IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】硬質表面用液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/08 20060101AFI20230621BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20230621BHJP
   C11D 1/75 20060101ALI20230621BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20230621BHJP
   C11D 3/08 20060101ALI20230621BHJP
   C11D 3/24 20060101ALI20230621BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20230621BHJP
   C11D 3/395 20060101ALI20230621BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D1/04
C11D1/75
C11D3/04
C11D3/08
C11D3/24
C11D3/37
C11D3/395
B08B3/08 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019169037
(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公開番号】P2020125445
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2019019682
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】川村 卓司
(72)【発明者】
【氏名】土屋 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】上田 知美
【審査官】林 建二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-203853(JP,A)
【文献】特開2018-168328(JP,A)
【文献】特開2018-131579(JP,A)
【文献】特開2007-039627(JP,A)
【文献】特開2014-005426(JP,A)
【文献】特開2017-057345(JP,A)
【文献】特開2007-177092(JP,A)
【文献】特開2005-157776(JP,A)
【文献】特開2005-126553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
B08B 3/00-3/18
C23G 1/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アミンオキサイド(以下、(A)成分という)を2質量%以上6質量%以下、(B)下記式(b1)で表されるイソステアリン酸、下記式(b2-1)で表されるイソステアリン酸、下記式(b2-2)で表されるイソステアリン酸、下記式(b3)で表されるイソステアリン酸、下記式(b4)で表されるイソパルミチン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上(以下、(B)成分という)を0.3質量%以上1質量%以下、(C)ポリアクリル酸又はその塩、及びマレイン酸と炭素数4以上8以下のオレフィンとの共重合体から選ばれる1種以上(以下、(C)成分という)を0.5質量%以上2.5質量%以下、(D)酸化性ハロゲン酸又はその塩(以下、(D)成分という)を2質量%以上6質量%以下、(E)アルカリ金属の水酸化物、及びアルカリ金属珪酸塩から選ばれる1種以上(以下、(E)成分という)を0.8質量%以上10質量%以下、ハイドロトロープ剤、及び水を含有し、25℃におけるpHが12以上14以下である、硬質表面用液体洗浄剤組成物。
【化1】
【請求項2】
(C)成分が、ポリアクリル酸又はその塩、及びマレイン酸とジイソブチレンとの共重合体から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
(C)成分の含有量が、1質量%以上2.5質量%以下である、請求項1又は2に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
(D)成分の含有量が3質量%以上5質量%以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
(A)成分の含有量が、2.5質量%以上4質量%以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
(B)成分の含有量と、(C)成分の含有量との質量比(B)/(C)が、0.1以上5以下である、請求項1~5の何れか1項に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
(A)成分と(B)成分の合計含有量と、(C)成分の含有量との質量比((A)+(B))/(C)が、1以上10以下である、請求項1~6の何れか1項に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
【請求項8】
食品加工設備及び/又は調理設備用である、請求項1~7のいずれか1項に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
【請求項9】
下記工程1~3を含む食品加工設備又は調理設備の洗浄方法。
工程1:請求項1~8の何れか1項に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物を水により2~200倍の希釈倍率で、予め希釈し、及び/又は、希釈しながら、泡状に噴射し、食品加工設備及び/又は調理設備に付着させる工程
工程2:泡を一定の時間保持する工程
