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7296727二酸化塩素を使用して乾燥を向上させるためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】二酸化塩素を使用して乾燥を向上させるためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/14 20190101AFI20230616BHJP
   B09B 3/30 20220101ALI20230616BHJP
   B09B 3/40 20220101ALI20230616BHJP
   C02F 11/06 20060101ALI20230616BHJP
   C02F 11/12 20190101ALI20230616BHJP
【FI】
C02F11/14 ZAB
B09B3/30
B09B3/40
C02F11/06 A
C02F11/12
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018534459
(86)(22)【出願日】2016-09-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-10-11
(86)【国際出願番号】 US2016052168
(87)【国際公開番号】W WO2017049108
(87)【国際公開日】2017-03-23
【審査請求日】2019-09-10
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-23
(31)【優先権主張番号】62/219,913
(32)【優先日】2015-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518092861
【氏名又は名称】ビーシーアール エンバイロンメンタル コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BCR ENVIRONMENTAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6621 Southpoint Dr. N, #200, Jacksonville, FL 32216, U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】100091502
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 正威
(72)【発明者】
【氏名】ムッサリ,フレデリック ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ノリス,マイケル フィリップ
【合議体】
【審判長】粟野 正明
【審判官】山本 佳
【審判官】佐藤 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-515600号公報(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第2182920号明細書(GB,A)
【文献】特開2000-140893号公報(JP,A)
【文献】特開2006-272235号公報(JP,A)
【文献】特開昭56-021700号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F11/00-11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水処理システムにおいて非消化2次スラッジを処理する方法であって、
非消化2次スラッジを二酸化塩素で処理することによって殺菌された前処理バイオソリッドを形成するステップと、
殺菌された前処理バイオソリッドを脱水することによって殺菌された脱水バイオソリッドをもたらすステップと、
殺菌された脱水バイオソリッドを乾燥することによって乾燥バイオソリッドをもたらすステップと、
廃水処理システムに、殺菌された脱水バイオソリッドを乾燥するための唯一の燃料源として乾燥バイオソリッドを導入するステップとを含む、方法。
【請求項2】
乾燥バイオソリッドの乾燥固体含量が、少なくとも70%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
殺菌された脱水バイオソリッドを乾燥するステップが、脱水バイオソリッドを乾燥機に通すステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
殺菌された脱水バイオソリッドの乾燥固体含量が、16%~40%である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
乾燥バイオソリッドを燃焼させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
