(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】アクティブマトリクス基板、アクティブマトリクス基板を備えたインセルタッチパネル型液晶表示装置、およびアクティブマトリクス基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1368 20060101AFI20230621BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20230621BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20230621BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20230621BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20230621BHJP
G09F 9/35 20060101ALI20230621BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20230621BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
G02F1/1368
G02F1/1333
G06F3/041 412
G06F3/044 120
G02F1/133 530
G09F9/35
H01L29/78 618B
H01L29/78 619B
H01L29/78 616S
H01L29/78 612D
(21)【出願番号】P 2019235845
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】森永 潤一
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/168682(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106406612(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0071997(KR,A)
【文献】特開2005-037913(JP,A)
【文献】国際公開第01/033292(WO,A1)
【文献】特開平05-307194(JP,A)
【文献】特開2017-162255(JP,A)
【文献】特表2016-531321(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0149900(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1368
G02F 1/1333
G06F 3/041
G06F 3/044
G02F 1/133
H01L 29/786
G09F 9/00
G09F 9/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行方向および列方向にマトリクス状に配置された複数の画素領域を含むアクティブマトリクス基板であって、前記複数の画素領域は、複数の画素行と複数の画素列とを含み、
前記アクティブマトリクス基板は、
主面を有する基板と、
前記基板の前記主面上に設けられた複数の遮光層と、
前記複数の遮光層を覆うように設けられた下部絶縁層と、
前記複数の画素領域のそれぞれに対応して設けられた画素TFTであって、前記下部絶縁層上に設けられた酸化物半導体層、前記酸化物半導体層上に設けられたゲート絶縁層、および、前記ゲート絶縁層を介して前記酸化物半導体層に対向するように設けられたゲート電極を有する画素TFTと、
行方向に延びる複数のゲート配線であって、前記ゲート電極と同じ導電膜から形成された複数のゲート配線と、
列方向に延びる複数のソース配線と、
前記複数の画素領域のそれぞれに設けられ、前記画素TFTに電気的に接続された画素電極と、
前記酸化物半導体層、前記ゲート電極および前記複数のゲート配線を覆うように設けられた層間絶縁層と、
前記層間絶縁層上に設けられた共通電極であって、それぞれがタッチセンサ電極として機能し得る複数のセグメントを含む、共通電極と、
列方向に延びる複数のタッチ配線であって、それぞれが対応するタッチセンサ電極に接続された複数のタッチ配線と、を有し、
前記酸化物半導体層は、チャネル領域と、前記チャネル領域の両側に位置し前記チャネル領域よりも比抵抗の低い第1低抵抗領域および第2低抵抗領域とを含み、前記第1低抵抗領域は、前記複数のソース配線のいずれかに接続され、
前記複数のソース配線および前記複数のタッチ配線は、前記基板の前記主面と前記下部絶縁層との間に位置し、前記複数の遮光層と同じ導電膜から形成されており、
前記画素電極は、前記酸化物半導体層と同じ酸化物膜から形成され、前記酸化物半導体層の前記第2低抵抗領域と連続しており、
前記複数のゲート配線および前記複数のソース配線は、1つの画素行に対して一対のゲート配線が接続され、かつ、一対の画素列に対して1つのソース配線が接続されるように配置されており、前記一対の画素列は、第1画素列と、前記第1画素列に隣接する第2画素列とを含み、
前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記複数のソース配線のそれぞれは、対応する前記一対の画素列における前記第1画素列と前記第2画素列との間に配置され、前記複数のタッチ配線のそれぞれは、前記複数のソース配線のうちの隣接する2つのソース配線の間において、隣接する2つの画素列の間に配置されている、アクティブマトリクス基板。
【請求項2】
前記アクティブマトリクス基板は、前記共通電極と同じ透明導電膜から形成された接続電極であって、前記複数のソース配線のいずれかと前記画素TFTにおける前記酸化物半導体層の前記第1低抵抗領域とを接続する接続電極をさらに有する、請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項3】
前記接続電極は、前記層間絶縁層および前記下部絶縁層に形成されたソースコンタクトホール内において、前記複数のソース配線のいずれかと前記酸化物半導体層の前記第1低抵抗領域とを接続している請求項2に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項4】
前記画素TFTの前記酸化物半導体層は、前記下部絶縁層上、および、前記下部絶縁層に形成されたソースコンタクトホール内に配置されており、前記ソースコンタクトホール内で前記複数のソース配線のいずれかに接続されている、請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項5】
前記タッチセンサ電極は、前記層間絶縁層および前記下部絶縁層に形成されたタッチコンタクトホール内において、前記複数のタッチ配線のいずれかに接続されている、請求項1から4のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項6】
前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記一対のゲート配線は、前記1つの画素行を挟んで互いに隣接している、請求項1から5のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項7】
前記一対の画素列は、異なる画素行に位置する2つの画素領域からなる画素セットを複数セット含み、
各画素セットにおける前記2つの画素領域の前記画素電極および前記酸化物半導体層は、連続した1つの酸化物パターン内に形成されており、
前記各画素セットの前記酸化物パターンと、他の画素セットの酸化物パターンとは分離している、請求項6に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項8】
前記各画素セットにおける前記2つの画素領域の前記酸化物半導体層の前記第1低抵抗領域は、共通の1つのソースコンタクト部において、前記1つのソース配線に電気的に接続されている、請求項7に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項9】
前記複数のソース配線と前記複数のタッチ配線とは、行方向に交互に配置されている、請求項1から8のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項10】
前記アクティブマトリクス基板は、前記基板の前記主面と前記下部絶縁層との間に位置し、かつ、前記複数の遮光層と同じ導電膜から形成された少なくとも1つのダミータッチ配線をさらに備え、
前記少なくとも1つのダミータッチ配線は、いずれのタッチセンサ電極にも電気的に接続されておらず、
前記複数のソース配線と、前記複数のタッチ配線または前記少なくとも1つのダミータッチ配線とは、行方向に交互に配置されている、請求項1から8のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項11】
前記アクティブマトリクス基板は、前記共通電極と前記基板との間に有機絶縁層を有していない、請求項1から10のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項12】
前記一対の画素列は、画素行ごとに、互いに隣接する第1画素領域および第2画素領域からなる画素対を有し、
前記第1画素領域および前記第2画素領域に配置された前記画素TFTの前記第1低抵抗領域は、いずれも、前記1つのソース配線に接続され、
前記第1画素領域に配置された前記画素TFTの前記ゲート電極は、前記一対のゲート配線の一方に接続され、前記第2画素領域に配置された前記画素TFTの前記ゲート電極は、前記一対のゲート配線の他方に接続されている、請求項1から11のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項13】
前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、請求項1から12のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項14】
前記In-Ga-Zn-O系半導体は結晶質部分を含む、請求項13に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項15】
複数の画素を有するインセルタッチパネル型液晶表示装置であって、
請求項1から14のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板と、
前記アクティブマトリクス基板に対向するように配置された対向基板と、
前記アクティブマトリクス基板と前記対向基板との間に設けられた液晶層と、
を備え、
前記アクティブマトリクス基板における前記複数の画素領域に対応する複数の画素を有し、
1垂直走査期間内に、各画素行が2回ずつ走査され、1回目の走査で各画素行の一部の画素が選択され、2回目の走査で残りの画素が選択されるダブルゲート駆動で表示が行われる、インセルタッチパネル型液晶表示装置。
【請求項16】
請求項1から14のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法であって、
(a)前記基板の前記主面上に第1導電膜を堆積し、その後前記第1導電膜をパターニングすることによって前記複数の遮光層、前記複数のソース配線および前記複数のタッチ配線を形成する工程と、
(b)前記複数の遮光層および前記複数のソース配線を覆うように前記下部絶縁層を形成し、次に、前記下部絶縁層上に酸化物半導体膜を堆積し、その後前記酸化物半導体膜をパターニングする工程と、
(c)前記酸化物半導体膜を覆うように絶縁膜および第2導電膜をこの順で堆積し、その後、前記絶縁膜および前記第2導電膜をパターニングすることによって、前記ゲート絶縁層、前記ゲート電極および前記複数のゲート配線を形成する工程と、
(d)前記酸化物半導体層、前記ゲート電極および前記複数のゲート配線を覆うように前記層間絶縁層を形成する工程と、
(e)前記層間絶縁層および前記下部絶縁層に、それぞれが前記複数のタッチ配線のいずれかの一部を露出する複数のタッチコンタクトホールを形成する工程と、
(f)前記層間絶縁層上に透明導電膜を堆積し、その後前記透明導電膜をパターニングすることによって、前記タッチセンサ電極として機能する前記複数のセグメントを含む前記共通電極を形成する工程であって、前記タッチセンサ電極は、前記複数のタッチコンタクトホールのうちの少なくとも1つのタッチコンタクトホール内において、前記複数のタッチ配線のいずれかに接続される、工程と、
を包含し、
(g)前記酸化物半導体膜の一部を低抵抗化させて、前記第1低抵抗領域、前記第2低抵抗領域および前記画素電極とする工程、
をさらに包含する、アクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項17】
前記工程(e)において、前記層間絶縁層および前記下部絶縁層に、それぞれが前記酸化物半導体層の前記第1低抵抗領域の一部および前記複数のソース配線のいずれかの一部を露出する複数のソースコンタクトホールを、前記複数のタッチコンタクトホールとともに形成し、
前記工程(f)において、前記透明導電膜をパターニングすることによって、前記複数のソースコンタクトホールのいずれかにおいて、前記複数のソース配線のいずれかと前記第1低抵抗領域とを接続する接続電極を、前記共通電極とともに形成する、請求項16に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項18】