工程3:食品加工設備及び/又は調理設備を水で濯ぐ工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質表面用液体洗浄剤組成物、及びそれを用いた洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品加工工場では、生産スケジュールの中断時に、定期的に、食品の加工及び/又は調理に用いる機器及び設備を洗浄し、衛生状態を確保している。洗浄対象となる機器としては、例えば、ネットコンベアやフリーザー、スライサー、精米機などが挙げられ、設備としては、例えば、床、壁、作業台などが挙げられる。これらの洗浄対象は規模が大きかったり、パーツが入り組み複雑化したりしているため、これらを効率的に洗浄する方法として、通常、洗浄剤を発泡させ泡状にして洗浄対象に適用する発泡洗浄が採用される。
【0003】
発泡洗浄では、洗浄剤を泡状に塗布することで、洗浄対象における滞留時間が長くなり、洗浄・殺菌効果が向上する。また、泡による接触洗浄では、洗浄剤の散布状況が目視にて確認できるので、処理箇所が容易に判別でき、洗浄剤の不必要な飛散を抑制できるという利点がある。
【0004】
特許文献1では、希釈して発泡洗浄に用いる際に、優れた起泡性/泡安定性を呈すると共に、濯ぎ時には優れた泡切れ性を呈することを課題として、(a)酸化性ハロゲン酸及びそれらの塩から選ばれる1種以上の化合物を0.5~10質量%、(b)炭素数8~14の炭化水素基を1つ有するアミンオキサイド型界面活性剤を0.5~18質量%、(c)炭素数12~16の脂肪酸及びそれらの塩から選ばれる1種以上の化合物を0.5~10質量%、並びに、(d)水を含有し、(b)成分/(c)成分の質量比が1/10~10/1、且つ、(b)成分と(c)成分の合計含有量が4~20質量%である、食品加工設備及び/又は調理設備用液体洗浄剤組成物が開示されている。
【0005】
特許文献2には、洗浄性と油水分離性に優れることを課題として、アルカリ剤(A)、特定構造の分岐カルボン酸(B-1)、及び特定構造の分岐アルコール(B-2)、及び水を含有し、前記カルボン酸(B-1)と、前記アルコール(B-2)との重量比{(B-1)/(B-2)}が、97/3~25/75である、アルカリ洗浄剤組成物が開示されている。
【0006】
特許文献3には、(A)成分として炭化水素基の炭素数8~18のアルキルジメチルアミンオキシド及び/又は炭化水素基の炭素数8~18のアルケニルジメチルアミンオキシド、(B)成分としてアルカリ剤、(C)成分として炭素数12~24の分岐脂肪酸及び/又はその塩、(D)成分として水、を含有し、質量比で(A)成分/(C)成分の値が0.1以上、20以下である、油脂汚れに対する洗浄力、壁面等の垂直面に対する泡保持性、発泡性に優れ、すすぎ時の泡切れ性が良好で、飲料・食品製造工場、厨房の洗浄を効果的に行うことのできる発泡洗浄剤組成物が開示されている。
【0007】
特許文献4には、(A)アミンオキサイド、(B)総炭素数11以上21以下の鎖式分岐炭化水素基を有するカルボン酸又はその塩、及び水を含有し、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比(A)/(B)が、0.4以上55以下である、使用時(希釈時、又は被洗浄物の水での濯ぎ時)に、析出物の発生を抑制するとともに、泡安定性、濯ぎ性に優れる硬質表面用液体洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2012-149226号公報
【文献】特開2012-201752号公報
【文献】特開2018-168328号公報
【文献】特開2018-203853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の組成物は、優れた泡特性を有するが、直鎖脂肪酸を用いているため、脂肪酸のカルシウム塩が析出し、洗浄の使用状況に応じて、食品加工設備や自動化洗浄設備などにおいて析出物が付着する課題がある。
また特許文献3、4に記載の組成物は、分岐鎖脂肪酸を用いることで、食品加工設備や自動化洗浄設備などにおいて析出物として付着する脂肪酸のカルシウム塩の析出を抑制することができるが、更なる改善が求められる。また本発明者らは、特許文献3、4に記載の組成物は、発泡連続性に課題があることを見出した。
【0010】
本発明は、食品加工設備や自動化洗浄設備などの洗浄使用時(希釈時、又は被洗浄物の水での濯ぎ時)に、該設備に付着する析出物発生の抑制(以下、白化抑制性ともいう)に優れるとともに、発泡連続性に優れる硬質表面用液体洗浄剤組成物、及びこれを用いた硬質表面の洗浄方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、(A)アミンオキサイド(以下、(A)成分という)、(B)総炭素数11以上21以下の鎖式分岐炭化水素基を有するカルボン酸又はその塩(以下、(B)成分という)、(C)水溶性高分子化合物(以下、(C)成分という)、(D)酸化性ハロゲン酸又はその塩(以下、(D)成分という)、及び水を含有する、硬質表面用液体洗浄剤組成物に関する。
【0012】
また本発明は、下記工程1~3を含む食品加工設備又は調理設備の洗浄方法に関する。工程1:本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物を水により2~200倍の希釈倍率で、予め希釈し、及び/又は、希釈しながら、泡状に噴射し、食品加工設備及び/又は調理設備に付着させる工程
工程2:泡を一定の時間保持する工程
工程3:食品加工設備及び/又は調理設備を水で濯ぐ工程
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、食品加工設備や自動化洗浄設備などの洗浄使用時(希釈時、又は被洗浄物の水での濯ぎ時)に、該設備に付着する析出物発生の抑制(白化抑制性)に優れるとともに、発泡連続性に優れる硬質表面用液体洗浄剤組成物、及びこれを用いた硬質表面の洗浄方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<硬質表面用液体洗浄剤組成物>
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物が、本願効果を発現する理由は必ずしも定かではないが、以下の様に推定される。
