(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】浮揚性材料から成るスイムボード、ならびにモータ付き水中スクーターおよびこのようなスイムボードを含むウォータースポーツ用具
(51)【国際特許分類】
B63B 32/20 20200101AFI20230613BHJP
B63B 32/51 20200101ALI20230613BHJP
B63B 32/57 20200101ALI20230613BHJP
B63C 11/00 20060101ALI20230613BHJP
B63H 21/17 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B63B32/20
B63B32/51
B63B32/57
B63C11/00 B
B63H21/17
(21)【出願番号】P 2020544901
(86)(22)【出願日】2019-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2019054875
(87)【国際公開番号】W WO2019166496
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-01-17
(31)【優先権主張番号】102018104431.3
(32)【優先日】2018-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519261493
【氏名又は名称】カヤゴ テック ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】CAYAGO TEC GMBH
【住所又は居所原語表記】Benzstrasse 10, 32108 Bad Salzuflen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ペーター ヴァルプルギス
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-24470(JP,A)
【文献】米国特許第3442240(US,A)
【文献】特開昭62-213774(JP,A)
【文献】特開2015-16865(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0080369(US,A1)
【文献】米国特許第9114862(US,B2)
【文献】実開平6-48716(JP,U)
【文献】特開平2-126869(JP,A)
【文献】登録実用新案第3101966(JP,U)
【文献】特表2009-519180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 32/20
B63B 32/51
B63B 32/57
B63B 32/10
B63B 32/60
B63C 11/00
B63H 21/17
A63B 35/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上浮揚性材料から成るスイムボード(2)であって、使用者(42)を少なくとも部分的に載せる載置領域(8)を有しているスイムボード(2)において、
前記スイムボード(2)は、前端領域(4)で、水中スクーター(24)に前記スイムボード(2)を枢着的に取り付けるための取付区分(22)を有して
おり、
前記スイムボード(2)は、その下面に、前記スイムボード(2)の長手方向の少なくとも一部にわたって延在する2つの側方のフロート(64)を有している、
ことを特徴とする、スイムボード(2)。
【請求項2】
前記スイムボード(2)の前記取付区分(22)は、前記水中スクーター(24)に前記スイムボード(2)が取り付けられた状態で前記水中スクーター(24)上に載置されるように形成された前方の載置区分(34)を有している、請求項1記載のスイムボード(2)。
【請求項3】
前記取付区分(22)は、前記スイムボード(2)を前記水中スクーター(24)に、取り外し可能に取り付けるために形成されている、請求項1または2記載のスイムボード(2)。
【請求項4】
前記載置領域(8)は、前記使用者(42)の少なくとも胸部が前記スイムボード(2)上に載置されるように形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のスイムボード(2)。
【請求項5】
前記載置領域(8)は、前記使用者(42)の脚部が前記スイムボード(2)上に載置されるように形成されている、請求項4記載のスイムボード(2)。
【請求項6】
前記載置領域(8)は、前記スイムボード(2)の後端領域(6)で、水面の方に向かって傾斜する2つの側方の脚部載置部(52)へと移行しており、これらの脚部載置部上には、前記使用者(42)の上腿部が載置され、これら脚部載置部の間には、前記使用者(42)の前記上腿部の間に位置する挟み込み領域(54)が形成されている、請求項4記載のスイムボード(2)。
【請求項7】
前記載置領域(8)は、前記使用者(42)を側方から支持する保持側面(68)によって側方で制限されている、請求項4から6までのいずれか1項記載のスイムボード(2)。
【請求項8】
前記取付区分(22)は、互いに平行に延在する2つの回転軸線(28,30)を有するジョイント区分(26)を含み、一方の第1の回転軸線(28)は前記スイムボード(2)に設けられていて、他方の回転軸線(30)は前記水中スクーター(24)側に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のスイムボード(2)。
【請求項9】
動作中に、前記水中スクーター(24)と前記スイムボード(2)とが、異なる高さに位置することができる、もしくは両者の高さを互いに相対的に変更することができる、請求項8記載のスイムボード(2)。
