(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
B65G 47/10 20060101AFI20230613BHJP
B65G 47/08 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B65G47/10
B65G47/08 Z
(21)【出願番号】P 2020168265
(22)【出願日】2020-10-05
【審査請求日】2022-11-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】木村 和誠
(72)【発明者】
【氏名】岩田 昌重
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-032020(JP,A)
【文献】実開昭58-041724(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/08
B65G 47/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの物品を含む物品群ごとに前記物品を搬送する物品搬送設備であって、
搬送方向に沿って前記物品を搬送する搬送コンベヤと、
平面視で前記搬送方向に直交する方向を幅方向として、前記物品群ごとに、前記幅方向の一方側から前記搬送コンベヤの搬送面上に前記物品を供給する物品供給装置と、
前記搬送コンベヤ及び前記物品供給装置を制御する制御装置と、を備え、
前記物品群に、外形形状が直方体状の前記物品及びそれよりも転がりにくい前記物品である非転動物品と、前記非転動物品よりも転がり易い前記物品である転動物品とが含まれる場合に、前記制御装置は、前記物品供給装置に、前記搬送面上に設定した1つの単位搬送領域に1つの前記物品群に含まれる前記物品を供給させる場合において、先に前記転動物品を前記搬送コンベヤに供給させ、その後前記非転動物品を前記搬送コンベヤに供給させる、物品搬送設備。
【請求項2】
前記制御装置は、前記搬送コンベヤによる前記搬送方向への前記物品の搬送を行わせながら、前記物品供給装置に前記物品を供給させる、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記転動物品は、円柱状、球状、円錐状、6角柱以上の多角柱状、10面体以上の多面体状、6角錘以上の多角錘状を含む、請求項1又は2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記物品供給装置は、オーダー情報に基づいて前記物品群ごとに前記物品を供給するものであり、
1つの前記オーダー情報により規定される前記物品群に、前記転動物品と前記非転動物品とが含まれる、請求項1から3の何れか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記物品群に含まれる前記物品が前記転動物品であるか前記非転動物品であるかが、前記オーダー情報に基づいて判定される、請求項4に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記制御装置は、前記転動物品の内、相対的に転がり易い前記物品を先に前記搬送コンベヤに供給させる、請求項5に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの物品を含む物品群ごとに物品を搬送する物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2011-32020号公報には、集積コンベヤ(2)と、合流ライン(3)とを備えた搬送装置(1)が開示されている(背景技術において括弧内の符号は参照する文献のもの。)。集積コンベヤ(2)は、物品(W)を水平な搬送方向に搬送する一直線状のベルトコンベヤである。また、合流ライン(3)は、集積コンベヤ(2)の一方の側面側からほぼ直角に交わるような形態で、集積コンベヤ(2)の搬送方向に沿って複数本配設されている。それぞれの合流ライン(2)から物品(W)が集積コンベヤ(2)に供給され、集積コンベヤ(2)により物品(W)が搬送される。
【0003】
集積コンベヤ(2)には、搬送方向に等間隔を置いて隣り合うように、桟が備えられている。この桟により、合流ライン(3)から集積コンベヤ(3)に供給された物品(W)の搬送方向に沿った方向でのずれや、異なる合流ライン(3)から集積コンベヤ(2)に供給された物品(W)同士の接触などが抑制される。即ち、搬送方向において隣り合う桟と桟との間が、物品(W)の搬送領域(Z)として設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようにコンベヤに桟などの区画材を設置することによって、物品のずれや物品同士の接触などをある程度は抑制することができる。しかし、搬送対象の物品は、直方体状など、比較的転がりにくい形状のものとは限らず、例えば、円柱状などの転がりやすい形状のものも存在する。そのような転がりやすい形状の物品は、コンベヤへの供給の際に、当該供給のための自らの動きや他の物品との接触などによって、予定しない方向に転がって移動する可能性があった。コンベヤに区画材が設置されている場合であっても、区画材の形状によっては、当該区画材を超えて転がって移動する場合があった。また、コンベヤにそのような区画材が設けられていない場合には、そのような転がりやすい形状の物品の移動を制限することはさらに難しかった。
【0006】
上記背景に鑑みて、コンベヤにより搬送する物品の中に転がり易い形状の物品が含まれる場合であっても、当該物品がコンベヤの搬送面上で転がって移動することを少なく抑えることができる技術の提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、少なくとも1つの物品を含む物品群ごとに前記物品を搬送する物品搬送設備は、搬送方向に沿って前記物品を搬送する搬送コンベヤと、平面視で前記搬送方向に直交する方向を幅方向として、前記物品群ごとに、前記幅方向の一方側から前記搬送コンベヤの搬送面上に前記物品を供給する物品供給装置と、前記搬送コンベヤ及び前記物品供給装置を制御する制御装置と、を備え、前記物品群に、外形形状が直方体状の前記物品及びそれよりも転がりにくい前記物品である非転動物品と、前記非転動物品よりも転がり易い前記物品である転動物品とが含まれる場合に、前記制御装置は、前記物品供給装置に、前記搬送面上に設定した1つの単位搬送領域に1つの前記物品群に含まれる前記物品を供給させる場合において、先に前記転動物品を前記搬送コンベヤに供給させ、その後前記非転動物品を前記搬送コンベヤに供給させる。
【0008】
物品供給装置から搬送コンベヤに複数の物品が供給される場合、物品同士が搬送コンベヤ上において接触する可能性がある。例えば、非転動物品が先に搬送コンベヤに供給されて載置されている状態で転動物品が供給されると、当該供給によって移動中の転動物品が非転動物品に接触して、当該転動物品が搬送コンベヤの搬送面上を予定外の方向へ転がる可能性がある。しかし、本構成によれば、転動物品の方が先に搬送コンベヤに供給されるため、転動物品が非転動物品に接触したことによって搬送面上を転がる可能性を低減することができる。先に搬送コンベヤに供給されて載置されている転動物品に、後から供給された非転動物品が接触する可能性はあるが、このとき転動物品は既に静止している場合が多いため、非転動物品の接触によっても大きく移動することは少ない。また、非転動物品は転動物品に比べて転がりにくいため、転動物品に接触しても非転動物品の載置位置が大きくずれることは抑制される。即ち、本構成によれば、コンベヤにより搬送する物品の中に転がり易い形状の物品が含まれる場合であっても、当該物品がコンベヤの搬送面上で転がって移動することを少なく抑えることができる。
