(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】硬貨排出装置
(51)【国際特許分類】
G07D 1/00 20060101AFI20230621BHJP
【FI】
G07D1/00 Z GBN
(21)【出願番号】P 2019138102
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】秋田 基晴
(72)【発明者】
【氏名】村岡 至紘
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-014085(JP,A)
【文献】特開2005-258962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16
G07D 9/00-13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を収容可能な硬貨孔を有する回転板を備え、前記回転板を回転させることで、前記硬貨孔に収容された硬貨を外部に排出する硬貨排出装置であって、
前記回転板の上部に配置される攪拌シートを備え、
前記回転板の回転軸の軸方向から見て、前記回転板の回転時に、前記攪拌シートの先端部が前記硬貨孔を通過
し、
前記回転軸の軸方向から見て、第2距離と第1距離との差が、前記硬貨孔の半径と同じであり、
前記第1距離は、前記回転軸と前記硬貨孔との距離を示し、
前記第2距離は、前記回転軸と前記攪拌シートの先端部との距離を示す、硬貨排出装置。
【請求項2】
硬貨を収容可能な硬貨孔を有する回転板を備え、前記回転板を回転させることで、前記硬貨孔に収容された硬貨を外部に排出する硬貨排出装置であって、
前記回転板の上部に配置される攪拌シートを備え、
前記回転板の回転軸の軸方向から見て、前記回転板の回転時に、前記攪拌シートの先端部が前記硬貨孔を通過し、
前記攪拌シートを支持する支持台と、
前記支持台との間で前記攪拌シートを挟持することで、前記支持台に対して前記攪拌シートを着脱自在に固定する固定部材と
をさらに備える、硬貨排出装置。
【請求項3】
前記攪拌シートの先端部は、前記回転板の上面と同じ高さに配置される、請求項1又は請求項2に記載の硬貨排出装置。
【請求項4】
前記攪拌シートの先端部は、前記回転板の上面よりも所定寸法、上方に配置される、請求項1又は請求項2に記載の硬貨排出装置。
【請求項5】
前記攪拌シートは、前記回転板の上面に対して傾斜する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の硬貨排出装置。
【請求項6】
前記攪拌シートの上方に配置され、前記回転板上に硬貨を供給するスロープ部をさらに備える、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の硬貨排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機、セルフ式ガソリンスタンド、又はスーパーマーケットに設置された自動精算機には、釣銭入出金機が内蔵されている。
【0003】
特許文献1には、釣銭入出金機に備えられる硬貨排出装置が開示されている。特許文献1に記載の硬貨排出装置は、キャリングディスクの貫通孔に硬貨を導き、貫通孔から外部に硬貨を排出する。キャリングディスクの上面には、複数の突起が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、貫通孔上で複数の硬貨が斜めに重なった場合、複数の突起では、複数の硬貨の姿勢を崩すことが困難であった。その結果、貫通孔上で複数の硬貨が斜めに重なった状態が保持されるので、硬貨排出装置が硬貨を排出不能な状態になる可能性があった。
【0006】
