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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20230621BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230621BHJP
   B60W 30/09 20120101ALI20230621BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20230621BHJP
【FI】
G08G1/09 V
G08G1/16 A
B60W30/09
B60W40/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018128947
(22)【出願日】2018-07-06
(65)【公開番号】P2020009093
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 直寛
(72)【発明者】
【氏名】井上 秀
(72)【発明者】
【氏名】藤野 崇人
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正吾
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-154128(JP,A)
【文献】特開2013-037621(JP,A)
【文献】特開2012-027862(JP,A)
【文献】特開2001-229491(JP,A)
【文献】国際公開第2011/013238(WO,A1)
【文献】特開2005-228111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
B60W 30/09
B60W 40/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急車両の通行を優先して一般車両を路肩に寄せる自動運転制御である自動回避制御、および、前記自動回避制御の実行後に前記一般車両を路肩から走行路の中央側に戻す自動運転制御である自動復帰制御を前記一般車両に実行させる制御部を備え、
前記制御部は、複数の前記一般車両に共通して適用される目標減速度、および、複数の前記一般車両に共通して適用される目標加速度を決定し、
前記自動回避制御では、前記一般車両の減速度が前記制御部により決定された前記目標減速度に近づくように、前記一般車両の走行が自動制御され、
前記自動復帰制御では、前記一般車両の加速度が前記制御部により決定された前記目標加速度に近づくように、前記一般車両の走行が自動制御され
前記制御部は、
複数の前記一般車両の減速性能に基づいて、前記目標減速度を決定し、
前記緊急車両に追い越された前記一般車両と前記緊急車両との間の距離が第2基準距離を上回った場合、当該一般車両に前記自動復帰制御を実行させ、
前記緊急車両の走行経路における前記緊急車両の現在位置から前記第2基準距離以内の後方の区間を走行する複数の前記一般車両の加速性能に基づいて、前記目標加速度を決定する、
制御装置。
【請求項2】
緊急車両の通行を優先して一般車両を路肩に寄せる自動運転制御である自動回避制御、および、前記自動回避制御の実行後に前記一般車両を路肩から走行路の中央側に戻す自動運転制御である自動復帰制御を前記一般車両に実行させる制御部を備え、
前記制御部は、複数の前記一般車両に共通して適用される目標減速度、および、複数の前記一般車両に共通して適用される目標加速度を決定し、
前記自動回避制御では、前記一般車両の減速度が前記制御部により決定された前記目標減速度に近づくように、前記一般車両の走行が自動制御され、
前記自動復帰制御では、前記一般車両の加速度が前記制御部により決定された前記目標加速度に近づくように、前記一般車両の走行が自動制御され
前記制御部は、
複数の前記一般車両の加速性能に基づいて、前記目標加速度を決定し、
前記緊急車両より前方を走行している前記一般車両と前記緊急車両との間の距離が第1基準距離を下回った場合、当該一般車両に前記自動回避制御を実行させ、
前記緊急車両の走行経路における前記緊急車両の現在位置から前記第1基準距離以内の前方の区間を走行する複数の前記一般車両の減速性能に基づいて、前記目標減速度を決定する、
制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、複数の前記一般車両の各々の減速性能のうち最も低い減速性能に基づいて、前記目標減速度を決定する、
請求項1又は2のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、複数の前記一般車両の各々の車重に基づいて、当該複数の一般車両の各々の減速性能を特定する、
請求項1~のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、複数の前記一般車両の各々の位置における路面情報に基づいて、当該複数の一般車両の各々の減速性能を特定する、
請求項1~のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、複数の前記一般車両の各々の加速性能のうち最も低い加速性能に基づいて、前記目標加速度を決定する、
請求項1~のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、複数の前記一般車両の各々の車重に基づいて、当該複数の一般車両の各々の加速性能を特定する、
請求項1~のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、複数の前記一般車両の各々の位置における路面情報に基づいて、当該複数の一般車両の各々の加速性能を特定する、
請求項1~のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
制御装置の制御部が、緊急車両の通行を優先して一般車両を路肩に寄せる自動運転制御である自動回避制御、および、前記自動回避制御の実行後に前記一般車両を路肩から走行路の中央側に戻す自動運転制御である自動復帰制御を前記一般車両に実行させ
前記制御部、複数の前記一般車両に共通して適用される目標減速度、および、複数の前記一般車両に共通して適用される目標加速度を決定し、
前記自動回避制御では、前記一般車両の減速度が前記制御部により決定された前記目標減速度に近づくように、前記一般車両の走行が自動制御され、
前記自動復帰制御では、前記一般車両の加速度が前記制御部により決定された前記目標加速度に近づくように、前記一般車両の走行が自動制御され
前記制御部は、
