(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】自律走行体装置
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20230614BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
G05D1/02 H
A47L9/28 E
A47L9/28 Q
(21)【出願番号】P 2019033218
(22)【出願日】2019-02-26
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】鹿山 俊洋
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-508202(JP,A)
【文献】特開2017-204132(JP,A)
【文献】特開2018-075191(JP,A)
【文献】特開2016-004471(JP,A)
【文献】特開2014-059737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを保持する地図保持メモリ、および、この地図保持メモリに保持された地図データに基づき自律走行を制御する走行制御手段を備えた自律走行体と、
外部電源と接続される接続部、および、この接続部と外部電源との接続の有無を検出する検出手段を備えた基地装置とを具備し、
前記走行制御手段は、前記自律走行体が前記基地装置から自律走行を開始する際、前記検出手段により前記接続部と外部電源との接続が遮断されたことを検出した非定常状態となった後に、自律走行用の地図データを変更する
ことを特徴とした自律走行体装置。
【請求項2】
地図データを保持する地図保持メモリ、および、この地図保持メモリに保持された地図データに基づき自律走行を制御する走行制御手段を備えた自律走行体と、
外部電源と接続される接続部、および、持ち上げを検出する持ち上げセンサを備えた基地装置とを具備し、
前記走行制御手段は、前記自律走行体が前記基地装置から自律走行を開始する際、前記持ち上げセンサにより前記基地装置の持ち上げを検出した非定常状態となった後に、自律走行用の地図データを変更する
ことを特徴とした自律走行体装置。
【請求項3】
基地装置は、非定常状態であると判断した場合に走行制御手段による地図データの変更を指示する伝達手段を備え、
自律走行体は、前記伝達手段により指示された情報を受信する受信手段を備え、
前記走行制御手段は、前記伝達手段からの情報を前記受信手段により受信したときに自律走行用の地図データを変更する
ことを特徴とした請求項1又は2記載の自律走行体装置。
【請求項4】
基地装置は、非定常状態の検出を伝達する伝達手段を備え、
自律走行体は、前記伝達手段により伝達された情報を受信する受信手段を備え、
走行制御手段は、前記伝達手段からの情報を前記受信手段により受信すると、この情報に基づき自律走行用の地図データの変更の要否を判断する
ことを特徴とした請求項1又は2記載の自律走行体装置。
【請求項5】
自律走行体は、
外部の状況を検出するセンサと、
このセンサによる検出に基づき地図データを作成するマッピング手段とを備え、
走行制御手段により地図データを変更する際、地図保持メモリに保持された地図データを破棄し、前記マッピング手段により新たな地図データを作成する
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか一記載の自律走行体装置。
【請求項6】
自律走行体は、
外部の状況を検出するセンサと、
このセンサによる検出に基づき地図データを作成するマッピング手段とを備え、
走行制御手段により地図データを変更する際、前記マッピング手段により新たな地図データを作成して、地図保持メモリに保持された地図データに追加する
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか一記載の自律走行体装置。
【請求項7】
地図保持メモリは、複数の走行領域の地図データを保持し、
自律走行体は、走行制御手段により地図データを変更する際、前記地図保持メモリに保持された地図データから適合する地図データを選択する
ことを特徴とした請求項1ないし4および6いずれか一記載の自律走行体装置。
【請求項8】
基地装置を複数備え、
地図保持メモリは、複数の走行領域の地図データを保持し、
走行制御手段は、自律走行体が接続された前記基地装置に応じて、前記地図保持メモリに保持された地図データから適合する地図データを選択する
ことを特徴とした請求項1ないし7いずれか一記載の自律走行体装置
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、地図保持メモリに保持された地図データに基づき自律走行する自律走行体を備えた自律走行体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自律走行体として、被掃除面としての床面上を自律走行しながら床面を掃除する、いわゆる自律走行型の電気掃除機(掃除ロボット)が知られている。この電気掃除機は、一般に、電源となる二次電池を充電するための充電装置とともに、自律走行体装置としての電気掃除装置を構成している。
【0003】
このような電気掃除機において、掃除処理の開始時、あるいは掃除処理の最中に掃除領域の形状や障害物などの地図情報を蓄積し、自己位置やこれから走行すべき場所を推定することにより、偏りの少ない効率的な掃除が可能となっている。
【0004】
電気掃除機は、通常、単一の掃除領域、あるいは同一の家屋における複数の掃除領域で反復的に使用することが多いため、掃除処理の開始の度に地図データを更新する必要はないが、例えば電気掃除装置を別室に持ち運んだ場合などには異なる地図データが必要になることもある。したがって、必要に応じた適切な地図データを採用することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、自律走行体が適切な地図データに基づいて自律走行可能な自律走行体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の自律走行体装置は、自律走行体と、基地装置とを有する。自律走行体は、地図保持メモリ、および、走行制御手段を備える。地図保持メモリは、地図データを保持する。走行制御手段は、地図保持メモリに保持された地図データに基づき自律走行を制御する。基地装置は、接続部、および、検出手段を備える。接続部は、外部電源と接続される。検出手段は、接続部と外部電源との接続の有無を検出する。そして、走行制御手段は、自律走行体が基地装置から自律走行を開始する際、検出手段により接続部と外部電源との接続が遮断されたことを検出した非定常状態となった後に、自律走行用の地図データを変更する。
【0008】
また、実施形態の自律走行体装置は、自律走行体と、基地装置とを有する。自律走行体は、地図保持メモリ、および、走行制御手段を備える。地図保持メモリは、地図データを保持する。走行制御手段は、地図保持メモリに保持された地図データに基づき自律走行を制御する。基地装置は、接続部、および、持ち上げセンサを備える。接続部は、外部電源と接続される。持ち上げセンサは、持ち上げを検出する。そして、走行制御手段は、自律走行体が基地装置から自律走行を開始する際、持ち上げセンサにより基地装置の持ち上げを検出した非定常状態となった後に、自律走行用の地図データを変更する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態の自律走行体装置を示す斜視図である。
【
図2】同上自律走行体装置の自律走行体の基地装置への帰還状態を示す斜視図である。
【
図3】同上自律走行体装置の自律走行体を下方から示す平面図である。
【
図4】同上自律走行体の内部構造を示すブロック図である。
