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特許7299065バッテリーパックおよびそれを備えた電気機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】バッテリーパックおよびそれを備えた電気機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6554 20140101AFI20230620BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230620BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20230620BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20230620BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20230620BHJP
【FI】
H01M10/6554
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/6563
H01M50/20
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019096164
(22)【出願日】2019-05-22
(65)【公開番号】P2020191243
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】衣斐 俊彦
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-016076(JP,A)
【文献】特開平07-250788(JP,A)
【文献】特開2019-030554(JP,A)
【文献】特開2006-095210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60 -10/667
H01M 50/20 -50/298
A47L 5/00 - 7/08
A47L 9/22 - 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触端部を有する放熱部材を備えたバッテリーパック保持部に保持されるバッテリーパックであって、
外装ケースと、前記外装ケース内に収納されたセルと、伝熱部材とを備え、
前記外装ケースは、前記外装ケースの内部と外部とを連通させる開口部を有し、
前記伝熱部材は、前記セルから伝わる熱を前記外装ケースの開口部を通して前記外部に放熱可能な伝熱端部を前記開口部の近傍に有し、
前記開口部に挿入されるテストフィンガーが前記伝熱端部に接触できないように構成されており、
前記伝熱端部は、前記バッテリーパック保持部の前記接触端部と接触可能に設けられたことを特徴とするバッテリーパック。
【請求項2】
前記外装ケースは、所定のサイズの前記開口部を有し、
前記伝熱端部は、前記外装ケースの内部において前記開口部の近傍に配置されており、
前記所定のサイズは、前記開口部に前記テストフィンガーの先端が挿入されても前記先端が前記伝熱端部に接触できないサイズである請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記開口部は、所定の幅で一方向に所定の長さで延びたスリット形に形成されており、
前記所定のサイズが、前記所定の幅である請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
外装ケースと、前記外装ケース内に収納されたセルと、伝熱部材とを備え、
前記外装ケースは、前記外装ケースの内部と外部とを連通させる開口部を有し、
前記伝熱部材は、前記セルから伝わる熱を前記外装ケースの開口部を通して前記外部に放熱可能な伝熱端部を前記開口部の近傍に有し、
前記開口部に挿入されるテストフィンガーが前記伝熱端部に接触できないように構成されており、
前記外装ケースは、その外面に垂直方向に突出する突起部を有すると共に、前記突起部を前記垂直方向で貫通するように前記開口部が所定のサイズで設けられており、
前記伝熱端部は、前記突起部から外部へ突出しない状態で前記開口部から外部に露出しており、
前記所定のサイズは、前記開口部に前記テストフィンガーの先端が挿入されても前記先端が前記伝熱端部に接触できないサイズであることを特徴とするバッテリーパック。
【請求項5】
前記突起部は、一方向に延びた突条形に形成されており、
前記開口部は、所定の幅で前記一方向に所定の長さで延びたスリット形に形成されており、
前記所定のサイズが、前記所定の幅である請求項4に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
ッテリーパックと、前記バッテリーパックを着脱可能に保持するバッテリーパック保持部とを備え、
前記バッテリーパックは、外装ケースと、前記外装ケース内に収納されたセルと、伝熱部材と、給電側電極接合部とを備え、
前記外装ケースは、前記外装ケースの内部と外部とを連通させる開口部を有し、
前記伝熱部材は、前記セルから伝わる熱を前記外装ケースの開口部を通して前記外部に放熱可能な伝熱端部を前記開口部の近傍に有し、
前記開口部に挿入されるテストフィンガーが前記伝熱端部に接触できないように構成されており、
前記バッテリーパック保持部は、前記給電側電極接合部と電気的に接続可能な受電側電極接合部と、前記バッテリーパック保持部に保持された前記バッテリーパックの前記伝熱端部と接触可能な接触端部を有する放熱部材とを備え、
前記セルからの熱が前記伝熱部材を介して前記放熱部材に伝わるように構成されたことを特徴とする電気機器。
【請求項7】
前記バッテリーパック保持部は、気流が通過可能な通風路をさらに有し、
