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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】マイクロ輸送装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 45/047 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
F04B45/047 C
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019067231
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2019203498
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-05-07
(31)【優先権主張番号】107117277
(32)【優先日】2018-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】508252837
【氏名又は名称】研能科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Microjet Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】NO. 28, R&D 2nd Rd. Science-Based Industrial Park, Hsin-Chu, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】莫皓然
(72)【発明者】
【氏名】黄啓峰
(72)【発明者】
【氏名】韓永隆
(72)【発明者】
【氏名】郭俊毅
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-133515(JP,A)
【文献】特開平04-101082(JP,A)
【文献】実開昭63-009481(JP,U)
【文献】特開2006-200524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 45/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ輸送装置であって、入気板と共振シートと圧電アクチュエータとを備え、
前記入気板は、少なくとも1つの入気孔と、少なくとも1つの合流ガイド孔と、合流チャンバーとを備え、前記少なくとも1つの入気孔がガス導入に用いられ、前記少なくとも1つの合流ガイド孔の一端が前記少なくとも1つの入気孔と連通され、他端が前記合流チャンバーと連通され、前記少なくとも1つの入気孔に輸送されたガスを前記合流チャンバーに合流させるように導入し、
前記共振シートは、中空孔を有し、前記入気板の前記合流チャンバーに対応し、
前記圧電アクチュエータは、浮揚板と、外枠と、少なくとも1つのブラケットと、圧電素子とを備え、
前記浮揚板の直径が4mm~8.5mm(ただし、7.5mm以上を除く)であり、且つ第1表面と第2表面とを有し、
前記外枠は、前記浮揚板の周縁に周設され、且つ取付表面と外枠底面とを有し、
前記少なくとも1つのブラケットは、前記浮揚板と前記外枠との間に接続され、弾性力を提供して前記浮揚板を支持し、
前記圧電素子は、前記浮揚板の前記第1表面に貼り付けられ、
前記共振シートは、前記圧電アクチュエータの前記外枠の前記取付表面に積層して設けられ、前記入気板は前記共振シートに積層して設けられ、且つ、前記圧電アクチュエータと前記共振シートとが順次積層して設けられ、前記共振シートと前記圧電アクチュエータとの間にチャンバー間隔を有し、第1チャンバーを形成し、前記圧電アクチュエータが電圧印加により駆動されると、ガスが前記入気板の前記少なくとも1つの入気孔より導入され、前記少なくとも1つの合流ガイド孔を介して前記合流チャンバーに合流され、前記共振シートの前記中空孔を通って前記第1チャンバーに流れ込み、最後に、前記圧電アクチュエータの前記少なくとも1つのブラケットの間の空隙を通って下方に輸送され、ガスを継続的に排出し、前記浮揚板の前記第2表面と前記外枠の前記取付表面とが非共平面であり、且つ前記浮揚板の前記第2表面と前記共振シートとの間に前記チャンバー間隔を維持し、前記チャンバー間隔は、前記浮揚板と前記外枠との間に前記少なくとも1つのブラケットを形成することで調整する、ことを特徴とするマイクロ輸送装置。
【請求項2】
前記浮揚板の前記第2表面は前記外枠の前記取付表面よりも低く、且つ前記浮揚板の前記第1表面は前記外枠の前記外枠底面よりも低い、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ輸送装置。
【請求項3】
前記外枠と前記少なくとも1つのブラケットと前記浮揚板とが皿状構造を呈する、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ輸送装置。
【請求項4】
前記浮揚板の前記第2表面は凸部を有し、前記凸部は凸部上面を有し、前記凸部上面と前記外枠の前記取付表面とが非共平面であり、且つ前記凸部上面は前記外枠の前記取付表面よりも低く、前記凸部は、円形凸状構造であり、直径が前記浮揚板の直径の0.4~0.5倍である、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ輸送装置。
【請求項5】
前記圧電素子は、円形状であり、且つ直径が前記浮揚板の直径よりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ輸送装置。
【請求項6】
集気板を更に備え、前記集気板は、第1貫通孔と第2貫通孔と第1減圧チャンバーと第1出口チャンバーと基準表面とを有し、前記第1出口チャンバーは凸部構造を有し、前記凸部構造の高さは前記集気板の前記基準表面よりも高く、前記第1貫通孔と前記第1減圧チャンバーとが互いに連通され、前記第2貫通孔と前記第1出口チャンバーとが互いに連通され、前記集気板と前記圧電アクチュエータと前記共振シートと前記入気板とが順次積層して設けられ、且つ前記共振シートと前記圧電アクチュエータとの間の前記チャンバー間隔が前記第1チャンバーを形成し、前記圧電アクチュエータが駆動されると、ガスが前記入気板の前記少なくとも1つの入気孔より導入され、前記少なくとも1つの合流ガイド孔を介して前記合流チャンバーに合流され、前記共振シートの前記中空孔を通って前記第1チャンバーに流れ込み、最後に、前記圧電アクチュエータの前記少なくとも1つのブラケットの間の前記空隙より下方に前記集気板まで輸送され、且つ前記集気板の表面にはガス収集チャンバーを備え、前記ガス収集チャンバーと前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが互いに連通される、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ輸送装置。