【0009】
物品搬送設備のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】複数段仕分け装置の一部を模式的に示す斜視図
【
図6】搬送面上の領域設定と物品搬送の各フェーズにおける搬送状態を示す図
【
図7】搬送面上の領域設定と物品搬送の各フェーズにおける搬送状態を示す図
【
図8】搬送面上の領域設定と物品搬送の各フェーズにおける搬送状態を示す図
【
図9】搬送面上の領域設定と物品搬送の各フェーズにおける搬送状態を示す図
【
図10】搬送面上の領域設定と物品搬送の各フェーズにおける搬送状態を示す図
【
図11】搬送面上の領域設定と物品搬送の各フェーズにおける搬送状態を示す図
【
図12】単位搬送領域及び間隙領域を設定する条件の一例を示す図
【
図13】単位搬送領域の形成間隔と供給口の配置間隔との関係を示す図
【
図14】転動物品及び非転動物品を含む物品群を第1コンベヤに供給する際の搬送状態の一例を示す図
【
図15】転動物品及び非転動物品を含む物品群を第1コンベヤに供給する際の搬送状態の一例を示す図
【
図16】転動物品及び非転動物品を含む物品群を第1コンベヤに供給する際の搬送状態の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、仕分けシステム(アソートシステム)に適用される形態を例として、物品搬送設備の実施形態を図面に基づいて説明する。物品搬送設備は、少なくとも1つの物品を含む物品群ごとに物品を搬送するものであり、搬送方向に沿って物品を搬送する搬送コンベヤと、搬送コンベヤの搬送面上に物品を供給する物品供給装置と、搬送コンベヤ及び物品供給装置を制御する制御装置とを備えている。
【0012】
図1に示すように、物品搬送設備PSは、例えば通信販売を行う事業者が保有する物流設備に備えられ、例えば、不図示の自動倉庫に保管されている複数の物品Gの中から必要な物品Gを仕分けして出庫する。この場合、自動倉庫には、複数の物品Gが種別毎に容器に収容された状態で保管されている。そして、種別毎に容器に収容された複数の物品Gは、自動倉庫から自動で搬出され、不図示の物品ばらし部において個別の物品Gに分離される。その後、複数の物品Gのそれぞれが個別に搬送される。尚、「物品G」には、例えば、食料品や生活用品などの各種商品、又は、工場の生産ライン等において用いられる仕掛品などであり、仕分け対象となる物品Gには様々な物が含まれる。
【0013】
物品搬送設備PSは、複数段仕分け装置7と、複数段仕分け装置7から物品Gを受け取り、受け取った物品Gを当該複数段仕分け装置7から離間する方向である第1方向Xに沿って搬送する搬出コンベヤ8と、搬出コンベヤ8から物品Gを受け取って当該物品Gを平面視で第1方向X(幅方向)に交差する(図示の例では直交する)第2方向Y(搬送方向)に沿って搬送する物品搬送装置100とを備えている。更に、本例の物品搬送設備PSは、
図2に示すように、複数段仕分け装置7に物品Gを搬入する搬入装置6と、移載装置5を介して物品搬送装置100から物品Gを受け取って搬出する搬出装置9とを備えている。移載装置5は、物品搬送装置100から供給された物品Gを受け取り、搬出装置9上に設置された容器Cに物品Gを自動投入する自動投入機として構成されている。
【0014】
後述するように、物品搬送装置100は、本実施形態では、第1コンベヤ1、第2コンベヤ2及び中間コンベヤ3を備えている。広義には物品搬送装置100が搬送コンベヤに相当し、狭義には第1コンベヤ1が搬送コンベヤに相当する。以下の説明においては、第1コンベヤ1を搬送コンベヤとして説明する。また、搬入装置6、複数段仕分け装置7、及び搬出コンベヤ8は、物品供給装置4に相当する。また、移載装置5は、搬送コンベヤ(第1コンベヤ1、物品搬送装置100)の下流に備えられて、少なくとも1つの物品群Gg(
図2、
図4、
図6~
図11等)ごとに物品Gが引き渡される被供給装置に相当する。
【0015】
搬入装置6は、種別毎に容器に収容された状態で自動倉庫から搬出されると共に物品ばらし部において個別に分離された物品Gを、順次、複数段仕分け装置7に搬入する。
図2に示す例では、搬入装置6は、コンベヤとして構成されている。
図5に示すように、搬入装置6は、物品搬送設備PSの全体を制御する統括制御装置Ctを介して搬入制御部65により制御されている。
【0016】
複数段仕分け装置7は、搬入装置6から搬入された物品Gを仕分けるための装置である。
図3に示すように、複数段仕分け装置7は、上下方向の高さが異なる複数段の間口71を有し、物品Gを複数段の間口71の何れかに仕分けして排出する。図示の例では、複数段仕分け装置7は、複数段及び複数列からなる直交格子状配列の複数の間口71を有している。また、
図5に示すように、複数段仕分け装置7は、物品判別部77及び仕分け制御部75を備えている。
【0017】
複数段仕分け装置7は、オーダー情報に基づいて、物品Gを複数の間口71の何れかに仕分ける。本例では、複数段仕分け装置7は、オーダー情報に基づいて決定された特定の間口71から物品Gを排出して搬出コンベヤ8に引き渡すことで、物品Gの仕分けを行う。尚、ここでのオーダー情報とは、例えば、出荷すべき物品G(単一種であっても良いし、複数種の組み合わせであっても良い。)の種別及び数量を指定したオーダー(ピッキングオーダー)を示す情報である。そして、複数段仕分け装置7は、各オーダーによって指定された1つ以上の物品Gを、オーダー毎に異なる間口71に排出することで、物品Gの仕分けを行う。
【0018】
詳細な図示は省略するが、複数段仕分け装置7は、物品Gを判別するための物品判別部77による判別結果に基づいて、物品Gを仕分ける。例えば、物品判別部77は、物品Gを撮像するカメラを備えており、このカメラで取得された画像データに対する画像認識処理を行うことにより物品Gを判別するように構成されている。但し、このような構成に限定されることなく、例えば、物品情報を記憶するICタグやバーコード等(記憶部)が物品Gに付されていると共に、物品判別部77が、当該物品情報を読み取るリーダー(読取部)を備え、このリーダーにより読み取った物品情報に基づいて物品Gを判別するように構成されていても良い。
【0019】
物品搬送設備PSによる搬送対象となる物品Gには、様々な形状のものが含まれる。それらの物品Gが、物品搬送装置100を構成するコンベヤ(例えば第1コンベヤ1)上において、転がり難い形状である場合と、転がって移動しやすい形状である場合とで、取り扱いを異ならせることが望ましい場合がある。そこで、例えば、物品Gを、外形形状が直方体状の物品G及びそれよりも転がりにくい物品Gである非転動物品Gsと、非転動物品Gsよりも転がり易い物品Gである転動物品Gcとに分類することができる(
図14~
図16参照)。複数段仕分け装置7は、カメラによる判別や、リーダーにより読み取った物品情報により、それぞれの物品Gが、非転動物品Gsであるか、転動物品Gcであるかを判別することができる。
【0020】
本実施形態では、
図2~
