(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】ブラスト装置
(51)【国際特許分類】
B24C 3/30 20060101AFI20230616BHJP
B24C 5/06 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
B24C3/30
B24C5/06 B
(21)【出願番号】P 2019141948
(22)【出願日】2019-08-01
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】592148155
【氏名又は名称】株式会社サンポー
(74)【代理人】
【識別番号】100183380
【氏名又は名称】山下 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷川 準
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 幸三
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-074042(JP,A)
【文献】特開2001-088031(JP,A)
【文献】特開平06-055433(JP,A)
【文献】特開平04-105868(JP,A)
【文献】実開平02-061564(JP,U)
【文献】特公昭29-003950(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 1/00 - 11/00
B24B 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被研掃体を収容して回転するバレルカゴと、
複数のブレードが設けられたディスクを備え、前記ディスクを回転させて前記ディスクの遠心力を利用して研掃材を被研掃体に向けて投射し、前記バレルカゴ内に設けられた投射ロータと、
前記バレルカゴおよび前記投射ロータを支持する筐体と、を備え、
前記バレルカゴは、
複数の被研掃体が投入・排出される開口部を有するカゴ本体と、
前記開口部を開閉する蓋部と、を備え、
前記筐体に設けられ、前記蓋部を作動させ前記開口部を開閉する開閉部と、
前記開閉部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記蓋部は、
前記開口部に当接して前記開口部を閉じ、および、前記開口部から離間して前記開口部を開くカバーと、
前記カゴ本体に設けられた保持部と、
前記カバーに設けられ、前記保持部に保持されると、前記カバーが前記開口部に当接して前記開口部を閉じた状態となる被保持部と、を備え、
前記制御部は、前記開閉部を作動させて、
前記カバーを引き上げることにより、前記保持部と前記被保持部との結合を解除して、前記カバーを前記開口部から離間させて前記開口部を開き、および、
前記カバーを押し下げることにより、前記保持部と前記被保持部とを結合させ、前記カバーを前記開口部に当接させ前記開口部を閉じる、ブラスト装置。
【請求項2】
複数の被研掃体を収容して回転するバレルカゴと、
複数のブレードが設けられたディスクを備え、前記ディスクを回転させて前記ディスクの遠心力を利用して研掃材を被研掃体に向けて投射し、前記バレルカゴ内に設けられた投射ロータと、
前記バレルカゴおよび前記投射ロータを支持する筐体と、を備え、
前記バレルカゴは、
複数の被研掃体が投入・排出される開口部を有するカゴ本体と、
前記開口部を開閉する蓋部と、を備え、
前記筐体に設けられ、前記蓋部を作動させ前記開口部を開閉する開閉部と、
前記開閉部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記蓋部は、
前記カゴ本体に対し回動可能に設けられ、回動することにより、前記開口部に当接して前記開口部を閉じ、および、前記開口部から離間して前記開口部を開くカバーと、
前記カゴ本体に設けられた保持部と、
前記カバーに設けられ、前記保持部に保持されると、前記カバーが前記開口部に当接して前記開口部を閉じた状態となる被保持部、を備え、
前記開閉部は、前記筐体に対し回動可能に設けられた開閉アームを備え、
前記制御部は、前記開閉アームを作動させて、
前記カバーを押し上げることにより、前記保持部と前記被保持部との結合を解除して、前記カバーを前記開口部から離間させて前記開口部を開き、および、
