(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】ギアボックスのための内部制御デバイスの位置を検出するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
G01B 21/00 20060101AFI20230609BHJP
F16H 61/00 20060101ALI20230609BHJP
F16H 63/30 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
G01B21/00 A
F16H61/00
F16H63/30
(21)【出願番号】P 2021503573
(86)(22)【出願日】2019-06-04
(86)【国際出願番号】 EP2019064532
(87)【国際公開番号】W WO2020020521
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-05-06
(32)【優先日】2018-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ゲイラード, ファビアン
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102014218495(DE,A1)
【文献】特開2015-178870(JP,A)
【文献】国際公開第2011/096066(WO,A1)
【文献】仏国特許出願公開第02902853(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00-21/32
F16H 61/00
F16H 63/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部制御デバイス(1)の位置を検出するための位置検出デバイスを備える平行軸ギアボックスであって、前記位置検出デバイスが回転選択部材(2)を備え、前記回転選択部材(2)が、少なくとも3つの別々の角度選択位置の間で前記回転
選択部材
(2)の選択位置を検出するために
前記平行軸ギアボックス上に固定されたセンサ(9)と協働する可動標的(7b)を支持
し、前記センサ(9)が、前記
可動標的(7b)の推力の下で直線的な後退行程にわたって移動するピストン(9a)を支持し、前記直線的な後退行程において、前記回転
選択部材(2)の連続的な角度選択位置に対応する複数の隣接する部分が識別されることを特徴とする、
平行軸ギアボックス。
【請求項2】
前記ピストン(9a)のその延長位置とその後退位置との間の前記
後退行程が、第1の歯車列選択位置(A)、歯車の列が選択されない中立位置(B)、および第2の歯車列選択位置(C)にそれぞれ対応する3つの部分を含むことを特徴とする、請求項1に記載の
平行軸ギアボックス。
【請求項3】
前記センサ(9)の前記ピストン(9a)が、その端部により前記
回転選択部材(2)に抵抗力を及ぼしながら、前記
可動標的(7b)の前記推力の下で後退することを特徴とする、請求項1または2に記載の
平行軸ギアボックス。
【請求項4】
前記回転
選択部材(2)が、選択のために前記ピストン(9a)に向かって戻るための弾性要素(8)を備え、前記弾性要素(8)の寸法および予荷重が、前記ピストン(9a)の後退行程に沿った前記ピストン(9a)の前記抵抗力に合わせられることを特徴とする、請求項3に記載の
平行軸ギアボックス。
【請求項5】
前記
可動標的(7b)が、前記回転
選択部材(2)のための選択戻しアーム(7)によって支持されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の
平行軸ギアボックス。
【請求項6】
前記センサ(9)が、
前記ピストン(9a)が完全に後退されたときの、第1の歯車の列上での歯車切換えを可能にする第1の選択信号と、
前記ピストン(9a)が行程の中間にあるときの、2つの歯車の列間の中間位置の検出に関する第2の
検出信号と、
前記ピストン(9a)が完全に延長されたときの、第2の歯車の列上での歯車切換えを可能にする第3の選択信号と、
を、前記
平行軸ギアボックスの制御ユニットに送信することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の
平行軸ギアボックス。
【請求項7】
前記第3の
選択信号が、前記ピストン(9a)が前記
可動標的(7b)との接触を失ったときに送信されることを特徴とする、請求項6に記載の
平行軸ギアボックス。
【請求項8】
前記第1の
選択信号が、前記ピストン(9a)が完全に後退されかつ前記センサ(9)が前記
可動標的(7b)の近接を検出したときに送信されることを特徴とする、請求項7に記載の
平行軸ギアボックス。
【請求項9】
前記第2の
検出信号が、前記2つの歯車の列上でのいかなる歯車切換えをも防ぐことを特徴とする、請求項7に記載の
平行軸ギアボックス。
【請求項10】
さらに並進移動することができる少なくとも1つの切換え部材
