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特許7297930クローン病を治療する方法に使用するためのミリキズマブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】クローン病を治療する方法に使用するためのミリキズマブ
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20230619BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZMD
A61P1/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021562882
(86)(22)【出願日】2020-04-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 US2020028273
(87)【国際公開番号】W WO2020219314
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】62/836,910
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(72)【発明者】
【氏名】フリードリック,スチュアート ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ポラック,ポール フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】タットル,ジェイ ローレンス
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-527380(JP,A)
【文献】Expert Opinion on Investigational Drugs,2018年,Vol.27, No.8, pp.649-660
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00-39/44
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮下注射に適した、ミリキズマブを含む、クローン病(CD)の治療剤との組み合わせにおいて用いるための、静脈内注射に適した、ミリキズマブを含む、患者におけるクローン病(CD)の治療剤であって、
前記静脈内注射に適したミリキズマブを含む治療剤は、3回の誘導用量のミリキズマブが静脈内注射によって前記患者に投与され、各誘導用量が、約900mgのミリキズマブを含むように用いられ、
前記皮下注射に適したミリキズマブを含む治療剤は、維持用量のミリキズマブが、約4週間または約8週間間隔で皮下注射によって前記患者に投与され、初回の維持用量が、最後の誘導用量が投与されてから約4週間または約8週間後に投与され、各維持用量が、約200mgまたは約300mgのミリキズマブを含むように用いられ、
前記CDが、中等度から重度のCDである、治療剤。
【請求項2】
前記患者が、従来薬不成功者(conventional-failed)である、請求項1に記載のCDの治療剤。
【請求項3】
前記患者が、生物学的製剤経験者(biologic-experienced)である、請求項1に記載のCDの治療剤。
【請求項4】
前記患者が、生物学的製剤不成功者(biologic-failed)である、請求項1に記載のCDの治療剤。
【請求項5】
3回の誘導用量のミリキズマブが、約4週間間隔で投与され、前記初回の維持用量は、前記最後の誘導用量が投与されてから約4週間後に投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載のCDの治療剤。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、概して、ヒトIL-23のp19サブユニットに結合する抗体を用いて、クローン病(CD)を治療する方法に関する。
【0002】
CDは、環境的、遺伝的、免疫学的影響を伴う原因不明の慢性疾患である。口から肛門までの消化管の任意の部分に影響を及ぼし、通常は不連続な病変として現れる貫壁性炎症は、CDのよく見られる特徴である(Baumgart D C and Sandborn WJ,Lancet,Vol.369,pages1641-57,2007)。症状には、慢性下痢(多くの場合、血が混じり、膿や粘液を含む)、腹痛、体重減少、発熱、倦怠感、貧血、直腸出血、腹部の膨満感などが挙げられる。症状は、疾患の重症度と疾患の場所によって異なり、患者の大多数は、膿瘍、瘻孔、狭窄、または外科的介入を必要とする閉塞を経験している。再発寛解型の症状は、多くの患者が寛解期を伴う断続的な疾患の再燃を有することを意味し、CDでは非常に一般的である(Lichtenstein G R et al.,American Journal of Gastroenterology,Vol.113,pages 481-517,2018)。臨床診療における治療目標は、症状の抑制と腸粘膜の治癒である。
【0003】
IL-23標的療法による自己免疫/炎症性疾患の治療が追求されている。自己免疫疾患における臨床的利益を実証した最初のそのような生物学的製剤は、乾癬、乾癬性関節炎、およびCDの治療のための食品医薬品局(FDA)承認のモノクローナル抗体であるウステキヌマブであった。ウステキヌマブは、IL-12およびIL-23の共通のp40サブユニットに結合するため、IL-23ではなく、両方のサイトカインを特に標的とする。IL-12経路の遮断により、Th1細胞により誘導されたTh17細胞発生のインターフェロン遮断が妨げられ、p40を標的とする抗体の臨床活性が潜在的に制限され得る。実験的研究は、IL-23/Th17/IL-17免疫軸を遮断するだけで自己免疫性炎症を治療するのに十分であることを示唆している(Monteleone G et al.,Mediators of Inflammation,E-publication,27 May 2009)。IL-23 p19サブユニットを特異的に標的とする薬剤は、乾癬において臨床活性を示している(Sofen H et al.,J Allergy Clin Immunol.Vol.133,No.4,pages 1032-1040,2014、Kopp T et al.,Nature,Vol.521,No.7551,pages 222-226,2015、Krueger J G et al.,J Allergy Clin Immunol.,Vol.136,No.1,pages 116-124 e7,2015)。IL-23 p19特異的抗体は、CDでも臨床活性を示している(Sands B E et al.,Gastroenterology,Vol.148,No.4,Supplement 1,S163-S164,Abstract 830,2015、Feagan B G et al.,Gastroenterology,Vol.150,No.4,Supplement 1,S1266,Abstract 812a,2016)。
【0004】
抗IL-23p19抗体によるCDの治療レジメンは、WO2014/143540AlおよびWO2017/048901Alに開示される。
【0005】
例えば、治療の有効性、安全性、および/または忍容性の観点から、患者に好ましい成果をもたらすCDの治療選択肢に対する必要性が依然として残っている。特に、CDの治療に最適な有効性を提供するミリキズマブの投与レジメンの形態での治療選択肢の必要性が依然としてある。
【0006】
したがって、本発明の第1の態様では、ミリキズマブを患者に投与することを含む、CDを治療するための方法を提供し、該方法は、
a)少なくとも1回の誘導用量のミリキズマブを患者に投与することであって、誘導用量が、約200mg~約1200mgのミリキズマブを含む、投与することと、
b)最後の誘導用量が投与された後、少なくとも1回の維持用量のミリキズマブを患者に投与することであって、維持用量が、約100mg~約600mgのミリキズマブを含む、投与することと、を含む。
【0007】
本発明の方法のさらなる実施形態では、CDは、中等度から重度のCDである。
【0008】
本発明の方法のまたさらなる実施形態では、患者は、従来薬不成功者(conventional-failed)である。
【0009】
本発明の方法の代替的な実施形態では、患者は、生物学的製剤経験者(biologic-experienced)である。
【0010】
本発明の方法の代替的なさらなる実施形態では、患者は、生物学的製剤不成功者(biologic-failed)である。
【0011】
本発明の方法のまたさらなる実施形態では、少なくとも1回の誘導用量は、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、または約1200mgのミリキズマブを含む。
【0012】
本発明の方法の好ましい実施形態では、少なくとも1回の誘導用量は、約900mgのミリキズマブを含む。
【0013】
本発明の方法のまたさらなる実施形態では、1回、2回、3回、または4回の誘導用量が、患者に投与される。
【0014】
本発明の方法の好ましい実施形態では、3回の誘導用量が、約4週間間隔で患者に投与される。
【0015】
本発明の方法のまたさらなる実施形態では、少なくとも1回の誘導用量が、静脈内注入によって投与される。
【0016】
本発明の方法のまたさらなる実施形態では、患者が、最後の誘導用量が投与されてから約4週間~約12週間後に、内視鏡的反応を達成しなかった場合、少なくとも1回の延長誘導用量のミリキズマブが、患者に投与され、患者が、最後の延長誘導用量が投与されてから約4週間~約12週間後に、内視鏡的反応を達成した場合、少なくとも1回の維持用量のミリキズマブが、患者に投与され、内視鏡的反応が、SES-CDスコアのベースラインから50%低減として定義される。
【0017】
本発明の方法のまたさらなる実施形態では、患者が、最後の誘導用量が投与されてから約4週間後に、内視鏡的反応を達成しなかった場合、少なくとも1回の延長誘導用量が、患者に投与される。
【0018】
本発明の方法のまたさらなる実施形態では、複数回の延長誘導用量が、約4週間間隔で投与される。
【0019】
本発明の方法のさらに好ましい実施形態では、3回の延長誘導用量が、約4週間間隔で投与される。
【0020】
本発明の方法のまたさらなる実施形態では、延長誘導用量は、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、または約1200mgのミリキズマブを含む。
【0021】
好ましくは、延長誘導用量は、約200mg、約600mg、約900mg、または約1000mgのミリキズマブを含む。
【0022】
さらに好ましくは、延長誘導用量は、約900mgのミリキズマブを含む。
【0023】
本発明の方法のまたさらなる実施形態では、1回、2回、または3回の延長誘導用量が、静脈内注入によって投与される。
【0024】
本発明の方法のまたさらなる実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約500mg、または約600mgのミリキズマブを含む。
【0025】
本発明の方法のさらに好ましい実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、約300mgのミリキズマブを含む。
【0026】
