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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】異常判定方法、および自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20230621BHJP
【FI】
G01N35/00 F
G01N35/00 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020553138
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(86)【国際出願番号】 JP2019040146
(87)【国際公開番号】W WO2020080271
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】P 2018195477
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】為實 秀人
(72)【発明者】
【氏名】西田 正治
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-057248(JP,A)
【文献】特開2010-271095(JP,A)
【文献】特開2015-197370(JP,A)
【文献】特開2009-008442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動分析装置における、試料と試薬を含む反応液の反応過程の異常の有無の判定に用いられる判定基準を生成し、当該判定基準を用いて異常判定を行う異常判定方法であって、
所定の演算を実行するプロセッサが、反応液の反応過程における複数の測定データの取得条件を取得することと、
前記プロセッサが、分光検出器によって検出され、前記取得条件に合致する複数の測定データを取得することと、
前記プロセッサが、前記複数の測定データの特徴量を算出することと、
前記プロセッサが、前記複数の測定データの特徴量に基づいて、前記判定基準を生成することと、
前記プロセッサが、判定対象の測定データの特徴量と前記判定基準とを比較して反応過程の異常の有無を判定することと、を含み、
前記取得条件は、少なくとも、測定範囲の情報と、測定値範囲の分割数の情報と、分割区間あたりのデータ数の情報とを含む、異常判定方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記取得条件は、さらに、前記測定値範囲において取得するデータ数の情報と、データの取得期限の情報とを含む、異常判定方法。
【請求項3】
請求項1において、さらに、
前記プロセッサが、前記判定基準を記憶装置に格納されている既存データ群から生成するか、または/および前記判定基準を前記取得条件の設定後に取得する測定データ群から生成するか、を選択することを可能にするユーザインタフェースを提供することを含む、異常判定方法。
【請求項4】
請求項1において、
前記プロセッサは、前記取得条件を満たす前記複数の測定データの特徴量群の平均値と標準偏差値を算出し、これらを用いて前記判定基準を生成する、異常判定方法。
【請求項5】
請求項1において、
前記プロセッサは、前記取得条件を満たす前記複数の測定データの特徴量群のうち少なくとも2つの特徴量の相関性を示す分布を生成し、当該分布を表現する回帰関数を生成し、当該回帰関数の曲線に基づいて前記判定基準を生成する、異常判定方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記プロセッサは、前記少なくとも2つの特徴量の相関性を示す分布を表現する前記回帰関数として、0次関数、1次関数、2次関数、対数関数、および指数関数の中から選択する、異常判定方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記プロセッサは、全ての前記回帰関数に対して求めた赤池情報量基準を比較し、赤池情報量基準が最小となる回帰関数を用いて前記判定基準を生成する、異常判定方法。
【請求項8】
請求項1において、さらに、
前記プロセッサは、前記反応過程に異常が有ると判定した場合、表示装置に警告を表示させることを含む、異常判定方法。
【請求項9】
検体を定性または定量分析する自動分析装置であって、
試料と試薬を混合して反応させる反応容器に収容されている反応液に光を照射し、前記反応液の反応過程における複数の測定データを取得する分光検出器と、
検体を分析するための各種プログラムを格納する記憶デバイスと、
前記記憶デバイスから前記各種プログラムを読み込み、当該各種プログラムに基づいて、前記複数の測定データに対して所定の演算を実行するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
試料と試薬を含む反応液の反応過程における複数の測定データの取得条件を取得する処理と、
前記分光検出器によって検出され、前記取得条件に合致する複数の測定データを取得する処理と、
前記複数の測定データの特徴量を算出する処理と、