前記放熱部材は、前記伝熱部材を介して伝わった前記セルからの熱を前記通風路内で放熱可能なように前記通風路内で露出している請求項6に記載の電気機器。
【請求項8】
気流経路および前記気流経路内に設けられた電動送風機を内部に有する吸引駆動部と、前記吸引駆動部の吸引力によって集塵する集塵部とをさらに備え、
前記バッテリーパック保持部は、前記通風路が前記気流経路の一部を構成するように前記吸引駆動部内に設けられている請求項7に記載の電気機器。
【請求項9】
接触端部を有する放熱部材を備えたバッテリーパック保持部に保持されるバッテリーパックであって、
外装ケースと、前記外装ケース内に収納されたセルと、伝熱部材とを備え、
前記外装ケースは、前記外装ケースの内部と外部とを連通させる開口部を有し、
前記伝熱部材は、前記セルから伝わる熱を前記外装ケースの開口部を通して前記外部に放熱可能な伝熱端部を前記開口部の近傍に有し、
前記伝熱端部は、前記バッテリー保持部の前記接触端部と接触可能に設けられたことを特徴とするバッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパックおよびそれを備えた電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
コンパクトで小型化を図ったスティックタイプの電気掃除機は、便利な反面、小型化によるファンの縮小により吸引力の低下が技術的課題である。ファン形状の効率化など、機構的にファンの性能を向上させることはもちろん重要な課題であるが、ファンの回転数を増やすなど出力の増大も必要不可欠である。
スティックタイプの電気掃除機の場合、電源をバッテリーとするコードレスタイプであることが多く、バッテリーとしてはリチウムイオン二次電池を使用することが多い。バッテリーは使用中に発熱し、使い続けていると温度上昇を招き、出力が低下するおそれがあるが、多くの場合バッテリー内部は樹脂の筐体に覆われ、充分に放熱を行う機構が備え付けられていないことがある。
【0003】
電気掃除機の性能向上を目的として、それらに搭載された回転機構であるモータの出力向上が求められる中で、バッテリーの放熱対策は必要不可欠となっている。
例えば、特許文献1では、複数のセルを収納する外装ケースに複数の通気口を設けて、ファンによる吸気あるいは排気を外装ケース内に流入させることでバッテリーを空冷する電池パックが提案されている。
また、特許文献2では、セルに熱伝導性の放熱板を接触させ、放熱板の先端を外装ケース外部に露出させてバッテリーを冷却するバッテリーモジュールが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-257394号公報
【文献】特開2015-90750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の場合、電気掃除機のファンによって生じた空気を外装ケース内に流入させるため、塵埃を含んだ空気はフィルターを通過して塵埃が除去されるとはいえ、ある程度の塵埃は外装ケース内に流入することとなる。外装ケース内にはセル、電極、電気回路等が存在しているため、外装ケース内への塵埃の流入は電極部の故障の原因となることが考えられる。
また、コードレス掃除機に用いるバッテリーはユーザーが外装ケースに直接触れるものであるが、特許文献2の場合、放熱板が外部に露出しているためユーザーが放熱板に触れるおそれがあり、バッテリーケースへの適用は好ましくない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたバッテリーパックおよびそれを備えた電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、外装ケースと、前記外装ケース内に収納されたセルと、伝熱部材とを備え、
前記外装ケースは、前記外装ケースの内部と外部とを連通させる開口部を有し、
前記伝熱部材は、前記セルから伝わる熱を前記外装ケースの開口部を通して前記外部に放熱可能な伝熱端部を前記開口部の近傍に有し、
前記開口部に挿入されるテストフィンガーが前記伝熱端部に接触できないように構成されたバッテリーパックが提供される。
【0008】
また、本発明によれば、前記バッテリーパックと、前記バッテリーパックを着脱可能に保持するバッテリーパック保持部とを備え、
前記バッテリーパックは、給電側電極接合部を有し、
前記バッテリーパック保持部は、前記給電側電極接合部と電気的に接続可能な受電側電極接合部と、前記バッテリーパック保持部に保持された前記バッテリーパックの前記伝熱端部と接触可能な接触端部を有する放熱部材とを備え、
前記セルからの熱が前記伝熱部材を介して前記放熱部材に伝わるように構成された電気機器が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のバッテリーパックは、外装ケースの開口部に挿入されるテストフィンガーが伝熱端部に接触できないように構成されているため、ユーザーが安全に取り扱うことができると共に、セルの熱を外部へ逃がしてバッテリーのパフォーマンス低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る電気機器としての電気掃除機の概略外観図である。
図2図1の電気掃除機における掃除機本体の内部構造を説明する左側断面図である。
図3】第1実施形態のバッテリーパック保持部を示す斜視図である。
図4】第1実施形態のバッテリーパックを示す斜視図である。
図5図3のバッテリーパックが図4のバッテリーパック保持部内に格納された状態を示す斜視図である。
図6図5のバッテリーパック格納構造を示すバッテリーパック挿入方向から視た断面図である。
図7図5のバッテリーパック格納構造を示すバッテリーパック挿入方向と直交する方向から視た断面図である。