イソステアリン酸等の脂肪酸は鎖式分岐炭化水素基を有し、融点が低く、常温で液体である。そのため、常温で固体の直鎖の脂肪酸と比べて、硬質表面の洗浄時のすすぎ乾燥後に凝集しにくい。またその分子構造は、かさ高い構造であり結晶構造をとりづらいことから、洗浄使用時(希釈時、又は被洗浄物の水での濯ぎ時)に洗浄設備に付着する析出物の発生(白化現象)が起こりづらい。一方、鎖式分岐炭化水素基を有する脂肪酸は、かさ高い構造を有するために、泡膜形成時に他の界面活性剤も含めて分子集合するとき、気液界面での分子配列が乱れパッキング性を低下させることから、排液が促進するため気泡の安定性が損なわれる。その結果、液体洗浄剤組成物に圧力をかけて発泡する際に泡形成量が不足し発泡連続性が発現しない。そこで、本発明においては、鎖式分岐炭化水素基を有するカルボン酸と水溶性高分子化合物を併用する。水溶性高分子化合物は水中に分散しているとき水和しており、気泡間の液膜中において多量の水分子を捕捉することができる。これにより、気液界面での界面活性剤が構成する膜構造のパッキングが疎であっても排液が起こりにくく、安定な気泡が形成され発泡連続性が発現されるものと考えられる。また、水溶性高分子化合物は、すすぎ水中の硬度成分(金属イオン)を捕捉するキレート能を有することが予測され、鎖式分岐炭化水素基を有するカルボン酸の塩形成を阻害することにより白化抑制性にも寄与していると考えられる。
尚、本発明の効果は上記作用機構に制限されるものではない。
【0015】
<(A)成分>
本発明の(A)成分は、アミンオキサイドである。
アミンオキサイドとしては、炭素数8以上22以下の炭化水素基、好ましくは直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基を有するアミンオキサイドが好ましく、中でも一般式(a1)で表される化合物がより好ましい。
【0016】
【化1】
【0017】
〔式中、R1aは炭素数8以上22以下の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基を示し、R2a及びR3aは、同一又は異なって、炭素数1以上3以下のアルキル基を示す。Dは-NHC(=O)-基又は-C(=O)NH-基を示し、Eは炭素数1以上5以下のアルキレン基を示す。m及びpは、m=0かつp=0又はm=1かつp=1を示す。〕
【0018】
上記一般式(a1)において、R1aは、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、好ましくは炭素数8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基であり、より好ましくは炭素数10以上18以下のアルキル基である。またR1aは、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、ヤシ油などの天然油脂由来の炭化水素基構造であってもよい。R2a、R3aは、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、好ましくは炭素数1のメチル基である。Eは、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、炭素数2又は3のアルキレン基が好ましい。
【0019】
アミンオキサイドの好ましい具体例としては、
(1)ココアルキルジメチルアミンオキサイド、カプリルジメチルアミンオキサイド、カプリンジメチルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ミリスチルジメチルアミンオキサイド等のアルキル(炭素数8以上22以下)ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミンオキサイド、
(2)ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド等の脂肪酸(炭素数8以上22以下)アミドプロピルジアルキル(炭素数1以上3以下)アミンオキサイド
が挙げられ、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、(1)アルキル(炭素数8以上22以下)ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミンオキサイドがより好ましい。
【0020】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、(A)成分を、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、より更に好ましくは2.5質量%以上、より更に好ましくは3質量%以上、そして、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下含有する。
【0021】
<(B)成分>
本発明の(B)成分は、総炭素数11以上21以下の鎖式分岐炭化水素基を有するカルボン酸又はその塩である。(B)成分のカルボン酸は、白化抑制性の観点から、モノカルボン酸が好ましい。
総炭素数11以上21以下の鎖式分岐炭化水素基を有するカルボン酸の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩等の無機塩、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等の有機塩が挙げられる。
【0022】
本発明において、鎖式分岐炭化水素基とは、主鎖と側鎖を有する炭化水素基であり、後述する分岐炭素原子を1以上有するものをいう。
鎖式分岐炭化水素基は、析出物の抑制の観点から、カルボン酸に結合している炭素原子が第2級炭素原子であることが好ましい。
鎖式分岐炭化水素基のうち、カルボン酸に結合している炭素原子から数えて炭素数が最も大きい炭化水素鎖を主鎖とし、主鎖から分岐して結合している炭化水素鎖を側鎖とする。
【0023】
主鎖が2つ以上考えられる場合、即ち炭素数が最も大きい炭化水素鎖(以下、最長炭化水素鎖ともいう)が2つ以上ある場合、下記の順序で主鎖を決める。
1.最長炭化水素鎖から分岐する側鎖の炭素原子数が大きい方を主鎖とする。
2.次に、最長炭化水素鎖から分岐する側鎖の炭素原子数が同じである場合は、最長炭化水素鎖から分岐する側鎖の数が多い方を主鎖とする。
