(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】保持部材
(51)【国際特許分類】
B65D 5/50 20060101AFI20230622BHJP
B65D 75/54 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
B65D5/50 101C
B65D75/54
(21)【出願番号】P 2021158675
(22)【出願日】2021-09-29
【審査請求日】2021-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】518042327
【氏名又は名称】株式会社イワミズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩水 隆志
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-240047(JP,A)
【文献】登録実用新案第3058990(JP,U)
【文献】登録実用新案第3194949(JP,U)
【文献】実開平04-124946(JP,U)
【文献】特開平11-171260(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第2014-0005155(KR,U)
【文献】中国実用新案第205554881(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/50
B65D 75/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側ケースに収容される保持部材であって、
内容物を収める容器の周囲を取り囲んで前記容器を保持する保持部と、
前記保持部の上端に延設され、前記容器が収納される収納空間を覆う天部とを備え、
前記保持部及び前記天部が1枚のシート材で形成されており、
前記天部は、複数の折線と切り込み線とを有し、
前記天部が、前記収納空間に向かって窪んだ溝状の凹部を有
し、前記凹部は、前記複数の折線と前記切り込み線とによって形成されており、
前記凹部は、前記凹部の長手方向および深さ方向に直交する短手方向における長さが所定の長さである幅広部と、前記凹部の前記短手方向における長さが前記所定の長さより短い幅狭部と、前記幅広部及び前記幅狭部の底面と、前記底面から立ち上がる壁面と、を有し、
前記底面及び前記壁面が前記複数の折線で区画され、前記底面及び前記壁面を含む前記天部が1枚のシート材で形成されており、
前記保持部は、
容器の底面に接触する接触部と、
前記接触部に連なり容器の底面に接触しない一対の非接触部と、
容器の周囲で上下方向に沿って起立し且つ直方体または立方体をなす箱状の前記外側ケースに収容された際に前記外側ケースの4つの側面部にそれぞれ接触する4つの側方部と、
前記非接触部の一方から斜め上に立ち上がって前記4つの側方部のうち隣接する2つの側方部に接続され、前記容器の側面に一方から接触可能な第1傾斜部と、
前記接触部の他方から斜め上に立ち上がって前記4つの側方部のうち他の隣接する2つの側方部に接続され、前記容器の側面に他方から接触可能な第2傾斜部と、
を有し、
前記接触部、前記非接触部、前記4つの側方部、前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部が1枚のシート材で形成されており、
前記1枚のシート材において前記接触部を挟んだ一対の切り欠きにより前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部と前記接触部とが区画され、前記一対の切り欠きのエッジが前記容器の側面に接触して前記容器を保持可能に構成されている、保持部材。
【請求項2】
前記凹部は、前記天部の対角線上を延伸するように形成される、請求項1に記載の保持部材。
【請求項3】
前記保持部の上端に延設され、前記凹部を覆う蓋部をさらに備え
、
前記蓋部は、前記保持部と前記天部と共に1枚のシート材で形成されている、請求項1または2に記載の保持部材。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の保持部材と、
