(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20230615BHJP
B60N 2/06 20060101ALN20230615BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/06
(21)【出願番号】P 2018221553
(22)【出願日】2018-11-27
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】猪瀬 康夫
【審査官】瀧本 絢奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-153248(JP,A)
【文献】実開昭62-188258(JP,U)
【文献】特開2015-116833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートフレーム(17)と、当該シートフレーム(17)の一部を側方から覆うカバー部材(25)との間に、音発生源(27)が配置される車両用シートにおいて、
前記シートフレーム(17)に対向しつつ前記シートフレーム(17)および前記音発生源(27)間に介在する板状介在部(31A,31B)が
、前記カバー部材(25)とは別体にして当該カバー部材(25)および前記音発生源(27)間に配置される中間部材(35A,35B,35C,35D,35E,35F)に設けられて前記カバー部材(25)内に収容され、前記板状介在部(31A,31B)に複数の貫通孔(34)が穿設され
、
前記中間部材(35A~35E)に、前記板状介在部(31A,31B)に一端部が連設されて前記カバー部材(25)側に延びる支持板部(32,43)と、当該支持板部(32,43)の他端部に連なる取付け板部(33,44)とが設けられ、前記取付け板部(33,44)が前記カバー部材(25)に固定されることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
前記中間部材(31B)は、前記音発生源(27)よりも着座者に近い側で前記板状介在部(31A)に連設されて前記カバー部材(25)から遠ざかる側に突出する第1突出部(36)を有し、前記音発生源(27)のうち少なくとも前記着座者に近い側の一部が前記第1突出部(36)で覆われることを特徴とする請求項
1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記中間部材(35C,35D)は、前記音発生源(27)よりも着座者から遠い側で前記板状介在部(31A)に連設されて前記カバー部材(25)から遠ざかる側に突出する第2突出部(37A,37B)を有し、前記音発生源(27)のうち少なくとも前記着座者から遠い側の一部が前記第2突出部(37A,37B)で覆われることを特徴とする請求項
1または2に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記第2突出部(37A,37B)が、前記音発生源(27)および前記支持板部(32)間で前記板状介在部(31A)に連設され、当該第2突出部(37A,37B)の前記音発生源(27)と反対側の側面には、前記板状介在部(31A)に連なる補強部(38)が設けられることを特徴とする請求項
3に記載の車両用シート。
【請求項5】
前記中間部材(35D)は、前記音発生源(27)とは反対側から前記第2突出部(37B)を覆う被覆部(39)を有し、前記第2突出部(37B)に、第2の貫通孔(40)が設けられることを特徴とする請求項
3または
4に記載の車両用シート。
【請求項6】
前記板状介在部(31A,31B)と、前記音発生
源(27)もしくは前記カバー部材(25)との間に、ウレタンパッド(41)が介装されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の車両用シート。
【請求項7】
前記音発生源(27)が当該音発生源(27)の外周方向に音を放射するものであり、前記中間部材(35B,35c,35D,35E,35F)が、前記音発生源(27)の前記板状介在部(31A,31B)側に臨む部分以上の範囲で当該音発生源(27)の外周の一部に沿って配置されることを特徴とする請求項
1~
6のいずれか1項に記載の車両用シート。
【請求項8】
