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特許7299806イオン発生装置、及びイオン発生システム
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  • 特許-イオン発生装置、及びイオン発生システム 図1
  • 特許-イオン発生装置、及びイオン発生システム 図2
  • 特許-イオン発生装置、及びイオン発生システム 図3A
  • 特許-イオン発生装置、及びイオン発生システム 図3B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】イオン発生装置、及びイオン発生システム
(51)【国際特許分類】
   H01T 23/00 20060101AFI20230621BHJP
   H01T 19/04 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
H01T23/00
H01T19/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019165169
(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公開番号】P2021044144
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(72)【発明者】
【氏名】湯川 正吾
(72)【発明者】
【氏名】轉法輪 徳子
(72)【発明者】
【氏名】北平 真人
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-045988(JP,A)
【文献】国際公開第2016/189980(WO,A1)
【文献】特開2005-337610(JP,A)
【文献】特開2008-004397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 7/00 - 23/00
A61L 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正イオン及び負イオンの両方を発生する第1電極と、
記負イオンを片イオンとして発生する第2電極と、
負極性のパルス電圧、正極性のパルス電圧の順に、前記負極性のパルス電圧及び前記正極性のパルス電圧が交互に並び、かつ前記各パルス電圧のピーク電圧の絶対値が極性反転する度に減衰する電圧波形である交流電圧を出力する駆動回路と、
前記駆動回路から出力された前記交流電圧を整流平滑した負極性の整流電圧を出力する整流平滑回路と、を備え、
前記第1電極は、前記交流電圧が印加されることにより、前記負イオン及び前記正イオンの両方を発生させ、
前記第2電極は、前記負極性の整流電圧が印加されることにより、前記片イオンのみを発生させる、
イオン発生装置。
【請求項2】
正イオン及び負イオンの両方を発生する第1電極と、
前記正イオンを片イオンとして発生する第2電極と、
正極性のパルス電圧、負極性のパルス電圧の順に、前記正極性のパルス電圧及び前記負極性のパルス電圧が交互に並び、かつ前記各パルス電圧のピーク電圧の絶対値が極性反転する度に減衰する電圧波形である交流電圧を出力する駆動回路と、
前記駆動回路から出力された前記交流電圧を整流平滑した正極性の整流電圧を出力する整流平滑回路と、を備え、
前記第1電極は、前記交流電圧が印加されることにより、前記負イオン及び前記正イオンの両方を発生させ、
前記第2電極は、前記正極性の整流電圧が印加されることにより、前記片イオンのみを発生させる、
イオン発生装置。
【請求項3】
前記整流平滑回路は、コンデンサを含み、
前記コンデンサは、前記第2電極と回路グランドとの間に電気的に接続されている、
請求項1または2に記載のイオン発生装置。
【請求項4】
前記第1電極及び前記第2電極は、少なくとも前記片イオンを搬送する搬送路に配置されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項5】
前記第1電極は、前記第2電極に対して、前記搬送路における前記片イオンの搬送方向の上流側に配置されている、
請求項4に記載のイオン発生装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のイオン発生装置と、
少なくとも前記片イオンを搬送する搬送路を形成するダクトと、
前記搬送路を流れる気流を生成するファンと、を備える、
イオン発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン発生装置、及びイオン発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、負イオンを供給する負イオン発生手段(イオン発生装置)を備える空調ダクト装置(イオン発生システム)が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の空調ダクト装置は、送風手段(ファン)と、負イオン発生手段と、表面電位発生手段と、を備えている。