前記カバーを押し下げることにより、前記保持部と前記被保持部とを結合させ、前記カバーを前記開口部に当接させ前記開口部を閉じる、ブラスト装置。
【請求項3】
複数の被研掃体を収容して回転するバレルカゴと、
複数のブレードが設けられたディスクを備え、前記ディスクを回転させて前記ディスクの遠心力を利用して研掃材を被研掃体に向けて投射し、前記バレルカゴ内に設けられた投射ロータと、
前記バレルカゴおよび前記投射ロータを支持する筐体と、を備え、
前記バレルカゴは、
複数の被研掃体が投入・排出される開口部を有するカゴ本体と、
前記開口部を開閉する蓋部と、を備え、
前記筐体に設けられ、前記蓋部を作動させ前記開口部を開閉する開閉部と、
前記開閉部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記蓋部は、
前記開口部に当接して前記開口部を閉じ、および、前記開口部から離間して前記開口部を開くカバーと、
一端が前記カゴ本体に接続され、他端が前記カバーに接続されたコイルバネと、を備え、
前記制御部は、前記開閉部を作動させて、
前記カバーを前記コイルバネの引張力に抗して引き上げることにより、前記カバーを前記開口部から離間させて前記開口部を開き、および、
前記カバーを前記コイルバネの引張力によって、前記カバーを前記開口部に当接させ前記開口部を閉じる、ブラスト装置。
【請求項4】
前記バレルカゴの前記カゴ本体は、
円筒部と、
前記バレルカゴの回転の軸方向において前記円筒部の両側に設けられ、前記円筒部から離れるにつれて先細る一対の円錐台部と、を備え、
各円錐台部の斜面部の内面には、前記バレルカゴの回転方向において下流側にいくにつれて前記円筒部から離間するように傾斜し、前記バレルカゴの回転時に前記被研掃体を前記円筒部の底部へ案内する複数枚の案内板が設けられている、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のブラス
ト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研掃材により被研掃体を研掃するブラスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転する筒状の缶体内に複数本のブラストノズルを設けて、缶体内の被加工物を下降するブラスト装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のブラスト装置では、缶体内に複数本のブラストノズルを設ける構成であるため、消費電力が多くなっていた。
【0005】
そこで、本発明は、省電力のブラスト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態におけるブラスト装置は、複数の被研掃体を収容して回転するバレルカゴと、複数のブレードが設けられたディスクを備え、前記ディスクを回転させて前記ディスクの遠心力を利用して研掃材を被研掃体に向けて投射し、前記バレルカゴ内に設けられた投射ロータと、備える。
【0007】
前記バルレカゴおよび前記投射ロータを支持する筐体を、さらに備え、前記バレルカゴは、複数の被研掃体が投入・排出される開口部を有するカゴ本体と、前記開口部を開閉する蓋部と、を備え、前記筐体に設けられ、前記蓋部を作動させ前記開口部を開閉する開閉部と、前記開閉部の動作を制御する制御部と、を備えてもよい。
【0008】
前記蓋部は、前記開口部に当接して前記開口部を閉じ、および、前記開口部から離間して前記開口部を開くカバーと、前記カゴ本体に設けられた保持部と、前記カバーに設けられ、前記保持部に保持されると、前記カバーが前記開口部に当接して前記開口部を閉じた状態となる被保持部と、を備え、前記制御部は、前記開閉部を作動させて、前記カバーを引き上げることにより、前記保持部と前記被保持部との結合を解除して、前記カバーを前記開口部から離間させて前記開口部を開き、および、前記カバーを押し下げることにより、前記保持部と前記被保持部とを結合させ、前記カバーを前記開口部に当接させ前記開口部を閉じてもよい。
【0009】
前記蓋部は、前記カゴ本体に対し回動可能に設けられ、回動することにより、前記開口部に当接して前記開口部を閉じ、および、前記開口部から離間して前記開口部を開くカバーと、前記カゴ本体に設けられた保持部と、前記カバーに設けられ、前記保持部に保持されると、前記カバーが前記開口部に当接して前記開口部を閉じた状態となる被保持部、を備え、前記開閉部は、前記筐体に対し回動可能に設けられた開閉アームを備え、前記制御部は、前記開閉アームを作動させて、前記カバーを押し上げることにより、前記保持部と前記被保持部との結合を解除して、前記カバーを前記開口部から離間させて前記開口部を開き、および、前記カバーを押し下げることにより、前記保持部と前記被保持部とを結合させ、前記カバーを前記開口部に当接させ前記開口部を閉じてもよい。