3.次に、最長炭化水素鎖から分岐する側鎖の数が同じである場合は、カルボン酸の酸素原子に結合している炭素原子から数えて、カルボン酸の酸素原子により近い炭素原子に側鎖を有する方を主鎖とする。
4.次に、カルボン酸の酸素原子に最も近い、側鎖を有する炭素原子の位置が同じ場合は、カルボン酸の酸素原子に最も近い側鎖の炭素原子数が多い方を主鎖とする。
なお、2つ以上の最長炭化水素鎖が、同一の対称構造を有する場合は、どちらを主鎖としてもよい。
【0024】
鎖式分岐炭化水素基の総炭素数は、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、11以上、好ましくは13以上、より好ましくは15以上、そして、21以下、好ましくは19以下、より好ましくは17以下である。
【0025】
鎖式分岐炭化水素基において、主鎖の炭素数は、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは6以上、より更に好ましくは7以上、そして、同様の観点から、好ましくは19以下、より好ましくは17以下、更に好ましくは15以下、より更に好ましくは13以下、より更に好ましくは11以下である。なお、主鎖の炭素数に、側鎖の炭素数は含まれない。
【0026】
鎖式分岐炭化水素基において、側鎖を構成する炭素数の合計は、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは5以上、そして、同様の観点から、好ましくは15以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは13以下、より更に好ましくは12以下、より更に好ましくは11以下、より更に好ましくは10以下である。
本発明において、側鎖を構成する炭素数の合計とは、主鎖以外の全側鎖の炭素数を合計したものであり、側鎖が複数ある場合は、それら全側鎖の炭素数の合計である。
【0027】
鎖式分岐炭化水素基において、側鎖の数は、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、1以上、好ましくは2以上、そして、同様の観点から、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは5以下、より更に好ましくは4以下である。
本発明において、側鎖の数とは、主鎖から分岐する側鎖の数であり、側鎖が、更に当該側鎖から分岐する側鎖を有していても側鎖の数としては変わらない。
【0028】
鎖式分岐炭化水素基中の分岐炭素の数は、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、好ましくは1以上、そして、好ましくは8以下、より好ましくは7以下、更に好ましくは6以下、より更に好ましくは5以下である。
本発明において、分岐炭素の数とは、鎖式分岐炭化水素基中の第3級炭素原子と第4級炭素原子の数の合計である。
【0029】
(B)成分は、具体的には、下記式(b1)で表されるイソステアリン酸、下記式(b2-1)で表されるイソステアリン酸、下記式(b2-2)で表されるイソステアリン酸、下記式(b3)で表されるイソステアリン酸、下記式(b4)で表されるイソパルミチン酸、下記式(b5)で表されるイソアラキン酸(いずれも日産化学工業(株)製)、及びこれらの塩から選ばれる1種以上の脂肪酸が挙げられる。これらの中で、(B)成分は、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、式(b1)で表されるイソステアリン酸、式(b2-1)で表されるイソステアリン酸、式(b2-2)で表されるイソステアリン酸、式(b3)で表されるイソステアリン酸、式(b4)で表されるイソパルミチン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上が好ましく、式(b1)で表されるイソステアリン酸又はその塩がより好ましい。
【0030】
【化2】
【0031】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、(B)成分を、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上、そして、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下含有する。なお(B)成分の含有量は酸換算した値の量に基づく含有量である。以下、(B)成分の含有量について記載する場合も同じである。
【0032】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物において、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量との質量比(A)/(B)は、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.7以上、より更に好ましくは0.9以上、更に洗浄力の観点から、好ましくは1.5以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上、より更に好ましくは6以上、そして、すすぎ性、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、好ましくは55以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは40以下、より更に好ましくは30以下、より更に好ましくは20以下、より更に好ましくは10以下、より更に好ましくは8以下である。
【0033】
<(C)成分>
本発明の(C)成分は、水溶性高分子化合物である。本発明の(C)成分にについて水溶性とは、25℃の水90gに10g以上溶解するものをいう。
【0034】
(C)成分としては、水溶性天然高分子化合物、セルロースやデンプンなどの天然高分子化合物のヒドロキシ基が炭素数1以上3以下のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、カチオン性基、アルキルカルボルシ基等により変性(又は本発明では“置換”ともいう)された水溶性変性天然高分子化合物、並びに不飽和カルボン酸重合体、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール等の水溶性合成高分子化合物を挙げることができる。