前記シートフレーム(17)が、乗員の座部を構成するシートクッション(12)を支持するシートクッションフレーム(18)と、前記シートクッション(12)の上方に配置されるシートバック(13)を支持するシートバックフレーム(19)とを備え、前記シートクッションフレーム(18)および前記シートバックフレーム(19)の少なくとも一方に、前記カバー部材(25)、前記音発生源(27)および前記中間部材(35A~35F)が配設されることを特徴とする請求項
1~
7のいずれか1項に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートフレームと、当該シートフレームの一部を側方から覆うカバー部材との間に、音発生源が配置される車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
シート本体を側方から覆うシールド(本発明のカバー部材に相当)と、音発生源である駆動用モータとの間に、ワッフル形状の中間部材が配置され、その中間部材と、複数の開口孔を有して前記中間部材の前記駆動用モータ側の端部に設けられる蓋部材とで構成されるレゾネータで、前記駆動用モータが発生する作動音の低減を図るようにしたものが、特許文献1によって知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1で開示されたものでは、中間部材がワッフル形状を有しており、レゾネータが大型化してしまう。このためカバー部材内に、効率的で小型化された共鳴空間を得ることが望まれている。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、カバー部材内に効率的で小型化された共鳴空間が得られるようにした車両用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、シートフレームと、当該シートフレームの一部を側方から覆うカバー部材との間に、音発生源が配置される車両用シートにおいて、前記シートフレームに対向しつつ前記シートフレームおよび前記音発生源間に介在する板状介在部が、前記カバー部材とは別体にして当該カバー部材および前記音発生源間に配置される中間部材に設けられて前記カバー部材内に収容され、前記板状介在部に複数の貫通孔が穿設され、前記中間部材に、前記板状介在部に一端部が連設されて前記カバー部材側に延びる支持板部と、当該支持板部の他端部に連なる取付け板部とが設けられ、前記取付け板部が前記カバー部材に固定されることを第1の特徴とする。
【0009】
本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記中間部材は、前記音発生源よりも着座者に近い側で前記板状介在部に連設されて前記カバー部材から遠ざかる側に突出する第1突出部を有し、前記音発生源のうち少なくとも前記着座者に近い側の一部が前記第1突出部で覆われることを第2の特徴とする。
【0010】
本発明は、第1または第2の特徴の構成に加えて、前記中間部材は、前記音発生源よりも着座者から遠い側で前記板状介在部に連設されて前記カバー部材から遠ざかる側に突出する第2突出部を有し、前記音発生源のうち少なくとも前記着座者から遠い側の一部が前記第2突出部で覆われることを第3の特徴とする。
【0011】
本発明は、第3の特徴の構成に加えて、前記第2突出部が、前記音発生源および前記支持板部間で前記板状介在部に連設され、当該第2突出部の前記音発生源と反対側の側面には、前記板状介在部に連なる補強部が設けられることを第4の特徴とする。
【0012】
本発明は、第3または第4の特徴の構成に加えて、前記中間部材は、前記音発生源とは反対側から前記第2突出部を覆う被覆部を有し、前記第2突出部に、第2の貫通孔が設けられることを第5の特徴とする。
【0013】
本発明は、第1~第5の特徴の構成のいずれかに加えて、前記板状介在部と、前記音発生源もしくは前記カバー部材との間に、ウレタンパッドが介装されることを第6の特徴とする。
【0014】
本発明は、第1~第6の特徴の構成のいずれかに加えて、前記音発生源が当該音発生源の外周方向に音を放射するものであり、前記中間部材が前記音発生源の前記板状介在部側に臨む部分以上の範囲で当該前記音発生源の外周の一部に沿って配置されることを第7の特徴とする。
【0015】
