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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/14 20190101AFI20230621BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20230621BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
B60L53/14
B60L3/00 H
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019054017
(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公開番号】P2020156250
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 豊
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-088250(JP,A)
【文献】特開2018-131167(JP,A)
【文献】特開2019-001224(JP,A)
【文献】特開2011-167003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 53/14
B60L 3/00
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電体を備えた車両に搭載される車両用制御装置であって、
外部電源によって前記蓄電体を充電する外部充電時に、前記外部電源から延びる充電コネクタが接続される充電インレットと、
車外を撮像するカメラ部からの画像データに基づいて、降下する雪の大きさを判定する降雪判定部と、
前記充電インレットに前記充電コネクタが接続される外部充電時に、降下する雪の大きさに基づいて前記充電インレットを暖める加熱制御を実行する加熱制御部と、
を有し、
前記加熱制御部は、降下する雪の大きさが閾値を下回る場合に、前記加熱制御を実行する、
車両用制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用制御装置において、
前記カメラ部からの画像データに基づいて、車体の積雪量を判定する積雪判定部、を有し、
前記加熱制御部は、前記車体の積雪量に基づいて前記加熱制御を実行する、
車両用制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用制御装置において、
温度および湿度に基づいて、前記充電インレットの凍結状態を判定する凍結判定部、を有し、
前記加熱制御部は、前記充電インレットの凍結状態に基づいて前記加熱制御を実行する、
車両用制御装置。
【請求項4】
請求項1~の何れか1項に記載の車両用制御装置において、
前記外部電源によって前記蓄電体を充電する外部充電時に、前記蓄電体の目標充電電力を設定する目標設定部、を有し、
前記加熱制御部は、前記目標充電電力を超える電力を前記外部電源から前記充電インレットに取り込むことによって前記加熱制御を実行する、
車両用制御装置。
【請求項5】
請求項1~の何れか1項に記載の車両用制御装置において、
前記充電インレットを覆う閉位置と、前記充電インレットを露出させる開位置と、に開閉自在であるカバー部材と、
前記カバー部材が凍結していると判定され、かつ前記蓄電体のSOCが閾値を下回る場合に、電熱器に通電して前記カバー部材を暖めるヒータ制御部と、
を有する、車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電体を備えた車両に搭載される車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車両等には、外部充電用の充電インレットが設けられている(特許文献1および2参照)。外部充電を開始する場合、つまり外部電源を用いてバッテリを充電する場合には、作業者が充電リッドを開いて充電インレットを露出させた後に、作業者によって充電コネクタが充電インレットに接続される。また、外部充電を終了させる場合には、作業者によって充電コネクタが充電インレットから取り外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-341698号公報