【請求項7】
前記マイクロ輸送装置とマイクロバルブ装置とを組み合わせてマイクロ流体制御装置を構成し、前記マイクロバルブ装置は、バルブシートと出口板とを備え、
前記バルブシートはバルブ孔を有し、前記バルブ孔が前記集気板の前記凸部構造に対応して位置され、
前記出口板は減圧貫通孔と出口貫通孔と第2減圧チャンバーと第2出口チャンバーと基準表面とを備え、前記基準表面が前記第2減圧チャンバーと前記第2出口チャンバーとを凹設し、前記減圧貫通孔が前記第2減圧チャンバーの中心部に設けられ、前記減圧貫通孔の端部に凸部構造を有し、前記凸部構造の高さは前記出口板の前記基準表面よりも高く、前記出口貫通孔と前記第2出口チャンバーとが互いに連通され、前記第2減圧チャンバーと前記第2出口チャンバーとの間に連通流路を有し、
前記バルブシートと前記出口板とが順次積層され、且つ前記マイクロ輸送装置の前記集気板に位置決めされ、前記出口板の前記減圧貫通孔が前記集気板の前記第1貫通孔に対応し、前記出口板の前記第2減圧チャンバーが前記集気板の前記第1減圧チャンバーに対応し、前記出口板の前記第2出口チャンバーが前記集気板の前記第1出口チャンバーに対応し、前記バルブシートが前記集気板と前記出口板との間に設けられ、前記第1減圧チャンバーと前記第2減圧チャンバーとの連通を遮断し、前記バルブ孔が前記第2貫通孔と前記出口貫通孔との間に位置され、ガス気流により前記集気板の前記凸部構造を離れ、ガスが前記マイクロ輸送装置に導入され、前記バルブ孔を通って前記出口貫通孔に導入され、圧力蓄積作業が行われ、前記出口貫通孔に排出されたガスが前記バルブシートを制御し、前記バルブ孔と前記集気板の前記凸部構造とが当接して前記バルブ孔を封止し、前記排出されたガスが前記連通流路を介して前記第2減圧チャンバーに流れ込み、前記バルブシートが前記出口貫通孔と前記第1減圧チャンバーと前記第1出口チャンバーとの連通を遮断し、前記バルブシートと前記出口板の前記凸部構造とが当接せず、前記減圧貫通孔を開放し、前記排出されたガスを前記減圧貫通孔より流出させ、圧力解放作業を行い、
前記マイクロバルブ装置の前記出口板は、少なくとも1つの位置制限構造を備え、前記少なくとも1つの位置制限構造が前記第2減圧チャンバーに設けられ、且つ、前記マイクロ輸送装置の前記集気板の前記第1減圧チャンバーと前記第1出口チャンバーとが、前記ガス収集チャンバーの前記基準表面に対応して形成される、ことを特徴とする請求項6に記載のマイクロ輸送装置。
【請求項8】
マイクロ輸送装置であって、少なくとも1つの入気板と少なくとも1つの共振シートと少なくとも1つの圧電アクチュエータとを備え、
前記少なくとも1つの入気板は、少なくとも1つの入気孔と少なくとも1つの合流ガイド孔と少なくとも1つの合流チャンバーとを有し、前記少なくとも1つの入気孔はガス導入に用いられ、前記少なくとも1つの合流ガイド孔の一端が前記少なくとも1つの入気孔と連通され、他端が前記合流チャンバーと連通され、前記少なくとも1つの入気孔のガスを前記合流チャンバーに合流させるように導入し、
前記少なくとも1つの共振シートは、少なくとも1つの中空孔を有し、前記入気板の前記合流チャンバーに対応し、
前記少なくとも1つの圧電アクチュエータは、少なくとも1つの浮揚板と少なくとも1つの外枠と少なくとも1つのブラケットと少なくとも1つの圧電素子とを備え、
前記少なくとも1つの浮揚板の直径が4mm~8.5mm(ただし、7.5mm以上を除く)であり、且つ少なくとも1つの第1表面と少なくとも1つの第2表面とを有し、
前記少なくとも1つの外枠は、前記浮揚板の周縁に周設され、且つ少なくとも1つの取付表面と少なくとも1つの外枠底面とを有し、
前記少なくとも1つのブラケット、前記浮揚板と前記外枠との間に接続され、弾性力を提供して前記浮揚板を支持し、
前記少なくとも1つの圧電素子は、前記浮揚板の前記第1表面に貼り付けられ、
前記共振シートは、前記圧電アクチュエータの前記外枠の前記取付表面に積層して設けられ、前記入気板は、前記共振シートに積層して設けられ、且つ、前記圧電アクチュエータと前記共振シートとが順次積層して設けられ、前記共振シートと前記圧電アクチュエータとの間に少なくとも1つのチャンバー間隔を有し、少なくとも1つの第1チャンバーを形成し、前記圧電アクチュエータが電圧印加により駆動されると、ガスが前記入気板の前記少なくとも1つの入気孔より導入され、前記少なくとも1つの合流ガイド孔を介して前記合流チャンバーに合流され、前記共振シートの前記中空孔を通って前記第1チャンバーに流れ込み、最後に、前記圧電アクチュエータの前記少なくとも1つのブラケットの間の少なくとも1つの空隙を通って下方に輸送され、ガスを継続的に排出し、前記浮揚板の前記第2表面と前記外枠の前記取付表面とが非共平面であり、且つ前記浮揚板の前記第2表面と前記共振シートとの間に前記チャンバー間隔を維持し、前記チャンバー間隔は、前記浮揚板と前記外枠との間に前記少なくとも1つのブラケットを形成することで調整する、ことを特徴とするマイクロ輸送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ輸送装置に関し、特に、小型・超薄型且つ静音のマイクロ輸送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医学、コンピュータ技術、印刷、エネルギー産業などの様々な分野において、製品の微小化に進んでいる。その中では、マイクロポンプ、噴霧器、インクジェットヘッド、工業印刷装置などの製品に含まれる流体輸送構造は最も重要な構造であり、どのように革新的な構造を得られるのか、どのように技術的な欠点を解決するのかは重要な課題とされている。
【0003】
例えば、医療業界に使用される機器又は設備において、空気圧力による駆動を必要とし、その空気圧力を達成するために、通常、モーターや空気圧バルブなどを使用している場合が多い。しかしながら、従来のモーター及び空気圧バルブの構造上の制限により、機器及び設備の体積を小さくすることができず、薄型化の目的を達成することが困難である。そのため、空気圧力の駆動機構を携帯可能な装置に設けること、又は、携帯可能な装置との併用ができず、利便性が良くない。さらに、当該従来のモーター及び空気圧バルブは、作動時に騒音を発生し、使用者に不便および不快感を与える。