直方体または立方体をなす箱状に形成され前記保持部材を収容する前記外側ケースと、を備える、包装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収める容器および棒状部材を保持し、外側ケースに収納される保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固体、液体、クリーム状、ジェル状、ゼリー状の化粧品や食品等の内容物を収める容器が、棒状部材と一緒に包装箱等の外側ケースに収納されることが知られている。棒状部材は、例えば、当該内容物をすくうスパチュラやヘラ、スプーンであったり、当該内容物としての化粧品を肌に浸透させるためのアイスティック等であったりする。
【0003】
例えば、特許文献1の技術では、化粧クリームを収める容器と、当該化粧クリームをすくうヘラとが包装容器に収納されている。より具体的には、包装容器内に台座が収納され、台座の中央にある凹部に化粧クリームの容器が嵌入され、ヘラが台座上に寝かされた状態で収納される。使用者は、化粧クリームの使用に際し、包装容器の前面を開放し、台座を手前に引き出し、台座の上面にある支持孔にヘラを差し立てる。使用者は、化粧クリームの使用後、ヘラを差し立てた状態で台座を押し込み、包装容器を折り畳み、上蓋をして収納保管することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、ヘラが台座上に寝かされた状態で収納されるため、輸送時の振動や衝撃によりヘラが容器に衝突し、容器を傷つける恐れがあった。
【0006】
また、一般的に、包装箱等の外側ケースは、収納される容器が外側ケース内で移動や振動しないよう、当該容器に応じて適切なサイズを規定される。例えば、幅方向、奥行方向、高さ方向の各方向の長さが50mm(50×50×50)の小さい容器であれば、各方向の長さが60mm(60×60×60)の小さい外側ケースが使用される。別の例として、各方向の長さが80mm(80×80×80)の大きい容器であれば、各方向の長さが90mm(90×90×90)の大きい外側ケースが使用される。
【0007】
そのため、棒状部材の長さが、容器の幅方向、奥行方向、高さ方向の各方向に比べて長い場合には、その棒状部材の長さが、当該容器に応じて規定された外側ケースのサイズ(幅方向、奥行方向、高さ方向の各方向の長さ)と比較しても長いといった事態が生じ得る。この場合、棒状部材を容器と一緒に外側ケースに収納しようとしても、外側ケースに収納できないという問題があった。
【0008】
これに対し、外側ケースのサイズを容器に応じて規定するのではなく、収納したい棒状部材の長さに応じて規定することが考えられる。しかしながら、上記のように、棒状部材の長さが、容器の幅方向、奥行方向、高さ方向の各方向に比べて長い場合、容器と外側ケースとの間に大きな隙間が生じてしまう。そのため、容器が外側ケース内で移動や振動し、容器が棒状部材によって傷つけられる恐れがあった。
【0009】
そこで、本発明は、内容物を収める容器および棒状部材を保持し、外側ケースに収容される保持部材であって、棒状部材が容器に衝突して容器を損傷することを抑制できるとともに、収納可能な棒状部材のサイズの選択の幅を広げることができる保持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る保持部材は、
外側ケースに収容される保持部材であって、
内容物を収める容器の周囲を取り囲んで前記容器を保持する保持部と、
前記保持部の上端に延設され、前記容器が収納される収納空間を覆う天部とを備え、
前記天部が、前記収納空間に向かって窪んだ溝状の凹部を有することを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、容器は保持部材の保持部によって保持され、棒状部材は保持部材の天部にある凹部に保持され、容器と棒状部材との間には保持部材の天部が介在する。これにより棒状部材が容器に衝突して容器を損傷することを抑制できる。