【請求項10】
前記取付区分(22)は、前記スイムボード(2)を、互いに垂直に延びる2つの枢着軸線(28,36;30,36)を中心として枢着的に前記水中スクーター(24)に取り付けるように形成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のスイムボード(2)。
【請求項11】
前記回転軸線(28,30)の一方が、一方の第1の枢着軸線を形成し、前記回転軸線(28,30)のいずれでもない別の軸線(36)であって、前記スイムボード(2)が前記水中スクーター(24)に取り付けられた状態で、実質的に鉛直に延在している別の軸線(36)が、他方の枢着軸線を形成している、請求項9
を引用する請求項10記載のスイムボード(2)。
【請求項12】
前記スイムボード(2)の前記前端領域(4)は、前記スイムボード(2)のその他の部分よりも
上方に向かって曲げられている、請求項1から11までのいずれか1項記載のスイムボード(2)。
【請求項13】
前記スイムボード(2)の前記前端領域(4)は、前記スイムボード(2)のその他の部分よりも5°だけ上方に向かって曲げられている、請求項12記載のスイムボード(2)。
【請求項14】
前記スイムボード(2)は、水中に位置している下面に、複数の剥離縁(78)を有しており、前記剥離縁は、前記下面から下方に向かって突出し
ており、前記スイムボード(2)の長手方向に対して横方向に向けられた成分を有する延在方向をそれぞれ有している、請求項1から
13までのいずれか1項記載のスイムボード(2)。
【請求項15】
前記スイムボード(2)は少なくとも部分的にインフレータブル材料から製作されている、請求項1から
13までのいずれか1項記載のスイムボード(2)。
【請求項16】
前記インフレータブル材料は、ドロップステッチ材料である、請求項
15記載のスイムボード(2)。
【請求項17】
モータ駆動される水中スクーター(24)を含むウォータースポーツ用具(2,24)であって、前記水中スクーターは、使用者(42)の身体の一部が載置されるスクーターボディ(40)を有している、ウォータースポーツ用具(2,24)において、
前記ウォータースポーツ用具(2,24)は、請求項1から
16までのいずれか1項記載のスイムボード(2)をさらに有していて、前記スイムボードは、前記水中スクーター(24)に枢着的に取り付けられていて、前記使用者(42)の前記身体の別の一部が載置される載置領域(8)を有していることを特徴とする、ウォータースポーツ用具(2,24)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中浮揚性材料から成るスイムボードに関する。このスイムボードは、使用者を少なくとも部分的に載せることができる載置領域を含む。
【0002】
このような形式のスイムボードは、従来技術により様々な実施形態が公知である。第1の公知の実施形態では、スイムボードは比較的小型に形成されていて、特に子どもおよび泳げない人のための水泳補助具として用いられる。この場合、使用者は、手および/または前腕部の一部を、スイムボードの載置領域上で支えて、脚部で水泳運動を行う。別の公知の実施形態では、スイムボードは例えば、ウィンドサーフィンまたはサーフィンのためのサーフボードとして、またはスタンドアップパドル(SUP)ボードとして形成されている。
【0003】
さらに、従来技術、例えば独国特許出願公開第19511850号明細書および独国特許出願公開第10009278号明細書により、モータ付き水中スクーターが公知であり、この公知の水中スクーターは、このモータ付き水中スクーターの前方領域に、使用者が掴まることができる2つの保持グリップを有している。水中スクーターは好適には、ウォータジェット駆動装置を介して駆動され、この駆動装置の近くで、水中スクーターの下面における流路を通る、水中スクーターの走行方向とは逆方向に延びる水流が生じる。この場合、特に、水中スクーターのボディの下面における、または水中スクーターのフロント領域における流入開口を介して水が吸い込まれ、流路内に配置されたスクリューポンプによって加速され、水中スクーターのリヤ領域にある流出開口を介して噴出される。スクリューポンプは好適には、バッテリによって給電される電気モータによって駆動される。使用者は、腕と、場合によっては腹部の一部とで、モータ付き水中スクーターの載置領域に載り、このモータ付き水中スクーターを例えば体重移動により操縦する。保持グリップの領域における操作エレメントにより、使用者は、例えば、スクリューポンプの速度を、または流路内に位置するフラップの設定角度を変化させることにより、モータ付き水中スクーターの速度を制御することができる。公知のモータ付き水中スクーターは、水上で浮かんで使用することができるが、水中に潜水して使用することもできる。
【0004】
使用者が水中スクーターに掴まっていて、水中スクーターによって水上で、または水中で引っぱられる、公知のモータ付き水中スクーターの作動時には、流れ抵抗により、使用者を水中スクーターから後方に引き離そうとする力が、特に使用者の下半身および脚部に加えられることが示されている。この力に抵抗するために、使用者は保持グリップをしっかりと掴まなければならない。これは、比較的長時間で高速の走行の場合は特に、極めて体力を消耗するものであり得、疲労させるものであり得る。
【0005】
そこで本発明の課題は、水中スクーターの所定の作動中に使用者に加えられる力を低減し、これにより比較的長時間で高速の走行の場合であっても、できるだけ体力を温存し、疲労させない水中スクーターの使用を可能とする手段を提供することである。