前記複数の測定データの特徴量に基づいて、前記反応液の反応過程の異常の有無の判定に用いる判定基準を生成する処理と、
判定対象の測定データの特徴量と前記判定基準とを比較して反応過程の異常の有無を判定する処理と、を実行し、
前記取得条件は、少なくとも、測定範囲の情報と、測定値範囲の分割数の情報と、分割区間あたりのデータ数の情報とを含む、自動分析装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記取得条件は、さらに、前記測定値範囲において取得するデータ数の情報と、データの取得期限の情報とを含む、自動分析装置。
【請求項11】
請求項9において、
前記プロセッサは、さらに、前記判定基準を記憶装置に格納されている既存データ群から生成するか、または/および前記判定基準を前記取得条件の設定後に取得する測定データ群から生成するか、を選択することを可能にするユーザインタフェースを提供する処理を実行する、自動分析装置。
【請求項12】
請求項9において、
前記プロセッサは、前記取得条件を満たす前記複数の測定データの特徴量群の平均値と標準偏差値を算出し、これらを用いて前記判定基準を生成する、自動分析装置。
【請求項13】
請求項9において、
前記プロセッサは、前記取得条件を満たす前記複数の測定データの特徴量群のうち少なくとも2つの特徴量の相関性を示す分布を生成し、当該分布を表現する回帰関数を生成し、当該回帰関数の曲線に基づいて前記判定基準を生成する、自動分析装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記プロセッサは、前記少なくとも2つの特徴量の相関性を示す分布を表現する前記回帰関数として、0次関数、1次関数、2次関数、対数関数、および指数関数の中から選択する、自動分析装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記プロセッサは、全ての前記回帰関数に対して求めた赤池情報量基準を比較し、赤池情報量基準が最小となる回帰関数を用いて前記判定基準を生成する、自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、異常判定方法、および自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生化学検査をはじめとした臨床検査分野においては、自動分析装置が一般的に使用されている。自動分析装置は、血液や尿などの生体検体(以下、検体と称する)に含まれる特定の成分に特異的に反応する試薬を添加・反応させ、反応液の吸光度や発光量を測定することにより、定性・定量分析を行うものである。近年、その性能の向上により、より微量な検体や試薬で様々な項目について高精度に分析することが可能となってきている。その反面、自動分析装置各部の動作誤差や試薬の性質の変化など、分析性能を左右する因子の影響が大きくなってきており、それらの状態を正常範囲に保つとともに、異常の発生を検出し、適切に対応することが求められている。
【0003】
分析が正しく行われていることをチェックする方法として、例えば、反応過程データの解析から異常を検出する方法がある。反応過程データとは、試薬と試料の反応後、複数回計測される吸光度の時系列データのことを指す。臨床検査の測定方法には、大きく分けてエンドポイント法とレート法の2種類があり、それに伴い反応過程曲線も異なっている。エンドポイント法は、主に試料に含まれるたんぱく質、脂質などの成分の濃度を測定する際に用いられる。試料中の成分と試薬が反応して生成される物質は、時間と共に一定量に漸近するため、計測値も時間と共に一定値に漸近する。レート法は、主に試料に含まれる酵素成分の活性を測定する際に使用され、酵素自体の濃度ではなく、その活性値が測定される。活性値の測定は、試薬と一定量の基質を、試料に添加した状態で行われ、酵素が基質を消費して変化する要素を試薬によって測定する。酵素反応速度は、基質濃度がある程度高いと、理論的上限値に漸近する。生化学項目測定用の試薬には、充分な量の基質が含まれている。このため、試料と試薬の反応が正常に行われていれば、その反応は、一般的に時間変化に対して計測値が一定量ずつ直線的に変化する。反応過程データの異常を検出する従来技術としては、例えば、反応過程の直線性をチェックするリニアリティチェックや、予め化学反応モデルを使用して生成した基準時系列データを記憶しておき、試料の反応過程データと基準時系列データとを比較して、乖離が大きかった場合に異常と判定するもの(特許文献1参照)や、測定点データから近似曲線を生成するための1つ以上の近似式から1つの近似式を選択し、複数の測定点データから近似曲線を生成して、近似曲線から形状特徴量を算出し、その形状特徴量を用いて異常判定を行うもの(特許文献2参照)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-347385号公報
【文献】特許第5562421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術のような自動分析装置においては、反応過程チェックの判定基準(測定される吸光度の適切な範囲)は、通常、予め設定してオペレータに提供されるか、あるいは、設定がない場合にはオペレータにより設定される。これらの場合、機差などの要因によるバラつきを考慮する必要があり、裕度を大きく持たせた設定となるため、必ずしも最適な判定基準が設定されるとは言えなかった。