また、凹部を天部に形成する構成であるため、収納したい棒状部材の長さに合わせて、凹部の長さを大きくして天部を設計することができる。また、容器は保持部によって保持されるため、容器が外側ケース内で振動、移動することが抑制される。これにより、棒状部材の長さが、容器の幅方向、奥行方向、高さ方向の各方向に比べて長い場合であっても、棒状部材により容器が傷つけられることを抑制しつつ、当該棒状部材を外側ケースに収納できる。よって、収納可能な棒状部材のサイズの選択の幅を広げることができる。
【0012】
前記凹部は、前記天部の対角線上を延伸するように形成されてもよい。
【0013】
上記構成によれば、より長い棒状部材を保持することが可能になる。
【0014】
前記保持部の上端に延設され、前記凹部を覆う蓋部をさらに備えてもよい。
【0015】
上記構成によれば、輸送時の振動や衝撃等により凹部に保持される棒状部材が上下方向に運動しても、棒状部材による衝撃が凹部の上方に位置する蓋部によって吸収されるため、誤って外側ケースの蓋が開くことを防止できる。
【0016】
前記凹部は、
前記凹部の長手方向および深さ方向に直交する短手方向における長さが所定の長さである幅広部と、
前記凹部の前記短手方向における長さが前記所定の長さより短い幅狭部と、を有してもよい。
【0017】
上記構成によれば、棒状部材の一部を凹部の幅狭部に保持させ、他の一部を凹部の幅広部に保持させることで、棒状部材の振動等による運動を抑制でき、より安定した棒状部材の保持を実現できるとともに、使用者は、幅広部から棒状部材を容易に取り出すことができる。
【0018】
前記保持部は、
容器の底面に接触する底部と、
容器の周囲で上下方向に沿って起立する側方部と、
前記底部から斜め上に立ち上がって前記側方部に接続され、前記容器の側面に接触する接続部と、を有してもよい。
【0019】
上記構成によれば、容器は、その底面を保持部の底部により支持され、その側面を保持部の接続部により支持され、容器の周囲は保持部の側方部によって取り囲まれる。これにより、より安定した容器の保持を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1B】外側ケースの上蓋および中蓋が開かれた状態を示す平面図である。
【
図1C】保持部材の蓋部が開かれた状態を示す平面図である。
【
図1D】保持部材の天部に棒状部材が保持された状態を示す平面図である。
【
図1E】保持部材の天部が開かれた状態を示す平面図である。
【
図6】蓋部および天部が開かれた保持部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〈保持部材の概要〉
本発明に係る好適な実施形態を説明する。初めに、
図1A~
図1Eを参照して保持部材の概要について説明する。保持部材は、内容物を収める容器と、棒状部材とを保持する部材であり、外側ケースに収納される。本実施形態では、一例として、化粧クリームを収める容器と、当該化粧クリームをすくうスパチュラとしての棒状部材とを保持する保持部材について説明する。また、保持部材の長さが容器の幅方向、奥行方向、高さ方向の各方向に比べて長い場合について説明する。なお、容器および棒状部材はこれに限定されない。
【0022】
図1Aは外側ケースの斜視図である。外側ケース100は、一例として一枚の厚紙によって作成される直方体または立方体をなす箱体である。なお、外側ケースの素材および形状はこれに限定されない。外側ケース100は、上蓋101および中蓋102、103(
図1B参照)を含む。外側ケース100は、上方が開閉自在に構成されている。
【0023】
図1Bは外側ケース100の上蓋101および中蓋102、103が開かれた状態を示す平面図である。上蓋101を開き、続いて中蓋102を紙面左方向に開き、中蓋103を紙面右方向に開くと、
図1Bに示されるように、保持部材1の蓋部3が現れる。
【0024】
図1Cは保持部材1の蓋部3が開かれた状態を示す平面図である。保持部材1の蓋部3を開くと、
図1Cに示されるように、化粧クリームの使用方法、効能等が記載された能書Nが現れる。能書Nは、保持部材1の天部5の上面に載置される。
【0025】
能書Nを取り出すと、