図8】第2実施形態のバッテリーパックを示す斜視図である。
図9】第2実施形態のバッテリーパック格納構造を示すバッテリーパック挿入方向から視た断面図である。
図10】第3実施形態のバッテリーパック格納構造を示すバッテリーパック挿入方向から視た断面図である。
図11】第4実施形態のバッテリーパック格納構造を示すバッテリーパック挿入方向と直交する方向から視た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る電気機器としての電気掃除機の概略外観図であり、図2図1の電気掃除機における掃除機本体の内部構造を説明する左側断面図である。なお、図2において、掃除機本体の前後上下方向を矢印にて示すと共に、掃除機本体内の気流の流れを矢印F1~F4にて示している。
【0012】
本発明は、バッテリーパックおよびそれを備えた電気機器であり、第1実施形態においては、本発明のバッテリーパックがスティック型のコードレス電気掃除機に適用された場合を例示する。
なお、本発明のバッテリーパックは、スティック型以外のキャニスター型、アップライト型等のコードレス電気掃除機にも適用可能である。また、本発明のバッテリーパックは、コードレス電気掃除機以外の電気機器、例えば、コードレスブロワー、コードレスヘアドライヤ、ロボット掃除機等にも適用可能である。
【0013】
図1図2に示すように、第1実施形態の電気機器としてのスティック型のコードレス電気掃除機1は、掃除機本体10と、掃除機本体10に着脱可能に接続される吸引パイプ50と、掃除機本体10に着脱可能に装着されるバッテリーパック40とを備える。
吸引パイプ50は、床面上を走行する吸込口体51と、吸込口体51と掃除機本体10とを着脱可能に接続する延長パイプ52とを備える。
【0014】
<掃除機本体の構成>
掃除機本体10は、電動送風機22を内部に有する吸引駆動部20と、吸引駆動部20の吸引力によって集塵する集塵部30とを備える。
吸引駆動部20は、筐体21と、筐体21内に設けられた前記電動送風機22、バッテリーパック保持部23および制御回路(不図示)と、筐体21の後部に設けられたハンドル24と、ハンドル24に設けられた操作スイッチ(不図示)とを有し、バッテリーパック保持部23内にバッテリーパック40を格納するようになっている。なお、図2において、ハンドル24は図示を省略している。
【0015】
筐体21は、吸引パイプ50と接続される接続筒部21aをその前部に有すると共に、接続筒部21aと連通する第1気流経路21bと、集塵部30を介して第1気流経路21bと連通する第2気流経路21cと、第2気流経路21cの気流方向の下流側に設けられたバッテリーパック保持部23を介して連通する第3気流経路21dとを内部に有している。また、筐体21の左側面には第3気流経路21dと連通する排気口21eが設けられている。
【0016】
筐体21において、第1気流経路21bの下方および第2気流経路21cの前方は、集塵部30を横向きに装着する装着スペースとなっており、筐体21の壁面における装着スペースに面した位置には第1気流経路21bの出口としての流出口21fと第2気流経路21cの入口としての流入口21gが設けられている。
【0017】
電動送風機22は、筐体21内の後部の下部に設けられた第2気流経路21c内に設けられている。
バッテリーパック保持部23は、筐体21内の後部の上部に設けられており、第2気流経路21cと第3気流経路21dとを連通させる通風路23Bを内部に有している。なお、バッテリーパック保持部23の内部構造について詳しくは後述する。
【0018】
また、筐体21の後部の上部には、左右方向の軸心を中心に上下方向へ回動可能な蓋部21hが設けられており、図2中の二点鎖線で示すように上方へ蓋部21hを回動させる(開く)ことによってバッテリーパック保持部23が外部に露出するようになっている。
【0019】
集塵部30は、集塵容器31と、集塵容器31に着脱可能に装着されるフィルター部32とを有する。
集塵容器31は、その外周面に第1接続口31aを有しており、吸引駆動部20に装着された集塵部30の第1接続口31aが吸引駆動部20の流出口21fと気密に接続するようになっている。
【0020】
フィルター部32は、集塵容器31内に配置されるメッシュ状の内筒部32aと、内筒部32aと連通連結されたカップ部32bと、カップ部32b内に収納されたフィルター本体32cとを有する。
カップ部32bは、内筒部32aとは反対側に第2接続口32dを有しており、吸引駆動部20に装着された集塵部30の第2接続口32dが吸引駆動部20の流入口21gと気密に接続するようになっている。
【0021】
図1図2に示す電気掃除機1によれば、操作スイッチ(不図示)をONして電動送風機22を駆動させると、吸込口体51内に塵埃含有空気が吸い込まれ、塵埃含有空気は延長パイプ52を通って掃除機本体10の吸引駆動部20の接続筒部21a内に流入し、第1気流経路21bから集塵部30の集塵容器31内に流入する(矢印F1)。集塵容器31はサイクロンタイプの集塵容器であり、集塵容器31内に流入した塵埃含有空気中の比較的大きな第1の塵埃のうち、一部は遠心力によって空気と分離されて集塵容器31内に捕捉され、その他はメッシュ状の内筒部32aに付着して捕捉される。第1の塵埃よりも小さい第2の塵埃を含む空気は内筒部32aを通過し(矢印F2)、第2の塵埃がフィルター本体32cに付着して捕捉される。フィルター本体32cを通過して塵埃が除去された空気は、吸引駆動部20内の電動送風機22を通過して第2気流経路21c内に流入し、バッテリーパック保持部23の通風路23Bを通過して第3気流経路21d内に流入し、排気口21eから外部に排出される。
【0022】
なお、本実施形態において説明した電気掃除機1は一例に過ぎず、電動送風機22によって吸引パイプ50から吸い上げられた空気が排気口21eで排出されるまでの間の気流経路内であれば、気流方向の上流側から下流側までの間に設けられるモータやフィルターなどの構成要素の配置順序は問わない。例えば、集塵容器が紙パックであってもよい。
