3員、4員、5員、6員、または7員の飽和または不飽和の単環式環である。代表的なC-C単環式基には、限定ではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、およびシクロヘプチルが含まれる。一実施形態において、C-C単環式シクロアルキル基は、以下の基のうちの1つ以上で置換されていてもよい。すなわち、ハロ、-OH、-CN、-NO、-CΞCH、-SH、-C-Cアルキル、-(C-Cアルキル)-OH、-NH、-NH(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)、-O(C-Cアルキル)、-C(O)-O(-C-Cアルキル)、-C(O)OH、-C(O)-H、または-C(O)-(C-Cアルキル)。
【0028】
「3-15員の単環式ケトン」という用語は、ケトン官能基を含む3-15員の非芳香族単環式環系を指す。3-15員の単環式ケトンの代表例には、限定ではないが、シクロプロパノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、シクロデカノン、シクロウンデカノン、シクロドデカノン、シクロトリデカノン、シクロテトラデカノン、および、シクロペンタデカノンが含まれる。
【0029】
一実施形態では、3-15員の単環式ケトンは、ハロ、-OH、-CN、-NO、-CΞCH、-SH、-C-Cアルキル、-(C-Cアルキル)-OH、-NH、-NH(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)、O(C-Cアルキル)、-C(O)O(-C-Cアルキル)、-C(O)OH、C(O)H、または-C(O)(C-Cアルキル)のうちの1つ以上の基で置換されていてもよい。
【0030】
式Iの「S、NまたはOから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含む8-15員芳香族系」という用語には、任意でハロ、ヒドロキシ、ニトロ、-SH、-C-Cアルキル、および-O(C-Cアルキル)で置換されてよい、ナフタレノン、フルオレノン、キノリノン、およびインダノン環系が含まれる。そのような式Iの化合物の代表例には、限定ではないが、ナフタレノン、2,2,4-トリクロロ-1(2h)-ナフタレノン、4-メチル-1h-ナフタレン-2-オン、9-フルオレノン、9-フルオレノンオキシム、2-ニトロ-9-フルオレノン、3-ニトロ-9-フルオレノン、4-ニトロ-9-フルオレノン、2,6-ジニトロ-9-フルオレノン、2,7-ジニトロ-9-フルオレノン、2,3,7-トリニトロ-9-フルオレノン、2-フルオロ-9-フルオレノン、1-ブロモ-9-フルオレノン、2-ブロモ-9-フルオレノン、2,7-ジクロロ-9-フルオレノン、2,7-ジブロモ-9-フルオレノン、2-ヒドロキシ-9-フルオレノン、4-ヒドロキシ-9-フルオレノン、1-メチルフルオレン-9-オン、4-メチルフルオレン-9-オン11-ベンゾ(a)フルオレノン、ベンゾ(b)フルオレノン、1h-ベンゾ(a)フルオレン-1-オン、3,4-ジヒドロ-2(1h)-キノリノン、7-ヒドロキシ-3,4-ジヒドロ-2(1h)-キノリノン、6-ヒドロキシ-3,4-ジヒドロ-2(1h)-キノリノン、3-ブチル-4-ヒドロキシ-1-メチル-2(1h)-キノリノン、8-ブロモ-2,3-ジヒドロ-4(1h)-キノリノン、6-フルオロ-4,4-ジメチル-3,4-ジヒドロ-2(1h)-キノリノン、8-フルオロ-4,4-ジメチル-3,4-ジヒドロ-2(1h)-キノリノン、2,6-ジメチル-4(1h)-キノリノン、3-ブチル-4-ヒドロキシ-1-メチル-2(1h)-キノリノン、1-インダノン、5,6-ジメトキシ-1-インダノン、6-ブロモ-1-インダノン、6-メトキシ-1-インダノン、2-ブロモ-1-インダノン、4-ブロモ-1-インダノン、5-ブロモ-1-インダノン、5-クロロ-1-インダノン、6-クロロ-1-インダノン、4,7-ジメチル-1-インダノン、2-メチル-1-インダノン、4-メチル-1-インダノン、5-フルオロ-1-インダノン、6-フルオロ-1-インダノン、6-(トリフルオロメチル)-1-インダノン、4-メトキシ-1-インダノン、3,5-ジメトキシ-1-インダノン、4,7-ジメトキシ-1-インダノン、5-ヒドロキシ-1-インダノン、4-ヒドロキシ-1-インダノン、7-ヒドロキシ-1-インダノン、2-インダノンオキシム、および2,2-ジ(メチルチオ)-1-インダノンが含まれる。
【0031】
「ヘテロ原子を任意に含む5-8員の芳香族単環」という用語には、限定ではないが、ピロリル、フラニル、チオフェニルなどの5員環、フェニル、ピリジニル、ピラニル、チオピラニルなどの6員環、およびアゼピニル、オキセピニル、チエピニルなどの7員環が含まれる。
【0032】