【0006】
また、装置毎に検体データを取得して判定基準を設定する場合においては、取得する検体データの測定値に偏りが生じ、反応過程の特徴を表す特徴量の分布を正しく捉えることができないことも多い。このため、最適な判定基準を設定するのは困難である。
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、自動分析装置の異常を検知するための、より適切な判断基準を設定する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためにするために、本実施形態による異常判定方法は、自動分析装置における、試料と試薬を含む反応液の反応過程の異常の有無の判定に用いられる判定基準を生成し、当該判定基準を用いて異常判定を行う異常判定方法であって、所定の演算を実行するプロセッサが、反応液の反応過程における複数の測定データの取得条件を取得することと、上記プロセッサが、分光検出器によって検出され、取得条件に合致する複数の測定データを取得することと、当該プロセッサが、複数の測定データの特徴量を算出することと、上記プロセッサが、複数の測定データの特徴量に基づいて、判定基準を生成することと、上記プロセッサが、判定対象の測定データの特徴量と前記判定基準とを比較して反応過程の異常の有無を判定することと、を含む。そして、上記取得条件は、少なくとも、測定値範囲の分割数の情報と、分割区間あたりのデータ数の情報とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、自動分析装置の異常を検知するための、より適切な判断基準を設定することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態による自動分析装置1の概略構成例を示す図である。
図2】計算機90の概略内部構成(機能)例を示すブロック図である。
図3】本実施形態による判定基準生成処理例1の詳細を説明するためのフローチャートである。
図4】計算機90の表示装置92に表示される、検体データの取得条件を入力するための取得条件入力画面400(一例)を示す図である。
図5】計算機90の入力装置91における判定基準の更新を実施する際に表示される画面例を示す図である。
図6】本実施形態による判定基準生成処理例2の詳細を説明するためのフローチャートである。
図7】検体データの取得条件(図4)を設定したことによる効果を示す図である。
図8】本実施形態による異常判定処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態は、例えば、血液、尿、その他の生体サンプルを定性又は定量分析する際に実行する分注機構の異常判定処理について開示する。以下、本実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0011】
<自動分析装置の全体構成>
図1は、本開示の実施形態による自動分析装置1の概略構成例を示す図である。図1において、自動分析装置1は、試料ディスク(サンプルディスク)10と、第1試薬ディスク20と、第2試薬ディスク30と、反応ディスク40と、試料分注機構50と、第1試薬分注機構60と、第2試薬分注機構70と、測光機構80と、計算機90と、を備えている。
【0012】
試料ディスク10は、分析対象である血液や尿などの生体検体(以下、検体と称する)を収容した検体容器11を周方向に複数並べて搭載している。試料ディスク10は、図示しない回転駆動装置により回転駆動され、検体容器11を試料ディスク10の周方向に搬送する。
【0013】
第1試薬ディスク20は、検体の分析に用いる試薬(第1試薬)を収容した試薬容器21を周方向に複数並べて搭載している。第1試薬ディスク20は、図示しない回転駆動装置により周方向に回転駆動され、試薬容器21を第1試薬ディスク20の周方向に搬送する。
【0014】
第2試薬ディスク30は、検体の分析に用いる試薬(第2試薬)を収容した試薬容器31を周方向に複数並べて搭載している。第2試薬ディスク30は、図示しない回転駆動装置により周方向に回転駆動され、試薬容器31を第2試薬ディスク30の周方向に搬送する。
【0015】
反応ディスク40は、検体と試薬の混合液(反応液)を収容した反応容器41を周方向に複数並べて搭載している。反応ディスク40は、図示しない回転駆動装置により周方向に回転駆動され、反応容器41を反応ディスク40の周方向に搬送する。また、反応ディスク40の反応容器41の搬送経路上には、反応容器41に収容された混合液の攪拌を行う攪拌機構(洗浄ボトルと洗浄槽とを有する)42と、分析の終了した反応容器41の洗浄を行う洗浄機構43とが配置されている。
【0016】
試料分注機構50は、検体容器11に収容された分注対象の検体に分注ノズル(図示せず)を浸漬して吸引し、反応容器41に吐出することにより検体の分注を行う。試料分注機構50は、図示しない駆動装置により水平および垂直方向に駆動される。試料分注機構50は、分注流路53と、圧力センサ54と、定量ポンプ57とを備えている。