乾燥バイオソリッドを燃焼させるステップが、焼却を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前処理バイオソリッドが、米国環境保護庁規則によるクラスBバイオソリッド基準を達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
乾燥バイオソリッドが、米国環境保護庁規則によるクラスAバイオソリッド基準を達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
二酸化塩素の投与量が、40ppm~60ppmである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
非消化2次廃水スラッジのレオロジーを変更することによって自由水および結合水の除去を促進するための方法であって、
二酸化塩素を非消化2次廃水スラッジに添加することによってスラッジのゼータ電位を中性値に向けて変えるとともに殺菌された前処理スラッジを形成するステップと、
殺菌された前処理スラッジを脱水することによって殺菌された脱水バイオソリッドをもたらすステップと、
殺菌された脱水バイオソリッドを乾燥することによって乾燥バイオソリッドをもたらすステップと、
殺菌された脱水バイオソリッドを乾燥するための唯一の燃料源として乾燥バイオソリッドを使用するステップとを含む、方法。
【請求項11】
非消化2次廃水スラッジを処理するためのシステムであって、
スラッジまたはバイオソリッドの供給源に流体連結し、かつ、非消化2次廃水スラッジを二酸化塩素で処理することによって殺菌された前処理バイオソリッドを形成するように構成された二酸化塩素投与システムと、
殺菌された前処理バイオソリッドを脱水することによって殺菌された脱水バイオソリッドをもたらすように構成された、二酸化塩素投与システムの下流にある脱水装置と、
脱水装置に流体連結し、かつ、殺菌された脱水バイオソリッドを乾燥することによって乾燥バイオソリッドをもたらすように構成された、脱水装置の下流にある乾燥機とを備え、
乾燥機は、殺菌された脱水バイオソリッドを乾燥するための唯一の燃料源として乾燥バイオソリッドを使用する、システム。
【請求項12】
脱水装置が、遠心分離機である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
遠心分離機の下流、乾燥機の上流に位置し、殺菌された脱水バイオソリッドを加熱乾燥に導入する前にその粒度分布を変えない輸送機を備える、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条に基づき、「二酸化塩素を使用して乾燥を向上させるためのシステムおよび方法(SYSTEMS AND METHODS FOR USING CHLORINE DIOXIDE TO ENHANCE DRYING)」と題して2015年9月17日に出願された米国特許仮出願第62/219,913号の利益を請求するものであり、その全開示は、あらゆる目的で、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる。
【0002】
廃水残留物、例えば、スラッジまたはバイオソリッドの乾燥の向上が、酸化によってもたらされる。より詳細には、乾燥の向上は、二酸化塩素処理によって実施することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つまたは複数の態様にしたがって、廃水処理システムにおいてスラッジまたはバイオソリッドを処理する方法は、スラッジまたはバイオソリッドを二酸化塩素で処理することによって前処理バイオソリッドを形成するステップと、前処理バイオソリッドを脱水することによって脱水バイオソリッドをもたらすステップと、脱水バイオソリッドを乾燥することによって乾燥バイオソリッドをもたらすステップとを含むことができる。
【0004】
一部の実施形態では、方法は、廃水処理システム用の燃料源として乾燥バイオソリッドを導入するステップをさらに含むことができる。一部の実施形態では、乾燥バイオソリッドの乾燥固体含量は、少なくとも約70%である。一部の実施形態では、方法は、廃水処理システムに、脱水バイオソリッドを乾燥するための唯一の燃料源として乾燥バイオソリッドを導入するステップをさらに含むことができる。一部の実施形態では、脱水バイオソリッドを乾燥するステップは、脱水バイオソリッドを乾燥機に通すステップを含む。一部の実施形態では、脱水バイオソリッドの乾燥固体含量は、約16%~約40%であってよい。
【0005】
一部の実施形態では、方法は、乾燥バイオソリッドを燃焼させるステップをさらに含むことができる。一部の実施形態では、乾燥バイオソリッドを燃焼させるステップは、焼却を含む。
【0006】
一部の実施形態では、前処理バイオソリッドは、米国環境保護庁規則によるクラスBバイオソリッド基準を達成する。