【0004】
一方で、小型化は装置組立の難しさを増し、特にマイクロ流体装置における各構成素子の間の距離が輸送効率にも影響を与えるので、どのように、小型化と同時に、各構成素子の間の間隔を正確に制御できるのかは重要な課題とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、携帯可能な、又はウェアラブル機器、並びに設備におけるマイクロ輸送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの実施形態では、マイクロ輸送装置を提供しており、前記マイクロ輸送装置は、入気板と共振シートと圧電アクチュエータとを備え、前記入気板は、少なくとも1つの入気孔と、少なくとも1つの合流ガイド孔と、合流チャンバーとを備え、前記少なくとも1つの入気孔がガス導入に用いられ、前記少なくとも1つの合流ガイド孔の一端が前記少なくとも1つの入気孔と連通され、他端が前記合流チャンバーと連通され、前記少なくとも1つの入気孔に輸送されたガスを前記合流チャンバーに合流させるように導入し、前記共振シートは、中空孔を有し、前記入気板の前記合流チャンバーに対応し、前記圧電アクチュエータは、浮揚板と、外枠と、少なくとも1つのブラケットと、圧電素子とを備え、前記浮揚板の直径が4mm~8.5mmであり、且つ第1表面と第2表面とを有し、前記外枠は、前記浮揚板の周縁に周設され、且つ取付表面と外枠底面とを有し、前記少なくとも1つのブラケットは、前記浮揚板と前記外枠との間に接続され、弾性力を提供して前記浮揚板を支持し、前記圧電素子は、前記浮揚板の前記第1表面に貼り付けられ、前記共振シートは、前記圧電アクチュエータの前記外枠の前記取付表面に積層して設けられ、前記入気板は前記共振シートに積層して設けられ、且つ、前記圧電アクチュエータと前記共振シートと前記入気板とが順次積層して設けられ、前記共振シートと前記圧電アクチュエータとの間にチャンバー間隔を有し、第1チャンバーを形成し、前記圧電アクチュエータが電圧印加により駆動されると、ガスが前記入気板の前記少なくとも1つの入気孔より導入され、前記少なくとも1つの合流ガイド孔を介して前記合流チャンバーに合流され、前記共振シートの前記中空孔を通って前記第1チャンバーに流れ込み、最後に、前記圧電アクチュエータの前記少なくとも1つのブラケットの間の空隙を通って下方に輸送され、ガスを継続的に排出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本発明の好ましい実施形態のマイクロ流体制御装置の分解図である。
図1B図1Aに示したマイクロ流体制御装置の組み立てた状態を示す図である。
図2A図1Aに示したマイクロ流体制御装置を底面から見た分解図である。
図2B図1Aに示したマイクロ流体制御装置の組み立てた状態を底面から見た図である。
図3A図1Aに示したマイクロ流体制御装置の圧電アクチュエータを取り付けた状態での立体図である。
図3B図1Aに示したマイクロ流体制御装置の圧電アクチュエータを取り付けた状態での底面から見た図である。
図3C図1Aに示したマイクロ流体制御装置の圧電アクチュエータの断面図である。
図4】本発明のマイクロ輸送装置の断面図である。
図5A-5C】図4に示したマイクロ輸送装置の局部が動作した状態を示す図である。
図6A図1Aに示したマイクロ流体制御装置の集気板とマイクロバルブ装置とが圧力蓄積動作を行う状態を示す図である。
図6B図1Aに示したマイクロ流体制御装置の集気板とマイクロバルブ装置とが圧力解放動作を行う状態を示す図である。
図7A-7D】図1Aに示したマイクロ流体制御装置が圧力蓄積動作を行う状態を示す図である。
図8図1Aに示したマイクロ流体制御装置が減圧動作又は圧力解放動作を行う状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特徴及び優れる点をより具体化にしたいくつの例示的な実施形態は、以下の説明において詳しく説明する。本発明は、様々な態様において様々な変更が可能であり、限定として解釈されるものではないことを理解されたい。
【0009】
図1A、1B、2A、2B及び図4に示すように、本発明は、マイクロ流体制御装置1を提供し、前記マイクロ流体制御装置1は、少なくとも1つの入気板11と、少なくとも1つの共振シート12と、少なくとも1つの圧電アクチュエータ13と、少なくとも1つの入気孔110と、少なくとも1つの合流ガイド孔112と、少なくとも1つの合流チャンバー111と、少なくとも1つの中空孔120と、少なくとも1つの浮揚板130と、少なくとも1つの第1表面130bと、少なくとも1つの第2表面130aと、少なくとも1つの外枠131と、少なくとも1つの取付表面131aと、少なくとも1つの外枠底面131bと、少なくとも1つのブラケット132と、少なくとも1つの圧電素子133と、少なくとも1つのチャンバー間隔gと、少なくとも1つの第1チャンバー121と、少なくとも1つの空隙135とを備える。以下の実施形態における入気板11、共振シート12、圧電アクチュエータ13、合流チャンバー111、中空孔120、浮揚板130、第1表面130b、第2表面130a、外枠131、取付表面131a、外枠底面131b、圧電素子133、チャンバー間隔g、第1チャンバー121及び空隙135の個数は1であることを例として説明するが、これには限定されない、例えば、入気板11、共振シート12、圧電アクチュエータ13、合流チャンバー111、中空孔120、浮揚板130、第1表面130b、第2表面130a、外枠131、取付表面131a、外枠底面131b、圧電素子133、チャンバー間隔g、第1チャンバー121及び空隙135は複数で組み合わされたものであっても良い。
【0010】
