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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/14 20060101AFI20230614BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20230614BHJP
   B60W 50/10 20120101ALI20230614BHJP
   B60L 15/00 20060101ALI20230614BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
B60W30/14
B60W50/14
B60W50/10
B60L15/00 J
B60L15/20 J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019070715
(22)【出願日】2019-04-02
(65)【公開番号】P2020168915
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 達寛
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/081713(WO,A1)
【文献】特開2006-175943(JP,A)
【文献】特開2006-151020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
B60L 15/00-58/40
B60T 7/12- 8/1769
B60T 8/32- 8/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の加減速度をドライバによる加減速操作に応じて制御する通常走行制御と、前記車両の加減速度を前記ドライバによる加減速操作によらずに自動で制御するクルーズコントロールとを切り替えて実行可能な制御部を備え、
前記制御部は、
前記通常走行制御において、
前記車両のアクセル開度と対応する目標制駆動力が前記アクセル開度の全域に亘って駆動側となっている通常特性を前記車両のアクセル開度特性として用いて、前記車両の加減速度を制御する通常モードと、
前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記アクセル開度の増大に伴い制動側から駆動側に転じる1ペダル特性を前記アクセル開度特性として用いて、前記車両の加減速度を制御する1ペダルモードと、を制御モードとして切り替えて実行可能であり、
前記クルーズコントロールにおいて、
前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記クルーズコントロールにおける目標制駆動力を超えた場合に、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力に基づいて前記車両の加減速度を制御するオーバーライドを実行し、
前記オーバーライドを実行するか否かの判定において、前記オーバーライド用のアクセル開度特性を用いて、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力を決定し、
前記オーバーライド用のアクセル開度特性を用いて決定された前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記クルーズコントロールにおける目標制駆動力を超えた場合に前記オーバーライドを実行し、前記オーバーライドの実行中において、前記オーバーライド用のアクセル開度特性を用いて決定された前記アクセル開度と対応する目標制駆動力に基づいて前記車両の加減速度を制御し、
前記通常走行制御における前記制御モードとして前記1ペダルモードが設定されている場合、前記オーバーライド用の前記アクセル開度特性として、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記アクセル開度の全域に亘って前記1ペダル特性より大きく、かつ、前記通常特性より小さくなっている中間特性を用いて、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力を決定する、
車両の制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記クルーズコントロールにおいて、前記通常走行制御における前記制御モードとして前記1ペダルモードが設定されている場合であっても、前記通常特性と前記1ペダル特性との間での前記クルーズコントロールにおける目標制駆動力と対応する前記アクセル開度の差が閾値より小さい場合には、前記オーバーライド用の前記アクセル開度特性として前記1ペダル特性を用いる、
請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記通常走行制御において、互いに異なる前記1ペダル特性を用いる複数の前記1ペダルモードを前記制御モードとして切り替えて実行可能であり、
前記クルーズコントロールにおいて、前記通常走行制御における前記制御モードとして前記1ペダルモードが設定されている場合、前記オーバーライド用の前記アクセル開度特性として用いられる前記中間特性を、前記通常走行制御における前記制御モードとして設定されている前記1ペダルモードに応じて異ならせる、
請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
車両の加減速度をドライバによる加減速操作に応じて制御する通常走行制御と、前記車両の加減速度を前記ドライバによる加減速操作によらずに自動で制御するクルーズコントロールとを切り替えて実行可能な制御部を備え、
前記制御部は、
前記通常走行制御において、
前記車両のアクセル開度と対応する目標制駆動力が前記アクセル開度の全域に亘って駆動側となっている通常特性を前記車両のアクセル開度特性として用いて、前記車両の加減速度を制御する通常モードと、
前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記アクセル開度の増大に伴い制動側から駆動側に転じる1ペダル特性を前記アクセル開度特性として用いて、前記車両の加減速度を制御する1ペダルモードと、を制御モードとして切り替えて実行可能であり、
前記クルーズコントロールにおいて、
前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記クルーズコントロールにおける目標制駆動力を超えた場合に、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力に基づいて前記車両の加減速度を制御するオーバーライドを実行し、
前記通常走行制御における前記制御モードとして前記1ペダルモードが設定されている場合、前記オーバーライド用の前記アクセル開度特性として、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記アクセル開度の全域に亘って前記1ペダル特性より大きく、かつ、前記通常特性より小さくなっている中間特性を用いて、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力を決定し、
前記通常走行制御における前記制御モードとして前記1ペダルモードが設定されている場合であっても、前記通常特性と前記1ペダル特性との間での前記クルーズコントロールにおける目標制駆動力と対応する前記アクセル開度の差が閾値より小さい場合には、前記オーバーライド用の前記アクセル開度特性として前記1ペダル特性を用いる、
車両の制御装置。
【請求項5】
車両の加減速度をドライバによる加減速操作に応じて制御する通常走行制御と、前記車両の加減速度を前記ドライバによる加減速操作によらずに自動で制御するクルーズコントロールとを切り替えて実行可能な制御部を備え、
前記制御部は、
前記通常走行制御において、
