(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】自動販売機システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230619BHJP
G06Q 20/18 20120101ALI20230619BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q20/18
G08G1/01 A
(21)【出願番号】P 2021162484
(22)【出願日】2021-10-01
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】521305365
【氏名又は名称】株式会社ヒスコム
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 晴彦
【審査官】木村 大吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-149104(JP,A)
【文献】特開2020-030870(JP,A)
【文献】特開2020-205127(JP,A)
【文献】特開2008-135025(JP,A)
【文献】特開2021-086467(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0233385(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07F 5/00- 9/10
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の設置場所に設置した自動販売機と、
ネットワークを介して、前記自動販売機に接続されたコンピュータと、
前記コンピュータに接続された表示装置と、を有し、
前記自動販売機は、撮像部と、前記撮像部からの撮像データを送信する送信部と、を備え、
前記コンピュータは、
前記撮像データを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記撮像データを解析して前記設置場所の交通量を取得する交通量取得部と、
記憶部と、
前記設置場所を示す位置情報と前記交通量とを関連付けた設置場所交通量情報を前記記憶部に記録する情報記録部と、
前記受信部が受信した前記撮像データ、前記位置情報、および前記交通量を表示する設置場所情報画面と、前記設置場所を地図上に表示する地図情報画面と、を生成する情報画面生成部と、
を備え、
前記表示装置は、前記地図情報画面を表示するとともに、前記地図情報画面に表示されている前記自動販売機が選択されることにより、選択された前記自動販売機の前記設置場所情報画面を表示することを特徴とする自動販売機システム。
【請求項2】
前記交通量取得部は、前記撮像データに含まれる車両の撮像に基づいて、前記交通量として、前記設置場所の車両交通量を取得し、
前記情報記録部は、前記位置情報と前記車両交通量とを関連付けた前記設置場所交通量情報を前記記憶部に記録することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機システム。
【請求項3】
前記交通量取得部は、前記撮像データに含まれる人間の撮像に基づいて、前記交通量として、前記設置場所の人間交通量を取得し、
前記情報記録部は、前記位置情報と前記人間交通量とを関連付けた前記設置場所交通量情報を前記記憶部に記録することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機システム。
【請求項4】
前記交通量取得部は、前記撮像データに含まれる人間の撮像に基づいて前記人間の属性を取得するとともに、前記交通量として、前記属性毎の属性別交通量を取得し、
前記属性は、性別および年齢層の少なくとも一方であり、
前記情報記録部は、前記位置情報と前記属性別交通量とを関連付けた前記設置場所交通量情報を前記記憶部に記録することを特徴とする請求項3に記載の自動販売機システム。
【請求項5】
前記表示装置は、前記ネットワークを介して前記コンピュータに接続されていることを特徴する請求項
1に記載の自動販売機システム。
【請求項6】
前記自動販売機は、大気センサを備え、
前記送信部は、前記大気センサからの大気データを前記受信部に送信し、
前記情報記録部は、前記位置情報と前記大気データとを関連付けた設置場所大気情報を前記記憶部に記録し、
前記大気センサは、照度センサ、気温センサ、湿度センサ、雨量計、および積雪量計の少なくとも一つであり、
前記大気データは、照度、気温、湿度、雨量、および積雪量の少なくとも一つであり、
前記情報画面生成部は、前記大気データを含む前記設置場所情報画面を生成することを特徴とする請求項
1に記載の自動販売機システム。
【請求項7】
前記情報画面生成部は、前記設置場所を含む地図と、前記位置情報に対応する前記地図上の位置に、前記大気データを表示する大気データ表示画面を生成し、
前記表示装置は、前記大気データ表示画面を表示することを特徴とする請求項
6に記載の自動販売機システム。
【請求項8】
前記自動販売機は、環境センサを備え、
前記送信部は、前記環境センサからの環境データを前記受信部に送信し、
前記情報記録部は、前記位置情報と前記環境データとを関連付けた設置場所環境情報を前記記憶部に記録し、
前記環境センサは、PM2.5センサ、CO2センサ、およびNOxセンサの少なくとも一つであり、
前記環境データは、PM2.5の量、CO2濃度、およびNOx濃度のうちの少なくとも一つであり、
前記情報画面生成部は、前記環境データを含む前記設置場所情報画面を生成することを特徴とする請求項
1に記載の自動販売機システム。
【請求項9】
前記情報画面生成部は、前記設置場所を含む地図と、前記位置情報に対応する前記地図上の位置に、前記環境データを表示する環境データ表示画面を生成し、
前記表示装置は、前記環境データ表示画面を表示することを特徴とする請求項
8に記載の自動販売機システム。
【請求項10】
前記コンピュータは、前記位置情報と前記撮像データとを関連付けた撮像情報を前記記憶部に記憶する撮像情報記録部を備え、
