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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】車両の走行状況データ収集システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230614BHJP
   G06Q 30/0201 20230101ALI20230614BHJP
   G06Q 30/0217 20230101ALI20230614BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/0201
G06Q30/0217
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019058088
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020160676
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100100103
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100173163
【弁理士】
【氏名又は名称】石塚 信洋
(74)【代理人】
【識別番号】100134522
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 朝子
(74)【代理人】
【識別番号】100135024
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 敢
(72)【発明者】
【氏名】竹林 洋亮
(72)【発明者】
【氏名】澄川 瑠一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 朋之
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-44058(JP,A)
【文献】特開2013-37457(JP,A)
【文献】特表2011-517794(JP,A)
【文献】特開2016-58044(JP,A)
【文献】特開2002-150343(JP,A)
【文献】特開2003-279358(JP,A)
【文献】特開2002-298148(JP,A)
【文献】特開2019-40176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G01C 21/00
G07G 5/00
G08G 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
依頼者により設定された、走行状況データ収集の依頼の内容と、当該依頼を受託する受託者に対するデータ収集時の状況の条件とを少なくとも含む、少なくとも一つの依頼データが記憶されたサーバと、
両の走行状況データを取得する情報処理装置と、を有し、
前記サーバは、前記データ収集時の状況の条件に、前記受託者または前記車両が適合するか否かを判定し、判定結果に基づいて前記情報処理装置に対して、記憶された前記依頼データから送信対象となる依頼データを送信し、
前記情報処理装置は、受信した前記依頼データに基づいて前記車両の走行状況データを取得し、かつ取得した前記走行状況データを前記サーバへ送信する、車両の走行状況データ収集システムであって、
前記データ収集時の状況の条件は、前記車両に備えられたセンサの検出精度の情報を含み、
前記情報処理装置は、前記センサが、当該センサの検出精度に関する所定の検証対象条件を満たす場合、前記センサの検出精度の検証結果を取得する、車両の走行状況データ収集システム。
【請求項2】
前記依頼データには、前記依頼に対する報酬を含む、請求項に記載の車両の走行状況データ収集システム。
【請求項3】
前記サーバは、前記走行状況データを依頼者側情報処理装置へ送信し、
前記サーバまたは前記依頼者側情報処理装置は、受信した前記走行状況データに応じて、前記情報処理装置に対して前記報酬に関する報酬データを送信する、請求項に記載の車両の走行状況データ収集システム。
【請求項4】
前記報酬は、前記データ収集時の状況の条件に応じて変更可能に設定されている、請求項2または3に記載の車両の走行状況データ収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行状況データ収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な条件下での車両の走行状況に関するデータを収集することが求められている。例えば、下記特許文献1には、新車の購入に際して、販売済みの車両の走行状況に関するデータを収集、提供するサーバを含むデータ収集システムに関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-44058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1に記載の技術では、データ収集を依頼する立場(依頼者)は、車種、車歴、走行路、走行条件及び走行依頼期間を指定し、サーバは、該当する顧客使用車の所有者に対して走行依頼情報を送信する。