前記工程(b)では、前記酸化物半導体膜のパターニングによって、互いに分離された複数の酸化物パターンを形成し、前記複数の酸化物パターンのそれぞれは、前記複数の画素領域のうちの2つの画素領域ごとに配置され、前記2つの画素領域の前記画素電極および前記酸化物半導体層となる部分を含む、請求項16または17に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス基板、アクティブマトリクス基板を備えたインセルタッチパネル型液晶表示装置、およびアクティブマトリクス基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、画素ごとにスイッチング素子が設けられたアクティブマトリクス基板を備える液晶表示装置が広く用いられている。スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下では「TFT」と呼ぶ)を備えるアクティブマトリクス基板は、TFT基板と呼ばれる。なお、本明細書においては、液晶表示装置の画素に対応するアクティブマトリクス基板の領域も画素と呼ぶことがある。また、アクティブマトリクス基板の各画素にスイッチング素子として設けられたTFTを「画素TFT」と呼ぶことがある。
【0003】
近年、TFTの活性層の材料として、アモルファスシリコンや多結晶シリコンに代わって、酸化物半導体を用いることが提案されている。酸化物半導体膜を活性層として有するTFTを、「酸化物半導体TFT」と称する。特許文献1には、In―Ga―Zn-O系の半導体膜をTFTの活性層に用いたアクティブマトリクス基板が開示されている。
【0004】
酸化物半導体は、アモルファスシリコンよりも高い移動度を有している。このため、酸化物半導体TFTは、アモルファスシリコンTFTよりも高速で動作することが可能である。また、酸化物半導体膜は、多結晶シリコン膜よりも簡便なプロセスで形成されるため、大面積が必要とされる装置にも適用できる。
【0005】
TFTの構造は、ボトムゲート構造と、トップゲート構造とに大別される。現在、酸化物半導体TFTには、ボトムゲート構造が採用されることが多いが、トップゲート構造を用いることも提案されている。トップゲート構造では、ゲート絶縁層を薄くできるので、高い電流供給性能が得られる。
【0006】
液晶表示装置において、液晶パネルの狭額縁化やドライバICの搭載点数の削減などを目的として、ゲートドライバやSSD(Source Shared driving)回路がアクティブマトリクス基板に一体的に(モノリシックに)形成されることがある。アクティブマトリクス基板にモノリシックに形成されたゲートドライバは、GDM回路と呼ばれることもある。GDM回路やSSD回路がモノリシックに形成されたアクティブマトリクス基板では、TFTは大きな容量(バスライン容量)を充電する必要があるので、TFTはトップゲート構造であることが好ましいといえる。また、狭額縁化のために省スペース化が可能な点からも、トップゲート構造が好ましいといえる。
【0007】
トップゲート構造のTFTにおいて、半導体層への光の照射によるリーク電流の発生を防止するために、半導体層のチャネル領域の下方に遮光層を設ける構成が知られている。特許文献2には、このような遮光層を設けた構成が開示されている。
【0008】
また、最近では、タブレットやノートPC、スマートフォンに用いられる中小型の液晶表示装置の表示モードとして、Fringe Field Switching(FFS)モードが多く採用されている。
【0009】
FFSモードの液晶表示装置では、水平配向型の液晶層を挟持する一対の基板の一方に、フリンジ電界を生成するための一対の電極が設けられる。この一対の電極は、例えば、複数のスリットが形成された画素電極と、絶縁層を介して画素電極の下に配置された共通電極である。あるいは、一対の電極は、複数のスリットが形成された共通電極と、絶縁層を介して共通電極の下に配置された画素電極である。画素電極と共通電極との間に電圧を印加すると、フリンジ電界が生成され、このフリンジ電界の配向規制力により、液晶分子の配向方向が変化する。
【0010】
このように、FFSモードの液晶表示装置では、フリンジ電界を用いて液晶分子の配向状態が制御される。FFSモードでは、液晶分子が表示面に平行な面内で回転するので、高い視野角特性が得られる。
【0011】
スマートフォン、タブレットなどに使用される液晶表示装置には、タッチセンサ機能が付与されている。タッチセンサには、抵抗膜式、静電容量式、光学式など、種々の方式のものが知られている。静電容量式のタッチセンサでは、物体(例えば指)の接触または接近による静電容量の変化を電気的に検出することで、タッチ状態か否かを判別する。
【0012】
静電容量方式のタッチセンサには、タッチセンサ用の電極と物体(例えば指)との間に生じる静電容量の変化を検知する自己容量方式と、タッチセンサ用の一対の電極(トランスミッタ電極とレシーバ電極)を用いて電界を発生させ、電極間の電界変化を検出する相互容量方式とがある。
【0013】
また、タッチセンサを備えた液晶表示装置(以下、「タッチパネル」)には、外付け型(観察者側に配置された偏光板のさらに観察者側にタッチセンサを配置したもの)と、内蔵型とがある。内蔵型タッチパネルは、外付け型タッチパネルよりも薄型化、軽量化などに有利であり、光の透過率を高められるという利点を有している。
【0014】
内蔵型タッチパネルには、オンセル型タッチパネルとインセル型タッチパネルとがある。ここで、セルは表示セル(以下では、「表示パネル」という。)を指し、例えば、液晶表示パネルは、液晶層を間に介して互いに対向するように配置されたアクティブマトリクス基板(TFT基板)と対向基板とを含み、偏光板を含まない。「インセル型」は、表示パネル内にタッチセンサ機能を担う層を有するものをいう。一方、「オンセル型」は、タッチセンサ機能を担う層が、表示パネルと偏光板との間(例えば対向基板と偏光板との間)に配置されているものをいう。
【0015】
本出願人による特許文献3は、FFSモードで表示を行うインセル型タッチパネルを開示している。以下、液晶表示パネルを用いたインセル型タッチパネルを、「インセルタッチパネル型液晶表示装置」または単に「インセルタッチパネル」と呼ぶ。
【0016】
特許文献3のインセルタッチパネルでは、画素TFTとしてボトムゲート構造のTFTを用いている。また、共通電極は、複数のセグメントに分離されており、各セグメントはタッチセンサ用の電極(以下、「タッチセンサ電極」)としても機能する。各タッチセンサ電極には、タッチセンサの駆動用および/または検出用の配線(以下、「タッチ配線」と総称する)が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】特開2012-134475号公報
【文献】国際公開第2018/212100号
【文献】国際公開第2018/168682号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
FFSモードで表示を行うインセルタッチパネルでは、画素TFTとして、トップゲート構造の酸化物半導体TFTを用いると、アクティブマトリクス基板の製造工程が多くなり、製造コストが増大するという問題がある。
【0019】
これは、FFSモードでは、絶縁層を介して上下に配置された2層の透明電極(画素電極および共通電極)が必要であること、および、トップゲート構造の酸化物半導体TFTでは、遮光層、酸化物半導体層、ゲート配線、ソース配線等の多層構造が必要であることに起因している。
【0020】
また、タッチセンサ機能を付与するために、アクティブマトリクス基板にさらにタッチ配線が設けられる。必要に応じて、タッチ配線と他の配線層とを絶縁するための層間絶縁層が追加されることもある。このため、製造工程数はさらに増大してしまう。
【0021】
なお、特許文献3に開示されたインセルタッチパネルでは、画素TFTとしてボトムゲート構造のTFTを用いており、トップゲート構造のTFTを用いたアクティブマトリクス基板の具体的な構造や製造工程は開示されていない。
【0022】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、トップゲート構造の酸化物半導体TFTを画素TFTとして備えたアクティブマトリクス基板、および、そのようなアクティブマトリクス基板を有するインセルタッチパネルの製造工程を少なくして製造コストを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本明細書は、以下の項目に記載のアクティブマトリクス基板、アクティブマトリクス基板を備えたインセルタッチパネル型液晶表示装置、およびアクティブマトリクス基板の製造方法を開示している。
【0024】
[項目1]
行方向および列方向にマトリクス状に配置された複数の画素領域を含むアクティブマトリクス基板であって、前記複数の画素領域は、複数の画素行と複数の画素列とを含み、
前記アクティブマトリクス基板は、
主面を有する基板と、
前記基板の前記主面上に設けられた複数の遮光層と、
前記複数の遮光層を覆うように設けられた下部絶縁層と、
前記複数の画素領域のそれぞれに対応して設けられた画素TFTであって、前記下部絶縁層上に設けられた酸化物半導体層、前記酸化物半導体層上に設けられたゲート絶縁層、および、前記ゲート絶縁層を介して前記酸化物半導体層に対向するように設けられたゲート電極を有する画素TFTと、
行方向に延びる複数のゲート配線であって、前記ゲート電極と同じ導電膜から形成された複数のゲート配線と、
列方向に延びる複数のソース配線と、
前記複数の画素領域のそれぞれに設けられ、前記画素TFTに電気的に接続された画素電極と、
前記酸化物半導体層、前記ゲート電極および前記複数のゲート配線を覆うように設けられた層間絶縁層と、
前記層間絶縁層上に設けられた共通電極であって、それぞれがタッチセンサ電極として機能し得る複数のセグメントを含む、共通電極と、
列方向に延びる複数のタッチ配線であって、それぞれが対応するタッチセンサ電極に接続された複数のタッチ配線と、を有し、
前記酸化物半導体層は、チャネル領域と、前記チャネル領域の両側に位置し前記チャネル領域よりも比抵抗の低い第1低抵抗領域および第2低抵抗領域とを含み、前記第1低抵抗領域は、前記複数のソース配線のいずれかに接続され、
前記複数のソース配線および前記複数のタッチ配線は、前記基板の前記主面と前記下部絶縁層との間に位置し、前記複数の遮光層と同じ導電膜から形成されており、
前記画素電極は、前記酸化物半導体層と同じ酸化物膜から形成され、前記酸化物半導体層の前記第2低抵抗領域と連続しており、
前記複数のゲート配線および前記複数のソース配線は、1つの画素行に対して一対のゲート配線が接続され、かつ、一対の画素列に対して1つのソース配線が接続されるように配置されており、前記一対の画素列は、第1画素列と、前記第1画素列に隣接する第2画素列とを含み、
前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記複数のソース配線のそれぞれは、対応する前記一対の画素列における前記第1画素列と前記第2画素列との間に配置され、前記複数のタッチ配線のそれぞれは、前記複数のソース配線のうちの隣接する2つのソース配線の間において、隣接する2つの画素列の間に配置されている、アクティブマトリクス基板。
【0025】
[項目2]
前記アクティブマトリクス基板は、前記共通電極と同じ透明導電膜から形成された接続電極であって、前記複数のソース配線のいずれかと前記画素TFTにおける前記酸化物半導体層の前記第1低抵抗領域とを接続する接続電極をさらに有する、項目1に記載のアクティブマトリクス基板。
【0026】
[項目3]
前記接続電極は、前記層間絶縁層および前記下部絶縁層に形成されたソースコンタクトホール内において、前記複数のソース配線のいずれかと前記酸化物半導体層の前記第1低抵抗領域とを接続している項目2に記載のアクティブマトリクス基板。
【0027】
[項目4]
前記画素TFTの前記酸化物半導体層は、前記下部絶縁層上、および、前記下部絶縁層に形成されたソースコンタクトホール内に配置されており、前記ソースコンタクトホール内で前記複数のソース配線のいずれかに接続されている、項目1に記載のアクティブマトリクス基板。
【0028】
[項目5]
前記タッチセンサ電極は、前記層間絶縁層および前記下部絶縁層に形成されたタッチコンタクトホール内において、前記複数のタッチ配線のいずれかに接続されている、項目1から4のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0029】
[項目6]
前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記一対のゲート配線は、前記1つの画素行を挟んで互いに隣接している、項目1から5のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0030】
[項目7]
前記一対の画素列は、異なる画素行に位置する2つの画素領域からなる画素セットを複数セット含み、
各画素セットにおける前記2つの画素領域の前記画素電極および前記酸化物半導体層は、連続した1つの酸化物パターン内に形成されており、
前記各画素セットの前記酸化物パターンと、他の画素セットの酸化物パターンとは分離している、項目6に記載のアクティブマトリクス基板。
【0031】
[項目8]
前記各画素セットにおける前記2つの画素領域の前記酸化物半導体層の前記第1低抵抗領域は、共通の1つのソースコンタクト部において、前記1つのソース配線に電気的に接続されている、項目7に記載のアクティブマトリクス基板。
【0032】
[項目9]
前記複数のソース配線と前記複数のタッチ配線とは、行方向に交互に配置されている、項目1から8のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0033】
[項目10]
前記アクティブマトリクス基板は、前記基板の前記主面と前記下部絶縁層との間に位置し、かつ、前記複数の遮光層と同じ導電膜から形成された少なくとも1つのダミータッチ配線をさらに備え、
前記少なくとも1つのダミータッチ配線は、いずれのタッチセンサ電極にも電気的に接続されておらず、
前記複数のソース配線と、前記複数のタッチ配線または前記少なくとも1つのダミータッチ配線とは、行方向に交互に配置されている、項目1から8のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0034】