本発明の方法の代替的な好ましい実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、約200mgのミリキズマブを含む。
【0027】
本発明の方法のまたさらなる実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから2~16週間後に投与される。
【0028】
本発明の方法のまたさらなる実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約12週間または約16週間後に投与される。
【0029】
本発明の方法のまたさらなる実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約4週間後に投与される。
【0030】
本発明の方法の代替的なさらに好ましい実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約8週間後に投与される。
【0031】
本発明の方法のまたさらなる実施形態では、複数回の維持用量が患者に投与され、初回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから2~16週間後に投与される。
【0032】
本発明の方法のまたさらなる実施形態では、初回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約12週間または約16週間後に投与される。
【0033】
本発明の方法のまたさらなる実施形態では、初回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約4週間後に投与される。
【0034】
本発明の方法の代替的なのさらに好ましい実施形態では、初回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約8週間後に投与される。
【0035】
本発明の方法のまたさらなる実施形態では、1回以上のさらなる維持用量は、初回の維持用量の投与後、約4週間、約8週間、または約12週間間隔で投与される。
【0036】
本発明の方法のまたさらなる好ましい実施形態では、1回以上のさらなる維持用量は、初回の維持用量の投与後、約4週間間隔で投与される。
【0037】
本発明の方法のまたさらなる好ましい実施形態では、1回以上のさらなる維持用量は、初回の維持用量の投与後、約8週間間隔で投与される。
【0038】
本発明の方法のまたさらなる好ましい実施形態では、維持用量は、皮下注射によって投与される。
【0039】
本発明の方法のまたさらなる好ましい実施形態では、本方法は、
a)3回の誘導用量のミリキズマブを静脈内注射によって患者に投与することであって、各誘導用量が、約900mgのミリキズマブを含む、投与することと、
b)維持用量のミリキズマブを、約4週間または約8週間間隔で皮下注射によって患者に投与することであって、初回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約4週間または約8週間後に投与され、各維持用量が、200mgまたは300mgのミリキズマブを含む、投与することと、を含み、
CDが、中等度から重度のCDである。
【0040】
本発明のまたさらなる実施形態では、患者は、従来薬不成功者である。
【0041】
本発明の代替的な実施形態では、患者は、生物学的製剤経験者である。
【0042】
本発明のさらなる代替的な実施形態では、患者は、生物学的製剤不成功者である。
【0043】
本発明の方法のまたさらなる好ましい実施形態では、3回の誘導用量のミリキズマブが、約4週間間隔で投与され、初回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約4週間後に投与される。
【0044】
本発明のさらなる態様では、CDの治療に使用するためのミリキズマブを提供し、当該治療が、
a)少なくとも1回の誘導用量のミリキズマブを患者に投与することであって、誘導用量が、約200mg~約1200mgのミリキズマブを含む、投与することと、
b)最後の誘導用量が投与された後、少なくとも1回の維持用量のミリキズマブを患者に投与することであって、維持用量が、約100mg~約600mgのミリキズマブを含む、投与することと、を含む。
【0045】
本発明の一実施形態では、CDは、中等度から重度のCDである。
【0046】
本発明のまたさらなる実施形態では、患者は、従来薬不成功者である。
【0047】
本発明の代替的な実施形態では、患者は、生物学的製剤経験者である。
【0048】
本発明のさらなる代替的な実施形態では、患者は、生物学的製剤不成功者である。
【0049】
本発明のまたさらなる実施形態では、少なくとも1回の誘導用量は、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、または約1200mgのミリキズマブを含む。
【0050】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1回の誘導用量は、約900mgのミリキズマブを含む。
【0051】
本発明のなおさらなる実施形態では、1回、2回、3回、または4回の誘導用量が、患者に投与される。
【0052】
本発明のさらに好ましい実施形態では、3回の誘導用量が、約4週間間隔で患者に投与される。
【0053】
本発明の代替的なさらなる実施形態では、少なくとも1回の誘導用量が、静脈内注入によって投与される。
【0054】
本発明のさらに実施形態では、患者が、最後の誘導用量が投与されてから約4週間~約12週間後に、内視鏡的反応を達成しなかった場合、少なくとも1回の延長誘導用量のミリキズマブが、患者に投与され、患者が、最後の延長誘導用量が投与されてから約4週間~約12週間後に、内視鏡的反応を達成した場合、少なくとも1回の維持用量のミリキズマブが、患者に投与され、内視鏡的反応が、SES-CDスコアのベースラインから50%低減として定義される。
【0055】
本発明の方法のまたさらなる好ましい実施形態では、最後の誘導用量が投与されてから約4週間後に、患者が、内視鏡的反応を達成しなかった場合、少なくとも1回の延長誘導用量が、患者に投与される。
【0056】
本発明のまたさらなる実施形態では、複数回の延長誘導用量が、約4週間間隔で投与される。
【0057】
本発明のまたさらなる好ましい実施形態では、3回の延長誘導用量が、約4週間間隔で投与される。
【0058】
本発明のまたさらなる実施形態では、延長誘導用量は、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、または約1200mgのミリキズマブを含む。
【0059】
好ましくは、延長誘導用量は、約200mg、約600mg、約900mg、または約1000mgのミリキズマブを含む。
【0060】
さらに好ましくは、延長誘導用量は、約900mgのミリキズマブを含む。
【0061】
本発明のまたさらなる好ましい実施形態では、1回、2回、または3回の延長誘導用量が、静脈内注入によって投与される。
【0062】
本発明のまたさらなる実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約500mg、または約600mgのミリキズマブを含む。
【0063】
本発明のまたさらなる好ましい実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、約300mgのミリキズマブを含む。
【0064】
本発明の代替的な好ましい実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、約200mgのミリキズマブを含む
【0065】
本発明のなおさらなる実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから2~16週間後に投与される。
【0066】
本発明のまたさらなる実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約12週間または約16週間後に投与される。
【0067】
本発明のまたさらなる好ましい実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約4週間後に投与される。
【0068】
本発明の代替的なさらに好ましい実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約8週間後に投与される。
【0069】
本発明のなおさらなる実施形態では、複数回の維持用量が患者に投与され、初回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから2~16週間後に投与される。
【0070】
本発明のまたさらなる実施形態では、初回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約12週間または約16週間後に投与される。
【0071】
本発明のまたさらなる好ましい実施形態では、初回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約4週間後に投与される。
【0072】
本発明の代替的なさらに好ましい実施形態では、初回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約8週間後に投与される。
【0073】
本発明のまたさらなる実施形態では、1回以上のさらなる維持用量は、初回の維持用量の投与後、約4週間、約8週間、または約12週間間隔で投与される。
【0074】
本発明のまたさらなる好ましい実施形態では、1回以上のさらなる維持用量は、初回の維持用量の投与後、約4週間間隔で投与される。
【0075】
本発明の代替的なさらなる好ましい実施形態では、1回以上のさらなる維持用量は、初回の維持用量の投与後、約8週間間隔で投与される。
【0076】
本発明のまたさらなる実施形態では、維持用量は、皮下注射によって投与される。
【0077】
本発明のまたさらなる好ましい実施形態では、治療は、
a)3回の誘導用量のミリキズマブを静脈内注射によって患者に投与することであって、各誘導用量が、約900mgのミリキズマブを含む、投与することと、
b)維持用量のミリキズマブを、約4週間または約8週間間隔で皮下注射によって患者に投与することであって、初回の維持用量が、最後の誘導用量が投与されてから約4週間または約8週間後に投与され、各維持用量が、200mgまたは300mgのミリキズマブを含む、投与することと、を含み、
CDが、中等度から重度のCDである。
【0078】
本発明のまたさらなる実施形態では、患者は、従来薬不成功者である。
【0079】
本発明の代替的な実施形態では、患者は、生物学的製剤経験者である。
【0080】
本発明のさらなる代替的な実施形態では、患者は、生物学的製剤不成功者である。
【0081】
本発明のさらに好ましい実施形態では、3回の誘導用量のミリキズマブが、約4週間間隔で投与され、初回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約4週間後に投与される。
【0082】
本発明のまたさらなる態様では、CDの治療に使用するための薬剤の製造におけるミリキズマブの使用を提供し、当該治療が、
a)少なくとも1回の誘導用量のミリキズマブを患者に投与することであって、誘導用量が、約200mg~約1200mgのミリキズマブを含む、投与することと、
b)最後の誘導用量が投与された後、少なくとも1回の維持用量のミリキズマブを患者に投与することであって、維持用量が、約100mg~約600mgのミリキズマブを含む、投与することと、を含む。