さらに本発明は、第1~第7の特徴の構成のいずれかに加えて、前記シートフレームが、乗員の座部を構成するシートクッションを支持するシートクッションフレームと、前記シートクッションの上方に配置されるシートバックを支持するシートバックフレームとを備え、前記シートクッションフレームおよび前記シートバックフレームの少なくとも一方に、前記カバー部材、前記音発生源および前記中間部材が配設されることを第8の特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の特徴によれば、カバー部材のうち複数の貫通孔を有してカバー部材に対向する板状介在部に臨む部分を有効利用することで、カバー部材および板状介在部間の空間を共鳴空間とすることが可能であり、音発生源およびカバー部材間に、占有スペースを小さくした板状介在部を介在するだけの簡単な構造でカバー部材内に効率的で小型化された共鳴空間を得ることができる。
【0017】
また、カバー部材とは別体の中間部材に板状介在部が設けられるので、板状介在部を有する中間部材の加工を容易としつつ、中間部材ひいては板状介在部の配置上の自由度を高めることができる。
【0018】
しかも、板状介在部に一端部が連設されてカバー部材側に延びる支持板部の他端部に連なる取付け板部が、カバー部材に固定されるので、板状介在部をカバー部材との間に間隔をあけた位置に安定して配置することができる。
【0019】
本発明の第2の特徴によれば、音発生源よりも着座者に近い側で板状介在部に連設された第1突出部で音発生源のうち少なくとも前記着座者に近い側の一部が覆われるので、着座者に近い側で音発生源から発生する音を効果的に消音することができる。
【0020】
本発明の第3の特徴によれば、音発生源よりも着座者から遠い側で板状介在部に連設された第2突出部で音発生源のうち少なくとも着座者から遠い側の一部が覆われるので、着座者から遠い側で音発生源から発生する音を効果的に消音することができる。特に、前席のシートフレームのシートバックフレームに音発生源が配設されている場合には、後席の着座者側に放射される音の消音を図ることが可能である。
【0021】
本発明の第4の特徴によれば、第2突出部の音発生源と反対側の側面に設けられる補強部で板状介在部の強度を高めることができ、特に車両側方からの衝突等の外力入力時に板状介在部でカバー部材を補強することができる。
【0022】
本発明の第5の特徴によれば、第2の貫通孔を有する第2突出部が、音発生源とは反対側から被覆部で覆われるので、中間部材だけで完結する共鳴空間を第2突出部および被覆部間に構成することができる。
【0023】
本発明の第6の特徴によれば、板状介在部と、音発生源もしくはカバー部材との間にウレタンパッドが介装されるので、共鳴空間による消音効果に加えて、ウレタンパッドによる吸音効果も得ることができる。
【0024】
本発明の第7の特徴によれば、音発生源からその外周方向に放射されるのに対して、中間部材が、音発生源の板状介在部側に臨む部分以上の範囲で音発生源の外周の一部に沿って配置されるので、音発生源が発生する音の効率的な消音が可能となる。
【0025】
さらに本発明の第8の特徴によれば、シートクッションフレームおよびシートバックフレームの少なくとも一方に、カバー部材、音発生源および中間部材が配設されることにより、シートクッションフレームおよびシートバックフレームの少なくとも一方側から着座者側に放出される音の抑制が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1の実施の形態の車両用シートの斜視図である。
【
図3】中間部材が取付けられた状態のカバー部材および電動アクチュエータをカバー部材の内方側から見た側面図である。
【
図4】中間部材が取付けられた状態のカバー部材および電動アクチュエータをカバー部材の内方側斜め前下方から見た斜視図である。
【
図6】第2の実施の形態を示すものであってカバー部材を省略した状態での中間部材、電動アクチュエータおよびサイドフレームをカバー部材側から見た斜視図である。
【
図7】第3の実施の形態の
図4に対応した斜視図である。
【
図8】第4の実施の形態の
図4に対応した斜視図である。
【
図9】第5の実施の形態の
図4に対応した斜視図である。
【
図10】第6の実施の形態の
図4に対応した斜視図である。
【
図12】第7の実施の形態の
図4に対応した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面を参照しながら説明する。
【0028】
本発明の第1の実施の形態について
図1~
図5を参照しながら説明すると、先ず
図1において、車両に搭載される車両用シート11は、乗員の座部を構成するシートクッション12と、前記シートクッション12の上方に配置されるシートバック13とを備え、シートバック13の上部には乗員の頭部を受け止めるヘッドレスト14が配設される。