「3-15員の単環式複素環ケトン」という用語は、(i)3員または4員の非芳香族単環式シクロアルキルで、当該環の炭素原子のうちの1つがN原子、O原子またはS原子で置換されている3員または4員の非芳香族単環式シクロアルキル、または(ii)5-15員の非芳香族単環式シクロアルキルで、当該環の炭素原子の1-4個が独立して、N原子、O原子またはS原子で置換されている5-15員の非芳香族単環式シクロアルキルを指す。1個のN、OまたはS原子を有する3-15員の単環式複素環式ケトンの代表例には、限定ではないが、オキシラン-2-オン、チラン-2-オン、オキセタン-2-オン、オキセタン-3オン、1、アゼチジン-3-オン、チエタン-2-オン、チエタン-3-オン、ジヒドロフラン-2(3H)-オン、ジヒドロフラン-3(2H)-オン、ピロリジン-3-オン、ジヒドロチオフェン-3(2H)-オン、ジヒドロチオフェン-2(3H)-オン、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、ジヒドロ-2H-ピラン-3(4H)-オン、ジヒドロ-2H-ピラン-4(3H)-オン、ピペリジン-3-オン、ピペリジン-4-オン、テトラヒドロ-2H-チオピラン-2-オン、ジヒドロ-2H-チオピラン-3(4H)-オン、ジヒドロ-2H-チオピラン-4(3H)-オン、オキセパン-2-オン、オキセパン-3-オン、オキセパン-4-オン、チエパン-2-オン、チエパン-3-オン、チエパン-4-オン、アゼパン-3-オン、アゼパン-4-オン、オキソカン-2-オン、オキソカン-3-オン、オキソカン-4-オン、オキソカン-5-オン、チオカン-2-オン、チオカン-3-オン、チオカン-4-オン、チオカン-5-オン、アゾカン-3-オン、アゾカン-3-オン、アゾカン-4-オン、アゾカン-5-オン、アゾナン-3-オン、アゾナン-4-オン、アゾナン-5-オン、オキソナン-2-オン、オキソナン-3-オン、オキソナン-4-オン、オキソナン-5-オン、チオナン-2-オン、チオナン-3-オン、チオナン-4-オン、チオナン-5-オン、オキサシクロウンデカン-2-オン、オキサシクロウンデカン-3-オン、オキサシクロウンデカン-4-オン、オキサシクロウンデカン-5-オン、オキサシクロウンデカン-6-オン、アザシクロウンデカン-3-オン、アザシクロウンデカン-4-オン、アザシクロウンデカン-5-オン、アザシクロウンデカン-6-オン、チアシクロウンデカン-2-オン、チアシクロウンデカン-3-オン、チアシクロウンデカン-4-オン、チアシクロウンデカン-5-オン、チアシクロウンデカン-6-オン、オキサシクロドデカン-2-オン、オキサシクロドデカン-3-オン、オキサシクロドデカン-4-オン、オキサシクロドデカン-5-オン、オキサシクロドデカン-6-オン、オキサシクロドデカン-7-オン、アザシクロドデカン-3-オン、アザシクロドデカン-4-オン、アザシクロドデカン-5-オン、アザシクロドデカン-6-オン、アザシクロドデカン-7-オン、チアシクロドデカン-2-オン、チアシクロドデカン-3-オン、チアシクロドデカン-4-オン、チアシクロドデカン-5-オン、チアシクロドデカン-6-オン、チアシクロドデカン-7-オン、オキサシクロトリデカン-2-オン、オキサシクロトリデカン-3-オン、オキサシクロトリデカン-4-オン、オキサシクロトリデカン-5-オン、オキサシクロトリデカン-6-オン、オキサシクロトリデカン-7-オン、アザシクロトリデカン-3-オン、アザシクロトリデカン-4-オン、アザシクロトリデカン-5-オン、アザシクロトリデカン-6-オン、アザシクロトリデカン-7-オン、チアシクロトリデカン-2-オン、チアシクロトリデカン-3-オン、チアシクロトリデカン-4-オン、チアシクロトリデカン-5-オン、チアシクロトリデカン-6-オン、チアシクロトリデカン-7-オン、オキサシクロテトラデカン-2-オン、オキサシクロテトラデカン-3-オン、オキサシクロテトラデカン-4-オン、オキサシクロテトラデカン-5-オン、オキサシクロテトラデカン-6-オン、オキサシクロテトラデカン-7-オン、オキサシクロテトラデカン-8-オン、アザシクロテトラデカン-3-オン、アザシクロテトラデカン-4-オン、アザシクロテトラデカン-5-オン、アザシクロテトラデカン-6-オン、アザシクロテトラデカン-7-オン、アザシクロテトラデカン-8-オン、チアシクロテトラデカン-2-オン、チアシクロテトラデカン-3-オン、チアシクロテトラデカン-4-オン、チアシクロテトラデカン-5-オン、チアシクロテトラデカン-6-オン、チアシクロテトラデカン-7-オン、チアシクロテトラデカン-8-オン、オキサシクロペンタデカン-2-オン、オキサシクロペンタデカン-3-オン、オキサシクロペンタデカン-4-オン、オキサシクロペンタデカン-5-オン、オキサシクロペンタデカン-6-オン、オキサシクロペンタデカン-7-オン、オキサシクロペンタデカン-8-オン、アザシクロペンタデカン-3-オン、アザシクロペンタデカン-4-オン、アザシクロペンタデカン-5-オン、アザシクロペンタデカン-6-オン、アザシクロペンタデカン-7-オン、アザシクロペンタデカン-8-オン、チアシクロペンタデカン-2-オン、チアシクロペンタデカン-3-オン、チアシクロペンタデカン-4-オン、チアシクロペンタデカン-5-オン、チアシクロペンタデカン-6-オン、チアシクロペンタデカン-7-オン、チアシクロペンタデカン-8-オンが含まれる。一実施形態では、3-15員の単環式複素環式ケトン基は、ハロ、-OH、-CN、-NO、-CΞCH、-SH、-C1-C6低級アルキル、-(C-Cアルキル)-OH、-NH、-NH(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)、-O(C-Cアルキル)、-C(O)-O(-C-Cアルキル)、-C(O)OH、-C(O)-H、または-C(O)-(C-Cアルキル)のうちの1つ以上の基で置換されていてもよい。誤解を避けるために、3-5員の単環式複素環式ケトンは、環構造内のN原子にケトンエノール化可能カルボニル基が隣接しているアミド基を含まない。
【0033】
本明細書で使用される「ハロ」という用語は、-F、-Cl、-Brまたは-Iを指す。
「エノール化可能カルボニル」という用語は、1つ以上のカルボニル官能基を有する化合物であって、カルボニル官能基のうちの少なくとも1つがアルファ水素(Hα)を有しており、このアルファ水素(Hα)が以下の反応スキームに示すように塩基によって除去されることでエノラートを次にエノールを形成する化合物を意味する。