【0035】
水溶性天然高分子化合物及び水溶性変性天然高分子化合物としてはアラビアゴム、カラーギナン、グアガム、デンプン、キサンタンガム、水溶性変性セルロース、例えば、エチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン化デンプン、アルギン酸ナトリウム、カチオン化グアガムなどを挙げることができる。
水溶性天然高分子化合物、水溶性変性天然高分子化合物及び水溶性合成高分子化合物の重量平均分子量は、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、好ましくは1000以上、そして、好ましくは300万以下、より好ましくは200万以下である。
(C)成分の高分子化合物の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によりアセトニトリルと水の混合溶液(リン酸緩衝液)を展開溶媒とし、ポリエチレングリコールを標準として求めたものをいう。
【0036】
水溶性合成高分子化合物である不飽和カルボン酸重合体としては、ポリアクリル酸又はその塩、ポリメタクリル酸又はその塩、ポリマレイン酸又はその塩から選ばれる重合体、アクリル酸、メタクリル酸、及びマレイン酸から選ばれる2種以上の共重合体又はその塩、並びにアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸と共重合可能な不飽和化合物との共重合体が挙げられる。不飽和カルボン酸重合体の重量平均分子量は、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、好ましくは1,000以上、そして、好ましくは300万以下である。
【0037】
(C)成分である、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸と共重合可能な不飽和化合物との共重合体としては、発泡連続性及び硬度成分捕捉能を考慮した白化抑制性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸から選ばれる単量体と炭素数4以上8以下のオレフィンとの共重合体が好ましく、マレイン酸と炭素数4以上8以下のオレフィンとの共重合体がより好ましい。
【0038】
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸から選ばれる単量体と炭素数4以上8以下のオレフィンとの共重合体において、炭素数4以上8以下のオレフィンとしては、ジイソブチレン、イソブチレン、ペンテンなどが挙げられ、分散能の観点から、ジイソブチレンが好ましい。
【0039】
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸から選ばれる単量体と炭素数4以上8以下のオレフィンとの共重合体において、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸から選ばれる単量体(c1)と、炭素数4以上8以下のオレフィン(c2)との、共重合モル比(c1)/(c2)は、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは10/90以上、更に好ましくは15/85以上、そして、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下、更に好ましくは85/15以下である。
【0040】
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸から選ばれる単量体と炭素数4以上8以下のオレフィンとの共重合体の重量平均分子量は、発泡連続性及び硬度成分捕捉能を考慮した白化抑制性の観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは2,000以上、更に好ましくは4,000以上、より更に好ましくは10,000以上、そして、同様の観点から、好ましくは40,0000以下、より好ましくは200,000以下、更に好ましくは100,000以下、より更に好ましくは50,000以下である。
【0041】
(C)成分である、ポリアクリル酸又はその塩、ポリメタクリル酸又はその塩、ポリマレイン酸又はその塩から選ばれる重合体、並びにアクリル酸、メタクリル酸、及びマレイン酸から選ばれる2種以上の共重合体又はその塩における、塩としては、好ましくはアルカリ金属塩であり、より好ましくはナトリウム塩又はカリウム塩であり、更に好ましくはナトリウム塩である。
ポリアクリル酸又はその塩、ポリメタクリル酸又はその塩、ポリマレイン酸又はその塩から選ばれる重合体、並びにアクリル酸、メタクリル酸、及びマレイン酸から選ばれる2種以上の共重合体又はその塩の重量平均分子量は、発泡連続性及び硬度成分捕捉能を考慮した白化抑制性の観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは1,500以上、更に好ましくは2,000以上、より更に好ましくは3,000以上、そして、好ましくは400,000以下、より好ましくは200,000以下、更に好ましくは100,000
以下、より更に好ましくは10,000以下である。
【0042】
(C)成分は、発泡連続性及び硬度成分捕捉能を考慮した白化抑制性の観点から、水溶性合成高分子化合物である不飽和カルボン酸重合体が好ましく、ポリアクリル酸又はその塩、ポリメタクリル酸又はその塩、ポリマレイン酸又はその塩、並びにアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸から選ばれる単量体と炭素数4以上8以下のオレフィンとの共重合体から選ばれる1種以上がより好ましく、ポリアクリル酸又はその塩、及びマレイン酸と炭素数4以上8以下のオレフィンとの共重合体から選ばれる1種以上が更に好ましく、ポリアクリル酸又はその塩、及びマレイン酸とジイソブチレンとの共重合体から選ばれる1種以上がより更に好ましい。