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を備えたスイムボードにより、および請求項16の特徴を備えた、ウォータースポーツ用具により解決される。従属請求項は、本発明の好適な構成および改良形態を対象としている。
【0007】
すなわち、本発明の範囲では、これまでは水中にあった使用者の身体の少なくとも一部を、水中スクーターに枢着的に取り付けられているスイムボードの載置領域上に配置することにより、使用者の流れ抵抗を減じることが提案される。水中スクーターとスイムボードとは共に、本発明によるウォータースポーツ用具を形成している。スイムボードを水中スクーターに枢着的に取り付けることにより、ウォータースポーツ用具の操縦のし易さおよび俊敏性は完全に維持される。同時に、水中スクーターの作動中、これまで使用者に作用していた力の大部分は、スイムボードへと移り、スイムボードの枢着的な取付区分を介して、水中スクーターへと伝達される。さらには、水面に載置されるスイムボードの下面を流れに関して有利に構成することにより、流れ抵抗を全体として減じることができる。これにより、本発明によるウォータースポーツ用具によって、水中スクーターの出力が同じ場合に、著しく高められた速度を得ることができる。ウォータースポーツ用具の使用者には、実質的に僅かな流れの力が作用し、これにより比較的長時間で高速の走行の際でも、体力を温存し疲労の少ない水中スクーターの使用が可能である。
【0008】
スイムボードを水中スクーターに枢着的に取り付ける、取付区分の多数の様々な構成が考えられる。したがって、例えば、スイムボードが前方の載置区分を有していて、この載置区分には取付区分が配置されていて、取付区分は、スイムボードが水中スクーターに取り付けられている場合に、水中スクーターの上面に載置されるように形成されていることが考えられる。この目的で、水中スクーターのスクーターボディの上面に、スイムボードの取付区分が係合する相応の取付受容部が形成されていることを特定することができる。この場合、スイムボードの前端は水中スクーターの上方に配置されていて、後端だけが、場合によっては、スイムボードの中央領域の少なくとも一部も、水中に位置している。取付受容部は、突起またはピンとして形成された取付区分が上方から装着される、例えば凹部として形成されていてよい。付加的に、取付区分を取付受容部内で固定するために、そして、ウォータースポーツ用具の少なくとも所定の動作中に、スイムボードと水中スクーターとの意図に反した分離を阻止するために、固定装置を設けることができる。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、取付区分が、スイムボードを水中スクーターに、取り外し可能に取り付けるために形成されていることが提案される。これによりスイムボードと水中スクーターとを簡単かつ迅速に分離することができ、したがってウォータースポーツ用具を個別に搬送することができる、搬送し易くなる。水中スクーターへのスイムボードの枢着的な取付は、好適には、冷たい指、ぬれた指、および/またはかじかんだ指によって水中でも問題なく開閉可能なクイッククロージャまたはスナップフィットによって実現される。
【0010】
スイムボードの載置領域は好適には、使用者の少なくとも胸部が、場合によっては腹部もスイムボード上に載置されるように形成されている。スイムボードがこのように構成されている場合は、使用者の身体の、とりわけ、水中で最も大きな流れ抵抗を受ける部分が、スイムボード上に配置されることが保証される。載置領域は、使用者の脚部もスイムボード上に載置されるように形成されていてよい。このようにして、使用者の身体全体が、水中スクーターの上面上にまたはスイムボードの載置領域上に載置されることが保証され、これにより流れ抵抗を最小にすることができる。このような実施形態では、ウォータースポーツ用具の特に高い終端速度またはコーナリング速度に到達することができる。代替的には、載置領域は、スイムボードの後端領域で、水の方に向かって傾斜する2つの側方の脚部載置部へと移行しており、これらの脚部載置部上には、使用者の上腿部または下腿部が載置され、これら脚部載置部の間には、使用者の脚部の間に配置され、これら脚部の間に挟み込むことができる挟み込み領域が形成されていることが考えられる。これにより、使用者はスイムボード上に大腿部で固定され得る。この実施形態では、使用者の足部が、スイムボードの具体的な構成に応じて、場合によっては下腿部も、水中に位置し、ウォータースポーツ用具の制御の際に補助的に機能することができる。したがって、この実施形態により、特にスポーティで、俊敏かつ軽快なウォータースポーツ用具の動作が可能となる。
【0011】
選択的にまたは付加的に、載置領域は、スイムボードの使用中、使用者を滑落しにくくする保持側面によって側方で制限されている。保持側面は、好適には、ウォータースポーツ用具のほぼ走行方向に延在する長手方向延在を有するほぼ円筒形または円筒状の形状を有している。保持側面は、載置領域の主延在平面を越えて上方へ突出しており、スポーツ用具の動作中、使用者を側方で支持する。保持側面は、好適には、スイムボードのその他の部分とは分離されて形成されているインフレータブルチャンバによって形成されている。インフレータブルチャンバは可撓性があり、これにより使用者は特に保護されるように、かつ快適に保持される。
【0012】
本発明の好適な改良形態によれば、取付区分は、互いに平行に延在する2つの回転軸線を有するジョイント区分を含み、一方の第1の回転軸線はスイムボードに設けられていて、他方の回転軸線は水中スクーターに配属されていることが提案される。好適には、これらの回転軸線は、スイムボードが水中スクーターに取り付けられた状態では、実質的に水平の延在方向を有している。すなわち、ジョイント区分を介して、ウォータースポーツ用具の動作中に、水中スクーターとスイムボードとが、異なる高さに位置することができる、もしくは両者の高さを互いに相対的に変更することができる。これにより特に、水面に波が存在する場合、水中スクーターにスイムボードを取り付けない、すなわち使用者の身体が水中で引きずられる状態での水中スクーターの使用に極めて近い、特にスポーティで俊敏なウォータースポーツ用具の走行形式が可能になり、使用者には極めて減じられた力が作用するだけである。