本発明は、硬貨を排出不能な状態になることを抑制できる硬貨排出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1局面によれば、硬貨排出装置は、回転板を備える。回転板は、硬貨を収容可能な硬貨孔を有する。硬貨排出装置は、前記回転板を回転させることで、前記硬貨孔に収容された硬貨を外部に排出する。硬貨排出装置は、攪拌シートを備える。攪拌シートは、前記回転板の上部に配置される。前記回転板の回転軸の軸方向から見て、前記回転板の回転時に、前記攪拌シートの先端部が前記硬貨孔を通過する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、硬貨排出装置が硬貨を排出不能な状態になることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る釣銭入出金機を示すブロック図である。
【
図3】釣銭入出金機から複数の硬貨収納出金装置を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図8】回転板と攪拌シートとの位置関係を示す平面図である。
【
図9】回転板と攪拌シートとの位置関係を示す断面図である。
【
図10】攪拌シートの取付構造を示す分解斜視図である。
【
図11】(a)硬貨排出装置により第1室内の硬貨が排出される手順を示す図である。(b)硬貨排出装置により第1室内の硬貨が排出される手順を示す図である。
【
図12】(a)硬貨排出装置により第1室内の硬貨が排出される手順を示す図である。(b)硬貨排出装置により第1室内の硬貨が排出される手順を示す図である。
【
図13】(a)~(c)は、硬貨排出装置が攪拌シートを含まない場合の、硬貨排出装置の動作を示す模式図である。
【
図14】(a)~(c)は、硬貨排出装置が攪拌シートを含む場合の、硬貨排出装置の動作を示す模式図である。
【
図15】攪拌シートにより複数の硬貨Kのうちの最上段の硬貨Kがすりきられている状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
図1~
図3を参照して、本発明の実施形態に係る釣銭入出金機100について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る釣銭入出金機100を示すブロック図である。
図2は、釣銭入出金機100を示す斜視図である。
図3は、釣銭入出金機100から複数の硬貨収納出金装置1を取り外した状態を示す斜視図である。
【0012】
[釣銭入出金機の全体構成について]
図1~
図3に示すように、釣銭入出金機100は、硬貨収納出金装置1と、硬貨投入口101と、硬貨識別部102と、硬貨搬送部103と、モータMと、硬貨払出口104と、制御部105とを備える。硬貨収納出金装置1は、硬貨収納出金装置1Aと、硬貨収納出金装置1Bと、硬貨収納出金装置1Cとを含む。
【0013】
硬貨収納出金装置1Aは、1円及び5円硬貨を個別に収納する。硬貨収納出金装置1Bは、10円及び50円硬貨を個別に収納する。硬貨収納出金装置1Cは、100円及び500円硬貨を個別に収納する。硬貨識別部102は、硬貨投入口101に投入された硬貨(貨幣)Kの金種を識別する。硬貨搬送部103は、搬送通路103aを有する。搬送通路103aは、金種を識別された硬貨Kをいずれかの硬貨収納出金装置1に搬送する。モータMは、各硬貨収納出金装置1に設けられる。硬貨払出口104は、硬貨収納出金装置1内の硬貨Kを釣銭として払い出す。制御部105は、硬貨識別部102、硬貨搬送部103、及び硬貨収納出金装置1と電気的に接続される。
【0014】
釣銭入出金機100は、予備硬貨収納ボックス2をさらに備える。予備硬貨収納ボックス2は、各硬貨収納出金装置1がオーバーフローする硬貨Kを収納する。
【0015】
釣銭入出金機100の筐体100aは、直方体形に形成される。筐体100a内には、収容スペースSが設けられる。筐体100aの短辺方向に配置された平行な広い二側面のうちの一側面には、開口部100bが形成されている。収容スペースSには、開口部100bを介して3つの硬貨収納出金装置1が着脱可能に装着される。収容スペースSには、各硬貨収納出金装置1に対応する3つのモータM及び3つの駆動ギアGが設けられている。各モータMの出力は各駆動ギアGを介して後述する回転力伝達部23(
図5参照)に伝達される。その結果、硬貨の払い出しが行われる。
【0016】