前記車両のアクセル開度と対応する目標制駆動力が前記アクセル開度の全域に亘って駆動側となっている通常特性を前記車両のアクセル開度特性として用いて、前記車両の加減速度を制御する通常モードと、
前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記アクセル開度の増大に伴い制動側から駆動側に転じる1ペダル特性を前記アクセル開度特性として用いて、前記車両の加減速度を制御する1ペダルモードと、を制御モードとして切り替えて実行可能であり、
さらに、互いに異なる前記1ペダル特性を用いる複数の前記1ペダルモードを前記制御モードとして切り替えて実行可能であり、
前記クルーズコントロールにおいて、
前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記クルーズコントロールにおける目標制駆動力を超えた場合に、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力に基づいて前記車両の加減速度を制御するオーバーライドを実行し、
前記通常走行制御における前記制御モードとして前記1ペダルモードが設定されている場合、前記オーバーライド用の前記アクセル開度特性として、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記アクセル開度の全域に亘って前記1ペダル特性より大きく、かつ、前記通常特性より小さくなっている中間特性を用いて、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力を決定し、さらに、前記オーバーライド用の前記アクセル開度特性として用いられる前記中間特性を、前記通常走行制御における前記制御モードとして設定されている前記1ペダルモードに応じて異ならせる、
車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の加減速度をドライバによる加減速操作に応じて制御する通常走行制御において、アクセル操作により車両を加速させてブレーキ操作により車両を減速させる操作を実現するための通常モードの他に、アクセル操作のみによって車両を加速及び減速させる操作を実現するための1ペダルモードを制御モードとして設定可能な車両がある(例えば、特許文献1を参照)。具体的には、1ペダルモードでは、車両のアクセル開度に対する目標制駆動力の特性であるアクセル開度特性として、アクセル開度と対応する目標制駆動力がアクセル開度の増大に伴い制動側から駆動側に転じる1ペダル特性が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-205015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、車両の加減速度の制御に関する技術として、車両の加減速度をドライバによる加減速操作によらずに自動で制御するクルーズコントロールがある。そして、クルーズコントロールの実行中に、追い越し走行等をドライバの意図に即して実現させるために、ドライバによる加減速操作に応じて車両の加減速度が制御されることがある。具体的には、このような制御として、アクセル開度と対応する目標制駆動力がクルーズコントロールにおける目標制駆動力を超えた場合に、アクセル開度と対応する目標制駆動力に基づいて車両の加減速度を制御するオーバーライドが実行されることが一般的である。ここで、通常走行制御における制御モードとして上記の1ペダルモードが設定されている場合、通常走行制御における制御モードとして上記の通常モードが設定されている場合と比較して、クルーズコントロールにおける目標制駆動力と対応するアクセル開度が大きくなってしまう。つまり、オーバーライドを実行させるために必要なアクセル開度が大きくなってしまい、アクセル操作量の増大に伴い操作性が低下してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、1ペダルモードを制御モードとして設定可能な車両のクルーズコントロールにおける操作性を適切に向上させることが可能な、新規かつ改良された車両の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、車両の加減速度をドライバによる加減速操作に応じて制御する通常走行制御と、前記車両の加減速度を前記ドライバによる加減速操作によらずに自動で制御するクルーズコントロールとを切り替えて実行可能な制御部を備え、前記制御部は、前記通常走行制御において、前記車両のアクセル開度と対応する目標制駆動力が前記アクセル開度の全域に亘って駆動側となっている通常特性を前記車両のアクセル開度特性として用いて、前記車両の加減速度を制御する通常モードと、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記アクセル開度の増大に伴い制動側から駆動側に転じる1ペダル特性を前記アクセル開度特性として用いて、前記車両の加減速度を制御する1ペダルモードと、を制御モードとして切り替えて実行可能であり、前記クルーズコントロールにおいて、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記クルーズコントロールにおける目標制駆動力を超えた場合に、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力に基づいて前記車両の加減速度を制御するオーバーライドを実行し、前記オーバーライドを実行するか否かの判定において、前記オーバーライド用のアクセル開度特性を用いて、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力を決定し、前記オーバーライド用のアクセル開度特性を用いて決定された前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記クルーズコントロールにおける目標制駆動力を超えた場合に前記オーバーライドを実行し、前記オーバーライドの実行中において、前記オーバーライド用のアクセル開度特性を用いて決定された前記アクセル開度と対応する目標制駆動力に基づいて前記車両の加減速度を制御し、前記通常走行制御における前記制御モードとして前記1ペダルモードが設定されている場合、前記オーバーライド用の前記アクセル開度特性として、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記アクセル開度の全域に亘って前記1ペダル特性より大きく、かつ、前記通常特性より小さくなっている中間特性を用いて、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力を決定する、車両の制御装置が提供される。
【0007】
前記制御部は、前記クルーズコントロールにおいて、前記通常走行制御における前記制御モードとして前記1ペダルモードが設定されている場合であっても、前記通常特性と前記1ペダル特性との間での前記クルーズコントロールにおける目標制駆動力と対応する前記アクセル開度の差が閾値より小さい場合には、前記オーバーライド用の前記アクセル開度特性として前記1ペダル特性を用いてもよい。
【0009】
前記制御部は、前記通常走行制御において、互いに異なる前記1ペダル特性を用いる複数の前記1ペダルモードを前記制御モードとして切り替えて実行可能であり、前記クルーズコントロールにおいて、前記通常走行制御における前記制御モードとして前記1ペダルモードが設定されている場合、前記オーバーライド用の前記アクセル開度特性として用いられる前記中間特性を、前記通常走行制御における前記制御モードとして設定されている前記1ペダルモードに応じて異ならせてもよい。