【0023】
このようにして電気掃除機1にて清掃作業が行われるとき、バッテリーパック40内の後述のセル42(図6図7参照)から電動送風機22へ電力が供給され、それに伴ってセル42が発熱するが、バッテリーパック保持部23内を通過する空気によってセル42の熱を効率よく放熱することができる。それに加え、本発明のバッテリーパックは、セル42を充電する際にユーザーがバッテリーパック40をバッテリーパック保持部23から安全に取り外すことができる配慮がなされている。
以下、バッテリーパック保持部23およびバッテリーパック40の構造について説明する。
【0024】
<バッテリーパック保持部>
図3は第1実施形態のバッテリーパック保持部を示す斜視図であり、図4は第1実施形態のバッテリーパックを示す斜視図であり、図5図3のバッテリーパックが図4のバッテリーパック保持部内に格納された状態を示す斜視図である。また、図6図5のバッテリーパック格納構造を示すバッテリーパック挿入方向から視た断面図であり、図7図5のバッテリーパック格納構造を示すバッテリーパック挿入方向と直交する方向から視た断面図である。なお、図3図4図6および図7において、バッテリーパックおよびバッテリーパック保持部の前後左右上下の方向を矢印にて示している。この前後上下の方向は、図2における掃除機本体の前後上下方向と一致する方向である。
【0025】
図3図7に示すように、バッテリーパック保持部23は、直方体形のケース部23aを備える。
このケース部23aは、内部空間を上下に仕切る仕切り板23aaを有し、仕切り板23aaよりも上方の上部空間はバッテリーパック40が格納されるバッテリーパック格納室23Aとされ、仕切り板23aaより下の下部空間はバッテリーパック格納室23Aよりも狭い前記通風路23Bとされている。
【0026】
バッテリーパック格納室23Aは、後方のみに開口した上部空間であり、前方はケース部23aの前板にて閉鎖されている。また、バッテリーパック格納室23Aの前方側の奥には、図示しない受電側電極接合部としての複数のブレード形受電端子が設けられており、複数の受電端子は制御回路とリード線を介して電気的に接続されている。
通風路23Bは、後方および前方に開口した下部空間である。
なお、図3において、バッテリーパック格納室23Aは通風路23Bに隣接しているが、特にこの配置に限定されるものではなく、例えば、バッテリーパック格納室23Aと通風路23Bとは離れた位置にあってもよい。
【0027】
また、バッテリーパック保持部23は、バッテリーパック格納室23A内におけるケース部23aの左右内側面に設けられた前後方向に延びる一対のガイドレール23bと、仕切り板23aaに取り付けられた放熱部材23cとをさらに備えている。
一対のガイドレール23bは、略U字形を横に倒した形状を有しており、互いに対向する溝部をそれぞれ有している。なお、一対のガイドレール23bは、後述のバッテリーパック40の一対の突起部41gとそれぞれ嵌合して嵌合部K1を形成する(図6参照)。
【0028】
放熱部材23cは、ケース部23aの仕切り板23aaの下面に沿って設けられた平板部23caと、平板部23caの仕切り板23aaとの対向面(上面)に設けられた左右一対の接触端部23cbとを有する。
一対の接触端部23cbは、平板部23caの上面から上方へ突出した前後方向に延びる突条形(リブ形)の形状を有し、仕切り板23aaを貫通してバッテリーパック格納室23A内の一対のガイドレール23bの近傍位置で露出している。
【0029】
<バッテリーパック>
図3図7に示すように、バッテリーパック40は、バッテリーパック保持部23のバッテリーパック格納室23A内に収まるサイズの略直方体形に形成された外装ケース41と、外装ケース41内に収納された複数のセル42と、複数のセル42を覆う伝熱部材43とを備える。
外装ケース41は、前板部41a、後板部41b、左板部41c、右板部41d、底板部41eおよび天板部41fを有している。なお、図4はバッテリーパック40を前板部41a側から見た斜視図である。
【0030】
外装ケース41は、左板部41cおよび右板部41dに設けられた前後方向に延びる前記一対の突起部41gと、前板部41aおよび底板部41eに設けられた開口部としての前後方向に延びる左右一対のスリット部41hと、前板部41aおよび底板部41eにおける一対のスリット部41hの間に設けられた前後方向に延びる複数の小スリット部41iとを有する。
【0031】
一対の突起部41gは、前板部41a付近から後板部41b付近までの長さを有し、突条形あるいは角棒形にそれぞれ形成されている。
一対のスリット部41hは、前板部41a側に切れ込みを有すると共に、前板部41aから後板部41b付近までの長さを有し、外装ケース41の内部と外部を連通している。なお、一対のスリット部41hの左右方向の幅W1(図4参照)について詳しくは後述する。
【0032】
複数の小スリット部41iは、前板部41a側に切れ込みを有すると共に、バッテリーパック保持部23の前記複数のブレード形受電端子(不図示)が十分に挿入可能な長さを有し、外装ケース41の内部と外部を連通している。
また、バッテリーパック40内の各小スリット部41iの近傍には、給電側電極接合部としてのクリップ形給電端子(不図示)がそれぞれ設けられており、各セルの電極がリード線(不図示)を介して各給電端子と電気的に接続されている。
なお、外装ケース41には、ユーザーが持ちやすいように、一対の突起部41g以外にも表面に凹凸部を設けたり、角部にフィレット形状を付加してもよい。
【0033】
伝熱部材43は、外装ケース41内の底板部41e上に設置された基台部43aと、基台部43a上に設置された複数のセル42の外面に接触して覆う被覆部43bとを有し、基台部43aと被覆部43bとは接触している。