[項目11]
前記アクティブマトリクス基板は、前記共通電極と前記基板との間に有機絶縁層を有していない、項目1から10のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0035】
[項目12]
前記一対の画素列は、画素行ごとに、互いに隣接する第1画素領域および第2画素領域からなる画素対を有し、
前記第1画素領域および前記第2画素領域に配置された前記画素TFTの前記第1低抵抗領域は、いずれも、前記1つのソース配線に接続され、
前記第1画素領域に配置された前記画素TFTの前記ゲート電極は、前記一対のゲート配線の一方に接続され、前記第2画素領域に配置された前記画素TFTの前記ゲート電極は、前記一対のゲート配線の他方に接続されている、項目1から11のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0036】
[項目13]
前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、項目1から12のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0037】
[項目14]
前記In-Ga-Zn-O系半導体は結晶質部分を含む、項目13に記載のアクティブマトリクス基板。
【0038】
[項目15]
複数の画素を有するインセルタッチパネル型液晶表示装置であって、
項目1から14のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板と、
前記アクティブマトリクス基板に対向するように配置された対向基板と、
前記アクティブマトリクス基板と前記対向基板との間に設けられた液晶層と、
を備え、
前記アクティブマトリクス基板における前記複数の画素領域に対応する複数の画素を有し、
1垂直走査期間内に、各画素行が2回ずつ走査され、1回目の走査で各画素行の一部の画素が選択され、2回目の走査で残りの画素が選択されるダブルゲート駆動で表示が行われる、インセルタッチパネル型液晶表示装置。
【0039】
[項目16]
項目1から14のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法であって、
(a)前記基板の前記主面上に第1導電膜を堆積し、その後前記第1導電膜をパターニングすることによって前記複数の遮光層、前記複数のソース配線および前記複数のタッチ配線を形成する工程と、
(b)前記複数の遮光層および前記複数のソース配線を覆うように前記下部絶縁層を形成し、次に、前記下部絶縁層上に酸化物半導体膜を堆積し、その後前記酸化物半導体膜をパターニングする工程と、
(c)前記酸化物半導体膜を覆うように絶縁膜および第2導電膜をこの順で堆積し、その後、前記絶縁膜および前記第2導電膜をパターニングすることによって、前記ゲート絶縁層、前記ゲート電極および前記複数のゲート配線を形成する工程と、
(d)前記酸化物半導体層、前記ゲート電極および前記複数のゲート配線を覆うように前記層間絶縁層を形成する工程と、
(e)前記層間絶縁層および前記下部絶縁層に、それぞれが前記複数のタッチ配線のいずれかの一部を露出する複数のタッチコンタクトホールを形成する工程と、
(f)前記層間絶縁層上に透明導電膜を堆積し、その後前記透明導電膜をパターニングすることによって、前記タッチセンサ電極として機能する前記複数のセグメントを含む前記共通電極を形成する工程であって、前記タッチセンサ電極は、前記複数のタッチコンタクトホールのうちの少なくとも1つのタッチコンタクトホール内において、前記複数のタッチ配線のいずれかに接続される、工程と、
を包含し、
(g)前記酸化物半導体膜の一部を低抵抗化させて、前記第1低抵抗領域、前記第2低抵抗領域および前記画素電極とする工程、
をさらに包含する、アクティブマトリクス基板の製造方法。
【0040】
[項目17]
前記工程(e)において、前記層間絶縁層および前記下部絶縁層に、それぞれが前記酸化物半導体層の前記第1低抵抗領域の一部および前記複数のソース配線のいずれかの一部を露出する複数のソースコンタクトホールを、前記複数のタッチコンタクトホールとともに形成し、
前記工程(f)において、前記透明導電膜をパターニングすることによって、前記複数のソースコンタクトホールのいずれかにおいて、前記複数のソース配線のいずれかと前記第1低抵抗領域とを接続する接続電極を、前記共通電極とともに形成する、項目16に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【0041】
[項目18]
前記工程(b)では、前記酸化物半導体膜のパターニングによって、互いに分離された複数の酸化物パターンを形成し、前記複数の酸化物パターンのそれぞれは、前記複数の画素領域のうちの2つの画素領域ごとに配置され、前記2つの画素領域の前記画素電極および前記酸化物半導体層となる部分を含む、項目16または17に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【発明の効果】
【0042】
本発明の実施形態によると、トップゲート構造の酸化物半導体TFTを画素TFTとして備えたアクティブマトリクス基板、および、そのようなアクティブマトリクス基板を有するインセルタッチパネルの製造工程を少なくして製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1A】本発明の実施形態による液晶表示装置(インセルタッチパネル)1001の概略を示す平面図である。
【
図1B】液晶表示装置1001の概略を示す断面図であり、
図1A中の1B-1B’線に沿った断面を示している。
【
図1C】アクティブマトリクス基板101におけるタッチセンサ電極とソース配線およびタッチ配線との配置関係を示す平面図である。
【
図1D】アクティブマトリクス基板101におけるタッチ配線と補助配線との配置関係を例示する平面図である。
【
図2A】アクティブマトリクス基板101の画素構造を例示する平面図である。
【
図2B】アクティブマトリクス基板101の他の画素構造を示す平面図である。
【
図2C】アクティブマトリクス基板101の他の画素構造を示す平面図である。
【
図3A】アクティブマトリクス基板101を模式的に示す平面図である。
【
図3B】アクティブマトリクス基板101を模式的に示す断面図であり、
図3A中の3B-3B’線に沿った断面を示している。
【
図3C】アクティブマトリクス基板101を模式的に示す断面図であり、
図3A中の3C-3C’線に沿った断面を示している。
【
図4A】アクティブマトリクス基板101を模式的に示す平面図である。
【
図4B】アクティブマトリクス基板101を模式的に示す断面図であり、
図4A中の4B-4B’線に沿った断面を示している。
【
図5】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図6A】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図6B】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図6C】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図6D】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図7A】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図7B】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図7C】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図7D】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図8A】比較例のアクティブマトリクス基板901を示す平面図である。
【
図8B】比較例のアクティブマトリクス基板901の断面図であり、
図8A中の8B-8B’線に沿った断面を示している。
【
図9】比較例のアクティブマトリクス基板901の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図10A】比較例のアクティブマトリクス基板901の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図10B】比較例のアクティブマトリクス基板901の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図10C】比較例のアクティブマトリクス基板901の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図10D】比較例のアクティブマトリクス基板901の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図11A】比較例のアクティブマトリクス基板901の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図11B】比較例のアクティブマトリクス基板901の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図11C】比較例のアクティブマトリクス基板901の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図11D】比較例のアクティブマトリクス基板901の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図12A】比較例のアクティブマトリクス基板901の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図12B】比較例のアクティブマトリクス基板901の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図12C】比較例のアクティブマトリクス基板901の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図13A】比較例のアクティブマトリクス基板901の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図13B】比較例のアクティブマトリクス基板901の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図13C】比較例のアクティブマトリクス基板901の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図14】液晶表示装置1001の周辺領域FRにノッチNPやコーナカットCが設けられた構成を示す図である。
【
図15A】ソースコンタクトホールCH1内における酸化物半導体層12とソース配線SLとの位置関係の他の例を示す平面図である。
【
図16A】本発明の実施形態によるアクティブマトリクス基板102を模式的に示す平面図である。
【
図16B】アクティブマトリクス基板102を模式的に示す断面図であり、
図16A中の16B-16B’線に沿った断面を示している。
【
図17】アクティブマトリクス基板102の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図18A】アクティブマトリクス基板102の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図18B】アクティブマトリクス基板102の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図18C】アクティブマトリクス基板102の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下で参照する図面において、実質的に同じ機能を有する構成要素を共通の参照符号で示し、その説明を省略することがある。また、説明のわかりやすさのために、以下で参照する図面において、構成を簡略化または模式化して示したり、一部の構成要素を省略したりしている。各図に示された構成要素間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0045】
(第1の実施形態)
本発明による第1の実施形態のアクティブマトリクス基板は、例えば、横電界モード(例えばFFSモード)の液晶表示パネルを用いたインセルタッチパネル型液晶表示装置に用いられる。まず、液晶表示装置の概略を説明する。
【0046】
<インセルタッチパネル型液晶表示装置の全体構造>
図1Aは、第1の実施形態のインセルタッチパネル型液晶表示装置(以下、単に「液晶表示装置」と呼ぶ。)1001の模式的な平面図である。
図1Bは、
図1Aにおける1B-1B’線に沿った断面を示す。液晶表示装置1001は、例えば、自己容量方式のタッチセンサを有する。
【0047】
液晶表示装置1001は、表示領域DRと、表示領域DRの周辺に位置する周辺領域(額縁領域ともいう。)FRとを有する。表示領域DRは、行方向に略平行に延設された複数のゲート配線(不図示)と、列方向に略平行に延設された複数のソース配線(不図示)と、行方向および列方向に2次元に配列された複数の画素Pとを含む。列方向は、行方向と交差する方向であり、行方向と直交していてもよい。
【0048】
表示領域DRは、さらに、2次元に配列された複数のタッチ検出単位TUを含む。図示する例では、タッチ検出単位TUは行方向および列方向に2次元に配列されている。各タッチ検出単位TUは、
図1Bに例示しているように、2以上の画素Pに対応して配置されていてもよい。
【0049】
