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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20230614BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
G01N21/956 A
G01N21/84 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020517051
(86)(22)【出願日】2019-04-23
(86)【国際出願番号】 JP2019017214
(87)【国際公開番号】W WO2019212011
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2018088470
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504385524
【氏名又は名称】株式会社ナノシステムソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100171848
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 裕美
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 啓
(72)【発明者】
【氏名】菅田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】児玉 亮二
【審査官】古川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-123561(JP,A)
【文献】特開2003-243465(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0016206(US,A1)
【文献】特開2016-178298(JP,A)
【文献】特開平05-126748(JP,A)
【文献】特開2006-220540(JP,A)
【文献】特表2009-535782(JP,A)
【文献】特開平10-339704(JP,A)
【文献】特開2018-063207(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0040572(KR,A)
【文献】特表2017-526158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の外周領域を照明する外周照明部と、
対象の外周領域を撮像する外周撮像部とを備え、
前記外周照明部は、基準軸を中心とする円周の部分領域に沿って配置されて前記基準軸上の所定領域に光を射出する円弧照明部を有し、
前記円弧照明部の前記基準軸は、対象の上面に平行で、対象の中心と対象の外周領域における照明領域の中心とを通り、
前記外周照明部は、前記基準軸上の前記所定領域に対応する前記照明領域を照明する、検査装置。
【請求項2】
前記照明領域は、対象の前記外周領域のうち前記上面に平行な平坦部と当該平坦部の外側の傾斜部との境界位置又は当該境界位置の近傍が通過する箇所に対応する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記円弧照明部は、前記基準軸のまわりの180°以下の角度範囲に配置される、請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記外周照明部は、対象の外周領域のうち最も外側の傾斜部が通過する箇所を斜方向から照明する傾斜照明部を有する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項5】
前記傾斜照明部は、対象の外周領域の傾斜部が通過する箇所に対向して配置される反射部と、当該反射部に照明光を供給する光供給部とを有する、請求項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記反射部は、光拡散性を有する、請求項に記載の検査装置。
【請求項7】
前記外周照明部は、外周撮像部の結像光学系に組み込まれて対象の外周領域のうち平坦部を照明する落射照明部を有する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項8】
前記外周照明部と前記外周撮像部とを有する外周検査部の検査位置に対象を支持する保持部に対象を渡す移送部をさらに備える、請求項1に記載の検査装置。
【請求項9】