本発明のマイクロ流体制御装置1は、医療技術、エネルギー、コンピューターサイエンス、又は印刷工業などの気体輸送に適用することができるが、これに限定されない。図1A、1B、2A、2B及び図7A~7Dに示すように、本発明のマイクロ流体制御装置1は、マイクロ輸送装置1A及びマイクロバルブ装置1Bを組み合わせてなる。マイクロ輸送装置1Aは、入気板11と、共振シート12と、圧電アクチュエータ13と、絶縁シート141、142と、導電シート15と集気板16などの構造を有する。圧電アクチュエータ13は、共振シート12に対応して設けられ、且つ、入気板11と共振シート12と圧電アクチュエータ13と絶縁シート141と導電シート15ともう一つの絶縁シート142と集気板16となどが順次積層される。前記圧電アクチュエータ13は、浮揚板130と、外枠131と、少なくとも1つのブラケット132と、圧電素子133とからなる。マイクロバルブ装置1Bは、バルブシート17及び出口板18を備えるが、これに限定されない。本実施形態では、図1Aに示すように、集気板16は単一の板部材構造であるだけでなく、周縁に側壁168を有する枠体構造であり、且つ長さと幅との比は0.53~1.88倍である。前記周縁が構成した側壁168及び底部の板部材とが収容空間16aを画定し、前記圧電アクチュエータ13が収容空間16aに配置されるように用いられる。組立が完了した後のマイクロ流体制御装置1は、図1B図7A~7Dに示すように、前記マイクロ輸送装置1Aがマイクロバルブ装置1Bに対応するように設けられ、すなわち、前記マイクロバルブ装置1Bのバルブシート17と出口板18とが順次積層され、且つ前記マイクロ輸送装置1Aの集気板16に位置決めされている。なお、底面図より、マイクロ流体制御装置は、出口板18の減圧貫通孔181と出口19とを有し、出口19がある装置(図示せず)と接続するように用いられ、減圧貫通孔181がマイクロバルブ装置1B内部の気体を排出させるように用いられ、これらの構成によって、圧力を低減させる機能を果たせる。このようなマイクロ輸送装置1A及びマイクロバルブ装置1Bの組立によって、ガスがマイクロ輸送装置1Aの入気板11における少なくとも1つの入気孔110より進入され、圧電アクチュエータ13の動作により、複数の圧力チャンバー(図示せず)を通って継続的に輸送される。ガスがマイクロバルブ装置1Bにおいて単方向に流動することができ、且つマイクロバルブ装置1Bの出口19と接続する装置(図示せず)に圧力を蓄積する。減圧が必要な場合、マイクロ輸送装置1Aの輸出量を調整し、ガスがマイクロバルブ装置1Bの出口板18における減圧貫通孔181より排出されることで、減圧を行う。
【0011】
図1A図2Aに示すように、マイクロ輸送装置1Aの入気板11は、第1表面11bと、第2表面11aと、少なくとも1つの入気孔110とを有する。本実施形態では、入気孔110の個数は4つであるが、これに限定されない。前記入気孔110は、入気板11の第1表面11b及び第2表面11aを貫通し、装置外のガスが大気圧により前記少なくとも1つの入気孔110よりマイクロ輸送装置1A内部に進入する。図2Aに示すように、入気板11の第1表面11bには、少なくとも1つの合流ガイド孔112を有し、入気板11の第2表面11aの前記少なくとも1つの入気孔110に対応するように設けられている。本実施形態では、合流ガイド孔112の個数は入気孔110に対応する4つであるが、これには限定されない。これらの合流ガイド孔112からなる構造の中心部には合流チャンバー111を有し、且つ合流チャンバー111と合流ガイド孔112とが連通されており、入気孔110より合流ガイド孔112に輸送されたガスを合流チャンバー111に合流させる。本実施形態では、入気板11は、一体化された入気孔110と合流ガイド孔112と合流チャンバー111とを有し、合流チャンバー111にガスを一時的貯留する。一部の実施形態では、入気板11の材料は、ステンレス鋼材料で構成されてもよく、厚さは0.4mm~0.6mmであり、そのうち、0.5mmであることは好ましいが、これに限定されない。他の実施形態では、合流チャンバー111の深さは、前記合流ガイド孔112の深さと同じであり、好ましくは、合流チャンバー111及び合流ガイド孔112の深さが0.2mm~0.3mmであるが、これに限定されない。共振シート12は、可撓性材料で構成されているが、これに限定されず、且つ共振シート12には中空孔120を有し、前記中空孔120が入気板11の第1表面11bの合流チャンバー111に対応して設けられ、ガス流通に用いられる。他の実施形態では、共振シート12は、銅材料で構成されてもよいが、これには限定されず、また、厚さは0.03mm~0.08mmであり、より好ましくは0.05mmであるが、これに限定されない。
【0012】
図3A図3B及び図3Cに示すように、圧電アクチュエータ13は、浮揚板130と、外枠131と、少なくとも1つのブラケット132と、圧電素子133とを備える。圧電素子133が浮揚板130の第1表面130bに貼り付けられており、電圧を印加することで変形し、浮揚板130の湾曲振動を駆動する。浮揚板130が円形状であり、中心部130dと外縁部130eとを有し、圧電素子133が電圧で駆動されると、浮揚板130の中心部130dから外縁部130eにかけて湾曲振動する。少なくとも1つのブラケット132は、浮揚板130と外枠131との間に接続され、本実施形態では、少なくとも1つのブラケット132が浮揚板130と外枠131との間に接続されており、両端がそれぞれ外枠131と浮揚板130とに接続され、弾性力で支持作用を提供する。また、少なくとも1つのブラケット132と浮揚板130と外枠131との間に、ガス流通のための少なくとも1つの空隙135を有する。外枠131は、浮揚板130の外側に配置されており、外側に突出する導電ピン134を有し、前記導電ピン134が電気的に接続するために用いられているが、これに限定されない。さらに、外枠131は、取付表面131aと外枠底面131bとを有し、共振シート12が取付表面131aに設けられている。
【0013】
本発明の圧電アクチュエータ13は、凹形構造を有する圧電アクチュエータであり、本実施形態では、浮揚板130の第2表面130aと外枠131の取付表面131aとが非共平面構造を形成しており、浮揚板130の第2表面130aは外枠131の取付表面131aよりも低く、且つ浮揚板130の第1表面130bは外枠131の外枠底面131bより低い。これによって、圧電アクチュエータ13は、中央に窪みを有する皿状構造を呈している。また、浮揚板130の第2表面130aと共振シート12との間にチャンバー間隔gが維持され、チャンバー間隔gは、円形状の浮揚板130と外枠131との間にある少なくとも1つのブラケット132により調整することができる。
【0014】