しかし、特許文献1に記載の技術では、車種、車歴及び最近走行した走行路等の既存の情報に基づいて走行依頼情報の送信先が設定されるものであり、送信先の所有者の車両のデータ収集時の状況が考慮されない。このため、依頼者が希望する、より具体的なデータ収集が実行されないおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、依頼者の希望に沿った、車両の走行状況データを収集することが可能な、新規かつ改良された車両の走行状況データ収集システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、依頼者により設定された、走行状況データ収集の依頼の内容と、当該依頼を受託する受託者に対するデータ収集時の状況の条件とを少なくとも含む、少なくとも一つの依頼データが記憶されたサーバと、車両の走行状況データを取得する情報処理装置と、を有し、上記サーバは、上記データ収集時の状況の条件に、上記受託者または上記車両が適合するか否かを判定し、判定結果に基づいて上記情報処理装置に対して、記憶された上記依頼データから送信対象となる依頼データを送信し、上記情報処理装置は、受信した上記依頼データに基づいて上記車両の走行状況データを取得し、かつ取得した上記走行状況データを上記サーバへ送信する、車両の走行状況データ収集システムであって、上記データ収集時の状況の条件は、上記車両に備えられたセンサの検出精度の情報を含み、上記情報処理装置は、上記センサが、当該センサの検出精度に関する所定の検証対象条件を満たす場合、上記センサの検出精度の検証結果を取得する、車両の走行状況データ収集システムが提供
される。
【0010】
上記依頼データには、上記依頼に対する報酬を含んでもよい。
【0011】
上記サーバは、上記走行状況データを依頼者側情報処理装置へ送信し、上記サーバまたは上記依頼者側情報処理装置は、受信した上記走行状況データに応じて、上記情報処理装置に対して上記報酬に関する報酬データを送信してもよい。
【0012】
上記報酬は、上記データ収集時の状況の条件に応じて変更可能に設定されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、依頼者の希望に沿った、車両の走行状況データを収集することが可能な車両の走行状況データ収集システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係るネットワーク構成例を示す図である。
図2】同実施形態に係る情報処理装置のブロック構成例を示す図である。
図3】同実施形態に係る走行状況データ収集システムの動作例を示すシーケンス図である。
図4A】同実施形態に係る走行状況データ収集システムの一の変形例を示すシーケンス図である。
図4B】同実施形態に係る走行状況データ収集システムの一の変形例を示すシーケンス図である。
図5】同実施形態に係る他の変形例における走行経路の選択について説明する図である。
図6A】本発明の第2の実施形態に係る車両の走行状況データ収集システムの動作例を示すシーケンス図である。
図6B】同実施形態に係る車両の走行状況データ収集システムの動作例を示すシーケンス図である。
図7】同実施形態に係る車両情報登録に関するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
<1.第1の実施形態>
[1.1.車両の走行状況データ収集システムの概要]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の概要について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るネットワーク構成例を示す図である。本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100は、車両の走行状況データを収集するためのシステムである(なお、以下の説明において、車両の走行状況データ収集システムを、単に「データ収集システム」と称することがある)。図1に示すように、本実施形態に係るデータ収集システム100では、走行状況データの収集を依頼する立場(依頼者101)からのデータ収集の依頼が、サーバ103を介して当該依頼を受託する立場(受託者105)へ伝達される。さらに、受託者105による当該依頼が達成された結果が走行状況データとして収集される。
【0017】
より具体的には、データ収集システム100において、依頼者101が設定した、データ収集の依頼の内容と、データ収集時の状況の条件とを少なくとも含む依頼データは、サーバ103に記憶される。例えば、依頼者101a、依頼者101b、および依頼者101cから、それぞれ依頼A、依頼B、および依頼Cがなされると、サーバ103には依頼データA、依頼データB、および依頼データCを含む依頼データ(依頼データ群)が記憶される。サーバ103は、記憶された依頼データの中から少なくとも一つの依頼データを、データ収集時の状況の条件に適合する受託者105側の情報処理装置200へ送信する。受託者105は、情報処理装置200が受信した依頼データから依頼の内容を確認し、依頼を受託、実行する。依頼の実行結果としての走行状況データは、情報処理装置200からサーバ103へ送信される。サーバ103は、収集された走行状況データを依頼者側情報処理装置109へと送信する。