複数の前記一般車両の減速性能に基づいて、前記目標減速度を決定し、
前記緊急車両に追い越された前記一般車両と前記緊急車両との間の距離が第2基準距離を上回った場合、当該一般車両に前記自動復帰制御を実行させ、
前記緊急車両の走行経路における前記緊急車両の現在位置から前記第2基準距離以内の後方の区間を走行する複数の前記一般車両の加速性能に基づいて、前記目標加速度を決定する、
制御方法。
【請求項10】
制御装置の制御部が、緊急車両の通行を優先して一般車両を路肩に寄せる自動運転制御である自動回避制御、および、前記自動回避制御の実行後に前記一般車両を路肩から走行路の中央側に戻す自動運転制御である自動復帰制御を前記一般車両に実行させ
前記制御部、複数の前記一般車両に共通して適用される目標減速度、および、複数の前記一般車両に共通して適用される目標加速度を決定し、
前記自動回避制御では、前記一般車両の減速度が前記制御部により決定された前記目標減速度に近づくように、前記一般車両の走行が自動制御され、
前記自動復帰制御では、前記一般車両の加速度が前記制御部により決定された前記目標加速度に近づくように、前記一般車両の走行が自動制御され
前記制御部は、
複数の前記一般車両の加速性能に基づいて、前記目標加速度を決定し、
前記緊急車両より前方を走行している前記一般車両と前記緊急車両との間の距離が第1基準距離を下回った場合、当該一般車両に前記自動回避制御を実行させ、
前記緊急車両の走行経路における前記緊急車両の現在位置から前記第1基準距離以内の前方の区間を走行する複数の前記一般車両の減速性能に基づいて、前記目標減速度を決定する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行を自動制御する自動運転制御に関する種々の技術が提案されている。このような技術として、緊急車両の通行を優先するための一般車両の自動運転制御に関する技術がある。例えば、特許文献1に開示されているように、緊急車両の通行を優先して一般車両を路肩に寄せる自動回避制御がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-154128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、緊急車両の通行を優先するための一般車両の自動運転制御をより適切に実行することが望まれている。例えば、特許文献1に開示されている技術等の従来の技術では、緊急車両の走行を優先するために、連なって走行している複数の一般車両に自動回避制御を実行させた際に、各一般車両の間で減速度が相違することに起因して、一般車両間の一部の車間距離が過度に縮まる場合がある。この場合、周囲の一般車両と接触しないように車速を調整しながら手動又は自動で一般車両の運転が行われることになるので、渋滞が発生するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、緊急車両の通行を優先するための一般車両の自動運転制御を適切に実行することが可能な、新規かつ改良された制御装置及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、緊急車両の通行を優先して一般車両を路肩に寄せる自動運転制御である自動回避制御、および、前記自動回避制御の実行後に前記一般車両を路肩から走行路の中央側に戻す自動運転制御である自動復帰制御を前記一般車両に実行させる制御部を備え、前記制御部は、複数の前記一般車両に共通して適用される目標減速度、および、複数の前記一般車両に共通して適用される目標加速度を決定し、前記自動回避制御では、前記一般車両の減速度が前記制御部により決定された前記目標減速度に近づくように、前記一般車両の走行が自動制御され、前記自動復帰制御では、前記一般車両の加速度が前記制御部により決定された前記目標加速度に近づくように、前記一般車両の走行が自動制御され、前記制御部は、複数の前記一般車両の減速性能に基づいて、前記目標減速度を決定し、前記緊急車両に追い越された前記一般車両と前記緊急車両との間の距離が第2基準距離を上回った場合、当該一般車両に前記自動復帰制御を実行させ、前記緊急車両の走行経路における前記緊急車両の現在位置から前記第2基準距離以内の後方の区間を走行する複数の前記一般車両の加速性能に基づいて、前記目標加速度を決定する、制御装置が提供される。
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、緊急車両の通行を優先して一般車両を路肩に寄せる自動運転制御である自動回避制御、および、前記自動回避制御の実行後に前記一般車両を路肩から走行路の中央側に戻す自動運転制御である自動復帰制御を前記一般車両に実行させる制御部を備え、前記制御部は、複数の前記一般車両に共通して適用される目標減速度、および、複数の前記一般車両に共通して適用される目標加速度を決定し、前記自動回避制御では、前記一般車両の減速度が前記制御部により決定された前記目標減速度に近づくように、前記一般車両の走行が自動制御され、前記自動復帰制御では、前記一般車両の加速度が前記制御部により決定された前記目標加速度に近づくように、前記一般車両の走行が自動制御され、前記制御部は、複数の前記一般車両の加速性能に基づいて、前記目標加速度を決定し、前記緊急車両より前方を走行している前記一般車両と前記緊急車両との間の距離が第1基準距離を下回った場合、当該一般車両に前記自動回避制御を実行させ、前記緊急車両の走行経路における前記緊急車両の現在位置から前記第1基準距離以内の前方の区間を走行する複数の前記一般車両の減速性能に基づいて、前記目標減速度を決定する、制御装置が提供される。
【0008】
前記制御部は、複数の前記一般車両の各々の減速性能のうち最も低い減速性能に基づいて、前記目標減速度を決定してもよい。
【0009】
前記制御部は、複数の前記一般車両の各々の車重に基づいて、当該複数の一般車両の各々の減速性能を特定してもよい。
【0010】
前記制御部は、複数の前記一般車両の各々の位置における路面情報に基づいて、当該複数の一般車両の各々の減速性能を特定してもよい。
【0014】
前記制御部は、複数の前記一般車両の各々の加速性能のうち最も低い加速性能に基づいて、前記目標加速度を決定してもよい。
【0015】
前記制御部は、複数の前記一般車両の各々の車重に基づいて、当該複数の一般車両の各々の加速性能を特定してもよい。
【0016】