【0004】
送風手段は、空気を吸気すると共に空気に含まれる塵や埃を除去した後に空気を空気搬送路に送風する。
【0005】
負イオン発生手段は、高電圧印加電極と高電圧印加電極と対向するように設置された接地電極とを有し、送風手段が送風した空気に負イオン(片イオン)を供給する。
【0006】
表面電位発生手段は、負イオン発生手段が供給した負イオンによって負極性に帯電した空気に含まれる浮遊物が空気搬送路の内壁面に付着しないように、空気搬送路の内壁面を負極性に帯電させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-277010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の空調ダクト装置では、表面電位発生手段により、空気搬送路の内壁面が負極性に帯電される。空気搬送路の内壁面が負極性に帯電されることによって、負イオン発生手段からの負イオンの発生が阻害されるおそれがあり、負イオンの発生効率が低下するおそれがあった。
【0009】
本開示の主な目的は、片イオンの発生効率を向上させることができるイオン発生装置、及びイオン発生システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様に係るイオン発生装置は、第1電極と、第2電極と、を備える。前記第1電極は、正イオン及び負イオンの両方を発生する。前記第2電極は、前記正イオン及び前記負イオンの一方を片イオンとして発生する。
【0011】
本開示の一態様に係るイオン発生システムは、前記イオン発生装置と、ダクトと、ファンと、を備える。前記ダクトは、少なくとも前記片イオンを搬送する搬送路を形成する。前記ファンは、前記搬送路を流れる気流を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1に係るイオン発生装置1を備えるイオン発生システム10の概略構成図である。
図2図2は、同上のイオン発生装置1の回路構成図である。
図3図3Aは、同上のイオン発生装置1が備える第1電極21に印加される電圧の波形図である。図3Bは、同上のイオン発生装置1が備える第2電極22に印加される電圧の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0014】
また、実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照することとする。また、実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものである。図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0015】
(実施形態1)
(1)構成
図1に、本実施形態に係るイオン発生システム10の概略構成図を示す。
【0016】
本実施形態のイオン発生システム10は、イオン発生装置1と、ダクト8と、ファン9と、を備えている。イオン発生システム10は、イオン発生装置1が発生した負イオン(片イオン)を、ダクト8及びファン9を用いて部屋などの空間に放出することにより、消臭、除菌などを行う空気清浄機能を有する。イオン発生システム10は、例えば、空気清浄機、エアコンなどに適用可能である。
【0017】
イオン発生装置1は、第1電極21と、第2電極22と、駆動回路3と、整流回路4と、コンデンサC2と、を備える。
【0018】
第1電極21は、例えば、針状に形成された針電極である。第1電極21は、搬送路80に配置されている。具体的には、第1電極21は、少なくとも先端部(一端部)が搬送路80内に位置するように配置されている。第1電極21は、基端部(他端部)が駆動回路3と電気的に接続されている。第1電極21は、駆動回路3から供給される電力により正イオン及び負イオンの両方を発生させる。第1電極21による正イオン及び負イオンの発生については、後述する。
【0019】
第2電極22は、例えば、針状に形成された針電極である。第2電極22は、搬送路80に配置されている。具体的には、第2電極22は、少なくとも先端部(一端部)が搬送路80内に位置するように配置されている。第2電極22は、基端部(他端部)が駆動回路3と電気的に接続されている。第2電極22は、駆動回路3から供給される電力により正イオン及び負イオンの一方を片イオンとして発生させる。本実施形態では、第2電極22は、負イオンを片イオンとして発生させる。第2電極22による負イオンの発生については、後述する。
【0020】
なお、第1電極21及び第2電極22は、針電極に限らず、例えば、複数の金属線が束ねられたブラシ電極であってもよい。
【0021】
