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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】管理サーバ及び充電システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20230621BHJP
   G06Q 30/0207 20230101ALI20230621BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20230621BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230621BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20230621BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20230621BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20230621BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230621BHJP
   B60L 53/62 20190101ALI20230621BHJP
   B60L 53/64 20190101ALI20230621BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20230621BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q30/0207 352
G06Q30/0601 312
H02J7/00 P
H02J7/34 D
H02J13/00 301A
H02J7/35 K
G08G1/09 F
B60L53/62
B60L53/64
B60L58/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019072457
(22)【出願日】2019-04-05
(65)【公開番号】P2020170419
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安達 香
(72)【発明者】
【氏名】古田 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】吉村 尚秀
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 達夫
(72)【発明者】
【氏名】福井 慎一
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-108870(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0278104(US,A1)
【文献】特開2013-130963(JP,A)
【文献】特開2018-018454(JP,A)
【文献】特開2013-090344(JP,A)
【文献】特開2013-037598(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0047427(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/00-99/00
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電車両の充電要求量情報を含む受電車両情報と、送電車両の充電残量情報を含む送電車両情報と、を取得する情報取得部と、
前記送電車両情報と前記受電車両情報とに基づいて、前記送電車両を特定する特定部と、
特定した前記送電車両が前記受電車両に送電した場合に、前記送電車両が送電した電気エネルギーに相当するエネルギー対価値を演算する演算部と、
前記受電車両と前記送電車両との間で行われた電力の授受の履歴を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記履歴に基づいて、前記電力の授受が不正であるか否か判定する不正判定部と、
を備え
前記演算部は、
演算した前記エネルギー対価値に対し、付加値を加算し、
前記不正判定部が前記電力の授受が不正であると判定した場合、前記エネルギー対価値に対し、前記付加値を加算しない処理を行う、
管理サーバ。
【請求項2】
前記特定部は、前記受電車両情報および前記送電車両情報に基づいて、前記送電車両が前記受電車両の充電要求量に相当する電気エネルギーを保有しているか否か判定することで前記送電車両を特定する請求項1に記載の管理サーバ。
【請求項3】
前記特定部は、
前記受電車両情報を、前記送電車両情報を送信可能な送電側端末に送信し、
前記送電車両情報を、前記受電車両情報を送信可能な受電側端末に送信する請求項1または2に記載の管理サーバ。
【請求項4】
前記演算部は、受電ユーザが保有するエネルギー対価値から、演算した前記エネルギー対価値を減算する請求項1~3のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【請求項5】
前記演算部は、送電ユーザが保有するエネルギー対価値に対し、演算した前記エネルギー対価値を加算する請求項1~4のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【請求項6】
前記付加値は、前記受電車両情報を送信可能な受電側端末で設定された値である請求項1~5のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【請求項7】
前記特定部は、前記受電側端末から受信した前記付加値に関する情報を、前記送電車両情報を送信可能な送電側端末に送信し、前記付加値に関する情報に対し合意のあった前記送電車両と前記受電車両とをマッチングする請求項に記載の管理サーバ。
【請求項8】
前記付加値は、前記送電車両情報を送信可能な送電側端末で設定された値である請求項1~5のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【請求項9】