前記制御部は、複数の前記一般車両の各々の位置における路面情報に基づいて、当該複数の一般車両の各々の加速性能を特定してもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、制御装置の制御部が、緊急車両の通行を優先して一般車両を路肩に寄せる自動運転制御である自動回避制御、および、前記自動回避制御の実行後に前記一般車両を路肩から走行路の中央側に戻す自動運転制御である自動復帰制御を前記一般車両に実行させ、前記制御部、複数の前記一般車両に共通して適用される目標減速度、および、複数の前記一般車両に共通して適用される目標加速度を決定し、前記自動回避制御では、前記一般車両の減速度が前記制御部により決定された前記目標減速度に近づくように、前記一般車両の走行が自動制御され、前記自動復帰制御では、前記一般車両の加速度が前記制御部により決定された前記目標加速度に近づくように、前記一般車両の走行が自動制御され、前記制御部は、複数の前記一般車両の減速性能に基づいて、前記目標減速度を決定し、前記緊急車両に追い越された前記一般車両と前記緊急車両との間の距離が第2基準距離を上回った場合、当該一般車両に前記自動復帰制御を実行させ、前記緊急車両の走行経路における前記緊急車両の現在位置から前記第2基準距離以内の後方の区間を走行する複数の前記一般車両の加速性能に基づいて、前記目標加速度を決定する、制御方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、制御装置の制御部が、緊急車両の通行を優先して一般車両を路肩に寄せる自動運転制御である自動回避制御、および、前記自動回避制御の実行後に前記一般車両を路肩から走行路の中央側に戻す自動運転制御である自動復帰制御を前記一般車両に実行させ、前記制御部、複数の前記一般車両に共通して適用される目標減速度、および、複数の前記一般車両に共通して適用される目標加速度を決定し、前記自動回避制御では、前記一般車両の減速度が前記制御部により決定された前記目標減速度に近づくように、前記一般車両の走行が自動制御され、前記自動復帰制御では、前記一般車両の加速度が前記制御部により決定された前記目標加速度に近づくように、前記一般車両の走行が自動制御され、前記制御部は、複数の前記一般車両の加速性能に基づいて、前記目標加速度を決定し、前記緊急車両より前方を走行している前記一般車両と前記緊急車両との間の距離が第1基準距離を下回った場合、当該一般車両に前記自動回避制御を実行させ、前記緊急車両の走行経路における前記緊急車両の現在位置から前記第1基準距離以内の前方の区間を走行する複数の前記一般車両の減速性能に基づいて、前記目標減速度を決定する、制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、緊急車両の通行を優先するための一般車両の自動運転制御を適切に実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る制御システムの概略構成を示す模式図である。
図2】緊急車両より前方を走行している一般車両が自動回避制御を実行する様子を示す模式図である。
図3】緊急車両に追い越された一般車両が自動復帰制御を実行する様子を示す模式図である。
図4】同実施形態に係るサーバの機能構成の一例を示すブロック図である。
図5】同実施形態に係るサーバが行う目標減速度の決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】同実施形態に係るサーバが行う自動回避指令の出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】同実施形態に係るサーバが行う目標加速度の決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】同実施形態に係るサーバが行う自動復帰指令の出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
<1.制御システムの構成>
まず、図1図4を参照して、本発明の実施形態に係る制御システム1の構成について説明する。
【0023】
図1は、制御システム1の概略構成を示す模式図である。
【0024】
制御システム1は、緊急車両の通行を優先するための自動運転制御を一般車両に実行させるためのシステムである。
【0025】
図1に示されるように、制御システム1は、一般車両5と、緊急車両7と、サーバ100とを備える。サーバ100は、本発明に係る制御装置の一例に相当する。緊急車両7は、消防車、救急車又はパトロールカー等の車両であり、緊急の用務時に、サイレンを鳴らし赤色の警光灯を点灯させて通行する。一般車両5は、緊急車両7以外の車両であり、図1では、一般車両5の例として、一般車両5a,5b,5c,5dが示されている。なお、制御システム1における一般車両5及び緊急車両7の数は、図1に示される例に限定されない。
【0026】
一般車両5には、通信装置51が搭載されており、通信装置51は、サーバ100と、例えば無線の通信ネットワーク9を介して、通信可能である。図1では、一般車両5a,5b,5c,5dにそれぞれ通信装置51a,51b,51c,51dが搭載されている様子が示されている。
【0027】
例えば、通信装置51は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信すること等によって一般車両5の現在位置を算出し、一般車両5の現在位置を示す位置情報をサーバ100に送信する。
【0028】
また、例えば、通信装置51は、一般車両5の減速性能に関連する一般車両5の仕様を示す情報をサーバ100に送信する。当該情報は、サーバ100による減速性能を特定する処理に用いられる。減速性能は、一般車両5が有する減速度を生じさせる能力を意味し、具体的には、一般車両5に生じさせることが可能な減速度の最大値である最大減速度と相関を有する指標である。通信装置51は、減速性能に関連する一般車両5の仕様を示す情報として、例えば、一般車両5に搭載されているブレーキ装置の仕様を示す情報をサーバ100に送信する。
【0029】
また、例えば、通信装置51は、一般車両5の加速性能に関連する一般車両5の仕様を示す情報をサーバ100に送信する。当該情報は、サーバ100による加速性能を特定する処理に用いられる。加速性能は、一般車両5が有する加速度を生じさせる能力を意味し、具体的には、一般車両5に生じさせることが可能な加速度の最大値である最大加速度と相関を有する指標である。通信装置51は、加速性能に関連する一般車両5の仕様を示す情報として、例えば、一般車両5に搭載されている駆動源(例えば、モータ)の仕様、ギヤ比及びタイヤの径を示す情報をサーバ100に送信する。
【0030】