【0017】
第1試薬分注機構60は、試薬容器21に収容された分注対象の第1試薬に分注ノズル(図示せず)を浸漬して吸引し、反応容器41に吐出することにより第1試薬の分注を行う。第1試薬分注機構60は、図示しない駆動装置により水平および垂直方向に駆動される。
【0018】
第2試薬分注機構70は、試薬容器31に収容された分注対象の第2試薬に分注ノズル(図示せず)を浸漬して吸引し、反応容器41に吐出することにより第2試薬の分注を行う。第2試薬分注機構70は、図示しない駆動装置により水平および垂直方向に駆動される。
【0019】
測光機構80は、反応ディスク40における反応容器41の搬送経路上に配置されており、測定対象の反応液が収容された反応容器41に光を照射する光源81と、反応容器41に収容された反応液を透過した透過光を検出する分光検出器82とを備えている。分光検出器82での検出結果は、ディジタル信号に変換されて計算機90に送られる。
【0020】
計算機90は、各駆動装置を含む自動分析装置全体の動作を制御するコンピュータで構成される。計算機90は、分析対象である血液や尿などの検体の分析を行う分析処理や、分析処理に伴う吸光度の時系列データである反応過程の異常判定を行う異常判定処理などの制御を実行する。計算機90は、例えば、各種設定値や指令等を入力するための入力装置91と、各種設定画面や分析結果画面等を表示する表示装置92と、制御装置93と、を備えている。
【0021】
<計算機の内部構成例>
図2は、計算機90の概略内部構成(機能)例を示すブロック図である。図2において、計算機90は、入力装置91と、表示装置92と、制御装置93と、を備える。制御装置93は、各種プログラムやパラメータなどを記憶する記憶部(例えば、メモリ、HDDなどの記憶デバイスで構成される)931と、記憶部931から各種プログラムを読み込み、それを内部メモリ(図示しない)に展開して各種プログラムを実行するプロセッサ(例えば、CPUやMPUによって構成される)932と、を備える。図2は、プログラムとしての各処理部を展開した後の状態を示している。分析処理や異常判定処理など、自動分析装置の動作に用いる各種情報を記憶する
【0022】
プロセッサ932は、自動分析装置の動作を制御する動作制御部9321、検体の成分濃度を算出する分析部9322、分光検出器82で検出結果として得られるディジタル信号を吸光度に変換して、特徴量を算出する信号処理部9323、取得された特徴量を基に判定基準を生成する判定基準生成部9324、判定基準生成部9324にて生成された判定基準あるいは予め記憶部931に記憶されている判定基準を用いて判定対象の特徴量が判定基準内にあるかの異常判定処理を行う異常判定部9325など、プログラムで実現される各種機能ブロックを備えている。
【0023】
<分析処理>
次に、本開示の実施形態による自動分析装置1の分析処理の基本動作について説明する。
分析処理では、血液や尿などの検体に含まれる特定の成分に特異的に反応する試薬を添加・反応させ、反応液の吸光度が測定され、その後、分析部9322によって定性・定量分析が行われる。
【0024】
まず、図1の検体容器11に分析対象の検体(試料)を収容し、試料ディスク10に搭載する。なお、それぞれの検体の分析処理で必要な情報(分析項目や試薬種類等)は、予め計算機90の入力装置91を用いてオペレータ(ユーザ)によって入力され、記憶部931に記憶される。
【0025】
次に、試料分注機構50の分注ノズル(図示せず)によって検体容器11から一定量の検体を吸引し反応ディスク40に搭載された反応容器41に吐出することにより分注する。
【0026】
続いて、第1及び第2試薬分注機構60、70によって、試薬容器21、31から定量の試薬を吸引し反応ディスク40の反応容器41に吐出することにより分注し、攪拌機構42により攪拌する。なお、第1及び第2試薬分注機構60、70により分注する試薬の種類や分量、タイミング等は、検体の種類や分析項目等により予め定められている。
【0027】
続いて、反応ディスク40は、周期的に回転/停止を繰り返し、反応容器41が測光機構80の間(光源81と分光検出器82の間)を通過するタイミングで測光が行われる。予め定めた反応時間の間に分光検出器82により測光を繰り返し、その後、洗浄機構43により分析の終了した反応容器41の洗浄を行う。
【0028】
測光機構80による測光は、複数の検体容器11に対しても並列的に行われる。測光機構80による検出結果は、制御装置93の分析部9322に送られて分析の種類(例えば、定性分析や定量分析)に応じた成分の濃度が算出され、表示装置92に表示される
【0029】
<判定基準生成処理>
本実施形態では、2種類の判定基準生成処理(例1および2)について説明する。判定基準生成処理例1は、取得条件(後述)に従って取得された検体データの特徴量に基づいて判定基準を定める例である。判定基準生成処理例2は、取得条件(後述)に従って取得された検体データの特徴量の組み合わせ(相関分布)から回帰式(以下、回帰線や回帰関数とも表現することができる。3つとも同義の概念である)を求め、その回帰式に対して判定幅を設定して判定基準を定める例である。