前記特定部は、前記送電側端末から受信した前記付加値に関する情報を、前記受電車両情報を送信可能な受電側端末に送信し、前記付加値に関する情報に対し合意のあった前記送電車両と前記受電車両とをマッチングする請求項に記載の管理サーバ。
【請求項10】
前記付加値は、前記受電車両の位置に応じて前記演算部により設定される値である請求項のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【請求項11】
前記演算部は、前記受電車両の位置と、充電ステーションの位置とを比較し、前記受電車両の位置と前記充電ステーションの位置との間隔が大きくなるほど、前記付加値を大きい値に設定する請求項10に記載の管理サーバ。
【請求項12】
前記付加値は、前記特定部により特定される前記送電車両の候補数に応じて前記演算部により設定される値である請求項11のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【請求項13】
前記演算部は、前記候補数が少ないほど、前記付加値を大きい値に設定する請求項12に記載の管理サーバ。
【請求項14】
受電側端末と送電側端末と管理サーバを含み、
前記受電側端末は、充電要求量情報を前記管理サーバに送信し、
前記送電側端末は、バッテリ残量情報を前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、
前記充電要求量情報及び前記バッテリ残量情報に基づいて、前記送電側端末を特定し、
特定した前記送電側端末の前記バッテリ残量情報を含む情報を前記受電側端末に送信し、
前記受電側端末の前記充電要求量情報を前記特定した前記送電側端末に送信
特定した前記送電側端末を備えた送電車両が前記受電側端末を備えた受電車両に送電した場合に、前記送電車両が送電した電気エネルギーに相当するエネルギー対価値を演算し、
前記受電車両と前記送電車両との間で行われた電力の授受の履歴を記憶し、
前記記憶された前記履歴に基づいて、前記電力の授受が不正であるか否か判定し、
前記電力の授受が不正でないと判定した場合、前記エネルギー対価値に対し、付加値を加算し、
前記電力の授受が不正であると判定した場合、前記エネルギー対価値に対し、前記付加値を加算しない処理を行う、
充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理サーバ及び充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給電を要する受電車両と、受電車両に対し送電可能な送電車両とをマッチングさせる充電システムについて開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-130963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、送電車両の所有者であるユーザは、受電車両に送電した電気エネルギーに相当する正当な対価を受けることが難しい。したがって、受電車両と送電車両とのマッチングが困難になるという課題がある。
【0005】
本発明は、受電車両と送電車両とのマッチングを容易にすることが可能な管理サーバ及び充電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一側面としての管理サーバは、受電車両の充電要求量情報を含む受電車両情報と、送電車両の充電残量情報を含む送電車両情報と、を取得する情報取得部と、送電車両情報と受電車両情報とに基づいて、送電車両を特定する特定部と、特定した送電車両が受電車両に送電した場合に、送電車両が送電した電気エネルギーに相当するエネルギー対価値を演算する演算部と、受電車両と送電車両との間で行われた電力の授受の履歴を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された履歴に基づいて、電力の授受が不正であるか否か判定する不正判定部と、を備え、演算部は、演算したエネルギー対価値に対し、付加値を加算し、不正判定部が電力の授受が不正であると判定した場合、エネルギー対価値に対し、付加値を加算しない処理を行う
【0007】
特定部は、受電車両情報および送電車両情報に基づいて、送電車両が受電車両の充電要求量に相当する電気エネルギーを保有しているか否か判定することで送電車両を特定してもよい。
【0008】
特定部は、受電車両情報を、送電車両情報を送信可能な送電側端末に送信し、送電車両情報を、受電車両情報を送信可能な受電側端末に送信してもよい。
【0010】
演算部は、受電ユーザが保有するエネルギー対価値から、演算したエネルギー対価値を減算してもよい。
【0011】
演算部は、送電ユーザが保有するエネルギー対価値に対し、演算したエネルギー対価値を加算してもよい。
【0013】
付加値は、受電車両情報を送信可能な受電側端末で設定された値であってもよい。
【0014】
特定部は、受電側端末から受信した付加値に関する情報を、送電車両情報を送信可能な送電側端末に送信し、付加値に関する情報に対し合意のあった送電車両と受電車両とをマッチングしてもよい。
【0015】
付加値は、送電車両情報を送信可能な送電側端末で設定された値であってもよい。
【0016】
特定部は、送電側端末から受信した付加値に関する情報を、受電車両情報を送信可能な受電側端末に送信し、付加値に関する情報に対し合意のあった送電車両と受電車両とをマッチングしてもよい。
【0017】
付加値は、受電車両の位置に応じて演算部により設定される値であってもよい。
【0018】
演算部は、受電車両の位置と、充電ステーションの位置とを比較し、受電車両の位置と充電ステーションの位置との間隔が大きくなるほど、付加値を大きい値に設定してもよい。
【0019】
付加値は、特定部により特定される送電車両の候補数に応じて演算部により設定される値であってもよい。
【0020】
