(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】充電管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230621BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230621BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20230621BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20230621BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20230621BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20230621BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
G06Q50/10
H02J7/00 P
H02J7/02 F
B60L53/12
B60L53/67
B60L53/68
G08G1/00 D
(21)【出願番号】P 2019072458
(22)【出願日】2019-04-05
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安達 香
(72)【発明者】
【氏名】古田 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】吉村 尚秀
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 達夫
(72)【発明者】
【氏名】福井 慎一
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-011951(JP,A)
【文献】特表2017-529038(JP,A)
【文献】特開2015-108854(JP,A)
【文献】特開2017-059099(JP,A)
【文献】特開2015-171188(JP,A)
【文献】国際公開第2013/065419(WO,A1)
【文献】特開2011-244630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H02J 7/00
H02J 7/02
B60L 53/12
B60L 53/67
B60L 53/68
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両に同時に充電が可能な充電部と、
複数の前記車両への充電における優先度を決定する優先度決定部と、
少なくとも前記優先度決定部が決定した前記優先度に基づいて、前記車両への充電を制御する充電制御部と、
前記優先度決定部によって決定された前記優先度に基づいて複数の前記車両のユーザに対する特典の付与を制御する特典管理部と、
を備え
、
前記充電制御部は、前記優先度決定部が決定した前記優先度と、前記充電部が供給可能な電力量とに基づいて、複数の前記車両のそれぞれに対する単位時間当たりの電力供給量、または、複数の前記車両のそれぞれに対して充電を行う順番を制御する充電管理システム。
【請求項2】
前記特典管理部は、少なくとも前記優先度が最も低いと前記優先度決定部によって決定された前記車両の前記ユーザに対して、特典を付与することを決定する請求項1に記載の充電管理システム。
【請求項3】
前記特典管理部は、前記特典を付与する前記ユーザの前記車両よりも前記優先度が高いと前記優先度決定部によって決定された前記車両の前記ユーザから前記特典を徴収し、徴収した前記特典の少なくとも一部を、少なくとも前記特典を徴収した前記ユーザの前記車両よりも前記優先度が低いと前記優先度決定部によって決定された前記車両の前記ユーザに対して付与する請求項2に記載の充電管理システム。
【請求項4】
前記特典管理部は、少なくとも前記優先度が最も高いと前記優先度決定部によって決定された前記車両の前記ユーザから前記特典を徴収し、徴収した前記特典の少なくとも一部を、少なくとも前記優先度が最も低いと前記優先度決定部によって決定された前記車両の前記ユーザに対して付与する請求項2に記載の充電管理システム。
【請求項5】
前記車両の前記ユーザに対して、複数段階を有するランクの中からいずれかの前記ランクを登録する登録部を備える請求項1から4のいずれか一項に記載の充電管理システム。
【請求項6】