一方、周辺領域FRには、駆動回路を含む周辺回路、端子部などが設けられる。図示していないが、駆動回路は、画素TFTにゲート配線を介して走査信号を供給するゲートドライバ、画素TFTにソース配線を介して画素信号を供給するソースドライバ、タッチセンサを駆動するための駆動回路(「タッチ駆動部」と称する。)などを含む。これらの駆動回路は、例えばアクティブマトリクス基板101に設けられている(実装または一体的に形成されている)。この例では、アクティブマトリクス基板101に、タッチ駆動部、ソースドライバなどの一部の駆動回路を含む半導体チップ30が搭載されている。図示していないが、ゲートドライバはアクティブマトリクス基板101に一体的に(モノリシックに)形成されてもよい。
【0050】
液晶表示装置1001は、アクティブマトリクス基板101と、アクティブマトリクス基板101に対向するように配置された対向基板201と、アクティブマトリクス基板101および対向基板201の間に設けられた液晶層CLとを備える。典型的には、アクティブマトリクス基板101の背面側(観察者とは反対側)に配置されたバックライト(照明装置)をさらに備える。液晶層CLは、アクティブマトリクス基板101および対向基板201の間に、シール材110によって封入されている。
【0051】
アクティブマトリクス基板101は、液晶層CLに電圧を印加するための一対の電極として、複数の画素電極PEおよび共通電極CEを有している。図示していないが、アクティブマトリクス基板101の最表面には、液晶層CLに接するように配向膜(水平配向膜)が設けられている。
【0052】
対向基板201は、カラーフィルタおよびブラックマトリクス(いずれも不図示)を有する。対向基板201の最表面にも、液晶層CLに接するように水平配向膜(不図示)が設けられている。
【0053】
また、ここでは図示していないが、液晶表示装置1001は、少なくとも液晶層CLを介して互いに対向する一対の偏光板を有する。例えば、一対の偏光板の一方がアクティブマトリクス基板101の背面側に配置され、他方が対向基板201の前面側に配置される。
【0054】
液晶表示装置1001には、タッチセンサが内蔵されている。タッチセンサは、タッチセンサ用の電極(以下、「タッチセンサ電極」)TXと、不図示のタッチセンサ用の配線(以下、「タッチ配線」と称する。)とを含む。タッチセンサ電極TXおよびタッチ配線は、アクティブマトリクス基板101に設けられている。
【0055】
タッチセンサ電極TXは、タッチ検出単位TUごとに配置されている。この例では、共通電極CEが複数のセグメントに分離されており、各セグメントがタッチセンサ電極TXとしても機能する。各タッチセンサ電極TXは、対応するタッチ配線を介して、半導体チップ30に設けられたタッチ駆動部に接続されている。
【0056】
図1Cは、アクティブマトリクス基板101におけるタッチセンサ電極、タッチ配線およびソース配線の配置関係を例示する模式的な平面図である。簡単のため、タッチ検出単位TUが行方向および列方向に3つずつ配列された場合を例示している。各タッチ検出単位TUは、複数の画素(不図示)に対応して配置されている。タッチ検出単位TUの数は、図示する例に限定されない。
【0057】
アクティブマトリクス基板101は、タッチ検出単位TUごとに設けられた複数のタッチセンサ電極TXと、列方向に延びる複数のタッチ配線TLと、列方向に延びる複数のソース配線SLとを有している。
【0058】
各ソース配線SLは、対応する画素の画素TFT(不図示)に接続されている。各タッチセンサ電極TXは、対応するタッチ配線TLに電気的に接続されている。タッチセンサ電極TXとタッチ配線TLとの接続部TCを「タッチ配線コンタクト部」と呼ぶ。タッチ配線TLは、1つのタッチセンサ電極TXに対して少なくとも1つ設けられていればよい。1つのタッチセンサ電極TXに対して2以上のタッチ配線コンタクト部TCが設けられてもよい。
【0059】
タッチ配線TLは、非表示領域に設けられたタッチ駆動部TDに接続されている。前述したように、各タッチセンサ電極TXは、共通電極CEとしても機能する。タッチ駆動部TDは、複数のタッチセンサ電極TXを共通電極CEとして機能させる表示モードと、タッチセンサ電極TXとして機能させるタッチ検出モードとを時分割で切り替えるように構成されている。タッチ駆動部TDは、例えば、表示モードにおいて、タッチ配線TLを介してタッチセンサ電極TX(共通電極CE)に共通信号を印加する。一方、タッチ検出モードにおいては、タッチ駆動部TDは、タッチ配線TLを介して、タッチセンサ電極TXにタッチ駆動信号を印加する。
【0060】
上記では、液晶表示装置1001が自己容量方式のタッチセンサを備える例を説明したが、代わりに、相互容量方式のタッチセンサを備えていてもよい。この場合、液晶層を挟んでアクティブマトリクス基板101に対向して配置される対向基板に、タッチセンサ用の他の電極が設けられてもよい。例えば、タッチセンサ電極TXが一方向(例えば行方向)に延び、対向基板に設けられたタッチセンサ用の電極が他の方向(例えば列方向)に延びており、これらの電極の交差する部分(タッチ検出単位)の容量の変化を検出してもよい。相互容量方式および自己容量方式のタッチセンサの具体的な構造、駆動方法などは、例えば特開2018-5484号公報、国際出願第2018/092758号、国際出願第2017/126603号、特開2016-126336号公報などに記載されており、公知であるので、詳細な説明を省略する。参考のために、特開2018-5484号公報、国際出願第2018/092758号、国際出願第2017/126603号、特開2016-126336号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0061】
なお、本明細書では、アクティブマトリクス基板101に形成されたタッチセンサが自己容量方式であっても、相互容量方式であっても、アクティブマトリクス基板101側に配置されたタッチセンサ用の電極を、単に「タッチセンサ電極TX」と呼び、タッチセンサ電極TXに電気的に接続されたタッチセンサ用の配線を「タッチ配線」と呼ぶ。
【0062】
<液晶表示装置1001の駆動方式、アクティブマトリクス基板101の画素構造>
本実施形態の液晶表示装置1001では、1垂直走査期間内に、各画素行が2回ずつ走査されることで表示を行う。1回目の走査で、各画素行の一部の画素が選択され、2回目の走査で、残りの画素が選択される。本明細書では、このような駆動方法を「ダブルゲート駆動」(または「デュアルゲート駆動」、「ダブルスキャン駆動」)と呼ぶ。
【0063】
液晶表示装置1001のアクティブマトリクス基板101は、ダブルゲート駆動を行うことができるように構成されている。ダブルゲート駆動を行うための、アクティブマトリクス基板101の構造を「ダブルゲート駆動構造」と呼ぶ。ダブルゲート駆動構造では、1つの画素行に対して2本のゲート配線GL(一対のゲート配線)が設けられている。また、隣接する2つの画素列(1対の画素列)に対して1本のソース配線SLが設けられ、一対の画素列における各画素は同じソース配線を共用する。
【0064】
以下、図面を参照しながら、アクティブマトリクス基板101における画素構造の一例をより具体的に説明する。なお、本明細書では、アクティブマトリクス基板101において、液晶表示装置1001の画素に対応する領域を「画素領域」または単に「画素」と呼ぶ。
【0065】
図2Aは、アクティブマトリクス基板101における画素構造を例示する平面図である。簡単のため、タッチ検出単位TU(またはタッチセンサ電極TX)は図示していない。
【0066】
アクティブマトリクス基板101では、複数の画素領域PIXは、複数の行(画素行)pxおよび複数の列(画素列)pyを含むマトリクス状に配列されている。各画素領域PIXには、画素TFT11および画素電極PEが配置されている。各画素TFT11のソース側は、対応する1つのソース配線SLに電気的に接続され、ドレイン側は、対応する画素電極PEに電気的に接続されている。
【0067】
複数の画素領域PIXは、複数のカラー表示画素CPを構成している。複数のカラー表示画素CPのそれぞれは、互いに異なる色を呈する3個の画素、つまり、赤画素PIX_R、緑画素PIX_Gおよび青画素PIX_Bから構成されている。各カラー表示画素CP内で、赤画素PIX_R、緑画素PIX_Gおよび青画素PIX_Bは、行方向に配列されている(「縦ストライプ配列」と呼ばれることがある)。図示していないが、赤画素PIX_R、緑画素PIX_Gおよび青画素PIX_Bを列方向に配列してもよい(「横ストライプ配列」)。なお、
図2Aには、カラー表示画素CPが互いに異なる色を呈する3個の画素から構成される例を示したが、カラー表示画素CPが互いに異なる色を呈する4個以上の画素から構成されてもよい。例えば、1つのカラー表示画素CPを構成する複数の画素が、赤画素、緑画素および青画素に加え、黄を表示する黄画素を含んでもよい。
【0068】
上述したように、アクティブマトリクス基板101は、ダブルゲート駆動構造を有する。画素領域PIXの画素行pxの総数をN、画素列pyの総数をMとすると、N行M列の画素領域PIXに対して、2×N本のゲート配線GLおよびM/2本のソース配線SLが使用される。
【0069】
複数のソース配線SLのそれぞれは、隣接する2つの画素列pyからなる1対の画素列に対して接続されている。ここでは、複数のソース配線SLを、一方の端から順に(この図では左から順に)、ソース配線SL(1)、SL(2)・・・SL(M)と呼び、ソース配線SL(m)(m:1以上の整数)に対応する2つの画素列を、第1画素列py1(m)および第2画素列py2(m)と呼ぶ。ソース配線SL(m)は、第1画素列py1(m)および第2画素列py2(m)の間に配置されている。これらの画素列py1(m)、py2(m)では、各画素領域PIXの画素TFT11のソース側は、いずれも、ソース配線SL(m)に電気的に接続されている。
【0070】
一方、複数のゲート配線GLは、1つの画素行pxに対して接続された一対のゲート配線を複数対含んでいる。ここでは、複数の画素行pxを、一方の端から順に(この図では上から順に)、画素行px(1)、px(2)・・・、px(N)と呼び、画素行px(n)(n:1以上の整数)に対応する一対のゲート配線を、第1ゲート配線GL1(n)および第2ゲート配線GL2(n)と呼ぶ。第1ゲート配線GL1(n)および第2ゲート配線GL2(n)は、画素行px(n)を挟んで隣接している。つまり、第1ゲート配線GL1(n)は、画素行px(n)とその上の画素行px(n-1)との間に配置され、第2ゲート配線GL2(n)は、画素行px(n)とその下の画素行px(n+1)との間に配置されている。
【0071】
一対の画素列py1(m)、py2(m)は、画素行ごとに、隣接する2つの画素領域PIXからなる画素対PAを有している。画素対PAの一方の画素領域PIXでは、画素TFT11のゲート電極は、第1ゲート配線GL1(n)に接続され、他方の画素領域PIXでは、画素TFT11のゲート電極は、第2ゲート配線GL2(n)に電気的に接続されている。第1ゲート配線GL1(n)に接続された方(つまり、第1ゲート配線GL1(n)によって選択された方)の画素領域を「第1画素領域P1」、第2ゲート配線GL2(n)に接続された方(つまり、第2ゲート配線GL2(n)によって選択された方)の画素領域を「第2画素領域P2」と呼ぶ。前述したように、各画素対PAの画素領域P1、P2の画素TFT11は、いずれも、対応する1つのソース配線SL(m)に接続される。
【0072】
従って、アクティブマトリクス基板101における各画素行pxは、複数の第1画素領域P1と複数の第2画素領域P2とを含む。アクティブマトリクス基板101を用いた液晶表示装置1001では、例えばn行目の画素行px(n)を駆動する水平走査期間(1H)に、第1ゲート配線GL1(n)と第2ゲート配線GL2(n)とが時分割に選択される。第1ゲート配線GL1(n)が選択された期間には、画素行px(n)における複数の第1画素領域P1の画素TFT11が、ゲートドライバから供給される走査信号によってオン状態となり、ソース配線SL(m)から第1画素領域P1(n)の画素電極PEに表示信号が供給される。第2ゲート配線GL2(n)が選択された期間には、画素行px(n)における複数の第2画素領域P2(n)の画素TFT11が、ゲートドライバから供給される走査信号によってオン状態となり、ソース配線SL(m)から第2画素領域P2(n)の画素電極PEに表示信号が供給される。この動作を、1行目からN行目まで順次行うことによって、表示領域に1枚の画像(フレーム)が書き込まれ、表示される。
【0073】
アクティブマトリクス基板101では、2つの画素列pyごとに1つのソース配線SLが配置されている。各タッチ配線TLは、隣接する2つのソース配線SL(例えば、ソース配線SL(m)、SL(m+1))の間において、隣接する2つの画素列(例えば、画素列py2(m)、py1(m+1))の間に配置されている。各タッチ配線TLは、ソース配線SLに略平行(列方向)に延びており、対応するタッチセンサ電極(不図示)に電気的に接続されている。このように、本実施形態では、ダブルゲート駆動構造を有することで、ソース配線SLが配置されていない画素列間にタッチ配線TLを配置することが可能になる。
【0074】
アクティブマトリクス基板101では、ある画素列に配置された画素電極PEと、その画素列に隣接する他の画素列に配置された画素電極PEとは、行方向に所定の間隔(開口部)S1、S2を空けて配置されている。一対の画素列を構成する第1画素列py1(m)と第2画素列py2(m)との間の開口部S1を「第1開口部」と呼ぶ。また、隣接する2対の画素列の間(画素列py2(m-1)と画素列py1(m)との間)の開口部S2を「第2開口部」と呼ぶ。本明細書において、「ソース配線SL(m)が、一対の画素列py1(m)、py2(m)の間に配置されている」とは、ソース配線SL(m)が、基板面法線方向から見たとき、2つの画素列py1(m)、py2(m)の画素電極間の第1開口部S1に少なくとも部分的に重なるように列方向に延びている場合を含む。つまり、ソース配線SL(m)は、基板面法線方向から見たとき、一対の画素列py1(m)、py2(m)の画素電極PEのいずれにも重なっていなくてもよいし、いずれかの画素電極PEに部分的に重なっていてもよい(いずれかの画素電極PEの一部を横切って延びていてもよい)。同様に、「タッチ配線TLが、隣接する2つの画素列py2(m-1)、py1(m)の間に配置されている」とは、タッチ配線TLが、基板面法線方向から見たとき、2つの画素列py2(m-1)、py1(m)の画素電極間の第2開口部S2と少なくとも部分的に重なるように列方向に延びている場合を含む。