演算部は、候補数が少ないほど、付加値を大きい値に設定してもよい。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明の他の側面としての充電システムは、受電側端末と送電側端末と管理サーバを含み、受電側端末は、充電要求量情報を管理サーバに送信し、送電側端末は、バッテリ残量情報を管理サーバに送信し、管理サーバは、充電要求量及びバッテリ残量情報に基づいて、送電側端末を特定し、特定した送電側端末のバッテリ残量情報を含む情報を受電側端末に送信し、受電側端末の充電要求量情報を特定した送電側端末に送信し、特定した送電側端末を備えた送電車両が受電側端末を備えた受電車両に送電した場合に、送電車両が送電した電気エネルギーに相当するエネルギー対価値を演算し、受電車両と送電車両との間で行われた電力の授受の履歴を記憶し、記憶された履歴に基づいて、電力の授受が不正であるか否か判定し、電力の授受が不正でないと判定した場合、エネルギー対価値に対し、付加値を加算し、電力の授受が不正であると判定した場合、エネルギー対価値に対し、付加値を加算しない処理を行う
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、受電車両と送電車両とのマッチングを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、充電システムの概略的な構成を示した説明図である。
図2図2は、情報端末を備える受電車両を説明する図である。
図3図3は、受電車両の制御系のブロック図である。
図4図4は、端末記憶装置の構成を説明する図である。
図5図5は、希望情報の入力インタフェースの一例を示す図である。
図6図6は、管理サーバのブロック図である。
図7図7は、本実施形態の充電システムにおける処理の流れを説明するための図である。
図8図8は、抽出処理の流れを説明するフローチャート図である。
図9図9は、受電車両と送電車両のマッチング候補を抽出する様子を示した図である。
図10図10は、端末表示部にマッチング候補となる車両(受電車両、送電車両)が表示された状態を示す図である。
図11図11は、算出処理の流れを説明するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0028】
図1は、充電システムSの概略的な構成を示した説明図である。充電システムSは、情報端末1を有する車両10と、通信基地局30aを有する通信網30と、管理サーバ100とを含んで構成される。
【0029】
本実施形態では、車両10は、エンジン、および、走行モータを動力源として走行するハイブリッド自動車で構成される。ただし、車両10は、モータのみで走行する電気自動車であってもよい。
【0030】
また、本実施形態では、車両10は、所定の電気エネルギー(給電)を要する場合、受電車両として構成される。また、車両10は、所定の電気エネルギー(余剰電力)を供給可能(送電可能)とする場合、送電車両として構成される。送電車両は、例えば、不図示の送電ケーブルを介して受電車両と電気的に接続することで、受電車両に対し電気エネルギーを供給することができる。ただし、これに限定されず、送電車両は、受電車両と非接触に電気的に接続することで、受電車両に対し電気エネルギーを供給してもよい。
【0031】
情報端末1は、通信基地局30aおよび通信網30を介して管理サーバ100との通信を確立することができ、専用の画像を表示可能な電子機器を広く含む。情報端末1としては、例えば、スマートフォン、携帯電話、パーソナルコンピュータ、専用端末、さらには、ナビゲーションシステムを有する車両情報端末等が挙げられる。本実施形態では、情報端末1として、ナビゲーションシステムを有する車両情報端末が用いられる場合について説明する。
【0032】
通信基地局30aは、通信網30と接続され、情報端末1と無線により情報の送受信を行う。また、通信基地局30aは、情報端末1から無線により送信された情報を、通信網30を介して管理サーバ100に送信する。また、通信基地局30aは、管理サーバ100で生成された情報を情報端末1に送信する。通信網30は、携帯電話網、インターネット、LAN(Local Area Network)、専用回線等で構成され、通信基地局30aを介して情報端末1と管理サーバ100との通信を接続する。
【0033】
管理サーバ100は、情報端末1から入力された情報を蓄積する。また、詳しくは後述するが、管理サーバ100は、蓄積された情報から、車両10同士(本実施形態では、受電車両と送電車両)のマッチングを行う。
【0034】
図2は、情報端末1を備える車両10を説明する図である。図3は、車両10の制御系のブロック図である。
【0035】
車両10は、情報端末1、バッテリ201、走行モータ203、受電部205、送電部207、撮像装置209、GPS(Global Positioning System)受信機211、車両制御部213を備える。
【0036】
バッテリ201は、外部から供給される電気エネルギーを蓄える。走行モータ203は、バッテリ201に蓄えられた電気エネルギーにより駆動する。受電部205は、車両10の前方側に設けられ、外部から送電される電気エネルギーをバッテリ201に充電する。送電部207は、車両10の後方側に設けられ、バッテリ201に蓄えられている電気エネルギーを外部に送電する。なお、受電部205および送電部207は、それぞれ車両10の前方側および後方側の双方に設けられてもよい。また、送電部207が車両10の前方側に、受電部205が車両10の後方側に設けられてもよい。
【0037】
撮像装置209は、車両10に複数設けられ、車両10の前方、後方、左方、右方をそれぞれ撮像する。GPS受信機211は、車両10の位置情報を衛星から受信する。車両制御部213は、車両10全体を統括制御する。
【0038】
情報端末1は、例えば、車両10の車室に設けられる。図3に示すように、情報端末1は、端末表示部301、端末操作部303、端末通信部(受信部、送信部)305、端末バッファ307、端末記憶装置309、端末制御部311を備える。
【0039】
端末表示部301は、液晶ディスプレイで構成され、端末制御部311の制御によってさまざまな画像が表示される。
【0040】
端末操作部303は、情報端末1の操作を受け付けるものであり、ボタンや端末表示部301に設けられるタッチパネル、あるいはこれらの組み合わせで構成される。ここでは、端末操作部303がタッチパネルで構成される場合について説明する。ただし、端末操作部303は、ユーザの操作を受け付けることができれば、その構成は特に限定されるものではない。
【0041】
端末通信部305は、通信基地局30aへの情報の出力、および、通信基地局30aからの情報の入力に係る処理を行う。端末通信部305は、情報端末1から外部に情報を送信する際に送信部として機能し、外部から情報端末1に情報を受信する際に受信部として機能する。
