(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】7,8-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]アゼピン-6-オン化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20230612BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20230612BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230612BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
C07D487/04 150
C07D487/04 CSP
A61K31/55
A61P35/00
A61P35/02
(21)【出願番号】P 2022507313
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(86)【国際出願番号】 US2020044718
(87)【国際公開番号】W WO2021026059
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-03-24
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100139310
【氏名又は名称】吉光 真紀
(72)【発明者】
【氏名】ルメラス アマダー,ヴェンセスラオ
(72)【発明者】
【氏名】ブランドーバー,バーバラ ジェーン
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/205538(WO,A1)
【文献】特表2017-537100(JP,A)
【文献】特表2017-530176(JP,A)
【文献】国際公開第2017/205536(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/04
A61K 31/55
A61P 35/00
A61P 35/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】
(式中、R
1が、-CH
3もしくは-CH
2CH
3である)
の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R
1が、-CH
3である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
R
1が、-CH
2CH
3である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
下記:
【化2】
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
下記:
【化3】
である、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
有効量の請求項1~
5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、がんの治療用医薬。
【請求項7】
前記がんが、扁平上皮がん、膀胱尿路上皮がん、乳がん、結腸がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、上部尿路上皮がん、類内膜がん、子宮内膜がん、SCLC、前立腺がん、リンパ腫、食道がん、肺がん、膀胱がん、扁平上皮組織学、子宮内膜、HPV駆動がん、AML-ETO転座関連状態、アンドロゲン受容体陽性関連状態、myc過剰発現関連状態、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、ヒトパピローマウイルス駆動がん、および前立腺がんである、請求項
6に記載の医薬。
【請求項8】
前記扁平上皮がんが、肛門がん、膀胱がん、子宮頸がん、頭頸部がん、肺がん、および中咽頭がんから選択される、請求項
7に記載の医薬。
【請求項9】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される
塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とともに含む、医薬組成物。
【請求項10】
がんの治療に用いられる、請求項
9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記がんが、扁平上皮がん、膀胱尿路上皮がん、乳がん、結腸がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、上部尿路上皮がん、類内膜がん、子宮内膜がん、SCLC、前立腺がん、リンパ腫、食道がん、肺がん、膀胱がん、扁平上皮組織学、子宮内膜、HPV駆動がん、AML-ETO転座関連状態、アンドロゲン受容体陽性関連状態、myc過剰発現関連状態、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、ヒトパピローマウイルス駆動がん、および前立腺がんから選択される、請求項
10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記扁平上皮がんが、肛門がん、膀胱がん、子宮頸がん、頭頸部がん、肺がん、および中咽頭がんから選択される、請求項
11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
がんを治療するための薬剤の製造のための、請求項1~
5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される
塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CREBBPおよびEP300ブロモドメイン二重阻害剤である特定の新規化合物、化合物を含む医薬組成物、化合物を使用して特定のがんを治療する方法、ならびに化合物の合成に有用なプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、がんを治療する分野に属する。CREBBPおよびEP300は、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)であり、多くの転写因子のコアクチベーターとして機能する。CREBBPおよびEP300ブロモドメイン二重阻害剤は、急性骨髄性白血病(AML)などの血液がん細胞株(例えば、T.D.Crawford,et al.,J.Med.Chem.,vol.59,pages 10549-10563(2016)を参照されたい)、および多発性骨髄腫細胞株(例えば、A.R.Conery,eLIFE 2016;5:e10483を参照されたい)において抗増殖応答を媒介することが報告されている。がんの治療には引き続き満たされていないニーズがあり、新しい治療オプションが望まれている。
【0003】
WO2017/205538A1は、CBPおよび/またはEP300の阻害剤であり、がん、炎症性障害、および自己免疫疾患などの様々なCBPおよび/またはEP300媒介性障害の治療に有用である特定のピラゾロピリジン誘導体を開示する。US2017/0333406A1は、CBPおよび/またはEP300媒介性障害の治療に有用なCBPおよび/またはEP300の阻害剤である特定のピラゾロピリジン誘導体を開示する。
【発明の概要】
【0004】
追加のCREBBPおよびEP300ブロモドメイン二重阻害剤化合物が望まれている。本発明は、CREBBPおよびEP300ブロモドメインのうちの少なくとも1つを阻害し、好ましくは、CREBBPおよびEP300ブロモドメインの二重阻害剤である特定の化合物を提供する。加えて、本発明は、ブロモドメイン含有タンパク質4(「BRD4」)よりもCREBBPおよびEP300ブロモドメインの選択的二重阻害剤である化合物を提供する。
【0005】
本発明はさらに、扁平上皮がん、膀胱尿路上皮がん、乳がん、結腸がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、上部尿路上皮がん、類内膜がん、子宮内膜がん、SCLC、前立腺がん、およびリンパ腫などのがんを治療するために有用な化合物を提供する。
【0006】
加えて、本発明の化合物は、食道がん、肺がん、SCLC、リンパ腫、膀胱がん、扁平上皮組織学、肛門がん、子宮頸がん、頭頸部がん、肺がん、および中咽頭がんを含む扁平上皮がん、類内膜がん、ならびにHPV駆動がんなどのCREBBPおよび/またはEP300の変異を有する腫瘍を治療するために有用であり得る。本明細書に開示される化合物はまた、AML-ETO転座関連状態、アンドロゲン受容体陽性関連状態、myc過剰発現関連状態、急性骨髄性白血病(AML-ETO融合を含む)、急性リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、および前立腺がんを治療するために有用であり得る。扁平上皮がんは、肛門がん、膀胱がん、子宮頸がん、頭頸部がん、肺がん、および中咽頭がんを含む。
【0007】
したがって、本発明は、式I:
【化1】
(式中、R
1が、-CH
3もしくは-CH
2CH
3である)、
の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0008】
本発明は、患者におけるがんを治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法も提供する。治療することができるがんは、これらに限定されないが、扁平上皮がん、膀胱尿路上皮がん、乳がん、結腸がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、上部尿路上皮がん、類内膜がん、子宮内膜がん、SCLC、前立腺がん、リンパ腫、食道がん、肺がん、膀胱がん、扁平上皮組織学、子宮内膜、HPV駆動がん、AML-ETO転座関連状態、アンドロゲン受容体陽性関連状態、myc過剰発現関連状態、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、ヒトパピローマウイルス駆動がん、および前立腺がんを含む。
【0009】
本発明は、患者における小細胞肺がん(SCLC)を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。本発明は、患者におけるリンパ腫を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法も提供する。本発明は、患者における扁平上皮がんを治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法も提供する(Vettore,AL.,Ramnarayanan,K.,Poore,G.et al.Mutational landscapes of tongue carcinoma reveal recurrent mutations in genes of therapeutic and prognostic relevance.Genome Med.7(1)98(2015)(口腔舌扁平上皮がんにおけるCREBBP遺伝子改変を記載する)を参照されたく、Martin D,Abba MC,Molinolo AA,et al.The head and neck cancer cell oncogenome:a platform for the development of precision molecular therapies.Oncotarget.5(19):8906-8923.(2014)(頭頸部扁平上皮がんにおけるCREBBPおよびEP300遺伝子改変を記載する)も参照されたい)。本発明は、患者におけるヒトパピローマウイルス駆動がんを治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法も提供する。
【0010】