【文献】特開2013-198372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、寒冷地等の低温環境においては、充電インレットや充電リッド等が凍結することから、外部充電を適切に実施することが困難であった。例えば、外部充電を終了させる際には、充電インレットから充電コネクタを取り外す必要があるが、充電コネクタが凍り付いていた場合には、充電コネクタの取り外し作業が難しくなり、外部充電を適切に終了させることが困難であった。また、外部充電を開始する際には、充電リッドを開いて充電インレットを露出させる必要があるが、充電リッドが凍り付いていた場合には、充電リッドの開放作業が難しくなり、外部充電を適切に開始することが困難であった。このように、低温環境において充電インレットや充電リッド等が凍結していた場合には、外部充電を適切に実施することが困難になるため、低温環境における外部充電の適切な実施が求められている。
【0005】
本発明の目的は、低温環境において外部充電を適切に実施することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用制御装置は、蓄電体を備えた車両に搭載される車両用制御装置であって、外部電源によって前記蓄電体を充電する外部充電時に、前記外部電源から延びる充電コネクタが接続される充電インレットと、車外を撮像するカメラ部からの画像データに基づいて、降下する雪の大きさを判定する降雪判定部と、前記充電インレットに前記充電コネクタが接続される外部充電時に、降下する雪の大きさに基づいて前記充電インレットを暖める加熱制御を実行する加熱制御部と、を有し、前記加熱制御部は、降下する雪の大きさが閾値を下回る場合に、前記加熱制御を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、充電インレットやカバー部材を暖めるようにしたので、低温環境において外部充電を適切に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態である車両用制御装置が搭載された車両の一部を簡単に示す図である。
図2】(A)~(C)は、充電コネクタの脱着状況を示す図である。
図3】外部充電中の車両の一部を示す図である。
図4】凍結判定処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。
図5】降雪中の画像データの一例を示す図である。
図6】雪片サイズと積雪確率との関係の一例を示す図である。
図7】(A)および(B)は、カメラユニットが撮像した車両前方の画像の一例を示す図である。
図8】外気湿度と氷結確率との関係の一例を示す図である。
図9】接続部加熱処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。
図10】接続部加熱処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。
図11】充電加熱制御の実行状況の一例を示す図である。
図12】暖機電流と発熱量との関係の一例を示す図である。
図13】ヒータ加熱制御の実行状況の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
[車両構造]
図1は本発明の一実施の形態である車両用制御装置10が搭載された車両11の一部を簡単に示す図である。図1に示すように、車両11には、充電インレット12を備えたコネクタ接続部13が設けられている。また、充電インレット12には通電ライン14,15を介して車載充電器16が接続されており、車載充電器16には通電ライン17,18を介してバッテリ(蓄電体)19が接続されている。後述するように、外部電源20を用いてバッテリ19を充電する外部充電時には、充電ケーブル21の充電コネクタ22が充電インレット12に接続される。このように、外部電源20を用いてバッテリ19が充電される車両11として、例えば、モータジェネレータのみを動力源として備える電気自動車があり、モータジェネレータおよびエンジンを動力源として備えるハイブリッド型の電気自動車がある。なお、車両11に搭載されるバッテリ19は、図示しない駆動系のモータジェネレータに電力を供給するバッテリである。このバッテリ19には、図示しないインバータを介してモータジェネレータが接続される。
【0012】
前述したように、充電インレット12と車載充電器16とは、通電ライン14,15を介して接続されている。一方の通電ライン14は充電インレット12の端子14aに接続されており、他方の通電ライン15は充電インレット12の端子15aに接続されている。また、コネクタ接続部13には、通電によって発熱する電気ヒータ(電熱器)23が設けられている。電気ヒータ23の一端は通電ライン24を介して通電ライン14に接続されており、電気ヒータ23の他端は通電ライン25およびリレー26を介して通電ライン15に接続されている。また、コネクタ接続部13には、充電リッド(カバー部材)27が開閉自在に設けられている。この充電リッド27は、充電インレット12を覆う閉位置と、充電インレット12を露出させる開位置と、に開閉自在である。さらに、コネクタ接続部13には、コネクタ接続部13の温度を検出する温度センサ28が設けられている。