【0042】
端末バッファ307は、端末制御部311が処理を行う際に、種々の情報を一時的に保持するための記憶領域として機能する。
【0043】
端末記憶装置309は、車両10(受電車両または送電車両)に関する車両情報を記憶する。端末記憶装置309の詳細は、図4を用いて後述する。
【0044】
端末制御部311は、情報端末1の全体を制御し、例えば、周知のナビゲーションを行う。端末制御部311は、現在位置取得部311a、道路交通情報取得部311b、ルート検索部311c、表示制御部311d、マッチング制御部311e、残燃料取得部311f、バッテリ残量取得部311g、送受電制御部311hとして機能する。
【0045】
現在位置取得部311aは、GPS受信機211が受信した信号を解析し、現在位置を特定する。
【0046】
道路交通情報取得部311bは、不図示の受信機から受信した道路交通情報を解析し、主に現在位置周辺の渋滞情報を特定する。
【0047】
ルート検索部311cは、ナビゲーションシステムとしての役割を担い、現在位置情報や道路交通情報に基づいて、現在位置から目的地までのルートを探索する。
【0048】
表示制御部311dは、端末表示部301における画像の表示制御を行う。
【0049】
マッチング制御部311eは、管理サーバ100に対するマッチングの要求処理を行う。
【0050】
残燃料取得部311fは、ガソリン、軽油等の燃料の残量を取得する。
【0051】
バッテリ残量取得部311gは、バッテリ201のバッテリ残量を取得する。
【0052】
送受電制御部311hは、電気エネルギー(電力)の授受の制御を行う。詳しくは後述するように、送受電制御部311hは、管理サーバ100が特定した車両10同士(送電車両および受電車両)の間の送受電の制御を行う。具体的には、後述するように、自車両が送電車両として設定される場合、送電部207を制御し、受電車両に対して電力の送電を行う。また、自車両が受電車両として設定される場合、受電部205を制御して、送電車両から電力の受電を行う。
【0053】
図4は、端末記憶装置309の構成を説明する図である。図4(a)は、車両10が受電車両に設定される場合の情報端末(以下、受電側端末ともいう)1の端末記憶装置309の構成を示す。図4(b)は、車両10が送電車両に設定される場合の情報端末(以下、送電側端末ともいう)1の端末記憶装置309の構成を示す。端末記憶装置309は、自車両情報記憶部309a、ユーザ固有情報記憶部309bおよび希望情報記憶部309cを含んで構成される。
【0054】
図4(a)および図4(b)に示すように、自車両情報記憶部309aには、情報端末1が搭載される車両10の自車両情報が記憶される。ここでは、自車両情報として、車高、全長、全幅、車種タイプ、メーカー、現在位置情報(車両位置情報)、バッテリ残量情報が図示のように記憶される。なお、自車両情報記憶部309aは、RAM(Random Access Memory)で構成されている。
【0055】
図4(a)および図4(b)に示すように、ユーザ固有情報記憶部309bには、ユーザの固有情報としてポイント保有値が記憶される。ここで、ポイント保有値は、例えば、ユーザが充電ステーション等で自車両に電気エネルギーを給電した際に付与されるポイントの合計値である。ポイントは、自車両に給電した給電量に応じて付与され、例えば、給電量に所定の係数を乗算した値がポイント値として付与される。なお、ユーザ固有情報記憶部309bは、RAMで構成されており、ポイント保有値の変動に応じて随時変更可能となっている。
【0056】
図4(a)および図4(b)に示すように、希望情報記憶部309cには、ユーザの希望情報が記憶される。希望情報は、受電車両と送電車両との間でマッチングを行う際の希望条件である。希望情報記憶部309cには、車両10のユーザが送電する際の希望と、受電する際の希望を入力することができ、自車両を送電車両あるいは受電車両に選択的に設定することができる。
【0057】
図4(a)に示すように、ユーザが自車両を受電車両として設定した場合、希望情報記憶部309cには、受電車両の所有者であるユーザ(以下、受電ユーザともいう)の希望情報として、「充電要求量」、「ポイント譲渡値」、「待機許容時間」が記憶される。後述するように、「充電要求量」、「ポイント譲渡値」、「待機許容時間」は、端末操作部303(端末表示部301)を介して受電ユーザにより設定される。
【0058】
「充電要求量」は、受電車両(受電ユーザ)が必要とする電力の要求量である。「ポイント譲渡値」は、受電車両が送電車両から給電を受けた場合に、送電車両の所有者であるユーザ(以下、送電ユーザともいう)に対して受電ユーザがポイント保有値から譲渡するポイント値である。詳しくは後述するように、受電ユーザは、受電車両が送電車両から給電を受けた場合、受けた電気エネルギー(電力)に相当するエネルギー対価値(ポイント値)を送電ユーザに譲渡する。ここで、「ポイント譲渡値」は、エネルギー対価値とは別に、送電ユーザに対し譲渡するポイント値である。
【0059】
図4(a)では、「ポイント譲渡値」は、「100」ポイントに設定されているが、このポイントは、必ずしも送電ユーザに譲渡しなければならないものではなく、例えば「0」ポイントに設定されていてもよい。以下、「ポイント譲渡値」を、エネルギー対価値に付加する「付加値」ともいう。「待機許容時間」は、受電車両の給電までに受電ユーザが待機可能な待機時間である。なお、希望情報記憶部309cは、RAMで構成されており、ユーザが自由に希望情報を変更可能となっている。
【0060】
一方、図4(b)に示すように、ユーザが自車両を送電車両として設定した場合、希望情報記憶部309cには、送電ユーザの希望情報として、「給電可能量」、「ポイント要求値」、「出発可能時間」が記憶される。後述するように、「給電可能量」、「ポイント要求値」、「出発可能時間」は、端末操作部303(端末表示部301)を介して送電ユーザにより設定される。
【0061】