【0010】
前記蓋部は、前記開口部に当接して前記開口部を閉じ、および、前記開口部から離間して前記開口部を開くカバーと、一端が前記カゴ本体に接続され、他端が前記カバーに接続されたコイルバネと、を備え、前記制御部は、前記開閉部を作動させて、前記カバーを前記コイルバネの引張力に抗して引き上げることにより、前記カバーを前記開口部から離間させて前記開口部を開き、および、前記カバーを前記コイルバネの引張力によって、前記カバーを前記開口部に当接させ前記開口部を閉じてもよい。
【0011】
前記バレルカゴの前記カゴ本体は、円筒部と、前記バレルカゴの回転の軸方向において前記円筒部の両側に設けられ、前記円筒部から離れるにつれて先細る一対の円錐台部と、を備え、各円錐台部の斜面部の内面には、前記バレルカゴの回転方向において下流側にいくにつれて前記円筒部から離間するように傾斜し、前記バレルカゴの回転時に前記被研掃体を前記円筒部の底部へ案内する複数枚の案内板が設けられてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、省電力のブラスト装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係るブラスト装置の側面図を示す。
【
図2】本発明の実施形態に係るブラスト装置の正面図を示す。
【
図3】本発明の実施形態に係るバレルカゴの説明図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る投射ロータの説明図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るブラスト装置における被研掃体の排出・投入動作の説明図である。
【
図6】変形例に係るブラスト装置における被研掃体の排出・投入動作の説明図である。
【
図7】変形例に係るブラスト装置における被研掃体の排出・投入動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係るブラスト装置1ついて図面を参照して説明する。
【0015】
<全体構成>
はじめに本実施形態に係るブラスト装置1の全体構成について説明する。
【0016】
図1は、キャビネット本体2の内部構造を図示したブラスト装置1の側面図である。
図2は、キャビネット本体2の内部構造を図示したブラスト装置1の正面図である。
【0017】
図1、2に示すように、ブラスト装置1は、筐体であるキャビネット本体2と、制御部3と、被研掃体を研磨する研掃部10と、研掃材を回収し研掃部10へ供給する回収供給部20と、を備える。研掃部10および回収供給部20は、キャビネット本体2に支持されている。
【0018】
キャビネット2の正面には、被研掃体を投入するための投入ドア2Aおよび投入カゴ2B、および、被研掃体を排出するための排出ドア2Cが設けられている。投入ドア2Aは、第1エアシリンダ2Dにより開閉される。投入カゴ2Bは、第1駆動モータ2Eにより回転駆動され、複数の被研掃体を後述のバレルカゴ31内に投入する。排出ドア2Cは、第2エアシリンダ2Fにより回動され開閉される。
【0019】
制御部3は、CPU(Central Processing Unit)および記憶部を備える。CPUは、記憶部に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、ブラスト装置1の全体を制御する。
【0020】
研掃部10は、回転部30と、開閉部40と、投射部50と、排出部60と、を備える。
【0021】
回転部30は、バレルカゴ31と、第2駆動モータ32と、第3駆動モータ33と、を備える。
【0022】
バレルカゴ31は、複数の被研掃体が投入・排出される開口部34aを有するカゴ本体34と、開口部34aを開閉する蓋部35と、を備える。
【0023】
カゴ本体34は、円筒部36と、バレルカゴ31の回転の軸方向において円筒部36の両側に設けられ、円筒部36から離れるにつれて先細る一対の円錐台部37と、を備える(