前記優先度決定部は、前記登録部が登録した前記ユーザの前記ランクに少なくとも基づいて、前記優先度を決定する請求項5に記載の充電管理システム。
【請求項7】
前記優先度に対する前記ユーザの希望条件を入力する入力部を備え、
前記優先度決定部は、前記入力部に入力された前記ユーザの前記希望条件に少なくとも基づいて、前記優先度を決定する請求項5または6に記載の充電管理システム。
【請求項8】
前記特典管理部は、前記特典を徴収する前記ユーザに対して、前記登録部が登録した前記ユーザの前記ランクに基づいて、徴収する前記特典の量を管理する請求項5から7のいずれか一項に記載の充電管理システム。
【請求項9】
前記特典管理部は、前記ユーザから前記特典を徴収する際に、前記ユーザの前記ランクが相対的に高い場合よりも、前記ユーザの前記ランクが相対的に低い場合の方が、前記特典を多く徴収する請求項8に記載の充電管理システム。
【請求項10】
前記特典管理部は、前記特典を付与する前記ユーザに対して、前記登録部が登録した前記ユーザの前記ランクに基づいて、付与する前記特典の量を管理する請求項5から9のいずれか一項に記載の充電管理システム。
【請求項11】
前記特典管理部は、前記ユーザに対して前記特典を付与する際に、前記ユーザの前記ランクが相対的に低い場合よりも、前記ユーザの前記ランクが相対的に高い場合の方が、前記特典を多く付与する請求項10に記載の充電管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の車両に充電する場合に、優先順位を決定し、決定した優先順位の高い車両ほど充電可能な電力の値が大きくなるように、各車両に対する充電管理を行う充電管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように車両の充電において優先する車両を設定した場合、優先されなかった車両のユーザが不公平感を抱くおそれがある。
【0005】
本発明は、ユーザの不公平感を低減することができる充電管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の充電管理システムは、複数の車両に同時に充電が可能な充電部と、複数の前記車両への充電における優先度を決定する優先度決定部と、少なくとも前記優先度決定部が決定した前記優先度に基づいて、前記車両への充電を制御する充電制御部と、前記優先度決定部によって決定された前記優先度に基づいて複数の前記車両のユーザに対する特典の付与を制御する特典管理部と、を備え、前記充電制御部は、前記優先度決定部が決定した前記優先度と、前記充電部が供給可能な電力量とに基づいて、複数の前記車両のそれぞれに対する単位時間当たりの電力供給量、または、複数の前記車両のそれぞれに対して充電を行う順番を制御する。
【0007】
また、前記特典管理部は、少なくとも前記優先度が最も低いと前記優先度決定部によって決定された前記車両の前記ユーザに対して、特典を付与することを決定してもよい。
【0008】
また、前記特典管理部は、前記特典を付与する前記ユーザの前記車両よりも前記優先度が高いと前記優先度決定部によって決定された前記車両の前記ユーザから前記特典を徴収し、徴収した前記特典の少なくとも一部を、少なくとも前記特典を徴収した前記ユーザの前記車両よりも前記優先度が低いと前記優先度決定部によって決定された前記車両の前記ユーザに対して付与してもよい。
【0009】
また、前記特典管理部は、少なくとも前記優先度が最も高いと前記優先度決定部によって決定された前記車両の前記ユーザから前記特典を徴収し、徴収した前記特典の少なくとも一部を、少なくとも前記優先度が最も低いと前記優先度決定部によって決定された前記車両の前記ユーザに対して付与してもよい。
【0010】
また、前記車両の前記ユーザに対して、複数段階を有するランクの中からいずれかの前記ランクを登録する登録部を備えてもよい。
【0011】
また、前記優先度決定部は、前記登録部が登録した前記ユーザの前記ランクに少なくとも基づいて、前記優先度を決定してもよい。
【0012】
また、前記優先度に対する前記ユーザの希望条件を入力する入力部を備え、前記優先度決定部は、前記入力部に入力された前記ユーザの前記希望条件に少なくとも基づいて、前記優先度を決定してもよい。
【0013】
また、前記特典管理部は、前記特典を徴収する前記ユーザに対して、前記登録部が登録した前記ユーザの前記ランクに基づいて、徴収する前記特典の量を管理してもよい。
【0014】
また、前記特典管理部は、前記ユーザから前記特典を徴収する際に、前記ユーザの前記ランクが相対的に高い場合よりも、前記ユーザの前記ランクが相対的に低い場合の方が、前記特典を多く徴収してもよい。