【0013】
さらに、取付区分をカルダンジョイントの形式で構成することが考えられる。これに関連して特に、取付区分は、スイムボードを、互いに垂直に延びる2つの枢着軸線を中心として枢着的に水中スクーターに取り付けるために形成されていることが提案される。この場合、ジョイント区分の回転軸線の一方が、取付区分の一方の第1の枢着軸線を形成し、ジョイント区分の回転軸線のいずれでもない別の軸線であって、スイムボードが水中スクーターに取り付けられた状態で、実質的に鉛直の延在を有している別の軸線が、取付区分の他方の枢着軸線を形成することが考えられる。
【0014】
本発明の好適な改良形態によれば、スイムボードの前端領域は、スイムボードのその他の部分よりも僅かな角度だけ、好適には5°だけ、上方に向かって曲げられていることが提案される。スイムボードの前端部に枢着的に連結されたモータ付き水中スクーターが加速すると、水中スクーターの前部が僅かに水面から持ち上がる、もしくは後部が僅かに水中に沈む。したがって、全体として、僅かな角度の、特に約3°~10°の水中スクーターの傾斜が生じる。スイムボードの曲げられた前端領域は、動作中、水中スクーターの傾斜に適合させられていて、これにより、傾いた水中スクーターが、スイムボードの前端領域に大きな曲げモーメントを伝えるのを阻止している。
【0015】
本発明の好適な実施形態によれば、スイムボードは、水中に位置している下面に、複数の剥離縁を有しており、これらの剥離縁は、下面の面延在から下方に向かって突出し、水中に突入しており、スイムボードの長手方向に対して横方向に向けられた成分を有する延在方向をそれぞれ有していることが提案される。剥離縁により、スイムボードの下方で貫流するウォータジェットにより生じ、スイムボードを下方に引っぱる恐れがある吸込み作用は減じられる。これは、剥離縁を介して側方で空気が吸い込まれ、スイムボードの下方の、ウォータジェットの領域に案内されることにより生じる。ここでは空気が失速をもたらし、この失速により吸込み作用が減じられる。複数の剥離縁が、長手方向で相前後して、かつ互いに間隔を置いて配置されていてよい。スイムボードの後端の手前約5cmのところに、最後方の剥離縁が配置されている。斜めに立ち上がっている2つの剥離縁ごとに1つのV字形状を成すように、配置することができ、V字の先端は、前方に向けられている。
【0016】
スイムボードが少なくとも部分的にインフレータブル材料から製作されているならば特に好適である。特にスイムボードのコアは、インフレータブル材料から製作することができる。この場合、スイムボードの外側形状を、インフレータブル材料から成るコアに外側から取り付けられているフリーフォーム側面によって形成することができる。フリーフォーム側面は、好適には、プラスチックから形成されており、例えば、接着またはクランプにより、インフレータブル材料から成るコアに取り付けられている。したがってフリーフォーム側面は、スイムボードの外層の少なくとも一部を形成する。スイムボードの外層に配置された弁を介して、空気をインフレータブル材料の内部へと送ることができ、または内部から空気を排気することができる。弁は、好適には、スイムボードの表面に、特に後端領域に配置されている。スイムボードのために特に適したインフレータブル材料は、いわゆるドロップステッチ生地材料であることが示されている。ドロップステッチ材料により、膨張させられた状態で特に形状安定的であるインフレータブルなスイムボードを実現することができる。ドロップステッチ構造の原理は、スイムボードの上面内面および底面内面が鉛直方向の接続繊維によって繋がれていて、高い内圧下でも所望の形状を維持するということに基づく。すなわち、多数の繋ぎにより、極めて耐裂断性の形状安定的かつ特に高い負荷に耐える、しかも空気を入れていない状態では、コンパクトに折り畳むことができる生地が生じる。ドロップステッチ材料では、約100kPa(1bar)~175kPa(1.75bar)の内圧に達することができる。ドロップステッチ生地の異なる層を、異なる品質のPVCに接着および加硫することができる。
【0017】
本発明の他の好適な改良形態によれば、スイムボードは、水中に位置している平坦な下面を有していることが、またはスイムボードは、その下面に、スイムボードの長手方向の少なくとも一部にわたって延在する2つの側方のフロートを有していることが提案される。これは一方では、スイムボードがその下面の僅かな部分でしか、すなわちフロートでしか水面上に載置されていないので、もしくは水と接触していないので、スイムボードの流れ抵抗を減じることができるという利点を有する。流れ抵抗が減じられることにより、水中スクーターの、もしくはウォータースポーツ用具全体のより高い速度を得ることができる。ウォータジェット駆動装置を備え、水中スクーターの下面の中央に配置された流路を有する水中スクーターにスイムボードが取り付けられている場合は、スイムボードの、このような改良形態により提案される実施形態は、流路内で加速されたウォータジェットが水中スクーターの後方に妨げられることなく流出することができ、フロートの間で、スイムボードの下面に沿ってガイドされるという利点をさらに有する。すなわち、加速されたウォータジェットは、流路からの流出後、水中スクーターに取り付けられたスイムボードに衝突しない。これにより、水中スクーターもしくはスポーツ用具全体の特に効率的な駆動が可能である。
【0018】