【0029】
図2を併せて参照して、車両前後方向に延びて車両の床面に設けられる左右一対のスライドレール15で車両前後方向にスライド可能なベースフレーム16上には、シートフレーム17が配設されており、このシートフレーム17は、前記シートクッション12を支持するようにして前記ベースフレーム16の上方に配置されるシートクッションフレーム18と、前記シートクッション12の上方に配置される前記シートバック13を支持するようにして前記シートクッションフレーム18に支軸20を介して連結されるシートバックフレーム19とを備える。
【0030】
前記シートクッションフレーム18は、前記スライドレール15の長手方向に沿って延びる左右一対のサイドフレーム18aと、それらのサイドフレーム18aの前端部間を連結するパンフレーム18bと、前記一対のサイドフレーム18aの後部間を連結する連結パイプ18cとを有する。
【0031】
前記ベースフレーム16および前記シートクッションフレーム18間にはリンク機構21が設けられており、このリンク機構21は、左右一対の前記サイドフレーム18aの内側で前記連結パイプ18cに一端部が回動可能に連結される左右一対のリンク部材22と、それらのリンク部材22の他端部を前記ベースフレーム16に回動可能に連結する連結ピン23とを有し、前記シートクッションフレーム18は前記リンク機構21を介して前記ベースフレーム16に昇降可能に連結される。
【0032】
また前記シートバックフレーム19は、上下方向に延びるとともに前記サイドフレーム18aの後部に前記支軸20を介して下端部が揺動可能に連結される左右一対の板金フレーム19aと、それらの板金フレーム19aの上端部間を連結するアッパーフレーム19bとを備え、このシートバックフレーム19は前記支軸20の軸線まわりに前後に傾動可能である。また前記アッパーフレーム19bには、前記ヘッドレスト14の上下移動を案内する左右一対の管部材24が固定される。
【0033】
前記シートクッションフレーム18および前記シートバックフレーム19の少なくとも一方、この第1の実施の形態では前記シートクッションフレーム18に、前記シートフレーム17の一部を側方から覆うカバー部材25が配設されるものであり、前記シートフレーム17の前記シートクッションフレーム18における一対の前記サイドフレーム18aの大部分が、前記カバー部材25で側方からそれぞれ覆われる。
【0034】
左右一対の前記カバー部材25のうち車両用ドア側に臨むカバー部材25、この第1の実施の形態では左側のカバー部材25と、前記シートクッションフレーム18における左側の前記サイドカバー18aとの間には、第1の電動モータ26を有する第1の電動アクチュエータ27が配置されており、この第1の電動アクチュエータ27は、前記シートフレーム17を車両前後方向にスライドさせる動力を発揮するようにして前記左側のサイドフレーム18aに取付けられ、前記カバー部材25で覆われる。
【0035】
前記シートバックフレーム19が有する左右一対の前記板金フレーム19aのうち右側の板金フレーム19aの下部内側には、第2の電動モータ28を有する第2の電動アクチュエータ29が取付けられており、この第2の電動アクチュエータ29は、前記シートバックフレーム19を前記支軸20の軸線まわりに前後に傾動させる動力を発揮する。
【0036】
前記第1の電動アクチュエータ27に対応する部分で前記カバー部材25の外面には、前記第1の電動アクチュエータ27および前記第2の電動アクチュエータ29の作動を制御するように操作するための操作部30が設けられる。
【0037】
図3~
図5を併せて参照して、本発明の音発生源としての前記第1の電動アクチュエータ27と、前記シートフレーム17の前記シートクッションフレーム18における前記左側のサイドフレーム18aとの間には、前記カバー部材25内に収容されるようにして前記サイドフレーム18aに外方から対向する板状介在部31Aが配置されており、この板状介在部31Aには複数の貫通孔34が穿設され、それらの貫通孔34の孔径は、特定の消音したい周波数に応じて適宜変更可能である。
【0038】
前記板状介在部31Aは、前記カバー部材25とは別体にして当該カバー部材25および前記第1の電動アクチュエータ27間に配置される樹脂製の中間部材35Aに設けられるものであり、この中間部材35Aには、前記板状介在部31Aに一端部が連設されて前記カバー部材25側に延びる支持板部32と、当該支持板部32の他端部に連なる取付け板部33とが一体に設けられ、前記取付け板部33が前記カバー部材25に固定される。この取付け板部33の前記カバー部材25への固定にあたっては、接着剤による貼着や、前記取付け板部33および前記カバー部材25のそれぞれに設けられる突部および凹部の凹凸嵌合や、クリップを用いた固定等を用いることができる。