【0018】
ここで、データ収集時の状況の条件は、依頼を受託した受託者105側の情報処理装置200が走行状況データの収集を実行する際に車両が置かれている状態に関する条件である。したがって、データ収集時の状況の条件には、車種や車歴、走行ルート等の、受託者105の状態及び受託者105側の車両の状態の影響を受けない情報は含まれない。
【0019】
例えば、データ収集時の状況の条件には、受託者105自身に関する情報が含まれる。例えば、受託者105自身に対する情報は、受託者105の性別、運転経験もしくは技能、または、過去に依頼を受託した件数、達成率もしくは達成結果に対する評価等が含まれる。また、データ収集時の状況の条件には、受託者105の車両107に関する情報が含まれる。車両107に関する情報は、車両107の走行距離、乗員の有無もしくは人数、または搭載された設備もしくは機能の種類、性能もしくは精度等が含まれる。
【0020】
依頼者101は、個人に限定されるものではなく、企業、自治体、公共機関その他の団体も含まれる。また、受託者105は、車両107の乗員または所有者である。
【0021】
走行状況データには、車両107自体の状態、車両107の有する機能、装備の状態および、車両107の周辺の環境等、車両107の走行に関する種々の情報が含まれる。
【0022】
依頼の内容としては、走行状況データの収集に関するものであればよく、特に限定されない。例えば、依頼者101が、道路管理会社である場合、特定の道路の路面状況や天気等の情報に関する走行状況データの収集の依頼がなされる。また、依頼者101が、自動車メーカである場合、販売後の自動車およびその装備が、ユーザによってどのように使用されているか等の走行状況データの収集の依頼がなされる。その他、依頼者101が旅行を計画している、または旅行中である場合、行き先の天気、風景、目的地までの到達時間、渋滞状況等の走行状況データの収集の依頼がなされる。
【0023】
なお、依頼データには、依頼の内容及びデータ収集時の状況の条件と併せて、受託者105側の車両107の車種、型式及び使用年数(車歴)の少なくとも一つの条件が含まれてもよい。
【0024】
[1.2.ネットワーク構成例]
引き続き、図1を参照しながら、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100のネットワーク構成例について説明する。図1に示すように、データ収集システム100は、サーバ103と、車両107において走行状況データを取得する情報処理装置200と、を含んで構成される。また、データ収集システム100は、依頼者側情報処理装置109を含んでもよい。
【0025】
サーバ103は、依頼者101により設定された、走行状況データ収集の依頼の内容と、データ収集時の状況の条件とを含む、少なくとも一つの依頼データを記憶する機能を有する。また、サーバ103は、データ収集時の状況の条件と、受託者105または車両107との適合を判定する機能を有する。さらに、サーバ103は、当該判定結果に基づいて、記憶された依頼データのうちの少なくとも一つの依頼データを情報処理装置200へ送信する機能を有する。また、サーバ103は、情報処理装置200から送信された走行状況データを依頼者側情報処理装置109へ送信する機能を有してもよい。
【0026】
情報処理装置200は、ネットワーク111aを介してサーバ103と通信可能に接続されている。情報処理装置200は、サーバ103に対し、受託者105または車両107の情報を送信する機能を有する。また、情報処理装置200は、サーバ103から受信した依頼データに基づいて、車両107の走行状況データを取得する機能を有する。また、情報処理装置200は、取得した走行状況データをサーバ103へ送信する機能を有する。情報処理装置200についての詳細は後述する。
【0027】
依頼者側情報処理装置109は、ネットワーク111bを介してサーバ103と通信可能に接続されている。依頼者101は、依頼者側情報処理装置109を利用して、走行状況データの収集の依頼に関する設定と、データ収集時の状況の条件に関する設定とをすることができる。依頼者側情報処理装置109は、ネットワーク111bを介して、依頼データをサーバ103へ送信する機能を有する。依頼者側情報処理装置109は、サーバ103との通信および依頼データの入力受付が可能な制御装置であればよく、特に限定されない。依頼者側情報処理装置109として、例えば、図1に示すように、スマートフォン109a、パーソナルコンピュータ109b、車載制御装置109c等が挙げられる。
【0028】
[1.3.情報処理装置の構成例]
次に、図2を参照して、本実施形態に係る情報処理装置200の構成例について説明する。図2は、本実施形態に係る情報処理装置200のブロック構成例を示す図である。情報処理装置200は、制御部210と、通信部220とを有する。
【0029】