前記外周照明部と前記外周撮像部とを有する外周検査部とは異なる機構で対象の外周を検査する複数の追加検査部をさらに備える請求項1に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象の外周の状態を計測する検査装置に関し、特に外周に傾斜部や窪みを有する対象を計測する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検査装置として、ウェハのエッジに形成されたベベルに生じるチッピングを検出するウェハエッジ検査装置がある。かかるウェハエッジ検査装置として、内側面が反射面を有する半球面体で形成され、当該半球面の中心軸が載置手段上のウェハの中心面上に位置するように配設され、撮像領域における当該ウェハのベベルを含む領域に光を照射するドーム型の照明手段と、光軸がウェハの中心面に対して略垂直であるとともに照明手段によって光を照射されるウェハのベベル近傍と交差する位置に配設され、撮像領域におけるウェハのベベルを含む領域を撮像する撮像手段とを備えるものが公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1において、ドーム型の照明は、大型となって省スペース化が容易でなく、検査装置を大型化する。なお、ウェハエッジ検査装置の場合、単一の検査部を組み込むものは少なく、機能又は機構が異なる多数の検査部を限られた空間内に実装することが多く、各検査部について省スペース化のニーズが高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-178298号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ウェハのベベル等の異形部分を省スペースで確実に計測できる検査装置を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するための検査装置は、対象の外周領域を照明する外周照明部と、対象の外周領域を撮像する外周撮像部とを備え、外周照明部は、基準軸を中心とする円周の部分領域に沿って配置されて基準軸上の所定領域に光を射出する円弧照明部を有し、円弧照明部の基準軸は、対象の上面に平行で、対象の中心と対象の外周領域における照明領域の中心とを通り、外周照明部は、基準軸上の所定領域に対応する照明領域を照明する。
【0007】
上記検査装置では、対象の外周部が延びる接線方向と交差する方向に延びる基準軸を考えて、外周照明部が、基準軸上の所定領域に光を射出する円弧照明部を有するので、外周撮像部のうち外縁に向けて傾斜した部分や外縁から後退した窪み部分といった異形部分を効率よく照明することができ、外周照明部を省スペースとすることができる。
【0008】
本発明の具体的な側面によれば、上記検査装置において、照明領域は、対象の外周領域のうち上面に平行な平坦部と当該平坦部の外側の傾斜部との境界位置又は当該境界位置の近傍が通過する箇所に対応する。この場合、平坦部の外縁や窪み部分の照明が均一となり、チッピングその他の欠陥を精密に計測することができる。
【0010】
本発明のさらに別の側面によれば、円弧照明部は、基準軸のまわりの180°以下の角度範囲に配置される。
【0011】
本発明のさらに別の側面によれば、外周照明部は、対象の外周領域のうち最も外側の傾斜部が通過する箇所を斜方向から照明する傾斜照明部を有する。この場合、傾斜部の照明が確実となる。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、傾斜照明部は、対象の外周領域の傾斜部が通過する箇所に対向して配置される反射部と、当該反射部に照明光を供給する光供給部とを有する。この場合、反射部の角度調整によって傾斜部に対する照明を適切にできる。
【0013】
本発明のさらに別の側面によれば、反射部は、光拡散性を有する。この場合、傾斜部に対する照明の均一性を高めることができる。
【0014】
本発明のさらに別の側面によれば、外周照明部は、外周撮像部の結像光学系に組み込まれて対象の外周領域のうち平坦部を照明する落射照明部を有する。この場合、落射照明部によって平坦部の照明が効率的なものとなる。
【0015】
本発明のさらに別の側面によれば、外周照明部と外周撮像部とを有する外周検査部の検査位置に対象を支持する保持部に対象を渡す移送部をさらに備える。
【0016】
本発明のさらに別の側面によれば、外周照明部と外周撮像部とを有する外周検査部とは異なる機構で対象の外周を検査する複数の追加検査部をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1Aは、検査装置の全体的平面図であり、図1Bは、検査装置のうち外周検査ユニットを説明する平面図である。