本実施形態では、浮揚板130の第2表面130aには、凸部130cを有し、前記凸部130cは円形の凸状構造であってもよく、且つ凸部130cの高さは0.02mm~0.08mmであり、好ましくは0.03mmであり、その直径は浮揚板130の直径の0.4~0.5倍であるが、これに限定されない。図3A及び図3Cに示すように、浮揚板130の凸部130cの凸部上面130fは外枠131の取付表面131aと非共平面となり、本実施形態では、浮揚板130の凸部130cの凸部上面130fは外枠131の取付表面131aよりも低い。これによって、凸部上面130fと共振シート12との間にチャンバー間隔gを形成し(図4を参照)、チャンバー間隔gは少なくとも1つのブラケット132により調整することができる。チャンバー間隔gは、マイクロ流体制御装置1の輸送効率に影響を与え、マイクロ流体制御装置1が安定な輸送効率を提供するために、一定のチャンバー間隔gの維持が重要である。本発明の圧電アクチュエータ13の円形状の浮揚板130は、プレス方式により下方に陥凹される。圧電アクチュエータ13の浮揚板130が陥凹して空間を形成し、形成された空間と共振シート12とが調整可能なチャンバー間隔gを形成する。上述した圧電アクチュエータ13の円形状の浮揚板130を陥凹して第1チャンバー121を形成する構造改良によって、圧電アクチュエータ13の円形状の浮揚板130が形成した陥凹距離を調整することで、所要のチャンバー間隔gを得ることができる。これによって、チャンバー間隔gの構造設計、プロセスの単純化、及び製造時間の短縮に優れる。また、図3B及び図3Cに示すように、圧電素子133が浮揚板130の第1表面130bに貼り付けられている。一部の実施形態では、浮揚板130、少なくとも1つのブラケット132及び外枠131は、一体化された構造であり、且つ金属板で構成されてもよい。具体的に、例えば、ステンレス鋼材料で構成されてもよいが、これには限定されない。一部の実施形態では、浮揚板130の直径は4mm~8.5mmであり、好ましくは8mmであるが、これに限定されない。外枠131の厚さは0.2mm~0.4mmであり、好ましくは0.3mmであるが、これに限定されない。
【0015】
他の実施形態では、圧電素子133は円形状の圧電素子であり、厚さは0.05mm~0.3mmであり、より好ましくは0.10mmである。また、圧電素子133の面積は浮揚板130の面積よりも小さい。
【0016】
図1A及び図2Aに示すように、マイクロ輸送装置1Aには、絶縁シート141と、導電シート15と、絶縁シート142とを更に備え、圧電アクチュエータ13の下方に順次積層され、形状は圧電アクチュエータ13の外枠131の形状に対応する。一部の実施形態では、絶縁シート141、142は、絶縁のために、例えば、プラスチックなどの絶縁材料で構成されてもよいが、これに限定されない。他の実施形態では、導電シート15は、電気伝導のために、例えば、金属などの導電材料で構成されてもよいが、これに限定されない。本実施形態では、導電シート15には、導電ピン151が配置され、電気伝導に用いられる。
【0017】
図4に示すように、入気板11と共振シート12と圧電アクチュエータ13とが順次組み立てると、共振シート12の中空孔120においてその上部にある入気板11とガス合流のチャンバーを形成することができ、且つ共振シート12と圧電アクチュエータ13との間に、ガスを一時的に貯蔵するための第1チャンバー121を形成することができる。また、第1チャンバー121は、共振シート12の中空孔120を介して入気板11の第1表面11bの合流チャンバー111にあるチャンバーと連通し、第1チャンバー121の両側は、圧電アクチュエータ13の少なくとも1つのブラケット132の間の空隙135を介して、集気板16下方に設けられたマイクロバルブ装置1Bと連通する(図7Aを参照)。
【0018】
図5A図5Cに示すように、マイクロ流体制御装置1のマイクロ輸送装置1Aが動作すると、圧電アクチュエータ13が電圧によって作動され、少なくとも1つのブラケット132を支点として、浮揚板130を垂直方向に往復振動させる。図5Aに示すように、圧電アクチュエータ13が電圧によって下方に振動すると、軽くて薄いシート状構造を有する共振シート12は、圧電アクチュエータ13の振動に共振して垂直方向に往復振動し、すなわち、前記入気板11の合流チャンバー111に対応する共振シート12の部分が湾曲振動して変形する。つまり、前記共振シート12では、前記入気板11の合流チャンバー111に対応する部分が共振シート12の可動部材12aであり、圧電アクチュエータ13が下方に湾曲振動すると、共振シート12の可動部材12aが、流体流入、押し付け、および圧電アクチュエータ13の振動による連動で、圧電アクチュエータ13につれて下方へ湾曲振動して変形し、ガスが入気板11における少なくとも1つの入気孔110より輸送され、第1表面11bの少なくとも1つの合流ガイド孔112から中央部にある合流チャンバー111に合流され、そして、共振シート12における合流チャンバー111に対応して設けられた中空孔120より下方の第1チャンバー121に流れ込み、最後に、圧電アクチュエータ13の振動で、共振シート12が共振して垂直方向に往復振動する。図5Bに示すように、圧電アクチュエータ13が上方に変位すると、共振シート12の可動部材12aが上方に変位した圧電アクチュエータ13の浮揚板130の凸部130cと当接され、浮揚板130の凸部130c以外の領域と共振シート12両側の固定部材12bとの間の第1チャンバー121が圧縮され、この共振シート12の変形を介して、第1チャンバー121の体積を圧縮させ、第1チャンバー121の中央部にある流通空間を閉じ、内部のガスを両側に押して流動させ、圧電アクチュエータ13の少なくとも1つのブラケット132の間にある空隙135を通って下方に流動させる。図5Cに示すように、前記共振シート12が、圧電アクチュエータ13の上方への振動により、上方に共振され、共振シート12の可動部材12aも上方に位置され、合流チャンバー111内部ガスが共振シート12の中空孔120より第1チャンバー121に流れ込み、圧電アクチュエータ13の少なくとも1つのブラケット132の間にある空隙135から下方に輸送して、マイクロ輸送装置1Aから流出する。以上のステップを繰り返すことで、ガスが入気孔110に持続的に流れ込み、そして下方に輸送されることで、ガス輸送の目的を達成することができる。上述した実施形態より、共振シート12が垂直方向において往復振動をすると、圧電アクチュエータ13との間のチャンバー間隔gにより、垂直方向における最大距離を増加することができる。換言すれば、2つの構造間に設けられたチャンバー間隔gを増加することで、共振シート12が共振する時に垂直方向においてより大幅の変位を形成することができる。ここで、圧電アクチュエータ13の振動変位をdとし、チャンバー間隔gとの差をxとすると、x=g-dである。xが1μm~5μmである場合、マイクロ流体制御装置1の最大出力圧力は、17K~20Kの動作周波数、±10V~±20Vの動作電圧において、350mmHgに達することができる。このようなマイクロ輸送装置1Aの流路設計によって、圧力勾配が生じられ、ガスが高速に流れ、また、流路の出入り方向での抵抗差を介して、ガスが吸入口から排出口まで輸送され、排出口に気圧があっても、継続的にガスを排出することができ、且つ騒音を抑える効果を奏することができる。