を備えることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の平行軸ギアボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平行軸ギアボックスの内部制御に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、回転選択部材を備え、この回転選択部材が、少なくとも3つの別々の角度選択位置の中から回転部材の選択位置を検出するためにギアボックス上に固定されたセンサと協働する可動標的を支持する、平行軸ギアボックスのための内部制御デバイスの位置を検出するためのデバイスに関する。
【0003】
本発明はまた、回転移動することができる選択部材と、並進移動することができる切換え部材と、を備える、この種の位置検出デバイスが設けられた平行軸ギアボックスのための内部制御デバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
平行軸ギアボックス、または機械的ギアボックスでは、歯車の係合は、アイドルピニオンとその周りでアイドルピニオンが回転する軸とを一緒に回転させるスライダの軸方向運動によってもたらされる。歯車の係合は、選択された歯車の列上でなされる。
【0005】
歯車を選択しかつ係合させるための機械的手段は、一般に、例えば中立列によって隔てられた少なくとも2つの選択位置の間で制御軸を中心に回転する選択および連結キーなどの選択部材を含んで、内部制御デバイス内にまとめられる。
【0006】
アクチュエータにより歯車変更が命令される場合、選択キーの角度位置を正確に、確実に、かつ繰り返し知ること、および、選択キーの位置の変化を検出することが、必要である。
【0007】
例えば、2つの歯車の列が15度だけ角度的に離間されている場合、3つ連続した5度の角度間隔をこの空間内で識別することが可能でなければならない:
- 0度から5度の間の第1の歯車列選択位置、
- 5度から10度の間の中間(中立)位置、および、
- 10度から15度の間の第2の歯車列選択位置。
【0008】
選択キーの角度位置を検出するために、キーに固着された標的キャリヤによって支持された磁気標的と、ケーシングの外側に配置された例えばホール効果タイプの固定センサとを使用することが可能である。
【0009】
この種のアレンジメントが、仏国特許出願公開第3,044,065号明細書において説明されかつ図示されている。その精度は、プラスまたはマイナス2度の角度の間である。
【0010】
それぞれおおよそ5度の3つの連続した間隔を検出するには、この精度の水準は不十分である。この精度の水準では、間隔間の移行位置の近くでの切換えが妨げられることになる可能性がある。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、選択部材の角度位置に関する情報を正確に、確実に、かつ繰り返し得ることを目的とする。
【0012】
そのために、本発明は、センサがピストンを支持し、このピストンが、回転部材の連続的な角度選択位置に対応する複数の隣接する部分が識別される直線的な後退行程にわたって標的の推力の下で移動することを提案する。
【0013】
ピストンのその延長位置とその後退位置との間の行程は、第1の歯車列選択位置、歯車の列が選択されない中立位置、および第2の歯車列選択位置にそれぞれ対応する3つの部分を含むことが、好ましい。
【0014】
本発明の1つの特定の実施形態では、位置センサは、
- ピストンが完全に後退されたときの、第1の歯車の列上での歯車切換えを可能にする第1の選択信号と、
- ピストンが行程の中間(mi-course)にあるときの、2つの歯車の列間の中間位置の検出に関する第2の信号と、
- ピストンが完全に延長されたときの、第2の歯車の列上での歯車切換えを可能にする第3の選択信号と、
を、ギアボックスの制御ユニットに送信する。
【0015】
本発明は、添付の図面を参照しながら本発明の非限定的な実施形態に関する以下の説明を読めば、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による検出アレンジメントを含む、ギアボックスのための内部制御デバイスの斜視図である。
【
図2】センサおよび標的の割出し距離(la cote d’indexation)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図よって示された平行軸ギアボックスのための内部制御デバイス1は、回転移動することができる選択部材2と、並進移動することができる少なくとも1つの切換え部材と、本発明による位置検出デバイスとを備える。
【0018】
図1は、歯車の列を選択する回転制御部材2または選択キーを含む、平行軸ギアボックスのための内部制御デバイス1を示す。回転部材2は、歯車の列を選択または選択解除するために、(説明される例示的な実施形態では水平の)制御軸3の周りで両方向に回転する。軸3は、ギアボックスケーシング4の対向部分に取り付けられる。キー2は、軸3の周りで、歯車の列が選択されない「中立」位置を含む複数の角度選択位置をとることができる。
【0019】
すでに選択された選択列において様々な比を切り換えることは、キー2とともに両方向に回転しかつ軸方向に移動する2つの径方向切換えフィンガ5aおよび5bのうちの一方または他方によって引き起こされる。第1の選択位置では、第1のフィンガ5aは、爪6a内に受け入れられ、この爪aは、知られた方法でギアボックスの第1のピニオンの列に接続される。次いで、第2のフィンガ5bは、第2の爪6bから外され、この第2の爪6b自体は、知られた方法でギアボックスの第2のピニオンの列に接続される。
【0020】