また、例えば、通信装置51は、一般車両5の減速性能又は加速性能をより適切に特定するための情報として、一般車両5の車重を示す情報及び一般車両5の位置における路面情報をサーバ100に送信する。路面情報は、路面に関する情報であり、例えば、路面の勾配、路面の摩擦係数又は路面の凹凸形状等を示す情報を含む。なお、上記の車重を示す情報及び路面情報は、具体的には、一般車両5に搭載される各種センサの検出結果を利用することによって取得される。例えば、加速度センサの検出結果を利用することによって、一般車両5の車重や路面の勾配等を算出することができる。
【0031】
なお、一般車両5の位置情報及び当該一般車両5の減速性能を特定するための情報(例えば、減速性能に関連する一般車両5の仕様を示す情報、車重を示す情報及び路面情報を示す情報)は、互いに紐付けられて一般車両5の通信装置51からサーバ100に送信される。
【0032】
また、一般車両5には、車両制御装置52が搭載されており、車両制御装置52は、一般車両5の走行を自動制御する自動運転制御を実行可能である。例えば、一般車両5において、自動運転制御が実行される自動運転モードと、手動で一般車両5の運転が行われる手動運転モードとが、ドライバによる操作に応じて切り替えられるようになっており、車両制御装置52は、運転モードが自動運転モードに切り替えられている場合に自動運転制御を実行する。図1では、一般車両5a,5b,5c,5dにそれぞれ車両制御装置52a,52b,52c,52dが搭載されている様子が示されている。
【0033】
車両制御装置52は、具体的には、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)及びCPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0034】
車両制御装置52は、自動運転制御において、具体的には、一般車両5の加速度、減速度及びタイヤ舵角を制御する。例えば、車両制御装置52は、一般車両5に搭載されている動力源(例えば、モータ)の動作を制御することによって、一般車両5に生じる駆動力を制御する。それにより、一般車両5の加速度が制御される。また、例えば、車両制御装置52は、一般車両5に搭載されているブレーキ装置の動作を制御することによって、一般車両5に生じる制動力を制御する。それにより、一般車両5の減速度が制御される。また、例えば、車両制御装置52は、一般車両5に搭載されているステアリング機構の動作を制御する。それにより、一般車両5のタイヤ舵角が制御される。
【0035】
車両制御装置52は、自動運転制御において、基本的には、例えば、前方の車両との間の車間距離を予め設定された距離に近づくように調整しつつ走行路に沿って走行するように、一般車両5の走行を自動制御する。
【0036】
ここで、車両制御装置52は、サーバ100から送信される指令に応じて、緊急車両7の通行を優先するための自動運転制御を実行する。
【0037】
具体的には、車両制御装置52は、緊急車両7の通行を優先するための自動運転制御として、緊急車両7の通行を優先して一般車両5を路肩に寄せる制御である自動回避制御を実行する。図2は、緊急車両7より前方を走行している一般車両5が自動回避制御を実行する様子を示す模式図である。
【0038】
図2に示されるように、自動回避制御は、一般車両5が緊急車両7より前方を走行しているときに実行される。緊急車両7が一般車両5の後方から当該一般車両5に近づくことにより、一般車両5と緊急車両7との間の距離は縮小していく。そして、後述するように、例えば、一般車両5と緊急車両7との間の距離が第1基準距離L1を下回った場合に、自動回避制御が実行される。図2では、一般車両5と緊急車両7との間の距離が第1基準距離L1になっている様子が示されている。そして、自動回避制御が実行されると、図2において二点鎖線で示されるように、一般車両5は、減速しながら走行路の路肩に寄せられて停車する。ここで、自動回避制御における減速度の目標値である目標減速度は、サーバ100によって決定され、車両制御装置52は、自動回避制御において、一般車両5の減速度を当該目標減速度に近づけるように制御する。
【0039】
さらに、車両制御装置52は、自動回避制御の実行後に、一般車両5を路肩から走行路の中央側に戻す制御である自動復帰制御を実行する。図3は、緊急車両7に追い越された一般車両5が自動復帰制御を実行する様子を示す模式図である。
【0040】
図3に示されるように、自動復帰制御は、一般車両5が緊急車両7に追い越された後に実行される。緊急車両7が一般車両5を追い越した後に当該一般車両5から遠ざかることにより、一般車両5と緊急車両7との間の距離は拡大していく。そして、後述するように、例えば、一般車両5と緊急車両7との間の距離が第2基準距離L2を上回った場合に、自動復帰制御が実行される。図3では、一般車両5と緊急車両7との間の距離が第2基準距離L2になっている様子が示されている。そして、自動復帰制御が実行されると、図3において二点鎖線で示されるように、一般車両5は、停車していた路肩から発車し、加速しながら走行路の中央側に戻る。ここで、自動復帰制御における加速度の目標値である目標加速度は、サーバ100によって決定され、車両制御装置52は、自動復帰制御において、一般車両5の加速度を当該目標加速度に近づけるように制御する。
【0041】
緊急車両7には、通信装置71が搭載されており、通信装置71は、サーバ100と、例えば無線の通信ネットワーク9を介して、通信可能である。
【0042】
例えば、通信装置71は、GPS衛星からの電波を受信すること等によって緊急車両7の現在位置を算出し、緊急車両7の現在位置を示す位置情報をサーバ100に送信する。
【0043】
また、例えば、通信装置71は、緊急車両7のカーナビゲーション装置に対する入力操作等に基づいて、緊急車両7の目的地までの経路を示す経路情報を取得し、サーバ100に送信する。
【0044】
サーバ100は、緊急車両7の通行を優先するための自動運転制御を一般車両5に実行させるための各種処理を行う。具体的には、サーバ100は、上述したように、無線の通信ネットワーク9を介して、一般車両5の通信装置51及び緊急車両7の通信装置71と通信可能となっており、通信により得られる情報を用いて各種処理を行う。
【0045】
サーバ100は、具体的には、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)及びCPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0046】
なお、サーバ100が有する機能は複数の制御装置により少なくとも部分的に分割されてもよく、複数の機能が1つの制御装置によって実現されてもよい。サーバ100が有する機能が複数の制御装置により少なくとも部分的に分割される場合、当該複数の制御装置は、互いに通信可能であってもよい。
【0047】