フロートが、スイムボードの下面の後端領域に形成されていると特に好適である。この場合、スイムボードは前端領域で、水中スクーターに載置され、取付区分を介して水中スクーターに枢着的に取り付けられる。フロートは、スイムボード全長にわたって延在していないので、これにより、流れ抵抗をさらに減じることができる。
【0019】
スイムボードの下面におけるフロートは、様々な形式で形成することができる。スイムボードが、フロートの領域でU字型の横断面を有しており、U字型の横断面の2つの脚の遠位端部は水中に突入していて、フロートの部分を形成しているならば特に好適であることが示されている。この実施形態によれば、すなわちフロートは、スイムボードと一体の統一的な構成部分として形成されている。スイムボードが少なくとも部分的に、インフレータブル材料から製作されているならば、フロートは、インフレータブル材料から成るコアの部分であってよく、またはコアに取り付けられているフリーフォーム側面によって形成されてもよい。
【0020】
スイムボードの搬送、および水中スクーターへの枢着的な取り付けを容易にするために、スイムボードの前端領域に側方で少なくとも1つのグリップが配置されていることが提案される。好適には、前端領域において対向する側面にそれぞれ1つのグリップが配置されている。グリップの手触りと耐水性を改善するために、グリップは好適にはネオプレンから形成されている。グリップは好適には、スイムボードもしくはウォータースポーツ用具の所定の使用の際に、水の外に、すなわち水面上に配置されるように、スイムボードの側面に配置されている。
【0021】
スイムボードの上面の載置領域は、好適には、スイムボードもしくはウォータースポーツ用具の使用中における使用者の滑脱およびまたは水の集積を、その形状および/または材料特性により阻止する表面を有している。載置領域が、横断面で見て外方に湾曲する載置面を有した複数の長手方向リブを有していると特に好適である。長手方向リブは、長手方向で、スイムボードの上面の少なくとも一部にわたって互いに平行に延在している。スイムボードの後端領域には、牽引グリップおよび/またはドローバーアイが配置されていて、これらを介して、他の水上運動家を、水上用具(例えば、別のスイムボード、エアマット、ボート)と一緒に、または水上用具なしで、本発明によるウォータースポーツ用具の後方で牽引することができる。
【0022】
本発明によるウォータースポーツ用具の所定の動作中には、使用者の身体の一部(例えば胸部、腹部、上腿部)がスイムボードの載置領域上に載置される。使用者は、使用者の身体の別の部分(例えば前腕部)で、水中スクーターの上面に支えられ、水中スクーターの保持グリップを手で把持している。スイムボードの使用は、水中スクーターの後方で牽引される使用者の流れ抵抗を著しく減じるが、ウォータースポーツ用具の可動性、ダイナミクス、俊敏性を制限することはない。全く逆であり、スイムボードの使用により、いっそう高い終端速度およびコーナリング速度に達することができる。さらにウォータースポーツ用具の使用は、スイムボードのおかげで、使用者自身にとっても、長時間にわたる高速での走行の際に特に体力を温存させ、疲労させないものである。
【0023】
本発明のさらなる特徴および利点は、図面につき以下に詳しく説明する。この場合、図面には様々な実施例が示されており、その個々の特徴は、図面に明示されていなかったとしても、また詳細な説明に明記されていなかったとしても、任意に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】様々な実施形態による本発明によるスイムボードを示す平面図である。
【
図1a】
図1のスイムボードの取付区分を示す拡大図である。
【
図2】モータ付き水中スクーターに枢着的に取り付けられた状態で
図1のスイムボードを示す断面図である。
【
図3】本発明によるスイムボードの好適な実施形態を示す側面図である。
【
図4】
図3のスイムボードの断面を、走行方向後方から見た図である。
【
図5】本発明によるスイムボードの異なる3つの実施形態を示す側面図である。
【
図6】第1の好適な実施形態による本発明によるウォータースポーツ用具を示す平面図である。
【
図7】第2の好適な実施形態による本発明によるウォータースポーツ用具を示す平面図である。
【
図8】第3の好適な実施形態による本発明によるウォータースポーツ用具を示す平面図である。
【
図9】
図6のウォータースポーツ用具をその上に載せられた使用者と共に示す平面図である。
【
図9a】スイムボードのグリップの様々な構成、ならびにスイムボードのドローバーアイを備えた1つの牽引グリップを示す図である。
【
図10】
図8のウォータースポーツ用具を示す斜視図である。
【
図11】
図6のウォータースポーツ用具を示す斜視図である。
【
図12】
図10のウォータースポーツ用具のスイムボードを示す斜視図である。
【
図13】
図11のウォータースポーツ用具のスイムボードを示す斜視図である。
【
図14】別の好適な実施形態による本発明によるウォータースポーツ用具を示す平面図である。
【
図14a】スイムボードのグリップの様々な構成を示す図である。
【
図15】
図14のウォータースポーツ用具の本発明によるスイムボードを示す縦断面図である。
【
図17】別の好適な実施形態による本発明によるウォータースポーツ用具を示す平面図である。
【
図18】
図17のウォータースポーツ用具の本発明によるスイムボードを示す側面図である。
【
図19】
図17のウォータースポーツ用具を示す側面図である。
【0025】
図1には、様々な実施形態による本発明によるスイムボードが平面図で示されている。この場合、長手方向軸線の両側には、以下でさらに詳しく説明する2つの異なる実施形態が示されている。スイムボードは、全体を符号2で示されている。スイムボードは、水上浮揚性材料から成り、前端領域4と、後端領域6とを含む。スイムボード2の上面には、載置領域8が位置し、この載置領域上には、スイムボード2の所定の動作中に、使用者が身体の少なくとも一部を載せる(