図3も参照)。カゴ本体34には、バレルカゴ31の回転の軸方向に沿って、カゴ本体34を貫通する貫通穴34bが形成されている。開口部34aは、円筒部36に形成されている。円筒部36には、研掃材が落下可能な複数の穴が形成されている。
【0024】
図3(a)は、一方の円錐台部37の内面図であり、
図3(b)は、バレルカゴ31をその回転軸を含むように鉛直方向に沿って切った断面図である。
図3(a)では、バレルカゴ31は矢印R1の方向に沿って回転し、
図3(b)では、バレルカゴ31はその上端が図の手前側に、下端が図の奥側に向かうように回転する。
【0025】
図3に示すように、各円錐台部37の斜面部37Aの内面には、バレルカゴ31の回転方向において下流側にいくにつれて円筒部36から離間するように傾斜する複数枚の案内板37Bが設けられている。複数の案内板37Bは、逆ハの字状をなすように設けられている。複数の案内板37Bは、バレルカゴ31の回転時に被研掃体を円筒部36の底部へ案内する。
【0026】
第2駆動モータ32および第3駆動モータ33は、キャビネット本体2の正面及び裏面に設けられている。第2駆動モータ32および第3駆動モータ33によって、バレルカゴ31が回転される。
【0027】
図1に示すように、蓋部35は、カバー35Aと、保持部35Bと、被保持部35Cと、を備える。カバー35Aは、カゴ本体34に対し回動可能に設けられ、回動することにより、開口部34aに当接して開口部34aを閉じ、および、開口部34aから離間して開口部34aを開く。保持部35Bは、カゴ本体34に設けられている。保持部35Bは、カバー35Aに向かって突出する凸部を有する板バネにより構成されている。保持部35Bは、例えば、円筒部36の軸方向の両端に設けられている。被保持部35Cは、カバー35Aの先端(可動軸に対する反対側の端部)に設けられ、断面が半円形状をなしている。被保持部35Cは、保持部35Bに対応して設けられている。カバー35Aの先端であって、被保持部35Cが設けられていない位置に、カバー35Aから突出する突起部35Dが設けられている。
【0028】
突起部35Dを介して、被保持部35Cが下げられ、保持部35Bを弾性変形させながら凸部を超えて凸部の下側に到達することにより、被保持部35Cが保持部35Bに保持された状態となる。突起部35Dを介して、被保持部35Cが上げられ、保持部35Bを弾性変形させながら凸部を超えて凸部の上側に到達することにより、被保持部35Cの保持部35Bによる保持が解除される。
【0029】
開閉部40は、キャビネット本体2に設けられ、第3エアシリンダ41と、開閉アーム42とを備えている。第3エアシリンダ41により開閉アーム42が回動するように構成されている。開閉部40は、開閉アーム42がカバー35Aの突起部35Dを押し上げることにより、保持部35Bと被保持部35Cとの結合を解除して、カバー35Aを開口部34aから離間させて開口部34aを開き、および、カバー35Aの突起部35Dを押し下げることにより、保持部35Bと被保持部35Cとを結合させ、カバー35Aを開口部34aに当接させ開口部34aを閉じるように構成されている。
【0030】
図2に示すように、投射部50は、第4駆動モータ51と、供給スクリュ52と、第5駆動モータ53と、投射ロータ54とを備える。
【0031】
第4駆動モータ51は、供給スクリュ52を回転させ、回収供給部20からの研掃体を投射ロータ54へ供給する。供給スクリュ52は貫通穴34b内に設けられている。第5駆動モータ53は、貫通穴34b内に設けられている。投射ロータ54は、貫通穴34b内であって、円筒部36に対応する位置に設けられている。
【0032】
図4(a)は、投射部50の概略図であり、
図4(b)は、ブレード58およびディスク59の側面図である。
【0033】
投射ロータ54は、第5駆動モータ53の駆動軸55により回転され研掃材を外周方向に放射するインペラ56と、インペラ56から放射される研掃材の投射方向を設定する開口部57aを設けるデフレクタ57と、デフレクタ57から送出された研掃材に遠心力を加えて投射するブレード58と、ブレード58を回転すべく駆動軸55に固定された円盤状のディスク59とを備える。当該構成により、
図4(b)に点線で示すように、研掃材は、約60°の広がりを持って、円筒部36の底部に位置する被研掃体に投射される。
【0034】
貫通穴34b内には、例えば、略円筒状の部材が配置されており、当該部材内に、供給スクリュ52、第5駆動モータ53、および投射ロータ54が配置されている。そして、当該部材の円筒部36に相当する部分の底部に、開口が形成され、当該開口を介して投射ロータ54からの研掃材が円筒部36の底部に向かって投射される。