【0075】
図示する例では、基板面法線方向から見たとき、ソース配線SLとタッチ配線TLとは、行方向に交互に配列されているが、タッチセンサ電極の数(タッチ検出単位TUの数)によっては、2以上のソース配線SLに対して1つのタッチ配線TLが配置されてもよい。つまり、隣接する2つのソース配線SLの間に、タッチ配線TLが配置されていない画素列間が存在していてもよい。あるいは、そのような画素列間に、タッチセンサ電極に接続されていないダミータッチ配線が形成されてもよい。例えば、基板面法線方向から見たとき、ソース配線SLと、タッチ配線TLまたはダミータッチ配線とは、行方向に交互に配列されていてもよい。このように、表示領域における全ての画素列間に、ソース配線SL、タッチ配線TLおよびダミータッチ配線のいずれかが形成されていると、表示領域に亘ってより均質な開口率を得ることが可能である。
【0076】
アクティブマトリクス基板101の画素構造は、
図2Aに例示する構造に限定されない。
図2Aでは、各画素対の画素領域P1、P2の配置は全て同じ(第1画素領域P1が左側、第2画素領域P2が右側)であるが、画素対ごとに配置を異ならせてもよい。例えば、
図2Bに例示するように、第1画素領域P1と第2画素領域P2とが、行方向および列方向に1つずつ交互に配置(千鳥配置)されていてもよい。あるいは、
図2Cに例示するように、第1画素領域P1と第2画素領域P2とが、2つずつ交互に配置されていてもよい。
【0077】
なお、隣接する2つのソース配線SLの間に、1つのタッチセンサ電極TXに接続され、かつ、タッチ駆動部TDには接続されていない補助配線をさらに有してもよい。補助配線は、タッチ配線TLと同じ(つまり遮光層14と同じ)導電膜から形成されている。補助配線を設けることで、タッチセンサ電極TXの内部抵抗を下げることができる。
【0078】
図1Dは、補助配線およびタッチ配線の配置を例示する模式的な平面図であり、表示領域の一部のみを示している。
図1Dに示す例では、タッチ駆動部TD側から、タッチセンサ電極TX1、TX2、TX3が列方向に配列されている。タッチセンサ電極TX1、TX2、TX3は、それぞれ、タッチ配線TLa、TLb、TLcを介して、タッチ駆動部TDに電気的に接続されている。基板1の法線方向から見たとき、これらのタッチセンサ電極TX1~TX3を横切って、ソース配線SL1~SL3が列方向に延びている。タッチ配線TLbは、ソース配線SL1およびソース配線SL2の間に配置され、タッチ配線TLcは、ソース配線SL2およびソース配線SL3の間に配置されている。
【0079】
タッチ配線TLbは、タッチ駆動部TD側からタッチセンサ電極TX2の下方まで延びて、タッチセンサ電極TX2に接続されているが、タッチセンサ電極TX3の下には延設されていない。代わりに、ソース配線SL1およびソース配線SL2の間において、タッチセンサ電極TX3の下方には、補助配線b1が設けられている。補助配線b1は、タッチ配線TLbとは分離して(離間して配置されて)おり、補助配線コンタクト部ACでタッチセンサ電極TX3に接続されている。補助配線コンタクト部ACの構造は、タッチ配線コンタクト部TCの構造と同様であってもよい。同様に、タッチ配線TLcは、タッチ駆動部TD側からタッチセンサ電極TX1の下方まで延びて、タッチセンサ電極TX1に接続されているが、タッチセンサ電極TX2、TX3の下には延設されていない。代わりに、ソース配線SL2およびソース配線SL3の間において、タッチセンサ電極TX2、TX3の下には、それぞれ、補助配線c1、c2が設けられている。補助配線c1、c2は、それぞれ、補助配線コンタクト部ACでタッチセンサ電極TX2、TX3に接続されている。タッチ配線TLc、補助配線c1、および補助配線c2は、互いに分離されている。
【0080】
図示するように、各補助配線b1、c1、c2は、対応するタッチセンサ電極TXに2箇所以上の補助配線コンタクト部ACで接続されていてもよい。また、各タッチ配線TLa、TLb、TLcは、対応するタッチセンサ電極TXに2箇所以上のタッチコンタクト部TCで接続されていてもよい。
【0081】
このように、隣接する2つのソース配線SLの間であって、かつ、タッチ配線が配置されていない(延設されていない)画素列間に補助配線を設けることで、表示領域に亘って均質な開口率を確保しつつ、透明導電膜から形成された各タッチセンサ電極(特に、タッチ駆動部TDから遠い位置にあるタッチセンサ電極)TXの内部抵抗を下げることが可能である。
【0082】
<アクティブマトリクス基板101の画素領域PIXの構造>
次いで、アクティブマトリクス基板101の画素領域PIXの構造をより具体的に説明する。
【0083】
図3Aは、アクティブマトリクス基板101における一部の画素領域PIXを示す拡大平面図であり、
図3Bは、
図3Aに示す3B-3B’線に沿った断面図である。
図3Cは、
図3Aに示す3C-3C’線に沿った断面図である。また、
図4Aは、アクティブマトリクス基板101におけるより多くの画素領域PIXを示す拡大平面図であり、
図4Bは、
図4Aに示す4B-4B’線に沿った断面図である。
【0084】
アクティブマトリクス基板101は、主面10aを有する基板10と、複数の画素領域PIXのそれぞれに対応して設けられた画素TFT11と、行方向に延びる複数のゲート配線GLと、列方向に延びる複数のソース配線SLと、列方向に延びる複数のタッチ配線TLとを有する。さらに、アクティブマトリクス基板101は、複数の遮光層14と、下部絶縁層15と、画素電極PEと、層間絶縁層16と、共通電極CEとを有する。
【0085】
基板10は、透明で絶縁性を有する。基板10は、例えばガラス基板またはプラスチック基板である。
【0086】
複数の遮光層14は、基板10の主面10a上に設けられている。複数の遮光層14のそれぞれは、後述するように、各画素TFT11に対応して配置されている。遮光層14は、遮光性を有する導電材料(例えば金属材料)から形成されている。
【0087】
下部絶縁層15は、複数の遮光層14を覆うように設けられている。下部絶縁層15としては、例えば、酸化珪素(SiO2)層または窒化珪素(SiNx)層を用いることができる。また、下部絶縁層15は、積層構造を有していてもよく、例えば、窒化珪素層を下層、酸化珪素層を上層として含んでもよい。
【0088】
画素TFT11は、下部絶縁層15上に設けられた酸化物半導体層12と、酸化物半導体層12上に設けられたゲート絶縁層13と、ゲート絶縁層13を介して酸化物半導体層12に対向するように設けられたゲート電極GEとを有する。このように、画素TFT11は、トップゲート構造を有する酸化物半導体TFTである。本実施形態における画素TFT11は、後に詳述するように、金属材料から形成されたソース電極およびドレイン電極を有していない。
【0089】
酸化物半導体層12は、チャネル領域12cと、チャネル領域12cよりも比抵抗の低い第1低抵抗領域(ソース領域)12sおよび第2低抵抗領域(ドレイン領域)12dとを含む。チャネル領域12cは、基板10の主面10aの法線方向(以下では「基板面法線方向」と呼ぶ)から見たとき、ゲート電極GEに重なっている。第1低抵抗領域12sおよび第2低抵抗領域12dは、チャネル領域12cの両側に位置している。各画素に対応して配置された遮光層14は、基板面法線方向から見たときに少なくともチャネル領域12cに重なっている。
【0090】
ゲート絶縁層13としては、下部絶縁層15の具体例として例示した絶縁層を用いることができる。ゲート絶縁層13として(ゲート絶縁層13が積層構造を有する場合には、その最下層として)、酸化珪素層などの酸化物層を用いると、チャネル領域12cに生じた酸素欠損を酸化物層によって低減できる。
【0091】
画素電極PEは、複数の画素のそれぞれに設けられている。画素電極PEは、画素TFT11に電気的に接続されている。本実施形態では、画素電極PEは、酸化物半導体層12と同じ酸化物膜から形成されている。画素電極PEは、具体的には、酸化物半導体膜の一部を低抵抗化することによって形成されており、酸化物半導体層12の第2低抵抗領域12dと連続している。
【0092】
複数のゲート配線GLは、ゲート電極GEと同じ導電膜(ゲートメタル膜)から形成されている。図示している例では、ゲート電極GEは、複数のゲート配線GLのいずれかと一体に形成されており、各ゲート配線GLの、酸化物半導体層12に重なる部分がゲート電極GEとして機能する。以下では、ゲートメタル膜から形成されたすべての導電層を一括してゲートメタル層と呼ぶことがある。つまり、ゲート電極GEおよびゲート配線GLは、ゲートメタル層に含まれているといえる。また、図示している例では、ゲート絶縁層13は、基板面法線方向から見たときにゲートメタル層に重なる領域にのみ形成されている。つまり、ゲート絶縁層13のエッジは、ゲートメタル層のエッジと整合している。
【0093】
複数のゲート配線GLは、1つの画素行px(n)に対して配置された一対のゲート配線(第1ゲート配線GL1(n)および第2ゲート配線GL2(n))を複数対含む。この例では、第1ゲート配線GL1(n)および第2ゲート配線GL2(n)は、基板面法線方向から見たとき、対応する画素行px(n)における画素電極PEを挟んで、互いに隣接している。
【0094】
層間絶縁層16は、酸化物半導体層12、ゲート電極GEおよび複数のゲート配線GLを覆うように設けられている。層間絶縁層16としては、下部絶縁層15の具体例として例示した絶縁層を用いることができ、例えば窒化珪素層を用いることができる。
【0095】
層間絶縁層16は、例えば無機絶縁層である。アクティブマトリクス基板101は、共通電極CEと基板10との間に有機絶縁層を有していない。
【0096】
共通電極CEは、層間絶縁層16上に設けられている。共通電極CEは、透明導電材料(例えばITOまたはIZO)から形成されている。共通電極CEには、画素ごとに少なくとも1つのスリットsが形成されている。
図1には、共通電極CEが画素ごとに3つのスリットsを有する例を示しているが、スリットsの個数や形状は、図示している例に限定されない。共通電極CEは、タッチ検出単位TUごとに複数のセグメントに分割されている。各セグメントはタッチセンサ電極TXとして機能する。
【0097】
複数のソース配線SLおよび複数のタッチ配線TLは、基板10の主面10aと下部絶縁層15との間に位置している。複数のソース配線SLと、複数のタッチ配線TLと、複数の遮光層14とは、同じ導電膜(ソースメタル膜)から形成されている。以下では、ソースメタル膜から形成されたすべての導電層を一括してソースメタル層と呼ぶことがある。つまり、複数のソース配線SL、複数のタッチ配線TLおよび複数の遮光層14は、ソースメタル層に含まれているといえる。
【0098】
本実施形態では、互いに隣接する2つの画素列(第1画素列py1(m)および第2画素列py2(m))からなる1対の画素列に対して、1つのソース配線SL(m)が配置されている。ソース配線SL(m)は、これらの画素列py1(m)、py2(m)の間に配置されている。これらの画素列py1(m)、py2(m)における各画素TFT11の第1低抵抗領域12sは、ソースコンタクト部SCにおいて、ソース配線SL(m)に接続されている。
【0099】
1対の画素列は、画素行ごとに、第1画素領域P1と、第1画素領域P1に隣接する第2画素領域P2とを含む画素対を含む。各画素対の第1画素領域P1のゲート電極GEは第1ゲート配線GL1(n)に接続され、第2画素領域P2のゲート電極GEは第2ゲート配線GL2(n)に接続されている。
【0100】
複数のタッチ配線TLのそれぞれは、ソース配線SLが形成されていない画素列間に配置されている。例えば、タッチ配線TLの1つは、隣接する2つのソース配線SL(m)、SL(m+1)の間において、隣接する2つの画素列py2(m)、py1(m+1)の間に配置されている。
【0101】
各タッチセンサ電極TXは、タッチ配線コンタクト部TCにおいて、対応するタッチ配線TLに電気的に接続されている。ここでは、
図3Cに示すように、タッチセンサ電極TXは、層間絶縁層16および下部絶縁層15に形成されたタッチコンタクトホールCH2内で、タッチ配線TLに接続されている。タッチ配線コンタクト部の位置は、特に限定しない。ここでは、基板面法線方向から見たとき、隣接する2つの画素行の間隔において、2つのゲート配線GL(
図3Aに示す例ではゲート配線GL1(n)とゲート配線GL2(n-1))の間にタッチ配線コンタクト部TCが設けられている。
【0102】
アクティブマトリクス基板101は、共通電極CEと同じ透明導電膜から形成された接続電極17をさらに有してもよい。この例では、共通電極CEは、各ソースコンタクト部SCに開口部18を有しており、接続電極17は、開口部18の内部に共通電極CEとは離間して形成されてもよい。
【0103】
接続電極17は、ソースコンタクト部SCにおいて、複数のソース配線SLのいずれかと酸化物半導体層12の第1低抵抗領域12sとを接続する。本実施形態では、接続電極17は、層間絶縁層16および下部絶縁層15に形成されたソースコンタクトホールCH1内において、複数のソース配線SLのいずれかと酸化物半導体層12の第1低抵抗領域12sとを接続している。基板面法線方向から見たとき、酸化物半導体層12は、対応するソース配線SLのソースコンタクトホールCH1内に位置する領域のうちの略半分に重なっていてもよい。ソースコンタクト部SCの位置は、特に限定しない。ここでは、ソースコンタクト部SCは、基板面法線方向から見たとき、隣接する2つの画素行の間隔において、2つのゲート配線GLの間に配置されている。