図1Dに示されるように、保持部材1の天部5が現れる。天部5には凹部6が形成されており、当該凹部6に棒状部材Bが載置される。棒状部材Bは、一例として、無色透明な袋材で包装されている。なお、棒状部材Bは袋材で包装されていなくてもよい。棒状部材Bは、細長い棒状部B
1と、スパチュラ部B
2と、楕円球部B
3とを有する。スパチュラ部B
2は棒状部B
1の一端に設けられ、楕円球部B
3は棒状部B
1の他端に設けられる。棒状部材Bの長さは、化粧クリームの容器の幅方向、奥行方向、高さ方向の各方向に比べて長い。棒状部材Bは、一例として金属によって作成されるが、棒状部材Bの素材はこれに限定されない。使用者は、棒状部材Bの棒状部B
1を持ち、スパチュラ部B
2を使用して化粧クリームをすくい、すくった化粧クリームを肌に塗り、楕円球部B
3を使用して肌をマッサージしながら、化粧クリームを肌に浸透させる。
【0026】
図1Eは保持部材1の天部5が開かれた状態を示す平面図である。天部5を紙面左方向に開くと、
図1Eに示されるように、保持部材1の収納空間Sに収納された化粧クリームの容器Kが現れる。容器Kは平面視円形状であるが、これに限られない。詳細は後述するが、保持部7は、収納空間Sを形成し、容器Kを保持する。
【0027】
〈保持部材の構成〉
続いて、保持部材1の構成について説明する。
図2は、保持部材1の展開図である。保持部材1は、一例として1枚のシート材によって作成される。保持部材1の素材は、例えば、紙製またはプラスチック製の段ボール、厚紙、硬質樹脂等、外側ケース100の素材に比べて強度の大きい素材であるとよい。保持部材1は、蓋部3と、天部5と、保持部7とを有する。保持部7は、底部71(71a、71b、71c)と、切り欠き部72、73と、接続部74、75と、側方部76、77、78、79とを有する。
図2では、これらの部位を区別しやすくするためにハッチングを施している。
【0028】
底部71は、保持部材1が載置される面に接触する。底部71は、容器K(
図1E参照)の底面に接触する接触部71aと、容器K(
図1E参照)の底面に接触しない非接触部71b、71cとを有する。接触部71aは、容器Kの底面に沿った形状(例えば、円状または楕円状)を有する。非接触部71b、71cは、接触部71aを挟むようにして一対で設けられ、それぞれ線状に形成されている。
【0029】
底部71と接続部74、75との間には、アーチ状に切り抜かれた切り欠き部72、73が形成されている。切り欠き部72、73は、底面部71を挟むようにして一対で設けられている。
側方部76は接続部74の端縁11に延設され、側方部77は接続部74の端縁12に延設され、側方部78は接続部75の端縁13に延設され、側方部79は接続部75の端縁14に延設されている。
蓋部3は、側方部79の端縁15に延設され、天部5は、側方部77の端縁16に延設されている。後述するように、端縁11~16は、それぞれ保持部材1を組み立てる際に谷折りの折り目となる部位である。
天部5は、直線状の端縁16、17、18、19と、端縁18および端縁19を接続する円弧状の端縁20と、端縁17と端縁18との間に位置する円弧状の端縁21とを有する。また、天部5は、横折線22、23、24、25、26、27と、切り込み線28上に沿った切り込みを有する。詳細は後述するが、横折線22、23、24、25、26、27と、切り込み線28とによって、天部5に底部61(左斜線領域)を有する凹部6(
図1D参照)が形成される。
【0030】
保持部材1の構成について、
図3~6を参照して詳細に説明する。
図3および
図4は、組み立て後の保持部材1の斜視図である。
図3は、側方部76、77を手前側に向け、側方部78、79を奥側に向けて保持部材1を載置した状態を示す。
図4は、側方部78、79を手前側に向け、側方部76、77を奥側に向けて保持部材1を載置した状態を示す。
図3および
図4では、保持部材1に容器Kが保持された状態を示す。
【0031】
図3および
図4に示されるように、保持部7の底部71の接触部71aは容器Kの底面に接触する。
また、
図3に示されるように、接続部74は、底部71から斜め上に立ち上がって側方部76、77に接続され、容器Kの側面に接触する。接続部74は、底部71との間に切り欠き部72が形成されることにより(
図2参照)、底部71から斜め上に立ち上がることができる。