患者におけるCREBBPおよび/またはEP300の変異を有する腫瘍を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法も開示される。患者における膀胱尿路上皮がんを治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が開示される(Gui,Y.,Guo,G.,Huang,Y.et al.Frequent mutations of chromatin remodeling genes in transitional cell carcinoma of the bladder.Nature Genetics 43(9),875-8(2011)(膀胱がん患者におけるCREBBPおよびEP300遺伝子異常を記載する)を参照されたい)。さらに、患者における乳がんを治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が開示される。患者における結腸がんを治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が開示される(Bryan,EJ.,Jokubaitis,VJ.,Chamberlain,NL.,et al.Mutation analysis of EP300 in colon,breast and ovarian carcinomas.Int J Cancer.102(2):137-141(2002)(ヒト結腸がん、乳がん、および卵巣がんにおけるEP300遺伝子変異を記載する)を参照されたい)。さらに、患者におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法がさらに開示される(Morin,RD.,Mendez-Lago,M.,Mungall,AJ.et al.Frequent mutation of histone-modifying genes in non-Hodgkin lymphoma.Nature.476(7360)298-303(非ホジキンリンパ腫におけるCREBBPおよびEP300遺伝子変異を記載する)を参照されたい)。患者における濾胞性リンパ腫を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が開示される(Okosun J,Bodor C,Wang J,et al.Integrated genomic analysis identifies recurrent mutations and evolution patterns driving the initiation and progression of follicular lymphoma.Nature Genetics 46(2)176-181(2014)(濾胞性リンパ腫におけるCREBBP遺伝子変異を記載する)を参照されたい)。患者における辺縁帯リンパ腫を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が開示される(Jung,H.,Yoo,HY.,Lee,SH,et al.The mutational landscape of ocular marginal zone lymphoma identifies frequent alterations in TNFAIP3 followed by mutations in TBL1XR1 and CREBBP.Oncotarget 8(10)17038-17049(2017)(眼辺縁帯リンパ腫におけるCREBBP遺伝子変異を記載する)を参照されたい)。患者における上部尿路上皮がんを治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が開示される(Grivas,P.,Mortazavi,A.,Picus,J.et al.Mocetinostat for patients with previously treated,locally advanced/metastatic urothelial carcinoma and inactivating alterations of acetyltransferase genes.Cancer.125(4)533-540.(2019)(進行/転移性尿路上皮がんにおけるCREBBPおよびEP300遺伝子変異を記載する)を参照されたい)。患者における類内膜がんを治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が開示される。患者における子宮内膜がんを治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が開示される。患者におけるSCLCを治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が開示される。患者における前立腺がんを治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が開示される(Liu,J.,He,D.,Cheng,L.et al.p300/CBP inhibition enhances the efficacy of programmed death-ligand 1 blockade treatment in prostate cancer.Oncogene 39,3939-3951(2020)(前立腺がんの治療におけるCREBBPおよびEP300阻害剤の効果を記載する)を参照されたい)。
【0011】
患者における食道がん、肺がん、SCLC、リンパ腫、膀胱がん、および扁平上皮組織学などのCREBBPおよび/またはEP300の変異を有する腫瘍を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法も開示される。患者における扁平上皮がんを治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が開示される(Morris,V.,Rao,X.,Pickering,C.et al.Comprehensive Genomic Profiling of Metastatic Squamous Cell Carcinoma of the Anal Canal.Molecular Cancer Research 15(11),1542-1550(2017)(肛門管の扁平上皮がんにおけるEP300遺伝子変異を記載する)、Vettore,AL.,Ramnarayanan,K.,Poore,G.et al.Mutational landscapes of tongue carcinoma reveal recurrent mutations in genes of therapeutic and prognostic relevance.Genome Med.7(1)98(2015)(口腔舌のがん腫におけるCREBBPおよびEP300遺伝子変異を記載する)、およびMartin D,Abba MC,Molinolo AA,et al.The head and neck cancer cell oncogenome:a platform for the development of precision molecular therapies.Oncotarget.5(19):8906-8923.(2014)(頭頸部扁平上皮がんにおけるCREBBPおよびEP300遺伝子変異を記載する)を参照されたい)。患者における子宮内膜を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法がさらに開示される。患者におけるHPV駆動がんを治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が開示される。患者におけるAML-ETO転座関連状態を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が開示される(Zhang,J.,Kalkum,M.,Yamamura,S.et al.E protein silencing by the leukemogenic AML1-ETO fusion protein.Science.305(5688)1286-1289(2004)(急性骨髄性白血病症例におけるCREBBPおよびEP300遺伝子変異を記載する)を参照されたい)。患者におけるアンドロゲン受容体陽性関連状態を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が開示される(Garcia-Carpizo,V.,Ruiz-Llorente,S.,Sarmentero,J.et al.CREBBP/EP300 Bromodomain Inhibition Affects the Proliferation of AR-Positive Breast Cancer Cell Lines.Molecular Cancer Research 17(3),720-730(2019)(アンドロゲン受容体陽性乳がん細胞株におけるCREBBPおよびEP300阻害剤の効果を記載する)を参照されたく、Aarnisalo,P.,Palvimo,JJ.&Janne,OA.et al.CREB-binding protein in androgen receptor-mediated signaling.PNAS 95(5),2122-2127(1998)(アンドロゲン依存性シグナル伝達経路におけるCREBBPの存在を記載する)も参照されたい)。患者におけるmyc過剰発現関連状態を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が開示される。
【0012】
患者におけるAML-ETO融合を含む、急性骨髄性白血病を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が開示される(Brooks et al,CCS1477:A Novel Small Molecule Inhibitor of p300/CBP Bromodomain for the Treatment of Acute Myeloid Leukaemia and Multiple Myeloma.Blood(2019)134(Supplement_1):2560を参照されたい)(AML治療におけるCREBBPおよびEP300阻害剤の効果を記載する)。患者における急性リンパ芽球性白血病を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が開示される(Qian,M.,Zhang,H.,Kham,SK.et al.Whole-transcriptome sequencing identifies a distinct subtype of acute lymphoblastic leukemia with predominant genomic abnormalities of EP300 and CREBBP.Genome Research(2017)27 185-195を参照されたい)(急性リンパ芽球性白血病症例におけるCREBBPおよびEP300遺伝子変異を記載する)。患者における多発性骨髄腫を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法も開示される(Brooks et al,CCS1477:A Novel Small Molecule Inhibitor of p300/CBP Bromodomain for the Treatment of Acute Myeloid Leukaemia and Multiple Myeloma.Blood(2019)134(Supplement_1):2560を参照されたい)。患者における前立腺がんを治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が開示される(Liu,J.,He,D.,Cheng,L.et al.p300/CBP inhibition enhances the efficacy of programmed death-ligand 1 blockade treatment in prostate cancer.Oncogene 39,3939-3951(2020)(前立腺がん治療におけるCREBBPおよびEP300阻害剤の効果を記載する)を参照されたい)。
【0013】
さらに、本発明は、療法における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。治療することができるがんは、扁平上皮がん、膀胱尿路上皮がん、乳がん、結腸がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、上部尿路上皮がん、類内膜がん、子宮内膜がん、SCLC、前立腺がん、リンパ腫、食道がん、肺がん、膀胱がん、扁平上皮組織学、子宮内膜、HPV駆動がん、AML-ETO転座関連状態、アンドロゲン受容体陽性関連状態、myc過剰発現関連状態、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、ヒトパピローマウイルス駆動がん、および前立腺がんを含む。
【0014】
本発明は、小細胞肺がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。加えて、本発明は、リンパ腫の治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。加えて、本発明は、扁平上皮がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。加えて、本発明は、ヒトパピローマウイルス駆動がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0015】