【0104】
図4Aから分かるように、2つの画素領域ごとに、酸化物半導体層12および画素電極PEが繋がって(一体的に形成されて)いてもよい。本明細書では、2つの画素領域の画素電極PEおよび酸化物半導体層12を含む1つの連続したパターン120を「酸化物パターン」、1つの酸化物パターン120を構成する上記2つの画素領域を「画素セット」と呼ぶ。
図4Aに示す例では、列方向に隣接する2つの画素対において、上側の画素対における1つの画素領域(ここでは第2画素領域P2)の酸化物半導体層12および画素電極PEと、下側の画素対における1つの画素領域(ここでは第1画素領域P1)の酸化物半導体層12および画素電極PEとが、1つの酸化物パターン120内に一体的に形成されている。なお、
図4Aでは、下側の画素対における第1画素領域P1の斜め上に、上側の画素対における第2画素領域P2が位置しているので、列方向に対して傾斜した方向に延びる酸化物パターン120が形成されている。図示していないが、
図2Bに示す例では、下側の画素対における第1画素領域P1と上側の画素対における第2画素領域P2とが同じ画素列に位置しているので、列方向に延びる酸化物パターン120が形成される。
【0105】
各画素セットの酸化物パターン120は、他の画素セットの酸化物パターンとは分離している(離間して配置されている)。複数の酸化物パターン120が行方向および列方向に配列されることで、全ての画素領域の画素電極PEおよび酸化物半導体層12が得られる。
【0106】
各酸化物パターン120では、2つの画素領域の酸化物半導体層12の第1低抵抗領域12sが互いに繋がっており、同一のソースコンタクト部SCにおいて、同じソース配線SLに接続されている。この例では、2つの画素領域の画素TFT11における第1低抵抗領域12sと、これらの画素領域の間のソース配線SLとは、同一のソースコンタクトホールCH1内で接続されている。従来のアクティブマトリクス基板では、画素領域ごとに1つのソースコンタクト部が形成されるのに対し、上記構成によると、2つの画素領域(画素セット)に対して1つのソースコンタクト部SCを形成すればよいので、ソースコンタクト部SCの数を従来の1/2に低減できる。従って、画素開口率をさらに高めることが可能になる。
【0107】
<アクティブマトリクス基板101の製造方法>
以下、
図5、
図6A~
図6Dおよび
図7A~
図7Dを参照しながら、アクティブマトリクス基板101の製造方法を説明する。
図5は、アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図6A~
図6Dおよび
図7A~
図7Dは、アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【0108】
・STEP1:遮光層14、ソース配線SLおよびタッチ配線TLの形成
図6Aに示すように、基板10の主面10a上に遮光層14、ソース配線SLおよびタッチ配線TLを形成する。具体的には、まず、基板10の主面10a上にソースメタル膜(第1導電膜)を例えばスパッタリング法により堆積し、その後ソースメタル膜をパターニングすることによって、遮光層14およびソース配線SLを形成することができる。ソースメタル膜のパターニングは、フォトリソ工程(レジストのパターニング)、ソースメタル膜のエッチングおよびレジストの剥離を順次行うことによって実行される。
【0109】
基板10としては、ガラス基板、シリコン基板、耐熱性を有するプラスチック基板(樹脂基板)などを用いることができる。
【0110】
ソースメタル膜としては、例えば、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)あるいはタングステン(W)から選ばれた元素を含む金属膜、またはこれらの元素を成分とする合金膜などを用いることができる。また、これらのうち複数の膜を含む積層膜を用いてもよい。例えば、チタン膜-アルミニウム膜-チタン膜の3層構造あるいはモリブデン膜-アルミニウム膜-モリブデン膜の3層構造を有する積層膜を用いることができる。なお、ソースメタル膜は3層構造に限られず、単層、または2層構造、あるいは4層以上の積層構造を有していてもよい。ここでは、ソースメタル膜として、Ti膜(厚さ:15nm以上70nm以下)を下層、Cu膜(厚さ:200nm以上400nm以下)を上層とする積層膜を用いる。
【0111】
・STEP2:下部絶縁層15および酸化物半導体膜12’の形成
図6Bに示すように、遮光層14、ソース配線SLおよびタッチ配線TLを覆うように第1絶縁膜を堆積することによって、下部絶縁層15を形成する。
【0112】
下部絶縁層15としては、酸化珪素(SiO2)層、窒化珪素(SiNx)層、酸化窒化珪素(SiOxNy;x>y)層、窒化酸化珪素(SiNxOy;x>y)層、酸化アルミニウム層または酸化タンタル層等を適宜用いることができる。下部絶縁層15は、積層構造を有していてもよい。ここでは、下部絶縁層15として、例えば、CVD法を用いて、窒化珪素(SiNx)層(厚さ:50nm以上600nm以下)を下層、酸化珪素(SiO2)層(厚さ:50nm以上600nm以下)を上層とする積層膜を形成する。下部絶縁層15として(下部絶縁層15が積層構造を有する場合には、その最上層として)、酸化珪素膜などの酸化物膜を用いると、後で形成される酸化物半導体層12のチャネル領域12cに生じた酸素欠損を酸化物膜によって低減できるので、チャネル領域12cの低抵抗化を抑制できる。
【0113】
次に、
図6Cに示すように、下部絶縁層15上に酸化物半導体膜12’を堆積し、その後酸化物半導体膜12’をパターニングする。
【0114】
酸化物半導体膜12’のパターニングによって、互いに分離された複数の酸化物パターン120を形成する。ここでは、互いに異なる画素行に配置された2つの画素領域(画素セット)ごとに1つの酸化物パターン120が形成される。各酸化物パターン120は、2つの画素領域の画素電極および酸化物半導体層となる部分を含む。
【0115】
酸化物半導体膜12’のパターニングは、フォトリソ工程(レジストのパターニング)、酸化物半導体膜12’のエッチングおよびレジストの剥離を順次行うことによって実行される。酸化物半導体膜12’は、例えば、スパッタリング法を用いて形成された厚さ15nm以上200nm以下のIn-Ga-Zn-O系半導体膜である。
【0116】
・STEP3:ゲート絶縁層13、ゲート電極GEおよびゲート配線GLの形成
図6Dに示すように、酸化物半導体膜12’を覆うように第2絶縁膜およびゲートメタル膜(第2導電膜)をこの順で堆積し、その後ゲートメタル膜および第2絶縁膜をパターニングすることによって、ゲート絶縁層13、ゲート電極GEおよびゲート配線GLを形成する。ゲートメタル膜および第2絶縁膜のパターニングは、フォトリソ工程(レジストのパターニング)、ゲートメタル膜のエッチング、第2絶縁膜のエッチングおよびレジストの剥離を順次行うことによって実行される。
【0117】
第2絶縁膜として、下部絶縁層15と同様の絶縁膜(下部絶縁層15として例示した絶縁膜)を用いることができる。第2絶縁膜として、酸化珪素膜などの酸化物膜を用いると、酸化物半導体層12のチャネル領域12cに生じた酸素欠損を酸化物膜によって低減できるので、チャネル領域の低抵抗化を抑制できる。ここでは、第2絶縁膜として、厚さ80nm以上250nm以下の酸化珪素(SiO2)膜をCVD法により形成する。
【0118】
ゲートメタル膜として、例えばアルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)あるいはタングステン(W)から選ばれた元素を含む金属膜、またはこれらの元素を成分とする合金膜などを用いることができる。また、これらのうち複数の膜を含む積層膜を用いてもよい。例えば、チタン膜-アルミニウム膜-チタン膜の3層構造あるいはモリブデン膜-アルミニウム膜-モリブデン膜の3層構造を有する積層膜を用いることができる。なお、ゲートメタル膜は3層構造に限られず、単層、または2層構造、あるいは4層以上の積層構造を有していてもよい。ここでは、ゲートメタル膜として、Ti膜(厚さ:15nm以上70nm以下)を下層、Cu膜(厚さ:200nm以上400nm以下)を上層とする積層膜をスパッタリング法により形成する。
【0119】
・STEP4:酸化物半導体膜12’の低抵抗化
図7Aに示すように、酸化物半導体膜12’の一部を低抵抗化(導体化)させて、第1低抵抗領域12s、第2低抵抗領域12dおよび画素電極PEとする。低抵抗化処理として、ここでは、プラズマ処理を行う。これにより、酸化物半導体膜12’のうち、基板面法線方向から見たときにゲート電極GEおよびゲート絶縁層13に重なっていない領域は、ゲート電極GEおよびゲート絶縁層13に重なっている領域(チャネル領域12c)よりも比抵抗が低くなる(例えばシート抵抗が200Ω/□以下となる)。
【0120】
プラズマ処理では、例えば、酸化物半導体膜12’のうちゲート電極GEで覆われていない部分が、還元性プラズマまたはドーピング元素を含むプラズマ(例えばアルゴンプラズマ)に晒される。これにより、酸化物半導体膜12’のうち露出した部分の表面近傍で比抵抗が低下する。なお、低抵抗化処理の方法および条件などは、例えば特開2008-40343号公報に記載されている。参考のために、特開2008-40343号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0121】
・STEP5:層間絶縁層16およびソースコンタクトホールCH1の形成
図7Bに示すように、酸化物半導体層12、ゲート電極GEおよびゲート配線GLを覆うように層間絶縁層(第3絶縁膜)16を堆積して形成する。層間絶縁層16として、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜などの無機絶縁層を単層または積層させて形成することができる。無機絶縁層の厚さは例えば100nm以上700nm以下である。層間絶縁層16を窒化珪素膜などの酸化物半導体を還元させる絶縁膜を用いて形成すると、層間絶縁層16と接する領域(第1低抵抗領域12s、第2低抵抗領域12dおよび画素電極PE)の比抵抗を低く維持できるので好ましい。ここでは、層間絶縁層16として、SiNx層(厚さ:500nm)をCVD法で形成する。
【0122】
その後、
図7Cに示すように、層間絶縁層16および下部絶縁層15に、酸化物半導体層12の第1低抵抗領域12sの一部を露出させるソースコンタクトホールCH1と、いずれかのタッチ配線TLの一部を露出させる不図示のタッチコンタクトホールCH2(
図3Aおよび
図3C参照)とを形成する。これらのコンタクトホールCH1、CH2の形成は、フォトリソ工程(レジストのパターニング)、層間絶縁層16のエッチング、下部絶縁層15のエッチングおよびレジストの剥離を順次行うことによって実行される。
【0123】
・STEP6:共通電極CEおよび接続電極17の形成
図7Dに示すように、層間絶縁層16上に透明導電膜を堆積し、その後透明導電膜をパターニングすることによって、接続電極17および共通電極CEを形成する。接続電極17は、対応するソースコンタクトホールCH1内において複数のソース配線SLのいずれかと酸化物半導体層12の第1低抵抗領域12sとに接続される。共通電極CEは、タッチセンサ電極TXとなる複数のセグメントに分離され、各セグメントは、対応するタッチコンタクトホールCH2(不図示)内でタッチ配線に接続される。透明導電膜のパターニングは、フォトリソ工程(レジストのパターニング)、透明導電膜のエッチングおよびレジストの剥離を順次行うことによって実行される
透明電極膜の材料としては、インジウム-錫酸化物(ITO)、インジウム-亜鉛酸化物、ZnO等の金属酸化物を用いることができる。ここでは、透明導電膜として、厚さ20nm以上300nm以下のインジウム-亜鉛酸化物膜をスパッタリング法により形成する。
【0124】
その後、共通電極CEおよび層間絶縁層16を覆うように配向膜が形成される。このようにして、アクティブマトリクス基板101が製造される。
【0125】
本実施形態のアクティブマトリクス基板101は、上述した構成を有するので、製造工程を少なくして製造コストを低減することができる。以下、この理由を、
図8Aおよび
図8Bに示す比較例のアクティブマトリクス基板901と比較して説明する。
【0126】
<比較例のアクティブマトリクス基板901>
図8Aは、比較例のアクティブマトリクス基板901を示す平面図である。
図8Bは、アクティブマトリクス基板901を示す断面図であり、
図8A中の7A-7A’線に沿った断面を示している。アクティブマトリクス基板901は、シングルスキャン駆動で表示を行うインセルタッチパネル型液晶表示装置に使用される。
【0127】
アクティブマトリクス基板901は、
図8Aおよび
図8Bに示すように、主面910aを有する基板910、複数の画素のそれぞれに対応して設けられた画素TFT911、行方向に延びる複数のゲート配線GL、列方向に延びる複数のソース配線SL、および、列方向に延びる複数のタッチ配線TLを有する。さらに、アクティブマトリクス基板901は、複数の遮光層914、下部絶縁層915、第1層間絶縁層916A、第2層間絶縁層916B、有機絶縁層918、画素電極PE、第3層間絶縁層916Cおよび共通電極CEを有する。
【0128】
複数の遮光層914は、基板910の主面910a上に設けられている。複数の遮光層914のそれぞれは、各画素TFT911に対応して配置されている。下部絶縁層915は、複数の遮光層914を覆うように設けられている。
【0129】
画素TFT911は、下部絶縁層915上に設けられた酸化物半導体層912と、酸化物半導体層912上に設けられたゲート絶縁層913と、ゲート絶縁層913を介して酸化物半導体層912に対向するように設けられたゲート電極GEとを有する。また、画素TFT911は、ソース配線SLに電気的に接続されたソース電極SEと、画素電極PEに電気的に接続されたドレイン電極DEとをさらに有する。
【0130】