【
図5】同上自律走行体装置の基地装置の内部構造を示すブロック図である。
【
図6】同上自律走行体のセンサによる物体の三次元座標の計算方法を模式的に示す説明図である。
【
図7】同上自律走行体の自律走行の開始から終了までの自律走行体装置の制御を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態の自律走行体装置の自律走行体の内部構造を示すブロック図である。
【
図9】同上自律走行体装置の基地装置の内部構造を示すブロック図である。
【
図10】同上自律走行体装置の自律走行体の自律走行の開始から終了までの自律走行体の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、第1の実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0011】
図1および
図2において、11は自律走行体としての電気掃除機であり、この電気掃除機11は、この電気掃除機11の基地装置である充電装置(充電台)12とともに自律走行体装置としての電気掃除装置(電気掃除システム)13を構成するものである。そして、電気掃除機11は、本実施形態において、走行面としての被掃除面である床面上を自律走行(自走)しつつ床面を掃除する、いわゆる自走式のロボットクリーナ(掃除ロボット)である。
【0012】
そして、
図1ないし
図4に示す電気掃除機11は、中空状の本体ケース20を備えている。また、この電気掃除機11は、走行駆動部である駆動輪21を備えている。さらに、この電気掃除機11は、塵埃を掃除する掃除部22を備えていてもよい。また、この電気掃除機11は、情報取得手段としてのセンサ部23を備えている。さらに、この電気掃除機11は、例えば有線、あるいは無線によりネットワークを介して通信する情報取得手段としての通信手段である通信部24を備えている。また、この電気掃除機11は、コントローラである制御手段としての制御部25を備えている。そして、この電気掃除機11は、給電用の電池である二次電池26を備えている。さらに、この電気掃除機11は、外部装置や使用者との間で信号が入出力される入出力部を備えていてもよい。なお、以下、電気掃除機11(本体ケース20)の走行方向に沿った方向を前後方向(
図3に示す矢印FR,RR方向)とし、この前後方向に対して交差(直交)する左右方向(両側方向)を幅方向として説明する。
【0013】
本体ケース20は、例えば合成樹脂などにより形成されている。この本体ケース20は、例えば扁平な円柱状(円盤状)などに形成されていてもよい。また、この本体ケース20には、集塵口である吸込口31などが床面に対向する下部などに設けられていてもよい。
【0014】
駆動輪21は、電気掃除機11(本体ケース20)を床面上で前進方向および後退方向に走行(自律走行)させる、すなわち走行用のものである。本実施形態では、この駆動輪21は、例えば本体ケース20の左右に一対設けられている。この駆動輪21は、駆動手段としてのモータ33により駆動される。なお、この駆動輪21に代えて、駆動部としての無限軌道などを用いることもできる。
【0015】
モータ33は、駆動輪21に対応して配置されている。したがって、本実施形態では、このモータ33は、例えば左右一対設けられている。そして、このモータ33は、各駆動輪21を独立して駆動させることが可能となっている。
【0016】
掃除部22は、例えば床面や壁面などの被掃除部の塵埃を除去するものである。この掃除部22は、例えば床面上の塵埃を吸込口31から集めて捕集したり、壁面を拭き掃除したりする機能を有している。この掃除部22は、吸込口31から空気とともに塵埃を吸い込む電動送風機35と、吸込口31に回転可能に取り付けられて塵埃を掻き上げる回転清掃体としての回転ブラシ36およびこの回転ブラシ36を回転駆動させるブラシモータ37と、本体ケース20の前側などの両側に回転可能に取り付けられて塵埃を掻き集める旋回清掃部としての補助掃除手段(補助掃除部)であるサイドブラシ38およびこのサイドブラシ38を駆動させるサイドブラシモータ39との少なくともいずれかを備えていてもよい。また、この掃除部22は、吸込口31と連通して塵埃を溜める集塵部40を備えていてもよい。なお、この掃除部22は、必須の構成ではない。
【0017】
センサ部23は、電気掃除機11(本体ケース20)の走行をサポートする各種の情報をセンシングするものである。より具体的に、このセンサ部23は、例えば床面の凹凸状態(段差)や、走行の障害となる壁あるいは障害物、床面の塵埃量などをセンシングするものである。このセンサ部23は、センサである周囲検出センサ41を備えている。また、このセンサ部23は、例えば赤外線センサや、塵埃量センサ(ごみセンサ)を備えていてもよい。
【0018】
周囲検出センサ41は、本体ケース20の外部の状況、例えば本体ケース20の周囲の形状を検出するものである。この周囲検出センサ41は、撮像手段としてのカメラ51を備えている。また、この周囲検出センサ41は、判定部52を備えている。なお、この周囲検出センサ41は、検出補助手段(検出補助部)としてのランプ53を備えていてもよい。
【0019】
カメラ51は、本体ケース20の走行方向である前方を、それぞれ所定の水平画角(例えば105°など)でデジタルの画像を所定時間毎、例えば数十ミリ秒毎などの微小時間毎、あるいは数秒毎などに撮像するデジタルカメラである。このカメラ51は、単数でも複数でもよい。本実施形態では、カメラ51は、左右一対設けられている。すなわち、このカメラ51は、左右に離間されて本体ケース20の前部に配置されている。また、これらカメラ51,51は、互いの撮像範囲(視野)が重なっている。そのため、これらカメラ51,51により撮像される画像は、その撮像領域が左右方向にラップしている。なお、カメラ51により撮像する画像は、例えば可視光領域のカラー画像や白黒画像でもよいし、赤外線画像でもよい。
【0020】
判定部52は、カメラ51により撮像された画像中から特徴点などを抽出することにより、撮像された画像から本体ケース20の周囲に位置する物体(障害物など)の形状(物体の距離および高さなど)を検出するように構成されている。換言すれば、この判定部52は、カメラ51により撮像された画像に基づいて本体ケース20からの距離を算出した物体が障害物であるかどうかを判定するように構成されている。例えば、この判定部52は、既知の方法を用いて、カメラ51により撮像した画像と、カメラ51間の距離とに基づいて物体(特徴点)の距離(深度)および三次元座標を計算するように構成されている。すなわち、この判定部52は、具体的に、カメラ51,51とこれらカメラ51,51により撮像された画像G,Gの物体O(特徴点SP)との距離f(視差)、および、カメラ51,51間の距離lに基づく三角測量を応用し、カメラ51,51により撮像した各画像G,G中から同一位置を示す画素ドットを検出し、この画素ドットの上下方向、左右方向および前後方向の角度を計算して、これら角度とカメラ51,51間の距離lとからその位置のカメラ51からの距離および高さを計算するとともに物体O(特徴点SP)の三次元座標を算出するように構成されている(
図6)。また、この判定部52は、例えば所定の画像範囲(例えば本体ケース20の幅および高さに対応して設定された画像範囲)中に撮像されている物体の距離を、予め設定された、あるいは可変設定された閾値である設定距離と比較し、この設定距離以下の距離(電気掃除機11(本体ケース20)からの距離)に位置する物体を障害物であると判定するように構成されている。なお、この判定部52は、例えばカメラ51により撮像した生画像のレンズの歪み補正やノイズの除去、コントラスト調整、および画像中心の一致化などの一次画像処理をする画像補正機能を備えていてもよい。また、この判定部52は、制御部25に設けられていてもよい。さらに、カメラ51が単数である場合には、判定部52は、電気掃除機11(本体ケース20)が移動したときに、対象物の座標の移動量から距離を計算することもできる。