図2図2Aは、外周検査ユニットを構成する上面用の第1外周撮像部を説明する概念的斜視図であり、図2Bは、下面用の第2外周撮像部を説明する概念的斜視図である。
図3図3Aは、図2Aの第1外周撮像部の構造を説明する概念的な側断面図であり、図3Bは、主に第1円弧照明部の構造を説明する概念的な平面図である。
図4図4Aは、第1円弧照明部のコーナ部における発光パターンを説明する概念図であり、図4Bは、コーナ部における発光パターンの変形例を説明する図である。
図5】対象の外周領域を説明する側断面図である。
図6】外周及び裏面欠陥検査複合機の動作の一例を説明する図である。
図7図7Aは、具体的な実施例の検査装置で得た外周画像を説明する図であり、図7Bは、比較例の検査装置で得た外周画像を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る検査装置の一実施形態について説明する。本検査装置100は、外周及び裏面欠陥検査複合機であり、検査の対象は、例えばSiその他の半導体結晶のウェハである。
【0019】
図1Aに示すように、検査装置(外周及び裏面欠陥検査複合機)100は、搬送ロボットユニット21と外周検査ユニット23と裏面/PH検査ユニット25とで構成される本体部分20と、ウェハを搬出入するためのロードポート30と、オペレーターとの間で情報や指示の遣り取りを行うインターフェース部40と、電装系ラック50とを有する。
【0020】
本体部分20において、外周検査ユニット23は、被検査物であるウェハ外周部の欠陥や粗さを非接触で光学的に検出し、画像処理により合否の判定を行う。裏面/PH検査ユニット25は、被検査物であるウェハ裏面上の傷及びパーティクルと、ウェハ内部にあるピンホール(気泡)とを光学的に検出し、画像処理により合否の判定を行う。具体的には、裏面/PH検査ユニット25は、不図示のグリップ装置によって支持されているウェハの裏面を可視光で下より照明し、発生した散乱光を不図示のカメラにより撮像し、画像処理にて傷及びパーティクルを検出する。また、裏面/PH検査ユニット25は、ウェハの裏面を赤外光で下より照明し、透過光を不図示のカメラにより撮像し、画像処理にてピンホールを検出する。
【0021】
図1Bに示すように、外周検査ユニット23は、第1外周検査部73aと、第2外周検査部73bと、ノッチカメラ部75と、レーザーボックス部77と、エッジカメラ部79と、各部の制御を行う制御部91とを備える。ノッチカメラ部75と、レーザーボックス部77と、エッジカメラ部79とは、第1及び第2外周検査部73a,73bとは異なる機構によって、対象であるウェハWAの外周を検査する追加検査部である。
【0022】
第1外周検査部73aは、複数の支持アーム72bによって回転可能に支持されたウェハWAについて、その外周上面の検査と、ノッチ上面の検査とを行うための部分であり、第2外周検査部73bは、ウェハWAの外周下面の検査と、ノッチ下面の検査とを行うための部分である。両外周検査部73a,73bは、白色光源を含む3種類の照明系によってウェハWA外周やノッチを上下及び斜め方向から照明し、ウェハWA外周やノッチを上下から撮影することで、ウェハWA外周やノッチの位置における欠陥を検出する。このような欠陥の発見は、ウェハWAの割れ初めの検出に役立つ。ノッチカメラ部75は、ノッチを検査するための部分であり、赤色LEDを組み込んだパネル照明系によってウェハWAの外周に形成されたノッチを照明し、モノクロタイプのCCDカメラによってノッチを横から撮影することで、ノッチ内における欠陥を検出する。レーザーボックス部77は、レーザーを利用してセンシングを行う外周端面検査部である。レーザーボックス部77は、回転するウェハWAの外周部にレーザー光を照射し、散乱光のレベルにより欠陥候補をリストアップする。エッジカメラ部79は、ウェハWAの端面の検査のための部分である。エッジカメラ部79は、2台のラインセンサーで構成され、図示を省略する白色LEDや白色C型リング照明装置による照明下で、斜め上下方向から回転するウェハWAの端面を撮像する。
【0023】
外周検査ユニット23には、ウェハWAについて偏芯アライメントを行うリフターユニット71と、検査用の各部73a,73b,75,77,79に対してウェハWAを適宜配置し適宜回転させる保持部72とが設けられている。保持部72は、検査用の各部73a,73b,75,77,79の検査位置に検査の対象であるウェハWAを支持する。保持部72は、移送部であるリフターユニット71に設けた4つの支柱状のリフターアーム71bから、Oリングを先端に設けた多数の支持アーム72bにウェハWAを水平に延びる状態で受け取る。これらの支持アーム72bは、回転体72eに支持され、回転駆動部72dからの駆動力を受けて回転する。これにより、ウェハWAの円形の端部が第1外周検査部73a等に設けた所定の検査位置に位置決めして配置されるとともに、回転体72eが回転することによって、ウェハWAの外周端部を周方向に沿って所望のタイミング及び速度で移動させることが可能となる。