酸化物半導体層912は、チャネル領域912cと、チャネル領域912cの両側に位置するソース領域912sおよびドレイン領域912dとを含む。チャネル領域912cは、基板910の主面910aの法線方向(基板面法線方向)から見たとき、ゲート電極GEに重なっている。各画素に対応して配置された遮光層914は、基板面法線方向から見たときに少なくともチャネル領域912cに重なっている。
【0131】
複数のゲート配線GLは、ゲート電極GEと同じ導電膜(ゲートメタル膜)から形成されている。より具体的には、ゲート電極GEは、複数のゲート配線GLのいずれかと一体に形成されており、各ゲート配線GLの、酸化物半導体層12に重なる部分がゲート電極GEとして機能する。
【0132】
第1層間絶縁層916Aは、酸化物半導体層912、ゲート電極GEおよびゲート配線GLを覆うように設けられている。複数のソース配線SLは、第1層間絶縁層916A上に設けられている。
【0133】
ソース電極SEは、酸化物半導体層912のソース領域912sに電気的に接続されている。より具体的には、ソース電極SEは、第1層間絶縁層916Aに形成されたソースコンタクトホールCH91においてソース領域912sに接続されている。ソース電極SEは、複数のソース配線SLのいずれかと一体に形成されており、各ソース配線SLの、酸化物半導体層912に重なる部分がソース電極SEとして機能する。
【0134】
ドレイン電極DEは、酸化物半導体層912のドレイン領域912dに電気的に接続されている。より具体的には、ドレイン電極DEは、第1層間絶縁層916Aに形成されたドレインコンタクトホールCH92においてドレイン領域912dに接続されている。
【0135】
第2層間絶縁層916Bは、画素TFT911を覆うように設けられている。有機絶縁層918は、第2層間絶縁層916B上に設けられている。
【0136】
画素電極PEは、有機絶縁層918上に設けられている。画素電極PEは、透明導電材料(例えばITOまたはIZO)から形成されている。画素電極PEは、画素TFT911のドレイン電極DEに電気的に接続されている。より具体的には、画素電極PEは、有機絶縁層918および第2層間絶縁層916Bに形成された画素コンタクトホールCH93内において、ドレイン電極DEに接続されている。
【0137】
複数のタッチ配線TLは、ソース配線SLおよびゲート配線GLとは別層に形成されている。この例では、タッチ配線TLは有機絶縁層918上に配置されている。タッチ配線TLは、基板面法線方向から見たとき、いずれかのソース配線SLと重なるように列方向に延びていてもよい。このような配置により、画素開口率を確保できる。なお、タッチ配線TLは、第3層間絶縁層916C上に配置されていてもよいし、共通電極CE上に他の絶縁層を介して配置されていてもよい。
【0138】
第3層間絶縁層916Cは、画素電極PEを覆うように設けられている。
【0139】
共通電極CEは、第3層間絶縁層916C上に設けられている。共通電極CEは、透明導電材料(例えばITOまたはIZO)から形成されている。共通電極CEには、画素ごとに少なくとも1つのスリットsが形成されている。
【0140】
共通電極CEは、それぞれがタッチセンサ電極TXとして機能する複数のセグメントに分離されている。タッチセンサ電極TXは、対応するタッチ配線TLに電気的に接続されている。この例では、タッチセンサ電極TXは、第3層間絶縁層916Cに形成されたタッチコンタクトホール(不図示)内でタッチ配線TLに接している。
【0141】
【0142】
・STEP1:遮光層914の形成
図10Aに示すように、基板910の主面910a上に遮光層914を形成する。具体的には、まず、基板910の主面910a上に遮光膜をスパッタリング法により堆積し、その後遮光膜をパターニングすることによって、遮光層914を形成することができる。遮光膜のパターニングは、フォトリソ工程(レジストのパターニング)、遮光膜のエッチングおよびレジストの剥離を順次行うことによって実行される。
【0143】
・STEP2:下部絶縁層915および酸化物半導体膜912’の形成
図10Bに示すように、遮光層914を覆うように第1絶縁膜を堆積することによって、下部絶縁層915を形成する。
【0144】
次に、
図10Cに示すように、下部絶縁層915上に酸化物半導体膜912’を堆積し、その後酸化物半導体膜912’をパターニングする。酸化物半導体膜912’のパターニングは、フォトリソ工程(レジストのパターニング)、酸化物半導体膜912’のエッチングおよびレジストの剥離を順次行うことによって実行される。
【0145】
・STEP3:ゲート絶縁層913、ゲート電極GEおよびゲート配線GLの形成
図10Dに示すように、酸化物半導体膜912’を覆うように第2絶縁膜およびゲートメタル膜をこの順で堆積し、その後ゲートメタル膜および第2絶縁膜をパターニングすることによって、ゲート絶縁層913、ゲート電極GEおよびゲート配線GLを形成する。ゲートメタル膜および第2絶縁膜のパターニングは、フォトリソ工程(レジストのパターニング)、ゲートメタル膜のエッチング、第2絶縁膜のエッチングおよびレジストの剥離を順次行うことによって実行される。
【0146】
・STEP4:酸化物半導体膜912’の低抵抗化
図11Aに示すように、酸化物半導体膜912’の一部をプラズマ処理により低抵抗化(導体化)させて、ソース領域912sおよびドレイン領域912dとする。
【0147】
・STEP5:第1層間絶縁層916A、ソースコンタクトホールCH91およびドレインコンタクトホールCH92の形成
図11Bに示すように、酸化物半導体層912、ゲート電極GEおよびゲート配線GLを覆うように第1層間絶縁層(第3絶縁膜)916Aを堆積して形成する。
【0148】
その後、
図11Cに示すように、第1層間絶縁層916Aに、酸化物半導体層912のソース領域912sの一部およびドレイン領域912dの一部を露出させるソースコンタクトホールCH91およびドレインコンタクトホールCH92を形成する。ソースコンタクトホールCH91およびドレインコンタクトホールCH92の形成は、フォトリソ工程(レジストのパターニング)、第1層間絶縁層916Aのエッチングおよびレジストの剥離を順次行うことによって実行される。
【0149】
・STEP6:ソース電極SE、ドレイン電極DEおよびソース配線SLの形成
図11Dに示すように、第1層間絶縁層916A上に、ソースメタル膜を堆積し、その後ソースメタル膜をパターニングすることによって、ソース電極SE、ドレイン電極DEおよびソース配線SLを形成する。ソースメタル膜のパターニングは、フォトリソ工程(レジストのパターニング)、ソースメタル膜のエッチングおよびレジストの剥離を順次行うことによって実行される。
【0150】
・STEP7:第2層間絶縁層916B、有機絶縁層918および画素コンタクトホールCH93の形成
図12Aに示すように、画素TFT911を覆うように第2層間絶縁層(第4絶縁膜)916Bを堆積して形成する。
【0151】
次に、
図12Bに示すように、第2層間絶縁層916B上に有機絶縁層(第5絶縁膜)918を堆積(塗布)して形成する。
【0152】
その後、
図12Cに示すように、有機絶縁層918および第2層間絶縁層916Bに、ドレイン電極DEの一部を露出させる画素コンタクトホールCH93を形成する。画素コンタクトホールCH93の形成は、ハーフトーンマスクを利用した有機絶縁層918のパターニング、有機絶縁層918のアッシング、第2層間絶縁層916Bのエッチングおよびレジストの剥離を順次行うことによって実行される。
図8に示した例では、第2層間絶縁層916Bのエッチングとレジストの剥離との間に、下部絶縁層915のエッチングが行われる。
【0153】
・STEP8:画素電極PEの形成
図13Aに示すように、有機絶縁層918上に第1透明導電膜を堆積し、その後第1透明導電膜をパターニングすることによって画素電極PEを形成する。第1透明導電膜のパターニングは、フォトリソ工程(レジストのパターニング)、第1透明導電膜のエッチングおよびレジストの剥離を順次行うことによって実行される。
【0154】
・STEP9:タッチ配線TLの形成
次いで、
図13Aに示すように、有機絶縁層918上にタッチ配線用メタル膜を堆積し、その後タッチ配線用メタル膜をパターニングすることによってタッチ配線TLを形成する。タッチ配線用メタル膜のパターニングは、フォトリソ工程(レジストのパターニング)、タッチ配線用メタル膜のエッチングおよびレジストの剥離を順次行うことによって実行される。
【0155】
・STEP10:第3層間絶縁層916Cの形成
図13Bに示すように、画素電極PEを覆うように第3層間絶縁層(第6絶縁膜)916Cを堆積し、その後第3層間絶縁層916Cをパターニングする。これにより、第3層間絶縁層916Cにタッチコンタクトホール(不図示)を形成する。第3層間絶縁層916Cのパターニングは、フォトリソ工程(レジストのパターニング)、第3層間絶縁層916Cのエッチングおよびレジストの剥離を順次行うことによって実行される。
【0156】
・STEP11:共通電極CEの形成
図13Cに示すように、第3層間絶縁層916C上に第2透明導電膜を堆積し、その後第2透明導電膜をパターニングすることによって共通電極CEを形成する。共通電極CEは、それぞれがタッチセンサ電極TXとして機能する複数のセグメントに分離されている。第2透明導電膜のパターニングは、フォトリソ工程(レジストのパターニング)、第2透明導電膜のエッチングおよびレジストの剥離を順次行うことによって実行される。
【0157】
その後、共通電極CEを覆うように配向膜が形成される。このようにして、アクティブマトリクス基板901が製造される。
【0158】
このように、比較例では、アクティブマトリクス基板901の製造工程が多く、製造コストが増大してしまう。これは、FFSモードを採用するために、絶縁層(第3層間絶縁層916C)を介して上下に配置された2層の透明電極(画素電極PEおよび共通電極CE)が必要であること、および、トップゲート構造の酸化物半導体TFT911では、遮光層914、酸化物半導体層912、ゲート配線GL、ソース配線SL等の多層構造が必要であることに起因している。また、多層構造であることにより、平面デザインが複雑となって高い開口率を得ることが困難となる。
【0159】
さらに、比較例では、タッチ配線TLの形成に伴い、製造工程がさらに増加する。タッチ配線TLは、典型的には、有機絶縁層918よりも上方に、ソース配線SLおよびゲート配線GLとは別層に設けられる。このため、タッチ配線用メタルを形成し、パターニングを行う工程をさらに追加する必要がある。図示していないが、タッチ配線TLと画素電極PEまたは共通電極CEとを分離するために、さらなる層間絶縁層が形成される場合もある。また、タッチ配線コンタクト部のタッチコンタクトホールを形成するためのパターニング工程を追加で行う場合もある。
【0160】
これに対し、本実施形態のアクティブマトリクス基板101は、下記[A]~[D]の構成を有している。
[A]複数のソース配線SLおよび複数のタッチ配線TLは、基板10の主面10aと下部絶縁層15との間に位置し、複数の遮光層14と同じ導電膜から(遮光層14と同層に)形成されている。
[B]画素電極PEは、酸化物半導体層12と同じ酸化物膜から形成され、酸化物半導体層12の第2低抵抗領域12dと連続している。
[C]1つの画素行pxに対して一対のゲート配線GL1、GL2が接続され、かつ、一対の画素列に対して1つのソース配線SLが接続されている。一対の画素列は、第1画素列py1と、第1画素列に隣接する第2画素列py2とを含む。
[D]基板面の法線方向から見たとき、複数のソース配線SLのそれぞれは、対応する一対の画素列における第1画素列py1と第2画素列py2との間に配置されている。複数のタッチ配線TLのそれぞれは、複数のソース配線SLのうちの隣接する2つのソース配線の間において、隣接する2つの画素列の間に配置されている。
【0161】
このことにより、
図5を参照しながら説明したことから分かるように、アクティブマトリクス基板101の製造工程を少なくして、製造コストを低減することができる。例えば、比較例のアクティブマトリクス基板901を製造する際には、10枚のフォトマスクを必要とするのに対し、
図5に示した例では、必要とするフォトマスクの枚数を5枚まで少なくすることができる。このように、フォトマスクの枚数を大幅に削減することができるので、製造コストを低減することができる。また、層数が少ない(つまり製造フローが短い)ことによって歩留りを高くすることができるので、そのことによっても製造コストを低減することができる。
【0162】
具体的には、本実施形態によると、タッチ配線TLおよびソース配線SLを同一層(ソースメタル層)内に形成することで(構成[A])、タッチ配線用のメタル層を新たに追加する必要がない。なお、比較例では、開口率を確保するために、1つの画素列間にタッチ配線TLおよびソース配線SLの両方を配置する必要があるので、これらの配線を同一層内に形成できない。これに対し、本実施形態では、構成[C]および構成[D]により、開口率を低下させることなく、同一層(ソースメタル層)内に、タッチ配線TLおよびソース配線SLを形成することができる。
【0163】
また、構成[B]により、比較例に比べて、画素電極のための透明導電層を減らすことができる。
【0164】
アクティブマトリクス基板101は、共通電極CEと同じ透明導電膜から形成された接続電極17を含み、接続電極17は、層間絶縁層16および下部絶縁層15に形成されたソースコンタクトホールCH1内において、複数のソース配線SLのいずれかと酸化物半導体層12の第1低抵抗領域12sとを接続していてもよい。これにより、ソースコンタクトホールCH1と共通のパターニング工程で、タッチ配線TLとタッチセンサ電極TX(共通電極CE)とを接続するためのタッチコンタクトホールCH2を形成することが可能になる。従って、タッチ配線コンタクト部TCを形成することによる製造工程数の増加をさらに抑制できる。
【0165】