【0021】
ランプ53は、カメラ51の撮像範囲を照明することで撮像に必要となる明るさを得るものである。このランプ53は、例えば各カメラ51に対応して設けられている。このランプ53は、例えばLEDなどが用いられる。
【0022】
通信部24は、例えば充電装置12との間で信号を送受信するものである。この通信部24は、充電装置12に対して赤外線通信や無線通信を用いて信号を送信する送信手段である送信部55を備えている。また、この通信部24は、充電装置12からの信号を赤外線通信や無線通信を用いて受信する受信手段である受信部56を備えている。
【0023】
送信部55は、例えば電気掃除機11が充電装置12へと帰還する際に、電気掃除機11を充電装置12へと誘導する誘導信号を充電装置12側から出力するように要求するための要求信号(リクエスト信号)を出力する。
【0024】
制御部25は、例えば制御手段本体(制御部本体)であるCPUやROMおよびRAMなどを備えるマイコンが用いられる。この制御部25は、駆動輪21(モータ33)を駆動させる走行制御手段である走行制御部61を備えている。また、この制御部25は、掃除部22と電気的に接続される掃除制御手段である掃除制御部62を備えている。さらに、この制御部25は、センサ部23と電気的に接続されるセンサ制御手段であるセンサ接続部63を備えている。また、この制御部25は、マッピング手段(マッピング部)としての地図生成部64を備えている。さらに、この制御部25は、通信部24と電気的に接続される通信制御手段である通信制御部65を備えている。すなわち、この制御部25は、掃除部22、センサ部23、および、通信部24などと電気的に接続されている。また、この制御部25は、二次電池26と電気的に接続されている。そして、この制御部25は、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性の地図保持メモリ(記憶手段)であるメモリ67を備えている。また、この制御部25は、二次電池26の充電を制御する充電制御部68を備えている。
【0025】
走行制御部61は、モータ33の駆動を制御する、すなわち、モータ33に流れる電流の大きさおよび向きを制御することにより、モータ33を正転、あるいは逆転させることで、モータ33の駆動を制御し、モータ33の駆動を制御することで駆動輪21の駆動を制御するものである。この走行制御部61は、メモリ67に保持された地図データに基づいて、最適な走行ルートを設定するように構成してもよい。ここで、作成する最適な走行ルートとしては、地図データ中の掃除可能な領域(障害物や段差などの走行不能な領域を除く領域)を最短の走行距離で走行できるルート、例えば電気掃除機11(本体ケース20)が可能な限り直進する(方向転換が最も少ない)ルート、障害物となる物体への接触が少ないルート、あるいは、同じ箇所を重複して走行する回数が最小となるルートなど、効率的に走行(掃除)を行うことができるルートが設定される。また、この走行制御部61は、センサ部23(周囲検出センサ41および赤外線センサ)により検出した障害物に応じて走行ルートを随時変更することもできる。
【0026】
掃除制御部62は、掃除部22の電動送風機35、ブラシモータ37およびサイドブラシモータ39の駆動を制御する、すなわち、電動送風機35、ブラシモータ37、および、サイドブラシモータ39の通電量をそれぞれ別個に制御することで、これら電動送風機35、ブラシモータ37(回転ブラシ36)、および、サイドブラシモータ39(サイドブラシ38)の駆動を制御する。
【0027】
センサ接続部63は、センサ部23(周囲検出センサ41、赤外線センサ、塵埃量センサ)による検出結果を取得するものである。また、このセンサ接続部63は、カメラ51の動作(シャッタ動作など)を制御して所定時間毎にカメラ51により画像を撮像させる撮像制御部やランプ53の動作(ランプ53のオンオフ)を制御する照明制御部の機能を備えていてもよい。
【0028】
地図生成部64は、周囲検出センサ41により検出された本体ケース20の周囲の形状(障害物となる物体の距離および高さ)に基づき掃除領域(走行領域)を走行可能であるかどうかを示す地図(マップ)データを作成するものである。具体的に、この地図生成部64は、カメラ51により撮像した画像中の物体の特徴点の三次元座標に基づき、電気掃除機11の自己位置、および、障害物となる物体の有無を判断するとともに、電気掃除機11(本体ケース20)が配置された掃除領域内に位置する物体(障害物)などの位置関係および高さを記す地図データを作成する。すなわち、この地図生成部64には、既知のSLAM(simultaneous localization and mapping)技術を用いることができる。
【0029】
通信制御部65は、通信部24の駆動を制御することで、充電装置12に対して信号を送受信させるものである。この通信制御部65は、送信部55の動作を制御する送信制御部71を備えている。また、この通信制御部65は、受信部56の動作を制御する受信制御部72を備えている。したがって、電気掃除機11は、送信制御部71を備えている。また、電気掃除機11は、受信制御部72を備えている。
【0030】
メモリ67には、地図生成部64により作成された地図データ、あるいは、外部装置から通信部24を介して受信した地図データなどを保持しておくことができる。
【0031】
充電制御部68は、充電装置12による二次電池26の充電を制御するものである。この充電制御部68は、充電装置12に設けられていてもよい。
【0032】
なお、走行制御部61、掃除制御部62、センサ接続部63、地図生成部64、通信制御部65(送信制御部71、受信制御部72)、メモリ67、および、充電制御部68は、本実施形態においてそれぞれ制御部25に一体的に備えられる構成としたが、互いに別個に電気掃除機11に備えられていてもよいし、それぞれの少なくともいずれかが任意に組み合わせされて一体的に構成されていてもよい。
【0033】
二次電池26は、掃除部22、センサ部23、通信部24、および、制御部25などに給電するものである。また、この二次電池26は、例えば本体ケース20の下部などに露出する接続部としての充電端子74(
図3)と電気的に接続されており、これら充電端子74(
図3)が充電装置12側と電気的および機械的に接続されることで、この充電装置12を介して充電されるようになっている。
【0034】
また、
図1、
図2および
図5に示す充電装置12は、本実施形態では、電気掃除機11の掃除(自律走行)の開始点、あるいは終了点となる基地装置である。この充電装置12は、装置本体であるケース体76を備えている。また、この充電装置12は、外部電源と接続される接続部である電源部77を備えている。また、この充電装置12は、検出手段としての電源検出部78を備えている。さらに、この充電装置12は、持ち上げセンサ79を備えている。また、この充電装置12は、装置側通信手段である装置通信部80を備えている。さらに、この充電装置12は、伝達手段としての衝突防止信号出力部81を備えている。また、この充電装置12は、二次電池26の充電用の充電手段としての充電回路82を備えている。さらに、この充電装置12は、二次電池26の充電用の充電用端子83を備えている。そして、この充電装置12は、充電装置制御手段としての装置制御部84を備えている。
【0035】
電源部77は、外部電源から電力を取り、持ち上げセンサ79、装置通信部80、充電回路82、および、装置制御部84などに電源を供給するものである。この電源部77は、本実施形態では、商用交流電源などの図示しない外部電源から給電するための電源コードを備えたコードリール装置が用いられる。
【0036】