【0015】
また、前記特典管理部は、前記特典を付与する前記ユーザに対して、前記登録部が登録した前記ユーザの前記ランクに基づいて、付与する前記特典の量を管理してもよい。
【0016】
また、前記特典管理部は、前記ユーザに対して前記特典を付与する際に、前記ユーザの前記ランクが相対的に低い場合よりも、前記ユーザの前記ランクが相対的に高い場合の方が、前記特典を多く付与してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ユーザの不公平感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】充電管理システムの概略的な構成を示した説明図である。
【
図4】充電ステーションの構成を示すブロック図である。
【
図6】充電管理システムの第1のシーケンス図である。
【
図7】ユーザランク決定テーブルの一例を示す図である。
【
図8】充電管理システムの第2のシーケンス図である。
【
図9】充電ステーション表示部における表示態様を示した概略図である。
【
図10】(a)は優先度決定テーブルの一例を示し、(b)は電力供給量決定テーブルの一例を示し、(c)は特典決定テーブルの一例を示す図である。
【
図11】ユーザランク情報取得処理を説明するフローチャートである。
【
図12】特典残量情報取得処理を説明するフローチャートである。
【
図13】優先度決定処理を説明するフローチャートである。
【
図14】車両充電処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0021】
図1は、充電管理システムSの概略的な構成を示した説明図である。充電管理システムSは、車両200と、サーバ300と、充電ステーション400と、通信基地局500aを有する通信網500とを含んで構成される。
【0022】
車両200および充電ステーション400は、通信基地局500aおよび通信網500を介してサーバ300との通信を確立することができる。
【0023】
通信基地局500aは、通信網500と接続され、車両200と無線により情報の送受信を行う。通信基地局500aは、車両200から無線により送信された情報を、通信網500を介してサーバ300に送信する。例えば、通信網500は、携帯電話網、インターネット、LAN(Local Area Network)、専用回線等で構成される。
【0024】
また、充電ステーション400は、通信網500と接続され、サーバ300との通信を行う。また、サーバ300は、車両200または充電ステーション400から入力された情報を蓄積する。
【0025】
図2は、車両200を説明する概略図である。車両200は、バッテリ221、走行モータ222、受電部223、走行距離メータ224、車両通信部225を備える。
【0026】
本実施形態では、車両200は、走行モータ222のみで走行する電気自動車で構成される。ただし、車両200は、不図示のエンジン、および、走行モータ222を動力源として走行するハイブリッド自動車で構成されてもよい。
【0027】
バッテリ221は、外部から供給される電力を蓄える。走行モータ222は、バッテリ221に蓄えられた電力により駆動する。受電部223は、車両200の後方側に設けられ、外部から送電される電力をバッテリ221に充電する。走行距離メータ224は、車両200の走行距離を取得する。車両通信部225は、通信基地局500aへの情報の出力、および、通信基地局500aからの情報の入力に係る処理を行う。
【0028】
図3は、サーバ300の構成を示すブロック図である。サーバ300は、サーバ通信部301、サーバ記憶装置302、サーバ制御部303を備える。
【0029】
サーバ通信部301は、通信網500への情報の出力、および、通信網500からの情報の入力に係る処理を行う。具体的には、サーバ通信部301は、車両200または充電ステーション400との通信を行う。
【0030】
サーバ記憶装置302は、ユーザの車両200における総合走行距離情報、メーカ車両のユーザの継続利用期間、ユーザランク情報およびユーザの所有する特典(マイル)残量情報を記憶する。
【0031】
サーバ制御部303は、サーバ300の全体を管理および制御する機能を有する。サーバ制御部303は、特典残量管理部303a、ランク登録部303bとして機能する。
【0032】
特典残量管理部303aは、ユーザごとの特典残量を管理する。そして、ユーザが特典を消費した場合や、ユーザが特典を獲得した場合には、ユーザの特典残量を更新して、サーバ記憶装置302に記憶する。
【0033】