図4に示すように、複数段仕分け装置7は、レール72と、当該レール72に沿って移動する複数の搬送台車73とを備えている。レール72は、間口71が設けられる複数段毎に、水平方向(第2方向Y)に沿って設けられる水平部分を備えている。搬送台車73は、レール72の水平部分に沿って走行するように構成され、これにより、物品Gを第2方向Yに搬送する。また、レール72は、上下方向に延在すると共に、複数段毎に配置される水平部分を接続する上下部分を備えていても良い。この場合、搬送台車73は、レール72の上下部分に沿って昇降するように構成され、これにより、複数段毎に配置される水平部分のそれぞれに移動可能となる。この場合には、搬送台車73の数は、間口71が設けられる段数に制限されない。そのため、例えば、間口71が設けられる段数よりも少ない台数や多い台数の搬送台車73を配置することも可能である。尚、
図3に示す例では、8段の間口71に対して8台の搬送台車73が配置されている。
【0021】
本実施形態では、搬送台車73のそれぞれは、物品Gを下方から支持すると共に当該物品Gを間口71から排出する排出コンベヤ74を備えている。排出コンベヤ74は、搬送台車73の走行経路から第1方向Xに物品Gを移動させる。仕分け制御部75は、これらの搬送台車73や排出コンベヤ74を駆動制御する。
【0022】
搬出コンベヤ8は、複数段仕分け装置7によって仕分けられた物品Gを搬送するための装置である。
図5に示すように、搬出コンベヤ8は、搬出コンベヤ制御部85により駆動制御される。本実施形態では、搬出コンベヤ8は、複数段の間口71のそれぞれに対応して設けられており、複数段仕分け装置7によって間口71から排出された物品Gを一時的に貯留すると共に、当該貯留した物品Gを第1方向Xに搬送するように構成されている。本実施形態では、複数の搬出コンベヤ8が、複数段のそれぞれにおいて、複数列の間口71のそれぞれに対応するように第2方向Yに並んで配置されている。
【0023】
図2及び
図4に示すように、搬出コンベヤ8は、オーダー毎の複数の物品Gの集合である物品群Gg単位で物品Gを搬送し、物品搬送装置100の第1コンベヤ1へ排出する。1つの物品群Ggを構成する物品Gの数は、オーダー毎に異なる。例えば、オーダーによっては、1つの物品Gによって1つの物品群Ggが構成される場合もある。このように、搬出コンベヤ8を含む物品供給装置4は、平面視で搬送方向(第2方向Y)に直交する幅方向(第1方向X)の一方側から、物品群Ggごとに、第1コンベヤ1の第1搬送面F1上に物品Gを供給する。
図2に示すように、搬出コンベヤ8から第1コンベヤ1へ物品Gを供給する供給口81は、第2方向Yに沿って並ぶように複数備えられている。
【0024】
物品搬送装置100は、物品Gを搬送するための装置である。物品搬送装置100は、物品搬送設備PSにおいて、搬出コンベヤ8から排出された物品G(物品群Gg)を搬送方向(第2方向Y)に沿って搬送し、移載装置5を介して搬出装置9に引き渡す。
【0025】
図1及び
図2に示すように、物品搬送装置100は、それぞれ物品Gを搬送する第1コンベヤ1と第2コンベヤ2とを備えている。また、物品搬送装置100は、第2方向Yにおいて第1コンベヤ1と第2コンベヤ2との間に配置された中間コンベヤ3を更に備えている。
図5に示すように、これら第1コンベヤ1、第2コンベヤ2、中間コンベヤ3は、統括制御装置Ctを介して、それぞれ第1コンベヤ制御部15、第2コンベヤ制御部25、中間コンベヤ制御部35によって駆動制御されている。
【0026】
本実施形態では、第1コンベヤ1は、プーリと当該プーリに巻回されたベルトとを有するベルトコンベヤにより構成され、ベルトの上面に第1搬送面F1が形成されている。ベルトは、第1コンベヤ制御部15により制御されるモータなどのアクチュエータによりプーリを回転駆動することにより駆動される。
【0027】
図4に示すように、第1コンベヤ1は、第1搬送面F1に対して第1方向Xに隣接して配置された第1側壁部S1を備えている。第1側壁部S1は、第1搬送面F1よりも上方に突出して、第2方向Yに沿って配置されている。本第1側壁部S1によって、第1搬送面F1上を搬送されている物品Gが第1搬送面F1から第1方向Xの外側に脱落することを抑制することができる。換言すれば、第1側壁部S1によって、第1搬送面F1上を搬送されている物品Gを第2方向Y(搬送方向)に適切に案内することができる。本例では、第1側壁部S1も、コンベヤとして構成されており、物品Gは、第1搬送面F1及び第1側壁部S1の双方によって、第2方向Y(搬送方向)に沿って搬送される。
【0028】
図1等に示すように、本実施形態では、第1コンベヤ1は、第1搬送面F1を昇降させる昇降機構11を備えている。昇降機構11も、第1コンベヤ制御部15によって駆動制御される。昇降機構11により第1コンベヤ1が昇降することで、
図4に示すように、複数段に亘って設けられた搬出コンベヤ8のそれぞれに対応した高さに第1搬送面F1を配置することができる。これにより、第1コンベヤ1は、複数段の何れの搬出コンベヤ8からも物品Gを受け取ることができる。本例では、
図1に示すように、昇降機構11は、第1搬送面支持部10を昇降自在に支持するマスト111と、第1搬送面支持部10を昇降駆動する昇降駆動部110とを備えている。
【0029】
詳細な説明は省略するが、
図1及び
図2に示すように、第2コンベヤ2は、第1コンベヤ1よりも搬送方向下流側(第2方向第1側Y1)に配置されている。第2コンベヤ2は、第1搬送面F1に対して異なる高さに配置されると共に物品Gを載置した状態で搬送する搬送面と、第1コンベヤ1とは独立して当該搬送面を駆動する駆動機構を備えている。第1コンベヤ1と同様に、第2コンベヤ2は、プーリと当該プーリに巻回されたベルトとを有するベルトコンベヤにより構成され、ベルトの上面に搬送面が形成されている。ベルトは、第2コンベヤ制御部25により制御されるモータなどのアクチュエータによりプーリを回転駆動することにより駆動される。
【0030】
また、中間コンベヤ3は、第1コンベヤ1と第2コンベヤ2との間、即ち、第1コンベヤ1よりも搬送方向下流側(第2方向第1側Y1)且つ第2コンベヤ2よりも搬送方向上流側(第2方向第2側Y2)に配置されている。中間コンベヤ3は、第1搬送面F1及び第2コンベヤ2の搬送面に対して異なる高さに配置されると共に物品Gを載置した状態で搬送する搬送面と、第1コンベヤ1及び第2コンベヤ2とは独立して当該搬送面を駆動する駆動機構とを備えている。第1コンベヤ1及び第2コンベヤ2と同様に、中間コンベヤ3は、プーリと当該プーリに巻回されたベルトとを有するベルトコンベヤにより構成され、ベルトの上面に搬送面が形成されている。ベルトは、、中間コンベヤ制御部35により制御されるモータなどのアクチュエータによりプーリを回転駆動することにより駆動される。
【0031】
図4に示すように、第1コンベヤ1の第1搬送面F1は、水平面に対する第1方向Xの角度が傾斜している(例えば、10°~20°)。これにより、第1コンベヤ1によって搬送される物品Gを、第1搬送面F1上において第1側壁部S1の側に寄せた状態で搬送することができる。尚、本例では、第1搬送面F1の水平面に対する第2方向Yの角度は、0°に設定されている。
【0032】
また、第2コンベヤ2の搬送面は、上下方向における高さが第1搬送面F1よりも低く、水平面に対する第1方向Xの角度が第1搬送面F1の水平面に対する第1方向Xの角度よりも小さい角度(本実施形態では、0°)である。すなわち、第2コンベヤ2の搬送面は、水平面に沿って配置されている。これにより、物品Gを水平面に沿って搬送することができる。本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、第2コンベヤ2よりも搬送方向の下流側(第2方向第1側Y1)に、オーダー毎の物品群Gg単位で物品Gを搬出装置9に投入するための移載装置5(自動投入機)が設けられている。尚、本例では、第2コンベヤ2の搬送面の水平面に対する第2方向Yの角度は、0°に設定されている。