電源検出部78は、外部電源と電源部77との接続の有無を検出するものである。本実施形態において、電源検出部78は、電源部77に対する外部電源からの電力供給の有無を検出するものである。
【0037】
持ち上げセンサ79は、充電装置12(ケース体76)の持ち上げを検出するものである。この持ち上げセンサ79としては、例えば加速度センサやジャイロセンサなどが用いられる。
【0038】
装置通信部80は、電気掃除機11の通信部24との間で信号を送受信するものである。具体的に、この装置通信部80は、伝達手段(伝達部)としての装置送信手段である装置送信部86を備えている。また、この装置通信部80は、装置受信手段である装置受信部87を備えている。したがって、充電装置12は、装置送信部86を備えている。また、充電装置12は、装置受信部87を備えている。
【0039】
装置送信部86は、電気掃除機11の受信部56に対して赤外線通信や無線通信を用いて信号を送信するものである。本実施形態では、例えばこの装置送信部86は、電気掃除機11(本体ケース20)を充電装置12へとガイドするための誘導信号(ガイドビーコン)を出力するようになっている。
【0040】
装置受信部87は、電気掃除機11の送信部55から送信された信号を受信するものである。
【0041】
衝突防止信号出力部81は、電気掃除機11が自律走行の際に充電装置12(ケース体76)と衝突しないように、電気掃除機11の自律走行中に充電装置12(ケース体76)を囲む所定の範囲に赤外線信号などの衝突防止信号を出力するものである。すなわち、衝突防止信号を電気掃除機11の受信部56が受信すると、走行制御部61が、電気掃除機11(本体ケース20)がそれ以上充電装置12側に接近しないよう走行制御するようになっている。
【0042】
充電回路82は、例えば定電流回路などの既知の回路が用いられる。
【0043】
充電用端子83は、充電回路82と電気的に接続されており、充電装置12に帰還した電気掃除機11の充電端子74(
図3)と機械的および電気的に接続されるようになっている。
【0044】
装置制御部84は、例えば装置制御手段本体(装置制御部本体)であるCPUやROMおよびRAMなどを備えるマイコンが用いられる。この装置制御部84は、電源部77と電気的に接続されている。また、この装置制御部84は、装置通信部80と電気的に接続される装置通信制御手段である装置通信制御部91を備えている。また、この装置制御部84は、衝突防止信号出力部81と電気的に接続される出力制御部92を備えていてもよい。そして、この装置制御部84は、装置メモリ93を備えている。
【0045】
装置通信制御部91は、装置通信部80の駆動を制御することで、充電装置12に対して信号を送受信させるものである。この装置通信制御部91は、装置送信部86の動作を制御する装置送信制御部95を備えている。また、この装置通信制御部91は、装置受信部87の動作を制御する装置受信制御部96を備えている。したがって、充電装置12は、装置送信制御部95を備えている。また、充電装置12は、装置受信制御部96を備えている。
【0046】
装置送信制御部95は、電源検出部78、持ち上げセンサ79、および、装置メモリ93と電気的に接続されている。
【0047】
出力制御部92は、衝突防止信号出力部81の動作を制御するものである。この出力制御部92は、電源検出部78、持ち上げセンサ79、および、装置メモリ93と電気的に接続されている。
【0048】
装置メモリ93は、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性のメモリである。この装置メモリ93は、地図情報保持フラグを有している。また、この装置メモリ93は、走行処理中フラグを有している。
【0049】
地図情報保持フラグは、電源部77の外部電源への接続を電源検出部78により検出したとき、又は、持ち上げセンサ79により充電装置12(ケース体76)の持ち上げを検出したときに、初期化されてFALSEとなる。
【0050】
走行処理中フラグは、電源部77の外部電源への接続を電源検出部78により検出したとき、又は、持ち上げセンサ79により充電装置12(ケース体76)の持ち上げを検出したときに、初期化されてFALSEとなり、電気掃除機11が充電装置12から掃除(走行)を開始したときにTRUE、電気掃除機11が充電装置12に帰還したときにFALSEとなる。すなわち、この走行処理中フラグは、充電装置12に対する電気掃除機11の着脱に応じてFALSEとTRUEとが入れ替わる。
【0051】
なお、装置通信制御部91(装置送信制御部95、装置受信制御部96)、出力制御部92、および、装置メモリ93は、本実施形態においてそれぞれ装置制御部84に一体的に備えられる構成としたが、互いに別個に充電装置12に備えられていてもよいし、それぞれの少なくともいずれかが任意に組み合わせされて一体的に構成されていてもよい。
【0052】
外部装置は、建物の内部では例えばホームゲートウェイを介してネットワークに対して有線あるいは無線通信可能であるとともに、建物の外部ではネットワークに対して有線あるいは無線通信可能な、例えばPC(タブレット端末(タブレットPC))やスマートフォン(携帯電話)などの汎用のデバイスである。この外部装置は、画像を表示する表示機能を有していてもよい。
【0053】
次に、上記一実施形態の動作を説明する。
【0054】
一般に、電気掃除装置13は、電気掃除機11によって掃除をする掃除作業と、充電装置によって二次電池26を充電する充電作業とに大別される。充電作業は、充電装置12に内蔵された充電回路82を用いる既知の方法が用いられるため、掃除作業についてのみ説明する。また、外部装置などからの指令に応じてカメラ51により所定の対象物を撮像する撮像作業を別途備えていてもよい。
【0055】
まず、掃除(走行)の開始から終了までの概略を説明する。
【0056】
電気掃除機11が充電装置12から掃除(走行)を開始する場合、メモリ67に地図データが保持されていないときには、電気掃除機11は地図生成部64によって自ら地図データを作成してメモリ67に保持、あるいは、外部装置などから地図データが入力されてメモリ67に保持されるのを待機し、新たな地図データに基づいて自律走行しつつ、掃除部22により掃除する。なお、地図生成部64により地図データを作成する場合には、地図データを作成しながら掃除部22により掃除をすることもできる。
【0057】
また、メモリ67に地図データが保持されている場合、地図データをそのまま使用して走行制御するか、地図データを変更して走行制御するかを走行制御部61が判断し、変更しないと判断した場合には、メモリ67に保持された地図データをそのまま用い、変更すると判断した場合には、走行制御部61が、走行制御用の地図データを変更して、地図データに基づいて電気掃除機11が自律走行しつつ、掃除部22により掃除する。
【0058】
すなわち、前回の掃除と同じ掃除領域を掃除するのであれば、基本的にその地図データをそのまま使用して走行制御することが可能であるのに対して、例えば前回掃除をした掃除領域と異なる掃除領域へと電気掃除装置13(充電装置12)が移設されている場合などには、そのまま地図データを使用することができない。充電装置12を異なる掃除領域へと移設する場合、使用者は通常充電装置12の電源部77を外部電源から外したり、充電装置12を持ち上げたりすることから、これらのいずれかの場合には、充電装置12が移設された可能性が高いと想定される。そのため、本実施形態では、走行制御部61は、地図データを変更するか否かを、外部電源と電源部77との接続が一旦遮断されたことを電源検出部78が検出したか否か、又は、充電装置12が持ち上げられたことを持ち上げセンサ79が検出したか否かに基づき判断する。すなわち、充電装置12が、外部電源と電源部77との接続が一旦遮断されたことを電源検出部78が検出したとき、又は、充電装置12が持ち上げられたことを持ち上げセンサ79が検出したときに、この検出を電気掃除機11に伝達し、この伝達された情報に基づいて、走行制御部61が、走行制御用の地図データの変更が必要か否かを判断する。この判断は、電源検出部78又は持ち上げセンサ79による検出の後の任意のタイミングで実施可能であり、例えば掃除の開始時に実施してもよいし、掃除の終了時に次回の掃除用に実施してもよい。