【0024】
図2Aに示すように、上面用の第1外周検査部73aは、対象であるウェハWAの外周領域を上側から照明する外周照明部11と、対象であるウェハWAの外周領域を上側から撮像する外周撮像部12とを備える。外周照明部11は、第1円弧照明部11aと、第1傾斜照明部11bと、第1落射照明部11cと、フレーム部11jとを有する。第1円弧照明部11aは、矩形断面を有する円弧状の外形を有し、内側の円弧状のコーナ部14aが光射出部14bとなっている。第1傾斜照明部11bは、ウェハWAの外周領域の傾斜部であるベベルが通過する箇所に対向して傾斜した状態で配置される反射部15aと、反射部15aに対向して配置され反射部15aに照明光を供給する光供給部15bとを有する。第1落射照明部11cは、外周撮像部12の結像光学系17aに組み付けられて結像光学系17aの下方に照明光を供給する。
【0025】
第1円弧照明部11aに付随して、第1位置調整機構18aが設けられており、第1円弧照明部11aのフレーム部11jに対する精密な位置決めが可能となっている。第1傾斜照明部11bに付随して、第2位置調整機構18bが設けられており、第1傾斜照明部11bのフレーム部11jに対する精密な位置決めが可能となっている。外周撮像部12に付随して、第3位置調整機構18cが設けられており、外周撮像部12のフレーム部11jに対する精密な位置決めが可能となっている。
【0026】
図2A図3A及び3Bに示すように、第1円弧照明部11aは、ウェハWAの測定部分が通過する測定箇所MAの斜め上方に、アーチ状に配置されている。より具体的には、第1円弧照明部11aは、XY面に沿って水平に延びる基準軸SAを中心とする円周CIの部分領域に沿って配置されており、基準軸SA上の所定領域A1を照明する。ここで、基準軸SAは、対象であるウェハWAの外周部UAが延びる接線方向と交差するだけでなく当該接線方向と直交してウェハWA上面に平行なX方向に延びる。第1円弧照明部11aは、基準軸SAのまわりの120°程度の角度範囲であって180°以下、好ましくは160°以下の角度範囲に配置されている。
【0027】
第1円弧照明部11aの円弧状のコーナ部14aは、照明光L1を射出する光射出部14bであり、光射出部14bの奥であって、円周CIに沿った近傍には、多数の発光ユニット14uが等間隔で配置され、円錐の側面領域に沿って円錐の頂点に集めるように照明光L1を射出し所定領域A1に入射させる。ここで、各発光ユニット14uは、例えば白色光を発生する固体発光素子その他の光源14dと、発散角を調整するレンズ14eとで構成され、所定の広がりを有する照明光L1を射出する。この結果、鞍型の曲面を核又は芯として発光ユニット14uからの発散角に相当する厚みをもって広がった立体的領域、つまり一葉双曲面の対象軸のまわりの所定角度範囲を核として発光ユニット14uからの発散角に相当する厚みをもって広がった立体的領域が、第1円弧照明部11aによって所定領域A1として照明され、この所定領域A1は、照明光L1によって一葉双曲面にフィットさせた円錐の頂角の半分に近い角度範囲で多様な方向から照明される。
【0028】
図4Aは、第1円弧照明部11aのコーナ部14aにおける発光パターンを説明する概念図である。図示の例では、コーナ部14aにおいて、発光ユニット14uの開口14oが等間隔で一列に配置されている。各開口14oに配置されたレンズ14eからは、照明光L1が射出される。
【0029】
図4Bは、コーナ部14aにおける発光パターンの変形例を説明する図である。この場合、コーナ部14aに沿って、複数列の開口14oが千鳥配列で配置されている。開口14oは、比較的細径であり、開口14oの内側には、光ファイバー14fの端部14feが配置されている。図示を省略する光源からの光は、複数の光ファイバー14fに分岐され、個々の光ファイバー14fの端部14feからは、照明光L1が射出される。なお、光ファイバー14fの端部14feには、例えばシリンドリカルレンズ、プリズムといった光学素子を配置することができる。シリンドリカルレンズやプリズムを開口14oの前段に配置することで、照明光L1の広がり方や射出方向を調整することができる。このような光学素子は、複数の光ファイバー14fの端部14feに個々の設けるものであってもよいが、複数の光ファイバー14fの端部14feに共通しコーナ部14aの全体に延びるようなものであってもよい。
【0030】