「送電可能量」は、送電車両(送電ユーザ)が受電車両に対し送電可能な電力量(余剰電力量)である。「ポイント要求値」は、送電車両が受電車両に対し送電した場合に、送電ユーザが受電ユーザに要求するポイントの要求値である。詳しくは後述するように、送電ユーザは、送電車両が受電車両に対し送電した場合、送電した電気エネルギー(電力)に相当するエネルギー対価値(ポイント値)を受電ユーザから受け取る。ここで、「ポイント要求値」は、エネルギー対価値とは別に、受電ユーザから受け取るポイント値である。なお、詳しくは後述するように、送電ユーザは、「ポイント譲渡値」および「ポイント要求値」のうちいずれか一方(例えば、値が大きい方)のポイント値を受電ユーザから受け取ることができる。
【0062】
図4(b)では、「ポイント要求値」は、「50」ポイントに設定されているが、このポイントは、必ずしも受電ユーザから受け取らなければならないものではなく、例えば「0」ポイントに設定されていてもよい。以下、「ポイント要求値」を、エネルギー対価値に付加する「付加値」ともいう。「出発可能時間」は、送電ユーザが送電車両を発進させるまでにかかる時間である。なお、希望情報記憶部309cは、RAMで構成されており、ユーザが自由に希望情報を変更可能となっている。
【0063】
自車両情報記憶部309aに記憶される自車両情報、ユーザ固有情報記憶部309bに記憶されるユーザの固有情報、希望情報記憶部309cに記憶される希望情報は、いずれかの値が変更した際、あるいは、一定時間ごとに、車両10に関する車両情報(受電車両情報、送電車両情報)として管理サーバ100に出力される。
【0064】
図5は、希望情報の入力インタフェースの一例を示す図である。ここでは、車両10が受電車両に設定される場合に、受電ユーザが入力する希望情報を例に説明する。例えば、車両10の走行中、受電側端末の端末表示部301には、地図情報が表示される。端末表示部301はタッチパネルで構成されており、端末操作部303としても機能する。端末操作部303に対して所定の操作が行われると、図5(a)に示すように、端末表示部301の下部にメニューバー301aが表示される。ここでは、メニューバー301aに4つのタブが表示されており、各タブに、「現在位置」、「目的地設定」、「希望情報入力」、「マッチング要求」のテキストが表示されている。
【0065】
ユーザがメニューバー301aの「希望情報入力」と記されたタブを操作すると、図5(b)に示すように、選択情報一覧インタフェース301bが表示される。選択情報一覧インタフェース301bは、図示のように、6つのタイトルタブ301cと、各タイトルタブ301cの右側に表示される6つの仮登録表示欄301dとを含む。選択情報一覧インタフェース301bの表示中は、端末表示部301に登録ボタン301eおよび戻るボタン301fが表示される。
【0066】
ユーザがタイトルタブ301cまたは仮登録表示欄301dを操作すると、各タイトルタブ301cの「充電要求量」、「ポイント譲渡値」、「待機許容時間」、「給電可能量」、「ポイント要求値」、「出発可能時間」の値を設定(入力)することができる。
【0067】
例えば、「充電要求量」と記されたタイトルタブ301cが操作された場合には、図5(b)に示す「***kWh」における「***」の値を、任意の値(例えば、「30」などの値)に設定(入力)することができる。
【0068】
仮登録表示欄301dに設定した値(設定情報)は、端末バッファ307に仮登録される。そして、ユーザにより登録ボタン301eが操作されると、端末バッファ307に仮登録されている設定情報は、端末記憶装置309に記憶(本登録)される。また、ユーザにより戻るボタン301fが操作されると、図5(a)に示す画像(地図情報およびメニューバー301a)が表示される。
【0069】
ユーザがメニューバー301aの「マッチング要求」と記されたタブを操作すると、情報端末1(端末通信部305)は、マッチング要求信号を出力し、端末記憶装置309に記憶された車両情報(受電車両情報あるいは送電車両情報)を管理サーバ100に出力する。
【0070】
図6は、管理サーバ100のブロック図である。管理サーバ100は、サーバ通信部101、サーバ記憶装置103、サーバ制御部105を備える。
【0071】
サーバ通信部101は、通信網30への情報の出力、および、通信網30からの情報の入力に係る処理を行う。具体的には、サーバ通信部101は、情報端末1から出力される受電車両情報および送電車両情報を受信する。また、サーバ通信部101は、後述するマッチング信号を情報端末1に出力する。
【0072】
サーバ記憶装置103は、サーバ通信部101が受信した情報を記憶する。例えば、サーバ記憶装置103は、情報端末1から出力された受電車両情報および送電車両情報を記憶する。
【0073】
サーバ制御部105は、情報端末1の端末制御部311と協働して、受電車両と送電車両のマッチング、および、受電車両情報と送電車両情報の管理を行う。サーバ制御部105は、情報取得部105a、特定部105b、演算部105cとして機能する。
【0074】
情報取得部105aは、受電側端末から送信された受電車両に関する受電車両情報と、送電側端末から送信された送電車両に関する送電車両情報とを取得する。また、情報取得部105aは、取得した受電車両情報および送電車両情報をサーバ記憶装置103に記憶させる。
【0075】
特定部105bは、受電車両情報と送電車両情報とに基づいて、受電車両とマッチング可能(例えば、受電ユーザが設定した充電要求量を送電可能)な送電車両を特定する。
【0076】
演算部105cは、詳しくは後述するように、送電車両から受電車両に送電した電気エネルギーに相当するエネルギー対価値(ポイント値)を演算する。
【0077】
以下、充電システムSにおける具体的な処理の流れについて説明する。図7は、本実施形態の充電システムSにおける処理の流れを説明するための図である。
【0078】
情報端末(受電側端末)1は、受電ユーザにより希望情報等の選択情報が入力されると、入力された選択情報を含む受電車両情報信号を生成し、生成した受電車両情報信号を管理サーバ100に送信する(ステップS101)。
【0079】
情報端末(送電側端末)1は、送電ユーザにより希望情報等の選択情報が入力されると、入力された選択情報を含む送電車両情報信号を生成し、生成した送電車両情報信号を管理サーバ100に送信する(ステップS103)。
【0080】
情報端末(受電側端末)1は、受電ユーザにより「マッチング要求」と記されたタブ(図5(a)参照)が操作されると、マッチング要求信号を生成し、生成したマッチング要求信号を管理サーバ100に送信する(ステップS105)。