【0013】
[外部充電]
続いて、外部電源20を用いてバッテリ19を充電する外部充電について説明する。図2(A)~(C)は充電コネクタ22の脱着状況を示す図である。
【0014】
図2(A)に矢印α1で示すように、外部充電を開始する際には、充電リッド27が閉位置から開位置まで開かれ、充電インレット12を外部に露出させる。そして、矢印α2で示すように、充電インレット12に対して充電コネクタ22が挿し込まれ、図2(B)に示すように、充電コネクタ22と充電インレット12とが互いに接続される。
【0015】
このように、充電コネクタ22と充電インレット12とが接続されると、充電インレット12の通電ライン14,15と充電コネクタ22の通電ライン30,31とは、各端子14a,15a,30a,31aを介して互いに接続される。なお、充電ケーブル21のプラグ32は、外部電源20のコンセント33に接続されている。
【0016】
また、図2(C)に矢印α3で示すように、外部充電が完了した場合には、充電コネクタ22が充電インレット12から引き抜かれ、充電コネクタ22と充電インレット12との接続が解除される。その後、矢印α4で示すように、充電リッド27が開位置から閉位置に閉じられる。
【0017】
図3は外部充電中の車両11の一部を示す図である。図3に矢印P1で示すように、充電コネクタ22が充電インレット12に接続される外部充電時には、車載充電器16を駆動して交流電力を直流電力に変換することにより、外部電源20からバッテリ19に充電電力が供給される。この電力変換機器である車載充電器16は、複数のスイッチング素子等によって構成される所謂AC-DCコンバータであり、交流電力と直流電力とを相互に変換することが可能である。
【0018】
このような外部充電は、車両11の電源モードが後述するOFFモードのもとで実行される。つまり、電源モードとしてOFFモードが選択された状態のもとで、充電コネクタ22が充電インレット12に接続されると、後述する充電コントローラ40等が起動されて外部充電が開始される。なお、外部充電によってバッテリ19のSOCが所定の目標値に到達すると、車載充電器16による電力変換が停止されて外部充電が完了する。
【0019】
[制御系]
車両用制御装置10が備える制御系について説明する。図1に示すように、車両用制御装置10は、車載充電器16等を制御するため、マイコン等からなる充電コントローラ40を有している。この充電コントローラ40は、バッテリ19のSOC等に基づき目標充電電力を設定する目標設定部41や、目標充電電力に基づき車載充電器16を制御する充電制御部42を有している。また、充電コントローラ40は、後述する凍結判定処理や接続部加熱処理を実行するため、降雪判定部43、積雪判定部44、凍結判定部45、加熱制御部46およびヒータ制御部47を有している。また、充電コントローラ40には、前述した温度センサ28が接続されるだけでなく、外気温度を検出する外気温度センサ50が接続されるとともに、外気湿度を検出する外気湿度センサ51が接続されている。
【0020】
また、充電コントローラ40には、車外を撮像するカメラユニット(カメラ部)52が接続されている。このカメラユニット52は、複数のカメラからなるステレオカメラであり、撮像した対象物の奥行を捉えることが可能である。また、充電コントローラ40には、乗員に操作される電源スイッチ53が接続されている。この電源スイッチ53によって選択可能な電源モードとして、ONモード、OFFモード、ACCモード等がある。例えば、ONモードは車両走行時に選択される電源モードであり、全ての電装品を使用することが可能である。また、OFFモードは車両停止時に選択される電源モードであり、全ての電装品が停止する電源モードである。前述したように、電源モードとしてOFFモードが選択された状態のもとで、充電インレット12に対して充電コネクタ22が接続されると、充電コントローラ40や車載充電器16等が起動されて、外部電源20を用いた外部充電が開始される。なお、ACCモードは、一部の電装品(オーディオ等)を使用する際に選択される電源モードである。
【0021】
また、車両用制御装置10は、バッテリ19の充放電を制御するため、マイコン等からなるバッテリコントローラ54を有している。このバッテリコントローラ54は、バッテリセンサ55から送信される充放電電流等に基づいて、バッテリ19の充電状態であるSOC(State of Charge)を算出する機能を有している。なお、バッテリ19のSOCとは、バッテリ19の電気残量を示す比率であり、バッテリ19の満充電容量に対する蓄電量の比率である。例えば、バッテリ19が上限容量まで充電された場合には、SOCが100%として算出され、バッテリ19が下限容量まで放電した場合には、SOCが0%として算出される。