基台部43aおよび被覆部43bは、熱伝導率の高い材料にて形成されることが好ましく、例えば、アルミニウム、銅、銀等の金属を用いることができる。なお、基台部43aと被覆部43bとは、同じ材料で形成されてもよく、異なる材料で形成されてもよい。
【0034】
基台部43aは左右一対の支持脚形(ブレード形)の伝熱端部43aaを有しており、一対の伝熱端部43aaは一対のスリット部41hの近傍に配置されている。なお、図6では、左側の伝熱端部43aaは左側のスリット部41hの左側に配置され、右側の伝熱端部43aaは右側のスリット部41hの右側に配置されている場合を例示しているが、左側の伝熱端部43aaは左側のスリット部41hの右側に配置され、右側の伝熱端部43aaは右側のスリット部41hの左側に配置されてもよい。
【0035】
<バッテリーパックの装着および取り外し>
このように構成されたバッテリーパック40を電気掃除機1のバッテリーパック保持部23を装着する際は、図2中の2点鎖線で示すように、掃除機本体10の蓋部21hを開き、バッテリーパック40を前板部41a側からバッテリーパック保持部23のバッテリーパック格納室23A内に挿入し、蓋部21hを閉じる。なお、図7において、矢印Aはバッテリーパック挿入方向を示している。
【0036】
バッテリーパック40のバッテリーパック保持部23内への挿入時、バッテリーパック40の左右一対の突起部41gが、バッテリーパック保持部23の左右一対のガイドレール23bに嵌り込んで前方へスライドする。これにより、図6中の点線領域内に示されるように、突起部41gとガイドレール23bとが互いに嵌合した嵌合部K1が形成される。この嵌合部K1では、ガイドレール23bが凹部となり、突起部41gが凹部内に嵌り込む凸部となっている。
【0037】
また、バッテリーパック保持部23の左右一対の接触端部23cbが、バッテリーパック40の左右一対のスリット部41h内に差し込まれ、バッテリーパック40内の伝熱部材43の基台部43aの左右一対の伝熱端部43aaに接触する。
また、バッテリーパック保持部23の複数のブレード形受電端子(不図示)が、バッテリーパック40の複数の小スリット部41i内に差し込まれ、複数の小スリット部41i近傍に設けられたクリップ形給電端子(不図示)に接触する。
【0038】
バッテリーパック40を装着した電気掃除機1を駆動した際、前記のようにバッテリーパック保持部23の通風路23B内には矢印F3方向に空気が流れる。したがって、電気掃除機1の駆動時にバッテリーパック40内の各セル42から生じた熱は、伝熱部材43の被覆部43bから基台部43aの一対の伝熱端部43aaに伝わり、一対の伝熱端部43aaに伝わった熱はバッテリーパック保持部23内の放熱部材23cの一対の接触端部23cbから平板部23caに伝わって通風路23B内を流れる空気中に放熱される。換言すると、通風路23B内に露出する放熱部材23caに接触しながら流れる空気によって各セル42が間接的に冷却される。
【0039】
駆動を停止した電気掃除機1からバッテリーパック40を取り外す際は、蓋部21hを開き、指でバッテリーパック40を掴んで後方へ引き出す。このとき、駆動停止直後は、バッテリーパック40内の各セル42は熱をもっているため、このような状況であってもバッテリーパック40は伝熱部材43にユーザーが触れないように配慮されている。
【0040】
つまり、各セル42の熱を外部に逃がす伝熱部材43は完全に外装ケース41内に収められており、かつ、伝熱部材43の一対の伝熱端部43aa近傍に設けられた開口部としての一対のスリット部41hの幅W1(図4参照)は、スリット部41hにテストフィンガー全体が挿入できず、かつ、スリット部41hにテストフィンガーの先端が挿入されてもその先端が伝熱端部43aaに接触できない幅となっている。ここで「テストフィンガー」とは、IEC60950(1999)に対応しているJ60950に準拠している。
【0041】
要するに、バッテリーパック40の外部には各セル42からの熱を放熱する部材が露出しておらず、かつ、バッテリーパック40の内部と外部を連通する開口部に指が入らないようになっているため、ユーザーがバッテリーパック40のどこに触れても伝熱部材に接触しないようになっている。なお、複数の小スリット部41iの左右方向の幅はスリット部41hの幅W1以下に設定されている。
【0042】
また、第1実施形態(図6参照)では、バッテリーパック40単体において、外装ケース41に一対のスリット部41hが設けられているが、外装ケース41内の伝熱部材43の伝熱端部43aaを閉形状(例えば、スリット部41hの開口方向から視て四角形)に形成して一対のスリット部41を包囲することにより、外装ケース41内の複数のセル42が収納されたスペースを外部から遮断することができる。これにより、バッテリーパック40単体(非挿入時)におけるセル収納スペース内への塵埃の侵入や、バッテリーパック40のバッテリーパック保持部23への挿入時における通風路23Bを流れる塵埃含有空気のバッテリーパック40のセル収納スペース内への流入を防止することができる。これにより、セル42や、図示しない外装ケース41内の回路基板等が清潔に保たれるため、故障を抑制することができる。さらに、外装ケース41と伝熱部材43との間のスペースであって、一対のスリット部41hの間のスペースを埋めるように樹脂を充填する、あるいは一対のスリット部41hの間のスペースを無くすように外装ケース41を内側へ凹ませた形状にする、あるいは外装ケース41の内面における一対のスリット部41hの内側を沿うようにリブを設けることにより、外装ケース41と伝熱部材43との間のスペースへの塵埃の侵入を抑制することができる。
【0043】