【0032】
同様に、
図4に示されるように、接続部75は、底部71から斜め上に立ち上がって側方部78、79に接続され、容器Kの側面に接触する。接続部75は、底部71との間に切り欠き部73が形成されることにより(
図2参照)、底部71から斜め上に立ち上がることができる。
側方部76、77、78、79は、接続部74、75の上端から容器Kの周囲を取り囲むように上下方向に沿って起立する。
【0033】
このように、保持部7は、底部71の接触部71aを容器Kの底面に接触させ、接続部74、75を容器Kの側面に接触させて当該容器Kを保持する。より一般的には、保持部7は、容器Kの周囲を取り囲んで容器Kを保持する。
【0034】
図5は蓋部3が開かれた保持部材1の斜視図である。
図5に示されるように、蓋部3が開かれると、凹部6を有する天部5が現れる。凹部6は、底部61(左斜線領域)を有し、収納空間S(
図1E参照)に向かって窪んだ溝状の形状を有する。
天部5は、収納空間S(
図1E参照)を覆う。
図2を参照して説明したように、天部5は、側方部77の上端である端縁16に延設され、直線状の端縁16、17、18、19と、円弧状の端縁20、21とを有する。天部5は、平面視で多角形(
図5の例では四角形)の角(
図5の例では3つの角)が削られた形状を有する。
凹部6は、天部5の対角線上を延伸するように形成される。また、凹部6は、凹部6の長手方向および深さ方向に直交する短手方向における長さがL
2である幅広部63と、当該短手方向における長さがL
2より短いL
1である幅狭部62とを有する。
【0035】
図6は蓋部3および天部5が開かれた保持部材1の平面図である。なお、
図6では、保持部材1の各構成を区別しやすくするために、
図2と同様のハッチングを施している。
図6に示されるように、蓋部3および天部5が開かれると、保持部7(底部71、切り欠き部72~73、接続部74~75、側方部76~79)により形成される収納空間Sが現れる。
図2を参照して説明したように、蓋部3は、側方部79の上端である端縁15に延設される。蓋部3は天部5を覆う。なお、蓋部3は少なくとも凹部6を覆う構成であればよい。
【0036】
〈保持部材の組み立て方法〉
図2の展開図を参照して保持部材1の組み立て方法について説明する。
まず、天部5の横折線22を谷折りし、横折線23、24を山折りし、横折線25を谷折りし、続いて、切り込み線28を用いて横折線26を山折りし、横折線27を谷折りする。このようにして、底部61(左斜線領域)を有する凹部6が天部5に形成される。
【0037】
続いて、接続部74と側方部76との境界である端縁11と、接続部74と側方部77との境界である端縁12と、接続部75と側方部78との境界である端縁13と、接続部75と側方部79との境界である端縁14とのそれぞれを谷折りにする。
【0038】
続いて、側方部76の端縁29と側方部77の端縁30とを合わせ、側方部76の端縁31と側方部78の端縁32とを合わせ、側方部77の端縁33と側方部79の端縁34とを合わせ、側方部78の端縁35と側方部79の端縁36とを合わせ、それぞれを接着剤等で固定する。このようにして、底部71と、切り欠き部72、73、接続部74、75、および、側方部76、77、78、79による容器Kの収納空間Sが形成される(
図6参照)。
【0039】
続いて、天部5と側方部77との境界である端縁16を谷折りし、天部5で収納空間Sを覆う。
図5に示されるように、天部5は、端縁19が側方部76の上端に合わさり、端縁18が側方部78(
図6参照)の上端に合わさり、端縁17が側方部79(
図6参照)の上端(端縁15に相当)に合わさり、端縁21が側方部78、79(
図6参照)に接するようにして収納空間Sを覆う。
【0040】
図2に戻って保持部材1の組み立て方法について説明を続ける。続いて、蓋部3と側方部79との境界である端縁15を谷折りし、蓋部3で天部5を覆う。
【0041】
〈作用効果〉
本実施形態の保持部材1によれば、棒状部材Bは保持部材1の天部5に形成される凹部6に保持される(
図1D参照)。また、容器Kは保持部材1の保持部7によって(より具体的には、容器Kの底面が底部71の接触部71aに接触し、容器Kの側面が接続部74、75に接触して)保持される(