【0022】
[凍結判定処理]
ところで、寒冷地等の低温環境においては、充電インレット12や充電リッド27等が凍結することから、外部充電を適切に実施することが困難であった。例えば、外部充電を終了させる際には、充電インレット12から充電コネクタ22を取り外す必要があるが、充電インレット12に対して充電コネクタ22が凍り付いていた場合には、充電コネクタ22の取り外し作業が困難であった。また、外部充電を開始する際には、充電リッド27を開いて充電インレット12を露出させる必要があるが、車体に対して充電リッド27が凍り付いていた場合には、充電リッド27の開放作業が困難であった。このため、本発明の一実施の形態である車両用制御装置10は、低温環境における充電インレット12や充電リッド27の凍結を防止するため、後述する凍結判定処理および接続部加熱処理を実行している。
【0023】
以下、充電コントローラ40によって実行される凍結判定処理の実行手順について説明する。図4は凍結判定処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。なお、凍結判定処理とは、コネクタ接続部13に設けられる充電インレット12や充電リッド27等が凍結するか否かを判定する処理である。
【0024】
図4に示すように、ステップS10では、カメラユニット52からの画像データに基づいて、雪が降っているか否かが判定される。ステップS10において、雪が降っていると判定された場合には、ステップS11に進み、降下する雪の大きさである雪片サイズが判定され、この雪片サイズに基づいて積雪確率が算出される。
【0025】
図5は降雪中の画像データの一例を示す図であり、図6は雪片サイズと積雪確率との関係の一例を示す図である。図5に示すように、充電コントローラ40の降雪判定部43は、降雪中の画像データに基づいて、降下する雪Sfの大きさである雪片サイズSsを判定する。なお、充電コントローラ40は、ステレオカメラからの画像データを用いて雪片サイズSsを判定することにより、降下する雪Sfまでの距離を把握することができ、雪片サイズSsを適切に判定することが可能である。
【0026】
ここで、図6に示すように、雪片サイズSsが大きい場合には、積雪確率が低く算出される一方、雪片サイズSsが小さい場合には、積雪確率が高く算出される。すなわち、雪片サイズSsが大きい場合には、粒の大きな雪つまり水分が多く溶け易い雪であることから、雪が降り積もり難い状況であると判定され、積雪確率が低く算出される。一方、雪片サイズSsが小さい場合には、粒の小さな雪つまり水分が少なく溶け難い雪であることから、雪が降り積もり易い状況であると判定され、積雪確率が高く算出される。
【0027】
このように、ステップS11において、雪片サイズに基づき積雪確率が算出されると、ステップS12に進み、積雪確率が閾値a1を上回るか否かが判定される。ステップS12において、積雪確率が閾値a1を上回ると判定された場合には、ステップS13に進み、凍結判定フラグが設定される(凍結判定=1)。すなわち、積雪確率が閾値a1を上回る場合、つまり雪片サイズが閾値を下回る場合には、多くの雪が降り積もって充電インレット12等を凍結させる虞が有るため、ステップS13に進み、凍結判定フラグが設定される。
【0028】
一方、ステップS12において、積雪確率が閾値a1以下であると判定された場合、つまり雪片サイズが閾値を上回る場合には、ステップS14に進み、カメラユニット52からの画像データに基づき、車体の積雪量が判定される。ここで、図7(A)および(B)はカメラユニット52が撮像した車両前方の画像の一例を示す図である。図7(A)には車体に雪が積もっていない状況が示され、図7(B)には車体に雪が積もっている状況が示されている。
【0029】
図7(A)に示すように、車体に雪が降り積もっていない場合には、画像上端Xからフロントフード(車体)60までの距離が「H1」として検出される。一方、図7(B)に示すように、車体に雪が降り積もっている場合には、画像上端Xからフロントフード60までの距離が「H1」よりも短い「H2」として検出される。すなわち、フロントフード60上の積雪Spによって上下方向の画角が狭まることから、画像上端Xからフロントフード60上の積雪Spまでの距離に基づいて、充電コントローラ40の積雪判定部44は車体の積雪量を判定している。なお、図示する例では、画像上端Xからフロントフード60上の積雪Spまでの距離に基づいて車体の積雪量を判定しているが、これに限られることはなく、例えば画像データに占める白色の範囲に基づいて車体の積雪量を判定しても良い。