図4は、サーバ100の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0048】
図4に示されるように、サーバ100は、例えば、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0049】
通信部110は、一般車両5の通信装置51及び緊急車両7の通信装置71と通信する。例えば、通信部110は、通信装置51及び通信装置71から送信された情報を受信し、取得した情報を記憶部120及び制御部130に出力する。また、例えば、通信部110は、制御部130から出力された情報又は記憶部120に記憶されている情報を一般車両5の通信装置51に送信する。
【0050】
記憶部120は、サーバ100が行う各種処理において用いられる情報を記憶する。例えば、記憶部120は、通信装置51及び通信装置71から送信され通信部110により取得された情報を記憶する。また、例えば、記憶部120は、制御部130において生成された情報を記憶する。
【0051】
制御部130は、緊急車両7の通行を優先するための自動運転制御としての自動回避制御を一般車両5に実行させるための各種処理を行う。さらに、制御部130は、自動回避制御の実行後に自動復帰制御を一般車両5に実行させるための各種処理を行う。
【0052】
例えば、制御部130は、目標減速度決定部131と、自動回避制御部132と、目標加速度決定部133と、自動復帰制御部134とを有する。
【0053】
目標減速度決定部131は、自動回避制御における目標減速度を決定する。目標減速度決定部131により決定された目標減速度を示す情報は、例えば、記憶部120に記憶される。
【0054】
自動回避制御部132は、後述するように、所定の条件が満たされる場合に、一般車両5に自動回避制御を実行させる。具体的には、自動回避制御部132は、当該一般車両5に自動回避制御を実行させるための指令である自動回避指令を通信部110に出力する。そして、自動回避指令は、目標減速度を示す情報とともに通信部110によって当該一般車両5の通信装置51に送信され、当該一般車両5は、当該目標減速度を示す情報を用いて自動回避制御を実行する。
【0055】
目標加速度決定部133は、自動復帰制御における目標加速度を決定する。目標加速度決定部133により決定された目加速速度を示す情報は、例えば、記憶部120に記憶される。
【0056】
自動復帰制御部134は、後述するように、所定の条件が満たされる場合に、一般車両5に自動復帰制御を実行させる。具体的には、自動復帰制御部134は、当該一般車両5に自動復帰制御を実行させるための指令である自動復帰指令を通信部110に出力する。そして、自動復帰指令は、目標加速度を示す情報とともに通信部110によって当該一般車両5の通信装置51に送信され、当該一般車両5は、当該目標加速度を示す情報を用いて自動復帰制御を実行する。
【0057】
上記のように、サーバ100の制御部130によって自動回避制御における目標減速度が決定されることによって、自動回避制御における一般車両5の減速度が制御される。具体的には、制御部130は、後述にて詳細に説明するように、複数の一般車両5の減速性能に基づいて自動回避制御における目標減速度を決定する。それにより、緊急車両7の通行を優先するための一般車両5の自動運転制御を適切に実行することが可能となる。このような、サーバ100の制御部130により行われる処理の詳細については、後述にて説明する。
【0058】
<2.サーバの動作>
続いて、図5図8を参照して、本発明の実施形態に係るサーバ100の動作について説明する。
【0059】
[2-1.目標減速度の決定処理]
まず、図5を参照して、サーバ100が行う目標減速度の決定処理について説明する。
【0060】
図5は、サーバ100が行う目標減速度の決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図5に示される制御フローは、具体的には、制御部130の目標減速度決定部131により行われ、例えば、予め設定された時間間隔で繰り返し行われる。
【0061】
図5に示される制御フローが開始されると、まず、ステップS501において、目標減速度決定部131は、緊急車両7の走行経路における第1基準区間内を走行する複数の一般車両5の減速性能を特定する。
【0062】
第1基準区間は、具体的には、緊急車両7の走行経路における緊急車両7より前方の区間である。第1基準区間は、緊急車両7の走行経路における緊急車両7の位置に応じた区間であり、緊急車両7の走行経路上を緊急車両7の移動に伴って移動する。第1基準区間としては、例えば、緊急車両7の現在位置より前方の当該現在位置から所定距離(例えば、第1基準距離L1等)以内の区間が適用され得る。
【0063】
目標減速度決定部131は、例えば、減速性能に関連する各一般車両5の仕様を示す情報に基づいて、各一般車両5の減速性能を特定する。例えば、目標減速度決定部131は、各一般車両5に搭載されているブレーキ装置の仕様を示す情報に基づいて、各一般車両5の減速性能を特定する。
【0064】
なお、目標減速度決定部131は、減速性能に関連する各一般車両5の仕様を示す情報以外の情報を利用することによって、各一般車両5の減速性能を特定してもよい。
【0065】
例えば、目標減速度決定部131は、各一般車両5の車種又はIDを示す情報に基づいて、各一般車両5の減速性能を特定してもよい。このように車種又はIDを示す情報に基づいて減速性能を特定する処理は、例えば、各一般車両5の車種又はIDを示す情報が各一般車両5からサーバ100に送信されるようにし、サーバ100に予め車種又はIDと減速性能との対応関係を示す情報を記憶させておくことにより実現することができる。
【0066】
また、例えば、各一般車両5の仕様に応じた減速性能を示す情報が予め各一般車両5に記憶されている場合又は各一般車両5により算出される場合、減速性能を直接的に示す情報が各一般車両5からサーバ100に送信されてもよい。この場合、目標減速度決定部131は、各一般車両5から送信される減速性能を直接的に示す情報に基づいて、各一般車両5の減速性能を特定してもよい。
【0067】
ここで、目標減速度決定部131は、減速性能をより適切に特定する観点では、各一般車両5の車重に基づいて、各一般車両5の減速性能を特定することが好ましい。また、目標減速度決定部131は、減速性能をより適切に特定する観点では、各一般車両5の位置における路面情報に基づいて、各一般車両5の減速性能を特定することが好ましい。
【0068】