【0034】
【化4】
本明細書で使用されるエノール化可能カルボニルという用語は、アルデヒド官能基のみを有する化合物、カルボン酸官能基のみを有する化合物、アミド官能基のみを有する化合物、アシルハライド官能基のみを有する化合物、またはアセチルアセトンを含まないことを理解されたい。本発明のエノール化可能カルボニルには、本明細書に例示され式Iおよび式IIで定義されるものが含まれるが、これらに限定されず、以下のエノール化可能カルボニルも含まれる。すなわち、1--アセトナプトン、2-アセトナフトン、4-メチル-1-アセトナフトン、1’-ヒドロキシ-2’-アセトナフトン、2’-ヒドロキシ-1’-アセトナフトン、2-メトキシ-1-アセトナフトン、4-フルオロ-1-アセトナフトン、2-アセチルフェナントレン、3-アセチルフェナントレン、4-アセチルフェナントレン、9-アセチルフェナントレン、6-ブロモ-9-アセチルフェナントレン、9-フルオロ-10-アセチルフェナントレン、9-フルオレノン、9-フルオレノンオキシム、2-ニトロ-9-フルオレノン、3-ニトロ-9-フルオレノン、4-ニトロ-9-フルオレノン、2,6-ジニトロ-9-フルオレノン、2,7-ジニトロ-9-フルオレノン、2,3,7-トリニトロ-9-フルオレノン、2-フルオロ-9-フルオレノン、1-ブロモ-9-フルオレノン、2-ブロモ-9-フルオレノン、2,7-ジクロロ-9-フルオレノン、2,7-ジブロモ-9-フルオレノン、2-ヒドロキシ-9-フルオレノン、4-ヒドロキシ-9-フルオレノン、1-メチルフルオレン-9-オン、4-メチルフルオレン-9-オン、3,4-ジヒドロ-2(1H)-キノリノン、7-ヒドロキシ-3,4-ジヒドロ-2(1H)-キノリノン、6-ヒドロキシ-3,4-ジヒドロ-2(1H)-キノリノン、8-ブロモ-2,3-ジヒドロ-4(1H)-キノリノン、3-ブチル-4-ヒドロキシ-1-メチル-2(1H)-キノリノン、6-フルオロ-4,4-ジメチル-3,4-ジヒドロ-2(1H)-キノリノン、8-フルオロ-4,4-ジメチル-3,4-ジヒドロ-2(1H)-キノリノン、2,6-ジメチル-4(1H)-キノリノン、3-ブチル-4-ヒドロキシ-1-メチル-2(1H)-キノリノン、1-インダノン、5,6-ジメトキシ-1-インダノン、6-ブロモ-1-インダノン、6-メトキシ-1-インダノン、2-ブロモ-1-インダノン、4-ブロモ-1-インダノン、5-ブロモ-1-インダノン、5-クロロ-1-インダノン、6-クロロ-1-インダノン、4,7-ジメチル-1-インダノン、2-メチル-1-インダノン、4-メチル-1-インダノン、5-フルオロ-1-インダノン、6-フルオロ-1-インダノン、6-(トリフルオロメチル)-1-インダノン、4-メトキシ-1-インダノン、3,5-ジメトキシ-1-インダノン、4,7-ジメトキシ-1-インダノン、5-ヒドロキシ-1-インダノン、4-ヒドロキシ-1-インダノン、7-ヒドロキシ-1-インダノン、2-インダノンオキシム、2,2-ジ(メチルチオ)-1-インダノン、(2,4-ジメトキシフェニル)アセトン、3,5-ジメトキシアセトフェノン、4-(4-メトキシフェニル)-2-ブタノン、3-メトキシフェニルアセトン、4-メトキシアセトフェノン、4-メトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,5-ジメチルフェニルアセトン、3,4,5-トリメトキシフェニルアセトン、4-ヒドロキシ-3-フェニルブタン-2-オン、3-ヒドロキシ-4-フェニルブタン-2-オン、3-ヒドロキシ-3-フェニルブタン-2-オン、4-ヒドロキシ-4-フェニルブタン-2-オン、1-ヒドロキシ-3-フェニルブタン-2-オン、3-ヒドロキシ-1-フェニルブタン-2-オン、3-ヒドロキシ-1,3-ジフェニルブタン-2-オン、4-ヒドロキシフェニルアセトン、3,4-ジヒドロキシフェニルアセトン、4-ニトロフェニルアセトン、アセトフェノン、4-メチルアセトフェノン、ベンジルアセトン、3-メチルフェニルアセトン、4-メチルフェニルアセトン、4-エチルフェニルアセトン、1-フェニルブタン-2-オン、3-フェニルブタン-2-オン、4-フェニルブタン-2-オン、1-ブロモ-4-フェニルブタン-2-オン、3-メチル-1-フェニルブタン-2-オン、3-メチル-4-フェニルブタン-2-オン、エチルフェニルケトン、ブチルフェニルケトン、シクロプロピルフェニルケトン、シクロペンチルフェニルケトン、シクロブチルフェニルケトン、シクロヘキシルフェニルケトン、2-フェニルシクロペンタノン、3-フェニルシクロペンタノン、2-フェニルシクロヘキサノン、3-フェニルシクロヘキサノン、2-フェニルシクロヘプタノン、3-フェニルシクロヘプタノン、4-クロロフェニルアセトン、4-クロロ-2-フェニルアセトフェノン、2,6-ジクロロフェニルアセトン、3-クロロフェニルアセトン、2,6-ジフルオロフェニルアセトン、1-ブロモ-1-フェニルブタン-2-オン、3-ブロモ-4-フェニルブタン-2-オン、1-ブロモ-4-フェニルブタン-2-オン、3-クロロ-4-フェニルブタン-2-オン、2-アセチルチオフェン、シクロプロピル-2-チエニルケトン、2-アセチルフラン、2-フリルメチルケトン、1-アセチルピロール、2-アセチルピロール、4-メチル-2-フェニルアセトフェノン、1,3-ジフェニルアセトン、4,4-ジフェニルブタン-2-オン、ベンゾフェノン、4-ナフチルフェニルケトン、2-ベンゾイルピリジン、3-ベンゾイルピリジン、4-ベンゾイルピリジン、2-(4-クロロベンゾイル)ピリジン、2-ベンゾイルチオフェン、2-ベンゾイルピロール、ジ(3-チオフェニル)メタノン、3-フェニル-1-(2-チエニル)-2-プロペン-1-オン、およびピペロニルアセトン。