【0007】
一部の実施形態では、乾燥バイオソリッドは、米国環境保護庁規則によるクラスAバイオソリッド基準を達成する。
【0008】
一部の実施形態では、二酸化塩素の投与量は、約40ppm~約60ppmである。
【0009】
1つまたは複数の態様にしたがって、スラッジのレオロジーを変えることによって自由水および結合水の除去を促進するための方法は、二酸化塩素をスラッジに添加することによってスラッジのゼータ電位を中性値に向けて変えるステップと、スラッジを脱水することによって脱水バイオソリッドをもたらすステップと、脱水バイオソリッドを乾燥することによって乾燥バイオソリッドをもたらすステップとを含むことができる。
【0010】
1つまたは複数の態様にしたがって、スラッジまたはバイオソリッドを処理するためのシステムは、スラッジまたはバイオソリッドの供給源に流体連結した二酸化塩素投与システムと、二酸化塩素投与システムの下流にある脱水装置と、脱水装置に流体連結し、脱水装置の下流にある乾燥機とを備えることができる。
【0011】
一部の実施形態では、脱水装置は、遠心分離機である。
【0012】
一部の実施形態では、システムは、スラッジを加熱乾燥に導入する前にその粒度分布を変えない、遠心分離機の下流、乾燥機の上流に位置する輸送機をさらに備える。
【0013】
さらなる他の態様、実施形態、ならびにこうした例示的な態様および実施形態の利点は、以下で詳細に検討される。本明細書で開示される任意の実施形態は、本明細書で開示される目的、目標、および必要性の少なくとも1つと矛盾しない任意の方式で任意の他の実施形態と合わせることができ、「ある実施形態」、「一部の実施形態」、「代替の実施形態」、「多様な実施形態」、「一実施形態」などへの言及は、必ずしも互いに排他的ではなく、その実施形態と関連して記載された特定の特徴、構造または特性は、少なくとも1つの実施形態中に含めることができることを示すことが意図される。本明細書中でかかる用語が出現した場合、それらがすべて同じ実施形態への言及であるとは必ずしも限らない。
【0014】
ある特定の例示的特徴および実施例が、添付の図面を参照して以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】せん断応力対乾燥固体%のプロットを示す図である。
図2】一実施形態による廃水を処理するためのシステムの略図である。
図3】通常の条件下でスラッジから水を除去するのに必要な相対的エネルギーを示す図である。
図4】二酸化塩素で処理する前の粒度分布のチャートである。
図5】二酸化塩素で処理した後の粒度分布のチャートである。
図6】二酸化塩素処理の有無でのスラッジ沈降の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図に示された寸法、大きさ、成分および図は例示の目的のためであることは、本開示の利点を提示された当業者には理解されよう。他の寸法、表示、特徴、および成分もまた、本明細書の範囲を逸脱することなく、本明細書に開示の実施形態中に含めることができる。
【0017】
本開示は、本明細書に開示の方法によって廃水残留物、例えば、スラッジまたはバイオソリッドの乾燥を向上させるためのシステムに関する。例えば、廃水、スラッジまたはバイオソリッドの酸化は、バイオソリッドの脱水を含むことができる下流の処理の前に実施することができる。特に、本開示は、二酸化塩素を使用して廃水スラッジまたはバイオソリッドの特性を修正することによって水除去を向上させる方法に関する。プロセスへの二酸化塩素の添加によって、脱水中の粒度分布を変えることによって材料の表面積の増加、および乾燥を促進できるスラッジの粘着性の変更をもたらすことができる。脱水は、遠心分離機によって実施することができる。他の脱水方法、例えば、ろ過、ベルトプレス、およびスクリュープレスを使用することもできる。プレートおよびフレームプレスなど他の脱水装置も、バイオソリッドからより多くの水を除去することが可能である。本開示は、非消化生成物を生成するために、脱水および乾燥など他の下流プロセスと共に二酸化塩素を使用する方法に関する。
【0018】
廃水処理は、一般に、多段階プロセスである。都市廃水処理の早期段階は、廃水からの栄養分の除去である。この除去は、通常、生物学的プロセスによって実施され、そこでは、生物スラッジが、細胞塊の積み重ねによって生成する。いったん処理することによって病原菌を低減、または材料を安定化すると、この生物スラッジは、バイオソリッドと呼ばれる。都市バイオソリッドは、濃縮または脱水することによって最終投棄の前に水容積を低減することができる。「濃縮される」という用語は、一般に、スラッジまたはバイオソリッドの水含量の低減を示すために使用される。「脱水される」という用語は、一般に、「濃縮」によって達成される水含量の低減より大きい水含量の低減を示すために使用される。しかし、「濃縮される」または「脱水される」と呼ばれるバイオソリッド中の水含量のパーセンテージ範囲にはいくらかのオーバーラップが存在する場合がある。「濃縮」は、一般に、スラッジまたはバイオソリッドの液体画分が減少し、固体画分が最大15%まで増加するプロセスを指し、「脱水」は、一般に、固体画分が15%以上まで増加するプロセスを指す。