【0083】
本発明の一実施形態では、CDは、中等度から重度のCDである。
【0084】
本発明のまたさらなる実施形態では、患者は、従来薬不成功者である。
【0085】
本発明の代替的な実施形態では、患者は、生物学的製剤経験者である。
【0086】
本発明の代替的なさらなる実施形態では、患者は、生物学的製剤不成功者である。
【0087】
本発明のまたさらなる実施形態では、少なくとも1回の誘導用量は、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、または約1200mgのミリキズマブを含む。
【0088】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1回の誘導用量は、約900mgのミリキズマブを含む。
【0089】
本発明のなおさらなる実施形態では、1回、2回、3回、または4回の誘導用量が、患者に投与される。
【0090】
本発明のさらに好ましい実施形態では、3回の誘導用量が、約4週間間隔で患者に投与される。
【0091】
本発明の代替的なさらなる実施形態では、少なくとも1回の誘導用量が、静脈内注入によって投与される。
【0092】
本発明のさらに実施形態では、患者が、最後の誘導用量が投与されてから約4週間~約12週間後に、内視鏡的反応を達成しなかった場合、少なくとも1回の延長誘導用量のミリキズマブが、患者に投与され、患者が、最後の延長誘導用量が投与されてから約4週間~約12週間後に、内視鏡的反応を達成した場合、少なくとも1回の維持用量のミリキズマブが、患者に投与され、内視鏡的反応が、SES-CDスコアのベースラインから50%低減として定義される。
【0093】
本発明の方法のまたさらなる好ましい実施形態では、最後の誘導用量が投与されてから約4週間後に患者が内視鏡的反応を達成しなかった場合、少なくとも1回の延長誘導用量が、患者に投与される。
【0094】
本発明のまたさらなる実施形態では、複数回の延長誘導用量が、約4週間間隔で投与される。
【0095】
本発明のまたさらなる好ましい実施形態では、3回の延長誘導用量が、約4週間間隔で投与される。
【0096】
本発明のまたさらなる実施形態では、延長誘導用量は、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、または約1200mgのミリキズマブを含む。
【0097】
好ましくは、延長誘導用量は、約200mg、約600mg、約900mg、または約1000mgのミリキズマブを含む。
【0098】
さらに好ましくは、延長誘導用量は、約900mgのミリキズマブを含む。
【0099】
本発明のまたさらなる好ましい実施形態では、1回、2回、または3回の延長誘導用量が、静脈内注入によって投与される。
【0100】
本発明のまたさらなる実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約500mg、または約600mgのミリキズマブを含む。
【0101】
本発明のまたさらなる好ましい実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、約300mgのミリキズマブを含む。
【0102】
本発明の代替的な好ましい実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、約200mgのミリキズマブを含む
【0103】
本発明のなおさらなる実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから2~16週間後に投与される。
【0104】
本発明のまたさらなる実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約12週間または約16週間後に投与される。
【0105】
本発明のまたさらなる好ましい実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約4週間後に投与される。
【0106】
本発明の代替的なさらに好ましい実施形態では、少なくとも1回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約8週間後に投与される。
【0107】
本発明のなおさらなる実施形態では、複数回の維持用量が患者に投与され、初回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから2~16週間後に投与される。
【0108】
本発明のまたさらなる実施形態では、初回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約12週間または約16週間後に投与される。
【0109】
本発明のまたさらなる好ましい実施形態では、初回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約4週間後に投与される。
【0110】
本発明の代替的なさらに好ましい実施形態では、初回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約8週間後に投与される。
【0111】
本発明のまたさらなる実施形態では、1回以上のさらなる維持用量は、初回の維持用量の投与後、約4週間、約8週間、または約12週間間隔で投与される。
【0112】
本発明のまたさらなる好ましい実施形態では、1回以上のさらなる維持用量は、初回の維持用量の投与後、約4週間間隔で投与される。
【0113】
本発明の代替的なさらなる好ましい実施形態では、1回以上のさらなる維持用量は、初回の維持用量の投与後、約8週間間隔で投与される。
【0114】
本発明のまたさらなる実施形態では、維持用量は、皮下注射によって投与される。
【0115】
本発明のまたさらなる好ましい実施形態では、治療は、
a)3回の誘導用量のミリキズマブを静脈内注射によって患者に投与することであって、各誘導用量が、約900mgのミリキズマブを含む、投与することと、
b)維持用量のミリキズマブを、約4週間または約8週間間隔で皮下注射によって患者に投与することであって、初回の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから約4週間または約8週間後に投与され、各維持用量が、200mgまたは300mgのミリキズマブを含む、投与することと、を含み、
CDが、中等度から重度のCDである。
【0116】
本発明のまたさらなる実施形態では、患者は、従来薬不成功者である。
【0117】
本発明の代替的な実施形態では、患者は、生物学的製剤経験者である。
【0118】
本発明のさらなる代替的な実施形態では、患者は、生物学的製剤不成功者である。
【0119】
本発明のまたさらなる好ましい実施形態では、3回の誘導用量のミリキズマブが、約4週間間隔で投与され、初回の維持用量が、最後の誘導用量が投与されてから約4週間後に投与される。
【図面の簡単な説明】
【0120】
図1】実施例1に記載の研究における誘導期間中のミリキズマブの平均血清濃度を図示する。個々の被験者のクリアランス値と誘導期間中に投与を受けた合計用量を使用して母集団PK解析に基づいて推定された平均濃度。低い外れ値濃度の被験者は、主に、研究を中止し、計画されたすべてのミリキズマブの投与を受けなかった被験者の結果である。
図2】実施例1に記載の研究における維持期間中のミリキズマブの平均血清濃度を図示する。個々の被験者のクリアランス値と維持期間中に投与を受けた用量を使用して母集団PK解析に基づいて推定された平均濃度。
図3】実施例1の研究における母集団薬物動態モデル-推定クリアランス対体重を示す。
図4】実施例1の研究における母集団薬物動態モデル-推定中心分布容積対体重を示す。
図5】実施例1の研究における12週目の内視鏡的反応のモデル適合の視覚的予測チェックを示す。
図6】実施例1の研究における12週目の内視鏡的寛解のモデル適合の視覚的予測チェックを示す。
図7】実施例2の研究での関心のあるミリキズマブ用量および曝露についての、12週目の内視鏡的反応率および内視鏡的寛解率のシミュレーションを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0121】
CD疾患活動性レベルの様々な尺度があり、限定するものではないが、クローン病の単純内視鏡スコア(Simple Endoscopic Score for Crohn’s Disease)(SES-CD)(Daperno M et al.,Gastrointest Endosc.,Vol.60,No.4,pages 505-512,2004)およびクローン病活動性指標(Crohn’s Disease Activity Index)(CDAI)が含まれる。
【0122】
SES-CDは、5つの回腸結腸の腸セグメント(回腸;右結腸、横行結腸、および左結腸;ならびに直腸)で評価される、4つの内視鏡変数(潰瘍の存在とサイズ、潰瘍で覆われた表面の割合、疾患の影響を受けた表面の割合、および狭窄の存在と重症度)に基づくCDの内視鏡スコアリングシステムである。4つの内視鏡変数の各々に0~3のスコアが付けられる:潰瘍の存在とサイズ(なし=スコア0、直径0.1cm~0.5cm=スコア1、0.5cm~2cm=スコア2、>2cm=スコア3)、潰瘍化した表面の範囲(なし=0、<10%=1、10%~30%=2、>30%=3)、影響を受けた表面の範囲(なし=0、<50%=1、50%~75%=2、>75%=3)、狭窄の存在とタイプ(なし=0、1つのみ、通過可能=1、多数、通過可能=2、通過不能=3)。総計は、すべての腸セグメントにわたるすべての内視鏡スコアの合計として取得される。スコアの範囲は0~56で、スコアが高いほど重症度が高いことを示す。
【0123】
クローン病活動性指標(CDAIは、3つの患者報告項目と5つの医師報告/検査項目(身体的兆候と検査パラメータ[ヘマトクリット])の複合で構成される8項目の疾患活動性尺度である。患者の反応は7日間にわたって合計され、その後すべての項目が重み付けされ、0~600ポイントの合計スコア範囲が得られる。患者報告アウトカム(PRO)(例えば、CDAI-SF、CDAI-AP、およびCDAI-ウェルビーイング)の追加の詳細については、補記10.8を参照されたい。
【0124】
PROには以下のものが含まれる:
-便通回数(Bowel Movement Count)(BMC)
-クローン病活動性指標-排便回数(Stool Frequency)(CDAI-SF)
注:ブリストル便形状スケールは、CDAI-SFを完成させるための参照として使用される。
-クローン病活動性指標-腹痛(CDAI-AP)
-クローン病活動性指標-ウェルビーイング(CDAI-ウェルビーイング)
-腹痛NRS
-緊急性(Urgency)NRS
-患者の重症度全般評価(PGRS)
-慢性疾患治療の機能的評価-疲労用(FACIT-疲労用)
-炎症性腸疾患アンケート(IBDQ)
【0125】
本明細書で使用される場合、「生物学的製剤経験者」という用語は、CDの治療、特に中等度から重度のCDの治療のための、生物学的製剤、例えば、抗TNF-α抗体を投与されていた患者を指す。このような患者は、CDの治療のための従来薬を投与されている場合があるか、または投与されていない場合がある。CDの治療のための従来薬には、アミノサリセート(aminosalisate)、6-メルカプトプリン(6-MP)またはアザチオプリン(AZA)、コルチコステロイド、5-アミノサリチル酸(5-ASA)、およびステロイドが含まれる。