【0033】
中間コンベヤ3の搬送面は、第1搬送面F1と第2コンベヤ2の搬送面との上下方向の間に配置され、水平面に対する第1方向Xの角度が第1搬送面F1の水平面に対する第1方向Xの角度と、第2コンベヤ2の搬送面の水平面に対する第1方向Xの角度との間の中間角度で傾斜している。このような構成により、物品Gが複数のコンベヤ間において搬送面から搬送面へ移動する際の上下方向の距離を短くすることができる。従って、この物品搬送装置100によれば、水平面に対する第1方向Xの傾斜角度、及び上下方向における高さが互いに異なる搬送面を有する複数のコンベヤ間を物品が移動する際の衝撃を緩和することが可能となっている。尚、本例では、中間コンベヤ3の搬送面の水平面に対する第2方向Yの角度は、0°に設定されている。
【0034】
移載装置5は、物品搬送装置100から物品Gが供給される投入口56が第2方向第2側Y2に形成されると共に、底部が開放された箱状の本体部50を備えている。移載装置5は、物品搬送装置100よりも下方に設置された搬出装置9の上方に本体部50の底部が位置するように、配置されている。搬出装置9は、複数段仕分け装置7によって仕分けられた物品群Gg単位で、物品Gを収容する容器Cを搬送している。本実施形態では、移載装置5よりも第2方向第2側Y2から空の容器Cが順次、第2方向第1側Y1に向かって搬送され、移載装置5の下方にて物品Gが容器Cに収容される。そして、移載装置5よりも第2方向第1側Y1に向かって物品群Gg単位で物品Gが収容された容器Cが搬送される。
【0035】
詳細な構造の説明は省略するが、移載装置5は、第2コンベヤ2の搬送面よりも下方に位置する搬出装置9上の容器Cへ物品Gを移載する際の衝撃を緩和するための移載機構を備えて構成されている。移載機構は、
図5に示すように移載制御部55によって制御される。また、物品搬送装置100による物品Gの搬送、及び移載装置5による物品Gの移載と同期するように、容器Cを搬送する搬出装置9は、
図5に示すように搬出制御部95により制御される。
【0036】
上述したように、物品供給装置4によって仕分けられで供給された物品群Ggごとに搬送して、被供給装置としての移載装置5を介して搬出装置9に提供するに当たっては、物品搬送装置100(特に第1コンベヤ1)において、異なる物品群Ggに属する物品Gが混ざることなく、搬送されることが好ましい。1つの対応として、第1コンベヤ1の第1搬送面F1に桟等の区画材を設けて第1搬送面F1を物理的に区画することが考えられる。しかし、第1搬送面F1に取り付けた区画材を移動させることは一般的に容易ではなく、区画が固定化されるため、搬送対象の物品Gに応じた柔軟な搬送の妨げとなり、搬送効率が低下する可能性がある。本実施形態では、区画材などを用いなくても、第1搬送面F1上に領域を設定することによって、適切に物品Gを搬送することができる。
【0037】
具体的には、第1コンベヤ1及び物品供給装置4を制御する統括制御装置Ctは、第1搬送面F1上を搬送方向(第2方向Y)に区分した単位搬送領域Eと、搬送方向において隣接する2つの単位搬送領域Eの間に挟まれた間隙領域Bとを、第1搬送面F1上に設定する。そして、統括制御装置Ctは、物品供給装置4に、1つの単位搬送領域Eに1つの物品群Ggに含まれる物品Gを供給させる。単位搬送領域Eを設定することによって、物品群Ggごとにそれぞれの単位搬送領域Eに物品Gを載置して適切に物品Gを搬送することができる。また、搬送方向において隣接する単位搬送領域Eの間には、間隙領域Bが設定されるので、異なる物品群Ggに含まれる物品G同士が接触することが抑制される。
【0038】
図6~
図11は、第1搬送面F1上の領域設定と物品搬送の各フェーズにおける搬送状態を示している。
図6及び
図7に示すように、単位搬送領域E及び間隙領域Bが第1搬送面F1上に設定された第1コンベヤ1に対して、単位搬送領域Eの搬送方向における中央部Ecを目標として、物品供給装置4から物品Gが供給される。この時、第1コンベヤ1は、第1速度V1で移動している、又は、停止している。
【0039】
図7及び
図8に示すように、統括制御装置Ctは、第1コンベヤ1による第2方向Yへの物品Gの搬送を行わせながら、物品供給装置4に物品Gを供給させる。また、
図2を参照して上述したように、物品供給装置4を構成する搬出コンベヤ8から第1コンベヤ1へ物品Gを供給する供給口81は、第2方向Yに沿って複数備えられている。従って、複数箇所の供給口81を使って、複数箇所の単位搬送領域Eに並行して物品Gが供給されてもよい。当然ながら、統括制御装置Ctは、何れかの供給口81から物品Gを供給する場合に、物品Gが載置されていない単位搬送領域Eに物品Gを供給させる。
【0040】
尚、
図7及び
図8に例示した形態では、統括制御装置Ctは、単位搬送領域Eの第2方向Yにおける中央部Ecを目標として、搬出コンベヤ8に物品Gを供給させている。これにより、物品Gを単位搬送領域Eに内に適切に載置させることができる。但し、単位搬送領域E内に物品Gが載置可能であれば、中央部Ecから外れた箇所を目標として物品Gが供給されることを妨げるものではない。
【0041】
単位搬送領域E及び間隙領域Bが形成され、単位搬送領域Eに物品Gが供給されると、統括制御装置Ctは、第1コンベヤ1による物品Gの搬送を停止させ、第1コンベヤ1の第1搬送面F1を中間コンベヤ3の搬送面に対応する高さまで昇降させる。具体的には、最後に物品Gを供給した供給口81が中間コンベヤ3の搬送面よりも下方に位置している場合には、第1コンベヤ1を上昇させ、最後に物品Gを供給した供給口81が中間コンベヤ3の搬送面よりも上方に位置している場合には、第1コンベヤ1を下降させる。
図9は、第1コンベヤ1の第1搬送面F1が、中間コンベヤ3及び第2コンベヤ2を介して移載装置5へ物品Gを搬送できる高さに位置している状態を示している。
【0042】
次に、統括制御装置Ctは、
図10に示すように、第1速度V1よりも速い第2速度V2で第1コンベヤ1を駆動させると共に、第1コンベヤ1以上の速度で、中間コンベヤ3及び第2コンベヤ2を駆動させる。この時、統括制御装置Ctは、1つの単位搬送領域Eと1つの間隙領域Bとを合わせた領域に相当する1ウィンドウの長さ分、第2方向第1側Y1に第1コンベヤ1を移動させ、移動後に第1コンベヤ1を一時停止させる(
図11)。
図9及び
図11は、第1コンベヤ1が停止している状態を示しており、
図10は、第1コンベヤ1が第2速度V2で移動している状態を示している。複数箇所の単位搬送領域Eに物品Gが供給されている場合、
図10と
図11とを繰り返すことで、移載装置5を介して、物品搬送装置100から搬出装置9へと物品Gが受け渡される。つまり、統括制御装置Ctは、単位搬送領域Eごとに、第1コンベヤ1に第2方向Yへの駆動と停止とを繰り返させることによって、第1コンベヤ1(物品搬送装置100)から被供給装置としての移載装置5に物品Gを引き渡す。
【0043】
尚、
図6から
図11を参照して上述した形態では、1つの物品群Ggを構成する複数の物品Gが、共通する1つの供給口81から1つの単位搬送領域Eに供給される例を示した。しかし、1つの物品群Ggを構成する複数の物品Gは、異なる複数の供給口81から1つの単位搬送領域Eに供給されてもよい。
【0044】