上記課題を解決するために、車両の加減速度をドライバによる加減速操作に応じて制御する通常走行制御と、前記車両の加減速度を前記ドライバによる加減速操作によらずに自動で制御するクルーズコントロールとを切り替えて実行可能な制御部を備え、前記制御部は、前記通常走行制御において、前記車両のアクセル開度と対応する目標制駆動力が前記アクセル開度の全域に亘って駆動側となっている通常特性を前記車両のアクセル開度特性として用いて、前記車両の加減速度を制御する通常モードと、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記アクセル開度の増大に伴い制動側から駆動側に転じる1ペダル特性を前記アクセル開度特性として用いて、前記車両の加減速度を制御する1ペダルモードと、を制御モードとして切り替えて実行可能であり、前記クルーズコントロールにおいて、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記クルーズコントロールにおける目標制駆動力を超えた場合に、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力に基づいて前記車両の加減速度を制御するオーバーライドを実行し、前記通常走行制御における前記制御モードとして前記1ペダルモードが設定されている場合、前記オーバーライド用の前記アクセル開度特性として、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記アクセル開度の全域に亘って前記1ペダル特性より大きく、かつ、前記通常特性より小さくなっている中間特性を用いて、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力を決定し、前記通常走行制御における前記制御モードとして前記1ペダルモードが設定されている場合であっても、前記通常特性と前記1ペダル特性との間での前記クルーズコントロールにおける目標制駆動力と対応する前記アクセル開度の差が閾値より小さい場合には、前記オーバーライド用の前記アクセル開度特性として前記1ペダル特性を用いる、車両の制御装置が提供される。
上記課題を解決するために、車両の加減速度をドライバによる加減速操作に応じて制御する通常走行制御と、前記車両の加減速度を前記ドライバによる加減速操作によらずに自動で制御するクルーズコントロールとを切り替えて実行可能な制御部を備え、前記制御部は、前記通常走行制御において、前記車両のアクセル開度と対応する目標制駆動力が前記アクセル開度の全域に亘って駆動側となっている通常特性を前記車両のアクセル開度特性として用いて、前記車両の加減速度を制御する通常モードと、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記アクセル開度の増大に伴い制動側から駆動側に転じる1ペダル特性を前記アクセル開度特性として用いて、前記車両の加減速度を制御する1ペダルモードと、を制御モードとして切り替えて実行可能であり、さらに、互いに異なる前記1ペダル特性を用いる複数の前記1ペダルモードを前記制御モードとして切り替えて実行可能であり、前記クルーズコントロールにおいて、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記クルーズコントロールにおける目標制駆動力を超えた場合に、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力に基づいて前記車両の加減速度を制御するオーバーライドを実行し、前記通常走行制御における前記制御モードとして前記1ペダルモードが設定されている場合、前記オーバーライド用の前記アクセル開度特性として、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力が前記アクセル開度の全域に亘って前記1ペダル特性より大きく、かつ、前記通常特性より小さくなっている中間特性を用いて、前記アクセル開度と対応する目標制駆動力を決定し、さらに、前記オーバーライド用の前記アクセル開度特性として用いられる前記中間特性を、前記通常走行制御における前記制御モードとして設定されている前記1ペダルモードに応じて異ならせる、車両の制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、1ペダルモードを制御モードとして設定可能な車両のクルーズコントロールにおける操作性を適切に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る制御装置が搭載される車両の概略構成を示す模式図である。
図2】同実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】通常特性及び1ペダル特性の各々におけるアクセル開度と目標制駆動力との関係の一例を示す図である。
図4】同実施形態に係る制御装置が行う処理の流れの第1の例を示すフローチャートである。
図5】中間特性におけるアクセル開度と目標制駆動力との関係の一例を示す図である。
図6】同実施形態に係る制御装置が行う処理の流れの第2の例を示すフローチャートである。
図7】アダプティブクルーズコントロールにおける目標制駆動力が比較的大きい場合における各アクセル開度特性での当該目標制駆動力と対応するアクセル開度について説明するための図である。
図8】通常走行制御における制御モードとして設定可能な1ペダルモードの数が複数である場合での複数の1ペダル特性及び複数の中間特性の各々におけるアクセル開度と目標制駆動力との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
なお、以下では、本発明に係る制御装置の一例に相当する制御装置100が搭載される車両が駆動源として駆動用モータのみを備える電気車両(具体的には、車両1)である例を説明するが、本発明に係る制御装置が搭載される車両は、このような例に限定されない。例えば、本発明に係る制御装置は、駆動源として駆動用モータ及びエンジンを備えるハイブリッド車両に搭載されてもよく、駆動源としてエンジンのみを備えるエンジン車両に搭載されてもよい。
【0014】
なお、以下では、クルーズコントロールとしてアダプティブクルーズコントロールが実行される例を説明しているが、車速を設定速度に維持する所謂オートクルーズコントロールがクルーズコントロールとして実行されてもよい。その場合、オートクルーズコントロールにおけるオーバーライドにおいて、後述する例と同様に、制御モードとして1ペダルモードが設定されている場合に中間特性をオーバーライド用のアクセル開度特性として用いることによって、操作性を適切に向上させることを実現することができる。
【0015】
<1.車両の構成>
図1図3を参照して、本発明の実施形態に係る制御装置100が搭載される車両1の構成について説明する。
【0016】
図1は、車両1の概略構成を示す模式図である。
【0017】
車両1は、駆動源として駆動用モータ21のみを備え、駆動用モータ21から出力される動力を用いて走行する電気車両である。
【0018】
具体的には、図1に示されるように、車両1は、駆動用モータ21と、インバータ22と、バッテリ23と、ブレーキ装置31と、油圧供給ユニット32と、マスタシリンダ33と、車輪41と、動力伝達系42と、アクセルペダル51と、ブレーキペダル52と、アクセル開度センサ61と、ブレーキセンサ62と、表示装置71と、車速センサ91と、先行車両センサ92と、制御装置100とを備える。
【0019】
駆動用モータ21は、車両1の車輪41に伝達される動力を出力するモータであり、具体的には、多相交流式(例えば、三相交流式)のモータである。駆動用モータ21は、インバータ22を介してバッテリ23と接続されており、バッテリ23からインバータ22を介して供給される電力を用いて動力を生成する。また、駆動用モータ21は、車両1の減速時に、車輪41の回転エネルギを用いて回生発電する発電機としての機能を有してもよい。
【0020】
具体的には、駆動用モータ21の出力軸は、動力伝達系42を介して車輪41と接続されており、駆動用モータ21から出力される動力は、動力伝達系42を介して車輪41に伝達される。例えば、動力伝達系42には、変速機構が設けられており、駆動用モータ21から出力される動力は、当該変速機構により変速されて車輪41に伝達される。なお、車両1において、駆動用モータ21から出力される動力が伝達される車輪41は、前輪であってもよく、後輪であってもよい。また、動力伝達系42の出力側から出力される動力は、図示しないプロペラシャフトを介して前輪及び後輪の双方へ伝達されてもよい。また、車両1には、駆動用モータ21として、前輪に伝達される動力を出力するモータと、後輪に伝達される動力を出力するモータとがそれぞれ独立して設けられていてもよい。