【0126】
本明細書で使用される場合、「生物学的製剤不成功者」という用語は、CDの治療、特に中等度から重度のCDの治療のための、生物学的製剤、例えば、抗TNF-α抗体を投与されていた患者を指す。そのような患者は、CDの治療のために従来薬を投与されている場合があるか、または投与されていない場合がある。CDの治療のための従来薬には、アミノサリセート、6-メルカプトプリン(6-MP)またはアザチオプリン(AZA)、コルチコステロイド、5-アミノサリチル酸(5-ASA)およびステロイドが含まれる。このような患者は、CDに対する生物学的療法(抗TNF抗体など)に対して不十分な反応、反応の喪失、または不耐性を有する。「生物学的製剤不成功者」という用語の観点から、不十分な反応とは、使用時に製品ラベルに示されている承認された誘導投薬での誘導治療にもかかわらず、持続性活動性疾患の兆候および症状を示すことを意味する。「生物学的製剤不成功者」という用語の観点から、反応の喪失は、以前の臨床的利益に続いて承認された維持投薬中の活動性疾患の兆候および症状の再発として定義される(臨床的利益にもかかわらず中止することは、CD生物学的療法に対して不成功であるか、または不耐性であると認定されるものではない)。「生物学的製剤不成功者」という用語の観点から、不耐性は、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、ベドリズマブ、ナタリズマブ、または他の承認された生物学的製剤に対する不耐性(輸液関連事象、脱髄、鬱血性心不全、または用量の減少もしくは投薬の中止につながった任意の他の薬物関連のAEを含むが、これらに限定されない)の病歴を意味する。
【0127】
本明細書で使用される場合、「生物学的製剤の投与を受けたことがない(biologic-naive)」という用語は、CDの治療、特に中等度から重度のCDの治療のために、生物学的製剤、例えば、抗TNF-α抗体を投与されていない患者を指す。そのような患者は、CDの治療のために従来薬を投与されている場合があるか、または投与されていない場合がある。CDの治療のための従来薬には、アミノサリセート、6-メルカプトプリン(6-MP)またはアザチオプリン(AZA)、コルチコステロイド、5-アミノサリチル酸(5-ASA)およびステロイドが含まれる。
【0128】
本明細書で使用される場合、「従来薬不成功者」という用語は、以下の薬剤:5-アミノサリチル酸(5-ASA)化合物;コルチコステロイド;AZA、6-MP、またはメトトレキサート(MTX)またはCD特定の抗生物質、のうちの少なくとも1つに対して不十分な反応、反応の喪失、または不耐性を有する患者を指す。従来薬不成功者である患者は、CDの治療に適応される生物学的投薬(抗TNF抗体または抗インテグリン抗体)に対して不成功であったか、または不耐性を実証したことがない。
【0129】
本明細書で使用される場合、「中等度から重度のCD」は、3か月のCDの診断として定義され、活動性CDを有し、研究治療の初回投与の14日前以内の回腸結腸疾患の被験者の場合は7(中央読影(centrally read))、または単独性回腸疾患の被験者の場合は4のSES-CDスコアを有する。
【0130】
本明細書で使用される場合、「臨床的利益」は、内視鏡的反応(SES-CDスコアのベースラインから50%低減)を有する、または排便回数(SF)もしくは腹痛(AP)スコアのベースラインから40%低減と組み合わされた、SES-CDスコアのベースラインから25%低減を有する、と定義される
【0131】
本明細書で使用される場合、「内視鏡的反応」は、SES-CDスコアのベースラインから50%低減として定義される。
【0132】
本明細書で使用される場合、「内視鏡的寛解SES-CD4」は、合計SES-CDスコアが4であり、ベースラインに対して少なくとも2ポイント減少し、サブスコア>1なしとして定義される。
【0133】
本明細書で使用される場合、「内視鏡的寛解SES-CD 0~2」は、2の合計SES-CDスコアとして定義される。
【0134】
本明細書で使用される「PROによる臨床的寛解」は、重み付けされていない1日平均SF2.5または3(ブリストル便形状スケールカテゴリ6または7[Lewis and Heaton 1997]を使用して定義された、液体または非常に柔らかい便の数[クローン病活動性指標、CDAIから取得]、すなわち液体または水様便)および重み付けされていない1日平均AP1(AP[4段階評価:0=なし、1=軽度、2=中等度、3=重度])、ならびにSFとAPの両方がベースラインよりも悪くないこととして定義される。
【0135】
本明細書で使用される場合、「PROによる臨床反応」は、SFおよび/またはAPの少なくとも30%の減少、およびベースラインよりも悪くないこととして定義される。
【0136】
本明細書で使用される場合、「CDAIによる臨床的寛解」は、CDAIスコア<150として定義される。
【0137】
本明細書で使用される「CDAIによる臨床反応」は、ベースラインと比較して100ポイントのCDAIスコアの減少、および/またはCDAIによる臨床的寛解にあることとして定義される。
【0138】
本明細書で使用される場合、「用量」または「投薬」は、治療目的(例えば、CDの治療)を達成するための物質(例えば、ミリキズマブ)の投与を指す。
【0139】
本明細書で使用される場合、「誘導期間」は、内視鏡的反応、内視鏡的寛解SES-CD4、内視鏡的寛解SES-CD 0~2、PROによる臨床的寛解、PROによる臨床反応、CDAIによる臨床的寛解またはCDAIによる臨床反応を誘導するための患者へのミリキズマブの投与を含む患者の治療期間を指し、これらの各用語は上記で定義されている。「誘導期間」の最小持続期間または最大持続期間はないが、典型的には、約4週間、約8週間、または約12週間の持続期間である。誘導期間の終了は、典型的には、最後の誘導用量が投与されてから約4週間または約8週間後に行われる誘導終了評価である。
【0140】
本明細書で使用される場合、「誘導用量」は、内視鏡的反応、内視鏡的寛解SES-CD4、内視鏡的寛解SES-CD 0~2、PROによる臨床的寛解、PROによる臨床反応、CDAIによる臨床的寛解またはCDAIによる臨床反応を誘導するために患者に投与されるミリキズマブの最初の用量を指し、これらの各用語は上記で定義されている。「誘導用量」は、単回用量、または代替的には、用量のセットであり得る。「誘導用量」は、誘導期間中に投与される。
【0141】
本明細書で使用される場合、「延長誘導期間」は、内視鏡的反応、内視鏡的寛解SES-CD4、内視鏡的寛解SES-CD 0~2、PROによる臨床的寛解、PROによる臨床反応、CDAIによる臨床的寛解、CDAIによる臨床反応が、最初の誘導期間中に達成されなかったため、内視鏡的反応、内視鏡的寛解SES-CD4、内視鏡的寛解SES-CD 0~2、PROによる臨床的寛解、PROによる臨床反応、CDAIによる臨床的寛解またはCDAIによる臨床反応を誘導するために必要とされる患者へのミリキズマブの投与を含む、患者の治療期間を指し、これらの各用語は上記で定義されている。「延長誘導期間」は、約4週間、約8週間、または約12週間の持続期間であり得る。
【0142】
本明細書で使用される場合、「延長誘導用量」は、内視鏡的反応、内視鏡的寛解SES-CD4、内視鏡的寛解SES-CD 0~2、PROによる臨床的寛解、PROによる臨床反応、CDAIによる臨床的寛解、またはCDAIによる臨床反応が、最初の誘導期間中に達成されなかったため、内視鏡的反応、内視鏡的寛解SES-CD4、内視鏡的寛解SES-CD 0~2、PROによる臨床的寛解、PROによる臨床反応、CDAIによる臨床的寛解、CDAIによる臨床反応を誘導するために患者に投与されるミリキズマブのさらなる誘導用量を指し、これらの各用語は上記で定義されている。「延長誘導用量」は、単回用量、または代替的に、用量のセットであり得る。「延長誘導期間」の最小持続期間または最大持続期間はないが、典型的には、約4週間、約8週間、または約12週間の持続期間である。延長誘導期間の終了は、典型的には、最後の延長誘導用量が投与されてから約4週間または約8週間後に行われる延長誘導終了評価である。「延長誘導用量」は、延長誘導期間中に投与される。
【0143】
本明細書で使用される場合、「維持期間」は、所望の治療効果、所望の治療効果の内視鏡的反応、内視鏡的寛解SES-CD4、内視鏡的寛解SES-CD 0~2、PROによる臨床的寛解、PROによる臨床反応、CDAIによる臨床的寛解、またはCDAIによる臨床反応を維持するために患者にミリキズマブを投与することを含む治療期間を指し、これらの各用語は上記で定義されている。「維持期間」は、誘導期間または延長誘導期間の後に続くため、所望の治療効果-内視鏡的反応、内視鏡的寛解SES-CD4、内視鏡的寛解SES-CD 0~2、PROによる臨床的寛解、PROによる臨床反応、CDAIによる臨床的寛解、またはCDAIによる臨床反応-が、達成されると、開始される。
【0144】
本明細書で使用される場合、「維持用量」は、所望の治療効果、すなわち、内視鏡的反応、内視鏡的寛解SES-CD4、内視鏡的寛解SES-CD 0~2、PROによる臨床的寛解、PROによる臨床反応、CDAIによる臨床的寛解、またはCDAIによる臨床反応を維持または継続するために患者に投与されるミリキズマブの後続の用量を指し、これらの各用語は上記で定義される。「維持用量」は、誘導用量に続いて投与される。「維持用量」は、単回用量、または代替的に、用量のセットであり得る。
【0145】
本明細書で使用される場合、「治療すること」、「治療する」、または「治療」という用語は、既存の症状、障害、状態、もしくは疾患の進行もしくは重症度を抑制、減速、弱化、低下、もしくは逆転させること、または状態の臨床症状および/もしくは兆候を緩解させることを指す。有益なまたは所望の臨床結果には、検出可能であるかまたは検出不可能であるかにかかわらず、症状の緩和、疾患または障害の程度の低減、疾患または障害の安定化(すなわち、疾患または障害が悪化していない場合)、疾患または障害の進行の遅延または減速、疾患または障害の改善または緩和、および疾患または障害の寛解(部分的であるかまたは全体的であるかにかかわらず)が含まれるが、これらに限定されない。治療を必要とする者には、すでにその疾患に罹患している者が含まれる。
【0146】
本明細書で使用される場合、「抗IL-23p19抗体」は、ヒトIL-23のp19サブユニットに結合するが、ヒトIL-23のp40サブユニットには結合しない抗体、またはその断片を指す。したがって、抗IL-23p19抗体は、ヒトIL-23に結合するが、ヒトIL-12には結合しない。
【0147】
CAS登録番号1884201-71-1のミリキズマブは、ヒトIL-23のp19サブユニットを標的とするヒト化IgG4カッパモノクローナル抗体である。抗体およびそれを作製する方法は、米国特許第9,023,358号に記載されている。
【0148】
ミリキズマブ、またはそれを含む医薬組成物は、非経口経路(例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、または経皮)によって投与され得る。
【0149】
「静脈内注入」という用語は、約15分を超える期間、一般的には約30~90分の期間にわたる動物またはヒト患者の静脈への薬剤の導入を指す。
【0150】
「皮下注射」という用語は、薬物容器からの比較的ゆっくりとした持続的な送達による、動物またはヒト患者の皮膚の下、好ましくは、皮膚と下層組織との間のポケット内への薬剤の導入を指す。皮膚をつまむか、または引っ張り上げて下層組織から離すことにより、ポケットが作成され得る。