【0019】
また、一部の実施形態では、共振シート12の垂直方向における振動周波数は、圧電アクチュエータ13の振動周波数と同じであり、すなわち、両者が同時に上方又は下方に振動する。なお、この振動方式は実際の動作要求に応じて任意に変更でき、本実施形態に示した動作方式に限定されない。
【0020】
図1A図2A図6A及び図6Bに示すように、本発明のマイクロ流体制御装置1のマイクロバルブ装置1Bは、バルブシート17と出口板18とを順次積層してなり、且つマイクロ輸送装置1Aの集気板16と整合して作動する。
【0021】
本実施形態では、集気板16は、表面160と基準表面161とを有し、表面160が陥凹してガス収集チャンバー162を形成し、圧電アクチュエータ13が内部に配置され、マイクロ輸送装置1Aより下方に輸送されたガスがガス収集チャンバー162に一時的に蓄積する。集気板16には、複数の貫通孔を有し、第1貫通孔163と第2貫通孔164とを含み、第1貫通孔163と第2貫通孔164との一端がガス収集チャンバー162と連通され、他端がそれぞれ集気板16の基準表面161における第1減圧チャンバー165と第1出口チャンバー166と連通される。第1出口チャンバー166には、凸部構造167を更に設け、前記凸部構造167は、例えば円筒状構造であるが、これに限定されない。凸部構造167の高さは集気板16の基準表面161よりも高く、且つ凸部構造167の高さは0.3mm~0.55mmであり、より好ましくは0.4mmである。
【0022】
出口板18は、減圧貫通孔181と出口貫通孔182と基準表面180と第2表面187とを備え、減圧貫通孔181と出口貫通孔182とが出口板18の基準表面180と第2表面187とを貫通し、基準表面180には、第2減圧チャンバー183及び第2出口チャンバー184を陥凹して形成し、減圧貫通孔181は第2減圧チャンバー183の中心部に設けられ、且つ第2減圧チャンバー183と第2出口チャンバー184との間に、ガス流通のための連通流路185を有する。出口貫通孔182の一端が第2出口チャンバー184と連通され、他端が出口19と連通される。本実施形態では、出口19はある装置(図示せず、例えば圧力機器など)と連通されても良いが、これには限定されない。
【0023】
バルブシート17に、バルブ孔170及び複数の位置決め孔171を有し、バルブシート17の厚さは0.1mm~0.3mmであり、好ましくは0.2mmである。
【0024】
バルブシート17が集気板16と出口板18との間に位置決めして取り付けられると、出口板18の減圧貫通孔181が集気板16の第1貫通孔163に対応し、第2減圧チャンバー183が前記集気板16の第1減圧チャンバー165に対応し、前記第2出口チャンバー184が集気板16の第1出口チャンバー166に対応する。バルブシート17が集気板16と出口板18との間に設けられ、第1減圧チャンバー165と第2減圧チャンバー183とを連通させない。バルブシート17のバルブ孔170が第2貫通孔164と前記出口貫通孔182との間に設けられ、且つバルブ孔170が集気板16に位置された第1出口チャンバー166の凸部構造167に対応して設けられ、この単一のバルブ孔170の設計によって、ガスが圧力差に従って単方向に流動することが実現される。
【0025】
出口板18の減圧貫通孔181の一端に、凸状の凸部構造181aを形成してもよく、限定されないが、例えば、円柱状構造でも良い。凸部構造181aの高さは0.3mm~0.55mmであり、より好ましくは0.4mmである。凸部構造181aは、改良によって高さを増加させており、凸部構造181aの高さは出口板18の基準表面180よりも高く。これによって、バルブシート17が迅速に減圧貫通孔181に当接されてこれを封鎖し、当接作用により完全に封止する効果を奏する。また、出口板18は少なくとも1つの位置制限構造188を有し、位置制限構造188の高さは0.32mmである。本実施形態では、位置制限構造188が第2減圧チャンバー183内部に設けられ、且つ環状ブロック構造であるが、これに限定されない。これは、マイクロバルブ装置1Bが圧力蓄積作業を行う時、バルブシート17を補助して支持するために用いられ、バルブシート17の陥没を防止することができ、且つバルブシート17をより迅速に開閉することもできる。
【0026】
マイクロバルブ装置1Bが圧力蓄積作業を行う時、図6Aに示すように、マイクロ輸送装置1Aより下方に輸送されたガスが提供する圧力、又は外部の圧力が出口19と接続された装置(図示せず)の内部圧力より高い場合、ガスがマイクロ輸送装置1Aの集気板16におけるガス収集チャンバー162より、それぞれ第1貫通孔163と第2貫通孔164とを通って下方に輸送され、第1減圧チャンバー165と第1出口チャンバー166との内部に流れ込む。この時、下方に向かうガス圧力では、可撓性バルブシート17を下方に湾曲変形させ、第1減圧チャンバー165の体積が増大し、且つ第1貫通孔163に対応する箇所は、減圧貫通孔181の端部と平坦になるように当接し、出口板18の減圧貫通孔181を閉じる。これによって、第2減圧チャンバー183内部のガスが減圧貫通孔181より流出しない。もちろん、本実施形態では、減圧貫通孔181の端部に凸部構造181aを設ける設計によって、バルブシート17と迅速に接触して減圧貫通孔181を閉じ、当接作用により完全に封止する効果を奏することができ、また、減圧貫通孔181に周設された位置制限構造188によって、バルブシート17を補助して支持し、陥没を防止することができる。一方、ガスが第2貫通孔164より下方に輸送され、第1出口チャンバー166内に流れ込み、且つ第1出口チャンバー166の箇所に対応するバルブシート17が下方に湾曲変形し、対応のバルブ孔170が下方に開放され、ガスが第1出口チャンバー166よりバルブ孔170を通って第2出口チャンバー184に流れ込み、最後に出口貫通孔182より出口19及び出口19と接続された装置(図示せず)に輸送される。このように、前記装置に対して圧力を蓄積する動作を行う。
【0027】