【0019】
脱水バイオソリッドは、肥料または土壌改良材として使用することができる。バイオソリッドは、有益に再利用されない場合があり、衛生埋め立て地に廃棄される。バイオソリッドは、肥料としての価値を有する窒素、リンおよび他の栄養分を実際に含み、また、燃料として潜在的な価値も有するので、輸送コストを低減し、栄養価を濃縮し、燃料としてこの材料を利用するのに要するエネルギー量を低減するために、最終廃棄の前に、処理バイオソリッドを脱水する必要性が存在する。
【0020】
都市バイオソリッドには、4つの型の水が存在する。一つの型の水は、粒子に結合していない自由水である。自由水は、バイオソリッド中で、最大割合の水を表す。一部の実施形態では、自由水は、バイオソリッド中で、約70~75%の水に相当する。二番目の型の水は、スラッジフロック間に毛細管力によって結合しているまたは間隙空間に捕捉されている間隙または毛細管水である。三番目の型の水は、水素結合によって固体粒子表面にしっかりと保持されている表面または近接水である。最後に、細胞内水または粒子構造内の化学結合水が、バイオソリッド中に存在する。
【0021】
通常の機械的脱水法には、脱水を促進し、通常、全固体が16~25%の範囲である脱水材料を生成するために、ポリマーの添加が必要である。ポリマー添加は、バイオソリッド処理および廃棄のコストのおよそ30%を占める場合がある。
【0022】
旧来の(機械的)脱水方法は、主として自由水および一部の間隙水を除去するためにポリマーの添加が必要になる場合がある。
【0023】
スラッジの乾燥は、廃棄の前にバイオソリッド量をさらに低減する一方法である。乾燥プロセスでバイオソリッドから水を蒸発させるのに必要な熱はまた、プロセスで達成される時間および温度の結果として、バイオソリッドの殺菌をもたらすことによって、EPAクラスAの殺菌要件に合格することができる。次いで、生成材料は、肥料として有益に使用することができる。クラスAバイオソリッドは、無制限での土地施用のための米国EPAガイドライン(連邦規則集(CFR)40巻 パート503)に合格する脱水および加熱下水スラッジに対する表示である。用語EQ(格別品質)は、クラスAの病原菌低減要件に合格するのみでなく、金属汚染物質の低濃度に対する要件にも合格するバイオソリッド生成物を記載するのに使用される。クラスA/EQバイオソリッド基準は、米国CFR40巻 パート503に従う。
【0024】
クラスBバイオソリッド基準は、CFR40巻 パート503に従う。都市スラッジまたはバイオソリッドから水を除去するための方法は、無数に存在する。スラッジの乾燥は、通常、加熱または太陽光による方法によって実施される。加熱方法の場合、エネルギーは、天然ガス、プロパン、または他のプロセスからの廃熱の多様な形態によって供給される。エネルギーはまた、生物学的プロセスによって供給することもできるが、これは、経済的であるが、時間がかかる。
【0025】
短時間でスラッジから水を蒸発させるためのエネルギーコストのために、長期間、このプロセスは工業的に困難であった。その理由は、これが、経済的に実行不可能なボーダーライン上にあるからである。
【0026】
太陽光乾燥機は、「無料の」エネルギーを使用するために人気を得ている。この乾燥機には、大空間が必要なこと、処理時間が長いことおよび材料内の熱伝達が不十分であることを含めて、その他の多数の問題点が存在する場合がある。太陽光乾燥システムの運転コストは競争可能なものであり得るが、太陽光乾燥の特徴は、放射強度に依存することであり、これは、1日のサイクルのみならず、気候および季節変動によっても変動する。理想的な条件下でも、太陽光乾燥には、7~12日を要する場合がある。
【0027】
従来の加熱乾燥には、直接または間接熱ガス伝達による熱伝達が必要である。このプロセスは、非常に短時間(数分)で実施することができるが、低エネルギー(長い処理時間)と処理時間を短縮するのに必要な高エネルギー消費の間の兼ね合いが存在する。
【0028】
この分野では、廃水残留物から水を除去するのに要するエネルギーを低減し、それによってプロセスをより効率的、経済的およびより環境にやさしくする必要性が存在する。
【0029】
本開示では、スラッジを乾燥する方法をより効率的にする一つの方法が提供される。本開示は、脱水する前に廃水、例えば、液体スラッジに二酸化塩素を添加することによって、脱水プロセス中に粒度分布を変化させ、より小さい径の粒子の質量分布を大きくし、そのために脱水材料の表面積を実質的に増加させるステップを含む。この二酸化塩素処理廃水は、クラスBバイオソリッドをもたらすことができる。本開示はまた、スラッジの特性を変えるので、従来の脱水後に、スラッジの粘着相を変えてより効率的な乾燥が可能になる。「粘着性」とは、スラッジがより容易に凝集し、スラッジの乾燥がより困難になることを意味する。本開示のシステムおよび方法は、スラッジの乾燥で通常観察される粘着相を回避する。これによって、脱水バイオソリッドが1回通過乾燥で乾燥機内を通過することが可能になり、戻し供給がなくなる。