【0035】
「第三級アミン含有化合物」という用語は、好ましくは、少なくとも1つの第三級アミン基を有する化合物を意味するが、この化合物は2つ以上の第三級アミン基を有してもよく、さらには第三級アミン含有化合物の混合物であってもよいことを理解されたい。好ましくは、第三級アミン含有化合物は、ルイス塩基などの塩基である。塩基がルイス塩基である場合、エノール化可能カルボニルとともにルイス付加物が形成されてよいことが想定される。一実施形態において、第三級アミン含有化合物は、ある標準圧力雰囲気下で摂氏20度以上で水に対して非混和性であることが好ましい。溶液は、2つ以上の第三級アミン含有化合物の組み合わせを含んでもよい。第三級アミン含有化合物は、脂肪族、共役、非対称、または環状、またはそれらの組み合わせであってよい。
【0036】
適切な第三級アミン含有化合物の例には、以下のものが含まれる。
【0037】
【化5】
一実施形態では、第三級アミン含有化合物は、1-エチルピロリジン、2-メチルピリジン、N-メチルピペリジン、および4-エチルモルホリンから選択される。
【0038】
一実施形態では、第三級アミン含有化合物はN(C-Cアルキル)から選択される。別の実施形態では、第三級アミン含有化合物はN(C-Cアルキル)から選択される。さらに別の実施形態では、第三級アミン含有化合物はN(Cアルキル)すなわちトリエチルアミン)である。
【0039】
上で列記した第三級アミン含有化合物は、工業規模での生産にとって十分に単純なものであると理解される。
本発明は、第1の水溶液から塩を回収するのに適した塩回収溶液に関し、塩回収溶液は、
a)少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と、
b)少なくとも1つのエノール化可能カルボニルとを備える。
【0040】
一実施形態では、塩回収溶液は
a)少なくとも1つの第三級アミン含有化合物と、
b)式Iの少なくとも1つのエノール化可能カルボニルとを備え、
【0041】
【化6】
c)RおよびRは独立して、-C-Cアルキルまたは-C-C単環から選択されるか、または
d)RとRの一方が-O-(C-Cアルキル)から選択され、他方が-C-Cアルキルから選択されるか、または
e)RおよびRは、式Iの前記カルボニルと一緒になって、3-15員の単環式ケトンまたは3-15員の単環式複素環式ケトンを形成する。
【0042】
別の実施形態では、塩回収溶液は、式IIの少なくとも1つのエノール化可能カルボニルを備え、
【0043】
【化7】
Xは、S、NまたはOから選択されるヘテロ原子を任意に含む5-8員の芳香族単環であり、
各Rは、存在する場合には、ハロ、ヒドロキシ、-NO、C-Cアルキル、または-O-(C-Cアルキル)から独立して選択され、
は、ハロ;-O-(C-Cアルキル);ハロ、ヒドロキシ、-O-(C-Cアルキル)またはC-C単環で任意に置換されたC-Cアルキル;またはハロ、ヒドロキシ、C-Cアルキルまたは-O-(C-Cアルキル)で任意に置換されたC-C単環;から選択され、
mは0、1、2または3個の炭素であり、各炭素は、ハロ;ヒドロキシ;ハロまたはヒドロキシで任意に置換されたC-Cアルキル;C-Cアルキル;O-(C-Cアルキル);またはC-C単環から選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換され、
nは0、1、2、または3である、
別の態様では、本発明は、第1の水溶液から塩を回収するプロセスを提供し、このプロセスは、
(a)前記塩を含有する前記第1の水溶液を塩回収溶液に添加するステップと、
(b)前記塩回収溶液を通過する際に前記塩を沈殿させるステップと
を含む。
【0044】
プロセスは非膜プロセスである。
プロセスは非浸透圧プロセスである。
塩回収溶液は、非膜非浸透圧プロセスで使用される。
【0045】
一実施形態では、プロセスは最小液体排出プロセスである。
一実施形態では、プロセスはゼロ液体排出プロセスである。
さらなる実施形態では、プロセスは、塩回収溶液内に保持された水をさらに放出するために塩回収溶液に添加剤を添加するさらなるステップを含む。一実施形態では、添加剤はクエン酸である。一実施形態では、クエン酸は、水1リットル当たり約200-450グラムのクエン酸を含むクエン酸濃縮溶液である。別の実施形態において、クエン酸は、塩回収溶液に直接添加される無水クエン酸である。
【0046】
さらなる実施形態では、塩回収溶液が回収される。さらなる実施形態では、塩回収溶液は、さらなる分離プロセスで使用するためにリサイクルされる。さらなる実施形態では、プロセスは連続プロセスである。
【0047】
第三級アミン含有化合物とエノール化可能カルボニルとのモル比は、広範囲で異なってよく、約1:99からまたは99:1、または約1:50からまたは50:1、または約1:10からまたは10:1、または約1:5からまたは5:1、または約1:3から、または約3:1から、または約1:2から、または約2:1からあってよい。好ましい実施形態では、前記モル比は約1:1である。化学技術者であれば、塩回収溶液を使用する目的に応じて最適なモル比を通常のやり方で(routinely)求めることができる。
【0048】
さらなる実施形態では、第1の水溶液は塩水またはブライン溶液である。
実施例
本明細書に記載された実施例は、本発明の特定の実施形態を例示する目的で提供され、決して本発明を限定することを意図していない。当業者は、本明細書の開示および教示を利用して、過度の実験を行うことなく他の実施形態および変形例を生成できる。そのような実施形態および変形例はすべて、本発明の一部とみなされる。