比較例(シングルスキャン駆動)では、ソース配線SLの数は、画素列の数Mと同数であるが、本実施形態では、ダブルゲート駆動を採用しているので(構成[C])、ソース配線SLの数はM/2となる。そのため、半導体チップ30のソースドライバの実装点数を、比較例に比べて1/2に削減することができる。従って、製造コストのさらなる低減を図ることができる。
【0166】
また、ソースドライバの実装点数が削減される結果、周辺領域FRにおいて半導体チップ30が占める面積を小さくすることができるので、パネルの外形の自由度が高くなる。例えば、
図14に示すように、周辺領域FRにノッチNPやコーナカットCを設ける(つまり周辺領域FRを部分的に切り欠く)ことが容易になる。なお、ノッチNPおよびコーナカットCの個数や形状は、ここで例示したものに限定されない。
【0167】
なお、本実施形態では、ゲート配線GLの本数が2倍となるので、画素への書き込み時間が約1/2となる。しかしながら、画素TFT11が、電流供給能力の高いトップゲート構造であるので、比較的短い時間で画素への書き込みを好適に行うことができる。
【0168】
さらに、本実施形態によると、比較例よりも開口率を高めることができる。
【0169】
構成[B]により、画素TFT11のドレイン電極および画素コンタクトホール(画素TFTのドレイン電極と画素電極とを接続するためのコンタクトホール)が不要となるので、画素内で遮光性を有する層が占める面積の割合(「メタル占有率」と呼ぶ)が小さくなる。一例として、行方向のピッチが25μmで、列方向のピッチが75μmの画素について、ドレイン電極および画素コンタクトホールを形成する場合、および、これらを形成しない場合のメタル占有率を計算した。この結果、ドレイン電極および画素コンタクトホールを形成しないことによって、メタル占有率を5%程度小さくできることが確認された。従って、本実施形態によると、メタル占有率を小さくできるので、開口率を向上させることができる。
【0170】
また、構成[D]により、タッチ配線TLおよびソース配線SLはいずれも画素列間に配置されるので、これらの配線に起因する開口率の低下を抑制できる。
【0171】
さらに、本実施形態のアクティブマトリクス基板101では、基板面法線方向から見たとき、酸化物半導体層12が、ソース配線SLのソースコンタクトホールCH1内に位置する領域のうちの略半分(具体的にはソース配線SLのソースコンタクトホールCH1内に位置する領域のうちの40%以上60%以下)に重なっている。また、上述したように、ソースコンタクト部SCの数は、比較例のアクティブマトリクス基板901におけるソースコンタクト部SCの数の1/2である。従って、接続電極17により接続が行われる領域(接続部)の面積を小さくして開口率のいっそうの向上を図ることができる。
【0172】
なお、
図3Aには、酸化物半導体層12がソースコンタクトホールCH1内でソース配線SLの上半分に重なり、下半分に重ならない例を示しているが、ソースコンタクトホールCH1内における酸化物半導体層12とソース配線SLとの位置関係は、この例に限定されない。例えば、酸化物半導体層12は、ソースコンタクトホールCH1内で
図15Aおよび
図15Bに示すようにソース配線SLに重なっていてもよい。
図15Aおよび
図15Bに示す例では、酸化物半導体層12は、基板面法線方向から見たとき、ソースコンタクトホールCH1のエッジ全周の近傍でソース配線SLに重なり、ソースコンタクトホールCH1の中心近傍ではソース配線SLに重なっていない。
【0173】
(第2の実施形態)
図16Aおよび
図16Bは、それぞれ、第2の実施形態におけるアクティブマトリクス基板102を模式的に示す平面図および断面図である。
図16Bは、
図16A中の16B-16B’線に沿った断面を示している。
【0174】
本実施形態のアクティブマトリクス基板102は、前述の実施形態のアクティブマトリクス基板101とは異なる構造のソースコンタクト部SCを有する。その他の構造は、アクティブマトリクス基板101と同様である。
【0175】
アクティブマトリクス基板102では、ソースコンタクト部SCにおいて、下部絶縁層15にソースコンタクトホールCH3が形成されている。酸化物半導体層12は、下部絶縁層15上、および、下部絶縁層15に形成されたソースコンタクトホールCH3内に配置される。酸化物半導体層12の第1低抵抗領域12sは、ソースコンタクトホールCH3内で、対応するソース配線SLに電気的に接続されている。酸化物半導体層12は、ソース配線SLに直接接していてもよい。
【0176】
前述の実施形態では、酸化物半導体層12の第1低抵抗領域12sは、共通電極CEと同じ透明導電膜を用いて形成された接続電極17を介して、対応するソース配線SLに電気的に接続されている。このようなコンタクト構造は、タッチセンサ電極TXとタッチ配線TLとのコンタクト構造と共通のプロセスで形成され得るので、製造工程数をさらに削減できるメリットがある。ただし、接続電極17と共通電極CEとの間でリークが発生しないように、接続電極17と共通電極CEとを十分に間隔を空けて形成するので、共通電極CEのサイズが小さくなり、画素開口率(各画素領域における表示に寄与する部分の面積割合)が低下する可能性がある。
【0177】
これに対し、本実施形態では、接続電極を形成しないので、上記のようなリーク不良は生じない。従って、前述の実施形態よりも画素開口率の低下を抑制できる場合がある。ただし、酸化物半導体層12の形成前に下部絶縁層15のパターニングを行う必要があるため、フォトリソ工程の数が増加する。
【0178】
次いで、
図17、
図18A~
図18Cを参照しながら、アクティブマトリクス基板102の製造方法を説明する。
図17は、アクティブマトリクス基板102の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図18A~
図18Cは、アクティブマトリクス基板102の製造方法の一例を示す工程断面図である。以下の説明では、アクティブマトリクス基板101の製造方法と異なる点を主に説明する。各層の材料、厚さおよび形成方法は、アクティブマトリクス基板101と同様であるので、説明を省略する。
【0179】
まず、STEP1において、
図18Aに示すように、基板10上に、遮光層14、ソース配線SLおよびタッチ配線TLを形成する。
【0180】
次いで、STEP2において、
図18Bに示すように、遮光層14、ソース配線SLおよびタッチ配線TLを覆うように第1絶縁膜を堆積した後、第1絶縁膜のパターニングを行うことにより、下部絶縁層15を形成する。第1絶縁膜のパターニングは、フォトリソ工程(レジストのパターニング)、第1絶縁膜のエッチングおよびレジストの剥離を順次行うことによって実行される。これにより、第1絶縁膜に、ソース配線SLの一部を露出するソースコンタクトホールCH3を形成する。
【0181】
次に、STEP3において、
図18Cに示すように、下部絶縁層15上およびソースコンタクトホールCH3内に酸化物半導体膜12’を堆積し、その後酸化物半導体膜12’をパターニングする。酸化物半導体膜12’は、ソースコンタクトホールCH3内で、ソース配線SLの露出部分に接続される。
【0182】
この後のプロセス(STEP4~STEP6)は、アクティブマトリクス基板101と同様である。ただし、本実施形態では、STEP5において、層間絶縁層16および下部絶縁層15にタッチコンタクトホールCH2を形成する際に、ソースコンタクトホールを形成しない。また、STEP6において、透明導電膜のパターニングによって、共通電極CE(タッチセンサ電極TX)を形成する際に、接続電極を形成しない。このようにして、アクティブマトリクス基板102が製造される。
【0183】
[酸化物半導体について]
酸化物半導体層12に含まれる酸化物半導体は、アモルファス酸化物半導体であってもよいし、結晶質部分を有する結晶質酸化物半導体であってもよい。結晶質酸化物半導体としては、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質酸化物半導体などが挙げられる。
【0184】
酸化物半導体層12は、2層以上の積層構造を有していてもよい。酸化物半導体層12が積層構造を有する場合には、酸化物半導体層12は、非晶質酸化物半導体層と結晶質酸化物半導体層とを含んでいてもよい。あるいは、結晶構造の異なる複数の結晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。また、複数の非晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。酸化物半導体層12が上層と下層とを含む2層構造を有する場合、下層に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップは、上層に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップよりも大きいことが好ましい。ただし、これらの層のエネルギーギャップの差が比較的小さい場合には、上層の酸化物半導体のエネルギーギャップが下層の酸化物半導体のエネルギーギャップよりも大きくてもよい。
【0185】
非晶質酸化物半導体および上記の各結晶質酸化物半導体の材料、構造、成膜方法、積層構造を有する酸化物半導体層の構成などは、例えば特開2014-007399号公報に記載されている。参考のために、特開2014-007399号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0186】
酸化物半導体層12は、例えば、In、GaおよびZnのうち少なくとも1種の金属元素を含んでもよい。本実施形態では、酸化物半導体層12は、例えば、In-Ga-Zn-O系の半導体(例えば酸化インジウムガリウム亜鉛)を含む。ここで、In-Ga-Zn-O系の半導体は、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)の三元系酸化物であって、In、GaおよびZnの割合(組成比)は特に限定されず、例えばIn:Ga:Zn=2:2:1、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:1:2等を含む。このような酸化物半導体層12は、In-Ga-Zn-O系の半導体を含む酸化物半導体膜から形成され得る。
【0187】
In-Ga-Zn-O系の半導体は、アモルファスでもよいし、結晶質でもよい。結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体としては、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体が好ましい。
【0188】
なお、結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体の結晶構造は、例えば、上述した特開2014-007399号公報、特開2012-134475号公報、特開2014-209727号公報などに開示されている。参考のために、特開2012-134475号公報および特開2014-209727号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。In-Ga-Zn-O系半導体層を有するTFTは、高い移動度(a-SiTFTに比べ20倍超)および低いリーク電流(a-SiTFTに比べ100分の1未満)を有しているので、駆動TFT(例えば、複数の画素を含む表示領域の周辺に、表示領域と同じ基板上に設けられる駆動回路に含まれるTFT)および画素TFT(画素に設けられるTFT)として好適に用いられる。
【0189】
酸化物半導体層12は、In-Ga-Zn-O系半導体の代わりに、他の酸化物半導体を含んでいてもよい。例えばIn-Sn-Zn-O系半導体(例えばIn2O3-SnO2-ZnO;InSnZnO)を含んでもよい。In-Sn-Zn-O系半導体は、In(インジウム)、Sn(スズ)およびZn(亜鉛)の三元系酸化物である。あるいは、酸化物半導体層12は、In-Al-Zn-O系半導体、In-Al-Sn-Zn-O系半導体、Zn-O系半導体、In-Zn-O系半導体、Zn-Ti-O系半導体、Cd-Ge-O系半導体、Cd-Pb-O系半導体、CdO(酸化カドミウム)、Mg-Zn-O系半導体、In-Ga-Sn-O系半導体、In-Ga-O系半導体、Zr-In-Zn-O系半導体、Hf-In-Zn-O系半導体、Al-Ga-Zn-O系半導体、Ga-Zn-O系半導体、In-Ga-Zn-Sn-O系半導体などを含んでいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本発明の実施形態によると、トップゲート構造の酸化物半導体TFTを画素TFTとして備えたアクティブマトリクス基板、および、そのようなアクティブマトリクス基板を有するインセルタッチパネルの製造工程を少なくして製造コストを低減することができる。
【符号の説明】
【0191】
10 基板
10a 基板の主面
11 画素TFT
12 酸化物半導体層
12c チャネル領域
12s 第1低抵抗領域
12d 第2低抵抗領域
13 ゲート絶縁層
14 遮光層
15 下部絶縁層
16 層間絶縁層
17 接続電極
18 共通電極の開口部
30 半導体チップ
101、102 アクティブマトリクス基板
201 対向基板
120 酸化物パターン
1001 インセルタッチパネル型液晶表示装置
CL 液晶層
GE ゲート電極
GL ゲート配線
GL1 第1ゲート配線
GL2 第2ゲート配線
SL ソース配線
SC ソースコンタクト部
TL タッチ配線
TX タッチセンサ電極
TC タッチ配線コンタクト部
CE 共通電極
s 共通電極のスリット
PE 画素電極
P 画素
PIX 画素領域
P1 第1画素領域
P2 第2画素領域
PA 画素対
px 画素行
py1 第1画素列
py2 第2画素列
S1 画素列間の第1開口部
S2 画素列間の第2開口部
TD タッチ駆動部
TU タッチ検出単位
CH1、CH3 ソースコンタクトホール
CH2 タッチコンタクトホール
DR 表示領域
FR 周辺領域
NP ノッチ
C コーナカット