硬貨収納出金装置1Aは、第1室1Aaと、第2室1Abとを含む。第1室1Aaと第2室1Abには、1円硬貨と5円硬貨とが収納される。硬貨収納出金装置1Bは、第1室1Baと、第2室1Bbとを含む。第1室1Baと第2室1Bbとには10円硬貨と50円硬貨が収納される。硬貨収納出金装置1Cは、第1室1Caと,第2室1Cbとを含む。第1室1Caと第2室1Cbには、100円硬貨と500円硬貨が収納される。
【0017】
なお、図示は省略するが、釣銭入出金機100は、紙幣収納出金装置と、紙幣導入口と、紙幣識別部と、紙幣搬送部と、紙幣払出口とを備えてもよい。紙幣収納出金装置は、複数種類の紙幣(例えば、千円札、五千円札、及び一万円札)を種類別に収納出金可能である。紙幣識別部は、紙幣導入口に導入された紙幣の金種を識別する。紙幣搬送部は、金種を識別された紙幣を紙幣収納出金装置に搬送する搬送通路を有する。紙幣払出口は、紙幣収納出金装置内の紙幣を釣銭として払い出す。この場合、制御部105は、紙幣識別部、紙幣搬送部、及び紙幣収納出金装置と電気的に接続される。
【0018】
硬貨識別部102は、例えば,硬貨の大きさ(厚みを含む)、重量、及び/又は、材質から金種を識別し、硬貨識別信号を制御部105へ送信する。また、紙幣識別部は、例えば、紙幣の印刷パターン(透かしを含む)、印刷インクの材質、及び/又は、縦横寸法から金種を識別し、紙幣識別信号を制御部105へ送信する。
【0019】
硬貨搬送部103は、硬貨搬送機構(不図示)と、複数の搬送通路切換機構103bとを含む。硬貨搬送機構は、搬送通路103a上に設けられる。硬貨搬送機構は、搬送通路103a上に載置される硬貨Kを搬送方向(矢印A方向)に搬送する。搬送通路切換機構103bは、硬貨収納出金装置1の第1室1Aa~1Ca及び第2室1Ab~1Cbのいずれかへ硬貨が搬送されるように硬貨の搬送先を切り換える。
【0020】
搬送通路切換機構103bは、ソレノイド103b1と、シャッター103b2とを含む。シャッター103b2は、所定の硬貨収納出金装置1へ通じる搬送通路103aに設けられた連通穴を開閉する。
【0021】
制御部105は、硬貨識別部102からの硬貨識別信号を受信し、硬貨識別信号に応じて硬貨収納出金装置1の第1室1Aa~1Ca及び第2室1Ab~1Cbのいずれかへ硬貨を搬送するための搬送指令信号を搬送通路切換機構103bへ送信する。
【0022】
例えば、制御部105は、硬貨識別部102から1円硬貨を示す硬貨識別信号を受信すると、搬送通路切換機構103bのソレノイド103b1に対し、硬貨収納出金装置1Aの第1室1Aaへ硬貨を搬送するための搬送指令信号を送信する。これにより、硬貨収納出金装置1Aの第1室1Aaに対応するソレノイド103b1が作動してシャッター103b2を開く。その結果、搬送通路103a上を移動する1円硬貨が硬貨収納出金装置1Aの第1室1Aaに落下して収納される。
【0023】
なお、釣銭入出金機100は、各硬貨収納出金装置1に収納される硬貨を金種毎にカウントする図示しないセンサをさらに備える。制御部105は、センサからの出力信号に基づいてオーバーフローする硬貨を金種毎に判断して予備硬貨収納ボックス2へ搬送するよう、搬送通路切換機構103bの動作を制御する。
【0024】
また、制御部105は、釣銭が必要となったときに所定の硬貨収納出金装置1のモータMへ正回転、又は、逆回転を指令する回転指令信号を送信する。この際、制御部105は、硬貨識別部102にて金種を識別された硬貨の枚数を計数して合計金額を算出し、かつ外部からの商品代金信号を受信し、合計金額と商品代金信号に含まれる金額とを比較して釣銭が必要であるか否かを判断し、釣銭が必要な場合に、釣銭に応じた回転指令信号をモータMへ送信する。
【0025】
[硬貨収納出金装置について]
図4~
図7を参照して、硬貨収納出金装置1Aについて説明する。
図4は硬貨収納出金装置1Aの斜視図である。
図5は硬貨収納出金装置1Aの断面図である。
図6は、硬貨収納出金装置1Aの平面図である。
図7は、回転板21の斜視図である。
【0026】
釣銭入出金機100に備えられた3つの硬貨収納出金装置1A~1Cはそれぞれ同じ基本構造を有するものであるため、以下では硬貨収納出金装置1Aを代表的に取り上げて説明する。
【0027】
図4~