【0081】
特定部105bは、受電側端末からマッチング要求信号が入力されると、サーバ記憶装置103に記憶された受電車両情報および送電車両情報に基づいて、受電車両(受電側端末)と送電車両(送電側端末)のマッチング候補を抽出(特定)する抽出処理を実行する(ステップS107)。
【0082】
図8は、抽出処理の流れを説明するフローチャート図である。図8に示すように、まず、特定部105bは、受電車両と、受電車両の周辺に位置する送電車両との間の距離を算出する(ステップS201)。つぎに、特定部105bは、受電車両の周辺に位置する送電車両のバッテリ残量が、受電車両の充電要求量を満たしているか否かの判定を行う(ステップS203)。そして、特定部105bは、ステップS201の算出結果、および、ステップS203の判定結果に基づいて、受電車両と送電車両のマッチング候補を抽出する(ステップS205)。
【0083】
図9は、受電車両と送電車両のマッチング候補を抽出する様子を示した図である。図9(a)では、特定部105bが各車両10(受電車両および送電車両)の距離に基づいてマッチング候補を抽出する様子を示し、図9(b)では、特定部105bが受電車両情報に含まれる充電要求量情報と送電車両情報に含まれるバッテリ残量情報に基づいてマッチング候補を抽出する様子を示している。
【0084】
図9(a)に示すように、特定部105bは、受電車両を中心とした所定距離(範囲)L内に位置する送電車両をマッチング候補として抽出する。図9(a)中、マッチング候補として抽出された車両(送電車両)10を黒丸で示し、マッチング候補として抽出されなかった車両(送電車両)10を白丸で示す。
【0085】
所定距離L内に位置する送電車両が抽出されると、特定部105bは、所定距離L内に位置する送電車両の送電車両情報からバッテリ残量情報あるいは給電可能量情報を抽出し、受電車両の受電車両情報から充電要求量情報を抽出する。
【0086】
特定部105bは、抽出した充電要求量情報とバッテリ残量情報(あるいは、給電可能量情報)とを比較し、送電車両が受電ユーザにより設定された充電要求量に相当する電気エネルギーを保有しているか否か判定する。図9(b)に示すように、特定部105bは、充電要求量に相当する電気エネルギーを保有していると判定した送電車両をマッチング候補として抽出する。図9(b)中、マッチング候補として抽出された車両(送電車両)10を黒丸で示し、マッチング候補として抽出されなかった車両(送電車両)10を白丸で示す。
【0087】
図7に戻り、特定部105bは、マッチング候補として抽出した送電車両の情報端末1(送電側端末)に対し、受電車両の受電車両情報を含む通知信号を送信する。また、特定部105bは、受電車両の情報端末1(受電側端末)に対し、マッチング候補として抽出した送電車両の送電車両情報を含む通知信号を送信する。
【0088】
図10は、端末表示部301にマッチング候補となる車両(受電車両、送電車両)が表示された状態を示す図である。図10(a)は、受電側端末の端末表示部301にマッチング候補となる送電車両が表示された状態を示し、図10(b)は、送電側端末の端末表示部301にマッチング候補となる受電車両が表示された状態を示す。
【0089】
図10(a)に示すように、受電側端末の端末表示部301は、特定部105bがマッチング候補として特定した車両(送電車両)10を表示する。受電ユーザにより端末表示部301上の送電車両が操作(選択)されると、端末表示部301は、操作された送電車両に関する送電車両情報(例えば、図4(b)に示す情報)を表示させる。
【0090】
図10(b)に示すように、送電側端末の端末表示部301は、特定部105bがマッチング候補として特定した車両(受電車両)10を表示する。送電ユーザにより端末表示部301上の受電車両が操作(選択)されると、端末表示部301は、操作された受電車両に関する受電車両情報(例えば、図4(a)に示す情報)を表示させる。
【0091】
送電ユーザは、受電車両情報(現在位置情報、バッテリ残量情報、希望情報等)を参照し、受電ユーザの希望条件(例えば、充電要求量、ポイント譲渡値(付加値)、待機許容時間)に合意するか否か選択することができる。例えば、送電ユーザは、受電ユーザの希望条件に合意する場合、図10(b)に示す受電車両を操作(選択)し、メニューバー301aの「マッチング要求」と記されたタブを操作することで、受電ユーザの希望条件に合意することができる。このとき、送電車両の情報端末(送電側端末)1は、受電車両とのマッチングを承認するマッチング承認信号を管理サーバ100に出力する(ステップS109)。
【0092】
なお、受電ユーザは、送電車両情報(現在位置情報、バッテリ残量情報、希望情報等)を参照し、送電ユーザの希望条件(例えば、ポイント要求値(付加値))に合意するか否か選択することもできる。例えば、受電ユーザは、送電ユーザの希望条件(ここでは、ポイント譲渡値<ポイント要求値であるものとする)に合意する場合、図10(a)に示す送電車両を操作(選択)し、メニューバー301aの「マッチング要求」と記されたタブを操作することで、送電ユーザの希望条件に合意することができる。このとき、受電車両の情報端末(受電側端末)1は、送電車両とのマッチングを承認するマッチング承認信号(図7では不図示)を管理サーバ100に出力する。
【0093】
図7に戻り、管理サーバ100がマッチング承認信号を受信すると、特定部105bは、送電ユーザおよび受電ユーザが互いの希望条件(例えば、充電要求量、ポイント譲渡値(付加値)、ポイント要求値(付加値)、待機許容時間)に対し合意したと判定する。特定部105bは、互いの希望条件に対し合意のあった送電車両(送電側端末)と受電車両(受電側端末)とをマッチングさせる特定処理を行う(ステップS111)。
【0094】
ここで、特定部105bは、管理サーバ100がマッチング承認信号を複数受信した(例えば、複数の送電車両からマッチング承認信号が出力された)場合、マッチング承認信号が出力された複数の送電車両に関する送電車両情報を受電車両に送信する。ただし、これに限定されず、特定部105bは、複数のマッチング承認信号を受信した場合に、最も早く受信したマッチング承認信号を選択し、選択したマッチング承認信号を送信したとされる送電車両と受電車両とをマッチングさせてもよい。