搬送路80は、ダクト8により形成された空間であり、空気が流れる流路である。ダクト8は、例えば、ポリエチレン、塩化ビニールなどの樹脂により形成された管状の部材である。ダクト8は、周壁81で囲まれた空間を搬送路80として形成している。搬送路80には、ダクト8の一端側に設けられたファン9により、空気が流れる。なお、図1では、搬送路80及びダクト8が直線状に形成されているが、図1は搬送路80及びダクト8を概念的に示した図であって、搬送路80及びダクト8の形状を直線状に限定する趣旨ではない。また、ダクト8は、複数の部材が組み合わさることにより、搬送路80を形成するように構成されていてもよい。例えば、第1電極21と、第2電極22と、第1電極21及び第2電極22を支持する支持台と、を有する電極ユニットが、ダクト8に着脱可能に取り付けられ、搬送路80の一部を形成するように構成されていてもよい。
【0022】
ファン9は、例えば、シロッコファン、プロペラファンなどであり、送風機能を有する。ファン9は、ダクト8の一端側に形成された給気口82に向けて空気を送ることにより、搬送路80を流れる気流を生成するように構成されている。図1中の矢印は、ファン9によって生成される気流の方向を示している。
【0023】
ダクト8の他端側には、吹出口83が形成されている。ファン9によって生成された気流は、ダクト8内の搬送路80を通って、吹出口83から部屋などの空間に吹出される。
【0024】
駆動回路3は、第1電極21と第2電極22との両方を駆動する。駆動回路3は、第1電極21から正イオン及び負イオンの両方を発生させる。駆動回路3は、第2電極22から負イオン(片イオン)を発生させる。具体的には、駆動回路3は、交流電圧Vo1を出力する電圧出力回路である。駆動回路3の回路構成について、図2を参照して説明する。
【0025】
本実施形態の駆動回路3は、直流電圧を交流電圧に変換して出力するDC-ACコンバータである。駆動回路3は、ダイオードD1、抵抗R1、コンデンサC1、トランスT1、及びスイッチング素子Q1を備えている。駆動回路3は、一対の入力端子P1,P2間に直流電源E1が電気的に接続されている。直流電源E1は、所定電圧値(例えば9V)の直流電圧(入力電圧Vi)を出力する電源回路である。入力端子P1は、直流電源E1の正極端子に電気的に接続されている。入力端子P2は、直流電源E1の負極端子、及び回路グランドに電気的に接続されている。入力端子P1,P2間には、直流電源E1から出力された入力電圧Viが印加される。
【0026】
一対の入力端子P1,P2間には、ダイオードD1、抵抗R1、及びコンデンサC1の直列回路が電気的に接続されている。ダイオードD1は、アノードが入力端子P1に電気的に接続され、カソードが抵抗R1に電気的に接続されている。コンデンサC1は、一端がダイオードD1、抵抗R1、及び入力端子P1を介して直流電源E1の正極端子に電気的に接続され、他端が入力端子P2を介して直流電源E1の負極端子に電気的に接続されている。
【0027】
トランスT1は、互いに磁気結合された一次巻線L1及び二次巻線L2を有する。コンデンサC1の両端間には、トランスT1の一次巻線L1とスイッチング素子Q1との直列回路が電気的に接続されている。
【0028】
一次巻線L1は、一端がコンデンサC1の正極に電気的に接続され、他端がスイッチング素子Q1を介してコンデンサC1の負極、及び回路グランドと電気的に接続されている。
【0029】
スイッチング素子Q1は、コンデンサC1の両端電圧に基づいてオンするように構成されている。スイッチング素子Q1は、例えば、サイリスタ、トライアックなどであり、コンデンサC1の両端電圧の電圧値が閾値を超えるとオンするように構成されている。スイッチング素子Q1がオンした場合、コンデンサC1の両端間が一次巻線L1を介して導通し、一次巻線L1及びスイッチング素子Q1に電流が流れる。スイッチング素子Q1は、スイッチング素子Q1に流れる電流がゼロになると、スイッチング素子Q1がオフし、コンデンサC1の両端間が、電気的に絶縁される。
【0030】
二次巻線L2は、一次巻線L1と磁気的に結合されている。二次巻線L2は、一端が第1電極21と電気的に接続されている。また、二次巻線L2は、整流回路4を介して第2電極22と電気的に接続されている。
【0031】
整流回路4は、交流電圧を整流するように構成されている。本実施形態では、整流回路4は、交流電圧を半波整流する半端整流回路である。整流回路4は、ダイオードD2を有する。ダイオードD2は、アノードが第2電極22と電気的に接続され、カソードが二次巻線L2の一端と電気的に接続されている。
【0032】
また、トランスT1は、非絶縁型のトランスである。二次巻線L2は、他端が回路グランドと電気的に接続されている。
【0033】
また、第2電極22は、コンデンサC2と電気的に接続されている。コンデンサC2は、一端が、第2電極22とダイオードD2との接続点と電気的に接続され、他端が、回路グランドと電気的に接続されている。言い換えれば、コンデンサC2は、第2電極22と回路グランドとの間に電気的に接続されている。