制御された電磁アクチュエータ(図示せず)の動作の下で、部材2は、その第1の角度選択位置からその第2の角度選択位置まで、角度的に枢動する。次いで、第1の切換えアーム5aは、第1の爪から外され、第2の切換えアーム5bは、第2の爪6b内に係合する。最後に、アレンジメントは、選択キー2とともに回転する連結キー(図示せず)を備えることができ、この連結キーは、例えば2つのロッキングブロック(図示せず)を含み、ロッキングブロックのそれぞれは、対応する選択ラインが選択されていないときに爪を静止させるために、その関連する爪と交互に協働する。
【0021】
図1および
図3Aは、制御デバイスの第1の角度選択位置Aを示す。第1の角度選択位置Aは、選択キー2に属する径方向アーム7によって決定される。この位置では、アーム7は、ケーシング4の止め具4aを圧迫する。
【0022】
図3Bおよび
図3Cは、アクチュエータにより方向Sに回転駆動される回転選択部材2を示す。キー2は、アクチュエータにより位置Aから離れるように方向Sに回転駆動されるときに、アーム7と協働する弾性戻し手段8により、位置Aに向かって弾性的に戻される。戻し手段は、この例では、アーム7を取り囲むスレッドばね(ressort a fil)8で構成される。
【0023】
図3Aは、位置Aを示す。アクチュエータは、静止している。回転部材2は、第1の選択位置にある。
図3Aでは、アクチュエータは、制御される。これは、部材2を方向Sに回転させる。
図3Bでは、部材2は、その中間角度位置Bにある。
図3Cでは、部材2は、その第2の回転角度選択位置にある。
【0024】
制御、およびアクチュエータへの電気供給が中断されると、キー2は、戻しばね8による負荷の下で、その第1の角度位置Aに向かって弾性的に戻される。
【0025】
内部制御デバイス1の位置検出デバイスは、回転選択部材2に関連付けられる。アーム7は、標的7bを支持する、機械加工された支持面7aを有する。標的7bは、回転部材2の選択位置を検出するために、ギアボックス上に固定されたセンサ9と協働する。検出は、少なくとも3つの別々の角度選択位置の間で行われる。具体的には二重機能接触器で構成されるセンサ9は、標的に面するケーシング4にねじ込まれる。センサ9は、丸みを帯びた端部を含むピストン9aをその端部に備え、丸みを帯びた端部は、標的7bの位置において面7に対接することになる。ピストン9aは、複数の隣接する部分が識別され得る直線的な行程にわたって、標的7bの推力の下で後退する。これらの部分は、制御デバイスの演算装置により、回転部材2の連続的な角度選択位置に関連付けられる。
【0026】
ピストン9aのその後退位置とその延長位置との間の行程は、第1の歯車列選択位置(A)、歯車列が選択されない中立位置(B)、および第2の歯車列選択位置(C)にそれぞれ対応する、3つの部分を含む。
【0027】
図3Aでは、キー2は、第1の歯車の列を選択するための位置で示されている。ピストン9aは、完全に後退されている。センサ9は、支持面7aの近接を検出すると、第1の列の歯車の切換えを可能にするための第1の信号を内部歯車制御デバイスの制御ユニットに送信する。
【0028】
図3Bでは、キー2は、2つの歯車の列の間の中間位置にある。ピストン9aは、行程の中間にある。センサ9aは、その行程の中間位置におけるキーの存在を検出すると、いずれかの列でのいかなる歯車切換えをも防ぐために、制御ユニットに第2の信号を送信する。
【0029】
図3Cでは、選択部材2は、切換え列2に係合する位置にある。ピストン9aは、支持面7aと接触せずに、完全に延長されている。センサ9は、第2の列の歯車の切換えを可能にするための第3の信号を送信する。
【0030】
要約すると、センサ9は、以下の3つの信号を制御ユニットに送信する:
- ピストン8aが完全に後退されたときの、第1の歯車の列上での歯車の切換えを可能にする第1の選択信号、
- ピストン9aが行程の中間にあるときの、2つの歯車の列間の中間位置の検出を示す第2の検出信号、および、
- ピストン9aが完全に延長されたときの、第2の歯車の列上での歯車の切換えを可能にする第3の選択信号。
【0031】
第3の信号は、ピストン8aが標的7bとの接触を失ったときに送信されることが好ましい。
【0032】
第2の信号は、いずれかの歯車の列上でのいかなる歯車切換えをも防ぐ。
【0033】
第1の信号は、ピストン8aが完全に後退されかつセンサ8が標的7baの近接を検出したときにのみ送信されることが可能である。
【0034】
ピストン9aとアーム5上の支持面7aとの間の接触域の正確な位置は、センサおよび標的の割出し距離Lにより、
図2に示される。距離Lは、応力、ピストンの行程、または他の要因次第で、ケーシング4内のセンサ9の正確な位置に応じて変化し得る。説明された実施形態では、接触は、キー2のアーム7上で起きて、制御デバイスを選択に戻す働きをする。しかし、それは、本発明の範囲から逸脱することなしに、他の場所に、具体的にはキーに追加される特定のアームに配置されてもよい。標的は、平坦、ドーム状、などであってよい。
【0035】
センサ9は、そのピストン9aの端部により、回転選択部材2に抵抗力を印加する。この力は、ピストン9aの位置によって変化する。上記のように、回転部材2は、選択へ戻るための弾性要素8を備える。この要素は、回転部材2をピストン9aに向かって戻し、その寸法および予荷重は、ピストンの後退行程に沿ったピストンの抵抗力に合わせられる。