【0030】
オゾン、O(湿式酸化)、および過酸化水素/第一鉄イオン(古典的フェントン酸化)などの他の化学酸化技法は、負の効果を有する。例えば、オゾンは、スラッジの脱水性に負の効果を有する。細胞溶解によって放出されるタンパク質は、スラッジの脱水に負の効果を有し、沈降しない微細粒子は、スラッジのろ過に影響を与え、より緻密なろ過層をもたらし、液体の透過を低減する場合がある。処理スラッジの脱水性は、オゾン投与の増加と共に減少する。したがって、より多くのポリマー投与が、スラッジのフロック化に必要である。二酸化塩素の場合は、これがない。
【0031】
二酸化塩素の添加は、スラッジのゼータ電位を減少させ、フロック化または凝析を向上させる。都市スラッジは、本来、部分的にコロイド性である。スラッジ粒子の通常負の荷電によって、粒子相互間の排斥が引き起こされる。ゼータ電位の増加によって、固体の凝集が低下する場合がある。二酸化塩素の添加によってまた、スラッジの粘度が低下する。単一化学添加剤の添加に起因するこうした4つの因子によって、電気浸透流の大きな増加がもたらされる。
【0032】
二酸化塩素は、廃水処理システムの現場で生成して、殺菌剤源をもたらすことができる。十分な時間、十分な水準の二酸化塩素に暴露されると、廃水バイオソリッド流中のバクテリアの全体水準は、廃水処理プラントから排出するための許容水準まで減少する。
【0033】
二酸化塩素の投与は、殺菌、脱水の向上、および臭気の低減のうちの1つまたは複数をもたらすために、実施することができる。二酸化塩素の投与は、クラスBバイオソリッド生成物を達成するために実施することができる。ある特定の実施形態では、二酸化塩素の投与は、約40~約60ppmの範囲であってよいが、他の範囲もまた本開示によって企図されている。
【0034】
非脱水バイオソリッド(「脱水された」という用語は、一般に、固体画分15%以上をもたらす水含量の低減を示すのに使用される)から出発して、本開示は、脱水プロセス中に材料の粒度分布を変え、表面積の増加をもたらす。この方法はまた、材料のレオロジーを変え、粘着性をより少なくする。
【0035】
いったん修正されると、材料は、ポリマーを添加し、遠心分離機を使用して脱水することができる。生成した脱水材料の粒度分布において、より小さい粒子の方に分布した質量の割合がはるかに多くなっており、そのために材料の表面積が増加し、そのために乾燥速度が著しく増加する。加えて、流動特性の変化によって、脱水材料の粘着性が減少し、材料が乾燥装置(ドラム)に接着することが防止される。ある特定の実施形態では、遠心分離の前に二酸化塩素を添加することによって、必要なポリマー量は、処理システムに二酸化塩素を添加しないプロセスと比較して、より少なくてもよい。
【0036】
スラッジのこの「粘着相」を記載するためになされた仕事のうちの多くの部分は、Arenberg Doctoral School of Science, Engineering & Technology,Leuven,Belgiumにおける博士論文でBart Peetersによって2011年に開発された。
【0037】
図1は、スラッジを乾燥するステップの「粘着」相のマップを示す。このマップから、脱水および乾燥の前に、廃スラッジの調整剤としてのポリ塩化アルミニウム(PACl)凝析剤の使用が、スラッジの固有粘着挙動を低減するために開発された。スラッジの遠心分離脱水では、スラッジがいったんこの粘着相に到達すると、輸送トルクが急に上昇するが、これは、全固体約21~37%の全固体濃度の際に発生することが一般に認められている。
【0038】
さらに図1を参照すると、せん断応力対乾燥固体パーセントのプロットが示されている。最大のせん断応力は、遠心分離脱水に起因するスラッジの全固体の上限(約21%)で見られ、乾燥プロセスの早期の段階(約37%)まで保持される。したがって、この範囲におけるせん断応力を低減できるという効果は、脱水と乾燥プロセス両方に有益であり、これにより、乾燥の前に脱水が向上し、乾燥の早期段階は、より小さい粒度(表面積の増加)と材料の粘着相の低減との両方の結果として向上する。乾燥の早期段階のスラッジは、乾燥機の壁面に接着する傾向があり、そのために、乾燥機での付着を引き起こし、平均全固体を上げるために材料を戻り供給する必要性が創出される(実際、粘着相内に供給材料を押し込む)。現開示は、スラッジがこうした粘着/膠質相に入る傾向を低減または排除するので、材料を1回通過で乾燥することが可能になる(戻り供給を必要としない)。これは、スラッジ乾燥の効率を大きく向上させる。
【0039】