次に、ステップS503において、目標減速度決定部131は、各一般車両5の減速性能のうち最も低い減速性能で基準減速度を発生させることが可能であるか否かを判定する。最も低い減速性能で基準減速度を発生させることが可能であると判定された場合(ステップS503/YES)、ステップS505に進む。一方、最も低い減速性能で基準減速度を発生させることが可能でないと判定された場合(ステップS503/NO)、ステップS507に進む。
【0069】
基準減速度は、自動回避制御において一般車両5に発生する減速度として好ましい減速度であり、例えば、自動回避制御によって一般車両5を他の一般車両5との接触を回避しつつ極力速やかに路肩に寄せる観点から適宜設定される。
【0070】
ステップS503でYESと判定された場合、ステップS505において、目標減速度決定部131は、基準減速度を目標減速度として決定する。一方、ステップS503でNOと判定された場合、ステップS507において、目標減速度決定部131は、最も低い減速性能を有する一般車両5の最大減速度を目標減速度として決定する。
【0071】
ステップS505又はステップS507の次に、図5に示される制御フローは終了する。
【0072】
上記のように、図5に示される制御フローでは、制御部130は、複数の一般車両5の減速性能に基づいて目標減速度を決定する。具体的には、制御部130は、各一般車両5の減速性能のうち最も低い減速性能に基づいて、目標減速度を決定する。
【0073】
[2-2.自動回避指令の出力処理]
次に、図6を参照して、サーバ100が行う自動回避指令の出力処理について説明する。
【0074】
図6は、サーバ100が行う自動回避指令の出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。図6に示される制御フローは、具体的には、主に制御部130の自動回避制御部132により行われ、例えば、予め設定された時間間隔で繰り返し行われる。
【0075】
図6に示される制御フローが開始されると、まず、ステップS601において、自動回避制御部132は、緊急車両7の走行経路において緊急車両7より前方を走行しており緊急車両7との間の距離が第1基準距離L1を下回った一般車両5があるか否かを判定する。緊急車両7より前方を走行しており緊急車両7との間の距離が第1基準距離L1を下回った一般車両5があると判定された場合(ステップS601/YES)、ステップS603に進む。一方、緊急車両7より前方を走行しており緊急車両7との間の距離が第1基準距離L1を下回った一般車両5がないと判定された場合(ステップS601/NO)、ステップS601の処理が繰り返される。
【0076】
第1基準距離L1は、例えば、自動回避制御を開始してから終了するまで(つまり、一般車両5を路肩に寄せ終わるまで)に掛かる時間内に緊急車両7が進む距離として想定される距離よりも長い距離に設定される。それにより、緊急車両7の通行が自動回避制御を実行中の一般車両5に妨げられることを適切に抑制することができる。なお、第1基準距離L1は、緊急車両7の走行路の種類(例えば、一般道路や高速道路等)に応じて異なっていてもよい。
【0077】
ステップS603において、自動回避制御部132は、緊急車両7との間の距離が第1基準距離L1を下回った一般車両5に自動回避制御を実行させるための自動回避指令を通信部110に出力する。
【0078】
次に、ステップS605において、通信部110は、自動回避指令及び目標減速度を示す情報を上記一般車両5に送信する。それにより、上記一般車両5は、自動回避制御を実行し、自動回避制御において、自車両の減速度を目標減速度に近づけるように制御する。
【0079】
次に、図6に示される制御フローは終了する。
【0080】
上記のように、制御部130は、緊急車両7より前方を走行している一般車両5と緊急車両7との間の距離が第1基準距離を下回った場合、当該一般車両5に自動回避制御を実行させる。それにより、緊急車両7が前方に進むにつれて、緊急車両7の走行経路上の複数の一般車両5に順次自動回避制御を実行させることができる。
【0081】
[2-3.目標加速度の決定処理]
次に、図7を参照して、サーバ100が行う目標加速度の決定処理について説明する。
【0082】
図7は、サーバ100が行う目標加速度の決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図7に示される制御フローは、具体的には、制御部130の目標加速度決定部133により行われ、例えば、予め設定された時間間隔で繰り返し行われる。
【0083】
図7に示される制御フローが開始されると、まず、ステップS701において、目標加速度決定部133は、緊急車両7の走行経路における第2基準区間内を走行する複数の一般車両5の加速性能を特定する。
【0084】
第2基準区間は、具体的には、緊急車両7の走行経路における緊急車両7より後方の区間である。第2基準区間は、緊急車両7の走行経路における緊急車両7の位置に応じた区間であり、緊急車両7の走行経路上を緊急車両7の移動に伴って移動する。第2基準区間としては、例えば、緊急車両7の現在位置より後方の当該現在位置から所定距離(例えば、第2基準距離L2等)以内の区間が適用され得る。
【0085】
目標加速度決定部133は、例えば、加速性能に関連する各一般車両5の仕様を示す情報に基づいて、各一般車両5の加速性能を特定する。例えば、目標加速度決定部133は、各一般車両5に搭載されている駆動源の仕様、ギヤ比及びタイヤの径を示す情報に基づいて、各一般車両5の加速性能を特定する。
【0086】
なお、目標加速度決定部133は、上述した減速性能についての特定と同様に、加速性能に関連する各一般車両5の仕様を示す情報以外の情報を利用することによって、各一般車両5の加速性能を特定してもよい。例えば、目標加速度決定部133は、各一般車両5の車種又はIDを示す情報に基づいて、各一般車両5の加速性能を特定してもよい。また、例えば、目標加速度決定部133は、各一般車両5から送信される加速性能を直接的に示す情報に基づいて、各一般車両5の加速性能を特定してもよい。
【0087】
ここで、目標加速度決定部133は、加速性能をより適切に特定する観点では、各一般車両5の車重に基づいて、各一般車両5の加速性能を特定することが好ましい。また、目標加速度決定部133は、加速性能をより適切に特定する観点では、各一般車両5の位置における路面情報に基づいて、各一般車両5の加速性能を特定することが好ましい。
【0088】
次に、ステップS703において、目標加速度決定部133は、各一般車両5の加速性能のうち最も低い加速性能で基準加速度を発生させることが可能であるか否かを判定する。最も低い加速性能で基準加速度を発生させることが可能であると判定された場合(ステップS703/YES)、ステップS705に進む。一方、最も低い加速性能で基準加速度を発生させることが可能でないと判定された場合(ステップS703/NO)、ステップS707に進む。