【0030】
(1)判定基準生成処理例1
図3は、本実施形態による判定基準生成処理例1の詳細を説明するためのフローチャートである。以下の説明では、各ステップの動作主体を信号処理部9323や判定基準生成部9324としているが、プログラムはプロセッサ932によって読み込まれて実行されるため、プロセッサ932を動作主体としてもよい。
【0031】
(i)ステップ101
判定基準生成部9324は、入力装置91からオペレータによって入力された、どのように検体データ(測定データ)を取得するかを示す取得条件の情報を取得し、記憶部931に格納する。
【0032】
図4は、計算機90の表示装置92に表示される、検体データの取得条件を入力するための取得条件入力画面400(一例)を示す図である。取得条件入力画面400は、例えば、取得条件入力領域401と、データ期間設定領域402と、設定確定ボタン表示403と、を含む。
【0033】
取得条件入力画面400は、血糖やタンパクなど検査項目を示す項目4011と、データを取得したときに解析をするか否かを示す解析4012と、検査項目のコードを示す項目コード4013と、濃度実測によって取得するデータ範囲(例えば、試料と試薬の種類によって決まる値である。予めキャリブレーションによって吸光度と濃度との関係が規定されており、吸光度に対応する濃度が分かるようになっている(吸光度と濃度とは相関がある))を示す測定値範囲4014と、測定範囲4014内で取得するデータ数を示す取得データ数4015と、測定範囲4014の区間分割数を示すデータ分割数4016と、分割区間あたりのデータ数4017と、取得データ数4015によって決められたデータ数を取得するための期限を定める取得期限4018と、を構成項目として含んでいる。このように、判定基準の生成に用いる検体データの取得条件を指定可能とすることで、検体データの偏りを回避することができ、自動分析装置毎に最適な判定基準の設定が可能となる。特に、本実施形態では、オペレータは、取得データ数4015、データ分割数4016、および分割区間あたりのデータ数4017を取得条件として設定することできるようになっている。これにより、特定の濃度値(吸光度値)近辺のデータだけで判定基準を生成することがなくなるため(取得データの偏りがなくなる)、最適な判定基準を生成することができるようになる。
【0034】
データ期間設定領域402は、判定基準を生成する際に、オペレータが記憶部931に既に格納されている検体データ(測定データ)を用いるか、あるいはこれから取得する検体データ(新規に取得するデータ、つまり条件指定後に取得する検体データ)を用いるか、を指示するための領域であり、例えば、ラジオボタンによって構成される。「既存のデータを使用」あるいは「新規取得データを使用」の何れかを選択するようにしてもよいし、両者を選択し、一部に既存のデータを用い、残りに新規取得データを用いるようにしてもよい。
設定確定ボタン表示403は、取得条件入力領域401およびデータ期間設定領域402の入力後に設定を確定するためのボタンである。
【0035】
図5は、計算機90の入力装置91における判定基準の更新を実施する際に表示される画面例を示す図である。オペレータが入力装置91から判定基準の更新を指示すると、図5のGUI(Graphical User Interface)が表示装置92の画面上に表示される。そして、オペレータが実行ボタンを押下(クリック)することにより、再度取得条件入力画面400(図4参照)が画面上に表示され、新たな取得条件等を入力することが可能となる。なお、判定基準の更新は、任意のタイミングで実行できるようにしてもよい。
【0036】
(ii)ステップ102
信号処理部9323は、記憶部931から設定された検体データの取得条件を読み出し、分光検出器82での検出結果のディジタル信号のうち、当該取得条件に合致する検体データに対応するディジタル信号を取得する。そして、信号処理部9323は、取得条件に合致する検体データのディジタル信号を吸光度に変換して特徴量を算出し、記憶部931に格納する。算出する特徴量は、例えば、一定時間間隔ごとの平均値や標準偏差値、近似用関数(近似式)により複数の測定点データを近似して算出される評価パラメータ、所定のタイミングにおける値などである。所定のタイミングとは、用いる試薬によって吸光度のグラフ形状が変わったり、検査項目によってグラフ形状に特徴があったりするが、反応時にその特徴を的確に捉えているようなタイミングを意味し、例えば、グラフの傾きが変化するタイミングなどが該当する。ただし、特徴量は、上述のものに限定されるものではなく、反応過程の特徴を表現できるものであればよい。
【0037】
なお、ここで、一例として、近似用関数を用いて算出される評価パラメータについて説明する。近似用関数として、例えば、式(1)から式(8)で示す関数を想定する。
x=a * t + b + c * exp(-k * t) ・・・ (1)
x=a * t + b + e / (t + d) ・・・ (2)
x=a * t + b + w / {exp(u * t) +v} ・・・ (3)
x=a * t + b + p * log{1 + q * exp(r * t)} ・・・ (4)