【0021】
インバータ22は、直流と交流との間での電力の変換を実行可能な電力変換機であり、具体的には、多相ブリッジ回路を含む。インバータ22は、バッテリ23から供給される直流電力を交流電力に変換して駆動用モータ21へ供給可能である。また、インバータ22は、駆動用モータ21により回生発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ23へ供給可能である。
【0022】
バッテリ23は、駆動用モータ21に供給される電力を蓄電するバッテリであり、例えば、車両1内の補機に供給される電力を蓄電する補機用バッテリ(図示省略)よりも高電圧(例えば、100V)のバッテリである。バッテリ23としては、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池又は鉛蓄電池等の二次電池が用いられる。
【0023】
マスタシリンダ33は、倍力装置(図示省略)を介してブレーキペダル52と接続されており、ブレーキペダル52の操作量であるブレーキ操作量に応じて、油圧を発生させる。マスタシリンダ33は、各車輪41にそれぞれ設けられるブレーキ装置31と油圧供給ユニット32を介して接続されている。マスタシリンダ33によって発生した油圧は、各ブレーキ装置31へ油圧供給ユニット32を介して供給される。
【0024】
ブレーキ装置31は、車両1に制動力を付与する。具体的には、各ブレーキ装置31により各車輪41に対してそれぞれ付与される制動力の合計に相当する制動力が車両1に付与される。
【0025】
各ブレーキ装置31は、例えば、ブレーキパッド及びホイールシリンダを含むブレーキキャリパ(図示省略)を有する。ブレーキパッドは、例えば、車輪41と一体として回転するブレーキディスクの両側面にそれぞれ対向して一対設けられる。ホイールシリンダは、ブレーキキャリパ内に形成され、ホイールシリンダ内にはピストンが摺動可能に設けられる。ピストンの先端部はブレーキパッドと対向して設けられ、ピストンの摺動に伴ってブレーキパッドがブレーキディスクの各側面へ向けて移動するようになっている。マスタシリンダ33によって発生した油圧は、各ブレーキ装置31のホイールシリンダへ供給される。それにより、ブレーキキャリパ内のピストン及びブレーキパッドが移動することによって、ブレーキディスクの両側面が一対のブレーキパッドにより挟まれ、各車輪41に制動力が付与される。
【0026】
油圧供給ユニット32は、各ブレーキ装置31へ供給される油圧を調整可能である。油圧供給ユニット32は、例えば、ポンプや制御弁等を有する。油圧供給ユニット32は各ブレーキ装置31へ供給される油圧を個別に調整可能であってもよく、ブレーキ系統が2系統であってもよい。油圧供給ユニット32の動作が制御されることにより、各車輪41に付与される制動力が制御される。
【0027】
アクセルペダル51は、ドライバによるアクセル操作を受け付ける。アクセル操作は、具体的には、アクセルペダル51を踏み込む操作である。
【0028】
ブレーキペダル52は、ドライバによるブレーキ操作を受け付ける。ブレーキ操作は、具体的には、ブレーキペダル52を踏み込む操作である。
【0029】
アクセル開度センサ61は、ドライバによるアクセルペダル51の操作量であるアクセル開度を検出し、検出結果を出力する。
【0030】
ブレーキセンサ62は、ドライバによるブレーキペダル52の操作量であるブレーキ操作量を検出し、検出結果を出力する。
【0031】
表示装置71は、情報を視覚的に表示する装置である。表示装置71として、例えば、ドライバが所望する目的地までのルートを案内するナビゲーション装置、ヘッドアップディスプレイ(Head Up Display:HUD)と称される技術を利用して種々の画像を表示し得る装置又はフロントガラスに重ねて設けられる透過型ディスプレイ等の表示装置が用いられる。
【0032】
車速センサ91は、車両1の速度である車速を検出し、検出結果を出力する。
【0033】
先行車両センサ92は、先行車両の有無、自車両と先行車両との間の車間距離及び自車両と先行車両との相対速度等の先行車両に関する情報を検出し、検出結果を出力する。例えば、先行車両センサ92としては、ミリ波を用いるレーダーセンサ等が用いられる。なお、先行車両センサ92は、このような例に特に限定されず、例えば、車両の前方を撮像し、得られる画像を用いて先行車両に関する情報を検出するものであってもよい。
【0034】
制御装置100は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)及びCPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0035】
また、制御装置100は、車両1における各装置(例えば、インバータ22、油圧供給ユニット32、アクセル開度センサ61、ブレーキセンサ62、表示装置71、車速センサ91及び先行車両センサ92)と通信する。制御装置100と各装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。
【0036】
なお、制御装置100が有する機能は複数の制御装置により分割されてもよく、その場合、当該複数の制御装置は、CAN等の通信バスを介して、互いに接続されてもよい。また、制御装置100は、下記で説明する以外の他の機能を追加的に有していてもよい。
【0037】
図2は、制御装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0038】
例えば、図2に示されるように、制御装置100は、取得部110と、制御部120とを有する。
【0039】
取得部110は、制御部120が行う処理において用いられる各種情報を取得する。また、取得部110は、取得した情報を制御部120へ出力する。例えば、取得部110は、アクセル開度センサ61、ブレーキセンサ62、車速センサ91及び先行車両センサ92の各センサと通信することによって、各センサから出力される各種情報を取得する。
【0040】
制御部120は、車両1の各装置の動作を制御する。例えば、制御部120は、モータ制御部121と、ブレーキ制御部122と、表示制御部123とを含む。
【0041】
モータ制御部121は、駆動用モータ21の動作を制御する。具体的には、モータ制御部121は、インバータ22のスイッチング素子の動作を制御することによって、駆動用モータ21とバッテリ23との間の電力の供給を制御する。それにより、モータ制御部121は、駆動用モータ21による動力の生成及び発電を制御することができる。
【0042】
ブレーキ制御部122は、ブレーキ装置31の動作を制御する。具体的には、ブレーキ制御部122は、油圧供給ユニット32の動作を制御することによって、各車輪41に対してそれぞれ付与される制動力を制御する。それにより、ブレーキ制御部122は、ブレーキ装置31により車両1に付与される制動力を制御することができる。
【0043】
表示制御部123は、表示装置71の動作を制御する。具体的には、表示制御部123は、表示装置71に対して表示する内容を示す情報を出力することによって、表示装置71による表示を制御する。
【0044】
制御部120は駆動用モータ21及びブレーキ装置31の動作を上記のように制御することによって、車両1の加減速度を制御する。ここで、制御部120は、車両1の加減速度をドライバによる加減速操作(具体的には、アクセル操作及びブレーキ操作)に応じて制御する通常走行制御と、車両1の加減速度をドライバによる加減速操作によらずに自動で制御するクルーズコントロールの一例に相当するアダプティブクルーズコントロール(以下、ACC(Adaptive Cruise Control)とも呼ぶ)とを切り替えて実行可能である。
【0045】