上述したように、第2速度V2は、第1速度V1よりも速い速度である。第1速度V1は、搬出コンベヤ8(物品供給装置4)から第1コンベヤ1に物品Gが供給される際の速度である。つまり、第1速度V1は、物品供給装置4による物品Gの供給中の速度ということができる。一方、第2速度V2は、第1コンベヤ1に物品Gが供給された後の速度であり、第2速度V2は、物品Gの非供給中の速度である。つまり、統括制御装置Ctは、物品供給装置4による物品Gの供給中は、物品Gの非供給中に比べて、第1コンベヤ1の第2方向Yへの搬送速度を低下させる。これにより、物品供給装置4による物品Gの供給中における第1コンベヤ1の第1搬送面F1上での物品Gの転がりや滑り等による移動を少なく抑え、適切に単位搬送領域E内に物品Gを載置させて物品Gを搬送することができる。当然ながら、第2速度V2が、第1コンベヤ1の第1搬送面F1上での物品Gの転がりや滑り等による移動が生じない程度に十分低速である場合には、第1速度V1と第2速度V2とが同じであってもよい。
【0045】
尚、単位搬送領域E及び間隙領域Bによって構成されるウィンドウの第2方向Yの長さは、固定ではなく可変であるとよい。この時、単位搬送領域E及び間隙領域Bの少なくとも一方の第2方向Yの長さが可変であれば、ウィンドウの第2方向Yの長さを変えることができる。何れを可変とすることも可能であるが、単位搬送領域Eを可変とすることによって、搬送対象の物品G、或いは物品群Ggに応じて柔軟にウィンドウの第2方向Yの長さを設定することができる。
【0046】
例えば、統括制御装置Ctは、単位搬送領域Eの第2方向Yの長さを、物品群Ggに含まれる物品Gの大きさに応じて可変設定することができる。物品Gの大きさに応じて単位搬送領域Eの搬送方向の長さが設定されると、単位搬送領域E内に適切に物品Gを載置した状態で物品Gを搬送することができる。例えば、単位搬送領域Eに対して物品Gの大きさが大きすぎると、物品Gが単位搬送領域Eからはみ出て、隣接する単位搬送領域Eに載置される物品Gと干渉する可能性が増加する。また、単位搬送領域Eに対して物品Gの大きさが小さすぎると、単位搬送領域Eに無駄なスペースが生じ、搬送効率を低下させる。単位搬送領域Eが物品Gの大きさに応じて可変設定されることにより、これらの問題が生じることが抑制される。
【0047】
また、例えば、統括制御装置Ctは、単位搬送領域Eの第2方向Yの長さを、第1コンベヤ1による物品Gの搬送速度に応じて可変設定することができる。搬送コンベヤの搬送速度に応じて単位搬送領域Eの第2方向Yの長さが設定されると第1コンベヤ1を動かしながら、適切に単位搬送領域E内に物品Gを載置した状態で物品Gを搬送することができる。
【0048】
当然ながら、統括制御装置Ctは、単位搬送領域Eの第2方向Yの長さを、物品群Ggに含まれる物品Gの大きさ、及び、第1コンベヤ1による物品Gの搬送速度の双方に応じて可変設定してもよい。また、当然ながら、単位搬送領域Eの第2方向Yの長さは、物品群Ggに含まれる物品Gの大きさ、及び、第1コンベヤ1による物品Gの搬送速度以外の条件に基づいて可変設定されてもよい。また、搬送効率の向上は見込めないが、単位搬送領域Eの第2方向Yの長さが可変ではなく、固定値であることを妨げるものでもない。
【0049】
以下、
図12を参照して、単位搬送領域E及び間隙領域Bの第2方向Yの長さを設定する条件について説明する。単位搬送領域Eの第2方向Yの長さは、例えば、供給される物品群Ggに含まれる物品Gの大きさと、物品群Ggに複数の物品Gが含まれる場合における当該複数の物品Gの第2方向Yにおける広がり量と、第1コンベヤ1の搬送速度変更による物品Gの移動量とに基づいて設定される。尚、当該広がり量及び当該移動量は、第1コンベヤ1による物品Gの搬送速度の影響を受ける。従って、当該広がり量に基づいて単位搬送領域Eを設定すること、及び当該移動量に基づいて単位搬送領域Eを設定することは、第1コンベヤ1による物品Gの搬送速度に基づいて単位搬送領域Eを設定することに含まれる。
【0050】
上述したように、単位搬送領域Eには、搬送対象の物品Gが適切に収まり、第1搬送面F1上に載置されることが好ましい。このため、単位搬送領域Eの第2方向Yの長さの設定条件に物品Gの大きさが含まれると、単位搬送領域E内に適切に物品Gを載置した状態で物品Gを搬送することができる。従って、
図12に示すように、単位搬送領域Eには、物品Gの大きさに基づく第1搬送領域Ye1が含まれると好ましい。ここで、物品Gが第1搬送面F1上に供給された後の姿勢(向き等)が定まっている、又は予想できる場合には、当該供給後の姿勢における物品Gの第2方向Yの寸法を、ここでの「物品Gの大きさ」として用いると好適である。また、「物品Gの大きさ」として物品Gの最大寸法(最も長さが大きい部分の寸法)を用いても好適である。物品Gの最大寸法を用いる構成は、物品Gの第1搬送面F1上への供給後の姿勢が予想できない場合などに特に適している。或いは、物品Gの大きさ」として物品Gの体積を用いても好適である。なお、物品群Ggに複数の物品Gが含まれる場合には、例えば、前記のいずれかの「物品Gの大きさ」を、複数の物品Gについて合計したものを用いると好適である。
【0051】
また、物品群Ggに複数の物品Gが含まれる場合には、
図7及び
図8等に示すように、物品供給装置4から第1コンベヤ1への物品Gの供給に際して、物品Gが第2方向Yに広がって載置される。単位搬送領域Eの設定条件に、複数の物品Gの第2方向Yにおける広がり量が含まれることで、単位搬送領域E内に適切に複数の物品Gを載置することができる。従って、
図12に示すように、単位搬送領域Eには、複数の物品Gの広がり量に基づく第2搬送領域Ye2が含まれると好ましい。尚、第2搬送領域Ye2は、第1搬送領域Ye1に対して第2方向第1側Y1(搬送方向下流側)と、第2方向第2側Y2(搬送方向上流側)との2箇所に分かれて設定される。複数の物品Gの第2方向Yにおける広がり量は、第1コンベヤ1による物品Gの搬送速度、各物品Gの形状、各物品Gの重量等の指標に基づいて予想することができる。そこで、本実施形態では、統括制御装置Ctは、これらの指標と広がり量との関係を定めた広がり量マップを参照可能に構成されている。そして、統括制御装置Ctは、物品判別部77等により取得した物品情報や第1コンベヤ1の制御状態の情報等に基づいて、広がり量マップを参照し、複数の物品Gの第2方向Yにおける広がり量を求める。
【0052】
また、上述したように、第1コンベヤ1の搬送速度には、例えば、異なる速度である第1速度V1と第2速度V2とが設定される場合がある。また、
図9~
図11を参照して上述したように、移載装置5を介して、物品搬送装置100から搬出装置9へ物品Gを受け渡す際には、第1コンベヤ1が停止と搬送とを繰り返す。第1速度V1と第2速度V2との間や、停止と搬送との間では、第1コンベヤ1が減速したり、加速したりする。この際、第1コンベヤ1上に載置された物品Gには慣性力が作用し、第1コンベヤ1の第1搬送面F1上を物品Gが転がったり滑ったりして載置位置がずれる可能性がある。単位搬送領域Eの設定条件に第1コンベヤ1の搬送速度変更による物品Gの移動量が含まれることで、物品Gの載置位置がずれた場合でも単位搬送領域E内に適切に物品Gを載置した状態で物品Gを搬送することができる。従って、