x=a0-a1 * exp(-k * t) ・・・ (5)
x=a0-a1 * exp(-k1 * t) - a2 * exp(-k2 * t) ・・・ (6)
x=a + k / (t + b) ・・・ (7)
x=a + b / (exp (k * t) + c) ・・・ (8)
【0038】
各関数において、tは時刻、xは吸光度を表している。また、a、b、c、d、e、k、p、q、r、u、v、w、a0、a1、k1、k2は、近似式パラメータを表している。
【0039】
評価パラメータには、例えば近似式により算出される吸光度(近似値)と実際に測定された吸光度(実測値)との差(誤差)の平均値、誤差の二乗平均値(「Err」)、誤差の最大値等を用いれば良い。また、例えば以下に示す式(9)および(10)に示すように、式(1)から式(8)に示した近似式パラメータを組合せて様々な計算を行うことで得られる値を用いれば良い。
A0 =a0 - a1 ・・・ (9)
A1=a1 + a2 ・・・ (10)
【0040】
式(9)は、式(5)に示す近似式パラメータを用いてエンドポイント法の初期吸光度(A0とする)を示す評価パラメータ値を得るための数式例である。また、式(10)は、式(6)に示す近似式パラメータを用いてエンドポイント法の吸光度変化量(A1とする)を示す評価パラメータ値を得るための数式例である。また、例えば、反応過程曲線の形状を示すパラメータを用いても良い。
【0041】
(iii)ステップ103
判定基準生成部9324は、ステップ102で算出して得られた特徴量群の平均値および標準偏差(σ、あるいはSDと表現する)を算出する。
【0042】
(iv)ステップ104
判定基準生成部9324は、ステップ103で算出した平均値および標準偏差を用い、例えば、特徴量の平均値±特徴量の3SDを判定基準とする。生成された判定基準は記憶部931に格納される。
【0043】
(2)判定基準生成処理例2
判定基準生成処理例2は、特徴量群をプロットし、特徴量群の分布を表現する最適な回帰関数を選択して、選択した回帰関数に対応した曲線を基に異常判定のための判定基準として設定するものである。図6は、本実施形態による判定基準生成処理例2の詳細を説明するためのフローチャートである。以下の説明では、各ステップの動作主体を信号処理部9323や判定基準生成部9324としているが、プログラムはプロセッサ932によって読み込まれて実行されるため、プロセッサ932を動作主体としてもよい。
【0044】
(i)ステップ201
判定基準生成部9324は、入力装置91からオペレータによって入力された、どのように検体データ(測定データ)を取得するかを示す取得条件の情報を取得し、記憶部931に格納する。取得条件の入力に関しては、判定基準生成処理例1と同様であるので、説明は省略する。
【0045】
(ii)ステップ202
信号処理部9323は、記憶部931から設定された検体データの取得条件を読み出し、分光検出器82での検出結果のディジタル信号のうち、当該取得条件に合致する検体データに対応するディジタル信号を取得する。そして、信号処理部9323は、取得条件に合致する検体データのディジタル信号から複数の特徴量を算出する。特徴量は、判定基準生成処理例1と同様のものを用いることができるので、説明は省略する。
【0046】
(iii)ステップ203
判定基準生成部9324は、ステップ202で算出した複数種類の特徴量のうち、2種類の特徴量(x,y)を選択し、1つの特徴量を横軸、もう1つの特徴量を縦軸としたXY座標平面上に、算出した特徴量群(x,y)をプロットする。
【0047】
(iv)ステップ204
判定基準生成部9324は、特徴量群の分布を表現する回帰式として、例えば、0次関数、1次関数、2次関数、対数関数、および指数関数(5種類)を準備し、これらを用いて特徴量群の分布を回帰式としてフィッティングする。なお、用意する関数の種類は5つに限定はされない。例えば、各反応過程から100個の検体データが収集できた場合、各特徴量は100個ずつ算出することができる。ステップ203では、特徴量Aを縦軸(Y軸)に、特徴量Bを横軸(X軸)に設定し、各検体の特徴量の値(x,y)(特徴量Bに相当するのがx、特徴量Aに相当するのがy)をXY座標平面上にプロットして分布が求められる。そして、ステップ204において、この分布に対して5つの回帰式がカーブフィッティングにより求められる。
【0048】
(v)ステップ205
判定基準生成部9324は、5種類全ての回帰式の赤池情報量基準(AIC)を比較し、AICが最小となる回帰式を選択する。赤池情報量基準(AIC)は以下の式で定義される。
【0049】
【数1】
【0050】
ここで、Pはパラメータ数(回帰関数の係数の数)、nはデータ数である。パラメータ数Pは、0次関数では1個、1次関数では2個、2次関数では3個、対数関数では4個、指数関数では4個となる。一般的に、パラメータ数が多い回帰関数ほど学習データに対する適合が良くなる。一方、学習データに対する適合が良すぎる場合は未知のデータに対する予測精度が落ちる。AICは、パラメータ数が異なる回帰関数による回帰性能を比較する場合に、パラメータ数を考慮しつつデータ分布に対する回帰関数のあてはまりの良さを示す指標として用いる。AICが小さい回帰式ほど、データ分布に対して適した回帰関数となる。