制御部210は、走行状況データを取得するために必要なセンサ群310の制御、取得した走行状況データの記録、通信部220への出力等の各種機能を発揮するために必要な制御を行う。
【0030】
通信部220は、ネットワーク111aを介して情報処理装置200の外部と通信する機能を有する。
【0031】
情報処理装置200の一例としては、車載制御装置が挙げられる。また、制御部210の機能は、一例として、車載制御装置に搭載されたCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の協働により実現される。また、通信部220としての機能は、一例として、無線通信用インタフェースにより実現される。
【0032】
制御部210は、データ取得部211と、データ記録部213とを有する。データ取得部211は、データ計測装置311および車両位置計測装置313から出力される各種データを取得する機能を有する。また、データ記録部213は、データ取得部211が取得した各種データを一時的または永続的に記憶しておく機能を有する。
【0033】
データ計測装置311は、センサ群310から取得されるセンサ信号に基づいて車両107の走行状況に関する情報を検出する。センサ群310は、走行状況データとしての各種データを取得するための複数のセンサである。例えば、センサ群310は、車輪速センサ、車速センサ、加速度センサ、角速度センサ、温度センサ、湿度センサ、雨滴センサ、照度センサ、荷重センサ、操舵角センサ、集音センサ(マイク)、振動センサ、撮像カメラ、レーダ又は超音波センサのうちの少なくともいずれかを含む。データ計測装置311は、例えば、車両107の速度、加速度、角加速度、路面の粗さの推定値、周辺の気温、湿度等を計測する。また、データ計測装置311は、車両107の周辺の静止画、動画の撮影、または音声を検出する。
【0034】
車両位置計測装置313は、車両107の現在位置計測を行う。車両位置計測装置313の例としては、GPS(Global Positioning System)アンテナが挙げられる。
【0035】
出力装置320は、制御部210の処理結果等を出力する機能を有する。出力装置320の一例としては、表示パネル、ヘッドアップディスプレイ、スピーカ等である。また、入力装置330は、情報処理装置200の利用者からの入力を受け付ける機能を有する。入力装置330の一例としては、ボタン、タッチ入力式の画面、マイク等である。
【0036】
なお、情報処理装置200は、車両107の走行状況データを取得できればよく、車載制御装置に限定されない。例えば、情報処理装置200は、車両107の各種センサ又は制御装置と通信可能なスマートフォン、タブレット型コンピュータ等であってもよい。この場合、出力装置320および入力装置330は、情報処理装置200と一体となっていてもよい。また、センサ群310の内の一部または全部として、スマートフォン等に搭載された各種センサ、機能が使用されてもよい。
【0037】
[1.4.データ収集システムの動作例]
次に、図3を参照して、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例について説明する。図3は、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例を示すシーケンス図である。図3に示すように、まず依頼者101は、依頼者側情報処理装置109を利用して、データ収集時の状況の条件を含む依頼データをサーバ103に送信する(S101)。サーバ103は、依頼者側情報処理装置109から受信した依頼データを記憶する(S103)。次に、受託者105は、情報処理装置200を介して、サーバ103に受託者105または車両107に関する情報を登録する(S105)。
【0038】
サーバ103は、依頼データにおけるデータ収集時の状況の条件と、受託者105または車両107との適合を確認する(S107)。サーバ103は、ステップS107の確認結果を基に、データ収集時の状況の条件に適合する受託者105または車両107が存在するか否かを判定する(S109)。ステップS109において、条件に適合する受託者105または車両107が存在すると判定されなかった場合、本実施形態に係る処理は、終了する。一方、ステップS109において、条件に適合する受託者105または車両107が存在すると判定された場合、サーバ103は、情報処理装置200へ少なくとも一つの依頼データを送信する(S111)。依頼データを受信した情報処理装置200は、受託者105が当該依頼データの依頼の内容について受託の意思があるか否かについて判定する(S113)。例えば、情報処理装置200は、受託者105がいずれかの依頼データの受託処理を行ったか否かにより、受託者105に受託の意思があるか否かについて判定する。ステップS109において、受託の意思があると判定された場合、依頼は受託される(S115)。一方、ステップS113において、受託の意思があると判定されなかった場合、本実施形態に係る処理は終了する。
【0039】