【0059】
なお、電気掃除機11が充電装置12と異なる位置から掃除(走行)を開始する場合、電気掃除機11は、まず、充電装置12への帰還を試みる。この充電装置12への帰還の際には、電気掃除機11の送信制御部71が送信部55の動作を制御して要求信号を出力し、充電装置12が装置受信部87により要求信号を受信すると、装置送信制御部95が装置送信部86の動作を制御して誘導信号を出力する。電気掃除機11は、受信部56により誘導信号を受信しつつ走行することで、充電装置12へと帰還することが可能になる。そして、電気掃除機11は、充電装置12に接続されると、上記の充電装置12から掃除を開始する場合と同様の制御を行う。
【0060】
すべての掃除領域の掃除が終了すると、電気掃除機11は、充電装置12へと帰還し、充電装置12に接続されると二次電池26の充電作業に移行する。
【0061】
充電装置12から掃除(走行)を開始する際の上記の制御をより具体的に説明する。電気掃除機11は、例えば予め設定された掃除開始時刻となったときや、リモコン又は外部装置によって送信された掃除開始の制御コマンドを入出力部によって受信したとき、あるいは電源が投入されたときなどのタイミングで、制御部25が待機状態から走行モード(掃除モード)に切り換わる。次いで、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して、電気掃除機11(本体ケース20)を充電装置12に対して離脱させる。
【0062】
そして、メモリ67に掃除領域の地図データが保持されていない場合には、使用者が外部装置により地図データを入力する、又は、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御することで本体ケース20を自律走行させつつセンサ部23(周囲検出センサ41)により取得した電気掃除機11(本体ケース20)の周囲の情報に基づいて地図生成部64により地図データを作成する。この地図データの作成時には、掃除制御部62が掃除部22を動作させて掃除をしてもよい。
【0063】
一方、メモリ67に掃除領域の地図データが保持されている場合には、走行制御部61は、充電装置12から非定常状態を示す非定常状態信号が出力され、その非定常状態信号を受信部56により受信したか否かに基づき、地図データをそのまま使用するか、地図データを変更するかを決定する。すなわち、非定常状態信号は、電気掃除機11に対して地図データの変更を指示する変更指示信号となっている。ここで、非定常状態とは、電源検出部78により充電装置12の電源部77と外部電源との接続が遮断されたことを検出したとき、あるいは、持ち上げセンサ79により充電装置12が持ち上げられたことを検出したときをいう。非定常状態信号としては、任意の信号を用いることができるが、伝える情報が1ビット分でよいため、電気掃除機11の充電装置12からの離脱、自律走行、あるいは充電装置12への帰還などに用いられる信号を利用し、その信号が受信したタイミングにおいて不要な情報であるか否かで判断することが可能である。例えば、非定常状態信号としては、衝突防止信号出力部81から出力する衝突防止信号、又は、装置送信部86から出力する誘導信号を利用することができる。すなわち、衝突防止信号は、通常、電気掃除機11が自律走行を開始した後に衝突防止信号出力部81から出力されるものであり、誘導信号は、通常、電気掃除機11が自律走行を終了して充電装置12に帰還するために送信部55から出力された要求信号を装置受信部87で受信した後に装置送信部86から出力されるものであって、それぞれ充電装置12から離脱するタイミングでは通常出力されない不要な情報であることから、充電装置12から電気掃除機11が離脱するときに受信部56にてこれらの信号のいずれかを受信した場合、電気掃除機11側(走行制御部61)では、これらの信号が非定常状態信号であると判断できることとなる。
【0064】
ここで、非定常状態信号の出力制御について、より詳細に説明する。これらの制御には、充電装置12の装置メモリ93の各フラグを用いる。すなわち、充電装置12の装置メモリ93に設定された走行処理中フラグと地図情報保持フラグとを用い、電気掃除機11が充電装置12に帰還したときの走行処理実行中フラグに応じて地図情報保持フラグを切り換えることで、この地図情報保持フラグに基づいて非定常状態信号を出力するか否かを決定する。具体的に、電気掃除機11が充電装置12から掃除を開始し、かつ、充電装置12に自立的に帰還した場合、電気掃除機11は、送信制御部71が送信部55を制御して、地図情報保持可能信号を充電装置12に送信する。この地図情報保持可能信号としては、任意の信号を用いることができるが、伝える情報が1ビット分でよいため、電気掃除機11の充電装置12からの離脱、自律走行、あるいは充電装置12への帰還などに用いられる信号を利用し、その信号が受信したタイミングにおいて不要な情報であるか否かで判断することが可能である。例えば、地図情報保持可能信号としては、送信部55から出力する要求信号を利用することができる。すなわち、要求信号は、通常、電気掃除機11が掃除を終了する際に充電装置12に帰還するために充電装置12から誘導信号を出力することを要求するために出力されるものであり、充電装置12に接続されるタイミングでは通常出力されない不要な情報であることから、充電装置12に電気掃除機11が接続されるとき、又は接続されたときに装置受信部87にてこの要求信号を受信した場合、充電装置12側では、この要求信号が地図情報保持可能信号であると判断できることとなる。
【0065】
そして、充電装置12側では、装置受信部87により地図情報保持可能信号(例えば要求信号)を受信すると、装置メモリ93の走行処理実行中フラグを参照する。走行処理実行中フラグは、電気掃除機11が充電装置12から掃除を開始したときにTRUEとなり、電源検出部78により電源部77と外部電源との接続の遮断を検出した場合、あるいは持ち上げセンサ79により充電装置12の持ち上げを検出した場合に、初期化されてFALSEとなることから、地図情報保持可能信号を装置受信部87により受信したときに走行処理実行中フラグがTRUEである場合には、走行処理中に充電装置12の電源部77と外部電源とが遮断されていない、又は、走行処理中に充電装置12が持ち上げられていないと想定されるため、装置メモリ93の地図情報保持フラグがTRUEに切り換わり、それ以外の場合には、装置メモリ93の地図情報保持フラグがFALSEとなる。そして、充電装置12では、この装置メモリ93の地図情報保持フラグがFALSEである場合に、電気掃除機11が掃除を開始するために充電装置12から離脱するとき(離脱した直後)に、非定常状態信号(例えば衝突防止信号又は誘導信号)を出力し、装置メモリ93の地図情報保持フラグがTRUEである場合に、非定常状態信号を出力しないように制御する。
【0066】
そして、電気掃除機11では、受信部56により非定常状態信号を受信すると、メモリ67に保持されている地図データの中から、例えば周囲検出センサ41による周囲の検出に基づいて、あるいは、地図データの利用履歴に基づいて、必要な地図データを検索して選択するか、メモリ67に保持されている地図データを破棄して新たに周囲検出センサ41の検出に基づき地図生成部64によって地図データを作成してメモリ67に保持させるか、メモリ67に保持されている地図データをそのまま残し、新たに周囲検出センサ41の検出に基づき地図生成部64によって地図データを作成してメモリ67に追加して保持させるかのいずれかを実行することで、走行制御部61が走行制御に用いるための地図データを変更する。