【0039】
次にこの第1の実施の形態について説明すると、シートフレーム17のシートクッションフレーム18における左側のサイドフレーム18aに対向しつつ、前記シートフレーム17の前記サイドフレーム18aおよび第1の電動アクチュエータ27間に介在する板状介在部31Aが、前記カバー部材25内に収容され、前記板状介在部31Aに複数の貫通孔34が穿設されるので、前記カバー部材25のうち複数の貫通孔34を有して前記カバー部材25に対向する板状介在部31Aに臨む部分を有効利用することで、前記カバー部材25および前記板状介在部31A間の空間を共鳴空間とすることが可能であり、音発生源である第1の電動アクチュエータ27および前記カバー部材25間に、占有スペースを小さくした板状介在部31Aを介在するだけの簡単な構造で、前記カバー部材25内に効率的で小型化された共鳴空間を得ることができ、前記シートクッションフレーム18から前記車両用シート11の着座者側に放出される音の抑制が可能となる。
【0040】
また前記板状介在部31Aが、前記カバー部材25とは別体にして当該カバー部材25および前記第1の電動アクチュエータ27間に配置される中間部材35Aに設けられるので、前記板状介在部31Aを有する前記中間部材35Aの加工を容易としつつ、前記中間部材35Aひいては前記板状介在部31Aの配置上の自由度を高めることができる。
【0041】
また前記中間部材35Aに、前記板状介在部31Aに一端部が連設されて前記カバー部材25側に延びる支持板部32と、当該支持板部32の他端部に連なる取付け板部33とが設けられ、前記取付け板部33が前記カバー部材25に固定されるので、前記板状介在部31Aを、カバー部材25との間に間隔をあけた位置に安定して配置することができる。
【0042】
ところで前記中間部材36Aは、前記カバー部材25と同種の樹脂材料によって形成されていてもよいのであるが、変形例として、ゴムやウレタンで形成することも考えられる。この場合、ゴム製の中間部材36Aとすると、その弾性的性質によって低周波の音を抑制する効果が得られ、またウレタン製の中間部材36Aとすると、その軟質的性質によって高周波の音を抑制する効果が得られるので、そのような材料自体による特性に加えて、中間部材36Aとカバー部材25とによる共鳴空間構造の効果を相乗的に得ることが可能となる。但し、上述の第1の実施の形態のように音発生源が第1の電動モータ26を有する第1の電動アクチュエータ27である場合には、ゴム製の中間部材として低周波の音を抑制することが望ましい。
【0043】
次に本発明の第2~第6の実施の形態について、
図6~
図10を参照しながら以下に説明するが、上記第1の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0044】
図6は本発明の第2の実施の形態を示すものであり、カバー部材25とは別体にして当該カバー部材25および第1の電動アクチュエータ27(第1の実施の形態参照)間に配置される中間部材35Bは、前記第1の電動アクチュエータ27よりも着座者に近い側で板状介在部31Aに連設されて前記カバー部材25から遠ざかる側に突出する第1突出部36を有しており、前記第1の電動アクチュエータ27のうち少なくとも前記着座者に近い側の一部が前記第1突出部36で覆われる。この第2の実施の形態では、前記第1突出部36は前記板状介在部31Aの上部に一体に連設され、前記第1の電動アクチュエータ27が前記第1突出部36で上方から覆われる。
【0045】
この第2の実施の形態によれば、第1の電動アクチュエータ27が有する第1の電動モータ26は、その外周方向に作動音を放射するものであり、第1の電動アクチュエータ27からその外周方向に放射されるのに対して、前記中間部材35Bの前記板状介在部31Aおよび前記第1突出部36が第1の電動アクチュエータ27の外周の一部に沿って配置されることによって、前記第1の電動アクチュエータ27の前記状介在部31A側に臨む部分以上の範囲で第1の電動アクチュエータ27の外周の一部に沿って前記中間部材35Bで配置されることになり、第1の電動アクチュエータ27が発生する音の効率的な消音が可能となる。しかも第1の電動アクチュエータ27の着座者に近い側が第1突出部36で覆われることにより、前記第1の電動アクチュエータ27から発生する音が着座者側に伝わる音を効果的に消音することができる。特に、この第2の実施の形態のように前記第1の電動モータ26が車両前後方向にほぼ沿う姿勢で配置されている場合に、第1の電動モータ26から放射される作動音は第1の電動モータ26の回転方向によって上方側がより強くなる傾向があるが、そのような作動音が着座者側に届くのを前記第1突出部36で抑制することが可能となる。