図7に示すように、硬貨収納出金装置1Aは、硬貨収納ボックス10と、硬貨排出装置20とを備える。硬貨収納ボックス10は、2種類の硬貨(この場合、1円及び5円硬貨)を個別に収納可能である。硬貨排出装置20は、2種の硬貨を選択的に硬貨収納ボックス10内から外部に排出する。
【0028】
[硬貨収納ボックス]
硬貨収納ボックス10は、2種類の硬貨を個別に収納する前記第1室1Aa及び第2室1Abを有する。第1室1Aaの容積は第2室1Abの容積よりも大きく設定されている。
【0029】
第1室1Aaは、第1導入口11aと、第1排出口11b(
図5参照)と、スロープ部11cとを含む。第1導入口11aは、1種類の硬貨(この場合、1円硬貨)を第1室1Aa内に導入する。第1排出口11bは、第1室1Aaの底部に設けられ、第1室1Aa内の硬貨を第1室1Aaの外部に排出する。スロープ部11cは、第1導入口11aの一部に設けられる。
【0030】
第1室1Aaの底部には、円形凹部11dと、凹曲面部11eとが設けられる。円形凹部11dには、回転板21が嵌め込まれる。凹曲面部11eは、円形凹部11dの周囲に設けられる。
【0031】
円形凹部11dは、段差部11d1を含む。段差部11d1は、円形凹部11dのうち、凹曲面部11eと隣接する部分である。
【0032】
第1排出口11b(
図5参照)は、段差部11d1に形成される切欠きである。
【0033】
第1室1Aaには、複数(例えば、約250枚程度)の硬貨(1円硬貨)がランダムに収納される。この際、スロープ部11cは、
図1~
図3を参照して説明した硬貨搬送部103から落下する硬貨を受けて、回転板21上に滑り落とすことで、回転板21上に硬貨を供給する。
【0034】
第2室1Abには、第2導入口12aと、第2排出口(不図示)とが形成される。第2導入口12aは、他の1種類の硬貨(例えば、5円硬貨)を第2室1Ab内に導入する。第2導入口12aは、第1室1Aaのスロープ部11cと隣接する。第2排出口は、第2室1Ab内の硬貨を第2室1Abの外部に排出する。
【0035】
第2室1Abには、複数(例えば、約50枚程度)の硬貨(5円硬貨)が1枚ずつ積み重なった状態(平積み)で収納される。
【0036】
[硬貨排出装置]
図5に示すように、硬貨排出装置20は、回転板21と、回転力伝達部23と、凸部24aと、凸部24bとを有する。回転板21は、モータM(
図3参照)の回転駆動力によって回転することで、第1室1Aa内の硬貨を移動させる。回転力伝達部23は、モータMの回転駆動力を回転板21に伝達する。凸部24aと凸部24bとは、円形凹部11dに設けられる。
【0037】
図7に示すように、回転板21は、中心孔21eと、複数の硬貨孔21bと、複数の内側突起リブ21cと、複数の外側突起リブ21dとを有する。中心孔21eは、回転板21の中心に設けられ、回転板21を貫通する。中心孔21eには、連結軸23a(
図5参照)が連結される。硬貨孔21bには、硬貨を収容可能である。硬貨孔21bは、回転板21を貫通する。複数の硬貨孔21bは、中心孔21eの周囲に配置され、中心孔21eを中心にして、等間隔を空けて並んでいる。内側突起リブ21cは、隣り合う硬貨孔21bの間に設けられる。内側突起リブ21cは、下方に突出する。外側突起リブ21dは、下方に突出する。複数の外側突起リブ21dは、回転板21の外周部に等間隔を空けて並ぶように設けられる。本実施形態では、硬貨孔21bと、内側突起リブ21cと、外側突起リブ21dとは、4つずつ設けられる。
【0038】
内側突起リブ21cは、第1当接面部21c1と、第2当接面部21c2とを有する。第1当接面部21c1及び第2当接面部21c2の各々は、回転板21の回転に伴って、硬貨孔21b内に嵌り込んだ硬貨を押す。
【0039】
4つの外側突起リブ21dは、4つの内側突起リブ21cの外側近傍に配置されている。これにより、回転板21の外周部のうち各硬貨孔21bと隣接する部分には外側突起リブ21dが配置されていない。その結果、硬貨孔21bに収容された硬貨が、硬貨孔21bから隣接する2つの外側突起リブ21dの間を通って排出される。
【0040】