【0095】
受電ユーザは、複数の送電車両に関する送電車両情報(現在位置情報、バッテリ残量情報、希望情報等)を参照し、マッチング対象とする送電車両を選択することができる。例えば、受電ユーザは、図10(a)に示す送電車両を操作(選択)し、メニューバー301aの「マッチング要求」と記されたタブを操作することで、マッチング対象とする送電車両を選択することができる。このとき、受電車両の情報端末(受電側端末)1は、受電ユーザにより選択された送電車両に関するマッチング選択信号を管理サーバ100に出力する。
【0096】
管理サーバ100がマッチング選択信号を受信すると、特定部105bは、受電ユーザにより選択された送電車両と受電車両とをマッチングさせる特定処理を行う。
【0097】
特定部105bは、マッチングが成立した受電車両および送電車両に対し、マッチングが成立したことを示すマッチング信号を情報端末1(受電側端末および送電側端末)に出力する。マッチング信号が出力されると、情報取得部105aは、マッチングが成立した受電車両および送電車両の情報端末1から車両情報(受電車両情報、送電車両情報)随時取得する。
【0098】
特定部105bは、取得した受電車両情報を送電車両に随時送信し、取得した送電車両情報を受電車両に随時送信する。これにより、受電車両および送電車両は、互いの現在位置を随時把握することができ、送電車両は、受電車両の現在位置まで到達することができる。送電車両が受電車両の現在位置に到達すると、送電ユーザまたは受電ユーザは、送電車両の送電部207と受電車両の受電部205とを不図示の送電ケーブルにより接続する。送電側端末の送受電制御部311hは、送電部207を制御し、受電車両の受電部205に対し給電する給電処理を行う(ステップS113)。
【0099】
情報取得部105aは、受電車両と送電車両との間で電気エネルギーの授受が行われている間、受電車両の受電車両情報および送電車両の送電車両情報を情報端末1から随時取得する。送受電制御部311hは、受電ユーザが設定した「充電要求量」だけ送電車両から受電車両に給電すると、給電完了信号を生成し、生成した給電完了信号を管理サーバ100に出力する。ここで、給電完了信号には、給電完了後の受電車両情報、送電車両情報、および、送電車両が受電車両に給電した給電量に関する情報あるいは受電車両が送電車両から給電された給電量に関する情報(給電情報)が含まれる。なお、給電情報は、給電前後の受電車両情報および送電車両情報(バッテリ残量情報)から算出することもできるので、給電完了信号に含まれなくてもよい。
【0100】
管理サーバ100は、給電完了信号を受信すると、給電完了信号をサーバ記憶装置103に記憶し、以下で説明する算出処理を実行する(ステップS115)。
【0101】
図11は、算出処理の流れを説明するフローチャート図である。図11に示すように、まず、情報取得部105aは、サーバ記憶装置103に記憶された給電情報を取得する(ステップS301)。
【0102】
演算部105cは、給電情報に基づいて、送電車両から受電車両に送電した電気エネルギーに相当するエネルギー対価値を算出する(ステップS303)。ただし、演算部105cは、給電情報に基づいて、受電車両が送電車両から給電された電気エネルギーに相当するエネルギー対価値を算出してもよい。ここで、エネルギー対価値は、受電車両に給電(送電)した電力量(kWh)を用いて算出可能である。本実施形態では、例えば、エネルギー対価値は、電力量「1kWh」に対し、「1ポイント」として設定され、受電車両に給電した電力量が「30kWh」である場合、エネルギー対価値は「30ポイント」として算出される。なお、エネルギー対価値は、受電ユーザおよび送電ユーザが保有するポイント保有値と同質のものであり、ポイント保有値に対し加算または減算することができる。
【0103】
演算部105cは、エネルギー対価値を算出すると、算出したエネルギー対価値に関する情報をサーバ記憶装置103に記憶させる。このとき、演算部105cは、算出したエネルギー対価値をユーザごと(受電ユーザおよび送電ユーザ)に関連付けて記憶させる。
【0104】
演算部105cは、受電ユーザが保有するポイント保有値から、演算したエネルギー対価値を減算する(ステップS305)。
【0105】
演算部105cは、送電ユーザが保有するポイント保有値に対し、演算したエネルギー対価値を加算する(ステップS307)。
【0106】
また、受電ユーザがポイント譲渡値を設定している場合、演算部105cは、演算したエネルギー対価値に対し、ポイント譲渡値(付加値)を付加(加算)する(ステップS309)。この場合、演算部105cは、受電ユーザが保有するポイント保有値から、演算したエネルギー対価値およびポイント譲渡値を減算し、送電ユーザが保有するポイント保有値に対し、演算したエネルギー対価値およびポイント譲渡値を加算する。
【0107】
なお、受電ユーザが送電ユーザの希望条件(ここでは、ポイント譲渡値<ポイント要求値であるものとする)に合意した場合、演算部105cは、演算したエネルギー対価値に対し、ポイント譲渡値ではなく、ポイント要求値(付加値)を付加(加算)する。この場合、演算部105cは、受電ユーザが保有するポイント保有値から、演算したエネルギー対価値およびポイント要求値を減算し、送電ユーザが保有するポイント保有値に対し、演算したエネルギー対価値およびポイント要求値を加算する。
【0108】
また、演算部105cは、ポイント譲渡値やポイント要求値とは別に、送電ユーザに対し、特別にポイント奨励値(付加値)を付加(加算)してもよい。この場合、演算部105cは、送電ユーザが保有するポイント保有値に対し、演算したエネルギー対価値およびポイント奨励値を加算する。ポイント奨励値は、例えば、受電車両の位置と不図示の充電ステーションの位置に応じて設定される値である。
【0109】
具体的に、演算部105cは、受電車両の位置と充電ステーションの位置とを比較し、受電車両の位置と充電ステーションの位置との間隔が大きくなるほど、ポイント奨励値を大きい値に設定する。これにより、充電ステーションの設置密度が小さい地域においても、マッチングに対するインセンティブが働き、マッチングが成立する可能性を高めてユーザの利便性を向上することができる。
【0110】