前記撮像データには、撮像日時が含まれることを特徴とする請求項1から
9のうちのいずれか一項に記載の自動販売機システム。
【請求項11】
前記自動販売機は、通信端末と通信可能な通信機器と、前記通信機器にアクセスした前記通信端末のIPアドレスを取得するIPアドレス取得部と、前記IPアドレスと当該IPアドレスが取得されたIPアドレス取得日時とを関連付けた特定情報を生成する特定情報生成部と、を備え、
前記送信部は、前記特定情報を前記コンピュータに送信し、
前記情報記録部は、前記設置場所を示す前記位置情報と前記特定情報とを関連付けた通信端末位置情報を前記記憶部に記録することを特徴とする請求項1から
10のうちのいずれか一項に記載の自動販売機システム。
【請求項12】
前記自動販売機は、内部に格納している商品の在庫量を取得する在庫量取得部と、前記在庫量に基づいて商品の補充を指示する補充指令を発行する補充指令出力部と、を備え、
前記送信部は、前記補充指令を送信することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機を利用して交通量を取得する自動販売機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラによって自動車の動きを撮像し、その撮像データに基づいて車両の通過台数を計測するシステムは、特許文献1に記載されている。同文献では、カメラは、施設などの駐車場入口に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
交通量については、交通の要衝や特定の施設の周辺だけでなく、住宅街、郊外、観光地など、多様な地点で把握したいという要求がある。しかし、住宅街、郊外、観光地では、カメラを設置する場所を新たに確保することは容易ではない。
【0005】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、多様な地点での交通量の把握を容易とする自動販売機システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の自動販売機システムは、所定の設置場所に設置した自動販売機と、ネットワークを介して、前記自動販売機に接続されたコンピュータと、前記コンピュータに接続された表示装置と、を有し、前記自動販売機は、撮像部と、前記撮像部からの撮像データを送信する送信部と、を備え、前記コンピュータは、前記撮像データを受信する受信部と、前記受信部が受信した前記撮像データを解析して前記設置場所の交通量を取得する交通量取得部と、記憶部と、前記設置場所を示す位置情報と前記交通量とを関連付けた設置場所交通量情報を前記記憶部に記録する情報記録部と、前記受信部が受信した前記撮像データ、前記位置情報、および前記交通量を表示する設置場所情報画面と、前記設置場所を地図上に表示する地図情報画面と、を生成する情報画面生成部と、を備え、前記表示装置は、前記地図情報画面を表示するとともに、前記地図情報画面に表示されている前記自動販売機が選択されることにより、選択された前記自動販売機の前記設置場所情報画面を表示することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、自動販売機は、交通量を計測するための撮像データを取得する撮像部を備える。ここで、自動販売機の設置場所は、多様であり、住宅街、商店街、工業団地、郊外、観光地などのいずれにも設置される。したがって、撮像部からは、様々な道路の撮像データが供給される。また、自動販売機は通信部を備えており、撮像部からの撮像データは、ネットワークを介して接続されたコンピュータに送信される。コンピュータでは、撮像データに画像処理を施して解析して、自動販売機の設置場所の交通量を取得する。したがって、撮像データが自動販売機からリアルタイムで送信されてくる場合には、コンピュータの側で設置場所の交通量をリアルタイムで取得できる。また、コンピュータは、設置場所を示す位置情報と解析により取得した交通量とを関連付けた設置場所交通量情報を記憶部に記憶する。したがって、記憶部に記憶された設置場所交通量情報を利用することにより、交通量情報の外部への提供や、各地点での交通量の分析などを行うことが可能となる。このようにすれば、表示装置に表示された設置場所情報画面から自動販売機の設置場所における交通量を把握できる。
【0008】
本発明において、前記交通量取得部は、前記撮像データに含まれる車両の撮像に基づいて、前記交通量として、前記設置場所の車両交通量を取得し、前記情報記録部は、前記位置情報と前記車両交通量とを関連付けた前記設置場所交通量情報を前記記憶部に記録することができる。このようにすれば、道路沿いに設置されている自動販売機からの撮像デー
タに基づいて、当該道路の車両交通量を取得することができる。また、駐車場などに設置されている自動販売機からの撮像データに基づいて、駐車場の混雑状況を把握できる。
【0009】
本発明において、前記交通量取得部は、前記撮像データに含まれる人間の撮像に基づいて前記人間の属性を取得するとともに、前記交通量として、前記属性毎の属性別交通量を取得し、前記属性は、性別および年齢層の少なくとも一方であり、前記情報記録部は、前記位置情報と前記属性別交通量とを関連付けた前記設置場所交通量情報を前記記憶部に記録することができる。このようにすれば、自動販売機の設置場所における人流を、そこを通行する人間の属性別に把握できる。
【0011】
本発明において、前記表示装置は、前記ネットワークを介して前記コンピュータに接続されていることが好ましい。このようにすれば、携帯型の情報端末などを表示装置として、自動販売機の設置場所における交通量を把握できる。
【0012】
本発明において、前記自動販売機は、大気センサを備え、前記送信部は、前記大気センサからの大気データを前記受信部に送信し、前記情報記録部は、前記位置情報と前記大気データとを関連付けた設置場所大気情報を前記記憶部に記録し、前記大気センサは、照度センサ、気温センサ、湿度センサ、雨量計、および積雪量計の少なくとも一つであり、前記大気データは、照度、気温、湿度、雨量、および積雪量の少なくとも一つであり、前記情報画面生成部は、前記大気データを含む前記設置場所情報画面を生成することが好ましい。このようにすれば、表示装置に表示された設置場所情報画面から、自動販売機の設置場所における交通量とともに、大気状態を把握できる。また、記憶部に記憶保持された設置場所大気情報を利用することにより、大気情報の外部への提供や、各地点での大気情報の分析などを行うことが可能となる。