【0030】
そして、ステップS14において、車体の積雪量が所定値を上回ると判定された場合、つまりフロントフード60上の積雪が多いと判定された場合には、積雪による凍結の虞が有ることから、ステップS13に進み、凍結判定フラグが設定される。一方、ステップS14において、車体の積雪量が所定値を下回ると判定された場合、つまりフロントフード60上の積雪が少ないと判定された場合には、積雪による凍結の虞が無いことから、ステップS15に進み、凍結判定フラグが解除される(凍結判定=0)。
【0031】
また、前述したステップS10において、雪が降っていないと判定された場合には、ステップS16に進み、コネクタ接続部13の温度(以下、接続部温度と記載する。)が0℃以下であるか否かが判定される。なお、接続部温度は、コネクタ接続部13に設けられた温度センサ28によって検出される。ステップS16において、接続部温度が0℃以下であると判定された場合には、ステップS17に進み、外気湿度に基づいて氷結確率が算出される。
【0032】
つまり、充電コントローラ40の凍結判定部45は、コネクタ接続部13の雰囲気温度が氷点下である状況のもとで、外気湿度に基づき充電インレット12や充電リッド27が凍結する氷結確率を算出することにより、充電インレット12や充電リッド27の凍結状態を判定している。このように、充電コントローラ40の凍結判定部45は、接続部温度(温度)および外気湿度(湿度)に基づいて、充電インレット12や充電リッド27の凍結状態を判定している。
【0033】
ここで、図8は外気湿度と氷結確率との関係の一例を示す図である。図8に示すように、外気湿度が低い場合には、氷結確率が低く算出される一方、外気湿度が高い場合には、氷結確率が高く算出される。つまり、氷点下であって外気湿度が低い場合には、空気中の水分が少なく充電インレット12や充電リッド27が凍結し難いことから、氷結確率が低く算出される。一方、氷点下であって外気湿度が高い場合には、空気中の水分が多く充電インレット12や充電リッド27が凍結し易いことから、氷結確率が高く算出される。
【0034】
このように、ステップS17において、氷結確率が算出されると、ステップS18に進み、氷結確率が閾値b1を上回るか否かが判定される。ステップS18において、氷結確率が閾値b1を上回ると判定された場合には、充電インレット12や充電リッド27に凍結の虞が有ることから、ステップS13に進み、凍結判定フラグが設定される。
【0035】
一方、ステップS16において、接続部温度が0℃を上回ると判定された場合や、ステップS18において、氷結確率が閾値b1以下であると判定された場合には、充電インレット12や充電リッド27に凍結の虞が無いことから、ステップS19に進み、凍結判定フラグが解除される(凍結判定=0)。
【0036】
[接続部加熱処理]
(充電加熱制御)
続いて、充電コントローラ40によって実行される接続部加熱処理の実行手順について説明する。図9および図10は接続部加熱処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。図9および図10のフローチャートにおいては、符号Aの箇所で互いに接続されている。なお、図9および図10のフローチャートには、コネクタ接続部13を暖める接続部加熱処理として、外部充電時に実行される充電加熱制御が記載されるとともに、車両走行時に実行されるヒータ加熱制御が記載されている。
【0037】
図9に示すように、ステップS20では、外気温度が所定温度c1(例えば0℃)を下回り、且つ外気湿度が所定湿度d1(例えば50%)を上回るか否かが判定される。ステップS20において、外気温度が所定温度c1を上回る場合や、外気湿度が所定湿度d1を下回る場合には、充電インレット12等に凍結の虞が無いことから、充電インレット12等を暖めることなくルーチンを抜ける。一方、ステップS20において、外気温度が所定温度c1を下回り、且つ外気湿度が所定湿度d1を上回る場合には、充電インレット12等に凍結の虞が有ることから、続くステップS21からの各ステップにおいて、充電インレット12等を暖める際の各種実行条件が判定される。
【0038】
ステップS21では、電源モードがOFFモードであるか否かが判定される。ステップS21において、電源モードがOFFモードであると判定された場合には、ステップS22に進み、充電インレット12に充電コネクタ22が接続されているか否かが判定される。ステップS22において、充電インレット12に充電コネクタ22が接続されていると判定された場合、つまり外部充電時であると判定された場合には、ステップS23に進み、凍結判定フラグが設定されているか否か、つまり「凍結判定=1」であるか否かが判定される。