【0049】
実施例1
最初の実施例では図1に示すように、トリエチルアミン(TEA)とメチルエチルケトン(MEK)を0.5:1のモル比で使用して塩回収溶液を調製した。その塩回収溶液に飽和塩化ナトリウム塩溶液を注いだ(図1のステップ1を参照)。飽和塩溶液を数滴加えた後、直ちに、水から塩の結晶が分離して底に沈殿することが観察された(図1のステップ2を参照)。分離した水は、バイアルの底に塩の沈殿物を伴う水性層を形成した。この水性層とともに塩回収溶液をデカントし、その後、塩を乾燥させた。このようにして、塩回収溶液を使用することで、液体の排出なしで、飽和塩溶液からの塩の回収が実証された。また、バイアルの底に別個の水性層が形成されていたというのに、塩回収溶液に吸収されている少量の水があることも認識された。そこで、塩回収溶液から水を脱着させるのを補助するための添加剤として、弱酸であるクエン酸を使用した。このステップは(図1のステップ3を参照)、塩回収溶液をさらなる分離に使用するためまたは連続分離プロセスで使用するために、塩回収溶液からすべての水を脱着して水から塩を分離する塩回収溶液の能力を回復させ、システムを再度構築するのに必要であった、5滴程度の少量の飽和クエン酸を加えると、バイアルの底に水の薄層が現れることが観察された。さらに、このクエン酸は、塩回収溶液相に保持されるのではなく、水相(aqueous phase)に洗い流されることが立証されている。したがって、クエン酸溶液の使用によって塩回収溶液から水が抽出された。最後のステップは(図1には示さず)、リサイクルされた塩回収溶液の塩析(salt-out)能力が回復したかどうかを確認するためのものであった。塩溶液から塩回収溶液を取り出し、その後、追加の飽和塩溶液をその塩回収溶液に滴下して塩を沈殿させられるかすなわち塩回収溶液を再利用できるかどうかを確かめるために再試験した。リサイクルされた塩回収溶液は、その塩回収溶液に注がれた2度目の飽和塩溶液から塩を効果的に分離できることがわかった。塩回収溶液の通過後に試験バイアルの底に塩が再び沈殿した。バイアル内の非水性(non-aqueous)塩回収溶液層の下に同様の水性・沈殿物層が形成された。
【0050】
実施例2…50,000ppmおよび100,000ppmのNaClブライン溶液からの塩回収
トリエチルアミン(TEA)とメチルエチルケトン(MEK)を0.5:1のモル比で使用して、塩回収溶液を調製した。2つのブライン溶液を調製した。一方のブライン溶液は、塩化ナトリウムを50グラム/リットル(50,000ppmNaCl)の濃度で含み、他方のブライン溶液は、塩化ナトリウムを100グラム/リットル(100,000pmNaCl)の濃度で含む。これらブライン溶液を10mLの塩回収溶液に個別に注いだ。塩が直ちに沈殿することが観察された。バイアルの底に薄い水相が観察されるとすぐに塩回収溶液へのブライン溶液の添加を停止した。これは、塩回収溶液の最大吸収能力に達したことを示す。水性層が発達し始めたときまでに添加されたブライン溶液の体積を記録した。50000ppmのNaClブライン溶液についての結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
表1から、完全な吸水のための塩回収溶液と50000ppmのNaClブライン溶液との比は約29:1であった。100000ppmのNaClブライン溶液についての結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
表2から、完全な吸水のより大規模なプロセスの場合には、水の完全吸収を確実にしてブラインのキャリーオーバーを回避するために、塩回収溶液とブライン溶液との比率をより高くしてプロセスを運用することを推奨する。入力した塩濃度を測定し、50000ppmのNaCl溶液と100000ppmのNaCl溶液の両方をそれぞれ0.2mL、0.5mL、および1mL含むサンプルの乾燥重量を記録した。入力塩の結果を表3に示し、塩回収率の結果を表4に示す。以下のように出力塩濃度を求めた。
【0053】
0.20mLと0.40mLのブラインを10mLの塩回収溶液に加えた。
ブラインからの水が塩回収溶液に吸収され、塩が沈殿した。
沈殿した塩をガラスバイアルの底に一晩沈ませた。
【0054】
(ブラインから水を吸収した)希釈塩回収溶液をきれいなバイアルにろ過して注いだ
150℃で動作するブロックヒーターで完全に乾燥させた後の(出力)塩の乾燥重量を測定し記録した(表3)。
【0055】
次の式で塩回収率を求めた。
((出力)塩の乾燥重量/(入力)塩の乾燥重量)×100
結果
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
塩回収…上記の結果から、ブラインの添加体積が塩回収溶液の最大吸収能力をわずかに下回る場合、ブライン溶液から約100%の塩と水の回収を達成可能であることが見て取れる。塩回収率のばらつきは、実験の規模の小ささに対する回避できない誤差に起因する可能性がある。
【0058】
塩回収溶液の最大吸収能力の時点…塩回収%の減少は、最適化されていない結晶化とろ過プロセスでの質量損失によるものであろう。ブラインが過剰になると、体積の少なさと実験誤差のために計算が難しくなる。
【0059】
脱塩率
脱塩率は、ブラインから塩回収溶液に水だけが吸収されており、塩回収溶液がブラインから実質的にすべての塩を除去していることを示すものとして見積もった。純水(pure water)、純粋な(neat)ブライン溶液、および濃縮塩回収溶液の導電率を測定した。10mLの濃縮塩回収溶液に対し、さまざまな体積のブライン溶液を添加し、希釈塩回収溶液の導電率(濃縮塩回収溶液+吸収水)を測定した(表5)。ブライン溶液と乾燥濃縮塩回収溶液の導電率を比較した。次の式で脱塩率を計算した。