【0043】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、(C)成分を、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、そして、酸化性ハロゲン酸またはその塩の安定性の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは2.5質量%以下含有する。なお(C)成分の含有量は酸換算した値の量に基づく含有量である。以下、(C)成分の含有量について記載する場合も同じである。
【0044】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物において、(B)成分の含有量と、(C)成分の含有量との質量比(B)/(C)は、酸化性ハロゲン酸またはその塩の安定性、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.05以上、より更に好ましくは0.1以上、より更に好ましくは0.2以上、そして、発泡連続性の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、より更に好ましくは1以下、より更に好ましくは0.5以下である。
【0045】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物において、(A)成分と(B)成分の合計含有量と、(C)成分の含有量との質量比((A)+(B))/(C)は、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、好ましくは0.06以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.5以上、より更に好ましくは1以上、より更に好ましくは1.5以上、そして、すすぎ性の観点から、好ましくは40以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下、より更に好ましくは7以下、より更に好ましくは5以下、より更に好ましくは4.5以下、より更に好ましくは4以下、より更に好ましくは3以下である。
【0046】
<(D)成分>
本発明の(D)成分は、酸化性ハロゲン酸又はその塩である。
【0047】
(D)成分の酸化性ハロゲン酸としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、亜塩素酸が挙げられ、殺菌効果の観点から、次亜塩素酸が好ましい。また、酸化性ハロゲン酸の塩としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、亜塩素酸のアルカリ金属塩が挙げられ、泡安定性の観点から、次亜塩素酸のアルカリ金属塩が好ましく、中でも次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
【0048】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、(D)成分を、洗浄性及び殺菌効果の観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、より更に好ましくは3質量%以上、そして、使用感の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下含有する。なお(D)成分の含有量は、ナトリウム塩として換算した値の量に基づく含有量である。
【0049】
<(E)成分>
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、洗浄性の観点から、アルカリ性であることが好ましく、(E)成分として、アルカリ剤を配合することが好ましい。アルカリ剤としては、アルカリ金属の水酸化物や、アルカリ金属の珪酸塩が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が挙げられ、アルカリ金属の珪酸塩としては珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、具体的には、メタ珪酸ナトリウム、オルト珪酸ナトリウム、1号珪酸ナトリウム、2号珪酸ナトリウム、3号珪酸ナトリウム、4号珪酸ナトリウム、1K珪酸カリウム、2K珪酸カリウムが挙げられる。
【0050】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物中の(E)成分の含有量は、後述するpHが所定の範囲になるように適宜調整すればよい。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、(E)成分を、(E)成分の種類にもよるが、洗浄性の観点から、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、より更に好ましくは3質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下含有する。(E)成分は、純分換算量である。
【0051】
<その他成分>
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(A)成分~(E)成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、EDTA,MGDA、クエン酸等のキレート剤;溶剤、ハイドロトロープ剤、分散剤、pH調整剤、増粘剤、粘度調整剤、香料、着色剤、酸化防止剤、防腐剤、漂白剤、漂白活性化剤などの他の成分を配合することができる。
【0052】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、水を含有する。すなわち、前記(A)~(E)成分及びその他成分以外の残部が水である。本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、水を、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは75質量%以上、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは93質量%以下含有する。水は、イオン交換水、滅菌イオン交換水、水道水等を使用することが好ましい。