図5は、ウェハWAの外周部UA又は外周領域APをウェハWAの中心を通る垂直断面で示した図である。ウェハWAの外周領域APは、表面側において、平坦部AP1と傾斜部AP2とを含む。平坦部AP1は、結晶面を露出させた鏡面SA1を有し、傾斜部AP2は、面取りされたベベル部であり傾斜面SA2を有する。ウェハWAの外周領域APは、裏面側においても、鏡面SA1を有する平坦部AP1と、傾斜面SA2を有する傾斜部AP2とを含む。外周領域APにおいて、傾斜面SA2の外側には、外周端面SA3が形成されている。なお、以上は、外周領域APのうちノッチNZ(図3A)のない部分の説明であったが、ノッチNZのある部分も、図5に示すものと同様の断面形状を有する。
【0031】
図3A等に戻って、第1円弧照明部11aからの照明光L1は、平坦部AP1と当該平坦部AP1の外側の傾斜部AP2との境界位置又は近傍が通過する箇所に入射する。具体的には、照明光L1は、外周領域APのうちノッチNZがない領域では、照明光L11として、主に平坦部AP1と傾斜部AP2との境界位置及びその周囲に入射し、外周領域APのうちノッチNZがある領域では、照明光L12として、ノッチNZにおける傾斜部AP2や平坦部AP1との境界位置に、基準軸SAのまわりの様々な角度方向から入射する。この結果、ノッチNZがある領域かノッチNZがない領域かに関わらず、平坦部AP1と傾斜部AP2の境界又は傾斜部AP2が斜めから照明され、外周撮像部12による平坦部AP1と傾斜部AP2の境界又は傾斜部AP2の明るい像の撮影が可能になる。
【0032】
第1傾斜照明部11bにおいて、反射部15aは、平面状に延びる高反射フィルムであるが、曲率を持たせることができる。また、反射部15aは、適度の拡散特性を持たせることもできる。反射部15aが光拡散性を有する場合、反射部15aの平面を基準とする縦方向や横方向に関して照明光L2の発散角を調整することができる。光供給部15bは、発光部15dと投光光学系15eとを有する。発光部15dは、例えば白色光を発生する固体発光素子その他の光源とすることができるが、白色光を発生する光源からの光をライトガイドで導いて白色光を射出させる発光面とすることもできる。第1傾斜照明部11bからの照明光L2は、外周領域APのうちノッチNZがない領域では、照明光L21として、傾斜部AP2に斜方向から入射し、傾斜部AP2を斜方向からスポット状に照明する。第1傾斜照明部11bからの照明光L2は、外周領域APのうちノッチNZがある領域でも、照明光L22として、傾斜部AP2に斜方向から入射し、傾斜部AP2を斜方向からスポット状に照明する。
【0033】
第1落射照明部11cは、結合光学系16aと光供給部16bとを有する。結合光学系16aは、外周撮像部12の結像光学系17aに照明光L3を導入するハーフミラー16fを有し、同軸落射照明を可能にする。光供給部16bは、例えば白色光を発生する固体発光素子その他の光源とすることができるが、白色光を発生する光源からの光をライトガイドで導いて白色光を射出させる発光面とすることもできる。第1落射照明部11cからの照明光L3は、照明光L31,L32として、外周領域APのうち平坦部AP1に入射し、平坦部AP1を均一に照明する。
【0034】
外周撮像部12は、結像光学系17aと撮像部17bとを有する。結像光学系17aは、ウェハWAの外周領域APの像を撮像部17bに投影する。撮像部17bは、CMOSその他のラインセンサー17cを有し、外周領域APの半径方向のライン像を取得する。ウェハWAは、支持アーム72b上に支持された状態でウェハWAの面内で所望の速度で定速回転させることができるので、ライン像を繋ぎ合わせることで外周領域APの2次元的画像を得ることができる。結果的に、ウェハWAの外周領域APのノッチNZがある領域やノッチNZがない領域を自在に撮影することができる。この際、第1円弧照明部11aからの照明光L1と、第1傾斜照明部11bからの照明光L2と、第1落射照明部11cからの照明光L3とにより、外周領域APを構成する平坦部AP1と傾斜部AP2とが適度な角度で照明され、平坦部AP1や傾斜部AP2についてムラのない明るい画像を取得することができる。
【0035】
図2Bに示すように、下面用の第2外周検査部73bは、対象であるウェハWAの外周領域を下側から照明する外周照明部111と、対象であるウェハWAの外周領域を下側から撮像する外周撮像部112とを備える。外周照明部111は、図2Aに示す第1外周検査部73aと同様に、第2円弧照明部111aと、第2傾斜照明部111bと、第2落射照明部111cと、フレーム部11jとを有する。第2円弧照明部111aは、第1円弧照明部11aと上下が反転しているが、第1円弧照明部11aと同様の構造を有するので、同一の符号を付して重複説明を省略する。同様に、第2傾斜照明部111bは、第1傾斜照明部11bと上下が反転しているが、第1傾斜照明部11bと同様の構造を有するので、同一の符号を付して重複説明を省略する。第2落射照明部111cは、第1落射照明部11cと上下が反転するが、第1落射照明部11cと同様の構造を有する。外周撮像部112は、図2Aに示す外周撮像部12と上下が反転するが、外周撮像部12と同様の構造を有する。