こうしたスラッジの粘着性の機構は、スラッジ中の微生物を囲む細胞外重合性物質(EPS)の作用に帰することができる。また、スラッジフロック中の結合水および自由水に対する効果がある場合もある。自由水は、結合水よりはるかに容易に(必要なエネルギー入力がより小さい)除去される。こうした2つの型(自由および結合)が、都市スラッジ中の水の最大のパーセンテージを構成する。本開示は、スラッジ中の水の70~75%を構成する自由水の除去を促進する。開示された方法はまた、二酸化塩素とスラッジ粒子との間の相互作用のために間隙水および表面または近傍水に対する効果を有することができる。本開示の一実施形態によれば、廃水、例えば、第2次都市スラッジの粒度分布を変え、乾燥前の遠心分離脱水中の材料のレオロジーを変えるためのシステムが提供される。このシステムは、二酸化塩素を使用して材料の特性を修正することによって乾燥を促進することを含む。このシステムは、都市スラッジまたはバイオソリッドの供給源と、都市スラッジの供給源の下流でその供給源に流体連結され、都市スラッジから前処理バイオソリッドを生成するように配置された二酸化塩素処理ユニットと、脱水バイオソリッドをもたらすための遠心分離装置などの脱水装置と、乾燥バイオソリッドをもたらすための乾燥機とを備えることができる。乾燥バイオソリッドは、それが、材料を乾燥するのに必要なエネルギーより過剰なエネルギーを含み、したがって、正味エネルギー生成プロセスであり、燃料として分類できることを特徴とすることができる。乾燥バイオソリッドは、システムに対する燃料源、例えば、脱水バイオソリッドを乾燥するための唯一の燃料源として使用するために廃水処理システムに導入することができる。乾燥バイオソリッドはまた、プロセスで燃焼させることができる、例えば、焼却プロセスで焼却することができる。
【0040】
脱水バイオソリッドの乾燥固体含量は、約16%~40%であってよい。一部の実施形態では、脱水バイオソリッドの乾燥固体含量は、約21%~約26%であってよい。本開示の一部の実施形態では、脱水バイオソリッドの乾燥固体含量は、26%超、例えば、約27%~約37%であってよい。
【0041】
乾燥バイオソリッドの乾燥固体含量は、最大90%、95%、98%、または100%であってよい。例えば、乾燥バイオソリッドの乾燥固体含量は、約70~90%、70~95%、70~98%、または70~100%であってよい。
【0042】
スラッジのレオロジーを変えることによって自由水および結合水の除去を促進するための方法を提供することができる。その方法は、二酸化塩素をスラッジに添加することによって、バイオソリッドの速やかなフロック化または凝析のために、例えば、中性値に向けてスラッジゼータ電位を変えるステップを含むことができる。公知であるように、ゼータ電位は、分散媒体と、分散粒子に付着した流体の静止層との間の電位差の尺度である。低いまたは中性のゼータ電位は、粒子の速やかな凝析またはフロック化をもたらす。次いで、変えられたスラッジを脱水することによって脱水バイオソリッドをもたらし、乾燥することによって乾燥バイオソリッドをもたらす。
【0043】
スラッジまたはバイオソリッドの供給源201に流体連結された二酸化塩素投与または生成システム202を備える廃水を処理するためのシステム200を提供することができる(図2)。このシステムは、二酸化塩素投与または生成システム202の下流にあり、そのシステムに流体連結された脱水装置203を備えることができる。そのシステムは、脱水装置203の下流にあり、その装置に流体連結された乾燥機204を備えることができる。脱水装置203は遠心分離機であってよい。材料を加熱乾燥のために導入する前に粒度分布を変えない輸送機(図示せず)を設けることができ、遠心分離機の下流、乾燥機の上流に位置させることができる。そのシステムは、システムを運転する、例えば、自家運転するための燃料がもたらされるようにシステムの入口に流体連結された乾燥機の出口を備えることができる。
【0044】
開示された方法、装置およびシステムは、優れた性能を提供し、実際、バイオソリッドの自家乾燥または焼却の目標を達成することができる。その理由は、方法/装置/システムによって、材料のエネルギー値の保存が可能になり、保持エネルギー値が、乾燥プロセスを完結するのに必要なエネルギー値を超えるような状態までプロセスの効率が増加するからである。
【0045】
本開示の範囲を特定の物理的または化学的理論に限定することなく、都市スラッジの脱水および乾燥を向上させるための二酸化塩素に使用は、主要な2つの機構;1)脱水材料のより大きな表面積を可能にするバイオソリッドの粒度分布の変化を引き起こすことおよび2)バイオソリッドのレオロジーを修正することによって脱水と乾燥の両方機能させることができる。
【0046】