ランク登録部303bは、ユーザごとのランク情報を管理する。そして、ユーザランクが昇格した場合や、ユーザランクが降下した場合には、ユーザランクを更新して、サーバ記憶装置302に記憶する。
【0034】
図4は、充電ステーション400の構成を示すブロック図である。
図5は、充電ステーション400を説明する概略図である。充電ステーション400は、充電ステーション通信部401、充電ステーション表示部402、充電ステーション操作部403、充電ステーション記憶装置404、充電部405、充電ステーション制御部406を備える。
【0035】
充電ステーション通信部401は、通信網500を介してサーバ300への情報の出力、および、サーバ300からの情報の入力に係る処理を行う。
【0036】
充電ステーション表示部402は、液晶ディスプレイで構成され、充電ステーション制御部406の制御によってさまざまな画像が表示される。
【0037】
充電ステーション操作部403は、ユーザの操作を受け付け、ユーザの希望条件を入力する入力部であり、充電ステーション表示部402に設けられるタッチパネル、あるいはこれらの組み合わせで構成される。ここでは、充電ステーション操作部403がタッチパネルで構成される場合について説明する。ただし、充電ステーション操作部403は、ユーザの操作を受け付けることができれば、その構成は特に限定されるものではない。
【0038】
充電ステーション記憶装置404は、サーバ300から受信したユーザランク情報およびユーザの特典残量情報を記憶する。
【0039】
充電部405は、不図示の送電コイルを含んで構成され、車両200の受電部223に電力を非接触で送電する。なお、
図5に示すように、本実施形態において、充電ステーション400では、複数台の車両200に同時に充電可能となっている。ただし、複数台の車両200に同時に充電する場合、単位時間あたりに供給可能となる総合的な電力供給量には制限がある。
【0040】
充電ステーション制御部406は、充電ステーション400の全体を管理および制御する機能を有する。充電ステーション制御部406は、優先度決定部406a、特典管理部406b、充電制御部406cとして機能する。
【0041】
優先度決定部406aは、充電におけるユーザの優先度を決定する。ユーザの優先度は、ユーザが選択し、希望した後述する充電モードに基づいて決定される。
【0042】
特典管理部406bは、充電に伴って、ユーザから徴収する特典の量、または、ユーザに付与する特典の量を管理する。具体的には、特典管理部406bでは、ユーザからの特典の徴収、または、ユーザへの特典の付与を実行する場合に、通信網500を介してサーバ300に徴収・付与特典量情報を出力する。
【0043】
充電制御部406cは、ユーザの車両200への充電を行う際の電力供給量を決定し、決定した供給量に基づいてユーザの車両200への電力供給量を管理する。具体的には、充電制御部406cでは、優先度決定部406aが決定した優先度に基づいて、各車両200への単位時間当たりの電力供給量を制御している。
【0044】
次に、車両200とサーバ300との間で行われる通信処理の一例を、時系列に沿って説明する。
図6は、充電管理システムSの第1のシーケンス図である。
図6に示すように、車両200から走行距離情報が出力されると(S200)、サーバ制御部303は、受信した走行距離情報をサーバ記憶装置302に記憶する(S301)。本実施形態では、車両200が走行距離情報をサーバ300に出力する際に、ユーザIDの情報を併せてサーバ300へ出力する。サーバ制御部303は、受信したユーザIDに基づいて、サーバ記憶装置302に記憶されているユーザの情報を特定している。
【0045】
そして、サーバ制御部303は、受信した走行距離情報に基づいてユーザの車両200の走行距離(1年分)を更新する(S302)。本実施形態では、ユーザの車両200の過去1年間の走行距離を保存している。例えば、受信した走行距離情報と、サーバ300のサーバ記憶装置302に保存されている1年前のユーザの車両200の走行距離との差から、過去一年間の走行距離を算出している。
【0046】
図7は、ユーザランク決定テーブルの一例を示す図である。本実施形態では、ユーザランクは、スタンダードと、スタンダードよりも優位のプレミアが設けられている。