なお、ACCは、あくまでもクルーズコントロールの一例に過ぎず、制御部120は、上述したように、クルーズコントロールとして、車速を設定速度に維持する所謂オートクルーズコントロールを実行してもよい。また、制御部120は、オートクルーズコントロールにおいて、後述する例と同様にオーバーライドを実行してもよい。
【0046】
例えば、車両1には、通常走行制御とACCとのいずれを実行させるかを選択するためのボタン等の入力装置が設けられており、ドライバは、当該入力装置を操作することにより、通常走行制御又はACCを選択することができる。制御部120は、ドライバにより通常走行制御が選択されている場合、通常走行制御を実行し、ドライバによりACCが選択されている場合、ACCを実行する。なお、制御部120は、ACCの実行中に、ドライバによりブレーキ操作等の特定の操作が行われた場合に、ACCを停止し、通常走行制御への切り替えを行う。
【0047】
通常走行制御では、制御部120は、アクセル開度及びブレーキ操作量に基づいて車両1の目標制駆動力を決定し、車両1の制駆動力が当該目標制駆動力になるように車両1の加減速度を制御する。ここで、制御部120は、通常走行制御において、互いに異なるアクセル開度特性(具体的には、アクセル開度に対する目標制駆動力の特性)が用いられる通常モードと1ペダルモードとを制御モードとして切り替えて実行可能である。通常モードは、アクセル操作により車両1を加速させてブレーキ操作により車両1を減速させる操作を実現するための制御モードである。一方、1ペダルモードは、アクセル操作のみによって車両1を加速及び減速させる操作を実現するための制御モードである。
【0048】
例えば、車両1には、通常走行制御における制御モードを設定するためのボタン等の入力装置が設けられており、ドライバは、当該入力装置を操作することにより、制御モードを設定することができる。制御部120は、通常走行制御において、通常モード及び1ペダルモードのうち設定されている制御モードを実行する。
【0049】
以下、図3を参照して、通常モードにおいて用いられるアクセル開度特性である通常特性及び1ペダルモードにおいて用いられるアクセル開度特性である1ペダル特性について説明する。
【0050】
図3は、通常特性及び1ペダル特性の各々におけるアクセル開度と目標制駆動力との関係の一例を示す図である。図3では、通常特性におけるアクセル開度と目標制駆動力との関係が線L11により示されており、1ペダル特性におけるアクセル開度と目標制駆動力との関係が線L21により示されている。ここで、図3における各アクセル開度特性を示す線は、車速を一定(例えば、10km/h)にした場合のアクセル開度と目標制駆動力との関係を示すものである。なお、後述にて参照する図5図7及び図8における各アクセル開度特性を示す線も同様のものである。また、通常特性において、アクセル開度が0[%]であるときのアクセル開度と対応する目標制駆動力は、クリープ現象を生じさせるために、僅かに駆動側になっていることがあるが、図3の例では、理解を容易にするために、略0[N]となっている。
【0051】
通常特性では、図3の線L11により示されるように、アクセル開度と対応する目標制駆動力がアクセル開度の全域に亘って駆動側となっている。具体的には、アクセル開度と対応する目標制駆動力は、アクセル開度が0[%]であるときには略0[N]となっており、アクセル開度が大きくなるにつれて上昇する。なお、上述したように、図3の線L11は、車速を一定(例えば、10km/h)にした場合のアクセル開度と目標制駆動力との関係を示すものである。
【0052】
よって、通常特性をアクセル開度特性として用いる通常モードでは、アクセル操作が行われると、駆動側の値(つまり、正の値)がアクセル開度と対応する目標制駆動力として決定される。ゆえに、ドライバはアクセル操作により車両1を加速させることができる。また、ブレーキ操作が行われると、制御部120は、ブレーキ操作量に応じた制動側の値(つまり、負の値)を目標制駆動力として決定する。ゆえに、ドライバはブレーキ操作により車両1を減速させることができる。
【0053】
なお、通常特性では、アクセル開度と対応する目標制駆動力が、基本的にアクセル開度の全域に亘って(つまり、大部分のアクセル開度で)駆動側となっていればよく、厳密にアクセル開度の全域に亘って駆動側となっていなくてもよい。つまり、通常特性では、一部のアクセル開度において、目標制駆動力が制動側となっていてもよい。例えば、アクセル操作を解除することによりエンジンブレーキと同程度の小さな制動力を生じさせる目的で、通常特性において、アクセル開度が0[%]であるときに目標制駆動力が僅かに制動側になっていてもよい。このような場合であっても、通常モードでは、ブレーキ操作を行わない限りアクセル操作を解除することのみによっては車両1を停車させる程度の制動力は生じないようになっている。
【0054】
1ペダル特性では、図3の線L21により示されるように、アクセル開度と対応する目標制駆動力がアクセル開度の増大に伴い制動側から駆動側に転じる。具体的には、アクセル開度と対応する目標制駆動力は、アクセル開度が0[%]であるときに制動側となっており、アクセル開度が大きくなるにつれて上昇して0[N]を超える。ゆえに、目標制駆動力が0[N]となるアクセル開度より小さなアクセル開度では、目標制駆動力は制動側となっており、目標制駆動力が0[N]となるアクセル開度より大きなアクセル開度では、目標制駆動力は駆動側となっている。なお、上述したように、図3の線L21は、車速を一定(例えば、10km/h)にした場合のアクセル開度と目標制駆動力との関係を示すものである。
【0055】
よって、1ペダル特性をアクセル開度特性として用いる1ペダルモードでは、アクセル操作が行われた際に、目標制駆動力が0[N]となるアクセル開度よりも検出されるアクセル開度が小さい場合には、制動側の値がアクセル開度と対応する目標制駆動力として決定され、車両1が減速する。一方、目標制駆動力が0[N]となるアクセル開度よりも検出されるアクセル開度が大きい場合には、駆動側の値がアクセル開度と対応する目標制駆動力として決定され、車両1が加速する。ゆえに、ドライバはアクセル操作により車両1を加速及び減速させることができる。具体的には、1ペダルモードでは、ブレーキ操作を行わなくてもアクセル操作を解除することのみによって車両1を停車させる程度の制動力が生じるようになっている。なお、制御部120は、1ペダルモードにおいて、ブレーキ操作が行われた際に、通常モードと同様に、ブレーキ操作量に応じた制動側の値を目標制駆動力として決定する。ゆえに、ドライバはアクセル操作の他にブレーキ操作によっても車両1を減速させることができる。
【0056】
上記のように、車両1では、1ペダル特性をアクセル開度特性として用いる1ペダルモードを通常走行制御における制御モードとして設定可能となっている。それにより、通常走行制御における操作性を向上させることができる。
【0057】
ACCでは、制御部120は、先行車両の有無、自車両と先行車両との間の車間距離及び自車両と先行車両との相対速度等の先行車両に関する情報に基づいて車両1の目標制駆動力を決定し、車両1の制駆動力が当該目標制駆動力になるように車両1の加減速度を制御する。具体的には、制御部120は、基本的に、自車両と先行車両との間の車間距離が設定距離に維持されるように目標制駆動力を決定する。また、制御部120は、先行車両が認識されていない場合等には、車両1の車速が設定速度に維持されるように目標制駆動力を決定する。なお、設定距離及び設定速度は、制御装置100の記憶素子に記憶されており、ドライバによる入力操作に応じて変更されるようになっていてもよい。ACCは、具体的には、車速センサ91及び先行車両センサ92による検出結果を利用することによって、適切に実現される。
【0058】
ここで、制御部120は、ACCにおいて、追い越し走行等の特定の走行をドライバの意図に即して実現させるために、アクセル開度と対応する目標制駆動力がACCにおける目標制駆動力を超えた場合に、アクセル開度と対応する目標制駆動力に基づいて車両1の加減速度を制御するオーバーライドを実行する。具体的には、制御部120は、検出されるアクセル開度に基づいて当該アクセル開度と対応する目標制駆動力を決定し、当該目標制駆動力とACCにおける目標制駆動力とを比較する。そして、アクセル開度と対応する目標制駆動力がACCにおける目標制駆動力を超えたと判定される場合に、オーバーライドを実行する。