この方法は、限定されないが、通常の安定化された水分含量10~25%までバイオソリッドを乾燥するのに必要なエネルギーを低減すること;相当程度までエネルギー必要量を低減し、都市バイオソリッドの乾燥を経済的に実行可能なものにし、他の有効再利用または廃棄方法と競争可能であること;脱水および乾燥プロセス中の臭気を低減することおよび材料の固有エネルギーの保持と乾燥に必要なエネルギーの低減を合わせ、外部エネルギー源(電気、ガス、太陽光など)なしでバイオソリッドの自家乾燥を持続させるシステムをもたらすことを含めて、現行法を超える数個の重要な利点を与える。
【0047】
本開示は、乾燥材料中の全固体含量75~90%を達成するために大きなエネルギー入力を必要とする通常の乾燥方法の限界を回避する。
【0048】
ここで図3を参照すると、通常の条件下でスラッジから多様な水を除去するのに必要な相対エネルギーが示されている。脱水/消化バイオソリッドの通常のバイオソリッド燃料値は、概略で、約4,000~約5,300Btu/lb乾燥固体(約2,200~約2,900kcal/kg乾燥固体)である。非消化2次スラッジ(廃活性化スラッジ(WAS)または戻り活性化スラッジ(RAS))の通常のバイオソリッド燃料値は、概略で、約6,000~約10,300Btu/lb乾燥固体(約3,300~約5,700kcal/kg乾燥固体)の範囲である。非消化1次スラッジの通常のバイオソリッド燃料値は、概略で、約8,000~約11,000Btu/lb乾燥固体(約4,400~約6,100kcal/kg乾燥固体)の範囲である。
【0049】
本開示のシステムおよび方法を使用し、非消化材料の乾燥機処理によって(ClOによる前処理の結果として)、比較的高いBTU(kcal)値/乾燥lb(kg)を有するバイオソリッドケーキがもたらされる。機械的脱水プロセス(遠心分離脱水)をより効率的にすることによって、本発明者らは、材料から通常より大きいポンド量の水を除去することができ、したがって、任意の所望の水準まで材料をさらに乾燥するのに必要なエネルギーの入力が低減する。粒度分布を変えることによって(かつ、おそらくは材料の「粘着性」をより小さくすることによって)、材料を乾燥する(または燃焼させる)のに必要なエネルギーの入力がさらに低減される。本開示のシステムおよび方法の使用によって、また、BTU値の正味の増加をもたらす1次および2次スラッジについても可能である場合がある。この材料はまた、極めて良好に脱水し、2次スラッジのみと同じ特性である。この結果は、正味の負エネルギー(消費)ではなく正味の正エネルギー(生産)を有する脱水および乾燥材料を生成する。
【0050】
こうした実施形態および他の実施形態の機能および利点は、以下の非限定的実施例からより十分に理解されよう。実施例は、本質的に例示であることが意図され、本明細書で検討される実施形態の範囲を限定するものとは考えられていない。
【実施例1】
【0051】
実験を実施して、遠心分離機の使用による脱水の前に第2次スラッジに添加された二酸化塩素の粒度に対する効果を比較した。二酸化塩素の添加の有無で、遠心分離脱水後の粒度分布を測定し、表面積を計算した。図4は、二酸化塩素による処理前の粒度分布チャートである。粒子の25%超が、No.4メッシュより大きい粒子として測定された。表1によれば、No.4メッシュ粒度は、直径4.76mm、表面積71.18mmである。粒子の約25%が、No.14メッシュより小さい粒子として測定された。表1によれば、No.14メッシュ粒度は、直径1.41mm、表面積6.25mmである。
【0052】
【表1】
【0053】
次いで、2次スラッジを二酸化塩素で処理し、脱水し、遠心分離した。図5によれば、10%よりわずかに多い粒子が、No.4メッシュより大きい粒度として測定された。No.4メッシュより大きい粒子の数は、二酸化塩素の添加によって約25%から約10%まで減少した。加えて、図5に示されるように、約35%超の粒子が、No.14メッシュより小さい粒子として測定された。No.14メッシュより小さい粒子の数は、二酸化塩素の添加によって約25%から約35%まで増加した。表1および表2は、脱水前のClO添加後、粒度分布ははるかに小さくなり、表面がより大きくなったことを示す。この粒度分布シフトは、より大きい表面積を生成し、ケーキのより効果的な乾燥をもたらす。
【0054】
【表2】
【実施例2】
【0055】
二酸化塩素処理、遠心分離機による脱水、および乾燥によって乾燥バイオソリッドを得た。
【0056】
処理された2次スラッジの重量当たりのエネルギーを、標準ボンブ熱量計測法を使用して測定した。乾燥バイオソリッドに対する試験結果は、約7,200~約10,000BTU/lb乾燥固体(約4,000~約5,600kcal/乾燥kg)の範囲であった。こうした測定は、上で検討されたように、非消化RAS/WASエネルギー測定に対して得られた通常の数と一致している。
【0057】
したがって、時間当り1トンの固体27%ケーキを乾燥機に供給する場合、乾燥材料は、乾燥機に戻り供給して燃料として使用することができる。これはまた、表3に示すように、プロセスの終端で利用可能な正味過剰エネルギーをもたらす。これによって、処理プロセスを自家運転することが可能になり、外部エネルギーは、システムの運転開始で使用されるのみである。これによって、このプロセスを使用したための大きなコスト節約が行われる。