図7では、メーカ車両の継続利用期間が10年以上、または、総合走行距離が過去1年間で1万キロメートル以上である場合に、ランクがプレミアに設定される。一方、メーカ車両の継続利用期間が10年未満であり、かつ、総合走行距離が過去1年間で1万キロメートル未満である場合に、ランクがスタンダードに設定される。このような複数の条件でユーザランクを決定することにより、長期的なユーザだけでなく、新規のユーザも優位なランクに設定可能となる。サーバ300のランク登録部303bは、サーバ記憶装置302に記憶されているメーカ車両のユーザの継続利用期間と、上記ステップS302で更新した総合距離情報とに基づいて、ユーザランク決定テーブル(
図7)を参照して、ユーザランクを決定する(S303)。そして、ランク登録部303bは、上記ステップS303で決定したユーザランクをサーバ記憶装置302に保存する(S304)。
【0047】
次に、サーバ300と充電ステーション400との間で行われる通信処理の一例を、時系列に沿って説明する。
図8は、充電管理システムSの第2のシーケンス図である。本実施形態では、充電ステーション操作部403においてユーザの所定の操作がなされた場合、
図8に示すように、充電ステーション制御部406は、ユーザランク情報要求信号をサーバ300に出力する(S400)。この際に、ユーザIDの情報が併せて、サーバ300に出力される。
【0048】
サーバ制御部303は、ユーザランク情報要求信号を受信すると、サーバ記憶装置302に記憶されているユーザランク情報を受信したユーザIDに基づいて特定して、充電ステーション400へ出力する(S305)。ユーザランク情報を受信すると、充電ステーション制御部406では、受信したユーザランク情報を充電ステーション記憶装置404に記憶する(S400)。なお、このステップS400の処理については、詳しくは後述する。
【0049】
また、充電ステーション制御部406は、特典残量情報要求信号をサーバ300に出力する(S401)。この際に、ユーザIDの情報が併せて、サーバ300に出力される。なお、サーバ制御部303は、特典残量情報要求信号を受信すると、サーバ記憶装置302に記憶されている特典残量情報を、受信したユーザIDに基づいて特定して、充電ステーション400へ出力する(S306)。特典残量情報を受信すると、充電ステーション制御部406では、受信した特典残量情報を充電ステーション記憶装置404に記憶する(S401)。なお、このステップS401の処理については、詳しくは後述する。
【0050】
そして、充電ステーション操作部403において、ユーザによって、後述する充電モードを選択する操作がなされると、充電ステーション400の優先度決定部406aは、ユーザが選択した充電モードに基づいて、充電におけるユーザの優先度を決定する(S402)。また、充電ステーション400の充電制御部406cは、優先度決定部406aが決定した優先度に基づいて、ユーザの車両200への単位時間当たりの電力供給量を決定する(S402)。また、充電ステーション400の特典管理部406bは、優先度決定部406aが決定した優先度に基づいて、ユーザから徴収する特典の量、または、ユーザに付与する特典の量を決定する(S402)。なお、このステップS402の処理については、詳しくは後述する。
【0051】
そして、充電制御部406cは、ユーザの車両200への充電処理を実行する(S403)。なお、このステップS403の処理については、詳しくは後述する。そして、ユーザの車両200への充電が終了すると、充電ステーション制御部406は、徴収・付与特典量情報をサーバ300へ出力する。この際に、ユーザIDの情報が併せて、サーバ300に出力される。
【0052】
そして、特典残量管理部303aは、徴収・付与特典量情報を受信すると、サーバ記憶装置302に記憶されている特典残量情報を、受信したユーザIDに基づいて特定して、ユーザの特典残量を更新して、サーバ記憶装置302に記憶する(S307)。
【0053】
図9は、充電ステーション表示部402における表示態様を示した概略図である。ユーザが、充電ステーション400に来店すると、
図9(a)に示すように、充電ステーション表示部402の下部には、「ユーザIDを入力してください」というID要求メッセージ画像が表示される。なお、ユーザIDは、例えば、ユーザIDの情報が記憶されているICカード等を読み込むことによって取得することができる。ただし、具体的な方法は特に限定されない。
【0054】
そして、ユーザIDが入力されると、充電ステーション制御部406は、
図9(b)に示すように、充電モード選択IFを充電ステーション表示部402に表示する。充電モード選択IFでは、充電ステーション表示部402の上部に「充電モードを選択してください」という充電モード選択要求メッセージ画像が表示されるとともに、充電ステーション表示部402の中央にメニューバーが表示される。ここでは、メニューバーに2つのタブ410が表示されており、各タブ410に、「急速モード」、「ゆっくりモード」のテキストが表示されている。なお、充電ステーション表示部402の下部には、入力されたユーザIDに基づいて、サーバ300から取得したユーザランクおよび特典残量情報が表示される。