【0089】
基準加速度は、自動復帰制御において一般車両5に発生する加速度として好ましい加速度であり、例えば、自動復帰制御によって一般車両5を他の一般車両5との接触を回避しつつ極力速やかに路肩の中央側に戻す観点から適宜設定される。
【0090】
ステップS703でYESと判定された場合、ステップS705において、目標加速度決定部133は、基準加速度を目標加速度として決定する。一方、ステップS703でNOと判定された場合、ステップS707において、目標加速度決定部133は、最も低い加速性能を有する一般車両5の最大加速度を目標加速度として決定する。
【0091】
ステップS705又はステップS707の次に、図7に示される制御フローは終了する。
【0092】
上記のように、図7に示される制御フローでは、制御部130は、複数の一般車両5の加速性能に基づいて目標加速度を決定する。具体的には、制御部130は、各一般車両5の加速性能のうち最も低い加速性能に基づいて、目標加速度を決定する。
【0093】
[2-4.自動復帰指令の出力処理]
次に、図8を参照して、サーバ100が行う自動復帰指令の出力処理について説明する。
【0094】
図8は、サーバ100が行う自動復帰指令の出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。図8に示される制御フローは、具体的には、主に制御部130の自動復帰制御部134により行われ、例えば、予め設定された時間間隔で繰り返し行われる。
【0095】
図8に示される制御フローが開始されると、まず、ステップS801において、自動復帰制御部134は、緊急車両7に追い越された後、緊急車両7との間の距離が第2基準距離L2を上回った一般車両5があるか否かを判定する。緊急車両7に追い越された後、緊急車両7との間の距離が第2基準距離L2を上回った一般車両5があると判定された場合(ステップS801/YES)、ステップS803に進む。一方、緊急車両7に追い越された後、緊急車両7との間の距離が第2基準距離L2を上回った一般車両5がないと判定された場合(ステップS801/NO)、ステップS801の処理が繰り返される。
【0096】
第2基準距離L2は、例えば、緊急車両7に追い越された一般車両5に自動復帰制御を実行させることにより緊急車両7の通行が妨げられない程度に長い距離に設定される。なお、第2基準距離L2は、緊急車両7の走行路の種類(例えば、一般道路や高速道路等)に応じて異なっていてもよい。
【0097】
ステップS803において、自動復帰制御部134は、緊急車両7との間の距離が第2基準距離L2を上回った一般車両5に自動復帰制御を実行させるための自動復帰指令を通信部110に出力する。
【0098】
次に、ステップS805において、通信部110は、自動復帰指令及び目標加速度を示す情報を上記一般車両5に送信する。それにより、上記一般車両5は、自動復帰制御を実行し、自動復帰制御において、自車両の加速度を目標加速度に近づけるように制御する。
【0099】
次に、図8に示される制御フローは終了する。
【0100】
上記のように、制御部130は、緊急車両7に追い越された一般車両5と当該緊急車両7との間の距離が第2基準距離L2を上回った場合、当該一般車両5に自動復帰制御を実行させる。それにより、緊急車両7が前方に進むにつれて、緊急車両7の走行経路上で自動回避制御により停車している複数の一般車両5に順次自動復帰制御を実行させることができる。
【0101】
<3.サーバの効果>
続いて、本発明の実施形態に係るサーバ100の効果について説明する。
【0102】
本実施形態に係るサーバ100では、制御部130は、複数の一般車両5の減速性能に基づいて自動回避制御における目標減速度を決定する。それにより、自動回避制御を実行する複数の一般車両5のいずれにおいても発生させることが可能な減速度を目標減速度として適切に決定することができる。ゆえに、緊急車両7の走行を優先するために、連なって走行している複数の一般車両5に自動回避制御を実行させた際に、各一般車両5の間で減速度が相違することを抑制することができる。それにより、例えば、一般車両5間の一部の車間距離が過度に縮まることを抑制することができるので、渋滞が発生することを抑制することができる。このように、本実施形態に係るサーバ100によれば、緊急車両7の通行を優先するための一般車両5の自動運転制御を適切に実行することができる。
【0103】
また、本実施形態に係るサーバ100では、制御部130は、緊急車両7の走行経路における緊急車両7より前方の第1基準区間内を走行する複数の一般車両5の減速性能に基づいて目標減速度を決定することが好ましい。ここで、自動回避制御は、緊急車両7より前方を走行している一般車両5によって実行される。ゆえに、第1基準区間として緊急車両7の走行経路における緊急車両7より前方の区間を適用することによって、現時点から比較的近い時期に自動回避制御が実行される区間内の一般車両5の減速性能に基づいて目標減速度を決定することができる。よって、自動回避制御における目標減速度を、緊急車両7の位置の変化に応じて適切に決定することができる。
【0104】
また、本実施形態に係るサーバ100では、制御部130は、複数の一般車両5の各々の減速性能のうち最も低い減速性能に基づいて、目標減速度を決定することが好ましい。それにより、目標減速度が過度に小さくなることを抑制しつつ、自動回避制御を実行する複数の一般車両5のいずれにおいても発生させることが可能な減速度を目標減速度として決定することができる。ゆえに、目標減速度をより適切に決定することができる。
【0105】
また、本実施形態に係るサーバ100では、制御部130は、複数の一般車両5の各々の車重に基づいて、当該複数の一般車両5の各々の減速性能を特定することが好ましい。それにより、各一般車両5の減速性能を、各一般車両5の車重の変化に応じてより適切に特定することができる。ゆえに、目標減速度をさらに適切に決定することができる。
【0106】
また、本実施形態に係るサーバ100では、制御部130は、複数の一般車両5の各々の位置における路面情報に基づいて、当該複数の一般車両5の各々の減速性能を特定することが好ましい。それにより、各一般車両5の減速性能を、各一般車両5が走行している路面の状態の変化に応じてより適切に特定することができる。ゆえに、目標減速度をさらに適切に決定することができる。
【0107】
また、本実施形態に係るサーバ100では、制御部130は、緊急車両7より前方を走行している一般車両5と緊急車両7との間の距離が第1基準距離L1を下回った場合、当該一般車両5に自動回避制御を実行させることが好ましい。それにより、第1基準距離L1を適切に設定することによって、緊急車両7の通行が自動回避制御を実行中の一般車両5に妨げられることを適切に抑制することができる。