【0060】
【数1】
【0061】
【表5】
99%を超える脱塩率は、ブライン溶液からの塩の完全な沈殿があり、塩回収溶液に入ろうとする残留塩がないという事実を示す。ブラインから吸収された水を伴った塩回収溶液の導電率測定は蒸留水を伴った塩回収溶液の導電率測定と同等であるため、ブラインから吸収された水には塩がないと結論付けることができる。上記の例から、ブラインに対する塩回収溶液の体積比が25を超える場合、50000ppmのNaCl溶液と100000ppmのNaCl溶液の両方からすべての水を吸収できると結論付けることができる。大規模プロセスでは、飽和ブライン溶液の形成を避けるために、およびすべての水を吸収することで100%の塩回収率を得るために、より高い体積比での運用を推奨する。実施例2の結果から、ブラインの添加体積が塩回収溶液の最大能力を下回る場合、回収率は100%に近いことが見て取れる。水和物形成、実験誤差および機器誤差などの要因を考慮に入れるべきである。導電率の結果に基づくと、両方のブライン溶液で99.99の平均脱塩率が観察される。これは、ブライン溶液から塩を完全に沈殿させていることを意味する。塩回収溶液は、伝統的な処理システムとは異なり、熱効率の良い手法で溶液の供給体積を最小化することにより、100%に近い塩と水の回収を達成できる。研究室規模での上記結果は、吸収プロセス中に塩回収溶液に入ろうとする塩がないこと、および、吸収された水の純度が比較的高いことを示す。
【0062】
実施例3…工業操業からのブライン溶液の塩回収
表6に示すような組成を有する工業操業からのブライン溶液(ブラインサンプル1、2、および3)を得た。
【0063】
【表6】
サンプル1、サンプル2、およびサンプル3の組成を有するブラインの各々を、上記の塩回収溶液10mLに、特にモル比1:2のトリエチルアミン(TEA)とメチルエチルケトン(MEK)を使用したものに、個別にゆっくりと添加した。ブラインからの水は塩回収溶液によって吸収され、塩が沈殿し始めた。振とう後、バイアルの底に別の相の泡が観察されるまで、各ブライン溶液の添加を続けた。当該別の相の泡は水を含んでおり、それはもはや塩回収溶液によって吸収されないものであり、塩回収溶液の最大水吸収能力に到達したことを示す。各サンプルについて水性層が形成し始めたときの体積(5回繰り返し)を記録した。結果を表7に示す。
【0064】
【表7】
表7から、吸収能力の観点で、3つのブラインサンプル間に非常に大きなばらつきがあることが見て取れる。ブラインサンプル1の能力は0.81mL(±0.04)で最も高く、ブラインサンプル2の能力は0.15mL(±0.03)で最も低い。これは、各商業用ブラインサンプルの塩組成と濃度が異なることを反映しており、塩回収処理の前にどんなブライン組成なのかを知ることの重要性を示す。10mLの塩回収溶液の平均最大吸収能力に達すると、塩回収溶液は希釈され、水を吸収して塩を沈殿させることを効果的に行えなくなる。大規模プロセスの場合、水の完全な吸収を確実にしブラインのキャリーオーバーを回避するためにブライン溶液に対する塩回収溶液のより高い比率を採用するのが望ましいと理解されたい。
【0065】
塩回収溶液の塩と水の回収能力
塩と水の回収能力を計算する際に完全な吸水を確実にするために、以下の実験では最大ブライン吸収能力の80-85%を使用した。これにより、塩回収溶液(モル比1:2のトリエチルアミン(TEA)とメチルエチルケトン(MEK))に添加されたブラインサンプルの量が、ブラインキャリーオーバーのない完全な吸水を確実にする最大吸収濃度よりも十分に低くなることを確実にする。事前に秤量したバイアル内の20mLの塩回収溶液に添加するブラインの量を、次のように最大吸水量よりわずかに下回るように調整した。
【0066】
ブラインサンプル1…1.4mL
ブラインサンプル2…0.24mL
ブラインサンプル3…0.65mL
ブラインと塩回収溶液を混合すると、塩が析出して沈殿した。固形の塩を完全に分離できるようにサンプルを20分間放置した。
【0067】
5mLシリンジを使用して、湿潤塩回収溶液をきれいなバイアルにデカントし、新しいバイアルに塩が移らないように沈殿した塩から湿潤塩回収溶液を慎重に除去した(約17mL、個々のケースごとに実際の量を測定)。残った塩スラリーを110℃で1時間加熱して、残った塩回収材料を除去した。乾燥した塩を冷却後、秤量した。清潔なバイアルの重量を差し引いて回収した塩の重量を得た。結果を表8に示す。
【0068】
【表8】
次の式で塩回収率を求めた。
(出力塩の乾燥重量)/(入力塩の乾燥重量)×100
上記の表8は、回収された塩の割合を計算するために収集された生データの詳細である。「予想される塩」は、各サンプルに加えたのと同じ量の未処理ブラインを110℃のヒートブロックで蒸発させることによって計算した。これにより、各ブラインサンプル内の塩の量を測定でき、初期ブラインの何パーセントが収集されたのかの計算が可能になった(表9を参照)。
【0069】
【表9】