ステップS115で依頼が受託された後、情報処理装置200は、走行状況データの取得を開始する(S117)。具体的には、情報処理装置200のデータ取得部211は、データ計測装置311又は車両位置計測装置313から出力された、依頼の達成に必要な情報を取得する。また、情報処理装置200は、依頼内容に応じて、運転者に対して情報(指定された運転方法、経路等)を音声、画像等で出力する。続いて、情報処理装置200は、依頼データの依頼の内容が達成されたか否かを判定する(S119)。ステップS119において、依頼が達成されたと判定された場合、情報処理装置200は、サーバ103へ走行状況データを送信する(S121)。複数の依頼を受託している場合、走行状況データは、依頼が達成されるごとにサーバ103へ送信されてもよいし、複数の依頼に関する走行状況データがまとめてサーバ103へ送信されてもよい。
【0040】
一方、ステップS119において、依頼が達成されたと判定されない場合、受託者105に依頼続行の意思があるか否かが判定される(S123)。受託者105に依頼続行の意思がある場合、ステップS117の処理に戻って、走行状況データの取得が行われる。一方、ステップS123において、受託者105に依頼続行の意思があると判定されない場合、本実施形態に係る処理は終了する。以上、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例について説明した。
【0041】
なお、上記の例では、情報処理装置200は、ステップS119において依頼が達成されたと判定された後、ステップS121においてサーバ103へ走行状況データを送信しているが、依頼の達成を待たずに、走行状況データが随時送信されてもよい。
【0042】
本実施形態によれば、依頼者101が設定したデータ収集時の状況の条件と、受託者105または車両107とが適合するかがサーバ103により判定される。サーバ103が、条件に適合する受託者105の情報処理装置200へ依頼データを送信し、受託者105が当該依頼を実行する。これにより、依頼者101の具体的な希望に沿った依頼が実行され、受託者105が依頼の選択に労力や時間を要せずに済む。この結果、依頼者の希望に沿う走行状況データが収集される。
【0043】
さらに、本実施形態によれば、依頼データに含まれるデータ収集時の状況の条件には、受託者105の車両107に関する情報が含まれる。これにより、情報処理装置200により取得される走行状況データの精度、内容がより依頼者101の希望に沿ったものとなる。
【0044】
なお、上記実施形態に係るステップS105において、受託者105は、情報処理装置200を介して、サーバ103に受託者105または車両107に関する情報を登録する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、サーバ103には予め受託者105または車両107に関する情報が記憶されており、サーバ103は当該情報に基づいて、依頼データに含まれるデータ収集時の状況の条件と、受託者105または車両107との適合を確認してもよい。
【0045】
<1.5.変形例1>
次に、図4A図4Bを参照して、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の変形例について説明する。図4Aおよび図4Bは、本変形例に係る走行状況データ収集システム100の動作例を示すシーケンス図である。本変形例において、依頼データには、依頼者101により設定された、依頼に対する報酬に関する情報が含まれる。さらに、受託者105が依頼を受託し、達成した場合、依頼者101から依頼に対する報酬が支払われる。なお、本変形例におけるその他の構成については、第1の実施形態と共通するので、説明は省略する。
【0046】
図4Aに示すように、依頼者101は、依頼データをサーバ103に送信する際に、依頼の内容とともに、当該依頼に対する報酬に関する情報も設定し、依頼データを送信する(S101’)。
【0047】
このとき、報酬は、データ収集時の状況の条件に応じて変更可能に設定されてもよい。例えば、受託者105が、依頼データにおけるデータ収集時の状況の条件への適合度が高いほど、報酬がより良いものとなるように設定されてもよい。より具体的には、データ収集時の状況の条件として複数の項目が挙げられた場合、受託者105が該当する項目が多いほど、条件への適合度が高いものとし、報酬がより良くなるように設定される。また、データ収集時の状況の条件として車両の設備が挙げられた場合、受託者105の車両107の設備の精度が良い、もしくは新しいほど、条件への適合度が高いものとし、報酬がより良くなるように設定される。ステップS101’後の本変形例に係るステップS103~S119の処理は、図3に記載のシーケンス図と同様な処理が行われる。
【0048】
続いて、図4Bに示すように、ステップS121において、情報処理装置200からサーバ103へ走行状況データが送信された後、サーバ103は、依頼者側情報処理装置109へ走行状況データを送信する(S125)。依頼者101は、依頼の達成結果の情報を確認し、達成結果に応じた報酬を支払う(S127)。報酬の支払は、依頼者側情報処理装置109から報酬に関する報酬データが情報処理装置200へ送信されることで行われる。受託者105は、依頼に対する報酬の情報について確認する(S129)。
【0049】