本発明は、扁平上皮がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、膀胱尿路上皮がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、乳がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、結腸がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、濾胞性リンパ腫の治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、辺縁帯リンパ腫の治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、上部尿路上皮がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、類内膜がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、子宮内膜がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、SCLCの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、前立腺がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、リンパ腫の治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。
【0016】
加えて、本発明は、CREBBPおよび/またはEP300の変異を有する腫瘍の治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、食道がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、肺がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、SCLCの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、リンパ腫の治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、膀胱がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、扁平上皮組織学の治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、扁平上皮がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、子宮内膜駆動がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、HPV駆動がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、AML-ETO転座関連状態の治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、アンドロゲン受容体陽性関連状態の治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、myc過剰発現関連状態の治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、急性骨髄性白血病(AML-ETO融合を含む)の治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、急性リンパ芽球性白血病の治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、多発性骨髄腫の治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、前立腺がんの治療における使用のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩も提供する。
【0017】
本発明は、がんを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。治療することができるがんは、扁平上皮がん、膀胱尿路上皮がん、乳がん、結腸がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、上部尿路上皮がん、類内膜がん、子宮内膜がん、SCLC、前立腺がん、リンパ腫、食道がん、肺がん、膀胱がん、扁平上皮組織学、子宮内膜、HPV駆動がん、AML-ETO転座関連状態、アンドロゲン受容体陽性関連状態、myc過剰発現関連状態、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、ヒトパピローマウイルス駆動がん、および前立腺がんを含む。
【0018】
加えて、本発明は、小細胞肺がん(SCLC)を治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。本発明は、リンパ腫を治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、扁平上皮がんを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、ヒトパピローマウイルス駆動がんを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。
【0019】
本発明は、扁平上皮がんを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、膀胱尿路上皮がんを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、乳がんを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、結腸がんを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、濾胞性リンパ腫を治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、辺縁帯リンパ腫を治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、上部尿路上皮がんを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、類内膜がんを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、子宮内膜がんを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、SCLCを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、前立腺がんを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、リンパ腫を治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。
【0020】
本発明は、CREBBPおよび/またはEP300の変異を有する腫瘍を治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、食道がんを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、肺がんを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、SCLCを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、リンパ腫を治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、膀胱がんを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、扁平上皮組織学を治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、肛門がん、子宮頸がん、頭頸部がん、肺がん、および中咽頭がんを含む、扁平上皮がんを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、子宮内膜駆動がんを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、HPV駆動がんを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、AML-ETO転座関連状態を治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、アンドロゲン受容体陽性関連状態を治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、myc過剰発現関連状態を治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、急性骨髄性白血病(AML-ETO融合を含む)を治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、急性リンパ芽球性白血病を治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、多発性骨髄腫を治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。本発明は、前立腺がんを治療するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。
【0021】
本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とともに含む、医薬組成物をさらに提供する。本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と混合することを含む、医薬組成物を調製するためのプロセスをさらに提供する。本発明は、式Iの化合物の合成のための新規の中間体およびプロセスも包含する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「処置すること」、「処置」、または「処置する」という用語は、既存の症状または障害の進行または重症度を抑制すること、遅延させること、阻止すること、または改善することを含む。
【0023】
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、哺乳類、特にヒトを指す。
【0024】
本明細書で使用する場合、「有効量」という用語は、患者への単回または複数回投与の際に、診断中または治療中の患者に所望の効果を提供する、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の量または用量を示す。
【0025】
有効量は、既知技法の使用によって、かつ同様の状況下で得られた結果を観察することによって、当業者により容易に決定され得る。患者のための有効量を決定する際には、患者の人種、そのサイズ、年齢、および全体的な健康状態、関与する特定の疾患または障害、疾患または障害の程度または関与または重症度、個々の患者の反応、投与される特定の化合物、投与の法式、投与される製剤の生物学的利用能特性、選択された投与レジメン、付随する薬物の使用、ならびに他の関連する状況を含むが、これらに限定されない、多数の要因が担当診断医によって考慮される。
【0026】
本発明の化合物は、本化合物を生物学的に利用可能にする任意の経路によって投与される医薬組成物として製剤化される。より好ましくは、かかる組成物は、経口投与用である。かかる医薬組成物およびそれを調製するためのプロセスは、当該技術分野で周知である(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,L.V.Allen,Editor,22nd Edition,Pharmaceutical Press,2012を参照されたい)。
【0027】
以下の調製に記載されるある特定の中間体は、1つ以上の窒素保護基を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「PG」は、好適な保護基を指す。保護基は、特定の反応条件および実施される特定の変換に応じて、当業者によって認識されるように変化し得ることが理解される。保護および脱保護の条件は、当業者に周知であり、文献に記載されている(例えば、“Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis”,Fourth Edition,by Peter G.M.Wuts and Theodora W.Greene,John Wiley and Sons,Inc.2007を参照されたい)。
【0028】
一態様では、本明細書に記載される化合物および/または塩は、結晶性である。一実施形態では、本明細書に開示される化合物は、遊離アミンである。さらなる態様では、遊離アミンは、結晶性である。あるいは、遊離アミンは、以下に開示されるように、薬学的に許容される塩に変換され得る。
【0029】