【0059】
上記で説明したように、制御装置100の制御部120は、通常走行制御とACCとを切り替えて実行可能である。また、制御部120は、通常走行制御において、通常特性をアクセル開度特性として用いる通常モードと、1ペダル特性をアクセル開度特性として用いる1ペダルモードとを制御モードとして切り替えて実行可能である。また、制御部120は、ACCにおいて、アクセル開度と対応する目標制駆動力がACCにおける目標制駆動力を超えた場合にオーバーライドを実行する。
【0060】
ここで、オーバーライド用のアクセル開度特性として、通常走行制御における制御モードとして設定されているモードで用いられるアクセル開度特性が用いられることが考えられる。なお、オーバーライド用のアクセル開度特性は、オーバーライドを実行するか否かの判定及びオーバーライドの実行中において、アクセル開度と対応する目標制駆動力を決定するために用いられるアクセル開度特性を意味する。
【0061】
例えば、図3に示される例では、線L11により示される通常特性でのACCにおける目標制駆動力F_ACCと対応するアクセル開度は、開度AO11となっている。ゆえに、通常走行制御における制御モードとして通常モードが設定されており、通常特性がオーバーライド用のアクセル開度特性として用いられる場合、目標制駆動力F_ACCと対応するアクセル開度は開度AO11となる。一方、図3に示される例では、線L21により示される1ペダル特性でのACCにおける目標制駆動力F_ACCと対応するアクセル開度は、開度AO11よりも大きな開度AO21となっている。ゆえに、通常走行制御における制御モードとして1ペダルモードが設定されており、1ペダル特性がオーバーライド用のアクセル開度特性として用いられる場合、目標制駆動力F_ACCと対応するアクセル開度は開度AO11よりも大きな開度AO21となる。
【0062】
上記のように、通常走行制御における制御モードとして1ペダルモードが設定されている場合にオーバーライド用のアクセル開度特性として1ペダル特性を用いると、図3の点P1により示されるように、オーバーライドを実行させるために必要なアクセル開度が開度AO11よりも大きな開度AO21となる。ゆえに、オーバーライド用のアクセル開度特性として通常特性を用いる場合と比較して、オーバーライドを実行させるために必要なアクセル開度が大きくなってしまい、アクセル操作量の増大に伴い操作性が低下してしまうおそれがある。
【0063】
そこで、上記のアクセル操作量の増大に伴う操作性の低下を抑制するために、通常走行制御における制御モードとして1ペダルモードが設定されている場合に、オーバーライド用のアクセル開度特性として通常特性が用いられることが考えられる。しかしながら、ドライバが1ペダルモードでの操作に慣れている状況であること等に起因して、1ペダル特性での目標制駆動力F_ACCと対応するアクセル開度である開度AO21でアクセル操作が行われるおそれがある。この場合、実際にはオーバーライド用のアクセル開度特性として通常特性が用いられているので、図3の点P2により示されるように、アクセル開度と対応する目標制駆動力が目標制駆動力F_ACCを大きく超えた値に決定されてしまい、車両1の急加速が生じてしまうおそれがある。
【0064】
一方、本実施形態では、制御部120は、ACCにおいて、通常走行制御における制御モードとして1ペダルモードが設定されている場合、オーバーライド用のアクセル開度特性として、アクセル開度と対応する目標制駆動力がアクセル開度の全域に亘って1ペダル特性より大きく、かつ、通常特性より小さくなっている中間特性を用いて、アクセル開度と対応する目標制駆動力を決定する。それにより、1ペダルモードを制御モードとして設定可能な車両1のACCにおける操作性を適切に向上させることが可能となる。このような制御装置100により行われるオーバーライドに関する制御の詳細については、後述にて説明する。
【0065】
<2.制御装置の動作>
続いて、図4図8を参照して、本発明の実施形態に係る制御装置100の動作について説明する。なお、以下では、制御装置100が行う処理の流れの例として、第1の例及び第2の例をこの順に説明する。
【0066】
[2-1.第1の例]
まず、図4及び図5を参照して、制御装置100が行う処理の流れの第1の例について説明する。
【0067】
図4は、制御装置100が行う処理の流れの第1の例を示すフローチャートである。図4に示される制御フローは、具体的には、ACCの実行中に制御部120により繰り返し実行される。
【0068】
図4に示される制御フローが開始されると、まず、ステップS501において、制御部120は、通常走行制御における制御モードとして1ペダルモードが設定されているか否かを判定する。通常走行制御における制御モードとして1ペダルモードが設定されていると判定された場合(ステップS501/YES)、ステップS502に進む。一方、通常走行制御における制御モードとして1ペダルモードが設定されていない(つまり、通常モードが設定されている)と判定された場合(ステップS501/NO)、ステップS503に進む。
【0069】
ステップS501でYESと判定された場合、ステップS502において、制御部120は、オーバーライド用のアクセル開度特性として中間特性を設定する。
【0070】
ここで、図5を参照して、中間特性について説明する。
【0071】
図5は、中間特性におけるアクセル開度と目標制駆動力との関係の一例を示す図である。図5では、中間特性におけるアクセル開度と目標制駆動力との関係が線L31により示されている。
【0072】
中間特性では、図5の線L31により示されるように、アクセル開度と対応する目標制駆動力がアクセル開度の全域に亘って1ペダル特性より大きく、かつ、通常特性より小さくなっている。具体的には、図5に示されるように、各アクセル開度において、中間特性を示す線L31は、1ペダル特性を示す線L21より上側(つまり、駆動側)に位置し、かつ、通常特性を示す線L11より下側(つまり、制動側)に位置している。
【0073】
上記のように、通常走行制御における制御モードとして1ペダルモードが設定されている場合にオーバーライド用のアクセル開度特性として中間特性が設定されることによって、オーバーライドを実行するか否かの判定及びオーバーライドの実行中において、アクセル開度と対応する目標制駆動力の決定に中間特性が用いられる。それにより、アクセル操作量の増大に伴う操作性の低下及び車両1の急加速を抑制することができるので、車両1のACCにおける操作性を適切に向上させることが可能となる。
【0074】
例えば、図5に示される例では、線L31により示される中間特性でのACCにおける目標制駆動力F_ACCと対応するアクセル開度は、開度AO11よりも大きく、かつ、開度AO21よりも小さな開度AO31となっている。ゆえに、通常走行制御における制御モードとして1ペダルモードが設定されている場合に、中間特性をオーバーライド用のアクセル開度特性として用いることによって、図5の点P3により示されるように、オーバーライドを実行させるために必要なアクセル開度を開度AO11よりも大きく、かつ、開度AO21よりも小さな開度AO31にすることができる。
【0075】
よって、オーバーライド用のアクセル開度特性として1ペダル特性を用いる場合と比較して、オーバーライドを実行させるために必要なアクセル開度を小さくすることができるので、アクセル操作量の増大に伴う操作性の低下を抑制することができる。さらに、1ペダル特性での目標制駆動力F_ACCと対応するアクセル開度である開度AO21でアクセル操作が行われた場合であっても、オーバーライド用のアクセル開度特性として通常特性が用いられる場合と比較して、アクセル開度と対応する目標制駆動力が目標制駆動力F_ACCから乖離することを抑制することができるので、車両1の急加速を抑制することができる。
【0076】
ステップS501でNOと判定された場合、ステップS503において、制御部120は、オーバーライド用のアクセル開度特性として通常特性を設定する。