【0036】
図6は、外周検査ユニット23の動作の概要を説明する図である。制御部91は、保持部72によってウェハWAを水平面内で回転させつつ第1外周検査部73aを動作させ、ウェハWAの外周領域APを上側から撮影し、上側(又は表側)の平坦部AP1及び傾斜部AP2の画像を取得する(ステップS11)。これと並行して或いは別のタイミングで、制御部91は、保持部72によってウェハWAを水平面内で回転させつつ第2外周検査部73bを動作させ、ウェハWAの外周領域APを下側から撮影し、下側(又は裏側)の平坦部AP1及び傾斜部AP2の画像を取得する(ステップS12)。制御部91は、ステップS11で得た外周領域APの上側画像と、ステップS12で得た外周領域APの下側画像とを記録部に保管するとともに、表側の外周画像と裏側の外周画像とを検査装置100のオペレーターに提示する(ステップS13)。これにより、ノッチNZについて表裏像を表示するといった動作が可能になる。
【0037】
図7Aは、具体的な実施例の検査装置で得た外周画像を示し、図7Bは、比較例の検査装置で得た外周画像を示す。図7Aに示す実施例の場合、ノッチや傾斜部が鮮やかに映っており、チッピングその他の欠陥を確実に捉えることができる。一方、図7Bに示す比較例の画像は、第1円弧照明部11aや第1傾斜照明部11bの代わりにC型リング照明装置を用いて撮影したものである。この際、C型リング照明装置は、その対象軸がウェハWAの外周端面の接線に平行に延びるように配置され、ウェハWAの外周端部のうち撮像位置に隣接する箇所における上下面を一対の対向する開放端で挟むように配置される。図7Bに示す比較例の場合、ノッチでは傾斜部が欠けた画像となっており、ノッチ以外のでは、平坦部及び傾斜部の境界が検出できず、傾斜部が鮮明とは言えないものとなっている。
【0038】
以上では、実施形態に係る検査装置100について説明したが、本発明に係る検査装置は上記のものには限られない。例えば、円弧照明部11a,111aの基準軸SAは、ウェハWA上面に平行に延びるものでなくてよく、ウェハWA上面に対して適宜の傾斜角を有するものとできる。また、基準軸SAは、ウェハWAの外周部UAが延びる接線方向と直交するX方向に延びるものでなくてよく、当該接線方向と交差する方向、つまり接線方向の直交方向に対して適宜の傾斜角を有する方向に延びるものとできる。
【0039】
円弧照明部11a,111aは、複数の同様構造の円弧照明部を組み合わせたものとできる。また、用途によるが、傾斜照明部11b,111bを省略することもできる。
【0040】
以上では、半導体結晶その他のウェハWAの検査について説明したが、検査の対象は、半導ウェハに限らず、ガラス基板等とすることができる。検査の対象がガラス基板である場合、対象の外周が円形や矩形となり、対象の外周が矩形の場合、一般に対角部にオリエンテーションフラットが形成される。オリエンテーションフラットは境界においてR面によって面取りされている。このようなオリエンテーションフラット及びその周辺を観察する際にも、第1円弧照明部11a,111aによって変曲点又は特異点の照明が可能になり漏れのない観察が可能になる。矩形のガラス基板を検査する場合、ガラス基板を回転させず直線的に移動させることができ、或いはガラス基板の回転軸から外周撮像部12までの距離を変化させることができる。
【0041】
外周検査ユニット23において、ノッチカメラ部75、レーザーボックス部77、エッジカメラ部79等は省略することができる。
【0042】
外周撮像部12の結像光学系17aは、ラインセンサー17cで構成されるものに限らず、CMOSセンサーのような2次元的な撮像装置で構成することができる。この場合、保持部72によってウェハWAを回転させつつ得た複数の画像を繋ぎ合せることになる。さらに、ラインセンサー17cは、フォトダイオードのような光量センサーを適宜の間隔で一列に配列したものとすることができる。
【0043】
検査装置100つまり外周及び裏面欠陥検査複合機において、裏面/PH検査ユニット25は省略することができる。
【0044】
検査装置100の外周検査ユニット23のうち外周検査部73a,73bのみを取り出して、加工機その他の機械と組み合わせることができる。
図1
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図5
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図7