【0108】
また、本実施形態に係るサーバ100では、制御部130は、複数の一般車両5の加速性能に基づいて、自動復帰制御における目標加速度を決定することが好ましい。それにより、自動復帰制御を実行する複数の一般車両5のいずれにおいても発生させることが可能な加速度を目標加速度として適切に決定することができる。ゆえに、緊急車両7に追い越された後に、連なって路肩に停車している複数の一般車両5に自動復帰制御を実行させた際に、各一般車両5の間で加速度が相違することを抑制することができる。それにより、例えば、一般車両5間の一部の車間距離が過度に縮まることを抑制することができるので、渋滞が発生することを抑制することができる。このように、複数の一般車両5の加速性能に基づいて自動復帰制御における目標加速度を決定することによって、緊急車両7の通行を優先するための一般車両5の自動運転制御をさらに適切に実行することができる。
【0109】
また、本実施形態に係るサーバ100では、制御部130は、緊急車両7の走行経路における緊急車両7より後方の第2基準区間内を走行する複数の一般車両5の加速性能に基づいて目標加速度を決定することが好ましい。ここで、自動復帰制御は、緊急車両7に追い越された一般車両5によって実行される。ゆえに、第2基準区間として緊急車両7の走行経路における緊急車両7より後方の区間を適用することによって、現時点から比較的近い時期に自動復帰制御が実行される区間内の一般車両5の加速性能に基づいて目標加速度を決定することができる。よって、自動復帰制御における目標加速度を、緊急車両7の位置の変化に応じて適切に決定することができる。
【0110】
また、本実施形態に係るサーバ100では、制御部130は、複数の一般車両5の各々の加速性能のうち最も低い加速性能に基づいて、目標加速度を決定することが好ましい。それにより、目標加速度が過度に小さくなることを抑制しつつ、自動復帰制御を実行する複数の一般車両5のいずれにおいても発生させることが可能な加速度を目標加速度として決定することができる。ゆえに、目標加速度をより適切に決定することができる。
【0111】
また、本実施形態に係るサーバ100では、制御部130は、複数の一般車両5の各々の車重に基づいて、当該複数の一般車両5の各々の加速性能を特定することが好ましい。それにより、各一般車両5の加速性能を、各一般車両5の車重の変化に応じてより適切に特定することができる。ゆえに、目標加速度をさらに適切に決定することができる。
【0112】
また、本実施形態に係るサーバ100では、制御部130は、複数の一般車両5の各々の位置における路面情報に基づいて、当該複数の一般車両5の各々の加速性能を特定することが好ましい。それにより、各一般車両5の加速性能を、各一般車両5が走行している路面の状態の変化に応じてより適切に特定することができる。ゆえに、目標加速度をさらに適切に決定することができる。
【0113】
また、本実施形態に係るサーバ100では、制御部130は、緊急車両7に追い越された一般車両5と緊急車両7との間の距離が第2基準距離L2を上回った場合、当該一般車両5に自動復帰制御を実行させることが好ましい。それにより、第2基準距離L2を適切に設定することによって、緊急車両7に追い越された一般車両5に自動復帰制御を実行させることにより緊急車両7の通行が妨げられることを適切に抑制することができる。
【0114】
<4.むすび>
以上説明したように、本実施形態に係るサーバ100では、制御部130は、複数の一般車両5の減速性能に基づいて自動回避制御における目標減速度を決定する。それにより、自動回避制御を実行する複数の一般車両5のいずれにおいても発生させることが可能な減速度を目標減速度として適切に決定することができるので、各一般車両5の間で自動回避制御により生じる減速度が相違することを抑制することができる。それにより、例えば、一般車両5間の一部の車間距離が過度に縮まることを抑制することができるので、渋滞が発生することを抑制することができる。このように、本実施形態に係るサーバ100によれば、緊急車両7の通行を優先するための一般車両5の自動運転制御を適切に実行することができる。
【0115】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0116】
例えば、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしもフローチャートに示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0117】
また、例えば、上記で説明した各装置による一連の制御処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記憶媒体に予め格納される。
【0118】
また、例えば、上記で説明した制御システム1の各装置は、上記で説明した以外の追加的な機能を有していてもよい。例えば、サーバ100は、自動回避制御を一般車両5に実行させると判断した際に、当該一般車両5が自動運転制御を実行できない車両であった場合、緊急車両7の通行を優先して当該一般車両5を路肩に寄せることを促すための情報を当該一般車両5に送信してもよい。また、例えば、車両制御装置52は、自動回避制御又は自動復帰制御を実行している際に、所定の条件が満たされた場合(例えば、自車両と前方の車両との間の車間距離が基準値を下回った場合)、自動回避制御又は自動復帰制御を停止して通常の自動運転制御を実行してもよい。
【0119】
また、例えば、上記でサーバ100の機能として説明した機能の一部又は全部は、一般車両5に搭載される制御装置又は緊急車両7に搭載される制御装置によって実現されてもよい。例えば、サーバ100の機能の全部が緊急車両7に搭載される制御装置により実現されてもよい。その場合、当該制御装置が本発明に係る制御装置の一例に相当する。また、例えば、サーバ100の機能のうち、自動回避制御又は自動復帰制御を一般車両5に実行させるか否かの判断が一般車両5に搭載される制御装置により行われてもよい。
【符号の説明】
【0120】
1 制御システム
5,5a,5b,5c,5d 一般車両
7 緊急車両
9 通信ネットワーク
51,51a,51b,51c,51d 通信装置
52,52a,52b,52c,52d 車両制御装置
71 通信装置
100 サーバ
110 通信部
120 記憶部
130 制御部
131 目標減速度決定部
132 自動回避制御部
133 目標加速度決定部
134 自動復帰制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8