【0013】
本発明において、前記情報画面生成部は、前記設置場所を含む地図と、前記位置情報に対応する前記地図上の位置に、前記大気データを表示する大気データ表示画面を生成し、前記表示装置は、前記大気データ表示画面を表示することが好ましい。このようにすれば、表示装置に表示された大気データ表示画面から自動販売機の設置場所周辺における大気情報を把握できる。
【0014】
本発明において、前記自動販売機は、環境センサを備え、前記送信部は、前記環境センサからの環境データを前記受信部に送信し、前記情報記録部は、前記位置情報と前記環境データとを関連付けた設置場所環境情報を前記記憶部に記録し、前記環境センサは、PM2.5センサ、CO2センサ、およびNOxセンサの少なくとも一つであり、前記環境データは、PM2.5の量、CO2濃度、およびNOx濃度のうちの少なくとも一つであり、前記情報画面生成部は、前記環境データを含む前記設置場所情報画面を生成することが好ましい。このようにすれば、表示装置に表示された設置場所情報画面から、自動販売機の設置場所における交通量とともに、環境データを把握できる。また、記憶部に記憶保持された設置場所環境情報を利用することにより、環境情報の外部への提供や、各地点での環境情報の分析などを行うことが可能となる。
【0015】
本発明において、前記情報画面生成部は、前記設置場所を含む地図と、前記位置情報に対応する前記地図上の位置に、前記環境データを表示する環境データ表示画面を生成し、
前記表示装置は、前記環境データ表示画面を表示することが好ましい。このようにすれば、表示装置に表示された設置場所情報画面から自動販売機の設置場所周辺における環境データを把握できる。
【0016】
本発明において、前記コンピュータは、前記位置情報と前記撮像データとを関連付けた撮像情報を前記記憶部に記憶する撮像情報記録部を備え、前記撮像データには、撮像日時が含まれているものとすることができる。このようにすれば、撮像データが記憶部に記録保持されるので、過去に遡って、特定の日時における自動販売機の周辺の様子を確認できる。
【0017】
本発明において、前記自動販売機は、通信端末と通信可能な通信機器と、前記通信機器にアクセスした前記通信端末のIPアドレスを取得するIPアドレス取得部と、前記IPアドレスと当該IPアドレスが取得されたIPアドレス取得日時とを関連付けた特定情報を生成する特定情報生成部と、を備え、前記送信部は、前記特定情報を前記コンピュータに送信し、前記情報記録部は、前記設置場所を示す前記位置情報と前記特定情報とを関連付けた通信端末位置情報を前記記憶部に記録するものとすることができる。このようにすれば、特定のIPアドレスを有する通信端末を所持する人、または特定のIPアドレスを有する通信端末を搭載する車両が自動販売機の周辺に存在することを把握できる。また、特定情報に含まれるIPアドレス取得日時に基づいて記録部に記憶保持された撮像データを参照することにより、特定のIPアドレスを有する通信端末を所持する人、または特定のIPアドレスを有する通信端末を搭載する車両についての、外見の情報を取得することが可能となる。
【0018】
本発明において、前記自動販売機は、内部に格納している商品の在庫量を取得する在庫量取得部と、前記在庫量に基づいて商品の補充を指示する補充指令を発行する補充指令出力部と、を備え、前記送信部は、前記補充指令を送信するものとすることができる。すなわち、自動販売機は、補充指令を配送施設に送信するために一般的に通信部を備える。したがって、撮像データの送信と補充指令の送信とを一つの送信部を介して行えば、これらを別々の送信部から送信する場合と比較して、通信回線を節約できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、交通量を取得するための撮像部を多様な地点に配置できる。したがって、多様の地点の交通量を把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】自動販売機の撮像部から得られる撮像の例である。
【
図9】他の実施例に係る自動販売機システムの概略構成図である。
【
図10】他の実施例に係る自動販売機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態である自動販売機システムを説明する。
【0022】
(全体構成)
図1は、自動販売機システムの概略構成図である。
図2は、自動販売機のブロック図である。
図3は、カメラにより撮影された自動販売機周辺の映像の例である。
図4は、情報処理サーバのブロック図である。
【0023】
図1に示すように、自動販売機システム1は、複数台の自動販売機2と、ネットワークNを介して、各自動販売機2と通信可能に接続された情報処理サーバ3(コンピュータ)と、を備える。各自動販売機2は、住宅街、商業地、工業団地、郊外、観光地の路地や脇道、駐車場など、様々な場所に配置されている。自動販売機2は、商品としてペットボトル入りの清涼飲料水などを販売する。
【0024】
また、自動販売機システム1は、情報処理サーバ3に接続された第1情報端末4(表示装置)と、第2情報端末5(表示装置)と、を備える。第1情報端末4は、ディスプレイを備えるコンピュータであり、ネットワークNを介して、情報処理サーバ3に接続されている。第2情報端末5は、スマートフォン、通信機能を備えるタブレット、或いは通信機能を備えるカーナビゲーションシステムであり、ネットワークNを介して、情報処理サーバ3と接続されている。
【0025】
さらに、自動販売機システム1は、ネットワークNに接続された商品管理サーバ6を備える。自動販売機2と商品管理サーバ6とは、ネットワークNを介して、通信可能である。
【0026】
(自動販売機)