【0055】
図10(a)は、優先度決定テーブルの一例を示す図である。優先度決定テーブルには、充電モードに基づいて決定される優先度が設定されている。本実施形態では、優先度は2段階で設定されており、番号が小さい方が優先度が高く設定される。優先度決定部406aは、ユーザが希望する充電モードに基づいて、優先度決定テーブルを参照して、充電におけるユーザの優先度を決定する。
【0056】
そして、
図9(b)に示すように、ユーザが「急速モード」と記されたタブ410を操作すると、
図9(c)に示すように、充電ステーション制御部406は、充電ステーション表示部402に確定IFを表示する。確定IFでは、充電ステーション表示部402に、「電力供給量」と、「消費マイル数」または「獲得マイル数」が表示される。さらに、確定IFでは、充電ステーション表示部402の右下部に、「確定」と記されたボタン画像が表示される。なお、ユーザが「確定」と記されたボタン画像を操作すると、車両200への充電が開始されることとなる。
【0057】
図10(b)は、電力供給量決定テーブルの一例を示す図である。電力供給量決定テーブルには、優先度決定部406aが決定した優先度に基づいて決定される単位時間当たりの電力供給量が設定される。充電制御部406cは、優先度決定部406aによって優先度1、または、優先度2に決定されたそれぞれの車両200の台数に基づいて、優先度1、または、優先度2に決定されたそれぞれの車両200への単位時間当たりの電力供給量を決定する。
【0058】
具体的に、電力供給量決定テーブルには、優先度決定部406aによって優先度1に決定された車両200の数、および、優先度2に決定された車両200の数に基づいて、優先度1に決定された車両200への単位時間当たりの電力供給量、および、優先度2に決定された車両200への単位時間当たりの電力供給量が設定されている。電力供給量決定テーブルにおける(X、Y)の記載は、優先度1に設定された各車両200へXkWh/minで電力供給を行い、優先度2に設定された各車両200へYkWh/minで電力供給を行うことを示している。
【0059】
具体的には、例えば、優先度1に設定された車両200の数が1台であり、優先度2に設定された車両200の台数が3台の場合、優先度1に設定された車両200へ10kWh/minで電力供給を行い、優先度2に設定された各車両200へ5kWh/minで電力供給を行うことが設定されている。本実施形態では、充電ステーション400において、単位時間当たりの供給可能な電力量の合計値が30kWh/min以下であり、同時に充電可能な車両200の台数が5台までとなっている。電力供給量決定テーブルは、充電ステーション400が単位時間当たりの供給可能な電力量の合計値を超えないように、車両200への単位時間当たりの電力供給量が設定されている。
【0060】
なお、車両200への充電中に、再度、充電制御部406cによって、各車両200への単位時間当たりの電力供給量が決定された場合には、充電制御部406cは、新たに決定された各車両200への単位時間当たりの電力供給量に基づいて、各車両200への充電を実行する。
【0061】
図10(c)は、特典決定テーブルの一例を示す図である。特典決定テーブルには、サーバ300から取得したユーザランクと、優先度決定部406aが決定した優先度とに基づいて、付与または徴収される特典の量が設定されている。具体的には、
図10(c)に示すように、優先度「1」の場合には、ユーザランクが相対的に低いスタンダードのユーザの方が、ユーザランクが相対的に高いプレミアのユーザよりも、徴収される特典の量が多くなるように設定されている。また、優先度「2」の場合には、ユーザランクが相対的に高いプレミアのユーザの方が、ユーザランクが相対的に低いスタンダードのユーザよりも、付与される特典の量が多くなるように設定されている。このとき、徴収した特典の少なくとも一部が、ユーザへ付与される特典として再利用される。
【0062】
特典管理部406bは、サーバ300から取得したユーザランクと、優先度決定部406aが決定した優先度とに基づいて、特典決定テーブルを参照して、ユーザから徴収する特典の量、または、ユーザに付与する特典の量を決定する。
【0063】
このとき、特典管理部406bが決定したユーザから徴収する特典の量が、ユーザの所有する特典残量よりも多い場合には、