一態様では、本明細書に記載される化合物および/または塩は、1つ以上の他の薬剤と組み合わせて投与される。本明細書に記載される化合物および/または塩、ならびに1つ以上の他の薬剤は、同時に、または互いに1時間程度以内に投与され得る。本明細書に記載される化合物および/または塩と組み合わせるための他の薬剤の非限定的な例には、他の抗がん薬、ステロイド、および抗炎症剤が含まれる。他の抗がん薬の非限定的な例には、ダロルタミド、エンザルタミド、アベマシクリブ、アルペリシブ、およびBRD4阻害剤が含まれる。BRD4阻害剤の非限定的な例には、CPI-0610、PLX51107、GSK2820151(I-BET151)、OTX015(MK-8628)、ABBV-075、FT-1101、GSK525762(I-BET762)、ZEN003694、およびABBV-744が含まれる。一実施形態では、本明細書に記載される化合物および/または塩、ならびに1つ以上の他の薬剤は、単一の剤形として製剤化される。他の実施形態では、それらは、別個に製剤化される。
【0030】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩を、例えば、当該技術分野で周知の標準的な条件下で、ジエチルエーテルなどの好適な溶媒中で、本発明の化合物の適切な遊離塩基の、適切な薬学的に許容される酸の反応によって形成することができる。加えて、かかる薬学的に許容される塩の形成は、窒素保護基の脱保護と同時に起こり得る。例えば、Gould,P.L.,“Salt selection for basic drugs,”International Journal of Pharmaceutics,33:201-217(1986)、Bastin,R.J.,et al.“Salt Selection and Optimization Procedures for Pharmaceutical New Chemical Entities,”Organic Process Research and Development,4:427-435(2000)、およびBerge,S.M.,et al.,“Pharmaceutical Salts,”Journal of Pharmaceutical Sciences,66:1-19,(1977)を参照されたい。
【0031】
特定の略語は、次のように定義される:「ACN」は、アセトニトリルを指し、「AR」は、アンドロゲン受容体を指し、「aq」は、水性を指し、「ビス(ピナコラート)ジボロン」は、ビス(ピナコラート)ジボランまたは4,4,5,5-テトラメチル-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロランを指し、「cAMP」は、環状アデノシン一リン酸塩を指し、「cataCXium(登録商標)A Pd G3」は、メシラート[(ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン)-2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)または[(ジ(1-アダマンチル)-ブチルホスフィン)-2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)メタンスルホネートを指し、「CBP」、「CREB結合タンパク質」、および「CREBBP」は、互換的に使用することができ、cAMP応答エレメント結合タンパク質-結合タンパク質を指し、「CDI」は、1,1’-カルボニルジイミダゾールを指し、「CPME」は、シクロペンチルメチルエーテルを指し、「DCC」は、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミドを指し、「DCM」は、ジクロロメタンまたは塩化メチレンを指し、「DIC」は、1,3-ジイソプロピルカルボジイミドを指し、「DIPEA」は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンまたはN-エチル-N-イソプロピル-プロパン-2-アミンを指し、「DMAP」は、4-ジメチルアミノピリジンを指し、「DMF」は、N,N-ジメチルホルムアミドを指し、「DMEM」は、ダルベッコ改良イーグル培地を指し、「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを指し、「DNA」は、デオキシリボ核酸を指し、「EDCI」は、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩を指し、「EtOAc」は、酢酸エチルを指し、「EtOH」は、エチルアルコールまたはエタノールを指し、「FBS」は、ウシ胎児血清を指し、「HATU」は、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェートを指し、「HBTU」は、3-[ビス(ジメチルアミノ)メチリウムイル]-3H-ベンゾトリアゾール-1-オキシドヘキサフルオロホスフェートを指し、「HEK」は、ヒト胎児腎臓を指し、「HOAt」は、1-ヒドロキシ-7-アゾベンゾトリアゾールを指し、「HOBt」は、1-ヒドロキシルベンゾトリアゾール水和物を指し、「HPLC」は、高速液体クロマトグラフィーを指し、「iPrOH」は、イソプロパノールまたはイソプロピルアルコールを指し、「KOAc」は、酢酸カリウムを指し、「MEM」は、最小必須培地を指し、「MeOH」は、メタノールまたはメチルアルコールを指し、「MTBE」は、メチルt-ブチルエーテルを指し、「ONf」は、ノナフラートまたはCF3(CF2)3SO3-を指し、「PBS」は、リン酸緩衝生理食塩水を指し、「Pd2(dba)3」は、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)を指し、「Pd(dppf)Cl2」は、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)を指し、「Pd(dppf)Cl2
.DCM」は、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム錯体ジクロロメタンを指し、「パールマン触媒」は、炭素上の水酸化パラジウムまたはPd(OH)2/Cを指し、「psi」は、1平方インチあたりのポンドを指し、「PyBOP」は、(ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)を指し、「PyBrOP」は、ブロモ(トリピロリジニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを指し、「rpm」は、1分あたりの回転を指し、「RT」は、室温を指し、「SCX」は、強陽イオン交換クロマトグラフィーを指し、「T3P」は、2,4,6-トリ-n-プロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスホリナン-2,4,6-トリオキシドまたはn-プロピルホスホン酸無水物を指し、「TFA」は、トリフルオロ酢酸を指し、「THF」は、テトラヒドロフランを指し、「キサントホス」は、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテンを指し、「キサントホス-Pd-G2」は、クロロ[(4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン)-2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)を指し、「XPhos」は、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニルを指し、「XPhos Pd G2」は、クロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)を指す。
【0032】
本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は、当業者に既知の様々な手順によって調製されてもよく、そのうちのいくつかが、以下のスキーム、調製、および実施例に示される。以下のスキームにおける各ステップの生成物は、抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィー、濾過、粉砕、および結晶化を含む、当該技術分野で周知の従来の方法によって回収することができる。以下のスキームにおいて、すべての置換基は、別途指示のない限り、すでに定義したとおりである。試薬および出発材料は、当業者にとって容易に入手可能である。本発明の範囲を限定することなく、以下のスキーム、調製、および実施例は、本発明をさらに説明するために提供される。
【化2】
【0033】
スキーム1は、ピラゾロ[4,3,-c]アゼピン-6-オン、化合物(6)の形成を示す。スキーム1、ステップA1では、置換5-クロロ4-カルバルデヒドピラゾール(1)を、1,4-ジオキサンおよび水などの溶媒、ならびにXPhos Pd G2などの触媒中の炭酸セシウムなどの塩基を使用して、鈴木パラジウムカップリング条件下でカリウム-トリフルオロホウ素プロピルt-ブトキシ基とカップリングし、約110℃に加熱して、化合物(2a)を得る。パラジウムクロスカップリング反応は、当該技術分野で周知であり、当業者は、そのようなクロスカップリング反応を促進するために有用な様々な条件があることを認識するであろう。好適なパラジウム触媒には、XantPhos Pd G2、cataCXium(登録商標)A Pd G3、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、Pd(dppf)Cl2、Pd2dba3、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン、および酢酸パラジウム(II)が含まれる。必要に応じて好適なリガンドには、トリシクロヘキシルホスフィンおよびトリフェニルホスフィンが含まれ得る。好適な塩基には、フッ化カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムt-ブトキシド、およびリン酸カリウム三塩基性一水和物が含まれる。
【0034】
スキーム1、ステップB1では、化合物(2a)は、還元的アミノ化を受けて、メチルアミノ化合物(3)を提供することができる。還元的アミノ化は、DCM中の化合物(2a)の溶液、または触媒量の酢酸などの酸を有するMeOH溶液にメチルアミンを添加し、約1時間などの好適な時間にわたって撹拌するなどの、当該技術分野で周知の条件を使用して達成することができる。次いで、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの好適な還元剤を加える。メチルアミノ化合物(3)を提供するために、NaBH4またはLiBH4などの当該技術分野で既知の他の還元剤を利用することができる。
【0035】
スキーム1、ステップCでは、メチルアミノ化合物(3)は、室温でTFAまたは塩酸を使用してカルボン酸(4)を提供するなどの、当該技術分野で周知の酸性条件下で脱保護することができる。「PG」は、カルボン酸のために開発された保護基である。そのような保護基は、当該技術分野において周知であり、認識されている。次いで、カルボン酸(4)をアミドカップリング試薬で環化して、化合物(5)を得ることができる。内部アミド環化は、DMFなどの極性非プロトン性溶媒中、室温、DIPEAなどの塩基およびT3Pなどのカップリング試薬で達成することができる。当業者は、カルボン酸とアミンとの反応から生じるアミド形成のためのいくつかの方法および試薬があることを認識するであろう。例えば、DIPEAまたはトリエチルアミンなどの有機塩基を含むか、または含まないカップリング試薬の存在下での、アミンと適切なカルボン酸との反応は、化合物(5)を提供することができる。カップリング試薬としては、DCC、DIC、EDCI、またはCDIなどのカルボニルジイミダゾールなどのカルボジイミドが挙げられる。HOBtおよびHOAtなどのアミドカップリング添加剤をまた使用して、反応を増強することができる。加えて、HBTU、HATU、PyBOP、およびPyBrOPなどの非求核性陰イオンのウロニウムまたはホスホニウム塩を、より伝統的なカップリング試薬の代わりに使用することができる。DMAPなどの添加剤を使用して反応を増強し得る。あるいは、EtOH中の化合物3の粗溶液を、連続反応系で2,2,2-トリフルオロエタノールで処理して、インサイチュで脱保護および環化することができ、濃縮時に化合物(5)が得られる。
【0036】
次いで、化合物(5)を、EtOHなどの溶媒中のヨウ素および硫酸銀を使用してピラゾール上でヨウ素化して、化合物(6)を提供することができる。当業者は、好適な対応するハロゲン化化合物(6)を提供するために、ヨウ素の代わりに臭素および塩素などの他のハロゲンが置換され得、すなわち、ヨウ素は、臭素または塩素でもあり得、以下のスキーム2における使用のために好適な中間体を提供することを認識するであろう。
【0037】