【0051】
(vi)ステップ206
判定基準生成部9324は、取得条件で設定された各分割区間(図4参照)における各特徴量(上述の例では特徴量AおよびB)の標準偏差σを算出する。
【0052】
(vii)ステップ207
判定基準生成部9324は、ステップ206で算出した各分割区間の特徴量の標準偏差に所定の係数kを乗算し、ステップ205で求めた回帰式(回帰関数)±k*σを判定基準として生成する。生成された判定基準は記憶部931に格納される。
【0053】
<判定基準生成処理例2による効果>
図7は、検体データの取得条件(図4)を設定したことによる効果を示す図である。図7Aは検体データの取得条件を設定しない場合に得られた回帰線の例を示し、図7Bは検体データの取得条件を設定した場合に得られた回帰線の例を示す。なお、ここでは、特徴量として、平均二乗誤差と吸光度変化量を用いているが、これは一例であって、任意の特徴量を組み合わせることができ、特定の特徴量の組み合わせに限定されない。
【0054】
図7では、規定のタイミングから無作為に一定数(例えば、100個)を抽出した場合(取得条件の設定なし)と、データ(同様に、100個)の取り得る測定値範囲(例えば、29≦測定範囲≦1076)を等分割(例えば、区間分割数=3)し、各区間で一定数(例えば、設定された3つの各区間に対して、80個、10個、10個に設定)を抽出した場合(取得条件の設定あり)を比較した。図7AおよびBを比較すると、取得条件の設定ありの方がより適切に特徴量の分布を捉えることができているのが分かる。
【0055】
<異常判定処理>
図8は、本実施形態による異常判定処理の詳細を説明するためのフローチャートである。以下の説明では、各ステップの動作主体を信号処理部9323や異常判定部9325としているが、プログラムはプロセッサ932によって読み込まれて実行されるため、プロセッサ932を動作主体としてもよい。
【0056】
(i)ステップ301
信号処理部9323は、分光検出器82による検出(測定)結果である検体データ(ディジタル信号)を取得する。
【0057】
(ii)ステップ302
信号処理部9323は、ステップ301で取得した検体データの特徴量を算出する。なお、ステップ302で算出する特徴量の種類は、異常判定処理で用いる判定基準によって異なり、ここでは、判定基準を生成する際に用いた特徴量と同じ種類の特徴量が算出される。従って、例えば、判定基準の生成で用いた特徴量の種類を認知しているオペレータが入力装置91を用いて算出すべき特徴量の種類を指定したり、信号処理部9323が記憶部931に保持されている判定基準データの属性情報をチェックして自動的に算出すべき特徴量の種類の情報を取得したりしてもよい。
【0058】
(iii)ステップ303
異常判定部9325は、記憶部931に保持されている判定基準(判定基準生成処理1あるいは2によって生成された判定基準)を読み込む。そして、異常判定部9325は、ステップ302で算出された特徴量と判定基準とを比較することにより、検体データ(測定データ)の異常の有無を検知(判定)する。異常と判定された特徴量によって異常が発生している箇所を絞ることも可能である。異常なしと判定された場合、異常判定部9325は、動作制御部9321に異常なしであることを伝達する。異常ありと判定された場合、異常判定部9325は、動作制御部9321に異常ありであることを伝達する。その場合、動作制御部9321は、表示装置92にアラームを発生させ、自動分析装置および検体の確認をオペレータ等に促す。そして、オペレータは、異常が検体由来であるか、装置由来であるか確認する。装置由来であると判断された場合には、装置を修理するなどすることが可能となる。
【0059】
<本実施形態のまとめ>
(i)本実施形態によれば、自動分析装置1は、オペレータが判定基準を生成する際に用いる検体データの条件を画面(GUI)から入力できるように構成されている。検体データの条件として、例えば、測定値範囲、データ数、範囲分割数、各区間データ数、取得期限を指定することができ、当該条件に合致する検体データを基に判定基準が生成される。これにより偏りなく検体データの取得が可能になり、装置毎に最適な判定基準の設定が可能となる。
【0060】
(ii)より詳細に説明すれば、本実施形態では、自動分析装置における、試料と試薬を含む反応液の反応過程の異常の有無の判定に用いられる判定基準が生成され、当該判定基準を用いて異常判定が実行される。異常判定処理は、例えば、反応液の反応過程における複数の測定データの取得条件を取得することと、分光検出器によって検出され、前記取得条件に合致する複数の測定データを取得することと、複数の測定データの特徴量を算出することと、複数の測定データの特徴量に基づいて、判定基準を生成することと、判定対象の測定データの特徴量と判定基準とを比較して反応過程の異常の有無を判定すること、を含んでいる。そして、上述したように、取得条件は、少なくとも、測定値範囲の分割数の情報と、分割区間あたりのデータ数の情報とを含んでいる。また、当該取得条件に、測定値範囲において取得するデータ数の情報と、データの取得期限の情報とを含めるようにしてもよい。このようにすることにより、自動分析装置の異常を検知するための判断基準をより適切に設定することができる。このため、反応過程の異常をより確実に検出して、測定データの信頼性をより向上させることができるようになる。