【0067】
ここで、周囲検出センサ41による周囲の検出は、電気掃除機11が充電装置12の位置にある状態で行ってもよいし、電気掃除機11を充電装置12から一旦離脱させて行ってもよい。本実施形態では、カメラ51により撮像された画像により周囲検出センサ41によって周囲の状況を検出し、撮像された画像を中の特徴点などを、メモリ67などに予め記憶されている掃除領域(走行領域)の特徴点と比較することなどにより、判定部52により電気掃除機11や充電装置12が移設されたか否かを判断する。そして、電気掃除機11又は充電装置12が移設されたと判断した場合には、どの掃除領域(走行領域)に移設されたかを判断し、対応する掃除領域(走行領域)の地図データがメモリ67に予め記憶されていれば、走行制御部61が地図データをその地図データに変更し、対応する掃除領域(走行領域)の地図データがメモリ67に記憶されていなければ、メモリ67の容量又は残容量に応じて、メモリ67に保持されている地図データを破棄して新たに周囲検出センサ41の検出に基づき地図生成部64によって地図データを作成してメモリ67に保持させるか、メモリ67に保持されている地図データをそのまま残し、新たに周囲検出センサ41の検出に基づき地図生成部64によって地図データを作成してメモリ67に追加して保持させるかのいずれかの処理を実行する。一方、電気掃除機11又は充電装置12が移設されていないと判断した場合には、地図データを変更しなくてもよい。
【0068】
この後、地図データに基づき、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御することで本体ケース20を設定した走行ルートに沿って自律走行させつつ、掃除制御部62が掃除部22を動作させて掃除領域の床面を掃除する。掃除部22では、例えば制御部25(掃除制御部62)により駆動された電動送風機35、ブラシモータ37(回転ブラシ36)、あるいはサイドブラシモータ39(サイドブラシ38)により床面の塵埃を、吸込口31を介して集塵部40へと捕集する。また、電気掃除機11は、自律走行の際、センサ部23の周囲検出センサ41や赤外線センサにより地図データに記されていない障害物などの物体の三次元座標や位置を検出すると、地図生成部64が地図データに反映させ、メモリ67に保持することもできる。
【0069】
電気掃除機11(本体ケース20)は、走行ルートの走行および掃除を完了すると、掃除動作を終了し、電気掃除機11は、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して充電装置12に帰還する。このとき、電気掃除機11は、通信制御部65(送信制御部71)が通信部24(送信部55)の動作を制御して帰還信号の要求信号を出力し、この要求信号を装置通信部80(装置受信部87)により受信した充電装置12が、装置通信部80(装置送信部86)により誘導信号を出力する。電気掃除機11では、誘導信号を受信部56により受信しつつ走行するように走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御することで充電装置12へと順次接近し、衝突防止信号と誘導信号とが交差する位置で前後の向きを反転した後、充電装置12と接続(充電端子74と充電用端子83とを機械的および電気的に接続)する。この後、この接続後直ちに、あるいは接続から所定時間後など、所定のタイミングで充電動作に移行することができる。
【0070】
掃除(走行)開始から掃除終了までの制御を、
図7に示すフローチャートも参照しながら説明する。まず、掃除(走行)を開始すると、電気掃除機11は、充電装置12に接続されているか否かを判断する(ステップS1)。この判断は、例えば充電端子74と充電用端子83との間での通電の可否により可能となる。このステップS1において、充電装置12に接続されていないと判断した場合には、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して電気掃除機11(本体ケース20)を充電装置12に自律的に帰還させて接続させ(ステップS2)、ステップS3に進む。また、ステップS1において、充電装置12に接続されていると判断した場合には、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して電気掃除機11(本体ケース20)を充電装置12から離脱させ(ステップS3)、充電装置12が、装置メモリ93の地図情報保持フラグがTRUEであるか否かを判断する(ステップS4)。このステップS4において、地図情報保持フラグがTRUEでない(FALSEである)と判断した場合には、充電装置12(衝突防止信号出力部81、又は、装置送信部86)が非定常状態信号(衝突防止信号、又は、誘導信号)を出力し(ステップS5)、この非定常状態信号を受信部56により受信した電気掃除機11は、地図データを新規作成、又は地図データを入力し(ステップS6)、ステップS7に進む。また、ステップS4において、地図情報保持フラグがTRUEであると判断した場合には、電気掃除機11は、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して自律走行しつつ、掃除制御部62が掃除部22を駆動させて掃除をする(ステップS7)。さらに、電気掃除機11(走行制御部61)は、掃除が終了したか否か(地図データに基づいて設定した走行ルートを完走したか否か)を判断する(ステップS8)。このステップS8において、掃除が終了していないと判断した場合には、ステップS7に進む。また、ステップS8において、掃除が終了したと判断した場合には、電気掃除機11が充電装置12に帰還して接続し、送信制御部71が送信部55の動作を制御して地図保持可能信号(要求信号)を出力する(ステップS9)。次いで、充電装置12は、装置受信部87により地図保持可能信号を受信すると、装置メモリ93の走行処理中フラグがTRUEであるか否かを判断する(ステップS10)。このステップS10において、走行処理中フラグがTRUEであると判断した場合には、地図情報保持フラグがTRUEとなり(ステップS11)、掃除処理を終了する。また、ステップS10において、走行処理中フラグがTRUEでない(FALSEである)と判断した場合には、地図情報保持フラグがFALSEとなり(ステップS12)、掃除処理を終了する。
【0071】
上述したように、上記第1の実施形態によれば、充電装置12が、非定常状態であると判断したときに電気掃除機11の走行制御部61による地図データの変更を指示する非定常状態信号を出力し、電気掃除機11が、この非定常状態信号を受信部56により受信したときに走行制御部61が自律走行用の地図データを変更するので、例えば充電装置12を異なる掃除領域(走行領域)に移設した場合などでも、電気掃除機11が適切な地図データに基づいて自律走行可能となる。
【0072】
具体的に、充電装置12の装置メモリ93に設定された走行処理中フラグと地図情報保持フラグとを用い、電気掃除機11が充電装置12に帰還したときの走行処理実行中フラグがTRUEである場合には地図情報保持フラグをTRUEとし、それ以外の場合には地図情報保持フラグをFALSEとして、地図情報保持フラグがFALSEの場合にのみ充電装置12から非定常状態信号を出力することで、走行制御部61が用いる地図データの変更の要否を簡単な構成で実現できる。
【0073】
すなわち、非定常状態信号は、地図データを変更することを指示する1ビット分の情報を伝達する信号に過ぎないため、電気掃除機11と充電装置12との間で、非定常状態信号などの送受信をする構成として、電気掃除機11と充電装置12とに予め備えられた受信部56や衝突防止信号出力部81、装置送信部86などの構成をそのまま使用でき、例えば新たなIRコードや無線通信機能を電気掃除機11や充電装置12に別途備える必要がなく、必要な機能を備えつつ製造コストの上昇を回避できる。