図6Bに示すように、マイクロバルブ装置1Bが減圧を行う時、マイクロ輸送装置1Aのガス輸送量を調整して、ガスをガス収集チャンバー162に輸送しないか、又は、出口19と接続された装置(図示せず)内部の圧力が外部大気の圧力よりも高い時、マイクロバルブ装置1Bは減圧することができる。この時、ガスが出口19と接続された出口貫通孔182より第2出口チャンバー184内部に流れ込み、第2出口チャンバー184の体積が増大し、可撓性バルブシート17が上方に湾曲変形され、集気板16と平坦になるように当接し、この時、バルブシート17のバルブ孔170は集気板16と当接することで閉じられる。もちろん、本実施形態では、第1出口チャンバー166に凸部構造167を設ける設計によって、可撓性バルブシート17を上方に湾曲変形させ、より素早く当接される。これによって、バルブ孔170は、当接作用による完全封止状態を形成することができる。初期状態では、バルブシート17のバルブ孔170が前記凸部構造167に当接することによって閉じられ、第2出口チャンバー184内部のガスが第1出口チャンバー166に逆流せず、ガス漏れを防止するより良い効果を達成することができる。また、第2出口チャンバー184内部のガスが連通流路185を通って第2減圧チャンバー183に流れ込み、第2減圧チャンバー183の体積が増大し、第2減圧チャンバー183に対応するバルブシート17も同様に上方に湾曲変形される。この時、バルブシート17は、減圧貫通孔181の端部を閉じないため、減圧貫通孔181が開放状態であり、つまり、第2減圧チャンバー183内部のガスが減圧貫通孔181より外部に流出することができ、圧力解放作業を行うことができる。もちろん、本実施形態では、減圧貫通孔181の端部に凸部構造181aを設けることか、又は第2減圧チャンバー183に設けられた位置制限構造188によって、可撓性バルブシート17を上方により迅速に湾曲変形させ、減圧貫通孔181を閉じる状態から逸脱することがより効率且つ有利である。以上のように、単方向の圧力解放作業により、出口19と接続された装置(図示せず)内部のガスを排出させ、減圧又は完全に排出して圧力解放作業を行うことができる。
【0028】
図1A図2A図4図6A図6B、及び図7A図7Dに示すように、マイクロ流体制御装置1は、マイクロ輸送装置1A及びマイクロバルブ装置1Bで構成され、マイクロ輸送装置1Aは、前述したように、入気板11と共振シート12と圧電アクチュエータ13と絶縁シート141と導電シート15ともう一枚の絶縁シート142と集気板16とが順次積層されるように構成されている。共振シート12と圧電アクチュエータ13との間にチャンバー間隔gを有し、且つ共振シート12と圧電アクチュエータ13との間に第1チャンバー121を有する。マイクロバルブ装置1Bは、バルブシート17と出口板18とで構成され、且つ前記マイクロ輸送装置1Aの集気板16に順次積層して配置される。また、マイクロ輸送装置1Aの集気板16と圧電アクチュエータ13との間にガス収集チャンバー162を有し、集気板16の基準表面161には第1減圧チャンバー165及び第1出口チャンバー166を陥凹して形成し、出口板18の基準表面180には第2減圧チャンバー183及び第2出口チャンバー184を陥凹して形成する。本実施形態では、前記マイクロ輸送装置1Aの動作周波数を27K~29.5Kにし、動作電圧を±10V~±16Vにし、また、前記複数の異なる圧力を有するチャンバーと圧電アクチュエータ13の駆動、共振シート12及びバルブシート17の振動を整合することによって、ガスを下方に収集して輸送する。
【0029】
図4図5A及び図7Bに示すように、マイクロ輸送装置1Aの圧電アクチュエータ13が電圧印加により下方に振動すると、共振シート12は圧電アクチュエータ13の振動によって共振し、且つ振動に応じて往復振動する。すなわち、下方に振動して、圧電アクチュエータ13の浮揚板130の凸部130cに近接する。共振シート12の変形によって、入気板11の合流チャンバー111のチャンバーの体積が増大し、ガスが入気板11における入気孔110よりマイクロ輸送装置1Aに流れ込み、少なくとも1つの合流ガイド孔112を介して合流チャンバー111に合流された後、共振シート12における中空孔120より下方に輸送され、第1チャンバー121に流れ込む。同時に、第1チャンバー121より両側に流動し、圧電アクチュエータ13の少なくとも1つのブラケット132の間にある空隙135を通って下方に輸送され、マイクロ輸送装置1Aとマイクロバルブ装置1Bとの間にあるガス収集チャンバー162に流れ込み、最後に、ガス収集チャンバー162と連通する第1貫通孔163と第2貫通孔164とを通って下方に輸送され、第1減圧チャンバー165と第1出口チャンバー166とに流れ込む。
【0030】
図5B及び図7Cに示すように、マイクロ輸送装置1Aの圧電アクチュエータ13が電圧印加により上方に振動すると、圧電アクチュエータ13が上方に持ち上げられ、共振シート12の可動部材12aが上方に変位した圧電アクチュエータ13の浮揚板130の凸部130cと当接され、浮揚板130の凸部130c以外の領域と共振シート12両側の固定部材12bとの間にある第1チャンバー121が減小し、共振シート12の変形により、第1チャンバー121の体積が圧縮され、且つ第1チャンバー121の中央の流路空間を閉じる。これによって、第1チャンバー121の体積が圧縮され、第1チャンバー121内部のガスが両側に流動し、圧電アクチュエータ13の少なくとも1つのブラケット132の間にある空隙135よりガス収集チャンバー162と第1減圧チャンバー165と第1出口チャンバー166とに継続的に輸送される。これによって、第1減圧チャンバー165と第1出口チャンバー166との内部の気圧が上昇し、可撓性バルブシート17を押し付けて下方に湾曲変形させる。第2減圧チャンバー183では、バルブシート17が下方に向かって減圧貫通孔181の端部の凸部構造181aと平坦になるように当接され、減圧貫通孔181を閉じる。第2出口チャンバー184では、バルブシート17における出口貫通孔182に対応するバルブ孔170が下方に開けられ、第2出口チャンバー184内部のガスを出口貫通孔182より下方に輸送させて出口19と出口19と接続された任意の装置(図示せず)に流れ込み、圧力を蓄積する目的を達成することができる。最後に、図5C及び図7Dに示すように、共振シート12が圧電アクチュエータ13の上方への振動により上方に共振し、共振シート12の可動部材12aも上方に変位し、合流チャンバー111内部のガスが共振シート12の中空孔120より第1チャンバー121に輸送された後に、圧電アクチュエータ13の少なくとも1つのブラケット132の間の空隙135より下方に輸送されて集気板16に流れ込む。