図6に示すように、硬貨排出装置20は、攪拌棒30をさらに有する。攪拌棒30は、棒状の部材である。攪拌棒30は、第1室1Aa内に配置される。攪拌棒30は、回転板21上へ垂れさがるように配置される。回転板21が回転すると、第1室1Aa内の硬貨が回転板21上で回転板21と共に回転して、攪拌棒30に接触する。これにより、攪拌棒30からの圧力で立った状態の硬貨を寝かすことができる。その結果、硬貨孔21b内に硬貨が嵌り込みやすくなる。
【0041】
図5に示すように、回転力伝達部23は、連結軸23aを含む。連結軸23aには、回転板21が連結される。連結軸23aは、モータM(
図3参照)の回転駆動力により回転する。その結果、回転板21が連結軸23aと共に回転する。
【0042】
硬貨排出装置20は、攪拌シート26と、支持台27と、固定部材28とをさらに備える。
【0043】
攪拌シート26は、第1室1Aa内の硬貨を攪拌する。攪拌シート26は、シート状の部材である。攪拌シート26は、例えば、ポリスライダー(登録商標)のような樹脂、又は金属により形成される。攪拌シート26は、例えば、0.5mm程度の厚みを有する。攪拌シート26は、支持台27と固定部材28との間に配置される。攪拌シート26は、回転板21の上部に配置される。詳細には、攪拌シート26の先端部26aは、回転板21の上部に配置される。攪拌シート26の先端部26aは、支持台27と固定部材28との間から突出している。
【0044】
支持台27は、攪拌シート26を支持する。支持台27は、硬貨収納ボックス10に固定される。なお、支持台27を硬貨収納ボックス10と一体に構成してもよい。
【0045】
固定部材28は、支持台27との間で攪拌シート26を挟持することで、支持台27に対して攪拌シート26を着脱自在に固定する。固定部材28は、板状の部材である。固定部材28は、例えば、樹脂により形成される。
【0046】
図8及び
図9を参照して、攪拌シート26についてさらに説明する。
図8は、回転板21と攪拌シート26との位置関係を示す平面図である。
図9は、回転板21と攪拌シート26との位置関係を示す断面図である。
【0047】
図8及び
図9に示すように、回転板21は、回転軸Hを中心に回転する。複数の硬貨孔21bは、回転軸Hを中心に、回転軸Hの軸回り方向に並んでいる。
【0048】
回転軸Hの軸方向から見て、攪拌シート26の先端部(下端部)26aは、硬貨孔21bの回転軌跡上に位置する。また、回転軸Hの軸方向から見て、回転板21の回転時に、攪拌シート26の先端部26aが硬貨孔21bを通過する。回転軸Hの軸方向は、回転軸Hの延びる方向である。
【0049】
図8において、点線W1は、回転軸Hを中心にして、全ての硬貨孔21bの中心Jを通るように形成される円を示す。点線W2は、回転軸Hを中心にして、全ての硬貨孔21bを囲むように形成される円を示す。
【0050】
回転軸Hの軸方向から見て、回転板21の回転時に、攪拌シート26の先端部26aは、回転板21上において、点線W1と点線W2との間に位置する領域を通る。すなわち、点線W1と点線W2との間の領域は、回転軸Hの軸方向から見て、回転板21の回転時に、攪拌シート26の先端部26aが回転板21上を通る軌跡を示す。
【0051】
図8において、第1距離X1は、回転軸Hの軸方向から見たときの、回転軸Hと硬貨孔21bとの距離を示す。第2距離X2は、回転軸Hの軸方向から見たときの、回転軸Hと攪拌シート26の先端部26aとの距離を示す。回転軸Hの軸方向から見て、第2距離X2と第1距離X1との差X3が、硬貨孔21bの半径と略同じである。その結果、回転軸Hの軸方向から見て、回転板21の回転時に、攪拌シート26の先端部26aは、硬貨孔21bのうちの一部の領域(具体的には、略半分の領域)を通過する。なお、
図8において、斜線のハチングで表される領域αは、回転軸Hの軸方向から見て、回転板21の回転時に、硬貨孔21bのうち攪拌シート26の先端部26aが通過する領域を示す。
【0052】
図9において、傾斜角度θは、回転板21の上面21aに対する攪拌シート26の傾斜角度を示す。また、攪拌シート26は、側面視において、攪拌シート26の上端部が攪拌シート26の下端部よりも回転軸Hから離間する側に位置している。傾斜角度θは、鋭角である。傾斜角度θは、好ましくは、25°以上45°以下である。傾斜角度θは、さらに好ましくは、約35°である。