【0039】
ステップS23において、凍結判定フラグが設定されていると判定された場合には、ステップS24に進み、充電インレット12を暖める充電加熱制御が実行される。ステップS23において、「凍結判定=1」である状況とは、充電コネクタ22が充電インレット12に接続される外部充電時において、充電コネクタ22と充電インレット12とが互いに凍り付いてしまう虞のある状況である。この場合には、ステップS24に進み、外部電源20から充電インレット12に取り込む電力を増加させることにより、通電ライン14,15,30,31等を発熱させて充電インレット12を暖める充電加熱制御(加熱制御)が実行される。
【0040】
このように、充電加熱制御が実行されると、ステップS25に進み、接続部温度が所定温度e1(例えば0℃)を上回るか否かが判定される。接続部温度が所定温度e1以下である場合には、充電コネクタ22と充電インレット12との凍結が解消されていないことから、ステップS24に進み、充電加熱制御が継続される。一方、接続部温度が所定温度e1を上回ると判定された場合には、充電コネクタ22と充電インレット12との凍結が解消されていることから、ステップS26に進み、充電加熱制御が終了される。
【0041】
ここで、図11は充電加熱制御の実行状況の一例を示す図である。図11に示すように、充電加熱制御を実行する際には、目標充電電力を超える電力を外部電源20から充電インレット12に取り込むように、充電コントローラ40の加熱制御部46によって車載充電器16が制御される。つまり、前述した図3に示すように、通常の外部充電によってバッテリ19を充電する際には、充電コントローラ40の目標設定部41によって、バッテリ19のSOC等に基づき目標充電電力P1が設定される。そして、充電コントローラ40の充電制御部42によって、外部電源20からバッテリ19に目標充電電力P1を供給するように車載充電器16が制御される。
【0042】
これに対し、図11に示すように、充電加熱制御を実行する際には、充電コントローラ40の加熱制御部46から、車載充電器16に対して電力増加指令が出力される。これにより、車載充電器16に取り込まれる電力を増加させることができ、目標充電電力P1を超える電力を外部電源20から充電インレット12に取り込まれる。すなわち、通常の外部充電に比べて多くの電力が取り込まれるため、外部電源20から充電インレット12には余剰電流である暖機電流iaが取り込まれる。このような暖機電流iaを増加させることにより、通電ライン14,15,30,31や各端子14a,15a,30a,31aにジュール熱を発生させることができ、充電コネクタ22や充電インレット12等を暖めることができる。
【0043】
ここで、図12は暖機電流iaと発熱量との関係の一例を示す図である。図12に示すように、暖機電流iaを増減させることにより、充電コネクタ22や充電インレット12等の発熱量を制御することができる。このため、充電コントローラ40の加熱制御部46は、充電加熱制御における暖機電流iaの大きさを調整することにより、接続部温度を制御することが可能である。また、接続部温度が所定温度e1を超えるタイミングとしては、外部充電が終了するタイミングであることが望ましい。そこで、充電コントローラ40の加熱制御部46は、接続部温度や充電完了時刻等の情報に基づいて暖機電流iaを制御し、外部充電が終了するタイミングで充電コネクタ22と充電インレット12との凍結を解消している。
【0044】
これまで説明したように、低温環境における外部充電時においては、充電加熱制御を実行することにより、充電コネクタ22と充電インレット12との凍結を解消することができる。これにより、外部充電が完了して充電コネクタ22を取り外す際には、充電インレット12から充電コネクタ22を簡単に取り外すことができ、外部充電を適切に実施することができる。また、充電加熱制御においては、目標充電電力を超える電力を外部電源20から充電インレット12に取り込むことから、バッテリ19の電力を用いることなく充電インレット12等を暖めることができ、充電時間を延長することなく充電インレット12等を暖めることができる。
【0045】
(ヒータ加熱制御)
続いて、車両走行時に実行されるヒータ加熱制御について説明する。前述した図9のステップS21において、電源モードがOFFモード以外であると判定された場合には、図10のステップS27に進み、電源モードがONモードであるか否かが判定される。ステップS27において、電源モードであると判定された場合、つまり車両走行時であると判定された場合には、ステップS23に進み、凍結判定フラグが設定されているか否か、つまり「凍結判定=1」であるか否かが判定される。
【0046】