【0151】
本発明の方法において使用するためのミリキズマブを含む医薬組成物は、当該技術分野において周知の方法(例えば、Remington:The Science and Practice a/Pharmacy,19th edition(1995),(A.Gennaro et al.,Mack Publishing Co.)によって調製することができ、本明細書に開示されるような抗体、および1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む。
【実施例
【0152】
実施例1:臨床研究
概要
ミリキズマブが中等度から重度のCDの被験者に安全で有効であるかどうかを判断するために、第2相試験が実施され得る。このような研究は、安全性を評価することができ、CD活動性尺度と主要な患者報告アウトカム(PRO)尺度の改善によって定義される臨床活動を決定することができる。
【0153】
目的
このような第II相試験の主要目的は、ミリキズマブによる治療が12週目の内視鏡的反応の誘発においてプラセボよりも優れていることを実証することである。副次的目的には、以下が含まれ得る:
-ミリキズマブによる治療の安全性および忍容性の評価、
-52週目に内視鏡的反応を示した被験者の割合に対するミリキズマブの効果の評価、
-12週目の内視鏡的寛解において、プラセボよりも優れているミリキズマブの有効性の評価、
-52週目に内視鏡的寛解を示した被験者の割合に対するミリキズマブの効果の評価、
-12週目のPRO寛解において、プラセボよりも優れているミリキズマブの効果の評価、
-52週目にPRO寛解を示した被験者の割合に対するミリキズマブの効果の評価、
-12週目および52週目の健康アウトカム/生活の質の尺度に対するミリキズマブの効果の評価、および
-ミリキズマブのPKプロファイルの特性。
【0154】
エンドポイントは、SES CDスコアを使用して定義することができる。内視鏡検査は中央読影とされ得る。内視鏡的治癒率が、12週目および52週目に判定され得る。エンドポイントの定義は、以下の通りである:
【表1】
【0155】
方法
この研究は、約191名がランダム化された多施設共同ランダム化並行群間プラセボ対照試験であり得る。被験者は、以下のカテゴリに層別化され得、いずれかのグループに登録される正確な数は、各被験者集団の登録率によって異なる:
i)被験者の最低約30%が生物学的CD療法(実験的生物学的CD療法を含む)を受けたことがなく(naive)、および
ii)被験者の少なくとも50%は以前に生物学的CD療法経験者
(実験的生物学的CD療法の経験を含む)であった。
この研究は、以下の期間で構成される:
【0156】
スクリーニング(約4週間):
被験者を、ベースライン来診前28日に、研究適格性について評価し得る。被験者は、特に定義されていない限り、研究治療開始前28日のスクリーニング期間内に以下の基準をすべて満たす場合にのみ、研究の対象となり得る:
被験者と疾患特性のタイプ
i)ベースライン3か月前にCDと診断されている
ii)絶対的SF4(ブリストル便形状スケールカテゴリ6または7として定義された軟便および水様便)としておよび/または研究治療の初回投与前14日以内にベースラインでAP2のSES-CDスコアが回腸結腸疾患の被験者では7(中央読影)のまたは単独性回腸疾患の被験者では4として定義された活動性CDを有する
【0157】
従前IBD治療
A)被験者はCDの従前治療を受けている必要がある(以下の「a)」または「b)」のいずれか、または両方の組み合わせによる):
a)アミノサリチル酸塩(aminosalicylsate)、6-メルカプトプリン(6-MP)またはアザチオプリン(AZA)の、経口またはIVコルチコステロイドに対する不十分な反応の病歴、もしくは治療を耐容できない病歴、またはコルチコステロイド依存(CDの再発なしにコルチコステロイドを首尾良く漸減できない)の病歴
または
b)1の生物学的薬剤(TNF拮抗薬、ベドリズマブ、実験的生物学的CD治療薬など)による治療を受けたが、そのような治療に反応できなかったまたは耐容できなかったという記録された病歴があるもしくはない、治療を受けたことがある。
-治療は、以下のタイムラインに従って中止されている必要がある:
-ベースラインの少なくとも8週間前に抗TNF療法
-ベースラインの少なくとも12週間前のベドリズマブ治療
-ベースラインの少なくとも8週間前に実験的な生物学的CD療法。
【0158】
B)以下の薬物の治療的投与を受けている可能性がある:
a)経口5-アミノサリチル酸(ASA)化合物:スクリーニング結腸内視鏡検査の少なくとも3週間前に処方された用量が安定していた場合、またはスクリーニング結腸内視鏡検査の少なくとも3週間前に治療を中止した場合、
b)経口コルチコステロイドは、プレドニゾンと同等の用量である20mg/日または9mg/日のブデソニドである必要があり、スクリーニング結腸内視鏡検査の少なくとも3週間前に安定した用量である必要がある。ベースラインの前に経口コルチコステロイド治療を中止する場合は、スクリーニング結腸内視鏡検査の少なくとも3週間前に中止する必要があり、
c)AZA、6-MP、またはメトトレキサート(MTX):スクリーニング内視鏡検査の少なくとも約4週間前に処方された用量が安定している場合。AZA、6-MP、またはMTXによる治療を中止した被験者は、登録の資格があるとみなされるために、スクリーニング内視鏡検査の少なくとも約4週間前に投薬を停止している必要がある。
c)CD特異的抗生物質:処方された用量がベースラインの約4週間前に安定していたか、スクリーニング内視鏡検査の少なくとも3週間前に治療を中止した場合。
【0159】
治療グループの割り当て
治療グループへの割り当ては、対話型Web応答システム(IWRS)を使用してコンピューターで生成されたランダムシーケンスによって決定することができる。グループ間の比較可能性を達成するために、被験者は以前の治療に基づいてこれらの治療群に層別化され(下記)、この層別化はIWRSによって制御される。
-被験者の最低約30%が生物学的CD療法(実験的生物学的CD療法を含む)を受けたことがなくてもよい。
-被験者の少なくとも50%が以前に生物学的CD療法経験者(実験的生物学的CD療法の経験を含む)であり得る。
-期間2では、ベースラインでミリキズマブに割り当てられた被験者は、ベースライン治療割り当てまたは300mg SCミリキズマブQ4Wのいずれかにランダム化され得るが、ただし、プラセボグループのすべての被験者と、1000mgの静脈内(IV)ミリキズマブQ4Wの投与を受けた、12週目のベースラインからのSES-CDスコア(中央読影によって決定)に改善が見られなかったミリキズマブ治療グループの被験者は除かれる。好ましくは、すべての被験者は、ダブルダミーデザインで、期間2の間にミリキズマブまたはプラセボのいずれかのIVおよびSC投与を受ける。
【0160】
期間1(0週目~12週目):
0、4、8週目に静脈内(IV)投与されたミリキズマブの有効性と安全性を評価するために、12週間の誘導投薬期間を設計することができる。ベースラインでは、被験者は4つの治療群に2:1:1:2の配分でランダム化され、CD治療のための生物学的療法への以前の曝露に基づいて層別化され得る。
【表2】
【0161】
期間1は、中等度から重度のクローン病の被験者におけるミリキズマブとプラセボの有効性(内視鏡的変化と主要なPRO)と安全性を確立するために設計され得る。被験者は、プロトコルで許可されているように、CDのバックグラウンド薬物療法を継続することができ、したがって、この被験者集団における比較対照薬としてのプラセボの選択は、ミリキズマブの安全性と有効性を効果的に評価するために正当化される。
【0162】
期間2(12週目~52週目):
期間2(12週目~52週目)では、ベースライン治療レジメンとSC投薬の調査により、有効性と安全性の継続的な評価が可能になるが、ただし、プラセボグループのすべての被験者と、12週目のベースラインからのCD-SESスコアに改善が見られなかったミリキズマブ治療グループの被験者は除かれる。
【0163】
期間2の被験者は、12週目から48週目まで盲検を維持するために、IV投薬と皮下(SC)投薬の両方を受けることがある。投薬はQ4Wで行われる。ランダム化は、内視鏡的反応に基づいて層別化された(すなわち、SES CDスコアがベースラインから50%低減した)。
【0164】
期間1でプラセボの投与を受けたすべての被験者は、期間2でIVのミリキズマブ1000mgとSCのプラセボの投与を受ける必要がある。ミリキズマブの投与を受けて、12週目のベースラインからのSES CDスコアの改善(数値の減少として定義)を達成した患者は、SCプラセボによる期間1のIV治療割り当てを継続するか、SCミリキズマブ300mgによるIVプラセボを継続するかのいずれかにランダム化され得る。ミリキズマブの投与を受け、SES CDスコアでベースライン以上のスコアの改善が得られない被験者は、IVミリキズマブ1000mgとSCプラセボの投与を受ける必要がある。
【0165】
期間3(52週目~104週目):
期間3は、臨床的利益を受けていると考えられる被験者に延長療法を提供することを目的とし、臨床的利益の安全性と持続性の長期評価を提供する。
【0166】
内視鏡的反応(SES CDスコアのベースラインから50%低減)、またはSES CDスコアのベースラインから25%低減と、SFまたはAPスコアのベースラインから40%低減の組み合わせ、を有すると定義される臨床的利益を有するすべての被験者は、研究治療を継続し、期間3に進み、52週目~104週目まで300mgのSCミリキズマブQ4W、非盲検での投与を受け得る。52週目に臨床的利益を受けていない被験者は、治療を中止し、16週間のフォローアップ期間に入る必要がある。
【0167】
代替的に、治験責任医師の判断により臨床的利益があると判断された場合、患者は期間3に進むことができる。
【0168】
フォローアップ
104週目に、被験者は治療を中止し、安全のためにさらに16週間追跡される。
【0169】
統計分析
主要評価項目は、12週目の内視鏡的反応率(SES-CDの50%低減として定義)である。内視鏡的反応の場合、想定されるミリキズマブとプラセボの割合はそれぞれ35%と15%である。
【0170】
主要評価項目と他のカテゴリの有効性変数の治療比較は、モデルでの治療、地理的領域、および以前の生物学的CD療法の使用(有り/無し)によるロジスティック回帰分析を使用して実行することができる。特に明記されていない限り、有効性と健康状態の分析は、治療意図(intent-to-treat)(ITT)集団に対して実施され得る。
【0171】
本質的にこの実施例1で上記したような第II相試験を実施した。
【0172】
結果:患者集団
期間1
治療意図(ITT)集団は191人の被験者であり、プラセボグループで64人の被験者、ミリキズマブ200mg IVグループで31人の被験者、ミリキズマブ600mg IVグループで32人の被験者、ミリキズマブ1000mgIVグループで64人の被験者であった。
【0173】