図2に示すように、自動販売機2は、カメラ21(撮像部)と、大気センサ22と、環境センサ23と、を備える。カメラ21のレンズは、例えば、35mm以上の広角レンズである。カメラ21のレンズは、周辺の道路を撮影可能な方向に向けられている。カメラ21より撮影された自動販売機周辺の映像は、例えば、
図3に示すようなものである。カメラ21は、例えば、
図3に示すように、自動販売機2の近傍の交差点を通過する車両を映す。また、横断歩道を横切る歩行者などを映す。カメラ21から出力される撮影データは、動画データである。
【0027】
大気センサ22は、照度センサ、気温センサ、湿度センサ、雨量計、および積雪量計の少なくとも1つである。積雪量計は、例えば、レーザーまたは超音波により積雪量を計測する積雪深計である。大気センサ22からは大気データが出力される。大気データは、照度、気温、湿度、雨量、および積雪量の少なくとも1つである。環境センサ23は、PM2.5センサ、CO2センサ、およびNOxセンサの少なくとも1つである。環境センサ23からは環境データが出力される。環境データは、PM2.5の量、CO2濃度、およびNOx濃度の少なくとも1つである。環境センサ23は、自動販売機2の上側部分に設けられる。これにより、環境センサ23は、地面から1.2~1.6m程度の高さに位置する。本例の自動販売機2は、照度センサ、気温センサ、湿度センサ、雨量計、および積雪量計の全てを備える。また、本例の自動販売機2は、PM2.5センサ、CO2センサ、およびNOxセンサの全てを備える。
【0028】
図2に示すように、自動販売機2は、CPU、メモリを備える制御部24と、制御部24と接続された通信部25(送信部)と、を備える。通信部25には、IPアドレスが割り当てられている。通信部25は、IPアドレスを使用してネットワークNに接続し、制御部24と情報処理サーバ3との間の通信を可能とする。また、通信部25は、IPアドレスを使用してネットワークNに接続し、制御部24と商品管理サーバ6との間の通信を可能とする。制御部24の入力側には、カメラ21、大気センサ22、および環境センサ23が接続されている。
【0029】
制御部24は、販売制御部26と、情報取得制御部27と、を備える。販売制御部26は、自動販売機2における商品の販売を管理する。販売制御部26は、自動販売機2の内部に格納している商品の在庫量を逐次取得する在庫量取得部261と、在庫量に基づいて商品の補充を指示する補充命令を通信部25に出力する補充指令出力部262と、を備える。
【0030】
情報取得制御部27には、カメラ21からの撮像データが入力される。撮像データは、撮影された映像と、撮像日時と、を含む。情報取得制御部27には、大気センサ22から大気データが入力される。さらに、情報取得制御部27には、環境センサ23から環境データが入力される。情報取得制御部27は、入力された撮像データを所定の形式で圧縮しながら通信部25に出力する撮像データ圧縮出力部271を備える。また、情報取得制御部27は、大気データおよび環境データを、一定間隔で取得して通信部25に出力するデータ出力部272を備える。
【0031】
通信部25は、販売制御部26から補充命令が入力されると、補充命令を商品管理サーバ6に送信する。また、通信部25は、情報取得制御部27から入力される圧縮済みの撮像データを連続的に情報処理サーバ3に送信する。さらに、通信部25は、情報取得制御部27から大気データおよび環境データが入力される毎に、これらのデータを情報処理サーバ3に送信する。
【0032】
(商品管理サーバ)
商品管理サーバ6は、補充命令を受信すると、IPアドレスに基づいて自動販売機2の設置場所を特定する。また、商品管理サーバ6は、補充命令に基づいて補充が必要な商品および数量を取得して、特定した設置場所の自動販売機2宛ての配送指令を作成する。さらに、商品管理サーバ6は、配送指令に基づいて、配送設備に配置された印刷装置から配送伝票を発行する。
【0033】
(情報処理サーバ)
図4に示すように、情報処理サーバ3は、情報処理サーバ側通信部31(受信部)と、CPU、メモリを備える情報処理サーバ制御部32と、記憶部33と、を備える。情報処理サーバ側通信部31と情報処理サーバ制御部32とは通信可能に接続されている。情報処理サーバ制御部32と記憶部33とは通信可能に接続されている。
【0034】
情報処理サーバ側通信部31は、各自動販売機2と情報処理サーバ3との間の通信を可能にする。また、情報処理サーバ側通信部31は、第1情報端末4および第2情報端末5と、情報処理サーバ3との間の通信を可能にする。情報処理サーバ制御部32には、情報処理サーバ側通信部31を介して、自動販売機2からの撮像データ、大気データおよび環境データが入力される。
【0035】
記憶部33には、自動販売機2のIPアドレスと、自動販売機2の設置場所の位置情報を関連付けた形態で保持する設置場所データベースが記憶されている。位置情報は、例えば、住所である。また、記憶部33には、地図データが記憶されている。
【0036】
情報処理サーバ制御部32は、交通量取得部34と、情報記録部35と、情報画面生成部36と、を備える。交通量取得部34は、撮像データを解析して、設置場所の交通量を取得する。撮像データを解析する際に、交通量取得部34は、自動販売機2からの圧縮済みの撮像データを、復元して画像処理を実施する場合がある。交通量取得部34は、車両交通量取得部341と、人流取得部342と、を備える。
【0037】
車両交通量取得部341は、撮影データに含まれる車両の撮像に基づいて、設置場所の
車両交通量を取得する。ここで、車両交通量は、例えば、所定の単位時間内において撮影データに含まれる車両の台数である。また、車両交通量は、例えば、撮影データが入力された時間帯での一定期間における撮影データに含まれる車両の台数から車両の平均台数を求めておき、平均台数と撮影データに含まれる車両の台数とを比較した比較値である。比較値としては、平均台数に対して「多い」「同等」「少ない」や、平均台数に対して「20%多い」「同等」「40%少ない」などが挙げられる。なお、車両交通量としては、上記に限定されない。
【0038】