【0061】
本実施形態による自動分析装置は、判定基準を記憶装置に格納されている既存データ群から生成するか、または/および判定基準を取得条件の設定後に取得する測定データ群から生成するか、を選択することを可能にするユーザインタフェースを提供する。これにより、オペレータが状況に応じて適切と考える判定基準を生成することが可能となる。
【0062】
具体的に、判定基準は、取得条件を満たす複数の測定データの特徴量群の平均値と標準偏差値を算出し、これらを用いて生成することができる。また、取得条件を満たす複数の測定データの特徴量群のうち少なくとも2つの特徴量の相関性を示す分布を生成し、当該分布を表現する回帰関数を生成し、当該回帰関数の曲線に基づいて判定基準を生成するようにしてもよい。後者の場合、少なくとも2つの特徴量の相関性を示す分布を表現する回帰関数として、0次関数、1次関数、2次関数、対数関数、および指数関数の中から選択することが可能である。そして、後者の場合、全ての回帰関数に対して求めた赤池情報量基準を比較し、赤池情報量基準が最小となる回帰関数を用いて判定基準を生成する。
【0063】
なお、反応過程に異常が有ると判定した場合、表示装置に警告を表示させるようにしてもよい。これにより、オペレータに反応液の反応過程の異常を迅速に認知させることが可能となる。
【0064】
(iii)本開示は、実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或は装置に提供し、そのシステム或は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本開示を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0065】
また、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータ上のメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータのCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。
【0066】
さらに、実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することにより、それをシステム又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、使用時にそのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしても良い。
【0067】
最後に、ここで述べたプロセス及び技術は本質的に如何なる特定の装置に関連することはなく、コンポーネントの如何なる相応しい組み合わせによってでも実装できることを理解する必要がある。更に、汎用目的の多様なタイプのデバイスがここで記述した教授に従って使用可能である。ここで述べた方法のステップを実行するのに、専用の装置を構築するのが有益であることが判るかもしれない。また、実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。本開示は、具体例に関連して記述したが、これらは、すべての観点に於いて限定の為ではなく説明の為である。本分野にスキルのある者には、本開示を実施するのに相応しいハードウェア、ソフトウェア、及びファームウエアの多数の組み合わせがあることが解るであろう。例えば、記述したソフトウェアは、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
【0068】
さらに、上述の実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていても良い。
【0069】
加えて、本技術分野の通常の知識を有する者には、本開示のその他の実装がここに開示された本開示の明細書及び実施形態の考察から明らかになる。記述された実施形態の多様な態様及び/又はコンポーネントは、自動分析装置において、単独又は如何なる組み合わせでも使用することが出来る。明細書と具体例は典型的なものに過ぎず、本開示の範囲と精神は後続する請求範囲で示される。
【符号の説明】
【0070】
1 自動分析装置
10 試料ディスク(サンプルディスク)
11 検体容器
12 検体容器ラック
20 第1試薬ディスク
21 試薬容器
30 第2試薬ディスク
31 試薬容器
40 反応ディスク
41 反応容器
42 攪拌機構
43 洗浄機構
50 試料分注機構
53 分注流路
54 圧力センサ
57 定量ポンプ
60 第1試薬分注機構
70 第2試薬分注機構
80 測光機構
90 計算機
91 入力装置
92 表示装置
93 制御装置
931 記憶部
932 プロセッサ
9321 動作制御部
9322 分析部
9323 信号処理部
9324 判定基準生成部
9325 異常判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8