ステップS28において、凍結判定フラグが設定されていると判定された場合には、ステップS29に進み、バッテリ19のSOCが所定閾値f1を下回るか否かが判定される。ステップS29において、バッテリ19のSOCが所定閾値f1を下回ると判定された場合には、ステップS30に進み、コネクタ接続部13を暖めるヒータ加熱制御が実行される。ステップS29において、バッテリ19のSOCが所定閾値f1を下回る状況とは、車両走行時に充電リッド27が凍り付いてしまう状況であり、かつSOCの低下に伴って停車後に外部充電が行われる可能性の高い状況である。つまり、停車後に充電リッド27が開かれる可能性の高い状況である。
【0047】
このように、車両走行時に充電リッド27が凍り付いてしまう状況であり、かつ停車後に充電リッド27が開かれる可能性の高い状況である場合には、ステップS30に進み、電気ヒータ23に通電してコネクタ接続部13の充電リッド27を暖めるヒータ加熱制御が実行される。また、ヒータ加熱制御が実行されると、ステップS31に進み、接続部温度が所定温度e1(例えば0℃)を上回るか否かが判定される。接続部温度が所定温度e1以下であると判定された場合には、車体と充電リッド27との凍結が解消されていないことから、ステップS30に進み、ヒータ加熱制御が継続される。一方、接続部温度が所定温度e1を上回ると判定された場合には、車体と充電リッド27との凍結が解消されていることから、ステップS30に進み、電気ヒータ23に対する通電を遮断することでヒータ加熱制御が終了される。
【0048】
ここで、図13はヒータ加熱制御の実行状況の一例を示す図である。図13に示すように、ヒータ加熱制御を行う際には、充電コントローラ40のヒータ制御部47から、車載充電器16に対して放電指令が出力され、リレー26に対して接続指令が出力される。これにより、図13に白抜きの矢印で示すように、バッテリ19から車載充電器16を介して電気ヒータ23に電力を供給することができ、電気ヒータ23を発熱させてコネクタ接続部13を暖めることができる。このように、電気ヒータ23によってコネクタ接続部13を暖めることにより、コネクタ接続部13の充電リッド27を暖めることができるため、車体と充電リッド27との凍結を解消することができる。
【0049】
これまで説明したように、低温環境における車両走行時においては、ヒータ加熱制御を実行することにより、外部充電に備えて充電リッド27の凍結を解消することができる。これにより、停車後に外部充電を開始する際には、充電リッド27を簡単に開くことができるため、外部充電を適切に実施することができる。しかも、充電コントローラ40は、SOC低下に伴って充電リッド27が開かれる可能性が高い場合に、充電リッド27の凍結を解消するヒータ加熱制御を実行している。これにより、ヒータ加熱制御を適切に実行することができ、バッテリ19の電力消費を抑制することができる。
【0050】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。図示する例では、外部充電時の外部電源として、商用交流を供給する外部電源20を用いているが、これに限られることはなく、外部充電時の外部電源として、直流電力を出力する車外の電力変換装置を用いても良い。つまり、AC充電による外部充電に限られることはなく、DC充電による外部充電を採用しても良い。また、前述の説明では、カメラ部としてステレオカメラからなるカメラユニット52を採用しているが、これに限られることはなく、カメラ部として単眼カメラを採用しても良い。また、前述の説明では、カメラ部によって車両前方を撮像しているが、これに限られることはなく、カメラ部によって車両後方等を撮像しても良い。
【0051】
また、図9および図10に示すフローチャートでは、コネクタ接続部13等を暖める接続部加熱処理に、外部充電時に実行される充電加熱制御を含むとともに、車両走行時に実行されるヒータ加熱制御を含んでいるが、これに限られることはない。例えば、本発明の他の実施形態である車両用制御装置として、ヒータ加熱制御を実行せずに充電加熱制御を実行する車両用制御装置であっても良い。また、本発明の他の実施形態である車両用制御装置として、充電加熱制御を実行せずにヒータ加熱制御を実行する車両用制御装置であっても良い。
【符号の説明】
【0052】
10 車両用制御装置
11 車両
12 充電インレット
19 バッテリ(蓄電体)
20 外部電源
22 充電コネクタ
23 電気ヒータ(電熱器)
27 充電リッド(カバー部材)
41 目標設定部
44 積雪判定部
45 凍結判定部
46 加熱制御部
47 ヒータ制御部
52 カメラユニット(カメラ部)
60 フロントフード(車体)
図1
図2
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図13