【0053】
攪拌シート26の先端部26aは、回転板21の上面21aと略同じ高さに位置する。なお、攪拌シート26の先端部26aは、回転板21の上面21aよりも所定寸法、上方に配置されていてもよい。所定寸法は、例えば、硬貨の厚みの寸法よりも小さい寸法である。攪拌シート26の先端部26aが、回転板21の上面21aと略同じ高さに配置され、又は、回転板21の上面21aよりも所定寸法、上方に配置されることで、攪拌シート26が回転板21と円形凹部11dとの間(
図4及び
図5参照)に入り込むことを抑制できる。
【0054】
攪拌シート26の上方には、
図4~
図7を参照して説明したスロープ部11cが配置される。その結果、スロープ部11cから滑り落ちた硬貨を攪拌シート26上へ落下させた後、攪拌シート26の傾斜により硬貨Kを回転板21上へ円滑に案内することができる。
【0055】
図10を参照して、攪拌シート26の取付構造について説明する。
図10は、攪拌シート26の取付構造を示す分解斜視図である。
【0056】
図10に示すように、支持台27は、攪拌シート26の傾斜角度θ(
図9参照)と同じ角度で傾斜する傾斜面27aを有する。攪拌シート26は、支持台27の傾斜面27a上に載置されることで、傾斜角度θで傾斜した姿勢になる。
【0057】
攪拌シート26が支持台27に固定される手順について説明する。
【0058】
まず、攪拌シート26が、支持台27の傾斜面27a上に載置される。そして、傾斜面27a上の攪拌シート26に対して固定部材28が被せられることで、攪拌シート26が支持台27と固定部材28とで挟持される。そして、攪拌シート26が支持台27と固定部材28とで挟持された状態で、ビスにより固定部材28が支持台27に締結される。これにより、支持台27と固定部材28とで攪拌シート26を挟持した状態が保持される。その結果、攪拌シート26が支持台27に固定される。
【0059】
攪拌シート26が支持台27から取り外される手順について説明する。
【0060】
攪拌シート26が支持台27に固定された状態からビスが取り外される。その結果、支持台27と固定部材28との締結状態が解除されるので、支持台27から固定部材28及び攪拌シート26が取り外される。
【0061】
以上、
図10を参照して説明したように、攪拌シート26は、攪拌シート26と支持台27とで挟持されるようにして、固定部材28に着脱自在に固定される。その結果、支持台27と固定部材28との締結状態を解除することで、攪拌シート26を固定部材28から取り外すことができるので、攪拌シート26の交換を容易に行うことができる。
【0062】
[硬貨収納出金装置の硬貨排出装置の動作について]
図1、
図5、
図6、
図7、及び
図11(a)~
図12(b)を参照して、硬貨排出装置20により第1室1Aa内の硬貨Kが排出される手順について説明する。
図11(a)~
図12(b)は、硬貨排出装置20により第1室1Aa内の硬貨Kが排出される手順を示す図である。
【0063】
図1、
図5、
図6、
図7、及び
図11(a)に示すように、硬貨収納出金装置1Aの第1室1Aa内に硬貨Kが収納された状態で、硬貨収納出金装置1Aに対応するモータMが回転すると、モータMの回転駆動力が駆動ギアG、回転力伝達部23、及び連結軸23aを介して回転板21に伝達される。その結果、回転板21が回転する。本実施形態では、回転板21は、正回転方向(矢印B方向)に回転する。
【0064】
回転板21が回転すると、硬貨孔21b内に嵌め込まれている硬貨Kが回転板21と共に回転する。この場合、硬貨Kは、内側突起リブ21cの第1当接面部21c1からの押圧力により、硬貨孔21b内に嵌め込まれている状態で、回転板21と共に回転する。
【0065】
図1、
図5、
図6、及び
図11(b)に示すように、回転板21の回転時において、硬貨孔21b内に嵌め込まれている硬貨Kは、凸部24a及び凸部24bが位置する場所に到達すると、凸部24aに衝突する。これに対し、内側突起リブ21cは、凸部24a及び凸部24bに衝突することなく、凸部24a及び凸部24bの間を通過する。
【0066】
図1、
図5、
図6、
図7、
図12(a)、及び