【0058】
約7250Btu/lb(4030kcal/kg)(8062BTU/乾燥lb(4479kcal/乾燥kg)を有する処理2次スラッジのボンブ熱量計測法試験に基づく計算)をもたらすことができる90%乾燥(水分含量10%(M.C.))をベースとして使用して、以下の過剰エネルギーを計算することができる。
【0059】
【表3】
【0060】
したがって、非消化材料を乾燥機中で処理できることによって(ClOによる前処理の結果として)、高いBTU(kcal)値/乾燥lb(kg)を有するバイオソリッドケーキが生成する。機械的脱水プロセス(例えば、遠心分離脱水)をより効率的にすることによって、材料から通常より大きいポンド量の水を除去することができ、したがって、任意の所望の水準まで材料をさらに乾燥するのに必要なエネルギー入力が低減する。粒度分布を変えることによって(かつ、おそらくは材料の「粘着性」をより小さくすることによって)、材料を乾燥する(または燃焼させる)のに必要なエネルギー入力がさらに低減される。
【0061】
1次および2次スラッジを合わせることもまた、BTU値の正味増加を生成するために実施することができる。この材料はまた、極めて良好に脱水され、2次スラッジのみと同じ特性を有する。例えば、1次と2次スラッジ生成の間の分け方は、60:40であってよい。1次スラッジが10000BTU/lb(5600kcal/kg)を含み、2次スラッジが8000BTU/lb(4400kcal/kg)を含む場合、9200BTU/乾燥lb(5100kcal/乾燥kg)を含む材料がもたらされる。したがって、正味エネルギー生成は、さらにより高い。
【0062】
本開示のシステムおよび方法は、正味負エネルギー(消費)ではなく正味正エネルギー(生産)を有する脱水および乾燥材料を生成する。
【0063】
次いで、エネルギーを使用して1)材料を乾燥、または2)材料を燃焼させることができる(焼却)。
【実施例3】
【0064】
二酸化塩素添加あり(「処理済」)と二酸化塩素添加なし(「未処理」)の多様な都市スラッジについてStandard Method 2710Gを使用して毛細管吸引管(SCT)試験を実施した。CST試験は、固体からどの程度即座にまたは容易に水が除去されるかを示す。結果は、二酸化塩素処理によって平均16.16%の改善を示した。試験の結果を表4に示す。
【0065】
【表4】
【実施例4】
【0066】
全固体1%の都市スラッジについて沈降計試験を実施した。生で未処理のスラッジを二酸化塩素処理されたスラッジと比較した。図6は、沈降計試験の結果を示す。「生」試料ジャー601は、二酸化塩素処理のないスラッジを含み、処理試料ジャー602は、二酸化塩素で処理されたスラッジを含む。5時間沈降後のジャー601と602両方を示す。5時間で、固体ブランケットは、処理スラッジジャー602が生スラッジジャー601より9.24%低かった。
【0067】
本明細書で使用される表現および用語は、説明を目的とするものであり、限定と見なすべきではない。本明細書では、用語「plurality」は、2つ以上の項目または成分を指す。用語「comprising」、「including」、「carrying」、「having」、「containing」および「involving」は、書かれている説明または特許請求の範囲などいずれにおいても、オープンエンドの用語であり、即ち、「含むが限定ではない」ことを意味する。したがって、かかる用語の使用は、以後列挙される項目、およびその均等物、ならびに追加の項目を包含することを意味する。移行句「consisting of」および「consisting essentially of」のみが、特許請求の範囲に関してそれぞれクローズドまたはセミクローズドである移行句である。請求要素を修飾するための特許請求の範囲中の「first」、「second」、「third」などの順序用語の使用は、それ自体によって、ある要素の別の請求要素に対するいかなる優先度、優先権、もしくは順序を含意するものでもなく、または方法の行為が実施される暫定順序を含意するものではなく、請求要素を区別するために、ある特定の名称を有する1つの請求要素を同じ名称を有する別の要素から区別する(順序用語の使用を除いて)ための標識としてのみ使用される。
【0068】
少なくとも1つの実施形態の数種の態様を説明したが、多様な変更、修正、および改良が、当業者によって容易に行われることを理解されたい。任意の実施形態に記載された任意の特徴は、任意の他の実施形態の任意の特徴中に含めることができ、またそれと置換することができる。かかる変更、修正、および改良は、本開示の一部分であることが意図され、本発明の範囲内であることが意図される。したがって、前出の説明および図面は、例を示すのみである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6