【0046】
図7は本発明の第3の実施の形態を示すものであり、カバー部材25とは別体にして当該カバー部材25および第1の電動アクチュエータ27(第1の実施の形態参照)間に配置される中間部材35Cは前記第1の電動アクチュエータ27よりも着座者から遠い側で前記板状介在部31Aに連設されて前記カバー部材25から遠ざかる側に突出する第2突出部37Aを有し、前記第1の電動アクチュエータ27のうち少なくとも前記着座者から遠い側の一部が前記第2突出部37Aで覆われる。この第3の実施の形態では、前記第2突出部37Aは前記板状介在部31Aの下部に一体に連設され、前記第1の電動アクチュエータ27が前記第2突出部37Aで下方から覆われる。
【0047】
しかも前記第2突出部37Aは、前記第1の電動アクチュエータ27および前記支持板部32間で前記板状介在部31Aに連設されており、当該第2突出部37Aの前記第1の電動アクチュエータ27と反対側の側面の複数箇所には、前記板状介在部31Aに連なる補強部38が設けられる。
【0048】
この第3の実施の形態によれば、第1の電動アクチュエータ27が有する第1の電動モータ26は、その外周方向に作動音を放射するものであり、第1の電動アクチュエータ27からその外周方向に放射されるのに対して、前記中間部材35Cの前記板状介在部31Aおよび前記第2突出部37が、前記第1の電動アクチュエータ27の前記板状介在部31A側に臨む部分以上の範囲で第1の電動アクチュエータ27の外周の一部に沿って配置されることによって、第1の電動アクチュエータ27が発生する音の効率的な消音が可能となり、特に前記第1の電動アクチュエータ27よりも着座者から遠い側で前記板状介在部31Aに連設された第2突出部37Aで前記第1の電動アクチュエータ27のうち少なくとも着座者から遠い側の一部が覆われるので、着座者から遠い側で第1の電動アクチュエータ27から発生する音を効果的に消音することができる。
【0049】
またこの第3の実施の形態では、シートフレーム17のシートクッションフレーム18における左側のサイドフレーム18aに音発生源である第1の電動アクチュエータ27が取付けられているのであるが、前席の前記シートフレーム17のシートバックフレーム18に音発生源が配設されている場合には、音発生源よりも着座者から遠い側で前記板状介在部に連設された第2突出部で音発生源のうち少なくとも着座者から遠い側が覆われることで、後席の着座者側に放射される音の消音を図ることが可能である。
【0050】
また前記第2突出部37Aの前記第1の電動アクチュエータ27と反対側の側面に設けられる補強部38で前記板状介在部31Aの強度を高めることができ、特に車両側方からの衝突等の外力入力時に前記板状介在部31Aで前記カバー部材25を補強することができる。
【0051】
図8は本発明の第4の実施の形態を示すものであり、カバー部材25とは別体にして当該カバー部材25および第1の電動アクチュエータ27(第1の実施の形態参照)間に配置される中間部材35Dは、板状介在部31Aの下部に連設されて前記カバー部材25から遠ざかる側に突出しつつ第1の電動アクチュエータ27を下方から覆うとともに補強部38で補強された第2突出部37Bを有するとともに、第1の電動アクチュエータ27とは反対側から前記第2突出部37Bを覆う被覆部39を有し、前記被覆部39は前記取付け板部37の先端部に連設される。しかも第2突出部37Bには、特定の消音したい周波数に応じて孔径を適宜変更可能な複数の第2の貫通孔40が設けられる。
【0052】
この第4の実施の形態によれば、前記中間部材35Dだけで完結する共鳴空間を前記第2突出部37Bおよび前記被覆部49間に構成することができる。
【0053】
図9は本発明の第5の実施の形態を示すものであり、カバー部材25とは別体にして当該カバー部材25および第1の電動アクチュエータ27(第1の実施の形態参照)間に配置される前記中間部材35Dの板状介在部31Aと、前記第1の電動アクチュエータ27もしくは前記カバー部材25との間にはウレタンパッド41が介装されるものであり、この第5の実施の形態では、前記中間部材35Dの前記板状介在部31Aと、前記第1の電動アクチュエータ27との間に前記ウレタンパッド41が介装される。