【0034】
(2)動作例
次に、本実施形態のイオン発生装置1の動作例について説明する。
【0035】
駆動回路3には、直流電源E1から入力電圧Viが入力される。駆動回路3に入力電圧Viが入力されると、抵抗R1を介してコンデンサC1に電流が流れることにより、コンデンサC1が充電される。このとき、コンデンサC1の両端電圧は、抵抗R1の抵抗値等によって決まる時定数で上昇する。
【0036】
そして、コンデンサC1の両端電圧が閾値を上回ると、スイッチング素子Q1がオンする。スイッチング素子Q1がオンすると、スイッチング素子Q1及び一次巻線L1を介してコンデンサC1が放電する。このとき、コンデンサC1と一次巻線L1とを含む一次側共振回路により、一次巻線L1には、高周波の交流電圧が印加される。つまり、一次巻線L1には、正極性のパルス電圧と、負極性のパルス電圧と、が交互に印加される。
【0037】
一次巻線L1に印加される交流電圧は、コンデンサC1の放電時間の経過とともに減衰する。一次巻線L1に印加される交流電圧の電圧値がゼロになるまでの減衰時間は、比較的短い時間(例えば数十μ秒~数百μ秒)である。この減衰時間中は、スイッチング素子Q1は、オン状態を維持する。そして、一次巻線L1に印加される交流電圧の電圧値がゼロになると、スイッチング素子Q1がオフする。スイッチング素子Q1がオフすると、直流電源E1からの入力電圧ViによりコンデンサC1が再び充電される。
【0038】
つまり、コンデンサC1が充放電を繰り返すことにより、一次巻線L1に高周波の交流電圧が周期的に印加される。
【0039】
一次巻線L1に高周波の交流電圧が印加された場合、電磁誘導により二次巻線L2の両端間に高周波の交流電圧Vo1(図3A参照)が発生する。二次巻線L2に発生する交流電圧Vo1の電圧値は、一次巻線L1の両端電圧の電圧値、及び一次巻線L1と二次巻線L2との巻数比などによって決まる。
【0040】
二次巻線L2は、第1電極21と電気的に接続されている。したがって、第1電極21は、二次巻線L2の両端間に発生した交流電圧Vo1が印加される。つまり、第1電極21は、正極性のパルス電圧と、負極性のパルス電圧と、が交互に印加される。
【0041】
第1電極21に高周波の交流電圧が印加されることにより、第1電極21の先端部でコロナ放電が発生する。このコロナ放電により、正イオン及び負イオンが発生する。
【0042】
具体的には、第1電極21に正極性のパルス電圧が印加された場合、コロナ放電により空気中の水分子が電離して水素イオンが生成される。この水素イオンが溶媒和エネルギにより空気中の水分子とクラスタリングする。これにより、H(HO)m(mは0又は任意の自然数)からなる空気イオンの正イオンが放出される。
【0043】
また、第1電極21に負極性のパルス電圧が印加された場合、コロナ放電により空気中の酸素分子又は水分子が電離して酸素イオンが生成される。この酸素イオンが溶媒和エネルギにより空気中の水分子とクラスタリングする。これにより、O (HO)n(nは任意の自然数)からなる空気イオンの負イオンが放出される。
【0044】
本実施形態では、第1電極21に、正極性のパルス電圧と、負極性のパルス電圧と、が交互に印加されるため、正イオンと負イオンとが交互に発生する。
【0045】
また、二次巻線L2は、整流回路4(ダイオードD2)を介して第2電極22と電気的に接続されている。ダイオードD2により、二次巻線L2の両端間の交流電圧Vo1が半波整流される。ダイオードD2のカソードが二次巻線L2と電気的に接続されているため、交流電圧Vo1における負極性の電圧に相当する脈流電圧が生成される。また、第2電極22は、コンデンサC2と電気的に接続されている。コンデンサC2により、脈流電圧が平滑される。つまり、ダイオードD2とコンデンサC2とで、整流平滑回路が構成されている。したがって、第2電極22は、交流電圧Vo1を整流平滑した負極性の整流電圧Vo2(図3B参照)が印加される。
【0046】
第2電極22に負極性の整流電圧Vo2が印加されることにより、第2電極22の先端部でコロナ放電が発生する。このコロナ放電により、負イオンが発生する。
【0047】
具体的には、第2電極22に負極性の整流電圧Vo2が印加された場合、コロナ放電により空気中の酸素分子又は水分子が電離して酸素イオンが生成される。この酸素イオンが溶媒和エネルギにより空気中の水分子とクラスタリングする。これにより、O (HO)n(nは任意の自然数)からなる空気イオンの負イオンが放出される。
【0048】
また、本実施形態では、コンデンサC2に平滑された整流電圧Vo2が第2電極22に印加される。そのため、第2電極22は、第1電極21に比べて負イオンを発生させる期間が長く、負イオンの発生量が多い。
【0049】