なお、第1実施形態(図3図6参照)では、バッテリーパック40の大きい面側(底板部41e側)に熱伝導するような構造を採用した場合を例示したが、例えばバッテリーパック40の小さい面側(左板部41c側および右板部41d側)に伝熱部材43や通風路23Bが配置されるなど、スペースの許す範囲であれば外装ケース41や伝熱部材43、通風路23Bなどの位置関係や向きは問わない。
また、図7において、伝熱部材43はセル42を円形に囲むように接触した場合を例示したが、少なくとも1点で接触していれば接触の仕方は問わない。さらに、第1実施形態では通風路23B内を気流が一方向に流れる場合を例示したが、スペースの許す範囲であればあらゆる向きに(例えば蛇行状に)空気の流れを設定してもよく、流速の大小は問わない。
【0044】
(第2実施形態)
図8は第2実施形態のバッテリーパックを示す斜視図であり、図9は第2実施形態のバッテリーパック格納構造を示すバッテリーパック挿入方向から視た断面図である。なお、図8図9において、図4図6中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
第2実施形態は、バッテリーパックおよびバッテリーパック保持部の構造が第1実施形態と異なる以外は、第1実施形態と概ね同様である。以下、第2実施形態における第1実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0045】
図8図9に示すように、第2実施形態のバッテリーパック140は、外装ケース141と、外装ケース141内に収納された複数のセル42と、複数のセル42を覆う伝熱部材143とを備える。
外装ケース141は、左板部41cおよび右板部41dに設けられた前後方向に延びる一対の突起部141gと、一対の突起部141gを左板部41cおよび右板部41dに対して垂直方向で貫通する開口部としての一対のスリット部141hと、前板部41aおよび底板部41eに設けられた前後方向に延びる複数の小スリット部41iとを有する。
【0046】
一対のスリット部141hは、前板部41a側に切れ込み141haを有すると共に、一対の突起部141gの前後方向の長さと略等しい長さを有している。また、一対のスリット部141hの上下方向の幅W2は、スリット部141hにテストフィンガー全体が挿入できず、かつ、スリット部141hにテストフィンガーの先端が挿入されてもその先端が後述の伝熱端部143bに接触できない幅となっている。
【0047】
伝熱部材143は、複数のセル42の外面と接触して覆う被覆部143aと、被覆部143aと接触しながら複数のセル42を支持する左右一対の前記伝熱端部143bとを有し、左右一対の伝熱端部143bは外装ケース141の左右一対のスリット部141hに内側から外側に向かって挿入されている。このとき、各伝熱端部143bの外側端部は各スリット部141hの開口端部(最外端部)よりも内側に位置しており、スリット部141hにテストフィンガーの先端が挿入されてもその先端が伝熱端部143bに接触できないようになっている。
【0048】
バッテリーパック保持部123は、内部空間を上下に仕切る仕切り板23aaを有する直方体形のケース部123aと、ケース部123a内に設けられた放熱部材123cとを備える。このケース部123aにおいて、仕切り板23aaよりも上方の上部空間はバッテリーパック40が格納されるバッテリーパック格納室23Aとされ、仕切り板23aaより下の下部空間は通風路23Bとされている。
【0049】
ケース部123aのバッテリーパック格納室23A内の左右内面には一対のガイドレール123bが設けられると共に、一対のガイドレール123b内の奥部と通風路23Bとを倒立L字形で連通する一対の連通孔123abがケース部123aの左右壁部に設けられている。
放熱部材123cは、仕切り板23aaの下面に密着する平板部123caと、平板部123caの左右端部に設けられて一対の連通孔123ab内を挿通する倒立L字形の一対の屈曲部123cbとを有し、各屈曲部123cbにおける各ガイドレール123b内に突出した部分が接触端部123ccとなっている。なお、各接触端部123ccと各ガイドレール123bとの間には隙間が設けられている。
【0050】
このように構成されたバッテリーパック140は、前板部41a側からバッテリーパック保持部123のバッテリーパック格納室23A内に挿入して装着される。
このとき、バッテリーパック140の左右一対の突起部141gがバッテリーパック保持部123の左右一対のガイドレール123bに嵌り込んで前方へスライドする。これにより、図9中の点線領域内に示されるように、突起部141gとガイドレール123bとが互いに嵌合した嵌合部K2が形成される。この嵌合部K2では、ガイドレール123bが凹部となり、突起部141gが凹部内に嵌り込む凸部となっている。
【0051】
また、左右一対の嵌合部K2が形成される際、バッテリーパック140の左右一対の伝熱端部143bがバッテリーパック保持部123の左右一対の接触端部123ccに摺接する。このとき、嵌合部K2において、接触端部123ccが突起部141g内に嵌り込むと共に、突起部141gが接触端部123ccとガイドレール123bとの間の隙間に嵌り込むようになっている。
【0052】
このように第2実施形態では、バッテリーパック140のバッテリーパック保持部123への挿入時には、嵌合部K2において放熱部材123cの接触端部123ccに伝熱部材143の伝熱端部143bが接触し、外装ケース141の内部に放熱部材123ccが干渉するような構造になっている。そのため、バッテリーパック140単体でもその内部(セル42が設けられている空間)に外部から空気が流入するような開口部(スリット部141h)が伝熱端部143bによって塞がれ、バッテリーパック140が略気密構造となる。
【0053】