人流取得部342は、撮影データに含まれる人間の撮像に基づいて、設置場所の人間交通量を取得するとともに、人間の属性毎の属性別交通量を取得する。人間の属性は、性別および年齢層である。ここで、人間交通量は、例えば、所定の単位時間内において撮影データに含まれる人間の人数である。また、人間交通量は、例えば、撮影データが入力された時間帯での一定期間における撮影データに含まれる人間の人数から人間の平均人数を求めておき、平均人数と撮影データに含まれる人間の人数とを比較した比較値である。比較値としては、平均人数に対して「多い」「同等」「少ない」や、平均人数に対して「20%多い」「同等」「40%少ない」などが挙げられる。なお、人間交通量としては、上記に限定されない。
【0039】
ここで、撮像データを画像処理して車両の交通量および人間の交通量を取得する方法は、一般的に知られている技術を用いることができる。また、撮像データを含まれる人間の撮像に基づいて、その人間の属性を取得する方法についても、一般的に知られている技術を用いることができる。なお、本例では、撮影データに含まれる人間の撮像に基づいて、人間個人を特定することは行わない。
【0040】
情報記録部35は、設置場所を示す位置情報と、交通量取得部34が取得した交通量と、を関連付けた設置場所交通量情報を記憶部33に記録する。すなわち、情報記録部35は、位置情報と車両交通量と、を関連付けた設置場所交通量情報を記憶部33に記録する。また、情報記録部35は、位置情報と人間交通量と、を関連付けた設置場所交通量情報を記憶部33に記録する。さらに、情報記録部35は、位置情報と属性別交通量と、を関連付けた設置場所交通量情報を記憶部33に記録する。
【0041】
また、情報記録部35は、設置場所を示す位置情報と、大気データと、を関連付けた設置場所大気情報を記憶部33に記録する。さらに、情報記録部35は、設置場所を示す位置情報と、環境データと、を関連付けた設置場所環境情報を記憶部33に記録する。
【0042】
また、情報記録部35は、自動販売機2の設置場所を示す位置情報と、情報処理サーバ側通信部31が受信した撮像データとを関連づけた撮像情報を記憶部33に記録する撮像情報記録部37を備える。
【0043】
情報画面生成部36は、第1情報端末4、および第2情報端末5が表示可能な各種の画面を生成する。本例では、情報画面生成部36は、地図情報画面G1、設置場所情報画面G2、大気データ表示画面G3、および環境データ表示画面G4を生成する。
図5は、地図情報画面G1の例である。
図6は、設置場所情報画面G2の例である。
図7は、大気データ表示画面G3の例である。
図8は、環境データ表示画面G4の例である。
【0044】
地図情報画面G1は、
図5に示すように、自動販売機2の設置位置を地図上に示したものである。設置場所情報画面G2は、撮像データ、位置情報、交通量、大気データおよび環境データを表示するものである。
図6に示すように、設置場所情報画面G2は、撮像データが動画としてリアルタイムに映し出される中継映像領域11と、位置情報、交通量、大気データ、および環境データが表示される情報表示領域12と、を備える。
【0045】
ここで、情報画面生成部36は、中継映像領域11に撮像データを映し出す際、撮影データに含まれる車両のナンバープレートおよび撮影データに含まれる人間の顔部分にモザイク処理を施す。すなわち、中継映像領域11には、撮影データに含まれる車両のナンバープレートおよび撮影データに含まれる人間の顔部分にモザイク処理が施された撮像データが動画としてリアルタイムに映し出される。撮像データを映し出す際、撮影データに含まれる車両のナンバープレートおよび撮影データに含まれる人間の顔部分にモザイク処理を施す方法は、一般的に知られている技術を用いることができる。
【0046】
大気データ表示画面G3は、設置場所を含む地図と、位置情報に対応する地図上の位置に、大気データ表示する。本例では、情報画面生成部36は、大気データ表示画面G3を生成する際、大気データのうち何れか1つに基づいて、大気データ表示画面G3を生成する。大気データが気温の場合には、
図7に示すように、情報画面生成部36は、地図上に気温分布をマッピングする。
【0047】
環境データ表示画面G4は、設置場所を含む地図と、位置情報に対応する地図上の位置に、環境データを表示する。本例では、情報画面生成部36は、環境データ表示画面G4を生成する際、環境データのうち何れか1つに基づいて、環境データ表示画面G4を生成する。環境データがNOx濃度の場合には、
図8に示すように、情報画面生成部36は、地図上にNOx濃度をマッピングする。
【0048】
また、情報画面生成部36は、第1情報端末4および第2情報端末5が、情報処理サーバ3にアクセスしたときに、第1情報端末4および第2情報端末5に、地図情報画面G1、設置場所情報画面G2、大気データ表示画面G3、または環境データ表示画面G4を選択的に表示させる。本例では、情報画面生成部36は、地図情報画面G1、設置場所情報画面G2、大気データ表示画面G3、環境データ表示画面G4のそれぞれを、WEBブラウザで閲覧可能な形態で生成している。なお、設置場所情報画面G2を表示する際、地図情報画面G1において、表示されている自動販売機2を選択することにより、選択した自動販売機2に対応する設置場所情報画面G2を表示してもよい。
【0049】
(作用効果)
本例によれば、自動販売機2は、カメラ21を備える。また、自動販売機2は、住宅地、商店街、工場団地、郊外、観光地などの多様な場所に設置される。したがって、カメラ21からは、各自動販売機2の周辺の撮像データが供給される。また、自動販売機2は、通信部25を備えており、カメラ21からの撮像データは、ネットワークNを介して接続された情報処理サーバ3に送信される。情報処理サーバ3では、撮影データに画像処理を施して解析して、自動販売機2の設置場所の交通量を取得する。本例では、撮像データは、自動販売機2からリアルタイムで送信されてくる。よって、情報処理サーバ3の側では、自動販売機2の設置場所の交通量をリアルタイムで取得できる。
【0050】
また、情報処理サーバ3は、設置場所を示す位置情報と、解析により取得した交通量と、を関連付けた設置場所交通情報を記憶部33に記憶する。よって、記憶部33に記憶された設置場所交通量情報を利用することにより、設置場所における交通量の情報の外部への提供や、各地点での交通量の分析などを行うことができる。
【0051】