スキーム1における代替反応ステップ後、ステップA2では、化合物(1)をヘック反応条件下でアクリル酸tert-ブチルで処理して、1,4-ジオキサンなどの溶媒およびクロロ[(トリ-tert-ブチルホスフィン)-2-(2-アミノビフェニル)]パラジウム(II)]などの好適なパラジウム触媒中のN,N-ジシクロヘキシルメチルアミンなどの塩基を使用して化合物(2b)の置換アルケンを形成することができる。ヘック反応で使用される典型的な触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、塩化パラジウム、および酢酸パラジウム(II)である。典型的なリガンドは、トリフェニルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、キサントホス、XPhos、およびビス(ジ-tert-ブチル-ホスフィノ)フェロセンである。
【0038】
スキーム1、ステップB2では、化合物(2b)を全体的な2ステップの反応において化合物(3)に変換することができる。メチルアミンをEtOHなどの溶媒中の化合物(2b)に添加し、約90分間撹拌して、イミンの形成をもたらすことができる。次いで、アルケンおよびイミンは、パールマン触媒などの好適な触媒を使用して水素化条件下で還元し、水素化して化合物(3)を提供することができる。
【化3】
【0039】
スキーム2、ステップAでは、化合物(9)は、スキーム1、ステップA1における化合物2aについて記載される条件に類似した鈴木クロスカップリング条件下で、化合物(8)と3-ブロモ-8-クロロ-イソキノリン、化合物(7)(X=Br、ONf)とのボロン酸エステルカップリングから調製することができる。例えば、化合物(7)は、化合物(8)と組み合わされ、Pd(dppf)Cl2 DCMなどの触媒を使用して、窒素条件下で、1,4-ジオキサンおよび水などの溶媒中の炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの塩基で処理し、約80~95℃に加熱して、化合物(9)を提供する。あるいは、化合物8は、60~95℃でPd(dppf)Cl2を使用してCPME中の5-ブロモ-N-メチルピリジン-2-カルボキサミド、ビス(ピナコラート)ジボロン、およびKOAcからインサイチュで生成することができる。約4~8時間の適切な反応時間後、混合物を冷却し、化合物(9)を、溶媒をCPMEとして維持し、触媒としてPd(dppf)Cl2を使用して上記のように調製する。スキーム2、ステップBでは、化合物(9)の塩化物を、宮浦ホウ素化条件下、ビス(ピナコラート)ジボロン(R=CH3の場合)またはテトラヒドロキシジボロン(R=Hの場合)を使用して置換して、化合物(10)を得ることができる。例えば、KOAcを塩基として使用することができ、XPhosをリガンドとして使用することができ、XPhos Pd G2を1,4-ジオキサン(R=CH3の場合)ならびにエチレングリコールおよびMeOH(R=Hの場合)などの溶媒中の触媒として使用することができる。次いで、反応混合物を約40℃(R=Hの場合)および約90℃(R=CH3の場合)に加熱して、化合物(10)を提供する。使用され得る他の触媒は、酢酸パラジウム(II)またはPd2(dba)3であり、他の溶媒は、トルエンまたは2-メチル-2-ブタノールであり得る。
【0040】
スキーム2、ステップCでは、化合物(10)は次いで、スキーム1、ステップA1に記載される標準的なパラジウムクロスカップリング条件下で化合物(6)とカップリングすることができる。例えば、1,4-ジオキサンまたはEtOHなどの好適な溶媒、リン酸カリウムなどの好適な塩基、およびPd(dppf)Cl2 DCMまたはPd2dba3などの適切な触媒、必要に応じてトリシクロヘキシルホスフィンをリガンドとして使用し、約50~95℃に加熱することは、式Iの化合物を提供する。
【0041】
以下の調製および実施例は、本発明をさらに例示する。
【0042】
調製1
tert-ブチル3-(4-ホルミル-2-メチル-ピラゾール-3-イル)プロパノエート
【化4】
スキーム1、ステップA1:1,4-ジオキサン(298mL)中の5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルバルデヒド(17.8g、119mmol)およびカリウム(3-tert-ブトキシ-3-オキソ-プロピル)-トリフルオロ-ボラヌイド(38.0g、161mmol)の懸濁液を水(60mL)中の炭酸セシウム(117g、358mmol)の溶液で処理し、窒素で5分間パージする。XPhos Pd G2(9.4g、11.9mmol)を加え、反応混合物を再度10分間パージし、110℃で窒素下20時間加熱する。冷却された反応混合物を珪藻土のパッドに通して濾過し、EtOAc(900mL)、DCM(200mL)で洗浄し、真空濃縮する。得られる油をEtOAc(1.2L)に溶解し、1M水性NaOH(3×200mL)およびブライン(200mL)で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させる。粗材料を、EtOAcに対して0~50%ヘキサンの勾配で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(15.7g、53%)を淡黄色の油として得る。ES/MS(m/z):239(M+H)、
1H NMR(400.21MHz、d
6-DMSO)δ 9.80(s、1H)、7.91(s、1H)、3.84(s、3H)、3.13(t、J=7.5Hz、2H)、2.58(t、J=7.5Hz、2H)、1.36(s、9H)。
【0043】
調製2
tert-ブチル(E)-3-(4-ホルミル-2-メチル-ピラゾール-3-イル)プロパ-2-エノエート
【化5】
スキーム1、ステップA2:5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルバルデヒド(50.0g、329mmol)、アクリル酸tert-ブチル(70mL、468mmol)、およびN,N-ジシクロヘキシルメチルアミン(140mL、650mmol)を1,4-ジオキサン(400mL)に溶解する。混合物を窒素で15分間パージし、次いでクロロ[(トリ-tert-ブチルホスフィン)-2-(2-アミノビフェニル)]パラジウム(II)](3.46g、6.62mmol)を加え、窒素で再度パージし、反応混合物を85℃(内部温度)で16時間、次いで99℃(内部温度)でさらに3時間撹拌する。加熱を停止し、内部温度が60℃を下回ると、混合物を水(300mL)およびEtOAc(500mL)で希釈する。相を分離し、水相を水(500mL)で再度希釈し、その後さらなる有機相が形成される。相を分離し、水相をEtOAc(250mL)で抽出する。合わせた有機相を10%水性クエン酸(500mL)で振盪し、珪藻土に通して濾過し、水(0.1L)およびEtOAc(250mL)で洗浄する。有機層をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下、50℃で濃縮して、粘性の赤橙色の油(92g)を与える。ヘプタン(500mL)を50℃で混合物に加え、次いで室温で一晩撹拌し、その間に初期の油が固体に変換する。得られる固体を濾過によって収集し、10%EtOAc/ヘプタン(50mL)、続いてヘプタン(100mL)で洗浄する。固体を真空オーブン(40℃、10mbar)中で22時間乾燥させて、表題化合物(57.1g、73%)をクリーム状固体として得る。ES/MS(m/z):237(M+H)、
1H NMR(400.21MHz、CDCl
3)δ 9.96(s、1H)、7.99(s、1H)、7.64(d、J=16.1Hz、1H)、7.02(d、J=16.1Hz、1H)、4.02(s、3H)、1.57(s、9H)。
【0044】
調製3
tert-ブチル3-[2-メチル-4-(メチルアミノメチル)ピラゾール-3-イル]プロパノエート
【化6】
スキーム1、ステップB1:THF中のメタンアミン2M(10.2mL、20.4mmol)を、DCM(17mL)中のtert-ブチル3-(4-ホルミル-2-メチル-ピラゾール-3-イル)プロパノエート(0.81g、3.4mmol)および酢酸(0.2mL、3.4mmol)の溶液に加える。混合物を室温で1時間撹拌する。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.88g、13.6mmol)を加え、反応混合物を室温で17時間撹拌する。反応混合物を飽和水性NaHCO
3(30mL)およびDCM(30mL)で希釈する。水相をDCM(4×100mL)で抽出する。組み合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて、褐色の油を得る。粗材料を、MeOH中DCM/7N NH
3(9:1)に対して0~70%DCMの勾配で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(0.64g、73%)を油として得る。ES/MS(m/z):254(M+H)、
1H NMR(400.21MHz、d
6-DMSO)δ 7.22(s、1H)、3.72(s、3H)、3.42(s、2H)、2.85(t、J=7.7Hz、2H)、2.47(t、J=7.7Hz、2H)、2.24(s、3H)、1.38(s、9H)。
【0045】
代替調製3
tert-ブチル3-[2-メチル-4-(メチルアミノメチル)ピラゾール-3-イル]プロパノエート
スキーム1、ステップB2:メチルアミン(EtOH中33%、85mL、683mmol)をEtOH(180mL)中のtert-ブチル(E)-3-(4-ホルミル-2-メチル-ピラゾール-3-イル)プロッパ-2-エノエート(57.1g、239mmol)の溶液に加え、室温で90分間撹拌する。EtOH(60mL)中で湿った(20重量%乾燥ベース、2.5g、18mmol)パールマン触媒のスラリーを、窒素パージ下で316 SSオートクレーブ容器に入れる。最初に調製されたイミンの溶液を加え、EtOH(60mL)ですすぐ。オートクレーブを取り付け、容器を閉じ、パージし、水素で110psi(7.1bar)まで満たし、室温で20時間撹拌する(約14時間後さらなる水素消費なし)。混合物を珪藻土のパッドに通して濾過し、EtOHですすぐ。濾液を減圧下で約200mLの体積まで濃縮する。溶液のES/MSおよび1H NMRは、予想される化合物と一致している。EtOH溶液を、表題化合物の単離およびさらなる精製なしに使用し、定量的収率(65.9g、239mmol)を推定する。
【0046】
調製4
3-[2-メチル-4-(メチルアミノメチル)ピラゾール-3-イル]プロパン酸
【化7】
スキーム1、ステップC:DCM(150mL)中のtert-ブチル3-[2-メチル-4-(メチルアミノメチル)ピラゾール-3-イル]プロパノエート(9.6g、37.5mmol)の溶液に、TFA(43mL、562mmol)を加え、混合物を室温で2時間撹拌する。溶液を減圧下で濃縮し、微量のTFAをACNと共蒸発させて、無色の油を得、それをさらに精製なしに次のステップで使用し、定量的収率(7.54g、37.5mmol)を推定する。ES/MS(m/z):198(M+H)。
【0047】
調製5
1,5-ジメチル-7,8-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]アゼピン-6-オン
【化8】
スキーム1、ステップD:3-[2-メチル-4-(メチルアミノメチル)ピラゾール-3-イル]プロパン酸(7.54g、37.5mmol)をDMF(375mL)に溶解し、DIPEA(24.2g、187mmol)およびT3P(DMF中50%)(43.8mL、75.0mmol)の滴下で処理し、室温で5時間撹拌する。反応混合物を水(800mL)で希釈し、pHを飽和水性NaHCO
3でpH8に調整する。溶液をDCM/iPrOH(8:2)(8×250mL)で抽出する。組み合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させる。残渣を以下の条件を使用してSCXクロマトグラフィーで精製する:カラムを2体積のMeOHで平衡化し、化合物をMeOH(5+5mL)に溶解し、カラムに加え、MeOH(6体積)で洗浄し、MeOH中の7N NH
3(250mL)で溶出する。塩基性画分を蒸発させて、表題化合物(5.56g、83%)をオフホワイトの固体として得る。ES/MS(m/z):180(M+H)。
1H NMR(400.21MHz、d
6-DMSO)δ 7.23(s、1H)、4.34(s、2H)、3.65(s、3H)、2.86(s、3H)、2.85-2.77(m、4H)。
【0048】
代替調製5
1,5-ジメチル-7,8-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]アゼピン-6-オン