【0077】
ステップS502又はステップS503の次に、ステップS504において、制御部120は、アクセル開度と対応する目標制駆動力がACCにおける目標制駆動力を超えたか否かを判定する。アクセル開度と対応する目標制駆動力がACCにおける目標制駆動力を超えたと判定された場合(ステップS504/YES)、ステップS505に進む。一方、アクセル開度と対応する目標制駆動力がACCにおける目標制駆動力を超えていないと判定された場合(ステップS504/NO)、図4に示される制御フローは終了する。
【0078】
ここで、オーバーライド用のアクセル開度特性として中間特性が設定されている場合、制御部120は、中間特性を用いてアクセル開度と対応する目標制駆動力を決定し、当該目標制駆動力がACCにおける目標制駆動力を超えたか否かを判定する。一方、オーバーライド用のアクセル開度特性として通常特性が設定されている場合、制御部120は、通常特性を用いてアクセル開度と対応する目標制駆動力を決定し、当該目標制駆動力がACCにおける目標制駆動力を超えたか否かを判定する。
【0079】
ステップS504でYESと判定された場合、ステップS505において、制御部120は、オーバーライドを実行する。それにより、車両1の加減速度がアクセル開度と対応する目標制駆動力に基づいて制御される。ゆえに、追い越し走行等の特定の走行をドライバの意図に即して実現させることができる。
【0080】
次に、図4に示される制御フローは終了する。
【0081】
上述したように、図4に示される制御フローは、ACCの実行中に繰り返し実行されるので、アクセル開度と対応する目標制駆動力がACCにおける目標制駆動力を超えた状態が維持され続ける間、ステップS505の処理(つまり、オーバーライドの実行)が継続する。一方、アクセル開度と対応する目標制駆動力がACCにおける目標制駆動力を超えた後においてアクセル操作が解除された場合、オーバーライドは停止し、車両1の加減速度がACCにおける目標制駆動力(つまり、先行車両に関する情報に基づいて決定される目標制駆動力)に基づいて制御される状態になる。
【0082】
[2-2.第2の例]
次に、図6及び図7を参照して、制御装置100が行う処理の流れの第2の例について説明する。
【0083】
図6は、制御装置100が行う処理の流れの第2の例を示すフローチャートである。図6に示される制御フローは、具体的には、図4に示される制御フローと同様に、ACCの実行中に制御部120により繰り返し実行される。
【0084】
第2の例では、上述した第1の例と比較して、通常走行制御における制御モードとして1ペダルモードが設定されていると判定された場合におけるオーバーライド用のアクセル開度特性の設定に関する処理の流れが異なる。
【0085】
図6に示される第2の例に係る制御フローでは、ステップS501でNOと判定された場合、図4に示される第1の例に係る制御フローと同様に、ステップS503に進む。一方、ステップS501でYESと判定された場合、図4に示される第1の例に係る制御フローと異なり、ステップS601に進む。
【0086】
ステップS501でYESと判定された場合、ステップS601において、制御部120は、通常特性と1ペダル特性との間でのACCにおける目標制駆動力と対応するアクセル開度の差が閾値より小さいか否かを判定する。通常特性と1ペダル特性との間でのACCにおける目標制駆動力と対応するアクセル開度の差が閾値以上であると判定された場合(ステップS601/NO)、ステップS502に進む。一方、通常特性と1ペダル特性との間でのACCにおける目標制駆動力と対応するアクセル開度の差が閾値より小さいと判定された場合(ステップS601/YES)、ステップS602に進む。
【0087】
図7は、ACCにおける目標制駆動力が比較的大きい場合における各アクセル開度特性での当該目標制駆動力と対応するアクセル開度について説明するための図である。
【0088】
例えば、図7に示される例では、ACCにおける目標制駆動力F_ACC’が図5に示される例のACCにおける目標制駆動力F_ACCと比較して大きくなっている。それにより、線L11により示される通常特性での目標制駆動力F_ACC’と対応するアクセル開度である開度AO11’と、線L21により示される1ペダル特性での目標制駆動力F_ACC’と対応するアクセル開度である開度AO21’との差が、図5における開度AO11と開度AO21との差と比較して小さくなっている。なお、線L31により示される中間特性での目標制駆動力F_ACC’と対応するアクセル開度は、開度AO11’よりも大きく、かつ、開度AO21’よりも小さな開度AO31’となっている。
【0089】
上記のようにACCにおける目標制駆動力が比較的大きい場合等に、通常特性と1ペダル特性との間でのACCにおける目標制駆動力と対応するアクセル開度の差(例えば図7に示される例における開度AO11’と開度AO21’との差)が閾値より小さいと判定された場合、ステップS602に進み、後述するように、オーバーライド用のアクセル開度特性として1ペダル特性が設定される。それにより、例えば、図7に示される例では、点P2’により示されるように、オーバーライドを実行させるために必要なアクセル開度が開度AO21’となる。
【0090】
ここで、上記の閾値は、オーバーライド用のアクセル開度特性として通常特性を用いる場合と1ペダル特性を用いる場合との間で、アクセル操作量の差に起因する操作性の差が軽微であるか否かを適切に判断し得る値に設定される。よって、通常特性と1ペダル特性との間でのACCにおける目標制駆動力と対応するアクセル開度の差が閾値より小さいと判定された場合に、オーバーライド用のアクセル開度特性として1ペダル特性を用いることによって、オーバーライド用のアクセル開度特性として中間特性が不必要に用いられることを抑制することができる。それにより、例えば、車両1の急加速をより効果的に抑制することができる。また、制御部120は、設定されている制御モードを、ドライバに通知するために、表示装置71に表示させてもよい。このような場合には、オーバーライド用のアクセル開度特性として中間特性が不必要に用いられることを抑制することによって、実際にオーバーライド用のアクセル開度特性として用いられている制御モードと表示されている制御モードとが相違することに起因してドライバに違和感が与えられることを抑制することができる。
【0091】
ステップS601でNOと判定された場合、ステップS502において、制御部120は、オーバーライド用のアクセル開度特性として中間特性を設定する。一方、ステップS601でYESと判定された場合、ステップS602において、制御部120は、オーバーライド用のアクセル開度特性として1ペダル特性を設定する。
【0092】
ステップS502又はステップS602の次に、ステップS504に進み、上述した第1の例と同様に、オーバーライドを実行するか否かの判定が行われ、判定結果に応じてオーバーライドが実行される。
【0093】
上記では、通常走行制御における制御モードとして設定可能な1ペダルモードの数が単数である場合について説明したが、設定可能な1ペダルモードの数は複数であってもよい。なお、設定可能な1ペダルモードの数が複数である場合には、各1ペダルモードで用いられる1ペダル特性は互いに異なる。つまり、制御部120は、通常走行制御において、互いに異なる1ペダル特性を用いる複数の1ペダルモードを制御モードとして切り替えて実行可能であってもよい。
【0094】
図8は、通常走行制御における制御モードとして設定可能な1ペダルモードの数が複数である場合での複数の1ペダル特性及び複数の中間特性の各々におけるアクセル開度と目標制駆動力との関係の一例を示す図である。
【0095】
例えば、図8に示される例では、上述した線L21により示される1ペダル特性の他に、線L22により示される1ペダル特性及び線L23により示される1ペダル特性がさらに用意されている。線L22により示される1ペダル特性では、アクセル開度と対応する目標制駆動力がアクセル開度の全域に亘って線L21により示される1ペダル特性より小さくなっている。また、線L23により示される1ペダル特性では、アクセル開度と対応する目標制駆動力がアクセル開度の全域に亘って線L22により示される1ペダル特性より小さくなっている。