第2実施形態ではこの構造によって、バッテリーパック140単体(非挿入時)における内部への塵埃の侵入や、バッテリーパック140のバッテリーパック保持部123への挿入時における通風路23Bを流れる塵埃含有空気のバッテリーパック140内への流入を防止することができる。これにより、セル42や、図示しない外装ケース141内の回路基板等が清潔に保たれるため、故障を抑制することができる。
【0054】
なお、第1実施形態(図6参照)においても、バッテリーパック40のバッテリーパック保持部23への挿入時において、通風路23Bを流れる塵埃含有空気のバッテリーパック40内への流入は防止されるようになっている。
【0055】
(第3実施形態)
図10は第3実施形態のバッテリーパック格納構造を示すバッテリーパック挿入方向から視た断面図である。なお、図10において、図9中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
第3実施形態は、バッテリーパックとバッテリーパック保持部とで形成する嵌合部の構造が第2実施形態と異なる以外は、第2実施形態と概ね同様である。以下、第3実施形態における第2実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0056】
第2実施形態(図9参照)における嵌合部K2では、ガイドレール123bが凹部となり、突起部141gが凹部内に嵌り込む凸部となっているが、第3実施形態(図10参照)における嵌合部K3では、突起部241gが凹部となり、ガイドレール223bが凹部内に嵌り込む凸部となっている。
【0057】
この場合、バッテリーパック240の左右一対の突起部241gにそれぞれ設けられた左右一対のスリット部241hの幅W3は、スリット部241hにテストフィンガー全体が挿入できず、かつ、スリット部241hにテストフィンガーの先端が挿入されてもその先端が伝熱端部143bに接触できない幅となっている。また、各伝熱端部143bの外側端部は各スリット部241hの開口端部(最外端部)よりも内側に位置しており、スリット部241hにテストフィンガーの先端が挿入されてもその先端が伝熱端部143bに接触できないようになっている。
【0058】
第3実施形態でも、バッテリーパック240単体(非挿入時)における内部への塵埃の侵入や、バッテリーパック240のバッテリーパック保持部223への挿入時における通風路23Bを流れる塵埃含有空気のバッテリーパック240内への流入を防止することができる。これにより、セル42や、図示しない外装ケース241内の回路基板等が清潔に保たれるため、故障を抑制することができる。
【0059】
(第4実施形態)
図11は第4実施形態のバッテリーパック格納構造を示すバッテリーパック挿入方向と直交する方向から視た断面図である。なお、図11において、図7中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
第4実施形態は、バッテリーパックの構造が第1実施形態と異なる以外は、第1実施形態と概ね同様である。以下、第4実施形態における第1実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0060】
図11に示すように、第4実施形態のバッテリーパック340は、外装ケース341における底板部41eの後端(後板部41bと接する部分)に放熱用開口部41eaが設けられている。これにより、外装ケース341内の熱の放熱効果をより促進することができる。
【0061】
放熱用開口部41eaは、塵埃を含んだ空気がバッテリーパック340内に外部から空気が流入しても、バッテリーパック340の性能や安全性に問題がない場合において設けられることが好ましい。放熱用開口部41eaを設けることにより、外装ケース341の内部の熱を自然対流等によって外部へ放熱させることも可能となる。
この場合、放熱用開口部41eaのサイズは、テストフィンガーが放熱用開口部41eaの先端が挿入されてもその先端がバッテリーパック340の内部構造に直接触れることができないサイズとされる。
【0062】
また、図11中の二点鎖線で示すように、外装ケース341内における放熱用開口部41eaの近傍に、後板部41b側に突出して近接する庇形リブ41ebを設けてもよい。 この庇形リブ41ebは、例えば倒立L形に形成され、後板部41bの内面との間に隙間を形成する。
庇形リブ41ebを設けることにより、外装ケース341内の熱の放熱効果をより促進しながら、塵埃を含む空気が放熱用開口部41eaから外装ケース341内に流入することを抑制することができる。
【0063】
なお、第4実施形態における放熱用開口部41eaおよび庇形リブ41ebは、第2および第3実施形態にも適用可能である。
【0064】
(他の実施形態)
1.第1~第4実施形態では電気機器としての電気掃除機のバッテリーパック保持部にバッテリーパックを前後方向に装着または取り外し可能な構成を例示したが、バッテリーパックの装着方向は前後方向に限定されず、第1~第4実施形態の構成を応用してバッテリーパックを上下方向または左右方向に装着または取り外しできるようにしてもよい。
【0065】
2.第1~第4実施形態ではスティック型の電気掃除機を例示したが、第1~第4実施形態で説明したバッテリーパックおよびバッテリーパック保持部は、キャニスター型およびアップライト型のコードレス電気掃除機に適用されてもよい。また、第1~第4実施形態で説明したバッテリーパックおよびバッテリーパック保持部は、コードレスブロワー、コードレスヘアドライヤ等に適用されてもよい。
【0066】
3.第1~第4実施形態では電気機器としての電気掃除機から取り外したバッテリーパックを専用の充電器に接続して充電する場合を例示したが、第1~第4実施形態で説明したバッテリーパックおよびバッテリーパック保持部は、バッテリーパックが電気機器のバッテリーパック保持部に装着された状態で充電する充電方式にも適用してもよい。この場合、通常の充電時にはバッテリーパックをバッテリーパック保持部から取り外す必要はないが、バッテリーパックを新しいものと交換する際にバッテリーパック保持部から容易に取り外しおよび取り付けすることができる。