デカントした湿潤塩回収材料を、再生化剤(regenerating agent)または再生剤(0.3-0.5mL)を使用し以下の方法を使用して再生した。濃縮クエン酸溶液(412g/L)または無水クエン酸であった再生化剤を、前のステップからの希釈/湿潤塩回収溶液に加えて、塩回収溶液に吸収された水を分離させた。塩回収溶液の一部が再生液に溶解したことが明らかとなりまたたガスクロマトグラフィーのデータによって示された。図2を参照すると、新鮮な再生剤のガスクロマトグラムは、2.8分の小さなピーク、および、より大きくわずかに尾を引く3.0分のピークを示すことが見て取れる。このより大きなピークは、再生剤の溶媒として使用される水である。その尾部は、水分子と結合する再生剤の材料によって引き起こされると考えられる。4.1分にある尾を引くピークは、塩回収溶液に非常に特徴的なものであり、塩回収溶液の一部が再生剤に浸出したことを明確に示す。このピークの尾を引く形状と最初のピークの重なりのため、再生剤へとクロスオーバーした塩回収溶液の量を正確に定量化することはできないが、多サンプルの半定量的分析によって、塩回収溶液の最大で約15%が再生剤へとクロスオーバーした。このクロスオーバーを最小にするために、再生化剤の使用量ができるだけ少なくなるように選択する。プロセスから回収された水の量を求めるために、体積既知の再生化剤を希釈塩回収溶液に加えた。再生化剤は、希釈塩回収溶液から水を除去して、濃縮塩回収溶液を残した。再生化剤と濃縮塩回収溶液の密度差により、(今では非水性または乾燥になった)濃縮塩回収溶液は頂部に向けて上昇し、今では希釈された再生剤はバイアルの底へと沈降する。底部の水性層を注意深くメスシリンダーに移した。表10には回収された体積が記録されている。次式を使用して水性層の体積を測定した。
回収された水の体積(mL)=水性相の体積(mL)-再生剤の体積(mL)
次式によって水分回収率を計算した(表10)。
(回収された水の体積)/(添加したブラインの体積)×100
【0070】
【表10】
下記の表11は、テストした各ブラインの3つのサンプルにわたる水と塩の平均回収率を示す。塩回収の大半は100%以上である。これはおそらく、ブライン中の塩と塩回収溶液との間の相互作用があることを示しており、この相互作用によって塩が塩回収溶液と結合し、蒸発だけで水を除去する場合と比較して重量が増加したのであろう。
【0071】
【表11】
上記の結果から、ブラインの添加量が塩回収溶液の最大吸収能力をわずかに下回る場合、ブライン溶液から100%の塩と水の回収を達成することが可能であることが見て取れる。塩回収に見られるばらつきは、塩の水和と実験規模の小ささによる避けられない誤差に起因する可能性があると理解されたい。
【0072】
上記の重量測定データを支持するために、ガスクロマトグラムトレースの例を図3に示す。図3は、水のピークに焦点を合わせたブラインサンプル1のガスクロマトグラフの例を示す。黒い(実線)トレースは、ブラインサンプルを添加する前の塩回収溶液である。第2のトレース(長い破線)は、ブラインサンプル追加後の含水量を示し、明らかな強度増加を示す。第3のトレース(点線)は、再生剤を使用して塩回収溶液から水を放出させた後すなわち乾燥後の含水量を示し、含水量がブラインサンプルを添加する前のものとほぼ同じに戻ったことを明確に示す。このことは、塩回収溶液が再生され、再利用可能になったことを示す。
【0073】
SUPELCO WATERCOL1910カラムを取り付けたSHIMADZU2030ガスクロマトグラフですべてのGCデータを収集した。GCパラメータを次のように設定した。
パラメータ設定
注入量…1.0μL
注入温度…250℃
注入モード…スプリット
スプリット比…100.0
キャリアガス…He
キャリアガス圧力…53.1kPa
カラム流量…0.93mL/min
ライナ(Liner)速度…22.0cm/s
カラム長…30.0m
カラム内径…0.32
カラム法…アイソクラティック
カラム温度…163.0℃
総時間…9分
検出器…TCD
TCDサンプルレート…40ミリ秒
TCD電流…70mA
メイクアップガス…He
メイクアップ流…8.0mL/min
TCD温度…200℃
以下の表12は、塩回収溶液を使用して水を吸収した後のブラインの量(GCで測定)と、再生後の塩回収溶液に残ったブライン水(brine water)の量を示す。これは、塩回収溶液から水を除去するのに再生剤がどれほど効果的であったかの尺度となる。表12からわかるように、再生後の塩回収溶液に残る水の量はとても少ない。これは、クエン酸再生剤が塩回収溶液からブライン水のほとんどを除去するのに非常に効果的であることを示す。
【0074】
【表12】
実施例4…塩回収溶液のバリエーション
さまざまな特定モル比のアミン類とケトン類とでさまざまな塩回収溶液を構成した(以下の表13-17を参照)。塩回収溶液のそれぞれについて、選択した塩回収溶液5mLに300000ppmNaClのブラインをゆっくりと添加した。ブラインを添加すると、ブラインからの水が塩回収溶液に吸収され、ブライン中の塩が析出して沈殿した。振とう後、バイアルの底に別の相が形成し始めたらすぐに、ブラインの添加を停止した。当該別の相の存在は、塩回収溶液の最大吸収能力に達したことを示す。この時点で、塩回収溶液に添加したブラインの体積を記録した。上記の実施例2および3で試験したブラインサンプルについて上で説明したように、以下の表13-17で試験したさまざまな塩回収溶液からの塩および水の回収を計算した。この実施例で使用した添加剤/再生剤は、濃縮クエン酸溶液0.3mlであった。次の表13は、塩回収溶液の最大吸収能力と、2-ブタノンとさまざまなアミンとを含むさまざまな塩回収溶液の水回収および塩回収をまとめたものである。次の表13に概説した塩回収溶液の各組み合わせに300000ppmのNaCl溶液を通過させた。この表にリストされている塩と水の回収結果は、1回限りのテストを記録したものである。
【0075】
【表13】
次の表14は、さまざまなケトンとトリエチルアミンとを含むさまざまな塩回収溶液の水回収および塩回収とともに、塩回収溶液の最大吸収能力をまとめたものである。次の表14に示す塩回収溶液の各組み合わせに300000ppmのNaCl溶液を通過させた。この表にリストされている塩と水の回収結果は、1回限りのテストを記録したものである。