ここで、交通量取得部34は、撮像データに含まれる車両の撮像に基づいて、設置場所の車両交通量を取得する。情報記録部35は、設置場所を示す位置情報と、交通量取得部34が取得した交通量とを関連付けた設置場所交通量情報を記憶部33に記録する。したがって、自動販売機システム1では、道路沿いに設置されている自動販売機2から撮像データに基づいて、道路の車両交通量を取得することができる。また、自動販売機システム
1によれば、駐車場などに設置されている自動販売機2からの撮像データに基づいて、駐車場の混雑状況を把握できる。
【0052】
また、交通量取得部34は、撮像データに含まれる人間の撮像に基づいて、設置場所の人間交通量を取得する。情報記録部35は、位置情報と人間交通量と、を関連付けた設置場所交通量情報を記憶部33に記録する。よって、自動販売機システム1では、路地や歩道に設置されている自動販売機2からの撮像データに基づいて、路地や歩道を歩く人間の交通量を取得することができる。これにより、設置場所を通行する人間の交通量に基づいて、商品の販売予測、商品の補充予測などを行うことが可能となる。また、自動販売機2がイベント会場に設置されていれば、イベント会場に設置されている自動販売機2からの撮像データに基づいて、イベント会場における人間の交通量を取得することができる。これにより、設置場所を通行する人間の交通量に基づいて、イベント会場の警備や人流整理に役立てることができる。
【0053】
さらに、交通量取得部34は、撮像データに含まれる人間の撮像に基づいて、人間の属性を取得するとともに、属性毎の属性別交通量を取得する。情報記録部35は、位置情報と属性別交通量と、を関連付けた設置場所交通量情報を記憶部33に記録する。よって、自動販売機システム1では、自動販売機2の設置場所における人流を、そこを通行する人間の属性別に把握できる。これにより、設置場所を通行する人間の属性別交通量に基づいて、商品の販売予測、商品の補充予測などを行うことが可能となる。
【0054】
また、情報処理サーバ3は、情報処理サーバ側通信部31が受信した撮影データ、位置情報、および交通量を表示する設置場所情報画面G2を生成する情報画面生成部36を備える。情報処理サーバ3に接続される第1情報端末4および第2情報端末5は、設置場所情報画面G2を表示する。したがって、第1情報端末4および第2情報端末5から自動販売機2の設置場所における交通量を把握できる。また、設置場所情報画面G2に表示される撮像データの動画から、目視によって、自動販売機2の周辺の交通量を確認できる。したがって、観測地点に調査員を配置して行う交通量調査に代えて、自動販売機システム1を利用できる。
【0055】
さらに、第2情報端末5は、ネットワークNを介して情報処理サーバ3に接続される。よって、スマートフォンなどを利用して、自動販売機2の設置場所における交通量を遠隔位置から把握できる。したがって、自動販売機2の商品を補充するサービスマンが配送途中に第2情報端末5を介して商品補充対象の自動販売機2の設置場所情報画面G2を閲覧すれば、サービスマンは、設置場所周辺の道路の混雑状況を把握できる。
【0056】
また、サービスマンに限らず、配送トラックやタクシーの運転手が第2情報端末5を介して業務目的地近辺の自動販売機2の設置場所情報画面G2を閲覧すれば、これらの運転手は、業務目的地までの道路の混雑状況を把握できる。
【0057】
さらに、警察官や消防隊員が、地震・大雪などの自然災害や、火災・交通事故などの人為災害の発生時に第2情報端末5を介して災害発生場所の自動販売機2の設置場所情報画面G2を閲覧すれば、警察官や消防隊員は、災害状況を把握できる。したがって、警察官や消防隊員は、避難誘導、救助などの災害対応をすることが容易となる。また、地震・大雪などの自然災害や、火災・交通事故などの人為災害の発生時に住人が第2情報端末5を介して災害発生場所の近傍の自動販売機2の設置場所情報画面G2を閲覧すれば、住人は、災害の状況を確認できる。したがって、住民は、安全な避難経路を確保することが容易となる。
【0058】
ここで、自動販売機2は、市街地に配置されている。したがって、ショッピングなどの
目的で市街地への外出を考えている者が第2情報端末5を介して目的地近辺の自動販売機2の設置場所情報画面G2を閲覧すれば、外出を考えている者は、目的地における車両および人の混雑状況を把握できる。また、自動販売機2は、観光スポットに配置されている。したがって、旅行者が移動中に第2情報端末5を介して目的地近辺の自動販売機2の設置場所情報画面G2を閲覧すれば、旅行者は、目的地までの道路の混雑状態や目的地周辺の混雑状態を把握できる。よって、設置場所情報画面G2は、旅行、行楽、外出のための情報を提供する画面として利用できる。
【0059】
なお、ネットワークを介してアクセスできるライブカメラからの映像よっても、ライブカメラの設置場所の周辺の状況を確認できる。しかし、ライブカメラは幹線道路沿いに設置されている場合が多く、その映像からは幹線道路に接続されている道路の状況を判断することは容易ではない。これに対して、自動販売機2の設置場所は、多様であり、住宅街、商店街、工業団地、郊外、観光地などのいずれにも設置される。したがって、自動販売機2のカメラ21からは、様々な道路の撮像データが供給される。よって、警察官、消防隊、サービスマン、各種車両の運転手は、複数の自動販売機2の設置場所情報画面G2を閲覧することにより、ライブカメラからの映像を閲覧する場合と比較して、より詳細な道路状況を把握することができる。
【0060】
また、本例では、情報処理サーバ3の情報記録部35は、設置場所を示す位置情報と、情報処理サーバ側通信部31が受信した撮像データを関連づけた撮像情報を記憶部33に記憶する撮像情報記録部37を備える。撮像データには、撮像日時が含まれている。したがって、記憶部33に記憶保持された撮像情報から、過去の特定の日時における自動販売機2の周辺の映像を取得できる。よって、記憶部33に記憶保持された撮像情報を、自動販売機2が設置された地域の防犯や犯罪防止に役立てることができる。また、自然災害の発生現場および発生日時が特定されれば、撮像情報から災害発生時の映像を取得できる。これにより、災害の発生しやすい危険な地域を特定できるので、自動販売機システム1を、防災マップ作製などの防災対策に役立てることができる。