【0096】
また、図8に示される例では、上述した線L31により示される中間特性の他に、線L32により示される中間特性及び線L33により示される1ペダル特性がさらに用意されている。線L32により示される中間特性では、アクセル開度と対応する目標制駆動力がアクセル開度の全域に亘って線L22により示される1ペダル特性より大きく、かつ、線L11により示される通常特性より小さくなっている。また、線L33により示される中間特性では、アクセル開度と対応する目標制駆動力がアクセル開度の全域に亘って線L23により示される1ペダル特性より大きく、かつ、線L11により示される通常特性より小さくなっている。
【0097】
上記の例では、制御部120は、ACCにおいて、通常走行制御における制御モードとして線L21により示される1ペダルモードが設定されている場合、オーバーライド用のアクセル開度特性として線L31により示される中間特性を用いる。また、制御部120は、ACCにおいて、通常走行制御における制御モードとして線L22により示される1ペダルモードが設定されている場合、オーバーライド用のアクセル開度特性として線L32により示される中間特性を用いる。また、制御部120は、ACCにおいて、通常走行制御における制御モードとして線L23により示される1ペダルモードが設定されている場合、オーバーライド用のアクセル開度特性として線L33により示される中間特性を用いる。
【0098】
このように、制御部120は、ACCにおいて、通常走行制御における制御モードとして1ペダルモードが設定されている場合、オーバーライド用のアクセル開度特性として用いられる中間特性を、通常走行制御における制御モードとして設定されている1ペダルモードに応じて異ならせてもよい。それにより、通常走行制御における制御モードとして設定可能な1ペダルモードの数が複数である場合に、オーバーライドを実行させるために必要なアクセル開度を、制御モードとして設定されている1ペダルモードに応じて異ならせることができる。ゆえに、アクセル操作量の増大に伴う操作性の低下及び車両1の急加速を、制御モードとして設定されている1ペダルモードに応じて適切に抑制することができる。
【0099】
<3.制御装置の効果>
続いて、本発明の実施形態に係る制御装置100の効果について説明する。
【0100】
本実施形態に係る制御装置100では、制御部120は、通常走行制御とクルーズコントロール(例えば、ACC)とを切り替えて実行可能である。また、制御部120は、通常走行制御において、通常特性をアクセル開度特性として用いる通常モードと、1ペダル特性をアクセル開度特性として用いる1ペダルモードとを制御モードとして切り替えて実行可能である。また、制御部120は、クルーズコントロールにおいて、アクセル開度と対応する目標制駆動力がクルーズコントロールにおける目標制駆動力を超えた場合にオーバーライドを実行する。ここで、本実施形態では、制御部120は、クルーズコントロールにおいて、通常走行制御における制御モードとして1ペダルモードが設定されている場合、オーバーライド用のアクセル開度特性として、アクセル開度と対応する目標制駆動力がアクセル開度の全域に亘って1ペダル特性より大きく、かつ、通常特性より小さくなっている中間特性を用いて、アクセル開度と対応する目標制駆動力を決定する。それにより、アクセル操作量の増大に伴う操作性の低下及び車両1の急加速を抑制することができるので、1ペダルモードを制御モードとして設定可能な車両1のクルーズコントロールにおける操作性を適切に向上させることが可能となる。
【0101】
また、本実施形態に係る制御装置100では、制御部120は、クルーズコントロールにおいて、通常走行制御における制御モードとして1ペダルモードが設定されている場合であっても、通常特性と1ペダル特性との間でのクルーズコントロールにおける目標制駆動力と対応するアクセル開度の差が閾値より小さい場合には、オーバーライド用のアクセル開度特性として1ペダル特性を用いることが好ましい。それにより、オーバーライド用のアクセル開度特性として中間特性が不必要に用いられることを抑制することができる。ゆえに、例えば、車両1の急加速をより効果的に抑制することができる。
【0102】
また、本実施形態に係る制御装置100では、制御部120は、設定されている制御モードを表示装置71に表示させることが好ましい。それにより、設定されている制御モードをドライバに通知することができる。そして、設定されている制御モードがこのように表示される場合において、通常特性と1ペダル特性との間でのクルーズコントロールにおける目標制駆動力と対応するアクセル開度の差が閾値より小さい場合に、オーバーライド用のアクセル開度特性として1ペダル特性を用いることによって、実際にオーバーライド用のアクセル開度特性として用いられている制御モードと表示されている制御モードとが相違することに起因してドライバに違和感が与えられることを抑制することができる。
【0103】
また、本実施形態に係る制御装置100では、制御部120は、通常走行制御において、互いに異なる1ペダル特性を用いる複数の1ペダルモードを制御モードとして切り替えて実行可能である。また、制御部120は、クルーズコントロールにおいて、通常走行制御における制御モードとして1ペダルモードが設定されている場合、オーバーライド用のアクセル開度特性として用いられる中間特性を、通常走行制御における制御モードとして設定されている1ペダルモードに応じて異ならせることが好ましい。それにより、オーバーライドを実行させるために必要なアクセル開度を、制御モードとして設定されている1ペダルモードに応じて異ならせることができる。ゆえに、アクセル操作量の増大に伴う操作性の低下及び車両1の急加速を、制御モードとして設定されている1ペダルモードに応じて適切に抑制することができる。
【0104】
<4.むすび>
以上説明したように、本実施形態に係る制御装置100では、制御部120は、通常走行制御とクルーズコントロール(例えば、ACC)とを切り替えて実行可能であり、通常走行制御において、通常特性をアクセル開度特性として用いる通常モードと、1ペダル特性をアクセル開度特性として用いる1ペダルモードとを制御モードとして切り替えて実行可能である。また、制御部120は、クルーズコントロールにおいて、アクセル開度と対応する目標制駆動力がクルーズコントロールにおける目標制駆動力を超えた場合にオーバーライドを実行し、通常走行制御における制御モードとして1ペダルモードが設定されている場合、オーバーライド用のアクセル開度特性として、アクセル開度と対応する目標制駆動力がアクセル開度の全域に亘って1ペダル特性より大きく、かつ、通常特性より小さくなっている中間特性を用いて、アクセル開度と対応する目標制駆動力を決定する。それにより、アクセル操作量の増大に伴う操作性の低下及び車両1の急加速を抑制することができるので、1ペダルモードを制御モードとして設定可能な車両1のクルーズコントロールにおける操作性を適切に向上させることが可能となる。
【0105】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0106】
例えば、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしもフローチャートに示された順序で実行されなくてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 車両
21 駆動用モータ
22 インバータ
23 バッテリ
31 ブレーキ装置
32 油圧供給ユニット
33 マスタシリンダ
41 車輪
42 動力伝達系
51 アクセルペダル
52 ブレーキペダル
61 アクセル開度センサ
62 ブレーキセンサ
71 表示装置
91 車速センサ
92 先行車両センサ
100 制御装置
110 取得部
120 制御部
121 モータ制御部
122 ブレーキ制御部
123 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8