図9(d)に示すように、充電ステーション表示部402の中央部に「別のモードを選択してください」という再選択要求画像が表示される。そして、再度、
図9(b)に示すように、充電モード選択IFが表示される。
【0064】
以下に、まず、ユーザランク情報取得処理について説明する。
【0065】
(ユーザランク情報取得処理)
図11は、ユーザランク情報取得処理を説明するフローチャートである。まず、充電ステーション制御部406は、ユーザIDが入力されたかを判定する(S400-1)。ユーザIDが入力された場合(S400-1のY)、充電ステーション制御部406は、ユーザランク情報要求信号をサーバ300に出力する(S400-2)。充電ステーション制御部406は、タイマをセットする。充電ステーション制御部406は、ユーザランク情報が入力されるまでの間(S400-3のN)、タイマを更新するタイマ更新処理を行い(S400-4)、ユーザランク情報要求信号を出力してから所定時間以上が経過したか、つまり、タイムオーバーかを判定する(S400-5)。タイムオーバーとなった場合(S400-5のY)、充電ステーション制御部406は、ユーザランク情報取得終了処理(S400-6)を行い、ユーザランク情報取得処理を終了する。
【0066】
一方、充電ステーション制御部406は、ユーザランク情報が入力されると(S400-3のY)、充電ステーション記憶装置404にユーザランク情報を記憶する(S400-7)。そして、ユーザランク情報が充電ステーション記憶装置404に記憶されると、特典管理部406bは、特典残量情報取得処理を実行する(S401)。次に、この特典残量情報取得処理について説明する。
【0067】
(特典残量情報取得処理)
図12は、特典残量情報取得処理を説明するフローチャートである。充電ステーション制御部406は、特典残量情報要求信号をサーバ300に出力する(S401-1)。充電ステーション制御部406は、タイマをセットする。充電ステーション制御部406は、特典残量情報が入力されるまでの間(S401-2のN)、タイマを更新するタイマ更新処理を行い(S401-3)、特典残量情報要求信号を出力してから所定時間以上が経過したか、つまり、タイムオーバーかを判定する(S401-4)。タイムオーバーとなった場合(S401-4のY)、充電ステーション制御部406は、特典残量情報取得終了処理(S401-6)を行い、ユーザランク情報取得処理を終了する。
【0068】
一方、充電ステーション制御部406は、ユーザランク情報が入力されると(S401-2のY)、充電ステーション記憶装置404にユーザランク情報を記憶する(S401-6)。そして、特典残量情報が充電ステーション記憶装置404に記憶されると、優先度決定部406aは、優先度決定処理を実行する(S402)。次に、この優先度決定処理について説明する。
【0069】
(優先度決定処理)
図13は、優先度決定処理を説明するフローチャートである。充電ステーション制御部406は、充電モード選択IF(
図9(b)参照)を充電ステーション表示部402に表示する(S402-1)。充電ステーション制御部406は、タイマをセットする。充電ステーション制御部406は、充電モード選択IFのタブ410が操作されるまでの間(S402-2のN)、タイマを更新するタイマ更新処理を行い(S402-3)、充電モード選択IFを表示してから所定時間以上が経過したか、つまり、タイムオーバーかを判定する(S402-4)。タイムオーバーとなった場合(S402-4のY)、充電ステーション制御部406は、優先度決定終了処理(S402-14)を行い、優先度決定処理を終了する。
【0070】
一方、優先度決定部406aは、充電モード選択IFのタブ410が操作されると(S402-2のY)、ユーザが選択した充電モードに基づいて、優先度決定テーブル(
図10(a))を参照して、ユーザの優先度を決定する(S402-5)。また、充電制御部406cは、優先度決定部406aが決定した優先度に基づいて、電力供給量決定テーブル(
図10(b))を参照し、ユーザの車両200への単位時間当たりの電力供給量を決定する(S402-6)。また、特典管理部406bは、優先度決定部406aが決定した優先度と、充電ステーション記憶装置404に記憶したユーザランク情報とに基づいて、ユーザから徴収する特典の量、または、ユーザに付与する特典の量を決定する(S402-7)。充電ステーション制御部406は、ユーザから特典を徴収する場合、ユーザから徴収する特典の量が、ユーザの所有する特典残量よりも多いかを判定する。その結果、ユーザから徴収する特典の量が、ユーザの所有する特典残量よりも多い場合には(S402-8のN)、充電ステーション表示部402に再選択要求画像を表示し(S402-9)、その後、再び充電モード選択IF(