ポイント奨励値は、例えば、特定部105bにより特定された送電車両の候補数に応じて設定される値であってもよい。その場合、演算部105cは、特定部105bにより特定された送電車両の候補数が少ないほど、ポイント奨励値(付加値)を大きい値に設定する。
【0111】
本実施形態では、サーバ記憶装置(記憶部)103は、受電車両と送電車両との間で行われた電力の授受の履歴を記憶している。演算部105cは、サーバ記憶装置103に記憶された電力の授受の履歴に基づいて、受電車両と送電車両の間で行われた電力の授受が不正であるか否かを判定する。
【0112】
例えば、演算部105cは、受電車両が送電車両から電力が供給された後、所定時間内(例えば、10分以内)に受電車両が自車両と異なる他の車両に対し電力を供給した場合に、その電力の授受が不正であると判定する。また、演算部105cは、送電車両が受電車両に電力を供給した後、所定時間内(例えば、10分以内)に送電車両が自車両と異なる他の車両から電力を受けた場合に、その電力の授受が不正であると判定する。
【0113】
また、演算部105cは、特定の車両(あるいは特定のユーザ)間で所定回数以上(例えば、10回以上)電力の授受が行われた場合、その電力の授受が不正であると判定する。このように、本実施形態では、演算部105cは、サーバ記憶装置103に記憶された電力の授受の履歴に基づいて、複数の車両間で行われた電力の授受が不正であるか否かを判定する不正判定部として機能する。
【0114】
そして、演算部105cは、複数の車両間で行われた電力の授受が不正であると判定した場合、その電力の授受に際してエネルギー対価値に付加される付加値(ポイント譲渡値、ポイント要求値、ポイント奨励値)を無効とする。したがって、演算部105cは、複数の車両間で行われた電力の授受が不正であると判定した場合、演算したエネルギー対価値に対し、付加値(ポイント譲渡値、ポイント要求値、ポイント奨励値)を付加(加算)しない処理を行う。
【0115】
図7に戻り、管理サーバ100は、算出処理が終了すると、ユーザ更新情報を生成し、生成したユーザ更新情報を情報端末(受電側端末、送電側端末)1に送信する。このユーザ更新情報は、サーバ制御部105で算出された情報であり、例えば、エネルギー対価値、付加値、ユーザの更新されたポイント保有値(すなわち、エネルギー対価値および付加値が加算、あるいは、減算されたポイント保有値)等を含む情報である。
【0116】
情報端末1は、管理サーバ100からユーザ更新情報を受信すると、端末表示部301にユーザ更新情報を表示させる。
【0117】
このように、本実施形態では、管理サーバ100は、演算部105cを備えている。演算部105cは、送電車両が受電車両に送電した電気エネルギーに相当するエネルギー対価値を演算する。したがって、送電ユーザは、送電車両から受電車両に送電した電気エネルギーに対応する正当な対価を受けることが可能になる。その結果、管理サーバ100は、受電車両と送電車両とのマッチングを容易にすることができる。
【0118】
以上、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0119】
上記実施形態では、特定部105bは、送電車両が受電ユーザにより設定された充電要求量に相当する電気エネルギーを保有しているか否か判定する例について説明した。しかし、これに限定されず、特定部105bは、送電車両が受電ユーザにより設定された充電要求量に相当する電気エネルギーを保有しているか否か判定しなくてもよい。
【0120】
上記実施形態では、特定部105bは、受電車両と送電車両の距離、および、送電車両のバッテリ残量に基づいて、マッチング候補を抽出する例について説明した。しかし、これに限定されず、特定部105bは、受電ユーザの希望条件と送電ユーザの希望条件のすべてがマッチする候補を抽出するようにしてもよい。
【0121】
上記実施形態では、演算部105cは、受電ユーザが保有するポイント保有値から、演算したエネルギー対価値を減算する例について説明した。しかし、これに限定されず、演算部105cは、受電ユーザが保有するポイント保有値から、演算したエネルギー対価値を減算しなくてもよい。
【0122】
上記実施形態では、演算部105cは、送電ユーザが保有するポイント保有値に対し、演算したエネルギー対価値を加算する例について説明した。しかし、これに限定されず、演算部105cは、送電ユーザが保有するポイント保有値に対し、演算したエネルギー対価値を加算しなくてもよい。
【0123】
上記実施形態では、演算部105cは、演算したエネルギー対価値に対し、付加値(例えば、ポイント譲渡値、ポイント要求値、ポイント奨励値)を加算する例について説明した。しかし、これに限定されず、演算部105cは、演算したエネルギー対価値に対し付加値を加算しなくてもよい。
【0124】
上記実施形態では、演算部105cは、受電車両の位置と充電ステーションの位置に応じてポイント奨励値(付加値)を設定する例について説明した。しかし、これに限定されず、演算部105cは、例えば、受電車両の位置と自動車ディーラーの位置に応じてポイント奨励値(付加値)を設定してもよい。その場合、演算部105cは、受電車両の位置と自動車ディーラーの位置との間隔が大きくなるほど、ポイント奨励値を大きい値に設定してもよい。
【0125】
上記実施形態では、エネルギー対価値が、電力量「1kWh」に対し、「1ポイント」として設定されて例について説明した。しかし、これに限定されず、「1ポイント」をエネルギー対価値とは独立した、特定のユーザ又はコミュニティ間(例えば、特定の自動車製造会社、販売会社、ブランド等に所属する自動車のユーザで組織されるコミュニティなど)で授受できる譲渡性、換金性、対価性のある一種の通貨として設定してもよい。ユーザは当該ポイントを当該コミュニティに所属する期間、当該期間中の走行距離、送電側でのマッチング成立回数、受電希望ユーザからの要求に応えて送電した送電量など当該コミュニティへの貢献度に応じて管理サーバ運営者から獲得できるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、管理サーバに利用できる。
【符号の説明】
【0127】
10 車両
100 管理サーバ
105 サーバ制御部
105a 情報取得部
105b 特定部
105c 演算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11