図12に示すように、単位搬送領域Eには、搬送速度変更による物品Gの移動量に基づく第3搬送領域Ye3が含まれると好ましい。尚、第2搬送領域Ye2と同様に第3搬送領域Ye3も、第1搬送領域Ye1に対して第2方向第1側Y1(搬送方向下流側)と、第2方向第2側Y2(搬送方向上流側)との2箇所に分かれて設定される。第1コンベヤ1の搬送速度変更による物品Gの移動量は、当該搬送速度の変化中の加速度、各物品Gの形状、各物品Gの重量等の指標に基づいて予想することができる。そこで、本実施形態では、統括制御装置Ctは、これらの指標と移動量との関係を定めた移動量マップを参照可能に構成されている。そして、統括制御装置Ctは、物品判別部77等により取得した物品情報や第1コンベヤ1の制御状態の情報等に基づいて、移動量マップを参照し、第1コンベヤ1の搬送速度変更による物品Gの移動量を求める。
【0053】
尚、単位搬送領域Eには、第1搬送領域Ye1、第2搬送領域Ye2、第3搬送領域Ye3の全てが含まれていなくてもよい。単位搬送領域Eには、少なくとも何れか1つを含んで設定されていてもよい。
【0054】
また、間隙領域Bの第2方向Yの長さは、例えば、第1コンベヤ1を減速させる際に第1コンベヤ1が移動する減速距離と、制御遅れにより第1コンベヤ1が移動する空走距離と、第1コンベヤ1の移動量を検出するエンコーダ等のセンサの誤差に基づいて設定されている。
【0055】
上述したように、統括制御装置Ctは、単位搬送領域Eごとに、第1コンベヤ1に第2方向Yへの駆動と停止とを繰り返させることによって、第1コンベヤ1(物品搬送装置100)から被供給装置としての移載装置5に物品Gを引き渡す。第1コンベヤ1が減速する際にも第1コンベヤ1は移動するから、間隙領域Bには、減速距離に基づく第1間隙領域Yb1が含まれると好ましい。当然ながら、減速距離を第1間隙領域Yb1の第2方向Yの長さとしてもよい。ここで、減速距離は、第1コンベヤ1を減速させる際の加速度と減速前の速度とに基づいて求めることができる。
【0056】
また、統括制御装置Ct或いは第1コンベヤ制御部15が減速を指令しても、実際に第1コンベヤ1が減速し始めるまでには制御遅れが生じる。この制御遅れの期間、第1コンベヤ1は減速することなく移動する。従って、空走距離に基づく第2間隙領域Yb2が間隙領域Bに含まれると好ましい。第1間隙領域Yb1と同様に、空走距離を第2間隙領域Yb2の第2方向Yの長さとしてもよい。ここで、制御遅れの期間の長さは、実験的に求めることができる。また、空走距離は、第1コンベヤ1の減速前の速度と制御遅れの期間の長さとに基づいて求めることができる。
【0057】
また、第1コンベヤ1は、第1コンベヤ1の移動量を検出する、例えばエンコーダ等のセンサの検出結果に基づいてフィードバック制御されている。このセンサの誤差は、第1コンベヤ1の移動量の誤差につながる。従って、間隙領域Bには、第1コンベヤ1の移動量を検出するセンサの誤差に基づく第3間隙領域Yb3が含まれると好ましい。ここで、センサの誤差は、当該センサの仕様から求め、或いは、実験的に求めることができる。
【0058】
ところで、上述したように、搬出コンベヤ8から第1コンベヤ1へ物品Gを供給する供給口81は、第2方向Yに沿って複数備えられている。従って、複数箇所の供給口81を使って、複数箇所の単位搬送領域Eに並行して物品Gが供給されてもよい。この際、
図13に示すように、1つの単位搬送領域Eと1つの間隙領域Bとにより構成される1つのウィンドウが形成される第2方向Yの間隔である第1間隔P1と、それぞれの単位搬送領域Eに物品Gを供給する供給口81の第2方向Yの配置間隔である第2間隔P2とを一致させるとよい。第1間隔P1と第2間隔P2とが一致していると、効率良く物品供給装置4から第1コンベヤ1に物品Gを供給することができる。尚、間隙領域Bの第2方向Yの長さが固定値である場合には、1つのウィンドウが形成される第2方向Yの間隔は、単位搬送領域Eの第2方向Yの間隔と一致する。従って、この場合には、第1間隔P1は、単位搬送領域Eが設定される第2方向Yの間隔ということもできる。
【0059】
尚、
図13では、説明を容易にするために、第1間隔P1が全て同じであり、第2間隔P2が全て同じである形態を例示している。しかし、単位搬送領域Eが可変である場合には、第1間隔P1は異なる間隔となる。この場合には、異なる第1間隔P1に応じて、第2間隔P2も異ならせることで、第1間隔P1と第2間隔P2とを同期させることができる。
【0060】
以上説明したように、単位搬送領域Eに及び間隙領域Bが設定されることで、隣接する単位搬送領域E内に載置されるべき物品群Ggが互いに混じり合うことなく、適切に第1コンベヤ1によって搬送され、物品群Ggごとに適切に移載装置5に物品Gが引き渡される。
【0061】
ところで、上述したように、搬送対象となる物品Gを、外形形状が直方体状の物品G及びそれよりも転がりにくい物品Gである非転動物品Gsと、非転動物品Gsよりも転がり易い物品Gである転動物品Gcとに分類することができる(
図14~
図16参照)。物品供給装置4から第1コンベヤ1に複数の物品Gが供給される場合、物品G同士が第1コンベヤ上において接触する可能性がある。例えば、非転動物品Gsが先に第1コンベヤ1に供給されて載置されている状態で転動物品Gcが供給されると、当該供給によって移動中の転動物品Gcが非転動物品Gsに接触して、当該転動物品Gcが第1コンベヤ1の第1搬送面F1上を予定外の方向へ転がる可能性がある。そこで、統括制御装置Ctは、物品群Ggに転動物品Gcと非転動物品Gsとが含まれ、第1搬送面F1上に設定した1つの単位搬送領域Eに1つの物品群Ggに含まれる物品Gを供給させる場合において、物品Gの供給順序を規定する。具体的には、統括制御装置Ctは、物品供給装置4に対して、先に転動物品Gcを第1コンベヤ1に供給させ、その後非転動物品Gsを第1コンベヤ1に供給させる。
【0062】
このように、転動物品Gcの方が先に第1コンベヤ1に供給されることで、転動物品Gcが非転動物品Gsに接触したことによって第1搬送面F1上を転がる可能性を低減することができる。この場合、先に第1コンベヤ1に供給されて載置されている転動物品Gcに、後から供給された非転動物品Gsが接触する可能性はあるが、このとき転動物品は既に静止している場合が多いため、非転動物品の接触によっても大きく移動することは少ない。また、非転動物品Gsは転動物品Gcに比べて転がりにくいため、転動物品に接触しても非転動物品Gsの載置位置が大きくずれることは抑制される。
【0063】
尚、転動物品Gcは、例えば、円柱状、球状、円錐状、6角柱以上の多角柱状、10面体以上の多面体状、6角錘以上の多角錘状を含む。これらの形状の物品Gは比較的転がり易いため、転動物品Gcとして扱うことによって、第1コンベヤ1に供給された場合に、大きく位置ずれを起こす可能性を低減させることができる。
【0064】
図14~
図16は、転動物品Gc及び非転動物品Gsを含む物品群Ggを第1コンベヤ1に供給する際の搬送状態の一例を示している。
図14及び
図15は、第1搬送面F1上の領域設定と物品搬送の各フェーズにおける搬送状態を示す
図6と同じフェーズを示し、
図16は、
図7と同じフェーズを示している。統括制御装置Ctは、転動物品Gcが先に第1コンベヤ1に供給されるように、物品供給装置4(複数段仕分け装置7及び搬出コンベヤ8)を制御して、搬出コンベヤ8における物品Gの並び順を規定する。
図14に示すように、物品供給装置4において、転動物品Gcは最も第1コンベヤ1の側に配置され、
図16に示すように、搬出コンベヤ8から第1コンベヤ1に物品群Ggが供給される際には、非転動物品Gsよりも先に第1コンベヤ1に供給される。
【0065】
ところで、上述したように、1つの物品群Ggを構成する複数の物品Gは、異なる複数の供給口81から1つの単位搬送領域Eに供給されてもよい。例えば、