これによって、ガスの圧力勾配が下方に向かって増加し続けるため、第1減圧チャンバー165と第1出口チャンバー166との内部のガス圧力が増大し、可撓性バルブシート17が押し付けられてより下向きの湾曲形状になり、その結果、バルブシート17が補助支持機能を有する位置制限構造188に当接する。これによって、バルブシート17の陥没を防止するとともに、バルブシート17のバルブ孔170が出口貫通孔182と当接することで、バルブ孔170と凸部構造167との間の距離を増大させ、ガスがガス収集チャンバー162と第2貫通孔164と第1出口チャンバー166と第2出口チャンバー184と出口貫通孔182とを継続的に通って出口19と出口19と接続された任意の装置に流れ込むことができる。以上のように、圧力蓄積作業が、外部大気の圧力と装置内部の圧力との差によって動作されることができる。なお、本発明はこれに限定されない。
【0031】
図8に示すように、出口19に接続された装置(図示せず)内部の圧力が外部の圧力よりも大きい場合、マイクロ流体制御装置1が減圧又は圧力解放作業を行うことができる。その減圧又は圧力解放の動作方式は、前述したように、マイクロ輸送装置1Aのガス輸送量を調整することで、ガス収集チャンバー162にガスを輸送せず、この時のガスが出口19と連通される出口貫通孔182より第2出口チャンバー184内に輸送され、第2出口チャンバー184の体積が増大され、可撓性バルブシート17を上方に湾曲変形させ、第1出口チャンバー166の凸部構造167と平坦になるように当接して、バルブシート17のバルブ孔170を閉じる。すなわち、第2出口チャンバー184内部のガスが第1出口チャンバー166に逆流せず、また、第2出口チャンバー184にあるガスが連通流路185を通って第2減圧チャンバー183に流れ込む。この時、バルブシート17は、位置制限構造188によって陥没せず、ガスの押付により素早く上方に押し上げられる。バルブシート17は、減圧貫通孔181の端部にある凸部構造181aと当接しないため、減圧貫通孔181が開放され、減圧貫通孔181よりガスが排出され、圧力解放作業を完了する。このようなマイクロバルブ構造1Bの単一方向のガス輸送動作によって、出口19と連通された装置内部のガスを排出して減圧するか、又は完全に排出して圧力解放作業を行なうことができる。
【0032】
本発明のマイクロ流体制御装置1を薄型化するために、マイクロ輸送装置1Aをマイクロバルブ装置1Bに取り付けた状態での総厚さが2mm~6mmとすることで、携帯可能なマイクロ流体制御装置1を得ることができ、また、医療機器及び関連機器に広く使用することもできる。
【0033】
前述したように、本発明の浮揚板130が円形状であり、浮揚板130の直径が4mm~8.5mmになると、浮揚板130の面積も減少する。なお、直径が減少することによって、浮揚板130の全体の剛性が高まり、且つ、内部のガス流路の容積が減少すると、ガスの輸送及び圧縮に有利であり、出力空気圧を上昇させることができる。また、浮揚板130が垂直方向に振動する時に生じられる水平方向の変形を小さくすることができ、圧電アクチュエータ13の浮揚板130は動作中に傾くことなく同じ垂直方向に維持されるので、浮揚板130と、共振シート12又は他の構成素子との衝突を回避でき、騒音を抑えられ、品質不良率を低下させることもできる。また、圧電アクチュエータ13の浮揚板130のサイズを小さくすると、圧電アクチュエータ13も小型化することができ、出力空気圧の性能を改善することに加えて、騒音を減少させ、且つ、製品の不良率を減少させることもできる。
【0034】
上述したように、本発明が提供するマイクロ輸送装置は、円形状の圧電素子によって円形状の浮揚板を駆動する。両者は、同じく円形状且つ近い面積であるため、圧電素子が浮揚板の上下振動を効率よく駆動することができ、浮揚板を駆動するための圧電素子の運動エネルギー損失を減少させることができる。また、プレス方式により圧電アクチュエータの浮揚板を下方に陥凹させることによって、浮揚板と共振シートとの間のチャンバー間隔を調整し、小型化において公差によるチャンバー間隔の不足による過小の第1チャンバー空間を回避し、浮揚板と共振シートとが動作中に互いに干渉し続けることでの騒音の発生や輸送効率の低下などの問題を回避することができる。したがって、本発明は、騒音を発生せず、且つマイクロ輸送装置の全体体積が減少し、いわゆる小型化することができ、快適で携帯可能な目的を達成することができ、医療機器および関連機器に広く使用することができる。したがって、本発明のマイクロ輸送装置は、産業上の利用価値が高いと考えられる。
【0035】
本発明について上述のように実施例に基づいて詳細に説明したが、発明の属する技術分野において通常の知識を有する者であればさまざまな工夫と修飾が可能であり、それらはいずれも本発明の特許請求の範囲が求める保護を逸脱しない。
【符号の説明】
【0036】
1:マイクロ流体制御装置
1A:マイクロ輸送装置
1B:マイクロバルブ装置
11:入気板
11a:入気板の第2表面
11b:入気板の第1表面
110:入気孔
111:合流チャンバー
112:合流ガイド孔
12:共振シート
12a:可動部材
12b:固定部材
120:中空孔
121:第1チャンバー
13:圧電アクチュエータ
130:浮揚板
130a:第2表面
130b:第1表面
130c:凸部
130d:中心部
130e:外縁部
130f:凸部上面
131:外枠
131a:取付表面
131b:外枠底面
132:ブラケット
133:圧電素子
134、151:導電ピン
135:空隙
141、142:絶縁シート
15:導電シート
16:集気板
16a:収容空間
160:表面
161:基準表面
162:ガス収集チャンバー
163:第1貫通孔
164:第2貫通孔
165:第1減圧チャンバー
166:第1出口チャンバー
167、181a:凸部構造
168:側壁
17:バルブシート
170:バルブ孔
171:位置決め孔
18:出口板
180:基準表面
181:減圧貫通孔
182:出口貫通孔
183:第2減圧チャンバー
184:第2出口チャンバー
185:連通流路
187:第2表面
188:位置制限構造
19:出口
g:チャンバー間隔
d:圧電アクチュエータの振動変位
x:圧電アクチュエータの振動変位とチャンバー間隔との差分
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8