スキーム1、ステップD:代替調製3からのEtOH中のtert-ブチル3-[2-メチル-4-(メチルアミノメチル)ピラゾール-3-イル]プロパノエートの溶液(約239mmol)を0.45μmポリプロピレンメンブレンに通して濾過する。EtOHを使用して体積を0.3Lに調整し、2,2,2-トリフルオロエタノール(750mL)を加えて、フィード溶液を得る。4000kPa背圧レギュレーターを備えた60mLの316-SS管状反応器(1/8”OD)を、2,2,2-トリフルオロエタノールおよびEtOHの3:1混合物(フラッシュ溶媒)で洗い流す。反応器を220℃に加熱し、フィード溶液を耐薬品性HPLCポンプを使用して3mL/分(滞留時間20分)の速度で反応器にポンプで送る。すべての溶液を反応器に送った後、反応器を同じ流量で2,2,2-トリフルオロエタノールおよびEtOHの3:1混合物(約100mL)で洗い流す。出力溶液およびフラッシュ液を減圧下、50℃で濃縮して、粗表題化合物(48.38g、89%LCMS純度、1H NMRによる約20重量%溶媒、186.3mmol)を得る。ES/MS(m/z):180(M+H)。
【0049】
調製6
3-ヨード-1,5-ジメチル-7,8-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]アゼピン-6-オン
【化9】
スキーム1、ステップE:EtOH(60mL)中の1,5-ジメチル-7,8-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]アゼピン-6-オン(5g、26.6mmol)の溶液に、ヨウ素(粉砕、10g、39.4mmol)、続いて硫酸銀(15.2g、48.7mmol)を加える。反応混合物を室温で48時間撹拌する。DCM(500mL)を加え、懸濁液を2時間撹拌し、液体をデカントし、固体をDCM(600mL)中の20%iPrOHで粉砕し、4時間撹拌する。混合物を濾過し、固体を廃棄し、濾液を真空濃縮する。水性NH
3(32%、150ml)を加え、溶液をDCM(2×350mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を飽和Na
2S
2O
3で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮して、固体を得る。固体をヘキサン:MTBE(90mL)の1:1混合物中で2時間粉砕する。固体を濾過し、オーブンで真空下、16時間45℃で乾燥させて、表題化合物(7.36g、89%)を白色の固体として得る。ES/MS(m/z):306(M+H)、
1H NMR(400.21MHz、d
6-DMSO)δ 4.20(s、2H)、3.68(s、3H)、2.87(s、3H)、2.86-2.80(m、4H)。
【0050】
代替調製6
3-ヨード-1,5-ジメチル-7,8-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]アゼピン-6-オン
スキーム1、ステップE:EtOH(250mL)中の1,5-ジメチル-7,8-ジヒドロピラゾロ[4,3-c]アゼピン-6-オン(31.6g、94%LCMS純度、166mmol)の溶液を硫酸銀(62.3g、200mmol)に加える。溶液を窒素下で撹拌する。DCM中の一塩化ヨウ素の溶液(1.0M、220ml、220mmol)を、15分間隔で4つのほぼ等しい部分で加える。発熱を低減するために外部水浴を使用する。23時間撹拌した後、DCM中の一塩化ヨウ素のさらなる部分(1.0M、33ml、33mmol)を加える。さらに73.5時間撹拌した後、混合物を珪藻土に通して濾過し、濾過ケーキをDCM(300mL)で洗浄する。濾液および洗浄液を20%水性NaHSO3および飽和水性NaCl(400mL)の1:1混合物で1.5時間撹拌し、次いで珪藻土に通して濾過し、濾過ケーキをDCM(200mL)で洗浄する。濾液の相を分離し、水相をDCM(200mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を飽和水性NaClで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、減圧下50℃で濃縮して、淡黄色の残渣(57g)を得る。残渣をDCM(250mL)に溶解し、DCMで洗浄されたシリカパッド(直径9cm×深さ5cm)に注ぎ、1:4のEtOH:DCM(500mL)の部分を使用して吸引下で溶出する。目的物を含有する画分を減圧下、50℃で濃縮し、得られる残渣をMTBE(250mL)中、周囲温度で約16時間粉砕する。固体を濾過によって収集し、MTBE(0.1L)で洗浄し、50℃および10mbarで8.5時間乾燥させて、表題化合物を微細化された白色の粉末(41.0g、80%)として得る。ES/MS(m/z):306(M+H)。
【0051】
調製7
(8-クロロ-3-イソキノリル)1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブタン-1-スルホン酸
【化10】
炭酸カリウム(75g、542.7mmol)およびフッ化1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブタン-1-スルホニル(70mL、398.8mmol)をACN(500mL)中の8-クロロ-2H-イソキノリン-3-オン(63g、350.7mmol)に加え、得られる混合物を60℃で15時間撹拌する。混合物を濾過し、固体をさらにACNで洗浄する。濾液を減圧下で濃縮する。残渣を水(300mL)に懸濁させ、pHを飽和水性NaHCO
3(20mL)で>7に調整する。懸濁液を2時間撹拌し、次いで濾過する。濾過ケーキを水およびヘプタンで洗浄し、次いで減圧下35℃で乾燥させる。乾燥した固体をDCMに溶解し、シリカゲル(100mL)を加え、混合物を減圧下で濃縮する。得られる固体をシリカパッド(400mLシリカ、予め1:4のEtOAc:n-ヘキサンで洗浄)に充填し、1:4のEtOAc:n-ヘキサン(1.5L)を使用して吸引下で溶出する。溶出液を元の体積の約1/20まで減圧下で濃縮し、固体を沈殿させるためにn-ヘキサン(50mL)を加える。固体を濾過によって収集し、固体のさらなる群を濾液の同様の処理によって得る(合計4群)。固体の群を合わせ、減圧下、50℃で一晩乾燥させて、表題化合物を白色の固体(50.82g、55.9%)として得る。ES/MS(m/z)(
35Cl/
37Cl):462/464(M+H)、
1H NMR(400.21MHz、CDCl
3)δ 9.53(s、1H)、7.89-7.82(m、1H)、7.77-7.69(m、2H)、7.62(s、1H)、
19F{
1H}NMR(376.5MHz、CDCl
3)δ-80.6(m)、-108.7(m)、-120.8(m)、-125.7(m)。
【0052】
調製8
5-(8-クロロ-3-イソキノリル)-N-メチル-ピリジン-2-カルボキサミド
【化11】
スキーム2、ステップA:3-ブロモ-8-クロロ-イソキノリン(500mg、2.06mmol)、N-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-カルボキサミド(584mg、2.23mmol)、および炭酸ナトリウム(655mg、6.19mmol)を1,4-ジオキサン(8.2mL)および水(1.6mL)に懸濁させる。混合物を窒素でパージする(5分)。Pd(dppf)Cl
2
.DCM(135mg、0.165mmol)を加え、反応物を95℃で23時間撹拌する。混合物を室温に冷却し、珪藻土で濾過し、EtOAc(200ml)およびDCM(100mL)ですすぐ。濾液を真空下で濃縮し、残渣を、DCM/MeOH(9:1)に対して0%~40%DCMの勾配で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(610mg、98%)を淡褐色の固体として得る。ES/MS m/z(
35Cl/
37Cl):298/300(M+H)、
1H NMR(400.21MHz、d
6-DMSO)δ 9.69(s、1H)、9.46(dd、J=0.7、2.2Hz、1H)、8.87-8.85(m、1H)、8.78(d、J=2.4Hz、1H)、8.77-8.76(m、1H)、8.20(d、J=8.0Hz、1H)、8.09(d、J=7.7Hz、1H)、7.93-7.83(m、2H)、2.87(d、J=4.8Hz、3H)。
【0053】
代替調製8
5-(8-クロロ-3-イソキノリル)-N-メチル-ピリジン-2-カルボキサミド
スキーム2、ステップA:CPME(120mL)中の5-ブロモ-N-メチルピリジン-2-カルボキサミド(10.0g、46.0mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(15.5g、59.8mmol)、およびKOAc(11.5g、115mmol)を一緒に加え、混合物を窒素で約10分間パージする。Pd(dppf)Cl2(1.0g、1.3mmol)を加え、混合物を60℃に加熱する。窒素を窒素下で約4時間81℃(内部温度)で撹拌する。温度を94℃(内部温度)に上昇させ、45分後に追加のビス(ピナコラート)ジボロン(2.5g、9.6mmol)を加える。加熱を4時間続け、次いで混合物を周囲温度に冷却する。窒素でパージした2M水性炭酸カリウム(70ml、140mmol)、続いて10分後に(8-クロロ-3-イソキノリル)1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブタン-1-スルホネート(22.28g、47.8mmol)を加える。混合物を窒素で約10分間パージし、次いで84℃の内部温度に加熱する。5時間後、Pd(dppf)Cl2(0.5g、0.7mmol)を加え、加熱を3時間続ける。加熱を停止し、混合物を50℃に放冷し、次いで2M水性炭酸カリウム(75mL、150mmol)およびEtOAc(120mL)で希釈する。混合物を周囲温度まで冷却し、濾過する。濾過ケーキを押下し、水(200mL)およびEtOAc(100mL)で洗浄する。濾液の相を分離し、有機相を50mLずつの2M水性リン酸カリウムおよび飽和水性NaClで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をDCM(300mL)中で濾過によって収集される固体と合わせ、約2時間激しく撹拌する。混合物を濾過し、ケーキをDCM(100mL)で洗浄し、次いで廃棄する。少量の水相を濾液から分離し、廃棄し、有機相をブラインで洗浄し、次いでシリカパッド(直径9cm×深さ2.5cm)に注ぎ、DCM(3×500mL)および1:9アセトン:DCM(4×500mL)で吸引下で溶出する。目的物を含有する画分を合わせ、減圧下で濃縮し、得られる残渣をMTBE(250mL)で50℃で1時間粉砕し、次いで氷水浴で1時間冷却する。固体を濾過によって収集し、低温MTBE(2×50mL)で洗浄し、減圧(45℃、10mbar)下で18時間乾燥させて、表題化合物をオフホワイトの固体(7.51g、54.8%)として得る。ES/MS m/z (35Cl/37Cl): 298/300 (M+H)、
【0054】
調製9
5-(8-クロロ-3-イソキノリル)-N-エチル-ピリジン-2-カルボキサミド
【化12】
スキーム2、ステップA:(8-クロロ-3-イソキノリル)1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブタン-1-スルホネート(500mg、1.08mmol)、N-エチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-カルボキサミド(390mg、1.13mmol)を1,4-ジオキサン(11mL)に懸濁させ、2M水性炭酸カリウム(1.62mL、3.24mmol)を加える。溶液を窒素で5分間パージする。Pd(dppf)Cl
2
.DCM(44mg、0.054mmol)を加え、溶液を再度窒素でパージし、反応物を90℃で15時間撹拌する。混合物を室温に冷却し、水でクエンチし、EtOAc(3×100mL)で抽出する。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて、褐色の油を得る。残渣を、EtOAcに対して0%~70%n-ヘキサンの勾配で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(275mg、81%)を淡褐色の固体として得る。ES/MS m/z(
35Cl/
37Cl):312/314(M+H)、
1H NMR(400.21MHz、d
6-DMSO)δ 9.70(t、J=0.8Hz、1H)、9.47(dd、J=0.8、2.2Hz、1H)、8.91(t、J=5.9Hz、1H)、8.79-8.76(m、2H)、8.20(dd、J=0.8、8.2Hz、1H)、8.11-8.09(m、1H)、7.90-7.83(m、2H)、3.34-3.41(m、2H)、1.17(t、J=7.2Hz、3H)。
【0055】
調製10
N-メチル-5-[8-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-イソキノリル]ピリジン-2-カルボキサミド
【化13】