【0035】
図1、2に示すように、排出部60は、バレルカゴ31の下側に設けられたコンベア等の搬送部61と、搬送部61を駆動する第6駆動モータ62とにより構成され、研掃後の被研掃体を搬送し、排出ドア2Cを介して、研掃後の被研掃体をキャビネット本体2外に排出する。
【0036】
回収供給部20は、回収スクリュ21と、エレベータ22と、研掃材タンク23と、研掃材シュート24とを備える。回収スクリュ21により回収された研掃材は、エレベータ22により、鉛直方向に沿って上方に搬送され、研掃材タンク23に戻される。研掃材タンク23から、研掃材シュート24を介して、研掃体供給スクリュ52へ研掃体が供給される。
【0037】
<排出・投入動作>
次に、ブラスト装置1における被研掃体の排出・投入動作について、
図5を参照して説明する。下記のブラスト装置1における排出・投入動作は、制御部3が各構成要素を制御することにより実行される。
【0038】
図5は、ブラスト装置1における被研掃体の排出・投入動作の説明図である。
【0039】
図5(a)において、複数の被研掃体の研掃が終了した後、開閉部40の開閉アーム42を回動させて、カバー35Aを回動させ、保持部35Bと被保持部35Cとの結合を解除して、カバー35Aを開口部34aから離間させて開口部34aを開く。
図5(b)に示すように、バレルカゴ31を矢印の方向に回転させて、複数の研掃体を開口部34aを介して排出部60へ落下させる。排出部60により研掃後の被研掃体を搬送し、排出ドア2Cを介して、研掃後の被研掃体をキャビネット本体2外に排出する。
【0040】
図5(c)に示すように、バレルカゴ31を矢印の方向に回転させて、投入カゴ2Bを回動させ、投入ドア2Aを介して、未研掃の複数の被研掃体をバレルカゴ31内に投入する。
図5(d)に示すように、バレルカゴ31を矢印の方向に回転させて、開閉アーム42を回動させて、カバー35Aを回動させ、保持部35Bと被保持部35Cとを結合させて、カバー35Aを開口部34aに当接させ開口部34aを閉じる。そして、バレルカゴ31を回転させ、投射ロータ54から研掃材を投射することにより、複数の被研掃体が研掃される。
【0041】
<作用効果>
以上に記載したようなブラスト装置1によれば、複数のブレード58が設けられたディスク59を回転させてディスク59の遠心力を利用して研掃材を被研掃体に向けて投射し投射する投射ロータ54が、バレルカゴ31内に設けられている。これにより、被研掃体の直近から大量の研掃材を投射することができるので、ノズルにより研掃材を投射するブラスト装置と比較して省電力のブラスト装置1を提供することができる。例えば、ノズル1本につき3.7kWで投射量は10kg/minであるのに対し、本実施形態のブラスト装置1では、第5駆動モータ53の定格出力が3.7kwで投射量は50kg/minである。
【0042】
蓋部35を作動させバレルカゴ31の開口部34aを開閉する開閉部40の動作を制御する制御部3を備えるので、バレルカゴ31の蓋部35の開閉の自動化を図ることができ、ブラスト装置1における研掃作業の作業性を向上させることができる。
【0043】
制御部3は、開閉部40の開閉アーム42を作動させて、開閉アーム42がカバー35Aの突起部35Dを押し上げることにより、保持部35Bと被保持部35Cとの結合を解除して、カバー35Aを開口部34aから離間させて開口部34aを開き、および、カバー35Aの突起部35Dを押し下げることにより、保持部35Bと被保持部35Cとを結合させ、カバー35Aを開口部34aに当接させ開口部34aを閉じる。このように、確実にバレルカゴ31の蓋部35の開閉を実行させることができる。
【0044】
バレルカゴ31のカゴ本体34は、円筒部36と、バレルカゴ31の回転の軸方向において円筒部36の両側に設けられ、円筒部36から離れるにつれて先細る一対の円錐台部37と、を備え、各円錐台部37の斜面部37Aの内面には、バレルカゴ31の回転方向において下流側にいくにつれて円筒部36から離間するように傾斜し、バレルカゴ31の回転時に被研掃体を円筒部36の底部へ案内する複数枚の案内板37Bが設けられている。これにより、複数の被研掃体が、円筒部36の底部になめらかに集まるようにすることができ、かつ、被研掃体を反転させて、被研掃体の表面全体をムラなく短時間でブラスト加工ができる。