【0061】
また、自動販売機2は、住宅街、商店街、工業団地、郊外、観光地など多様な地点に設置されるので、自動販売機システム1によれば、人口が集中する都市部に限定されず、人口が少ない山間地域でも、交通量を把握できる。さらに、自動販売機システム1により取得される撮像データを利用すれば、市街地と比較して監視カメラの設置台数の少ない山間地域でも、防犯対策を行うことができる。
【0062】
次に、本例では、自動販売機2は、大気センサ22を備える。自動販売機2の通信部25は、大気センサ22からの大気データを情報処理サーバ側通信部31に送信する。情報処理サーバ3の情報記録部35は、位置情報と、大気データと、を関連付けた設置場所大気情報を記憶部33に記録する。また、情報処理サーバ3の情報画面生成部36は、大気データを含む設置場所情報画面G2を生成する。したがって、第1情報端末4および第2情報端末5に表示された設置場所情報画面G2から、自動販売機2の設置場所における交通量とともに天候を把握できる。よって、自動販売機2に商品を補充するサービスマンが配送途中に商品補充対象の自動販売機2の設置場所情報画面G2を閲覧すれば、サービスマンは、自動販売機2への商品の補充に雨具が必要か否かを判断できる。また、商品の補充に際して、自動販売機2の周辺の雪かきが必要か否かを判断できる。また、大雪や大雨時には、自動販売機2の周辺の道路が通行可能か否かを判断できる。
【0063】
また、自動販売機システム1は、大気データとして、自動販売機2の設置場所における照度、気温、湿度、雨量、および積雪量を取得する。したがって、自動販売機システム1を用いれば、照度、気温、湿度、雨量、積雪量、および交通量に基づいて、自動販売機2で取り扱う商品の販売予測、補充予測などを行うことが可能となる。ここで、記憶部33
に記憶された設置場所大気情報は、外部に提供することが可能である。したがって、設置場所大気情報の提供を受けた企業は、設置場所大気情報をコーザルデータとして利用できる。また、設置場所大気情報の提供を受けた自治体、大学、研究施設では、特定の地域の大気の状態を分析することができる。
【0064】
さらに、本例では、情報処理サーバ3の情報画面生成部36は、設置場所を含む地図と、位置情報に対応する地図上の位置に、大気データ表示する大気データ表示画面G3を生成する。第1情報端末4および第2情報端末5は、大気データ表示画面G3を表示する。したがって、第1情報端末4および第2情報端末5を介して大気データ表示画面G3を閲覧すれば、自動販売機2の設置場所周辺における大気の状態を把握できる。
【0065】
また、本例では、自動販売機2は、環境センサ23を備える。自動販売機2の通信部25は、環境センサ23からの環境データを情報処理サーバ側通信部31に送信する。情報処理サーバ3の情報記録部35は、位置情報と環境データと、を関連付けた設置場所環境情報を記憶部33に記録する。情報処理サーバ3の情報画面生成部36は、環境データを含む設置場所情報画面G2を生成する。したがって、第1情報端末4および第2情報端末5に表示された設置場所情報画面G2から、自動販売機2の設置場所における交通量とともに、環境データを把握できる。また、本例では、設置場所の交通量と環境データとを同時に取得できるので、これらの相関を検討することができる。したがって、自動販売機システム1を、環境保護や、SDGsのために活用しやすい。
【0066】
また、本例では、自動販売機2が、大気センサ22および環境センサ23を備える。したがって、大気センサ22および環境センサ23を、それぞれ単体で自動販売機2とは別に設置する場合と比較して、設置場所や電源の確保が容易である。また、自動販売機2は情報処理サーバ3と通信可能に接続されているので、大気センサ22および環境センサ23から出力される大気データおよび環境データを収集することも容易である。
【0067】
ここで、自動販売機2は多様な地点に配置されている。したがって、自動販売機システム1によれば、環境データとして、様々な地点におけるPM.2.5の量、CO2濃度、およびNOx濃度を取得できる。したがって、自動販売機システム1が取得する環境データは、環境保護や、SDGsのために活用しやすい。
【0068】
また、情報処理サーバ3の情報画面生成部36は、設置場所を含む地図と、位置情報に対応する地図上の位置に、環境データ表示する環境データ表示画面G4を生成する。第1情報端末4および第2情報端末5は、環境データ表示画面G4を表示する。したがって、第1情報端末4および第2情報端末5を介して環境データ表示画面G4を閲覧すれば、自動販売機2の設置場所周辺における環境情報を把握できる。
【0069】
また、環境センサ23は、地面から1.2~1.6m程度の高さに配置されている。したがって、自動販売機システム1が取得する環境データは、人間の顔部分に近い位置で測定されたデータである。よって、人間の目に影響を与えたり、鼻や口から吸い込んだりするPM2.5、CO2およびNOxの濃度を正確に取得できる。したがって、環境データ表示画面G4は、アレルギーや呼吸器系の疾患がある人にとって有益な情報を提供する画面となる。
【0070】
本例において、自動販売機2は、内部に格納している商品の在庫量を取得する在庫量取得部261と、在庫量に基づいて商品の補充を指示する補充指令を発行する補充指令出力部262と、を備える。また、自動販売機2の通信部25は、補充指令を商品管理サーバ6に送信する。ここで、自動販売機2は、補充指令を配送施設に送信するために一般的に通信部を備える。したがって、本例のように、撮像データの送信と、補充指令の送信とを
一つの通信部25を介して行えば、これらを別々の通信部25から送信する場合と比較して、通信回線を節約できる。
【0071】
なお、自動販売機2は、第5世代などの移動通信システムの基地局を備えてもよい。また、自動販売機2は、公衆無線LANサービス用のWi-Fi機器を備えてもよい。さらに、自動販売機2は、LPWAの通信機器を備えてもよい。
【0072】
(他の実施の形態)
図9は、他の実施の形態に係る自動販売機システムの概略構成図である。