図9参照)。図示した実施例では、載置領域8は、複数の、特に3つの長手方向リブ10を有しており、これらのリブは横断面で見て外側に向かってアーチ状の載置面を有している(
図4参照)。これらの長手方向リブ10は、長手方向で、スイムボード2の上面の少なくとも一部にわたって互いに平行に延在している。第3の実施形態では、スイムボード2の載置領域8を、長手方向リブ10なしで形成することができる。
【0026】
スイムボード2は、例えば、耐性のある撥水性のプラスチック(例えば、ポリエチレン、アクリロニトリルスチレンアクリルエステル、エポキシ樹脂)から成る外層またはラミネート(例えば、GRPのような繊維・プラスチック複合体)によって覆われている発泡プラスチック(例えば、ビーズ法発泡スチロールまたは押出法発泡スチロール)から成っていてよい。特に好適には、スイムボード2は、インフレータブル材料、例えばドロップステッチ生地材料を含む。特に、スイムボード2は、ドロップステッチ材料から成るコア12(
図3および
図4参照)を有することが提案される。スイムボード2の外側形状は、コア12に外側から取り付けられているフリーフォーム側面14によって形成される。フリーフォーム側面14は、好適には、耐性のある撥水性のプラスチックから成っており、例えば、接着またはクランプにより、コア12に、または互いに固定されている。勿論、付加的なフリーフォーム側面14を使用せずに、スイムボード2全体がドロップステッチ生地材料から製作されることも考えられる。しかしながら、様々に成形されるフリーフォーム側面14を使用することにより、僅かな手間と僅かなコストで、コア12の所定の画一的な基本形状から、スイムボード2の様々な外側形状および構造を実現することができる。
【0027】
ドロップステッチ材料から成るコア12は、スイムボード2の外層に設けられた弁16を介して膨張させることができる。図示した例では、弁16は、スイムボード2の上面の後端領域6に配置されている。さらに、図示した実施形態では、弁16の後方にドローバーアイ(牽引連結具)18が設けられていて、このドローバーアイを介して、他の水上運動家を、水上用具(例えば、別のスイムボード、エアマット、ボート)と一緒に、または水上用具なしで、本発明によるウォータースポーツ用具(
図2参照)の後方で牽引することができる。スイムボード2の側面には、使用者にとってスイムボードの2の持ち運びを容易にし、モータ付き水中スクーター24へのスイムボード2の固定(
図2参照)を容易にするためのグリップ20が配置されている。
図9aには、グリップ20a,20b,20cの3つの様々な構成が示されている。グリップ20の手触りと耐水性を改善するために、グリップは好適にはネオプレンから成る。グリップは、金属またはプラスチックから成るアイを介してスイムボード2に取り付けられている。
【0028】
スイムボード2は、前端領域4に、水中スクーター24(
図2参照)にスイムボード2を枢着的に取り付けるための取付区分22を有している。スイムボード2と水中スクーター24とは共に、本発明によるウォータースポーツ用具を構成している。取付区分22は、
図1aに詳しく示されている。取付区分22は特に、スイムボード2を水中スクーター24に取り外し可能に取り付けるために形成されていて、これにより、搬送および収容を簡単にするために、スイムボード2を迅速かつ簡単に、水中スクーター24から分離する、もしくは水中スクーター24に取り付けることができる。スイムボード2と水中スクーター24との間の取付けが意に反して外れることを阻止するために、適切な固定エレメントが設けられていてよい。
【0029】
取付区分22は、互いに平行に延在する2つの回転軸線28,30を有するジョイント区分26を含み、この場合、一方の第1の回転軸線28はスイムボード2に設けられていて、他方の回転軸線30は水中スクーター24側に配置されている。特にジョイント区分26は、スイムボード2の前端領域4に固定されている剛性のU字型取付部材32に枢着されている。ジョイント区分26は、フレキシブルな材料(例えば生地)または剛性材料(例えば金属またはプラスチック)から成っていてよい。回転軸線28,30は、スイムボード2が水中スクーター24に取り付けられた状態では、実質的に水平に延在している。取付区分22は、スイムボード2を、互いに垂直に延びる少なくとも2つの枢着軸線を中心として枢着的に水中スクーター24に取り付けるために構成されている。図示した例では、実質的に鉛直な第1の枢着軸線36を中心として回転可能に水中スクーター24に固定可能な取付エレメント34が設けられている。他方の枢着軸線は、回転軸線28,30のうちの一方によって形成される。回転軸線28,30は、第1の枢着軸線36に対して垂直である。
【0030】
スイムボード2の前方の載置区分は、取付エレメント34によって形成される。載置区分としての取付エレメント34は、取付区分22の一部であり、スイムボード2が水中スクーター24に取り付けられている場合に、水中スクーター24の上面に載置されるように形成されている。取付エレメント34は、円形の横断面を有する下方に向かって突出する突起38(
図2、
図3、および
図5参照)またはピンを含み、この突起38またはピンは、水中スクーター24のスクーターボディ40の上面に形成されている相応の取付受容部50(
図10参照)に係合し、この受容部内で枢着軸線36を中心として回転可能に保持されている。取付受容部50は、取付区分34の突起38が上方から挿入されるように、例えば凹部として形成されていてよい。付加的に、取付区分34を取付受容部50内で固定し、スイムボード2と水中スクーター24との意に反した分離を阻止するために、固定装置を設けることができる。スクーターボディ40の上面の取付受容部50は、スイムボード2が水中スクーター24に取り付けられていない場合に、使用者を固定するための保持システム(例えば、保持ベルト)の取付エレメントを受容し保持するためにも形成されていてよい。このような保持システムは例えば、独国特許出願公開第102007032392号明細書により公知である。