【0076】
【表14】
次の表15は、シクロヘキサノンと最大3つのさまざまなアミンとを含むさまざまな塩回収溶液の水回収および塩回収とともに、塩回収溶液の最大吸収能力をまとめたものである。
は、次の表15に概説した塩回収溶液の各組み合わせに300000ppmのNaCl溶液を通過させた。この表にリストされている塩と水の回収結果は、1回限りのテストを記録したものである。
【0077】
【表15】
次の表16は、最大2種類のケトンと最大2種類のアミンとを含むさまざまな塩回収溶液の水回収および塩回収とともに、塩回収溶液の最大吸収能力をまとめたものである。
次の表16に概説した塩回収溶液の各組み合わせに300000ppmのNaCl溶液を通過させた。この表にリストされている塩と水の回収結果は、1回限りのテストを記録したものである。
【0078】
【表16】
次の表17は、最大3種類のケトンと最大3種類のアミンとを含むさまざまな塩回収溶液の水回収および塩回収とともに、塩回収溶液の最大吸収能力をまとめたものである。
次の表16に概説した塩回収溶液の各組み合わせに300000ppmのNaCl溶液を通過させた。
この表にリストされている塩と水の回収結果は、1回限りのテストを記録したものである。
【0079】
【表17】
表13-17に示した結果から、アミンとケトンの様々な組み合わせが塩回収溶液として成功裏に使用できることが理解されよう。
【0080】
実施例5-塩回収溶液と、水回収によるブライン濃縮におけるその使用
初期の5%(w/w)NaCl溶液を作成した。この初期溶液から5%、2.5%、1.25%および0.625%の一連の希釈液を作成した。これらの希釈液の浸透圧を測定した。図4に示すように検量線をプロットした。図4に示すように、キャリブレーションプロットから近似線の式とR値を求めた。この式を使用して、塩回収溶液を使用してブライン溶液を濃縮した後のNaClの未知の濃度を以下に説明するように計算した。
【0081】
トリエチルアミン(TEA)とメチルエチルケトン(MEK)、N-エチルピペリジンとシクロヘキサノンを、モル比0.5:1で使用して塩回収溶液を調製した。
1mLの5%NaClブライン溶液(上記で調製した初期NaCl溶液)を、塩回収溶液に1:1から1:20までの異なる比率(体積比)で添加した。これらのサンプルは2つの層に分離した。上層は塩回収溶液であり、下層は濃縮ブラインであった。塩回収溶液の比率を変えると、水性層の塩濃度が増加した。濃縮ブライン層を分離し、浸透圧計を使用してNaCl濃度を測定した。TEA:MEK塩回収溶液の結果を表18、図5および6に示す。
【0082】
【表18】
N-エチルピペリジン:シクロヘキサノン塩回収溶液の結果を表19、図7および8に示す。
【0083】
【表19】
表18、表19および図4-8に示す結果は、元の5%NaCl溶液が2つの異なる塩回収溶液によって濃縮された程度を示す。要するに、初期5%NaCl溶液から水が回収され、この水が塩回収溶液に移動して、初期5%NaCl溶液の濃度へと効果的に導いた。
【0084】
実施例6…塩回収溶液と、水回収によるブライン濃縮におけるその使用
5%NaCl溶液を20%(w/w)硫酸アンモニウム(NHSO)溶液に置き換えたことを除いて、実施例5で説明した実験を繰り返した。
【0085】
初期の20%NHSO溶液(w/w)を作成した。この初期溶液から4つの標準サンプルを作成した。これらのサンプルの浸透圧を測定した。図9に示すように検量線をプロットした。図9に示すように、キャリブレーションプロットから近似線の方程式とR値を求めた。この式を使用して、以下で説明する塩回収溶液を使用してブライン溶液を濃縮した後のNHSOの未知の濃度を計算した。トリエチルアミン(TEA)およびメチルエチルケトン(MEK)を使用して塩回収溶液を調製した。1mLの20%NHSOブライン溶液(上記で調製した初期20%NHSO溶液)を、塩回収溶液に1:5から1:30までの異なる比率(体積比)で添加した。これらのサンプルは2つの層に分離した。上層は塩回収溶液であり、下層は濃縮ブラインであった。塩回収溶液の比率を変えると、水性層の塩濃度が増加した。濃縮ブライン層を分離し、浸透圧計を使用して20%NHSO濃度を測定した。TEA:MEK塩回収溶液の結果を表20、図10に示す。
【0086】
【表20】
図10および表20に示す結果は、塩回収溶液(TEA:MEK)が塩溶液をより高い最終濃度に濃縮できることを示す。要するに、初期NHSO溶液から水が回収され、この水は塩回収溶液に移動して、初期NHSO溶液の濃度へと効果的に導いた。
【0087】
本発明およびその実施形態を詳細に説明した。しかし、本発明の範囲は、本明細書に記載のプロセス、製造、物質の組成、化合物、手段、方法、および/またはステップの特定の実施形態に限定されることを意図していない。本発明の精神および/または本質的な特徴から逸脱することなく、開示された材料に対して様々な修正、置換、および変形を行うことができる。したがって、当業者は、本開示から、本明細書に記載の実施形態と実質的に同じ機能を発揮したり本発明と実質的に同じ結果を達成する、本発明の奏した関連実施形態に従う後からの修正、置換、および/または変形を利用できることを容易に理解するであろう。したがって、以下の特許請求の範囲は、本明細書に開示された組み合わせ、キット、化合物、手段、方法、および/またはステップに対する修正、置換、および変形をその範囲内に包含するものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10