図15に示すように、転動物品Gcが配置された搬出コンベヤ8と、非転動物品Gsが配置された搬出コンベヤ8とがそれぞれ独立して設けられ、これら複数の搬出コンベヤ8から共通する1つの単位搬送領域Eに物品Gが供給されてもよい。この場合、使用する搬出コンベヤ8の数は増加するが、1つの搬出コンベヤ8において物品Gの並びを考慮する必要がなくなるため、物品供給装置4における制御が容易となる。すなわち、複数の物品供給装置4のうち、転動物品Gcを保持している物品供給装置4から先に単位搬送領域Eに物品Gを供給し、その後、非転動物品Gsを保持している物品供給装置4から同じ単位搬送領域Eに物品Gを供給するように、制御を行えばよい。
【0066】
また、
図6から
図11を参照して上述した形態と同様に、
図16に例示する形態においても、統括制御装置Ctは、第1コンベヤに1よる第2方向Yへの物品Gの搬送を行わせながら、物品供給装置4に物品Gを供給させている。第1コンベヤ1を駆動しながら物品Gを第1コンベヤ1に供給することによって、物品供給装置4から先に供給される物品Gと、後で供給される物品Gとが搬送方向(第2方向Y)にずれた位置に供給されることになるため、これらが接触する可能性が低減される。従って、物品G同士の接触によって転動物品Gcが転がることも抑制される。また、上記のように、複数の物品群Ggを第1コンベヤ1における第2方向Yの異なる位置に供給する場合には、基本的に、転動物品Gcに対して搬送方向上流側(第2方向第2側Y2)に別の物品群Ggの非転動物品Gsが存在し、転動物品Gcに対して搬送方向下流側(第2方向第1側Y1)に同じ物品群Ggの非転動物品Gsが存在することになる。すなわち、転動物品Gcに対して搬送方向の両側に非転動物品Gsが配置されることになる。これにより、転動物品Gcが転がって搬送方向に移動した場合であっても、その移動範囲を制限することができる。尚、当然ながら、停止している第1コンベヤ1に対して物品供給装置4から物品Gが供給されることを妨げるものではない。
【0067】
上述したように、統括制御装置Ctは、転動物品Gcが先に第1コンベヤ1に供給されるように、物品供給装置4(複数段仕分け装置7及び搬出コンベヤ8)を制御する。また、上述したように、複数段仕分け装置7は、オーダー情報に基づいて、物品Gを複数の間口71に仕分けている。オーダー情報により規定される物品群Ggに、転動物品Gcと非転動物品Gsとが含まれる場合、転動物品Gcから先に第1コンベヤ1に供給されるように供給順序が制御される。これにより、非転動物品Gsと転動物品Gcとが同じ物品群Ggに含まれていても、第1コンベヤ1への物品供給時に、転動物品Gcが非転動物品Gsに接触したことによって第1コンベヤ1上で転がることが抑制される。搬送中の不具合が低減されるため、1つのオーダー情報によって規定される物品群Ggに、転動物品Gcと非転動物品Gsとを混在させ易くなり、物品搬送設備PSの搬送効率を向上させることができる。
【0068】
上記においては、オーダー情報には、出荷すべき物品Gの種別や数量の情報が含まれると説明したが、さらに、オーダー情報に物品Gの属性(物品Gが転動物品Gcであるか非転動物品Gsであるか)が含まれていてもよい。オーダー情報にこのような物品Gの属性が含まれている場合、物品供給装置4は、オーダー情報に基づいて、物品Gが転動物品Gcであるか非転動物品Gsであるかを判定することができる。
【0069】
この場合、オーダー情報に基づいて物品群Ggに転動物品Gcが含まれる否かを事前に判定することができるため、物品群Ggに含まれる複数の物品Gを第1コンベヤ1に供給する順序を予め決定することができる。従って、搬送効率を低下させることなく、転動物品Gcを含む物品群Ggを適切な順序でコンベヤに供給することができる。
【0070】
当然ながら、オーダー情報にそのような属性の情報が含まれていなくてもよい。上述したように、複数段仕分け装置7は、カメラによる判別や、リーダーにより読み取った物品情報により、それぞれの物品Gが、非転動物品Gsであるか、転動物品Gcであるかを判別することができる。そして、複数段仕分け装置7は、その判別結果に基づいて、転動物品Gcから先に第1コンベヤ1に供給されるように、搬出コンベヤ8に物品Gを排出してもよい。
【0071】
ところで、転動物品Gcの中でも、相対的に転がり易い物品Gと、相対的に転がりにくい物品Gとがある。発明者らによる実験によれば、例えば、円錐形状の容器と、ペットボトルなどの円柱状容器とでは、円柱状容器の方が転がり易いことが判明している。このため、統括制御装置Ctは、相対的に転がり易い転動物品Gcを先に第1コンベヤ1に供給させるとよい。つまり、統括制御装置Ctは、相対的に転がり易い転動物品Gcが先に第1コンベヤ1に供給されるように、物品供給装置4(複数段仕分け装置7及び搬出コンベヤ8)を制御するとよい。
【0072】
転動物品Gcの中での相対的な転がり易さは、実験によって予め指標化しておくことができる。例えば、上述したオーダー情報に含まれる属性情報には、転動物品Gcであるか非転動物品Gsであるかを区別する情報に限らず、転動物品Gcである場合の転がり易さ指標(転動指標と称してもよい)が含まれていてもよい。例えば、最も転がり易い物品Gの転がり易さ指標を変域の中で最も大きい数値(“10”や“100”等や、16進数における “F(10進数で“15”:以下同様)”、“7F(127)”、“FF(255)”等でもよい)とし、最も転がりにくい物品Gの転がり易さ指標を変域の中で最も小さい数値(例えば“0”)とすることができる。この際、非転動物品Gsにも転がり易さ指標を付与し、その値を“0”とすれば、属性情報に、転動物品Gcであるか非転動物品Gsであるかを区別する情報を別途設定する必要はない。
【0073】
オーダー情報に基づいて物品Gを複数の間口71に仕分ける複数段仕分け装置7は、転がり易さ指標に基づいて、相対的に転がり易い転動物品Gcから先に第1コンベヤ1に供給されるように供給順序を制御する。これにより、転がり易さの異なる転動物品Gcが同じ物品群Ggに含まれていても、第1コンベヤ1への物品供給時に、より転がり易い転動物品Gcが第1コンベヤ1上で転がる可能性を低減することができる。
【0074】
また、転動物品Gcは、個々の転動物品Gcの転がり易さのみではなく、直前に第1コンベヤ1に供給された物品Gとの関係によっても転がり易くなる場合がある。例えば、角部が丸みを帯びたプラスチックボックスの後に円柱状のペットボトルが供給される場合、プラスチックボトルの角にペットボトルが接触して、ペットボトルが転がり易くなる。このようなプラスチックボックスと、ペットボトルとでは、一般的にペットボトルの方が転がり易さ指標が大きくなると考えられるため、上述したように転がり易さ指標に基づけば、ペットボトルの方が先に第1コンベヤ1に供給されることになる。従って、ペットボトルが第1コンベヤ1上で転がる可能性を低減させることはできる。しかし、このような組み合わせは、他の転動物品Gc同士においても生じ得る。
【0075】
このように後から供給される物品Gが転がり易くなるなる物品Gの組み合わせは、実験等によって予め取得しておくことができる。物品群Ggにこのような組み合わせとなる物品Gが含まれる場合には、当該物品G同士を連続して第1コンベヤ1に供給するのではなく、これらの物品Gの間に他の物品Gを挟んで、第1コンベヤ1に供給されるとよい。即ち、非転動物品Gsよりも転動物品Gcを先に第1コンベヤ1に供給する、転動物品Gcの内、より転がり易い転動物品Gcから先に第1コンベヤ1に供給する、といった基本供給順序に拘わらず、連続して供給される場合に転がり易くなる2つの物品Gの組み合わせが解消されるように、当該2つの物品Gの間に他の物品Gが第1コンベヤ1に供給されると好適である。この他の物品Gは、転動物品Gcでも、非転動物品Gsでもよい。