【0031】
スイムボード2の載置領域8は、スイムボード2が水中スクーター24に正しく取り付けられていて、ウォータースポーツ用具2,24の所定の動作中に、使用者42の少なくとも胸部が、場合によっては腹部もスイムボード2上に載置されるように形成されている。これは、例えば
図9に示されている。この場合、使用者42の脚部および足部も載置領域8上に載置することができる(
図9における使用者42の脚部の位置44)。選択的には、使用者42の脚が拡開されていて、上腿部のみが載置領域8上に載置され、足部と、場合によっては下腿部の少なくとも一部が水中に突入している(
図9における使用者42の脚部の位置46)ことも考えられる。このような使用を可能にする相応のスイムボード2は、例えば、
図6、
図7、
図11、および
図13に示されている。
【0032】
図6、
図11、および
図13のスイムボード2では、スイムボード2の後端領域6に、牽引グリップ48とドローバーアイ18とが配置されていて、これらを介して、他の水上運動家を、水上用具(例えば、別のスイムボード、エアマット、ボート)と一緒に、または水上用具なしで、本発明によるウォータースポーツ用具2,24の後方で牽引することができる。ドローバーアイ18を備えた牽引グリップ48は、
図9aの下方に個別部品として示されている。
図10~
図13では、見易さのために、取付区分34は示されていない。これにより
図10において、水中スクーター24のスクーターボディ40の上面に、取付区分34を受容する取付受容部50を認めることができる。
【0033】
本発明によるスイムボード2の別の実施形態によれば、例えば、
図1、
図8、
図10、および
図12に示したように、載置領域8は、スイムボード2の後端領域6で、水面に向かって傾斜する2つの側方の脚部載置部52へと移行しており、この脚部載置部上には、使用者の上腿部および/または下腿部が載置され、これら脚部載置部の間には、使用者の上腿部もしくは下腿部の間に位置する挟込み領域54が形成されている。使用者は、ウォータースポーツ用具2,24の所定の動作中、脚部の間でクランプ領域(挟込み領域)54を挟み込むことができ、これにより付加的な安定性が得られる。さらに、足部が、および場合によっては脚部の一部、例えば下腿部も、水中に突入していてよく、ウォータースポーツ用具2,24の制御の際に補助的に、使用されてよい。
【0034】
モータ付き水中スクーター24は、例えば、独国特許出願公開第19511850号明細書または独国特許出願公開第10009278号明細書により公知である。モータ付き水中スクーターは、水中スクーター24の前方の領域に、使用者42が掴むことができる2つの保持グリップ56を有している(
図9参照)。水中スクーター24は好適には、ウォータジェット駆動装置を介して駆動され、これにより、水中スクーター24の下面の流路を通る、水中スクーター24の走行方向とは逆方向の水流が形成される。この場合、特に、水中スクーター24のボディの下面における流入開口を介して水が吸い込まれ、水は流路内に配置されたスクリューポンプによって加速され、水中スクーター24の後端領域にある流出開口58(
図2および
図4)から噴出される。スクリューポンプは好適には、バッテリによって給電される電気モータによって駆動される。使用者42は、水中スクーター24を体重移動により操縦することができる。保持グリップ56の領域における操作エレメント60により、使用者42は、例えば、スクリューポンプの速度を、または流路内に位置するフラップの設定角度を変化させることにより、水中スクーター24の速度を制御することができる。本発明によるウォータースポーツ用具2,24では、水中スクーター24はとりわけ、水上を浮かんで使用される。水面は
図2、
図4、および
図5に符号62で示されている。
【0035】
図2には、例として、本発明によるスイムボード2の3つの異なるサイズもしくは容積がその輪郭を示す略図により示されている。使用者42の体重および所望の浮力に応じて、大きな容積または小さな容積のスイムボード2を選択することができる。
図3には、本発明によるスイムボード2の別の実施形態が示されている。この場合、スイムボード2の内部には、インフレータブル材料、例えばドロップステッチ生地材料から成るコア12が配置されており、このコアには外側から、少なくとも所定の領域でフリーフォーム側面14が取り付けられている。
図4には、
図3のスイムボード2の横断面が後方から見た図で示されている。この場合、スイムボード2が、水中に位置する下側に、側方に配置された2つのフロート64を有していることが明瞭に示されている。フロート64は、スイムボード2の長手方向の少なくとも一部にわたって延在している。好適には、フロート64は、スイムボード2の下面の後端領域6に形成されている。特に、スイムボード2は、フロート64の領域でU字型の横断面を成しており(
図4参照)、U字型の横断面の2つの脚の遠位端部は水中に突入しているか、または水面62上に出ていて、フロート64の部分を形成している。好適には、フロート64は、相応に成形されたフリーフォーム側面14によって形成されている。
【0036】