図9(b)参照)を充電ステーション表示部402に表示する(S402-1)。
【0071】
特典管理部406bが決定したユーザから徴収する特典の量が、ユーザの所有する特典残量よりも少ない場合(S402-8のY)、および、特典管理部406bがユーザに特典を付与することを決定した場合には、充電ステーション制御部406は、充電ステーション表示部402に確定IF(
図9(c)参照)を表示する(S402-10)。充電ステーション制御部406は、タイマをセットする。充電ステーション制御部406は、確定IFの「確定」と記されたボタン画像が操作されるまでの間(S402-11のN)、タイマを更新するタイマ更新処理を行い(S402-12)、確定IFを表示してから所定時間以上が経過したか、つまり、タイムオーバーかを判定する(S402-13)。タイムオーバーとなった場合(S402-13のY)、充電ステーション制御部406は、優先度決定終了処理(S402-14)を行い、優先度決定処理を終了する。
【0072】
一方、優先度決定部406aは、確定IFの「確定」と記されたボタン画像が操作されると(S402-11のY)、充電制御部406cは、ユーザの車両200への充電処理を実行する(S403)。次に、この充電処理について説明する。
【0073】
(充電処理)
図14は、充電処理を説明するフローチャートである。充電制御部406cが決定した車両200への単位時間当たりの電力供給量に基づいて、充電制御部406cは、車両200への充電を開始する(S403-1)。そして、充電制御部406cは、車両200への充電が完了するまでの間の車両200への単位時間当たりの電力供給量を制御(S403-2)を継続する(S403-3のN)。なお、本実施形態では、説明を容易にするため、車両200の充電が充電容量のいっぱいとなるまで充電を行うことする。そして、車両200への充電が完了すると(S403-2のY)、充電ステーション制御部406は、徴収・付与特典量情報をサーバ300へ出力し(S403-3)、当該充電処理を終了する。
【0074】
上記の充電管理システムSによれば、優先度が低いユーザに対しても、特典が付与されるため、優先度が低い車両200のユーザの不公平感を低減することが可能となる。
【0075】
以上、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0076】
上記実施形態では、ユーザが選択可能な充電モードが2種類設けられた場合について示したが、充電モードの種類は特に限定されない。また、ユーザのランクに応じた充電モードを設けてもよい。具体的には例えば、ユーザランクがプレミアであるユーザのみ選択可能であり、「急速モード」よりもさらに優位な「超高速モード」を設けてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、優先度を2段階設ける場合について示したが、優先度は少なくとも複数段階あればよく、3段階以上であってもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、特典としてマイルを用いる場合を示したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、優先度に応じて充電料金の割増や割引を行ってもよい。
また、上記実施形態では、ユーザの優先度が、充電モードに少なくとも基づいて決定されることとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ユーザの優先度が、ユーザランクに少なくとも基づいて決定されてもよい。あるいは、ユーザの優先度が、充電モードおよびユーザランクに少なくとも基づいて決定されてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、優先度に基づいて、各車両200への単位時間当たりの電力供給量を決定したが、本発明はこれに限定されない。具体的には、例えば、優先度に基づいて、複数の車両200のそれぞれに対して充電を行う順番を制御してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、充電管理システムに利用できる。
【符号の説明】
【0081】
S 充電管理システム
200 車両
303b ランク登録部
403 充電ステーション操作部(入力部)
405 充電部
406a 優先度決定部
406b 特典管理部
406c 充電制御部