【0053】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、洗浄性の観点から、好ましくは9以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは11以上、より更に好ましくは12以上、より更に好ましくは13以上、そして、好ましくは14以下である。
【0054】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物の20℃における粘度は、操作性の観点から、好ましくは0.5mPa・s以上、より好ましくは1mPa・s以上、そして、好ましくは500mPa・s以下、より好ましくは200mPa・s以下、更に好ましくは100mPa・s以下、より更に好ましくは80mPa・s以下、より更に好ましくは50mPa・s以下である。粘度は溶剤やハイドロトロープ剤などで調整することができる。
【0055】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、硬質物品の硬質表面用、更に食品加工設備及び/又は調理設備用であることが好ましい。即ち、本発明は食品加工設備及び/又は調理設備用液体洗浄剤組成物であることが好適である。
本発明において、用語「食品加工設備及び/又は調理設備」とは、食品加工工場において、食品を加工する際及び/又は調理する際に用いられる機器及び設備を意味する。かかる機器としては、例えば、ネットコンベアやフリーザー、スライサー、精米機などが挙げられる。また、かかる設備としては、例えば、床、壁、作業台などが挙げられる。
【0056】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物を食品加工設備及び/又は調理設備用に用いる場合、上記「食品加工設備及び/又は調理設備」を発泡洗浄により洗浄することが好ましい。
【0057】
<硬質表面の洗浄方法>
本発明の硬質表面の洗浄方法は、前記本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させる、硬質表面の洗浄方法である。
すなわち、本発明の硬質表面の洗浄方法では、本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物を用いる。該組成物の好ましい態様は、前記した本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物と同じである。
【0058】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、下記工程1~3を含む食品加工設備及び/又は調理設備の洗浄方法に好適に用いられる。
工程1:前記硬質表面用液体洗浄剤組成物を水により2~200倍(好ましくは5~200倍)の希釈倍率で、予め希釈し、及び/又は、希釈しながら、泡状に噴射し、食品加工設備及び/又は調理設備に付着させる工程
工程2:泡を一定の時間保持する工程
工程3:食品加工設備及び/又は調理設備を水で濯ぐ工程
【0059】
工程1では、本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物を、水により2~200倍(好ましくは5~200倍)の希釈倍率で予め希釈した後、泡状に噴射する。あるいは、硬質表面用液体洗浄剤組成物を専用容器に入れ、ホース等により水道と直結するなどして、希釈しながら混合して泡状に噴射する。上記の事前希釈と同時希釈とを組み合わせて、硬質表面用液体洗浄剤組成物の希釈溶液を泡状に噴射することもできる。工程1における希釈倍率は2~200倍であり、好ましくは5~200倍であり、より好ましくは20~100倍である。
ここで、希釈に使用される水としては、一般に、水道水のような、硬度成分を含有する水であることが想定される。希釈に使用される水の硬度は、発泡連続性の観点から、0.1~30°dHの範囲にあることが好ましく、0.1~20°dHの範囲にあることがより好ましく、0.1~15°dHの範囲にあることが更に好ましく、0.1~12°dHの範囲にあることがより更に好ましく、0.1~8°dHの範囲にあることがより更に好ましく、0.1~4°dHの範囲にあることがより更に好ましい。
【0060】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物の希釈溶液を泡状に噴射させる態様としては、水で所定の倍率に希釈した希釈溶液を、専用の泡洗浄機に適量充填して、外部からの空気/圧縮空気を混合して泡状に噴射する態様が好適に挙げられる。希釈溶液(洗浄液)中の本発明の組成物の合計含有量は、好ましくは0.02~4質量%、より好ましくは0.02~1質量%である。食品加工工場内の製造ライン等、処理面積が大きい場合は、泡洗浄機(例えば、「SCU-HF」スプレーイング社製、「KF-100」、「KF-200」
花王(株)製)が好適に用いられる。まな板等の調理器具等、処理面積が小さい場合は、トリガースプレーヤーやフォーマースプレーヤー等の間欠的に泡を発生させることのできるハンドスプレーヤーが好適に用いられる。
【0061】
工程1では間欠することなく泡状に噴射することが好ましい。ここで、「間欠することなく」噴射するとは、例えば、泡洗浄機を用いて、レバーやスイッチ等により開栓している間は連続的に(例えば、5秒以上)洗浄剤が泡状に噴射し続けることを表し、これは、「間欠する」噴射、例えば、トリガースプレーヤーやフォーマースプレーヤー等のハンドスプレーヤーを用いて、レバーを引いた時に噴射され、瞬時に噴射が停止するような噴射の態様と区別される。
【0062】
泡洗浄機を用いて間欠することなく泡状に噴射する態様は、洗浄対象である食品加工設備及び/又は調理設備の面積や規模が大きい場合により有効である。
【0063】
泡洗浄機を用いる場合、発泡倍率(泡の体積(mL)/泡の重量(g)の比)が好ましくは3~50倍、より好ましくは5~40倍、更に好ましくは10~40倍であることが好適である。また、噴射時の圧力(ゲージ圧)は、好ましくは0.1~1MPa、より好ましくは0.2~0.8MPa、更に好ましくは0.2~0.5MPaとすることが好適である。トリガースプレーヤーやフォーマースプレーヤー等のハンドスプレーヤーを用いる場合、発泡倍率は好ましくは2~30倍、より好ましくは2~20倍、更に好ましくは3~10倍であることが好ましい。