フロート64が側方に配置されていることに基づき、フロート64の間に凹部66が形成されていて、この凹部を通って、流路内で加速されたウォータジェットが妨げられずに貫流することができ、この場合、ウォータジェットは、フロート64の間でスイムボード2の下面に沿って案内される。これにより、直進走行の際のウォータースポーツ用具2,24の改善された走行力学的安定性が得られる。ウォータジェットは、流路の流出開口58から噴出した後、水中スクーター24に取り付けられているスイムボード2に衝突することはなく、これにより特に効率的なウォータースポーツ用具2,24の駆動が可能となる。さらに、凹部66の領域のスイムボード2の下面と、ウォータジェットとの間に、特に大きな間隔があるので、スイムボード2の下方を貫流するウォータジェットにより生じる、スイムボード2を下方に引っぱる恐れのある吸込み作用は、フロート64によって減じられる。
【0037】
図14~
図16には、発明の別の実施例が示されている。
図14には、モータ付き水中スクーター24と、別の構成の本発明によるスイムボード2とを含む本発明によるウォータースポーツ用具2,24が平面図で示されている。スイムボード2は、これまで記載したスイムボード2とは様々な特徴によって異なっている。すなわち、載置領域8は、例えば少なくとも部分的に、側方で保持側面68によって制限されており、この保持側面によって、使用者は側方で支えられ、したがって、載置領域8から使用者42が意に反して滑り落ちることが防止されている、理想的には落下が阻止される。保持側面68により、載置領域8は、平面図で見てほぼ砂時計形状を成していて、すなわち、端部領域4,6では、載置領域8が絞られている真ん中の領域よりも大きな幅を有している。保持側面68は、好適には、インフレータブル空気チャンバとして、スイムボード2の他の部分からは分離されて形成されている。空気チャンバのそれぞれは、例えば、10~15リットルの、特に11~12リットルの容積を有している。好適には、保持側面68の外壁に形成された弁70を介して、保持側面68を膨らませることができ、かつ空気を保持側面68の内部から排出することができる。
【0038】
この実施形態でも、スイムボード2は、好適には、インフレータブル材料、例えばドロップステッチ生地材料を含む。スイムボードに、側方で、インフレータブル保持側面68が、例えば縫い付けおよび/または加硫により取り付けられている。このようにして、保持側面68を含むスイムボード2全体から空気を抜くことができ、スイムボード2を極めてコンパクトな寸法に折り畳むことができる。
図16によれば、側方の保持側面68が、載置領域8を側方に向かって制限している様子、さらには、載置領域8によって、使用者42を確実に収容するための凹部を形成している様子が明らかである。スイムボード2はほぼ真ん中に複数のグリップ20を有しており、これらグリップのうちの1つは、載置領域8において、スイムボード2の長手方向軸線の領域に配置されていて、これらグリップのうちの2つは側方で保持側面68の内側に向いた壁部に配置されている。
図14aには、例として、グリップ20の3つの様々な実施形態が示されている。
【0039】
図15の、本発明によるスイムボード2の縦断面図によれば、この実施例の、これまでに記載した実施例とはさらに異なる点が明らかである。異なる点は、スイムボード2の前端領域4に関し、この前端領域4は、僅かな角度だけ上方に向かって傾けられている。好適には、前端領域4は、約3°~8°、特に好適には5°だけ上方に向かって傾けられている。水中スクーター24の動作中、水中スクーターは、約3°~10°、特に5°の設定角度72だけ、水面から前部を持ち上げている。スイムボード2の曲げられた前端領域4は、動作中、水中スクーター24の設定角度72に適合させられていて、これにより、傾けられた水中スクーター24が、スイムボード2の前端領域4に大きな曲げモーメントを伝えるのを阻止している。
【0040】
図17~
図20には、本発明の別の実施例が示されている。この場合、
図14~
図16の実施例とは異なり、例えば、載置領域8には、スイムボード2の長手方向軸線上に1つのグリップ20のみが配置されている。保持側面68におけるさらなるグリップ20は設けられていない。
図18には、
図17のウォータースポーツ用具2,24のスイムボード2の側面図が示されている。
図19には、ウォータースポーツ用具2,24が側面図で示されており、取付エレメント34を含む取付区分22の領域が断面図で示されている。この場合、スイムボード2の曲げられた前端領域4が、水中スクーター24の設定角度72に適合されている様子が詳しく示されている。
【0041】
図20には、スイムボード2を下方から見た図が示されている。スイムボード2の下面と水面62との接触面は、この場合、符号74で示されている。インフレータブルなドロップステッチ生地材料の外側輪郭は符号76で示されている。スイムボード2の下面は、場合によっては設けられている、長手方向軸線および/または横方向軸線における僅かな湾曲を除いて、実質的に平坦な面を成している。スイムボード2の下面には、複数の剥離縁78が配置されている。これらの剥離縁78は、スイムボード2の下面から下方に向かって突出しており、水中に突入している。剥離縁78は、スイムボード2の長手方向に対して横方向に向けられた、ひいてはウォータースポーツ用具2,24の走行方向に対しても横方向に向けられた成分を有するそれぞれ1つの延在方向を有している。剥離縁78により、スイムボード2の下方を貫流するウォータジェットにより生じ、スイムボード2を下方に引っぱる恐れがある吸込み作用は減じられる。これは、剥離縁78を介して側方から空気が吸い込まれ、スイムボード2の下方で、ウォータジェットの領域に導入されることにより生じる。ここでは空気が失速をもたらし、この失速により吸込み作用が減じられる。複数の剥離縁が、スイムボード2の長手方向で相前後して、かつ互いに間隔を置いて配置されていてよい。スイムボード2の後端の手前約5cmのところに、最後方の剥離縁78が配置されている。斜めに立ち上がっている各2つの剥離縁78ごとに、1つのV字形状を構成しており、V字の先端は、前方に向けられていて、スイムボード2のほぼ長手方向中心軸線上に位置している。