図1E参照)。このように、棒状部材Bおよび容器Kは、それらの間に天部5を介在させて保持されるため、棒状部材Bが容器Kに接触して容器Kを傷つけることを抑制できる。
また、凹部6は天部5に形成されるため、棒状部材Bの長さに合わせて凹部6の長さを設定して天部5(すなわち保持部材1)を設計できる。そのため、本実施形態のように、棒状部材Bがその一端にスパチュラ部B
2を有し、その他端に楕円球部B
3を有する結果、容器Kの幅方向、奥行方向、高さ方向の各方向に比べて長くなる場合であっても、当該棒状部材Bを収納できるように、天部5(すなわち保持部材1)を設計できる。
以上のように、本実施形態の保持部材1によれば、棒状部材により容器が傷つけられることを抑制しつつ、収納可能な棒状部材のサイズの選択の幅を広げることができる。
なお、棒状部材Bの長さが、容器の幅方向、奥行方向、高さ方向のいずれか方向に比べて小さい場合であっても、棒状部材Bが容器Kに接触して容器Kを傷つけることを抑制でき、有用である。
【0042】
また、凹部6が天部5の対角線上に形成されているため(
図5参照)、例えば天部5の端縁16、17、18、19の何れかに沿って凹部6を形成する場合に比べ、より長い棒状部材Bを収納できる。
【0043】
また、天部5(凹部6)が蓋部3によって覆われるため(
図5参照)、輸送時の振動や衝撃により、一例として金属製で重みのある棒状部材Bが上下方向に運動しても、棒状部材Bによる衝撃で外側ケース100の上蓋101が開くことを抑制できる。
また、外側ケース100の上蓋101および中蓋102、103を開け、さらに蓋部3を開けると天部5および棒状部材Bが現れる構成であるため、蓋部3を設けない場合に比べ、高級感や特別感を演出できる。
【0044】
また、蓋部3と天部5との間に能書Nを収納できるため(
図1C参照)、使用者は能書Nを取り出しやすく、さらに、意図しない折り目などがついて能書Nが損傷されることを抑制できる。
また、天部5は円弧状の端縁20を有するため(
図5参照)、使用者は、端縁20に指を掛けて容易に天部5を開けることができる。
また、天部5は、端縁21が側方部78、79に接するように収納空間Sを覆うため(
図5参照)、輸送時における天部5のガタツキを抑制できる。
【0045】
また、凹部6は、凹部6の短手方向の長さが短い幅狭部62と、当該短手方向の長さが長い幅広部63とを有するため(
図5参照)、幅狭部62により棒状部材Bの振動を抑制でき、棒状部材Bを安定して保持可能になるとともに、使用者は幅広部63を使用して棒状部材Bを容易に取り出すことができる。
【0046】
〈別実施形態〉
保持部7は、底部71と、切り欠き部72、73と、接続部74、75と、側方部76、77、78、79とを有するが、これに限定されず、容器Kの周囲を取り囲んで容器Kを保持する構成であればよい。例えば、従来技術のように、台座に凹部を設け、当該凹部に容器Kを保持させてもよい。また、天部5は、保持部7により形成される収納空間Sを覆う形状であれば、任意の形状であってよい。
【0047】
凹部6は、天部5の対角線上に形成されるが、これに限定されず、天部5上の任意の線分上を延伸するように形成してもよい。例えば、天部5の2つの端縁17、19を結ぶ任意の線分上を延伸するように凹部6を形成してもよい。
【0048】
蓋部3を設けなくてもよい。
【0049】
幅狭部62は、凹部6の長手方向のおける一端に位置するが、これに限定されず、凹部6の長手方向のおける任意の場所に位置してもよい。また、凹部6において、幅狭部62が占める領域は、幅広部63が占める領域に比べて小さいが、これに限定されない。例えば、幅狭部62が占める領域を幅広部63が占める領域と同等に設けてもよいし、幅広部63が占める領域よりも大きく設けてもよい。
なお、凹部6に幅狭部62と幅広部63とを設けず、短手方向の長さを一定にしてもよい。
【0050】
本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 保持部材
3 蓋部
5 天部
6 凹部
62 幅狭部
63 幅広部
7 保持部
71 底部
74、75 接続部
76、77、78、79 側方部
K 容器
B 棒状部材
S 収納空間