【0054】
この第5の実施の形態によれば、共鳴空間による消音効果に加えて、前記ウレタンパッド41による吸音効果も得ることができる。
【0055】
図10および
図11は本発明の第6の実施の形態を示すものであり、第1の電動アクチュエータ27(第1の実施の形態参照)と、前記左側のサイドフレーム18a(第1の実施の形態参照)との間には、カバー部材25内に収容されるようにして前記サイドフレーム18aに外方から対向する板状介在部31Bが配置されており、この板状介在部31Bには複数の貫通孔34が穿設される。
【0056】
前記板状介在部31Bは、前記カバー部材25とは別体にして当該カバー部材25および前記第1の電動アクチュエータ27間に配置される樹脂製の中間部材35Eに設けられるものであり、この中間部材35Eには、矩形状である前記板状介在部31Bの全周縁部に一端部が連設されて傾斜しつつ前記第1の電動アクチュエータ27側にわずかに延びる側壁部42と、その側壁部42の他端部の全周に一端部が連なって前記カバー部材25側に延びる矩形筒状の支持壁部43とが設けられ、前記支持壁部43の他端部全周が、前記板状介在部31Bおよび前記カバー部材25間に密閉空間を形成するようにして前記カバー部材25に接着等によって固定される。
【0057】
ところで前記第1の電動アクチュエータ27は、その外周方向に音を放射するものであり、前記支持壁部43の前記カバー部材25への固定状態で、前記板状介在部31Bおよび前記側壁部42は、前記第1の電動アクチュエータ27の外周の一部に沿って配置されることになる。
【0058】
この第6の実施の形態によれば、第1の電動アクチュエータ27からその外周方向に放射されるのに対して、前記中間部材35Eが、前記第1の電動アクチュエータ27の前記板状介在部31B側に臨む部分以上の範囲で第1の電動アクチュエータ27の外周の一部に沿って配置されることによって、第1の電動アクチュエータ27が発生する音の効率的な消音が可能となる。
【0059】
図12は本発明の第7の実施の形態を示すものであり、第1の電動アクチュエータ27(第1の実施の形態参照)と、前記左側のサイドフレーム18a(第1の実施の形態参照)との間には、カバー部材25内に収容されるようにして前記サイドフレーム18aに外方から対向する板状介在部31Bが配置されており、この板状介在部31Bには複数の貫通孔34が穿設される。
【0060】
前記板状介在部31Bは、前記カバー部材25とは別体にして当該カバー部材25および前記第1の電動アクチュエータ27間に配置される樹脂製の中間部材35Fに設けられるものであり、この中間部材35Fには、矩形状である前記板状介在部31Bの全周縁部に一端部が連設されて傾斜しつつ前記第1の電動アクチュエータ27側にわずかに延びる側壁部42と、その側壁部42の他端部の全周に一端部が連なって前記カバー部材25側に延びる矩形筒状の支持壁部43と、中間部材35Fの前後両端部で前記支持壁部43の他端部に連なる取付け板部44と、前記支持壁部43および前記取付け板部44間に複数ずつ設けられる補強部45とが設けられ、前記取付け板部44が前記カバー部材25に固定される。
【0061】
この第7の実施の形態によれば、上記第6の実施の形態と同様の効果を奏した上に、前記中間部材35Fの前記カバー部材25への固定強度を高めることができる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0063】
たとえば前記板状介在部31A,31Bは、平板状であってもよいが、音発生源から遠ざかる側にわずかに膨らんだ湾曲状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0064】
11・・・車両用シート
12・・・シートクッション
13・・・シートバック
17・・・シートフレーム
18・・・シートクッションフレーム
19・・・シートバックフレーム
25・・・カバー部材
27・・・音発生源である第1の電動アクチュエータ
31A,31B・・・板状介在部
32,43・・・支持板部
33,44・・・取付け板部
34・・・貫通孔
35A,35B,35C,35D,35E,35F・・・中間部材
36・・・第1突出部
37A,37B・・・第2突出部
38・・・補強部
39・・・被覆部
40・・・第2の貫通孔
41・・・ウレタンパッド