【0074】
次に、第2の実施形態を、
図8ないし
図10を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0075】
この第2の実施形態は、上記第1の実施形態において、走行制御部61が、充電装置12から非定常状態であることが伝達されたときに、この伝達された情報に基づき電気掃除機11(本体ケース20)を自律走行させるための地図データの変更の要否を判断するものである。
【0076】
すなわち、電気掃除機11は、揮発性、又は不揮発性の保持メモリ98を備えている。この保持メモリ98は、充電装置12に帰還した回数をカウントする帰還回数カウンタを有している。また、この保持メモリ98は、地図情報保持フラグを有している。帰還回数カウンタは、電気掃除機11の製造時、又は主電源のオフ時に0であり、電気掃除機11が充電装置12に帰還する度に1増加させるが、桁あふれ防止のために、所定の上限値に達している場合には1とする。また、地図情報保持フラグは、電気掃除機11の製造時、あるいは主電源のオフ時にFALSEに初期化される。
【0077】
また、充電装置12は、例えば揮発性の装置保持メモリ99を備えている。この装置保持メモリ99は、充電装置12に電気掃除機11が帰還した回数をカウントする帰還回数カウンタを有している。この帰還回数カウンタは、電源部77の外部電源への接続を電源検出部78により検出したとき、又は、持ち上げセンサ79により充電装置12(ケース体76)の持ち上げを検出したときに、初期化されて0となり、電気掃除機11が充電装置12に帰還する度に1増加させるが、桁あふれ防止のために、所定の上限値に達している場合には1とする。この上限値は、電気掃除機11の帰還回数カウンタの上限値と同一とする。
【0078】
なお、電気掃除機11が充電装置12から掃除(走行)を開始した場合に限らず、充電装置12と異なる位置から掃除(走行)を開始した場合でも、充電装置12に帰還した場合に各帰還回数カウンタは1増加させてもよい。
【0079】
そして、電気掃除機11が掃除を完了して充電装置12に帰還し、充電装置12に接続されると、電気掃除機11および充電装置12は、それぞれ帰還回数カウンタを変更した後、互いに自身の帰還回数カウンタを送信し、自他のカウンタ値を比較する。そして、カウンタ値が互いに異なる場合は、ともに帰還回数カウンタを0に変更し、電気掃除機11の保持メモリ98の地図情報保持フラグがFALSEに切り換わる。すなわち、電気掃除機11と充電装置12とは、保持メモリ98および装置保持メモリ99が有する、電気掃除機11の充電装置12への帰還回数をカウントする帰還回数カウンタを用い、装置保持メモリ99の帰還回数カウンタが、電源部77の外部電源への接続を電源検出部78により検出したとき、又は、持ち上げセンサ79により充電装置12(ケース体76)の持ち上げを検出したときに0となることを利用して、帰還回数カウンタの一致・不一致に基づいて充電装置12が非定常状態となったか否かを判断し、この判断に基づいて地図情報保持フラグを切り換える。言い換えると、充電装置12が非定常状態でない限り、これら帰還回数カウンタは互いに一致するものであるから、互いに帰還回数カウンタを送受信して一致・不一致を判断することにより、電気掃除機11は、充電装置12が非定常状態であるか否かを察知することができる。
【0080】
また、電気掃除機11は、充電装置12から掃除(走行)を開始する際に、地図情報保持フラグがFALSEであれば地図データを新規作成し、作成が完了したら地図情報保持フラグをTRUEに切り換える。一方、電気掃除機11は、充電装置12から掃除(走行)を開始する際に、地図情報保持フラグがTRUEであれば地図データを新たに作成せず、メモリに記憶された地図データを用いて走行処理を開始する。
【0081】
上記の制御を、
図10に示すフローチャートも参照しながら説明する。まず、掃除を開始すると、
図7に示すフローチャートのステップS1ないしステップS3の処理の後、電気掃除機11が、保持メモリ98の地図情報保持フラグがTRUEであるか否かを判断する(ステップS15)。このステップS15において、地図情報保持フラグがTRUEでない(FALSEである)と判断した場合には、電気掃除機11は、地図データを新規作成、又は地図データを入力し(ステップS16)、ステップS17に進む。また、ステップS15において、地図情報保持フラグがTRUEであると判断した場合には、電気掃除機11は、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して自律走行しつつ、掃除制御部62が掃除部22を駆動させて掃除をする(ステップS17)。さらに、電気掃除機11(走行制御部61)は、掃除が終了したか否か(地図データに基づいて設定した走行ルートを完走したか否か)を判断する(ステップS18)。このステップS18において、掃除が終了していないと判断した場合には、ステップS17に進む。また、ステップS18において、掃除が終了したと判断した場合には、電気掃除機11が充電装置12に帰還して接続し、各帰還回数カウンタを1加算する(ステップS19)。このとき、各帰還回数カウンタが上限値を超える場合には、各帰還回数カウンタをそれぞれ1に設定する。次いで、電気掃除機11の送信制御部71が送信部55の動作を制御、又は、充電装置12の装置送信制御部95が装置送信部86の動作を制御して、帰還回数カウンタ値を送信して装置受信部87、又は、受信部56により受信し、これら各帰還回数カウンタ値を互いに照合して、これらカウンタ値が同一であるか否かを判断する(ステップS20)。このステップS20において、カウンタ値が同一であると判断した場合には、保持メモリ98の地図情報保持フラグがTRUEを維持し(ステップS21)、掃除処理を終了する。また、ステップS20において、カウンタ値が同一でない又は異なっていると判断した場合には、電気掃除機11の送信制御部71が送信部55の動作を制御、又は、充電装置12の装置送信制御部95が装置送信部86の動作を制御して、帰還回数カウンタ値のリセットを伝達することで、各帰還回数カウンタが0となるとともに、保持メモリ98の地図情報保持フラグがFALSEに切り換わり(ステップS22)、掃除処理を終了する。
【0082】
このように、走行制御部61が、充電装置12が非定常状態となったか否かを示す情報を受信部56により受信すると、この情報に基づき電気掃除機11(本体ケース20)を自律走行させるための地図データの変更の要否を判断するので、例えば充電装置12を異なる掃除領域(走行領域)に移設した場合などでも、電気掃除機11が適切な地図データに基づいて自律走行可能となる。
【0083】
具体的に、電気掃除機11と充電装置12とは、保持メモリ98および装置保持メモリ99が有する帰還回数カウンタを用い、充電装置12が非定常状態でない限り本来一致するこれら帰還回数カウンタ値を互いに照合して、これらが一致する場合に地図情報保持フラグをTRUEとし、一致しない場合には地図情報保持フラグをFALSEとして、地図情報保持フラグがFALSEの場合に走行制御部61が地図データを変更することで、走行制御部61が用いる地図データの変更の要否を簡単な構成で実現できる。
【0084】
なお、帰還回数カウンタの値にも依存するが、本実施形態の場合、地図データの変更の要否を判断するために概ね4~8ビット程度の送受信が必要と考えられる。この場合、例えばIRコードやWi-Fi、Bluetooth(登録商標)などの通信機能が別の製品要求により電気掃除機11(通信部24(送信部55、受信部56))、あるいは充電装置12(装置通信部80(装置送信部86、装置受信部87))に予め備えられていれば、別途の構成を備える必要がなく、必要な機能を備えつつ製造コストの上昇を回避できるとともに、例えば走行処理中に充電装置12の電源を再投入した場合、あるいは、充電装置12を移設した後に電気掃除機11を充電装置12に手で戻す場合など、条件が複雑な場合も含めて、地図データの変更の要否を判断できる。