少なくとも1回の投与を受けた191人の被験者のうち、176人の被験者(92.1%)が期間1を完了し、15人の被験者(7.9%)が期間1を完了しなかった。早期中止は、ミリキズマブ600mg IVグループを除いて、治療グループ間でバランスが取れていた(プラセボ7.8%、200mg IV 6.5%、600mg IV 12.5%、1000mg IV 6.3%)。600mg IVグループで認められたより高い中止率は、AEの中止率に反映されていた。早期中止した15人の被験者のうち、8人(4.2%)がAEにより早期中止した:プラセボグループの4人の被験者(6.3%)、ミリキズマブ200mg IVグループの1人の被験者(3.2%)、ミリキズマブ600mgIVグループの3人の被験者(9.4%)。AEによる研究の早期中止については、本補記のセクション1.9でさらに考察する。ミリキズマブ1000mg IVグループの2人の被験者は、被験者の決定(「被験者による離脱」)のために早期に中止した。
【0174】
期間2
期間2で治療を継続した176人の被験者のうち、28人の被験者が中間解析データベースのロック日時点で中止した。期間2(第52週)の終わりまでに中止した28人の被験者のうち、11人がAEのために中止した:ミリキズマブ1000mg IVグループの1人の被験者、ミリキズマブ300mgSCグループの1人の被験者、NIグループのミリキズマブ1000mgIVの3人の被験者、プラセボ/1000mgミリキズマブIVグループの6人の被験者。被験者の決定(「被験者による離脱」)のため、8人の被験者が早期に中止した。
【0175】
期間2で治療を継続した176人の被験者のうち、39人の被験者が最終解析データベースのロック日時点で中止した。期間2(第52週)の終わりまでに中止した39人の被験者のうち、12人がAEのために中止した:ミリキズマブ1000mg IVグループの1人の被験者、ミリキズマブ300mgSCグループの1人の被験者、NIグループのミリキズマブ1000mgIVの3人の被験者、プラセボ/1000mgミリキズマブIVグループの7人の被験者。
【0176】
結果:人口統計学および疾患特性
人口統計学的特性
人口統計学的特性は、ミリキズマブグループ全体とプラセボとの間でバランスが取れていた。ランダム化された191人の被験者のうち、98人の被験者(51.3%)が女性であった。平均年齢(±標準偏差)は、38.65歳(±12.86歳)であった。合計159人の被験者(83.2%)が白人であった。
【0177】
平均ベースライン体重は72.71kg(±15.71kg)であった。平均ベースラインボディマス指数(BMI)は25.18kg/m2(±4.88kg/m2)であった。
【0178】
疾患特性
疾患特性は、ミリキズマブ治療グループ全体と個々の投薬グループおよびプラセボとの間でバランスが取れていた。全体として、被験者の62.8%は以前に生物学的療法に曝露されて(exposed)おり、この割合は治療グループ間でバランスが取れていた。疾患期間、以前の生物学的使用、疾患活動性(CDAI、内視鏡スコアおよびPRO)などの重要なベースライン疾患特性は、4つの治療グループ間で概ねバランスが取れていた。ミリキズマブ200mgグループの切除歴のある患者の割合は、他の治療グループよりも低かった。
【0179】
ベースラインでのCDに対する併用および以前の薬物治療
期間1のベースラインでの併用および以前のCD薬物治療を表1aに示す。
【表3】
【0180】
ベースラインでコルチコステロイドまたは免疫抑制剤の投与を受けた被験者の割合に関して、ミリキズマブグループ全体または個々の投薬グループとプラセボとの間に有意差はなかった。
【0181】
期間2での併用および以前のCD薬物治療を表1bに示す。
【表4】
【0182】
結果:有効性
期間1
主要評価項目は、12週目の内視鏡的反応(SES-CDの50%低減として定義)であった。データは、ミリキズマブ用量の増加に伴う有効性の増加(または改善)を示す:プラセボグループの被験者で10.9%、95%CI(3.3%、18.6%)、ミリキズマブ200mg IVの被験者で25.8%、95%CI(10.4%、41.2%)、ミリキズマブ600mg IVの被験者で37.5%、95%CI(20.7%、54.3%)、およびミリキズマブ1000mg IVの被験者で43.8%、95%CI(31.6%、55.9%))、が内視鏡的反応のエンドポイントに到達する。生物学的製剤経験者(bio-experienced)の被験者のサブグループ分析では、600mgの用量と比較して1000mgの用量で12週目に内視鏡的反応を有した被験者の割合は数値的に大きく、46.2%対31.6%の反応であった。
【0183】
臨床的寛解は、PROに基づく定義を使用して12週目に評価された。PRO(2.5,1)による臨床的寛解は、この研究ではSF2.5およびAP1と定義され、ベースラインよりも悪くはない。PROによる臨床的寛解のある被験者の割合(2.5,1)は、プラセボと比較して、600mgおよび1000mgの用量で有意に高く、600mgの寛解率(28.1%、95%CI[12.5%、43.7%])は1000mg(21.9%、95%CI[11.7%、32.0%])よりも数値的に高かった。SF3.0およびAP1として定義され、ベースラインよりも悪くないPRO(3,1)による臨床的寛解を使用すると、実施例2のカットオフ定義では、臨床的寛解のある被験者の割合はプラセボと比較して600mgおよび1000mg用量で有意に高く、600mg用量の寛解率(28.1%、95%CI[12.5%、43.7%])は、1000mg用量(28.1%、95%CI[17.1%、39.1%])と同じであった。
【0184】
12週目の有効性測定値の要約を表2に提示する。
【表5-1】
【表5-2】
【0185】
期間2
a)再ランダム化されたグループ
ミリキズマブの投与を受け、12週目にベースラインからSES CDスコアの改善を達成した被験者は、期間1の治療割り当てを継続するようにランダム化される(ミリキズマブ1000mg IV、600mg IV、または200mg IV Q4Wと、プラセボ投与SCまたはプラセボIV Q4Wとミリキズマブ300mg SC Q4W)。この再ランダム化は、SC投薬と比較してIV投薬を継続することの利点があるかどうかの問題に対処するため、および広範囲の曝露を表す様々な投薬グループ間の有効性の可能な違いを評価するために設計される。
【0186】
中間分析のデータベースロック時に、再ランダム化グループに登録された191人の被験者のうち46人が、52週目を完了したか、または早期に中止した(200/200mg IV-5人、600/600mg IV-6人、1000/1000mg IV-12人、および300mg SC-23人)かのいずれかであった。52週目の有効性測定値を表3に要約する。
【0187】
内視鏡的反応は、この再ランダム化グループ全体の患者の50%~66.7%で観察される。300mg SCの投与を受けた患者の内視鏡的反応率は65.2%であり、これは他のIV投薬グループで観察された率に匹敵する。内視鏡的寛解率は16.7%~33.3%(200mg IV-20.0%、600mg IV-16.7%、1000mg IV-33.3%)であるのに対し、300mg SCの投与を受けた患者では34.8%である。曝露は、300 SCレジメン対IVレジメンの間で予想通りに増加し、IVレジメンがますます高くなると予想通りに増加した。
【0188】
2.5または3.0のSFカットオフで評価されたかどうかにかかわらず、PROによる臨床的寛解は同じ結果を示す。PROによる臨床的寛解の患者の割合は、600mg IV、1000mg IV、および300mg SC投薬グループ(25.0%~33.3%)で類似しており、200mg IVグループ(80%)ではそれ超である。
【0189】
最終分析のためのデータベースロックで、合計 87人の患者が再ランダム化され、52週目を完了するか、または早期に中止されたかのいずれかであった。
【表6】
【0190】
52週目の有効性測定値を表4に要約する。12週目の内視鏡的改善者では、IVグループとSCグループの52週目の内視鏡的反応率はそれぞれ58.5%(24/41)と58.7%(27/46)であった。12週目に内視鏡的反応を示した患者のうち、IV-CグループとSCグループでそれぞれ69.6%(16/23)と66.7%(16/24)が52週目に内視鏡的反応を示した。合わせたランダム化グループ(IV+SC)について、他の副次的エンドポイントおよび探索的エンドポイントが報告される(表4)。
【0191】
この再ランダム化されたグループの結果は、SC投薬とIV投薬の同等の有効性、およびIV投薬で見られる曝露の増加に伴う有効性の明確な変化の欠如を裏付けている。
【0192】
b)非ランダム化グループ
ミリキズマブの投与を受け、SES CDスコアの改善が得られなかった被験者は、期間2にIVミリキズマブ1000mgとSCプラセボの投与を受ける。さらに、期間1でプラセボの投与を受けたすべての被験者は、期間2でIVミリキズマブ1000mgとSCプラセボの投与を受けた。これらの患者は、内視鏡的改善が最初に欠如している患者に対する最大曝露の任意の影響を評価し、以前にプラセボにランダム化された患者に対するより短い曝露期間(9か月)の影響を評価するために、最高のIV用量に割り当てられる。これらの理由により、これら2つのグループの患者は別々の患者集団を表し、内視鏡的改善が見られないか、または未治療の疾患が12週間続くため、1000mg IVに再ランダム化された患者と比較して基本的なベースライン特性が異なる。したがって、1000mg IVへの長期曝露を評価する際には、これらのグループを個別に分析する。
【0193】
中間分析のデータベースロック時に、登録された191人の被験者のうち46人が、52週目を完了したか、または早期に中止した(1000mg IV/NI-14人、プラセボ/1000mg IV-32人)かのいずれかであった。
【0194】
内視鏡的反応は、期間1で改善しなかった(NI)被験者の14.3%、および期間1でプラセボを投与された患者の46.9%で観察された。後者の結果は、再ランダム化された投薬グループで観察された内視鏡的反応率に匹敵したが、内視鏡的改善がなかったグループで観察された割合は低かった。内視鏡的寛解は内視鏡的反応の結果と同等であり、内視鏡的に改善せずに1000mg IVの投与を受けた患者の内視鏡的寛解率は7.1%であったが、プラセボに続いて1000mg IVの投与を受けた患者の内視鏡的寛解率は15.6%であった。
【0195】
52週目のPRO(2.5,1)による臨床的寛解の結果は、1000mg IV/NIグループで21.4%、プラセボ/1000mgグループの患者で34.4%であった。PROによる臨床的寛解の結果(3.0,1)も同様であった。
【0196】
最終分析のためのデータベースロック時に、非改善者であった、または12週目までプラセボの投与を受けた合計89人の患者が、52週目まで治療を受けたか、次のように中止された。
【表7】
【0197】
内視鏡的反応は、期間1で改善しなかった(NI)被験者の20%、および期間1でプラセボを投与された患者の42.4%で観察された。内視鏡的寛解は、内視鏡的反応の結果と同等であった。内視鏡的に改善せず、その後1000mg IVの投与を受けた患者の内視鏡的寛解率は13.3%であったが、プラセボの投与を受けた後に1000mg IVを投与された患者の内視鏡的寛解率は18.6%であった。
【0198】
52週目のPRO(2.5,1)による臨床的寛解の結果は、1000mg IV/NIグループで36.7%、プラセボ/1000mgグループの患者で40.7%であった。PROによる臨床的寛解の結果(3.0,1)も同様であった。
【0199】
NIおよびPBOグループの結果は、NIグループのPRO寛解、CDAI寛解、および内視鏡的エンドポイントが数値的に低かったことを除いてIVグループとSCグループの合わせたものと同等であった。CDAIスコアは維持期間を通じて減少した。
【表8】
【表9】
【0200】
結果:安全性