本変形例において、報酬は、依頼者101からではなく、サーバ103から自動的に支払われるようにしてもよい。この場合、報酬に関し、依頼者101へ別途請求が行われる。
【0050】
また、報酬は、金銭、ポイント等の経済的な価値を有するものだけでなく、名誉または肯定的な評価もしくはコメント等の社会的な価値を有するものでもよい。また、報酬は、金銭だけでなく、役務の提供であってもよい。
【0051】
また、報酬の支払に関する処理は、本実施形態に係るデータ収集システム100とは、異なる情報処理システムにおいて行われてもよい。具体的には、電子通貨、仮想通貨、クレジットカード決済などを用いた電子的決済システムを用いて、依頼者101から受託者105へ報酬の支払処理が行われる。この場合、報酬に関する報酬データは、受託者105に対して送信されなくてもよいし、報酬データには報酬の支払に関する事前又は事後の通知のみが記載されてもよい。
【0052】
本変形例によれば、依頼の達成により、受託者105に報酬が支払われるので、受託者105による依頼の受託に対するインセンティブが生じる。また、受託者105は、依頼を受託するか検討する際、報酬によって受託するか否かを判断することができる。このため、受託者105が積極的に依頼を受託し、依頼をよく達成するようになる。この結果、依頼者101の希望に沿った依頼が実行され、走行状況データが収集される。
【0053】
<1.6.変形例2>
次に、図5を参照して、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100のその他の変形例について説明する。図5は、本実施形態に係る走行経路の選択について説明する図である。本変形例では、依頼データを受信した情報処理装置200は、当該依頼データに基づいて車両の走行経路を示す走行経路データを算出する。なお、本変形例におけるその他の構成については、第1の実施形態と共通するので、説明は省略する。
【0054】
具体的には、本変形例における、図3のステップS107に相当する処理において、サーバ103は、依頼データを情報処理装置200へ送信する。情報処理装置200は、サーバ103から送信された依頼データを受信後、受信した依頼データの依頼の内容の情報を考慮し、効率的に依頼を達成するための1つまたは複数の走行経路データを算出する。
【0055】
例えば、受託者105が、3件の依頼A、依頼B、および依頼Cを受託した場合、情報処理装置200は、依頼A、依頼B、および依頼Cの依頼の内容等を考慮して、車両107の走行経路を算出する。このとき、図5に示すように、受託者105には、情報処理装置200が算出した走行経路である、依頼達成経路1(点線)および依頼達成経路2(2点鎖線)が示される。さらに、このとき受託者105には、依頼達成経路ごとに、要する時間、走行距離、達成した場合に得られる報酬等の情報が併せて示される。受託者105は、これらの情報を基に走行経路を選択する。
【0056】
本変形例によれば、情報処理装置200は受信した依頼データに基づいて走行経路データを算出するので、受託者105は、より効率的に依頼を実行できる。この結果、依頼者101の希望に沿った依頼が実行され、走行状況データが収集される。
【0057】
なお、本変形例において、走行経路データが情報処理装置200において算出される例を示したが、本変形例はこれに限定されない。例えば、サーバ103が、送信対象となる依頼データから走行経路を算出し、走行経路データを情報処理装置200へ送信してもよい。特に、依頼データを情報処理装置200に依頼データを送信する際に、走行経路データを合わせて送信するようにしてもよい。
【0058】
これにより、情報処理装置200に不要な負担をかけることなく、走行経路データが算出され、走行経路が受託者105に示される。また、依頼データとともに走行経路データがサーバ103から送信されるので、受託者105は、依頼データ受信の後、すぐに走行経路の確認ができ、走行経路も考慮しつつ受託する依頼を選択できるとともに迅速な依頼の開始が実現される。
【0059】
<2.第2の実施形態>
次に、図6A図6B図7を参照して、第2の実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例について説明する。図6Aおよび図6Bは、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100の動作例を示すシーケンス図である。図7は、本実施形態に係る車両情報登録に関するシーケンス図である。本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100は、車両107の情報が登録される際に、車両107の有する設備または機能について精度の検証が必要か判定される点で、第1の実施形態と相違する。なお、本実施形態に係るデータ収集システム100の内、第1の実施形態と共通する部分については、説明を省略する。
【0060】
図6Aに示すように、まず依頼者101は、依頼者側情報処理装置109を利用して、データ収集時の状況の条件を含む依頼データをサーバ103に送信する(S201)。サーバ103は、依頼者側情報処理装置109から受信した依頼データを記憶する(S203)。