【0045】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形は可能である。
【0046】
例えば、上記実施形態の蓋部35および開閉部40は、
図6に示す蓋部135および開閉部140であってもよい。蓋部135は、カバー135Aと、保持部135Bと、被保持部135Cと、被係合部135Dと、を備える。保持部135Bは、カゴ本体34に複数設けられている。保持部135Bは、バネキャッチャであり、略U字状の板ばねにより構成されている。被保持部135Cは、カバー135Aの下面に保持部135Bに対応して設けられ、下端に円形部を有している。被係合部135Dは、カバー135Aの上面に設けられている。
図6(a)の一点鎖線の円形で囲まれた部分は、破線の円形で囲まれた領域Xの拡大図であって、領域Xを正面側から見た図である。当該拡大図に示すように、被係合部135Dは、正面視で略T字状をなしている。
【0047】
被保持部135Cの円形部が、保持部135Bを押し広げながら、保持部135Bの下側部分に嵌ることにより、被保持部135Cが保持部135Bに保持された状態となる。被保持部135Cの円形部が、保持部135Bを押し広げながら、円形部を保持部135Bから引き抜くことにより、被保持部35Cの保持部35Bによる保持が解除される。
【0048】
開閉部140は、キャビネット本体2に設けられ、第4エアシリンダ141と、係合部142とを備えている。係合部142は、第4エアシリンダ141の先端に設けられ、
図6(a)領域Xの拡大図に示すように、正面視で略T字状の貫通穴を有する。第4エアシリンダ141により係合部142を被係合部135Dまで下げ、バレルカゴ31を回転させて、被係合部135Dを係合部142の貫通穴に挿入させることにより、被係合部135Dが係合部142に係合される。
【0049】
第4エアシリンダ141が係合部142を引き上げることにより、保持部135Bと被保持部135Cとの結合を解除して、カバー135Aを開口部34aから離間させて開口部34aを開き、および、第4エアシリンダ141が係合部142を押し下げることにより、保持部135Bと被保持部135Cとを結合させ、カバー135Aを開口部34aに当接させ開口部34aを閉じるように構成されている。
【0050】
次に、本変形例のブラスト装置1における被研掃体の排出・投入動作について、
図6を参照して説明する。下記のブラスト装置1における排出・投入動作は、制御部3が各構成要素を制御することにより実行される。
【0051】
図6(a)において、複数の被研掃体の研掃が終了した後、開閉部140の第4エアシリンダ141を作動させて係合部142を下げ、バレルカゴ31を回転させて、被係合部135Dを係合部142に係合させる。第4エアシリンダ141により係合部142を引き上げて、保持部135Bと被保持部135Cとの結合を解除して、カバー135Aを開口部34aから離間させて開口部34aを開く。
図6(b)に示すように、バレルカゴ31を矢印の方向に回転させて、複数の研掃体を開口部34aを介して排出部60へ落下させる。排出部60により研掃後の被研掃体を搬送し、排出ドア2Cを介して、研掃後の被研掃体をキャビネット本体2外に排出する。
【0052】
図6(c)に示すように、バレルカゴ31を矢印の方向に回転させて、投入カゴ2Bを回転させ、投入ドア2Aを介して、研掃されていない複数の被研掃体をバレルカゴ31内に投入する。
図6(d)に示すように、バレルカゴ31を矢印の方向に回転させて、第4エアシリンダ141によりカバー135Aを押し下げて、保持部35Bと被保持部35Cとを結合させて、カバー135Aを開口部34aに当接させ開口部34aを閉じる。そして、バレルカゴ31を回転させ、係合部142を引き上げて、被係合部135Dを係合部142から離間させる。バレルカゴ31を回転させながら、投射ロータ54から研掃材を投射することにより、複数の被研掃体が研掃される。当該構成によっても上記実施形態のブラスト装置1と同様の効果を奏することができる。
【0053】
また、上記実施形態の蓋部35および開閉部40は、
図7に示す蓋部235および開閉部240であってもよい。蓋部235は、カバー235Aと、コイルバネ235Bと、カバー載置部235Cと、被係合部235Dと、を備える。コイルバネ235Bは、一端がカゴ本体34に接続され、他端がカバー235Aに接続されている。コイルバネ235Bは、例えば、一対設けられ、各コイルバネ235Bの一端は、各円錐台部37(