スキーム2、ステップB:1,4-ジオキサン(32mL)中の5-(8-クロロ-3-イソキノリル)-N-メチル-ピリジン-2-カルボキサミド(750mg、2.27mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.73g、6.80mmol)、KOAc(556mg、5.67mmol)、およびXPhos(111mg、0.227mmol)の混合物を窒素でパージする。XPhos Pd G2(182mg、0.227mmol)を加え、混合物を窒素でパージする。混合物を90℃で17時間撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、珪藻土に通して濾過し、EtOAc(3×50ml)で洗浄する。混合物を濃縮し、残渣をEtOAc(500mL)で希釈し、水(2×80mL)で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、褐色の油を得、それをEtOAcに対して0~70%ヘキサンの勾配で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(482mg、54%)を白色の固体として得る。ES/MS(m/z):390(M+H)、
1H NMR(400.21MHz、d
6-DMSO)δ 10.08(s、1H)、9.47(dd、J=0.7、2.2Hz、1H)、8.87(q、J=4.7Hz、1H)、8.77(dd、J=2.2、8.2Hz、1H)、8.68(d、J=0.6Hz、1H)、8.21-8.17(m、2H)、8.13(dd、J=1.2、6.9Hz、1H)、7.86(dd、J=6.9、8.2Hz、1H)、2.87(d、J=4.8Hz、3H)、1.43(s、12H)。
【0056】
調製11
5-[8-(1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-イソキノリル]-N-メチル-ピリジン-2-カルボキサミド
【化14】
スキーム2、ステップB:無水エチレングリコール(15ml)およびMeOH(60mL)中の5-(8-クロロ-3-イソキノリル)-N-メチル-ピリジン-2-カルボキサミド(5.8g、19.3mmol)、テトラヒドロキシジボロン(2.9g、31mmol)、KOAc(5.0g、49.9mmol)、およびXPhos Pd G2(0.39g、0.49mmol)の混合物を窒素で15分間パージする。次いで混合物を40℃で14時間撹拌する。水(150mL)を加え、混合物を3時間周囲温度で撹拌する。固体を濾過によって収集し、1:3のMeOH:水(50mL)、水(50mL)、およびMTBE(50mL)で洗浄する。濾過ケーキを真空オーブン(40℃、10mbar)で24時間乾燥させて、表題化合物を、主要な種(6.96g、91%LCMS純度、99%)としてグリコールエステルと一致する、ベージュ色の固体として得る。ES/MS(m/z):308(ボロン酸の場合M+H)、
1H NMR(400.21MHz、d
4-MeOH)δ 9.42(s、1H)、9.38(d、J=1.6Hz、1H)、8.66(dd、J=2.0、8.4Hz)、8.43(s、1H)、8.22(dd、1H、J=0.8、8.4Hz、1H)、8.09-8.03(m、1H)、7.87-7.78(m、1H)、3.62(s、3H)、3.03(s、3H)。
【0057】
調製12
N-エチル-5-[8-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-イソキノリル]ピリジン-2-カルボキサミド
【化15】
スキーム2、ステップB:1,4-ジオキサン(11mL)中の5-(8-クロロ-3-イソキノリル)-N-エチル-ピリジン-2-カルボキサミド(275mg、0.88mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(672mg、2.65mmol)、KOAc(216mg、2.20mmol)、およびXPhos(43mg、0.088mmol)の混合物を窒素でパージする。XPhos Pd G2(69mg、0.088mmol)を加え、混合物を窒素でパージし、90℃で21時間撹拌する。混合物を室温に冷却し、珪藻土に通して濾過し、EtOAc(200ml)で洗浄する。混合物を濃縮し、残渣をEtOAc(300mL)で希釈し、水(2×80mL)で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、褐色の油を得、それをEtOAcに対して0~50%ヘキサンの勾配で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(202mg、57%)をオフホワイトの固体として得る。ES/MS(m/z):404(M+H)、
1H NMR(400.21MHz、d
6-DMSO)δ 10.08(s、1H)、9.48(dd、J=0.7、2.2Hz、1H)、8.90(t、J=6.0Hz、1H)、8.77(dd、J=2.2、8.2Hz、1H)、8.67(d、J=0.5Hz、1H)、8.22-8.17(m、2H)、8.13(dd、J=1.2、6.9Hz、1H)、7.86(dd、J=6.9、8.2Hz、1H)、3.41-3.34(m、2H)、1.43(s、12H)、1.15-1.18(m、3H)。
【0058】
実施例1
5-[8-(1,5-ジメチル-6-オキソ-7,8-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]アゼピン-3-イル)-3-イソキノリル]-N-メチル-ピリジン-2-カルボキサミド
【化16】
スキーム2、ステップC:1,4-ジオキサン(2.2mL)およびN,N-ジメチルアセトアミド(0.22mL)中の3-ヨード-1,5-ジメチル-7,8-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]アゼピン-6-オン(100mg、0.33mmol)およびN-メチル-5-[8-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-イソキノリル]ピリジン-2-カルボキサミド(153mg、0.39mmol)の溶液を、1M水性リン酸カリウム(0.98mL 0.98mmol)で処理し、窒素で5分間パージする。Pd(dppf)Cl
2
.DCM(27mg、0.033mmol)を加え、反応物を95℃で5.5時間撹拌する。粗材料を珪藻土に通して濾過し、DCMおよびEtOAcで洗浄し、蒸発乾固させる。残渣を以下の条件を使用してSCXクロマトグラフィーで精製する:カラムを2カラム体積のMeOHで平衡化し、化合物をMeOH(4mL)に溶解し、カラムに加え、MeOH(3体積)で洗浄し、MeOH中の2M NH
3(20mL)で溶出する。溶媒を蒸発させて、褐色の油を得る。油を、DCM/MeOH(9:1)に対して0~70%DCMの勾配で溶出する、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによってさらに精製する。固体を真空オーブンにおいて40℃で16時間乾燥させて、表題化合物(130mg、90%)を淡褐色の固体として得る。ES/MS(m/z):441(M+H)、
1H NMR(400.13MHz、d
6-DMSO)δ 9.56(s、1H)、9.46(d、J=2.0Hz、1H)、8.85(q、J=4.9Hz、1H)、8.76(dd、J=2.0、8.3Hz、1H)、8.73(s、1H)、8.19(d、J=8.3Hz、1H)、8.13(d、J=8.3Hz、1H)、7.93(dd、J=7.1、8.3Hz、1H)、7.58(dd、J=1.2、7.1Hz、1H)、4.33(s、2H)、3.85(s、3H)、3.03-2.91(m、4H)、2.87(d、J=4.9Hz、3H)、2.77(s、3H)。
【0059】
代替調製実施例1
5-[8-(1,5-ジメチル-6-オキソ-7,8-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]アゼピン-3-イル)-3-イソキノリル]-N-メチル-ピリジン-2-カルボキサミド
スキーム2、ステップC:2-メチル-2-ブタノール(100mL)中の3-ヨード-1,5-ジメチル-7,8-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]アゼピン-6-オン(9.3g、30.17mmol)、N-メチル-5-[8-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-イソキノリル]ピリジン-2-カルボキサミド(約52g、68%LCMS純度、10.5mmol)、および2M水性リン酸カリウム(30mL、60mmol)の混合物を、Pd(dppf)Cl2(0.71g、0.95mmol)の添加前に窒素で30分間パージする。混合物を加熱ブロックにおいて90℃設定値で加熱する。ブロック温度が60℃に達するとき、パージチューブを除去する。N-メチル-5-[8-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-イソキノリル]ピリジン-2-カルボキサミドのさらなる部分を2時間および3.5時間で加える(総添加量:15.45g、68%LCMS純度、31.53mmol)。合計20時間加熱した後、混合物を周囲温度に冷却し、水(100mL)およびMTBE(250mL)で希釈する。混合物を濾過し、濾過した固体を水(100mL)およびMTBE(100mL)で洗浄する。濾液の相を分離し、ヘプタン(400mL)を有機相に加える。追加の固体沈殿物は、1時間後に濾過によって収集し、予め収集された固体と合わせる。合わせた固体をDCM(500mL)、アセトン(200mL)、およびMeOH(100mL)の混合物に溶解し、珪藻土に減圧下50℃で濃縮する。固体を好適なカートリッジに充填し、0~15%EtOH/DCMの勾配で溶出する、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(750gシリカゲル)を使用して精製する。目的物を含有する画分を合わせ、減圧下で約60mLの透明な褐色の溶液に濃縮する。溶液を60℃で撹拌し、予め調製された目的物の試料を播種する。得られるスラリーを1時間60℃で窒素の陽圧下さらに撹拌し、次いで周囲温度に冷却する。16時間後、固体を濾過によって収集し、氷冷EtOH(35mL)で洗浄する。追加の材料を濾液の濃縮およびさらなるクロマトグラフィーによって単離する。2つの群の固体を合わせ、THF(200mL)に溶解し、ジメルカプトトリアジン官能化金属捕捉剤樹脂(SiliCycle Inc、SiliaMetS(登録商標)DMT、2g、ジメルカプトトリアジンとして1.2mmol)と40℃で67時間撹拌する。捕捉剤を0.45μmポリプロピレンメンブレンフィルターに通す濾過によって除去し、固体をTHF(100mL)ですすいだ。濾液および洗浄液を減圧下50℃で濃縮し、EtOHに溶媒交換し(最終体積約50mL)、その間に白色のスラリーが形成される。スラリーを1時間60℃で窒素の陽圧下で熟成し、次いで周囲温度に冷却する。6時間後、固体を濾過によって収集し、氷冷EtOH(25mL)で洗浄する。固体を減圧下で30時間(60℃で5時間、50℃で25時間)乾燥させて、表題化合物を白色の粉末(8.95g、66%)として得る。ES/MS(m/z):441(M+H)。
【0060】
実施例2
5-[8-(1,5-ジメチル-6-オキソ-7,8-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]アゼピン-3-イル)-3-イソキノリル]-N-エチル-ピリジン-2-カルボキサミド
【化17】
スキーム2、ステップC:1,4-ジオキサン(2.85mL)およびN,N-ジメチルアセトアミド(0.28mL)中の3-ヨード-1,5-ジメチル-7,8-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]アゼピン-6-オン(130mg、0.43mmol)、N-エチル-5-[8-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-イソキノリル]ピリジン-2-カルボキサミド(353mg、0.49mmol)の溶液を、1M水性リン酸カリウム(1.27mL、1.27mmol)で処理し、窒素で5分間パージする。Pd(dppf)Cl
2
.DCM(35mg、0.042859mmol)を加え、反応物を90℃で17時間撹拌する。材料を室温に冷却し、珪藻土に通して濾過し、DCMおよびEtOAcで洗浄し、蒸発乾固させる。残渣を以下の条件を使用してSCXクロマトグラフィーで精製する:カラムを2カラム体積のMeOHで平衡化し、化合物をMeOH(4mL)に溶解し、カラムに加え、MeOH(3体積)で洗浄し、MeOH中の2M NH
3(20mL)で溶出する。溶媒を蒸発させて、褐色の油を得る。材料を、10mM重炭酸アンモニウム緩衝液、pH=9を使用し、緩衝液中の20%~60%ACNの勾配で溶出する逆相クロマトグラフィーによってさらに精製して、表題化合物(83mg、42%)を淡褐色の固体として得る。ES/MS(m/z):455(M+H)、
1H NMR(400.13MHz、d