【0064】
工程1において本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物の希釈溶液を泡状に噴射し食品加工設備及び/又は調理設備に付着させてから一定時間泡を保持する(工程2)。工程2において泡を保持する時間は、各装置の機構および作業性の観点から、好ましくは1~60分、より好ましくは1~45分であることが好適である。更に、1~30分であることが好ましく、1~20分であることがより好ましく、1~15分であることがより好ましく、1~10分であることがより好ましく、1~5分であることがより更に好ましい。また、工程2において泡を保持する時間は、洗浄性の観点から、10~60分であることが好ましく、15~45分であることがより好ましく、20~30分であることが更に好ましい。
【0065】
工程2において泡を保持する時間は、希釈溶液の希釈倍率や使用場面によって異なり、特に制限されるものではないが、例えば2~50倍(好ましくは5~50倍)の希釈倍率では、泡を保持する時間は1~60分、また、50~200倍の希釈倍率においては、1~10分の間泡を安定に保持することが好ましい。
【0066】
工程2において泡を保持している間は放置しておくことが好ましいが、僅かの水等を加えるようなことも可能である。
【0067】
泡を一定時間保持した後、工程3において、食品加工設備及び/又は調理設備を水で濯ぐ。濯ぎ水の温度は、好ましくは10~70℃、より好ましくは20~70℃であることが好適である。濯ぎ水としては、水道水を用いることができ、上記の好ましい水温に調整すべく加熱して用いてもよい。一般的には、ホース等で人の手による濯ぎ作業が行われる。本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、かかる濯ぎ時の泡切れ性に優れ、従来の洗浄剤組成物に比し、必要となる濯ぎ水が少量でよく、経済的に有利であり、また作業負荷(作業時間や作業人員数)や環境負荷の軽減にも著しく寄与するものである。
【実施例
【0068】
下記配合成分を用いて、表1に示す硬質表面用液体洗浄剤組成物を調製し、以下の項目について評価を行った。結果を表1に示す。
表1の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、以下の方法により調製した。適量のイオン交換水に(A)成分と(C)成分を室温(25℃)で溶解させた水溶液に、あらかじめイオン交換水に(B)成分又は(B’)成分と必要に応じてその他成分(パラトルエンスルホン酸)を室温(25℃)で溶解させ(E)成分によりpHを約13に調整した水溶液および(D)成分を添加した後、(E)成分をおよびイオン交換水を添加して表1に示すpH(25℃)及び濃度に調整した。なお、表1中の配合成分の質量%は、全て有効分に基づく数値である。また(B)成分は酸換算としての量に基づく質量%であり、(D)成分はナトリウム塩としての量に基づく質量%を示している。
【0069】
<配合成分>
(A)成分
・ココアルキルアミンオキサイド:東邦化学工業(株)製、カチナールAOC(K)、一般式(a1)において、R1aは、炭素数8~18の炭化水素基、R2a及びR3aはメチル基、m=0かつp=0の化合物
・C8アミンオキサイド:花王(株)製、アンヒトール08N、一般式(a1)において、R
1aは、炭素数8のアルキル基、R2a及びR3aはメチル基、m=0かつp=0の化合物
・C12アミンオキサイド:花王(株)製、アンヒトール20N、一般式(a1)において、
1aは、炭素数12のアルキル基、R2a及びR3aはメチル基、m=0かつp=0の化合物
・C14アミンオキサイド:花王(株)製、アンヒトール40N、一般式(a1)において、
1aは、炭素数14のアルキル基、R2a及びR3aはメチル基、m=0かつp=0の化合物
【0070】
(B)成分
・イソステアリン酸:日産化学工業(株)製、「イソステアリン酸」、式(b1)で表される脂肪酸
【0071】
(B’)成分((B)成分の比較成分)
・ラウリン酸:花王(株)製、ルナックL-98
・ミリスチン酸:花王(株)製、ルナックMY-98
【0072】
(C)成分
・ジイソブチレン/マレイン酸共重合体:ローム・アンド・ハース社製 アキュゾール4
60ND、ジイソブチレン/マレイン酸=50/50(モル比)、重量平均分子量=12,000
・ポリアクリル酸ナトリウム(1):BASFジャパン(株)製、ソカランPA25CL
FR、アクリル酸ホモポリマーのナトリウム塩、重量平均分子量4,000
・ポリアクリル酸ナトリウム(2):花王(株)製、オリゴマーD、アクリル酸ホモポリマーのナトリウム塩、重量平均分子量8,000
【0073】
(D)成分
・次亜塩素酸ナトリウム:東ソー(株)製
(E)成分
・1号ケイ酸カリウム:日本化学工業(株)製、SiO/KOモル比=2.0~2.3〔日本化学工業(株)パンフレットより〕
・水酸化カリウム:東亜合成(株)製
・水酸化ナトリウム:東亜合成(株)製
その他の成分
・パラトルエンスルホン酸:明友産業(株)製
【0074】
(1)白化抑制性評価
調製した各硬質表面用液体洗浄剤組成物を、硬度20°dHの硬度水で希釈して、硬質表面用液体洗浄剤組成物の濃度が1質量%の希釈液を作製した。この希釈液を、光路長1cmの石英セルに入れて、吸光光度計(株式会社日立製作所製、U-3300)にて、6
00nmの吸光度(abs)を測定(25℃)した。この評価では、吸光度が大きい程、硬度水中に含まれるカルシウムと組成物中に含まれる脂肪酸が結びついて脂肪酸カルシウム塩が生成され、白濁していることを意味しており、吸光度が小さい程、白化抑制性に優れていることが言える。結果を表1に示す。
【0075】
(2)発泡連続性評価
発泡機(花王(株)製、KF-200)に、調製した各硬質表面用液体洗浄剤組成物300gを和歌山市水5700gで希釈した混合液を入れて、圧力0.4MPaの条件で連続発泡操作を行った。発泡連続性を下記の評価基準で判定した。結果を表1に示す。
〇:発泡機中の混合液が無くなるまで、発泡が途切れずに連続発泡することができた。
×:発泡機中の混合液の残量がある状態で、連続発泡操作中に発泡が途切れた。
【0076】
【表1】