研究期間ごとの有害事象(AE)の概要は、期間1については表5aに、期間2については表5bに提示される。
【表10】
【表11】
【0201】
ミリキズマブの忍容性は良好であったが、期間1では4人(3.1%)、期間2では12人(5.7%)が有害事象(AE)により中止された。期間1では、重篤な有害事象(SAE)の発生率は、プラセボグループの方がミリキズマブ治療グループよりも高く、用量相関は観察されなかった。TEAEの発生率は、期間1のプラセボおよびミリキズマブ治療グループ間で類似しており、用量相関は観察されなかった。
【0202】
期間1で観察されたSAEの数は、(a)期間1でプラセボを、期間2で1000mgのミリキズマブIVを投与したコホートと、(b)期間1で非改善者であり、期間2で1000mgのミリキズマブIVを投与したコホートで多くなっている。ただし、試料サイズは、特に期間1に1000mgのミリキズマブIVおよび期間2に1000mgのミリキズマブIVを投与された改善コホートからのSAEデータで調べた場合、1000mgのミリキズマブIVの投与がSAEの発生率を高めるという結論を支持しない。
【0203】
結果:PKおよび曝露-反応分析
a)PK分析-誘導期間および維持期間中のミリキズマブ血清曝露の概要
図1は、期間1(誘導期間)中のミリキズマブの平均濃度を示し、これは、母集団PK分析によって推定された個々の被験者のクリアランスと各被験者が誘導期間中に投与を受けた合計用量を使用して計算される。これらのグラフに示されているように、ミリキズマブの血清曝露は用量とともに増加し、評価された用量全体で個々の被験者の曝露がいくらか重複していた。一部の個々の被験者は、同じ治療グループの他の被験者と比較して平均濃度が非常に低いことに注意されたい。これは主に、これらの被験者が研究から脱落し、計画されたすべての用量の投与を受けなかった結果であり、その結果、12週間の誘導期間全体にわたって平均濃度が低くなる。
【0204】
図2は、誘導中に内視鏡的効果の改善を示し、誘導中に受けたIV投薬を継続するか、または300mg SC Q4W投薬に切り替えるかのいずれかでランダム化した被験者の、維持期間中のミリキズマブの平均濃度を示す。300mg SC Q4Wレジメンは、評価された4つのレジメンの中で最低の平均濃度を示し、しかしながら、200mg IVQ4Wレジメンも同様の曝露であった。また、300mg SC Q4Wレジメンによって生成されたトラフ濃度も、200mg IVQ4Wレジメンによって生成されたトラフ濃度と同程度であった。
【0205】
b)母集団PK分析の概要
この研究の中間分析の時点で、誘導、延長、および維持期間からの186人の患者の合計1814の血清ミリキズマブ濃度試料がPK分析に含まれていた。これらの濃度データを、母集団PK法を使用して分析した。SC維持用量に対する一次吸収を伴う2コンパートメントモデルが、ミリキズマブのPKを最良に表すことが分かった。推定された典型的な母集団の全身クリアランスは0.028L/時(推定の4.3%標準誤差)であり、見かけのクリアランスにおける患者間の変動は24%(変動係数%)であった。推定SCバイオアベイラビリティは、42%であった。中心および周辺の分布容積ならびにコンパートメント間のクリアランスについての推定される典型的な母集団値は、それぞれ、3.2L、4.2L、および0.067L/時であった。合計24個の試料(1.2%)が、ミリキズマブアッセイの定量下限(100ng/mL)未満であった。これらの試料を除外して、PKモデリングで標準的な補完または条件付き推定方法と比較し、推定PKパラメータへの影響は認められなかった。
【0206】
集団PKモデルを使用して、以下の共変量の影響を評価した:年齢、性別、BMI、体重、民族的起源、用量レベル、注射部位、以前の生物学的状態、ベースラインアルブミン、時間変化するアルブミン、ベースラインC反応性タンパク質(CRP)、ベースライン糞便カルプロテクチン、ベースラインビリルビン、ベースラインSES-CDスコア、ベースラインCDAIスコア、ベースラインPRO2スコア(PRO2は、CDAI[加重]のSFおよびAP項目で構成される2項目の指標であり、次のように導き出されるPRO2=(SFの7日間の平均)*2+(APスコアの7日間の平均)* 5、および免疫原性(ADA +/-、TE-ADA +/-、ADA力価、中和ADA +/-)。ベースラインSES-CDスコア、体重、および時間変化するアルブミンは、クリアランスに統計的に有意な影響を与えることが分かり、体重は、中心分布容積に統計的に有意な影響を与えることが分かった。
【0207】
体重が少ない患者は、クリアランスが低く(図3)、中心分布容積が低くなる傾向があった(図4)。この研究で観察された体重の中央値71kgと比較して、モデル推定関係を使用すると、体重40kgの被験者は、通常、クリアランスが22%低く、分布容積が28%低くなると予想される。これらの影響の大きさは、クリアランスと分布容積の全体的なランダムな変動に比べて小さい。モデルに体重を含めると、クリアランスのランダムな変動が14%低減し、分布容積のランダムな変動が34%低減した。これらの結果は、体重がミリキズマブのPKに臨床的に関連する影響を及ぼさなかったことを示す。
【0208】
ベースラインSES-CDスコアが低い患者はクリアランスが低くなる傾向があり、アルブミン濃度が高い患者はクリアランスが低くなる傾向があった。ベースラインSES-CDスコアはまた、ベースラインアルブミン濃度の低下とともに増加する傾向があった。研究におけるベースラインSES-CDスコアの中央値は11であった。ベースラインSES-CDスコアが11未満の研究での患者では、モデル推定クリアランスの中央値が、ベースラインSES-CDスコアが11以上の患者より23%低かった(0.023対0.030L/時)。これらのモデル推定クリアランス値は、これらの患者で観測されたベースラインSES-CDスコアとベースラインアルブミン濃度の両方の影響を説明する。モデルにベースラインSES-CDスコアとアルブミンを含めると、クリアランスのランダム変動がそれぞれ25%および17%低減した。ベースラインSES-CDスコアとアルブミンがクリアランスに及ぼす影響の大きさとモデルのランダム変動の減少の大きさに基づいて、これらの共変量はミリキズマブのクリアランスに臨床的に関連する影響を与えなかった。
【0209】
c)52週目に観察されたミリキズマブ曝露と有効性スコアの関係
12週目~52週目までのSESCD、PRO2、およびCDAIの絶対変化と、維持期間中のPKモデルの推定Cavgとの関係を評価した(データは示さず)。誘導期間と同様に、観察された関係は、治療グループの個々の被験者間でスコアの変化に大きな重複を示している。維持療法グループ全体で識別可能な曝露-反応傾向は見られなかった。
【0210】
52週目に曝露-反応の傾向が観察されなかったことを考え、52週目のデータに対してモデルベースの曝露-反応評価は実施されなかった。
【0211】
d)12週目の臨床効果エンドポイントのモデルベースの曝露-反応分析の概要
ロジスティック回帰モデルを使用して、個々の患者におけるミリキズマブ曝露と、12週目に内視鏡的反応、内視鏡的寛解、またはPRO寛解を達成する確率との関係を評価した。モデルは、12週目のSES-CDスコアの変化とミリキズマブ曝露との関係を評価するためにも使用された。ミリキズマブ曝露とこれらのエンドポイントの間の最大効果(Emax)の関係を仮定したが、線形モデルも試験した。モデルで評価された曝露尺度は、12週目の観測濃度、PKモデルによる12週目の推定濃度、およびPKモデルによる推定Cavgであった。次の共変量もこれらのモデルで評価された:ベースラインアルブミン、ベースラインCRP、ベースライン糞便カルプロテクチン、以前の生物学的治療状態、疾患期間、ベースラインSES-CD、ベースラインCDAI、ベースラインSFサブスコア、ベースラインAPサブスコア、および体重。
【0212】
内視鏡的反応モデルでは、評価されたすべての曝露尺度は、観測データに適合する能力に関して類似しており、PKモデルの推定12週目濃度は、最小の不確実性で半数効果濃度(EC50)の推定値を提供した。内視鏡的反応モデルは、プラセボと比較して有意な治療効果(p<0.001)および有意な曝露-反応(p=0.003)を検出することができた。評価された共変量のいずれも、内視鏡的反応モデルに有意な影響を与えないことが分かった。視覚的予測チェックを使用してモデルを検証し(図5)、治療グループ間で観察された内視鏡的反応率とモデル予測された内視鏡的反応率の間に良好な一致が見られた。
【0213】
内視鏡的寛解モデルでは、PKモデルによる推定12週目濃度が不確実性の最も低いEC50の推定値を提供した。内視鏡的寛解モデルでは、プラセボと比較して有意な治療効果(p<0.001)および曝露-反応の強い傾向(p=0.03)を検出することができた。評価された共変量のいずれも、内視鏡的寛解モデルに有意な影響を与えないことが分かった。視覚的予測チェックを使用してモデルを検証し(図6)、治療グループ間で観察された内視鏡的寛解率とモデルで予測された内視鏡的寛解率の間に良好な一致が見られた。
【0214】
12週目のSES-CDスコアの変化のモデル適合では、ミリキズマブ曝露とSES-CDスコアの変化との間に有意な関係は検出されなかった。12週目のPRO寛解のモデル適合においても、ミリキズマブ曝露とPRO寛解との間に有意な関係は検出されなかった。これらのエンドポイントで有意な曝露-反応関係が検出されなかったため、モデルの適合とシミュレーションされたプロファイルは示していない。
【0215】
図7は、第III相での関心のあるミリキズマブの投与量と曝露について、シミュレーションされた内視鏡的反応率と内視鏡的寛解率を示す。
【0216】
e)PKおよび曝露-反応分析の概要
この研究におけるミリキズマブのPKは用量に比例し、以前の研究と一致し、モノクローナル抗体として典型的であった。血清アルブミン、ベースラインSES-CDスコア、および体重は、ミリキズマブPKに影響を与える統計的に有意な要因であったが、ランダムPK変動に対するこれらの要因の影響の大きさ、および個々の患者における有効性が、実施例2の研究での関心のある範囲内の曝露に強く依存していない観察結果から、これらの患者の要因が、実施例2の研究におけるPKまたは有効性に臨床的に関連する影響を及ぼさないことを示唆している。
【0217】
この研究における観察された個々の患者のミリキズマブ曝露と12週目のSES-CD、PRO、およびCDAIスコアとの関係の調査、および12週目の内視鏡的反応のモデルベースの分析は、600~1000mgの用量間でほぼ最大の有効性が達成されたことを示唆している。ミリキズマブ曝露とPRO寛解との関係のモデルベースの分析では、被験者がPRO寛解を達成する確率が、この研究で評価された曝露の範囲内でミリキズマブ曝露に強く依存していなかったことを示唆している。
維持期間において、評価された投薬レジメンは、広範囲のミリキズマブ曝露をもたらした。維持療法グループ全体で、ミリキズマブ曝露と52週目の有効性との間に識別可能な関係はなかった。
【0218】
実施例2:臨床研究
概要
ミリキズマブの第III相、多施設、ランダム化、二重盲検、ダブルダミー、並行グループ、実薬対照およびプラセボ対照のトリートスルー(treat-through)デザイン研究は、中等度から重度のCD患者において実施され得る。より具体的には、第1期の3つの介入グループと第2期の4つの介入グループを、中等度から重度のCDの参加者で研究することができる:
-ミリキズマブ900mgを4週間ごとに3回静脈内投薬し、その後300mgを4週間ごとに皮下投薬。