6-DMSO)δ 9.57(s、1H)、9.46(dd、J=0.7、2.2Hz、1H)、8.89(t、J=6.1Hz、1H)、8.76(dd、J=2.2、8.3Hz、1H)、8.73(s、1H)、8.20-8.18(m、1H)、8.13(d、J=8.6Hz、1H)、7.93(dd、J=7.1、8.3Hz、1H)、7.58(dd、J=1.1、7.1Hz、1H)、4.33(s、2H)、3.85(s、3H)、3.41-3.34(m、2H)、3.04-2.91(m、4H)、2.77(s、3H)、1.17(t、J=7.2Hz、3H)。
【0061】
代替調製実施例2
5-[8-(1,5-ジメチル-6-オキソ-7,8-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]アゼピン-3-イル)-3-イソキノリル]-N-エチル-ピリジン-2-カルボキサミド
スキーム2、ステップC:EtOH(35mL)中の3-ヨード-1,5-ジメチル-7,8-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]アゼピン-6-オン(3.50g、11.36mmol)およびN-エチル-5-[8-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-イソキノリル]ピリジン-2-カルボキサミド(4.71g、11.56mmol)、ならびに2M水性リン酸カリウム(11mL、22mmol)の混合物を窒素で15分間パージする。トリシクロヘキシルホスフィン(0.19g、0.68mmol)およびPd2dba3(0.21g、0.22mmol)を加え、窒素パージをさらに10分間続ける。加熱を開始し、加熱ブロックが50℃に達するとパージチューブを除去する。混合物を4時間還流し、次いで室温に冷却する。ジメルカプトトリアジン官能化金属捕捉剤樹脂(SiliCycle,Inc、SiliaMetS(登録商標)DMT、充填0.60mmol/g、2.0g、1.2mmol)を加え、混合物を50℃で3.5時間撹拌し、次いで室温に冷却する。水(120mL)を加え、混合物を室温で30分間撹拌する。混合物を珪藻土に通して濾過し、パッドを1:3のEtOH/水(40mL)ですすぐ。濾液を水(400mL)で希釈し、周囲温度で1.5時間撹拌する。得られる白色固体を濾過によって収集し、1:6のEtOH/水(70mL)、水(100mL)で洗浄し、減圧下、16時間50℃で乾燥させて、粗表題化合物を得る。粗固体をEtOH(40mL)およびDCM(10mL)に溶解し、珪藻土に通して濾過する。濾液を減圧下、50℃で約20mLの溶液が残るまで濃縮する。溶液を70℃の加熱ブロックで撹拌し、ヘプタン(20mL)を約2分かけて加える。混合物を加熱ブロックで1時間撹拌し、その間に白色の固体が形成される。加熱を停止し、混合物を撹拌しながら放冷する。6時間後、固体を濾過によって収集し、1:1のEtOH/ヘプタン(10mL)およびヘプタン(10mL)で洗浄し、次いで減圧下、50℃で13時間乾燥させて、表題化合物(4.2g、81%)を白色の固体として得る。ES/MS(m/z):455(M+H)。
【0062】
生物学的アッセイ
NanoBRETアッセイ
HEK293細胞を、T-75フラスコにおいてDMEM+10%FBS中に10×106細胞/16mLで播種し、4~6時間付着したままにする。トランスフェクション試薬を、Opti-MEM培地(フェノールレッドなし、FBSなし)および8%Fugene HD含有発現プラスミドに、以下の最終濃度:1:ヒストンH3.3 HaloTag DNA(Promega、0.02μg)+NanoLuc-CREBBP-BD(Promega、0.0002μg)、2:ヒストンH3.3 HaloTag DNA(Promega、0.02μg)+NanoLuc-EP300-BD(Promega、0.0002μg)、3:ヒストンH4 HaloTag DNA(0.02μg)+NanLuc-BRD4全長(Promega、0.0002μg)で希釈する。DNA/Fugene混合物を室温で10分間放置する。トランスフェクションミックス(800μL)をフラスコごとに加え、すぐに回転させて細胞を覆う。プレートを一晩のトランスフェクションのためにインキュベーターに戻す。翌日、HaloTag NanoBRET 618リガンド(0.1mMの20μL/バイアル)を室温で解凍する。培養培地をトランスフェクトされた細胞フラスコから取り出し、PBS(5mL)で洗浄し、トリプシン(3mL)で室温で処理して、細胞を分離する。トリプシン処理細胞をDMEM+10%FBS(7mL)に再懸濁させ、コニカルチューブ(50mL)に収集する。細胞を1500rpmで5分間回転させ、次いでOpti-MEM(フェノールレッドなし)+4%FBSに再懸濁させる。HaloTag NanoBRET 618リガンド(1μLの0.1mM)を最終濃度100nmで細胞に加える。細胞を白色、不透明な底の96ウェルプレート(Costar 3917)に加え、37℃/5%CO2で一晩インキュベートする。
【0063】
化合物を段階希釈し、96ウェルプレートに加える(2μL、10mM、3倍希釈液、100%DMSO)。培地(98μL)/4%FBSを、200μM、2%DMSOの最終濃度のために化合物プレートに加える。対照化合物プレート(MIN)を、参照阻害剤(10μL)を培地(490μL)/4%FBSに加えることによって、200μM、2%DMSO(最終20μM、最終0.2%)で調製する。MIN参照阻害剤(50μL)を対照プレートカラム1A~1Hに加える。MAXプレートを、DMSO(10μL)を培地(10μL)/4%FBSに加えることによって、2%DMSO(最終濃度0.2%)で調製する。最大(50μL)を対照プレートカラム12A~12Hに加える。細胞を10μL/ウェルの段階希釈した実施例1で処理する。細胞プレートを37℃/5%CO
2でインキュベートする。CREBBP/EP300プレートを4時間のインキュベーション後に読み取り、BRD4プレートを一晩のインキュベーション後に読み取る。読み取りのためにプレートを展開するには、すべての試薬を使用前に室温に到達させる。NanoBRET Nano-Glo基質の5mMストックをOpti-MEMで50μMに希釈する(フェノールレッドなし、血清なし)。Nano-Glo基質(25μL/ウェルの50μM)を加える。プレートを1分間振盪して混合し、10分以内に、以下の設定:ミラー:ルミネセンス、吸収フィルター:E600LP、第2の吸収フィルター:D460/50、測定高さ(mm):6.5、測定時間(秒):0.2秒で、Envisionプレートリーダーで読み取る。
【表1】
【0064】
表1に示されるように、データは、実施例1および実施例2の化合物が、インビトロでCREBBPおよびEP300を強力に阻害することを実証する。加えて、表1は、実施例1および実施例2の化合物が、BRD4ブロモドメインよりもCREBBP/EP300について選択性を示すことを示す。
【0065】
22Rv1における細胞増殖アッセイ
以下の細胞増殖アッセイの目的は、実施例2の化合物およびその組み合わせが細胞増殖に影響を与えるかを検出することである。
【0066】
22Rv1(ATCC CRL-2505から購入)細胞を、RMPI 10%FBS(20μL体積)中ウェルあたり1,000細胞の密度で、透明底384ウェル細胞培養プレートに播種する。プレートを37℃および5%CO2でインキュベートする。翌日、実施例2の化合物および以下の表に見られる既知の抗がん治療剤と組み合わされた実施例2の化合物を細胞に投与する。Echo 555アコースティックディスペンサーを使用して、60μM~0.003μMの範囲の濃度で、実施例2の化合物、およびその組み合わせの段階希釈液(1:3)を調製する。次いで、実施例2の化合物およびその組み合わせについて、段階希釈プレートから細胞プレートに5μLを加えることによって細胞を投与し、20μM~0.001μMの範囲の最終濃度用量で0.2%の最終DMSO濃度をもたらす。
【0067】
0.2%DMSOを含有する培地が最大点に使用され、0.2%DMSOを含有する成長培地中の2μMスタウロスポリンが最小点に使用される。実施例2の化合物およびその組み合わせを投与した後、細胞プレートを37℃および5%CO2でインキュベートする。試験化合物添加から7日後、プレートをインキュベーターから取り出し、冷EtOH(96%、65μL)を各ウェルに加える。30分後、培地を除去し、RNase(20μL、50μg/mL)(Sigma)およびPBS中の1:1000ヨウ化プロピジウム希釈液を各ウェルに加える。プレートを密封し、室温で1時間インキュベートし、光から保護する。次いでプレートをACUMEN EXPLORER(商標)で走査する。22Rv1細胞の数は、面積パラメータ(総細胞集団の総面積の比)、FL-3(PI)のピーク強度の指定範囲、および周囲長によって定義される単一細胞集団の平均面積によって計算される、推定細胞数によって評価する。次いで、データをNGRスクリーニングツールを通して処理する。データは、4パラメータ非線形ロジスティック方程式(4パラメータロジスティック濃度-応答曲線):Y=bot+[(top-bot)/1+(x/IC50)slope]を使用して分析し、式中、Y=阻害%、X=y阻害%をもたらす濃度、「bot」=曲線が到達したyの最小値、「top」=曲線が到達したyの最大値、「slope」=IC50での曲線の勾配である。阻害%=[(最大中央値-x/最大中央値-最小中央値)]100。
【0068】
様々な濃度の22Rv1前立腺がん細胞における、実施例2の化合物およびその組み合わせの阻害%を、以下の表2および3に示す。
【表2】
【表3】
【0069】
このアッセイの結果は、22Rv1(ARFL/ARV7、PIK3CAmut)前立腺がん細胞における、実施例2の化合物ならびに抗がん治療剤ダロルタミド、エンザルタミド、アベマシクリブ、およびアルペリシブと組み合わせた実施例2の化合物の抗増殖活性を実証する。表2に見られるように、細胞増殖は、実施例2の化合物によって阻害される。加えて、細胞増殖は、表2に記載される抗がん治療剤と組み合わせた実施例2の化合物によって阻害される。同様に、表3に見られるように、細胞増殖は、実施例2の化合物によって阻害される。加えて、細胞増殖は、表3に記載される抗がん治療剤と組み合わせた実施例2の化合物によって阻害される。
【0070】
細胞成長阻害アッセイ
腫瘍細胞株を96ウェル、黒色の壁のポリ-D-リジンプレート(Corning#354640)に播種し、37℃、5%CO
2で18~24時間インキュベートする。化合物をDMSO中の1:3希釈液で加え、細胞を37℃、5%CO
2で7日間インキュベートした。粘着細胞株について、細胞を固定し、ヨウ化プロピジウムで染色し、Acumen(チャネル3設定)で走査した。懸濁細胞株について、Cell Titer-Glo試薬を使用して細胞成長を監視した。
【表4】
【0071】
表4は、実施例1および実施例2の化合物によるがん細胞株における成長阻害を示す。
【0072】
BromoKdELECT(登録商標)プラットフォームアッセイ
このアッセイの目的は、インビトロターゲットエンゲージメントおよび選択性を評価することである(https://www.discoverx.com/services/drug-discovery-development-services/epigenetic-profiling/bromoscan-epigenetic-profiling/bromokdelect)。アッセイ測定は、ブロモドメインに関連するDNA標識を検出する定量的PCR技術を使用することによる、試験および対照試料において捕捉されるブロモドメインの量に基づく。ブロモドメイン活性部位に結合する化合物は、固定化されたリガンドへのその結合を防止し、固体支持体に捕捉されるブロモドメインの量を低減するであろう。しかしながら、ブロモドメインに結合しない分子は、固体支持体に捕捉されるタンパク質の量に影響を与えない。よって、化合物活性は、qPCRを使用することによって試験対対照試料において捕捉されたブロモドメインの量を測定することによって監視される。試験化合物-ブロモドメイン相互作用の結合親和性は、試験化合物濃度の関数として固体支持体に捕捉されたブロモドメインの量を測定することによって計算される。
【0073】
実施例1および2の化合物のCREBBP、EP300、およびBRD4(ブロモドメイン1(BD1)およびブロモドメイン2(BD2))に対する結合親和性(Kd)は、11点用量応答研究において決定される(表5を参照されたい)。データは、重複実験の平均として表される。
【表5】
【0074】
表5に示されるように、実施例1の化合物は、EP300について0.16nMの結合親和性およびCREBBPについて1.1nMの結合親和性を示す。加えて、表5に示されるように、実施例1の化合物の結合親和性は、BRD4ブロモドメインよりもCREBBP/EP300について選択的である。同様に表5に示されるように、実施例2の化合物は、EP300について0.095nMの結合親和性およびCREBBPについて0.325nMの結合親和性を示す。加えて、表5に示されるように、実施例2の化合物の結合親和性は、BRD4ブロモドメインよりもCREBBP/EP300について選択的である。