ダクト8の一端側にはファン9が設けられている。ファン9が駆動することにより、ダクト8の内側(搬送路80)を流れる気流が生成される。当該気流は、搬送路80を通って、ダクト8の他端側に形成された吹出口83から部屋などの空間に吹出される。また、イオン発生装置1で発生したイオンは、気流により搬送路80内を搬送され、気流と共に吹出口83から部屋などの空間に放出される。
【0050】
本実施形態では、正イオンは、第1電極21により発生されるのに対し、負イオンは、第1電極21及び第2電極22により発生される。さらに、本実施形態では、コンデンサC2に平滑された整流電圧Vo2が第2電極22に印加される。そのため、第2電極22は、第1電極21に比べて負イオンを発生させる期間が長く、負イオンの発生量が多い。したがって、ダクト8の吹出口83からは、主に負イオンが放出される。当該負イオンにより、例えば空気中の消臭、除菌などを行うことができる。
【0051】
このように、本実施形態のイオン発生装置1では、搬送路80において、第1電極21から正イオン及び負イオンの両方が発生し、第2電極22から負イオンが発生する。ここで、搬送路80を形成するダクト8は、樹脂(例えば、ポリエチレン、塩化ビニールなど)により形成されている。樹脂は、負極性に帯電しやすい性質を有している。したがって、ダクト8は、負イオンによって負極性に帯電するおそれがある。ダクト8が負極性に帯電した場合、負イオンを発生させるためのコロナ放電が起きにくくなる。つまり、負イオンの発生が阻害される。
【0052】
本実施形態のイオン発生装置1では、第1電極21は、正イオンを発生させるように構成されている。正イオンにより、ダクト8に帯電した負電荷を中和することができる。つまり、本実施形態のイオン発生装置1では、ダクト8の負極性の帯電を抑制することができる。これにより、負イオンを発生させるためのコロナ放電が起きやすくなり、負イオンの発生効率を向上させることができる。したがって、ダクト8の吹出口83から放出される負イオンの数の増加を図ることができ、例えば空気中の消臭、除菌などの効率を向上させることができる。
【0053】
さらに、本実施形態のイオン発生装置1では、ダクト8の負極性の帯電を抑制することができるため、第2電極22をダクト8の吹出口83付近に配置する必要性がなく、第2電極22の配置位置に自由度が向上する。したがって、高電圧が印加される第1電極21及び第2電極22を、ダクト8の奥側(吹出口83と反対側)に配置することができ、安全性を向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態のイオン発生装置1では、図1に示すように、第1電極21は、第2電極22に対して、搬送路80における負イオンの搬送方向の上流側に配置されている。つまり、第1電極21は、第2電極22よりも、ファン9が生成する気流の上流側に配置されている。したがって、第1電極21が発生させる正イオンにより、ダクト8における第2電極22の周囲の除電効率を向上させることができる。これにより、負イオンの発生効率をより向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態のイオン発生装置1では、第1電極21及び第2電極22は、共通の駆動回路3によって駆動される。したがって、本実施形態のイオン発生装置1では、第1電極21と第2電極22とで個別の駆動回路を設ける場合に比べて、構成の簡略化を図ることができる。
【0056】
なお、第1電極21で生成された正イオンは、ダクト8の除電だけでなく、ダクト8の吹出口83から放出されてもよい。当該正イオンでも、負イオンと同様に、例えば空気中の消臭、除菌などを行うことができる。
【0057】
(3)変形例
以下に、本実施形態のイオン発生装置1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、上述した実施形態、又は変形例同士を適宜組み合わせて適用可能である。また、以下の説明では、上述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0058】
上述した例では、第2電極は、片イオンとして負イオンを発生するように構成されていたが、これに限らず、正イオンを片イオンとして発生するように構成されていてもよい。
【0059】
上述した例では、第2電極は、コンデンサを介して回路グランドに接地されていたが、これに限らず、コンデンサが省略されていてもよいし、回路グランドに接地されていなくてもよい。
【0060】
また、上述した例では、整流回路4は、半端整流回路で構成されていたが、交流電圧を全波整流する全波整流回路で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 イオン発生装置
21 第1電極
22 第2電極
3 駆動回路
4 整流回路
8 ダクト
80 搬送路
9 ファン
10 イオン発生システム
C2 コンデンサ
Vo1 交流電圧
Vo2 整流電圧
図1
図2
図3A
図3B