【0085】
なお、上記各実施形態において、電気掃除機11は、充電装置12に非接続の状態から自律走行を開始、すなわち充電装置12と異なる位置から自律走行を開始した場合に、充電装置12に一旦帰還しても帰還しなくてもよく、また、充電装置12と異なる位置から自律走行を開始した場合には、走行制御部61が電気掃除機11(本体ケース20)を自律走行させるための地図データを変更するように構成してもよい。この場合には、例えば電気掃除機11のみを前回の掃除領域とは異なる掃除領域に移設して掃除を開始した場合などに、適切な地図データを作成して、その地図データに基づいて電気掃除機11が自律走行可能となる。
【0086】
さらに、充電装置12は、電源検出部78と持ち上げセンサ79との一方のみを備える構成とすることもできる。
【0087】
また、充電装置12は、電気掃除機11に対して着脱可能に接続される充電アダプタなどとすることもできる。この場合、電気掃除機11は、例えば自律走行の後に充電アダプタに帰還しない、又は、充電アダプタの近傍に帰還し、使用者が充電アダプタを電気掃除機11に接続して二次電池26を充電するものとする。また、掃除(自律走行)の開始の際には、例えば使用者が充電アダプタを電気掃除機11から取り外して開始を命令する、又は、充電アダプタとの接続端子を磁石化することで命令に応じて自律的に開始させる。充電アダプタを使用者が着脱する場合には、例えば充電アダプタが衝突防止信号出力部81から出力した衝突防止信号を電気掃除機11が受信部により受信したタイミング、あるいは充電アダプタを取り外してから所定時間が経過するより前のタイミングを走行処理の開始とすることで、上記各実施形態のように充電装置12から離脱して走行(掃除)を開始したときと同様の制御が可能となる。そして、この場合には、充電アダプタを複数用意し、例えば電気掃除機11が接続されたアダプタに応じて、メモリ67に保持された地図データから適合する地図データを選択するようにすることもできる。すなわち、アダプタ毎に一意の識別番号(ID)を設定し、電気掃除機11では、アダプタの識別番号とメモリ67に保持された複数の地図データのそれぞれとをマッチングする情報を保持し、接続されたアダプタの識別番号を取得したときに、その識別番号に対応する地図データを選択することも可能である。この場合には、複数の掃除領域に複数の充電アダプタを設置する環境での使用が可能になり、例えば電気掃除機11に複数の掃除領域を順番に掃除させる場合なども、地図データを保持したまま掃除することが可能になる。
【0088】
さらに、自律走行体としては、電気掃除機11としたが、掃除部22を備えない見守りロボットなどの自律走行体などでも同様に対応できる。
【0089】
また、周囲検出センサ41は、カメラを備えるものに限られず、赤外線や超音波などの非接触センサや、接触センサなど、任意のセンサを用いてよい。
【0090】
充電装置12に充電回路82を備える構成としたが、充電回路82は電気掃除機11にあってもよい。つまり、基地装置としては、充電機能を備える充電装置12に限られず、単に電気掃除機11が自律走行を開始する際の基点となる基地装置でもよい。また、上記各実施形態では外部電源に接続される電源部77に対し、外部電源から電源を取る構成としているが、単に外部電源を中継するための接続部を基地装置に設け、その接続部と外部電源との接続の有無を検出手段により検出してもよい。
【0091】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、走行制御部61が、電気掃除機11が充電装置12から自律走行を開始する際、電源検出部78により電源部77と外部電源との接続が遮断されたことを検出した非定常状態となった後に、電気掃除機11(本体ケース20)を自律走行させるための地図データを変更することにより、地図データを不必要に変更せずに、例えば電源部77をコンセントなどから引き抜いて電気掃除装置13を異なる掃除領域に移設した場合であっても、電気掃除機11が適切な地図データに基づいて自律走行可能な電気掃除装置13を提供できる。
【0092】
又は、走行制御部61は、電気掃除機11が充電装置12から自律走行を開始する際、持ち上げセンサ79により充電装置12の持ち上げを検出した非定常状態となった後に、電気掃除機11(本体ケース20)を自律走行させるための地図データを変更することにより、地図データを不必要に変更せずに、例えば充電装置12を持ち運ぶなどして電気掃除装置13を異なる掃除領域に移設した場合であっても、電気掃除機11が適切な地図データに基づいて自律走行可能な電気掃除装置13を提供できる。
【0093】
また、周囲検出センサ41による検出に基づき地図データを作成する地図生成部64を備え、走行制御部61により地図データを変更する際、メモリ67に保持された地図データを破棄し、地図生成部64により新たな地図データを作成する場合には、必要最小限の地図データのみメモリ67に保持しておくことができ、メモリ67の容量を抑制できるので、小型化および低コスト化が可能になり、かつ、適切な地図データを走行制御に用いることができるとともに、地図データの変更が必要ないと判断したときには地図生成部64により地図データを作成しないので、不必要な地図作成処理を省略し、目的地点への移動や掃除など、本来所望する処理に対して、動作可能時間に制約がある二次電池26の電力を効率よく使用することができる。
【0094】
また、周囲検出センサ41による検出に基づき地図データを作成する地図生成部64を備え、走行制御部61により地図データを変更する際、地図生成部64により新たな地図データを作成して、メモリ67に保持された地図データに追加する場合には、新規の地図データを作成しても、以前に保持された地図データが残るため、これらの地図データを必要に応じて選択するようにすることで、一旦作成した地図データを有効利用でき、かつ、適切な地図データを走行制御に用いることができるとともに、地図データの変更が必要ないと判断したときには地図生成部64により地図データを作成しないので、不必要な地図作成処理を省略し、目的地点への移動や掃除など、本来所望する処理に対して、動作可能時間に制約がある二次電池26の電力を効率よく使用することができる。なお、この地図データの追加の際には、メモリ67の容量が不足しないように、例えば地図データの最終利用時刻などのメタデータを保持し、利用頻度が少ない地図データや最後に利用されてから最も時間が経過した地図データなどを必要に応じて破棄するようにしてもよい。
【0095】
また、走行制御部61により地図データを変更する際、メモリ67に保持された地図データから適合する地図データを選択する場合には、周囲検出センサ41や地図生成部64など、新たな地図データを作成する構成が不要となり、電気掃除機11をより低コスト化しつつ、適切な地図データを走行制御に用いることができる。なお、地図データ中に適合する地図データが見つからない場合には、新規で地図データを作成・追加することもできる。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲をこれらの実施形態に限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
11 自律走行体としての電気掃除機
12 基地装置である充電装置
13 自律走行体装置としての電気掃除装置
41 センサである周囲検出センサ
56 受信手段である受信部
61 走行制御手段である走行制御部
64 マッピング手段としての地図生成部
67 地図保持メモリであるメモリ
77 接続部である電源部
78 検出手段としての電源検出部
79 持ち上げセンサ
81 伝達手段としての衝突防止信号出力部
86 伝達手段としての装置送信部