【0067】
(まとめ)
本発明のバッテリーパックは、外装ケースと、前記外装ケース内に収納されたセルと、伝熱部材とを備え、
前記外装ケースは、前記外装ケースの内部と外部とを連通させる開口部を有し、
前記伝熱部材は、前記セルから伝わる熱を前記外装ケースの開口部を通して前記外部に放熱可能な伝熱端部を前記開口部の近傍に有し、
前記開口部に挿入されるテストフィンガーが前記伝熱端部に接触できないように構成されたものである。
このバッテリーパックは、外装ケースの開口部に挿入されるテストフィンガーが伝熱端部に接触できないように構成されているため、セルの熱を外部へ逃がしてバッテリーのパフォーマンス低下を抑制することができることに加え、セルが熱をもっている状況でバッテリーパックをユーザーが触っても伝熱部材にユーザーが触れない構成となっており、安全にバッテリーパックを取り扱うことができる。
【0068】
本発明のバッテリーパックは、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
・前記外装ケースは、所定のサイズの前記開口部を有し、
前記伝熱端部は、前記外装ケースの内部において前記開口部の近傍に配置されており、
前記所定のサイズは、前記開口部に前記テストフィンガーの先端が挿入されても前記先端が前記伝熱端部に接触できないサイズであってもよい。
この構成によれば、伝熱部材全体を外装ケース内に収めることができ、バッテリーパックの安全性を確保する上で有利な構造となる。
【0069】
・前記開口部は、所定の幅で一方向に所定の長さで延びたスリット形に形成されており、
前記所定のサイズが、前記所定の幅であってもよい。
この構成によれば、電気機器のバッテリーパック保持部へバッテリーパックを挿入することにより装着する装着形態を採用することが可能となる。
【0070】
・前記外装ケースは、その外面に垂直方向に突出する突起部を有すると共に、前記突起部を前記垂直方向で貫通するように前記開口部が所定のサイズで設けられており、
前記伝熱端部は、前記突起部から外部へ突出しない状態で前記開口部から外部に露出しており、
前記所定のサイズは、前記開口部に前記テストフィンガーの先端が挿入されても前記先端が前記伝熱端部に接触できないサイズであってもよい。
この構成によれば、ユーザーがバッテリーパックを掴みやすくする、あるいは電気機器のバッテリーパック保持部へバッテリーパックの装着時に装着方向へバッテリーパックがガイドされる目的等で外装ケースの外面に設けられる突起部を利用して、ユーザーが指で直接触れられないよう突起部内に伝熱端部を設けることができる。
【0071】
・前記突起部は、一方向に延びた突条形に形成されており、
前記開口部は、所定の幅で前記一方向に所定の長さで延びたスリット形に形成されており、
前記所定のサイズが、前記所定の幅であってもよい。
この構成によれば、電気機器のバッテリーパック保持部へバッテリーパックを挿入することにより装着する装着形態を採用することが可能となる。
【0072】
本発明の電気機器は、前記バッテリーパックと、前記バッテリーパックを着脱可能に保持するバッテリーパック保持部とを備え、
前記バッテリーパックは、給電側電極接合部を有し、
前記バッテリーパック保持部は、前記給電側電極接合部と電気的に接続可能な受電側電極接合部と、前記バッテリーパック保持部に保持された前記バッテリーパックの前記伝熱端部と接触可能な接触端部を有する放熱部材とを備え、
前記セルからの熱が前記伝熱部材を介して前記放熱部材に伝わるように構成されたものである。
この構成によれば、バッテリーパック内のセルの熱を伝熱部材を介してバッテリーパック保持部側の放熱部材へ伝えて外部へ放熱することができる。
【0073】
本発明の電気機器は、本発明のバッテリーパックは、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
・前記バッテリーパック保持部は、気流が通過可能な通風路をさらに有し、
前記放熱部材は、前記伝熱部材を介して伝わった前記セルからの熱を前記通風路内で放熱可能なように前記通風路内で露出してもよい。
この構成によれば、電気機器内で生じる気流を利用して、バッテリーパック保持部の通風路内に気流を送って放熱部材に伝わったセルからの熱を外部へ効率的に放熱することができる。
【0074】
・気流経路および前記気流経路内に設けられた電動送風機を内部に有する吸引駆動部と、前記吸引駆動部の吸引力によって集塵する集塵部とをさらに備え、
前記バッテリーパック保持部は、前記通風路が前記気流経路の一部を構成するように前記吸引駆動部内に設けられてもよい。
この構成によれば、電気機器としての電気掃除機に設けられた電動送風機による気流を利用して、バッテリーパック保持部の通風路内に気流を送って放熱部材に伝わったセルからの熱を外部へ効率的に放熱することができる。
【0075】
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
1 電気掃除機(電気機器)
20 吸引駆動部
21b 第1気流経路
21c 第2気流経路
21d 第3気流経路
22 電動送風機
23、123、223 バッテリーパック保持部
23A バッテリーパック格納室
23B 通風路
23c、123c 放熱部材
23cb、123cc 接触端部
30 集塵部
40、140、240、340 バッテリーパック
41、141、341 外装ケース
41g、141g 突起部
41h、141h スリット部(開口部)
42 セル
43、143 伝熱部材
43aa、143aa 伝熱端部
W1、W2、W3 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11