【0076】
〔その他の実施形態〕
以下、その他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0077】
(1)上記においては、区画材等を用いることなく、第1コンベヤ1に単位搬送領域E及び間隙領域Bを設定する形態を例示して説明した。しかし、第1コンベヤ1の第1搬送面F1に区画材が設けられ、区画材によって単位搬送領域Eや間隙領域Bに相当する領域が区画されていてもよい。
【0078】
(2)上記においては、第1コンベヤ1、第2コンベヤ2、及び中間コンベヤ3が、プーリと当該プーリに巻回されたベルトとを有するベルトコンベヤにより構成されている形態を例示して説明した。しかし、このような形態に限定されることなく、第1コンベヤ1、第2コンベヤ2、及び中間コンベヤ3のうち少なくとも1つが、ベルトコンベヤ以外のコンベヤ、例えば、ローラコンベヤやチェーンコンベヤにより構成されていても良い。第1コンベヤ1がローラコンベヤにより構成される場合、第1搬送面F1は、ローラコンベヤを構成する複数のローラそれぞれの上端を繋ぐ仮想的な面とされる。同様に、上記の各コンベヤがチェーンコンベヤにより構成される場合、第1搬送面F1は、チェーンコンベヤを構成する複数のチェーンそれぞれの上面を繋ぐ仮想的な面とされる。単位搬送領域E及び間隙領域Bは、そのような仮想的な第1搬送面F1上に設定される。
【0079】
〔実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送設備の概要について簡単に説明する。
【0080】
1つの態様として、少なくとも1つの物品を含む物品群ごとに前記物品を搬送する物品搬送設備は、搬送方向に沿って前記物品を搬送する搬送コンベヤと、平面視で前記搬送方向に直交する方向を幅方向として、前記物品群ごとに、前記幅方向の一方側から前記搬送コンベヤの搬送面上に前記物品を供給する物品供給装置と、前記搬送コンベヤ及び前記物品供給装置を制御する制御装置と、を備え、前記物品群に、外形形状が直方体状の前記物品及びそれよりも転がりにくい前記物品である非転動物品と、前記非転動物品よりも転がり易い前記物品である転動物品とが含まれる場合に、前記制御装置は、前記物品供給装置に、前記搬送面上に設定した1つの単位搬送領域に1つの前記物品群に含まれる前記物品を供給させる場合において、先に前記転動物品を前記搬送コンベヤに供給させ、その後前記非転動物品を前記搬送コンベヤに供給させる。
【0081】
物品供給装置から搬送コンベヤに複数の物品が供給される場合、物品同士が搬送コンベヤ上において接触する可能性がある。例えば、非転動物品が先に搬送コンベヤに供給されて載置されている状態で転動物品が供給されると、当該供給によって移動中の転動物品が非転動物品に接触して、当該転動物品が搬送コンベヤの搬送面上を予定外の方向へ転がる可能性がある。しかし、本構成によれば、転動物品の方が先に搬送コンベヤに供給されるため、転動物品が非転動物品に接触したことによって搬送面上を転がる可能性を低減することができる。先に搬送コンベヤに供給されて載置されている転動物品に、後から供給された非転動物品が接触する可能性はあるが、このとき転動物品は既に静止している場合が多いため、非転動物品の接触によっても大きく移動することは少ない。また、非転動物品は転動物品に比べて転がりにくいため、転動物品に接触しても非転動物品の載置位置が大きくずれることは抑制される。即ち、本構成によれば、コンベヤにより搬送する物品の中に転がり易い形状の物品が含まれる場合であっても、当該物品がコンベヤの搬送面上で転がって移動することを少なく抑えることができる。
【0082】
また、前記制御装置は、前記搬送コンベヤによる前記搬送方向への前記物品の搬送を行わせながら、前記物品供給装置に前記物品を供給させると好適である。
【0083】
搬送コンベヤを駆動しながら物品を搬送コンベヤに供給することによって、物品供給装置から先に供給される物品と、後で供給される物品とが搬送方向にずれた位置に供給されることになるため、これらが接触する可能性が低減される。従って、物品同士の接触によって転動部品が転がることも抑制される。また、複数の物品群を搬送コンベヤにおける搬送方向の異なる位置に供給する場合には、基本的に、転動物品に対して搬送方向上流側に別の物品群の非転動物品が存在し、転動物品に対して搬送方向下流側に同じ物品群の非転動物品が存在することになる。すなわち、転動物品に対して搬送方向の両側に非転動物品が配置されることになる。これにより、転動物品が転がって搬送方向に移動した場合であっても、その移動範囲を制限することができる。
【0084】
また、前記転動物品は、円柱状、球状、円錐状、6角柱以上の多角柱状、10面体以上の多面体状、6角錘以上の多角錘状を含むと好適である。
【0085】
これらの形状の物品は比較的転がり易いため、転動部品として扱うことによって、搬送コンベヤに供給された場合に、大きく位置ずれを起こす可能性を低減させることができる。
【0086】
また、前記物品供給装置は、オーダー情報に基づいて前記物品群ごとに前記物品を供給するものであり、1つの前記オーダー情報により規定される前記物品群に、前記転動物品と前記非転動物品とが含まれると好適である。
【0087】
本構成によれば、非転動物品と転動物品とが同じ物品群に含まれていても、搬送コンベヤへの物品供給時に、転動物品が非転動物品に接触したことによって搬送コンベヤ上で転がることが抑制される。このため、1つの物品群に転動物品と非転動物品とを混在させて搬送効率を向上させることができる。
【0088】
また、前記物品供給装置が、オーダー情報に基づいて前記物品群ごとに前記物品を供給するものであり、1つの前記オーダー情報により規定される前記物品群に、前記転動物品と前記非転動物品とが含まれる場合に、前記物品群に含まれる前記物品が前記転動物品であるか前記非転動物品であるかが、前記オーダー情報に基づいて判定されると好適である。
【0089】
オーダー情報に基づいて物品群に転動物品が含まれる否かを事前に判定することができるため、物品群に含まれる複数の物品を搬送コンベヤに供給する順序を予め決定することができる。従って、搬送効率を低下させることなく、転動物品を含む物品群を適切な順序でコンベヤに供給することができる。
【0090】
また、前記制御装置は、前記転動物品の内、相対的に転がり易い前記物品を先に前記搬送コンベヤに供給させると好適である。
【0091】
転動物品の中でも、物品によって転がり易さは異なっている。相対的に転がり易い転動物品が、相対的に転がりにくい転動物品よりも後に、搬送コンベヤに供給されると、当隊的に転がり易い転動物品が、搬送コンベヤ上を転がってしまう可能性が高くなる。転動物品の内、相対的に転がり易い物品が先に搬送コンベヤに供給されることで、転動物品が搬送コンベヤ上で転がってしまう可能性を低減させることができる。
【符号の説明】
【0092】
1 :第1コンベヤ(搬送コンベヤ)
4 :物品供給装置
B :間隙領域
Ct :統括制御装置(制御装置)
E :単位搬送領域
F1 :第1搬送面(搬送コンベヤの搬送面)
G :物品
Gc :転動物品
Gg :物品群
Gs :非転動物品
PS :物品搬送設備
X :第1方向(幅方向)
Y :第2方向(搬送方向)