【0061】
情報処理装置200は、車両107に関する情報を車両情報登録サーバ113に送信する(S205)。ステップS205の詳細については、後述する。サーバ103は、車両情報登録サーバ113を参照し(S207)、受託者105の車両107の登録された情報と、依頼データにおけるデータ収集時の状況の条件の適合を確認する(S209)。サーバ103は、ステップS209の確認結果を基に、データ収集時の状況の条件に適合する受託者105または車両107が存在するか否かを判定する(S211)。ステップS109において、条件に適合する受託者105または車両107が存在すると判定されなかった場合、本実施形態に係る処理は、終了する。一方、ステップS109において、条件に適合する受託者105または車両107が存在すると判定された場合、サーバ103は、情報処理装置200へ依頼データを送信する(S213)。図6A図6Bに示す本実施形態に係るステップS215以降の処理は、図4AのステップS113以降の処理と同様であるので説明を省略する。
【0062】
次に、図7のステップS205の車両情報登録に関する処理について説明する。図7に示すように、まず、情報処理装置200は、車両情報登録サーバ113に車両107に関する情報を送信する(S2051)。車両情報登録サーバ113は、車両情報登録処理を開始する(S2052)。車両情報登録サーバ113は、情報処理装置200から送信された車両情報に検証対象条件を満たすものがないか判定する(S2053)。検証対象条件として、例えば、前回の登録から所定の時間が経過している場合、車両107に新たに搭載された設備、機能がある場合等が挙げられる。特に、車両情報登録サーバ113は、車両情報の内、車載センサの検出精度について検証対象条件を満たすか否か判定してもよい。
【0063】
ステップS2053において、検証対象条件を満たすと判定されなかった場合、車両情報登録サーバ113は、情報処理装置200から送信された車両情報を登録し(S2054)、ステップS205における車両情報登録に関する処理は終了する。
【0064】
一方、ステップS2053において、検証対象条件を満たすと判定された場合、車両情報登録サーバ113は、情報処理装置200に対して、検証を行うように指示する(S2055)。情報処理装置200は、車両107において必要な検証を行い、検証結果を取得する(S2056)。例えば、車載センサの検出精度の検証が必要な場合、過去に計測実績のある走行経路を走行させて、車載センサが検出した値と、計測実績による真値とから偏差を求め、車載センサの検出精度の検証を行う。真値は、高精度なセンサを用いた場合の計測結果または、過去の計測実績の統計処理の結果から求めることができる。
【0065】
情報処理装置200は、車両情報の検証結果を車両情報登録サーバ113に送信する(S2057)。車両情報登録サーバ113は、検証結果を受信し(S2058)、検証後の車両情報と精度を登録し(S2059)、ステップS205における車両情報に関する処理は終了する。以上、本実施形態に係る車両情報登録に関する処理および、本実施形態に係る車両の走行状況データ収集システム100について説明した。
【0066】
本実施形態によれば、受託者105の車両107に関する情報が正確に把握されるので、データ収集時の状況の条件と、受託者105の車両107との適合が正確に判定される。これにより、依頼者101の希望に沿った依頼が実行される。この結果、依頼者101の希望に沿った走行状況データが収集される。
【0067】
特に、本実施形態によれば、車両107に搭載された設備または機能の精度が検証されるので、データ収集時の状況の条件と、受託者105の車両107との適合がより正確に判定される。さらに、車両107に搭載されたセンサの精度が検証されるので、センサにより取得される走行状況データが所定の精度を保つ。この結果、依頼者101の希望に沿った走行状況データが収集される。
【0068】
なお、本実施形態において、車両情報が車両情報登録サーバ113に記憶され、精度検証の要否が判定される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、サーバ103が、車両情報登録サーバとしての機能を有してもよい。これにより、サーバ103の他に別途サーバを設ける必要がなくなり、サーバの運用、管理に伴うコストを削減でき、またサーバとの通信、演算に要する時間を短縮できる。
【0069】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0070】
上記実施形態において説明したシーケンス図における処理は一部のステップが省略されてもよいし、追加的なステップが含まれてもよい。さらに、複数のステップが同時に処理されてもよく、また、図示された順番で実行されなくてもよい。
【符号の説明】
【0071】
100 車両の走行状況データ収集システム
101 依頼者
103 サーバ
105 受託者
107 車両
109 依頼者側情報処理装置
200 情報処理装置
210 制御部
211 データ取得部
220 通信部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7