図12(b)に示すように、凸部24aに衝突した硬貨Kは、凸部24b側へ移動する。さらに、硬貨Kは、内側突起リブ21cの第1当接面部21c1によって矢印B方向に押され続けるため、第1排出口11b側へ移動する。その結果、硬貨Kは、第1排出口11bから硬貨払出口104へ排出される。
【0067】
なお、硬貨Kに対する凸部24a、凸部24b、及び内側突起リブ21cの第1当接面部21c1の接触が、それぞれ硬貨Kの厚み方向の線接触であること、及び、第1当接面部21c1の硬貨Kに対する押圧が硬貨Kを第1排出口11b側へ(矢印F方向へ)弾き出し易い方向に作用していることによって、硬貨Kはスムーズに第1排出口11b側へ移動する。
【0068】
次に、
図5、及び
図13(a)~
図13(c)を参照して、硬貨排出装置20が攪拌シート26を含まない場合の、硬貨排出装置20の動作について説明する。
図13(a)~
図13(c)は、硬貨排出装置20が攪拌シート26を含まない場合の、硬貨排出装置20の動作を示す模式図である。
【0069】
図13(a)~
図13(c)に示すように、複数の硬貨Kが、回転板21の上面と硬貨孔21bと底面とに亘って配置されることで、硬貨孔21bと底面に対して斜めに傾きつつ重なるように配置されることがある。例えば、複数の硬貨Kが、スロープ部11c(
図5参照)から第1室1Aa内に連続的に落下することで、硬貨孔21b上で斜めに傾きつつ重なる。また、立った状態で並んでいる複数の硬貨Kが、攪拌棒30(
図6参照)により寝かされることで、硬貨孔21b上で斜めに傾きつつ重なる。この場合、複数の硬貨Kが硬貨孔21bからはみ出た状態になるので、第1排出口11b(
図12(b))から排出不能な状態になる。
【0070】
また、複数の硬貨Kが硬貨孔21bと底面に対して斜めに傾きつつ重なった場合、複数の硬貨Kのうちの最下段の硬貨Kと硬貨孔21bの底面との間に隙間が形成される。これにより、複数の硬貨Kのうちの最下段の硬貨Kが、凸部24a及び/又は凸部24b(
図11(a)参照)に接触しにくくなる。その結果、最下段の硬貨Kが、凸部24a及び/又は凸部24bにより案内されて第1排出口11bから排出されることが規制される。
【0071】
そこで、本実施形態では、攪拌シート26を用いて、硬貨Kを排出する処理を効果的に行う。
【0072】
次に、
図14(a)~
図14(c)、及び
図15を参照して、硬貨排出装置20が攪拌シート26を含む場合の、硬貨排出装置20の動作について説明する。
図14(a)~
図14(c)は、硬貨排出装置20が攪拌シート26を含む場合の、硬貨排出装置20の動作を示す模式図である。
図15は、攪拌シート26により複数の硬貨Kのうちの最上段の硬貨Kがすりきられている状態を示す斜視図である。
【0073】
図14(a)~
図14(c)、及び
図15に示すように、回転板21が回転すると、硬貨孔21b上で斜めに重なった複数の硬貨Kのうちの最上段に位置する硬貨Kは、攪拌シート26の先端部26aに接触することで、攪拌シート26からの圧力により押されて、硬貨孔21b内へ移動する。すなわち、攪拌シート26により複数の硬貨Kのうちの最上段の硬貨Kがすりきられることで、硬貨孔21b内へ収容される。その結果、第1排出口11b(
図12(b)参照)から硬貨Kを排出することができる。
【0074】
以上、
図13(a)~
図13(c)、
図14(a)~
図14(c)、及び
図15を参照して説明したように、攪拌シート26を設けることで、硬貨孔21b上で複数の硬貨Kが斜めに重なった場合でも、攪拌シート26により硬貨Kをすりきることができる。これにより、硬貨Kを硬貨孔21b内へ収容させることができる。その結果、硬貨排出装置20が硬貨Kを排出不能な状態になることを抑制できる。
【0075】
以上、図面(
図1~
図15)を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、硬貨排出装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0077】
20 硬貨排出装置
21 回転板
21a 上面
21b 硬貨孔
26 攪拌シート
26a 先端部
H 回転軸
K 硬貨