-ウステキヌマブ約6mg/kgを1回静脈内投薬し、その後8週間ごとに90mgを皮下投薬。
-プラセボ
-期間1が終了すると(第12週目)、反応者(responder)は引き続きプラセボの投与を受け、および
-12週目の非反応者(NR)は、上記のようにミリキズマブの投与を受ける。
【0219】
併用治療期間の合計期間は最大52週間である。スクリーニングと治療後のフォローアップ期間を含む、各参加者の研究参加の最大合計期間は72週間である。
【0220】
いずれかの実薬グループの参加者は、ダブルダミーデザインを使用して他の実薬グループと一致するプラセボ投与を受ける。プラセボグループの参加者は、両方のダブルダミープラセボ投与を受ける。
【0221】
目的
主要目的は、52週目の内視鏡的反応および52週目のPROによる臨床的寛解によって評価される中等度から重度のCDの治療において、ミリキズマブによる治療がプラセボより優れているかどうかを評価することである。副次的な目的には、以下のものが含まれる。
-12週目の内視鏡的反応において、ミリキズマブによる治療の有効性を、プラセボと比較して評価すること、
-12週目のPROによる臨床的寛解において、ミリキズマブによる治療の有効性を、プラセボと比較して評価すること、
-52週目の内視鏡的寛解において、ミリキズマブによる治療の有効性を、プラセボと比較して評価すること、
-52週目のPROによるコルチコステロイドフリーの臨床的寛解または内視鏡的寛解において、ミリキズマブによる治療の有効性を、プラセボと比較して評価すること、
-52週目までのPROによる臨床的寛解の安定性において、ミリキズマブによる治療の有効性を、プラセボと比較して評価すること、
-52週目の内視鏡的反応の持続性において、ミリキズマブによる治療の有効性を、プラセボと比較して評価すること、
-12週目の内視鏡的寛解において、ミリキズマブによる治療の有効性を、プラセボと比較して評価すること、
-52週目の内視鏡的反応を達成する上でミリキズマブがウステキヌマブより優れているかどうかを評価すること、
-52週目の内視鏡的寛解を達成する上でミリキズマブがウステキヌマブより優れているかどうかを評価すること、
および
-52週目のCDAIによる臨床的寛解において、ミリキズマブがウステキヌマブに劣っていないかどうかを評価すること。
【0222】
エンドポイントは、SES-CDスコアを使用して定義することができる。内視鏡検査は中央読影とされ得る。内視鏡的治癒率が、12週目および52週目に判定され得る。エンドポイントの定義は、以下の通りである:
-内視鏡的反応:SES CDスコアのベースラインから50%低減。
-内視鏡的寛解:SES-CDスコアが回腸結腸疾患では<4、または単独性回腸疾患では<2、サブスコア>1なし、を有する。
-PROによる臨床的寛解:1日平均APスコア1(かつベースラインよりも悪くない)および1日平均SF3.0(ブリストル便形状スケールカテゴリ6または7を使用して定義された液状または非常に柔らかい便、すなわち、液状または水様便の絶対数)(かつベースラインよりも悪くない)を有する。
【0223】
方法
プラセボおよびウステキヌマブと比較したミリキズマブの安全性と有効性を評価するための第III相、多施設、ランダム化、二重盲検、ダブルダミー、並行グループ、プラセボおよび実薬対照のトリートスルー研究を実施することができる。研究集団には、CDの従来のまたは生物学的療法に対する反応が不十分、反応の喪失、または不耐性のある中等度から重度の活動性CDの参加者を含める必要がある。
【0224】
この研究は、期間1に3つのグループ、期間2に4つのグループを含む並行二重盲検治療研究である可能性がある。
【0225】
参加者は、それぞれ6:3:2の比率でランダム化されて投与を受けることができる。
-ミリキズマブ900mgを4週間ごとに3回静脈内投薬し、その後300mgを4週間ごとに皮下投薬。
-ウステキヌマブ約6mg/kgを1回静脈内投薬し、その後8週間ごとに90mgを皮下投薬
-プラセボ
-期間1が終了すると(第12週目)、反応者は引き続きプラセボの投与を受け、および
-12週目のプラセボに対する非反応者(NR)は、上記のようにミリキズマブの投与を受ける。
【0226】
盲検を維持するために、参加者はダブルダミーの方法でプラセボの投与を受ける。
各参加者の研究参加の最大合計期間は、以下の研究期間にわたって72週間である:
i)スクリーニング:最大4週間、
ii)介入期間1:12週間、
iii)介入期間2:40週間、および
iv)治療後のフォローアップ:12~16週間
【0227】
i)スクリーニング(約4週間)
CDの参加者は、下記で特に指定されていない限り、スクリーニング中に以下のすべての基準を満たしている場合にのみ登録の対象となり得る。
a)患者特性
-初回スクリーニング時に18歳および80歳の男性または女性患者
b)疾患特性
-臨床的、内視鏡的、および組織学的基準によって確認された登録の少なくとも3か月前に確立されたCDまたは瘻孔を伴うCDの診断されている。
注:この選択基準を満たすために、CDの診断を裏付ける組織病理学的報告書が、ランダム化の前に原資料で入手できる必要がある。CDの診断を裏付ける組織病理学的報告書がランダム化の前に原資料で入手できない場合、治験責任医師はスクリーニング内視鏡検査でこの目的のために追加の生検を取得することができる(現地の組織病理学研究所に送られる)。
-重み付けされていない1日平均SF4(ブリストル便形状スケールカテゴリ6または7として定義される緩い水様便)および/またはベースラインでの重み付けされていない1日平均AP2(訪問2)で定義される中等度から重度の活動性CDを有する。
-研究治療の初回投与前14日以内に、回腸結腸疾患の患者では7、または単独性回腸疾患の患者では4のSES-CDスコアを中央読影する。
-直腸結腸癌の家族歴、直腸結腸癌リスクの増加の個人歴、年齢>50歳、または他の既知のリスク因子を有する参加者は、地域のガイドラインに従って、結腸直腸癌のサーベイランスを最新の状態で受ける必要がある。そうでない場合、スクリーニング中に地域のガイドラインに従ってこの陰性結腸直腸癌サーベイランスの文書を作成することができる。
c)以前の投薬不成功基準
-参加者は、選択基準[A]または[B]に記載されている薬剤の少なくとも1つに対して、不十分な反応、反応の喪失、または不耐性を有している必要がある。これらの基準で指定された関連する薬剤については、投与量、頻度、投与経路、および適格性不成功(qualifying failure)の期間の文書化が必要である。
[A]従来薬不成功である患者:以下の薬剤のうちの少なくとも1つに対して不十分な反応、反応の喪失を有する、または不耐性である患者:
-コルチコステロイド
-コルチコステロイド不応性疾患は、少なくとも30mg/日の用量で最低4週間、経口プレドニゾン(または同等物)を投与したにもかかわらず、活動性CDの兆候および/または症状を示すものとして定義される。
-コルチコステロイド依存性疾患、以下のように定義される:
a.活動性CDの兆候および/または症状が再発することなく、コルチコステロイドを開始してから3か月以内に、コルチコステロイドをプレドニゾン10mg/日の同等量未満またはブデソニド3mg/日未満に減らすことができない、または
b.コルチコステロイドのコースを完了してから3か月以内に再発する。
-コルチコステロイドの不耐性の病歴(クッシング症候群、骨減少症/骨粗鬆症、高血糖症、またはコルチコステロイド治療に関連する不眠症を含む神経精神医学的副作用を含むがこれらに限定されない、コルチコステロイドによる継続的な治療を妨げるほど深刻な副作用の証拠が含まれる)。
-免疫調節剤:
-以下のうちの1つによる少なくとも3か月の治療にもかかわらず、持続性活動性疾患の兆候および/または症状を有する。
-経口AZA(1.5mg/kg/日)もしくは6-MP(0.75mg/kg/日)もしくはメトトレキサート25mg(筋肉内[IM]またはSC毎週)、または
チオグアニン代謝物検査によって判定される治療範囲内の経口AZAもしくは6-MP、または
-チオグアニン代謝物検査によって判定される治療範囲内のチオプリンおよびアロプリノールの組み合わせ。
-少なくとも1つの免疫調節剤に対する不耐性の履歴(悪心/嘔吐、腹痛、膵炎、肝機能検査を含むが、これらに限定さない、およびCDの治療に承認された生物学的薬剤(抗TNF抗体または抗インテグリン抗体)に対する不耐性は不成功も実証もされていない。臨床的利益にもかかわらず中止した場合、CDの従来療法に不成功である、または不耐性であるとはみなされない。
[B]生物学的製剤不成功である患者:CDに対し承認された生物学的療法(抗TNF抗体または抗インテグリン抗体など)に対する反応が不十分、反応の喪失、または不耐性の参加者。治療責任医師は、誘導および/または維持用量の使用の適切な病歴を文書化可能にする必要がある。参加者は、次の基準のうちの1つを満たす必要がある。
-不十分な反応:使用時に製品ラベルに示されている承認された誘導用量での誘導治療にもかかわらず、持続性の活動性疾患の兆候および症状、または
-反応の喪失:承認された維持投薬による治療中の以前の臨床的利益に続く活動性疾患の兆候および症状の再発。または
-不耐性:インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、ベドリズマブ、ナタリズマブ、または他の承認された生物学的製剤に対する不耐性(輸液関連事象、脱髄、鬱血性心不全、または用量の減少もしくは投薬の中止につながった任意の他の薬物関連のAEを含むが、これらに限定されない)の病歴。臨床的利益にもかかわらず中止した場合、CDの生物学的療法に不成功である、または不耐性であるとはみなされない。
【0228】
以前に承認された生物学的療法に曝され、選択基準[B]を満たさない参加者は、研究に参加する資格を得るには、引き続き選択基準[A]を満たさなければならない。
【0229】
CDの治療のために以前に治験薬に曝された参加者は、依然として選択基準[A]または[B]を満たさなければならない。
【0230】
選択基準[A]と[B]の両方を満たす参加者は、この研究の目的では「生物学的製剤不成功」であるとみなされる。
【0231】
ii)期間1(0~12週目)
登録のすべての基準を満たす参加者は、二重盲検治療にランダム化され得る。グループ間の比較可能性を達成するために、参加者はこれらの要因に基づいて治療グループに層別化され得る:a)生物学的製剤不成功の状態(有り/無し)、b)ベースラインのコルチコステロイド使用(有り/無し)、c)ベースラインSES-CD合計スコア(<12、12)、d)地域(北アメリカ/ヨーロッパ/その他)、およびe)ベースラインSF7および/またはベースラインAP2.5(該当/非該当)。この層別化は、インタラクティブなWeb応答システム(interactive web-response system)(IWRS)によって制御される。期間1には3つの介入グループがある。
【表12】
【0232】
ii)期間2(12~52週目)
期間2には4つの介入グループが存在し得る。
【表13】
【0233】
iii)フォローアップ
この調査を完了した参加者は、資格がある場合、延長研究に登録する選択肢が与えられる場合がある。延長研究の登録基準を満たさない参加者、または延長研究への参加を選択しない参加者は、2回の治療後のフォローアップ訪問に戻る。1回目のそのようなフォローアップ訪問は、最後の投与から4週間後であり得る。2回目のそのようなフォローアップ訪問は、最後の投与から12~16週間後であり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7