図2)に接続される。カバー載置部235Cは、カゴ本体34に設けられ、カバー235Aの外周縁を支持する環状突起により構成されている。被係合部235Dは、カバー235Aの上面に設けられ、上記の被係合部135Dと同様に正面視で略T字状をなしている。
【0054】
開閉部240は、キャビネット本体2に設けられ、第5エアシリンダ241と、係合部242とを備えている。係合部242は、第4エアシリンダ241の先端に設けられ、上記の係合部142と同様に、正面視で略T字状の貫通穴を有する。第5エアシリンダ241により係合部242を被係合部235Dまで下げ、バレルカゴ31を回転させて、被係合部235Dを係合部242の貫通穴に挿入させることにより、被係合部235Dが係合部242に係合される。
【0055】
第5エアシリンダ241が係合部242をコイルバネ235Bの引張力に抗して引き上げることにより、カバー235Aが開口部34aから離間して開口部34aが開き、および、第5エアシリンダ241が係合部242を下げることにより、カバー235Aを開口部34aに当接させコイルバネ235Bの引張力により開口部34aを閉じるように構成されている。また、第5エアシリンダ241によりカバー235Aを引き上げた後、バレルカゴ31を回転させて、カバー235Aを下げてカバー載置部235Cに載置し、バレルカゴ31を回転させて、係合部242と被係合部235Dとの係合を解除し、第5エアシリンダ241が係合部242を引き上げる。このようにして、カバー235Aはカバー載置部235Cに載置される。
【0056】
次に、本変形例のブラスト装置1における被研掃体の排出・投入動作について、
図7を参照して説明する。下記のブラスト装置1における排出・投入動作は、制御部3が各構成要素を制御することにより実行される。
【0057】
図7(a)において、複数の被研掃体の研掃が終了した後、開閉部240の第5エアシリンダ241を作動させて係合部242を下げ、バレルカゴ31を回転させて、被係合部235Dを係合部242に係合させる。第5エアシリンダ241により係合部242をコイルバネ235Bの引張力に抗して引き上げて、カバー235Aを開口部34aから離間させて開口部34aを開く。
図7(b)に示すように、バレルカゴ31を矢印の方向に回転させて、カバー235Aの直下にカバー載置部235Cが位置するようにして、第5エアシリンダ241によりカバー235Aを下げて、カバー235Aをカバー載置部235Cに載置する。
【0058】
図7(c)に示すように、バレルカゴ31を矢印の方向に回転させて、複数の研掃体を開口部34aを介して排出部60へ落下させる。排出部60により研掃後の被研掃体を搬送し、排出ドア2Cを介して、研掃後の被研掃体をキャビネット本体2外に排出する。同時に、第5エアシリンダ241を作動させて係合部242を上げる。
図7(d)に示すように、バレルカゴ31を矢印の方向に回転させて、投入カゴ2Bを回転させ、投入ドア2Aを介して、研掃されていない複数の被研掃体をバレルカゴ31内に投入する。
【0059】
図7(e)に示すように、バレルカゴ31を矢印の方向に回転させて、第5エアシリンダ241を作動させて係合部242を下げ、バレルカゴ31を回転させて、被係合部235Dを係合部242に係合させる。第5エアシリンダ241により係合部242をコイルバネ235Bの引張力に抗して引き上げて、カバー235Aを開口部34aから離間させる。
図7(f)に示すように、バレルカゴ31を回転させて、カバー235Aの直下に開口部34aを位置させ、第5エアシリンダ241によりカバー235Aを下げて、カバー235Aにより開口部34aを閉じる。コイルバネ235Bの引張力により、カバー235Aは開口部34aに密着する。そして、バレルカゴ31を回転させながら、投射ロータ54から研掃材を投射することにより、複数の被研掃体が研掃される。当該構成によっても上記実施形態のブラスト装置1と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0060】
1:ブラスト装置、 2:キャビネット本体、 3:制御部、 31:バレルカゴ、 34:カゴ本体、 34a:開口部、 35、135、235:蓋部、 35A、135A、235A:カバー、 35B、135B:保持部、 35C、135C:被保持部、 36:円筒部、 37:円錐台部、 37B:案内板、 40、140、240:開閉部、 54:投射ロータ、 58:ブレード、 59:ディスク、 235B:コイルバネ