図10は、他の実施の形態に係る自動販売機のブロック図である。本例の自動販売機システム1Aは、上記の自動販売機システム1と対応する構成を備える。したがって、自動販売機システム1Aにおいて、自動販売機システム1と対応する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0073】
図9に示すように、本例の自動販売機システム1Aでは、自動販売機2Aは、スマートフォンなどの通信端末8と通信可能な通信機器28を備える。通信機器28は、移動通信システムの基地局、Wi-Fi機器などである。通信端末8は、通信機器28を介してネットワークNにアクセスすることができる。
【0074】
図10に示すように、自動販売機2Aは、通信機器28にアクセスした通信端末8のIPアドレスを取得するIPアドレス取得部273を備える。IPアドレス取得部273は、通信端末8が通信機器28にアクセスする毎に、当該通信端末8のIPアドレスを取得する。また、IPアドレス取得部273は、通信機器28にアクセスする全ての通信端末8のIPアドレスを取得する。IPアドレス取得部273は、IPアドレスを取得すると、IPアドレスを制御部24に入力する。
【0075】
制御部24の情報取得制御部27は、特定情報生成部274を備える。特定情報生成部274は、IPアドレスが制御部24に入力されると、入力時点をIPアドレス取得日時として、IPアドレスとIPアドレス取得日時とを関連付けた特定情報を生成する。通信部25は、特定情報が生成されると、当該特定情報を情報処理サーバ3に送信する。
【0076】
情報処理サーバ3では、自動販売機2Aからの特定情報を情報処理サーバ側通信部31が受信すると、情報処理サーバ制御部32に特定情報が入力される。特定情報が情報処理サーバ制御部32に入力されると、情報記録部35は、自動販売機2Aの設置場所を示す位置情報と、特定情報と、を関連付けた通信端末位置情報を記憶部33に記録する。
【0077】
本例によれば、通信端末位置情報を参照することにより、特定のIPアドレスを有する通信端末8を所持する人、または特定のIPアドレスを有する通信端末8を搭載する車両が、特定の自動販売機2Aの周辺に存在することを把握することできる。また、情報処理サーバ3を操作するオペレータが通信端末位置情報に基づいて記憶部33に記憶保持された撮像情報を検索すれば、特定の設置場所の特定の日時に取得されたIPアドレスを有する通信端末8を搭載する車両の撮像データから当該車両の外見的な特徴を確認することができる。同様に、オペレータが通信端末位置情報に基づいて記憶部33に記憶保持された撮像情報を検索すれば、特定の設置場所の特定の日時に取得されたIPアドレスを有する通信端末8を所持する人の撮像データから当該人間の外見的な特徴を確認することができる。また、当該撮像データを解析することにより、特定のIPアドレスを有する通信端末8を所持する人間の属性である性別、年齢層を取得できる。
【0078】
また、通信端末8のIPアドレスは、通信端末が通信機器28にアクセスする毎に取得され、かつ、通信機器28にアクセスする全ての通信端末8のIPアドレスを取得する。
したがって、記憶部33に記憶保持された通信端末位置情報に基づいて、自動販売機2Aの設置位置で取得されたIPアドレスの件数を取得すれば、設置位置で通信端末8が使用された回数を把握できる。したがって、通信端末8が使用された回数を、設置場所の人間交通量や車両交通量を補完する情報、或いは、これらの交通量を裏付けする情報として、利用できる。また、設置位置における人間交通量と通信端末8が使用された回数との相関関係や、設置位置における車両交通量と通信端末8が使用された回数との相関関係などを取得することも可能となる。
【0079】
さらに、情報処理サーバ3の記憶部33には、特定情報と自動販売機2Aの設置位置とが関連付けられた通信端末位置情報が記憶保持される。したがって、特定のIPアドレスについて、IPアドレス取得日時および設置位置の異なる複数の通信端末位置情報を解析すれば、特定のIPアドレスを有する通信端末8を所持する人、または特定のIPアドレスを有する通信端末8を搭載する車両の、移動方向、移動速度、移動経路を取得できる。これにより、自動販売機2Aの周辺を通過した人間や車両の動きを把握することができる。したがって、設置位置における人間交通量、車両交通量、属性別交通量、および通信端末位置情報は、都市計画や、企業の出店計画の策定に利用できる。
【0080】
また、本例によれば、記憶部33に記憶保持された複数の通信端末位置情報から特定のIPアドレスを有する通信端末8を所持する人、または特定のIPアドレスを有する通信端末8を搭載する車両の、移動方向、移動速度、移動経路、などを取得することができ、かつ、記憶部33に記憶保持された撮像情報を参照することにより特定のIPアドレスを有する通信端末8を所持する人、または特定のIPアドレスを有する通信端末8を搭載する車両について、外見的な情報を取得することができる。したがって、本例の自動販売機システム1Aは、防犯、行方不明者の捜索、犯罪捜査に役立てることができる。
【0081】
(変形例)
上記では、情報処理サーバ3と商品管理サーバ6とは、別々に構成されていたが、1つのサーバで構成されてもよい。つまり、1つのサーバが、情報処理サーバ3および商品管理サーバ6として機能してもよい。
【符号の説明】
【0082】
1・1A…自動販売機システム、2・2A…自動販売機、3…情報処理サーバ、4…第1情報端末、5…第2情報端末、6…商品管理サーバ、8…通信端末、11…中継映像領域、12…情報表示領域、21…カメラ、22…大気センサ、23…環境センサ、24…制御部、25…通信部、26…販売制御部、27…情報取得制御部、28…通信機器、31…情報処理サーバ側通信部、32…情報処理サーバ制御部、33…記憶部、34…交通量取得部、35…情報記録部、36…情報画面生成部、37…撮像情報記録部、261…在庫量取得部、262…補充指令出力部、271…撮像データ圧縮出力部、272…データ出力部、273…IPアドレス取得部、274…特定情報生成部、341…車両交通量取得部、342…人流取得部、N…ネットワーク、G1…地図情報画面、G2…設置場所情報画面、G3…大気データ表示画面、G4…環境データ表示画面