(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】移動体および移動体制御方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20230623BHJP
【FI】
G05D1/02 H
(21)【出願番号】P 2019093772
(22)【出願日】2019-05-17
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】井上 翔太
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/053798(WO,A1)
【文献】特開2001-202497(JP,A)
【文献】特開平10-063335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00-1/12
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行する移動体であって、
本体部と、
前記本体部を走行させる走行機構と、
他移動体に配置されている識別子を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記他移動体の状態を特定する特定部と、
前記特定部の特定結果に基づいて、前記走行機構を制御する走行制御部と
を備え
、
前記他移動体は、
走行する車体と、
前記車体へ移動可能に取り付けられる可動部と
を備え、
前記識別子は、前記可動部に配置されており、
前記特定部は、前記検出部が前記識別子を検出した結果に基づいて、前記可動部が移動しているか否かを特定し、
前記走行制御部は、前記特定部の特定結果に基づいて、前記走行機構を制御する、移動体。
【請求項2】
前記他移動体には、前記他移動体の異なる方向を向く少なくとも2つの面にそれぞれパターンの異なる前記識別子が配置されており、
前記特定部は、前記検出部の検出結果に基づいて、他移動体方向を特定し、
前記他移動体方向は、前記移動体に対する前記他移動体の向いている方向を示す、請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記検出部は、前記検出部と鉛直方向の高さが同じ位置にある前記識別子を検出する、請求項1または請求項2に記載の移動体。
【請求項4】
前記可動部が移動していると前記特定部が特定した場合、
前記走行制御部は、走行を停止するように前記走行機構を制御する、請求項
1から請求項3のいずれかに記載の移動体。
【請求項5】
前記可動部が移動していないと前記特定部が特定した場合、
前記走行制御部は、走行速度を減速するように前記走行機構を制御する、請求項
1から請求項4のいずれかに記載の移動体。
【請求項6】
前記可動部には、高さ方向に異なる位置に複数の前記識別子が配置されており、
前記特定部は、前記複数の前記識別子の検出結果に基づいて、前記可動部の高さを特定する、請求項
1から請求項
5のいずれか1項に記載の移動体。
【請求項7】
報知部をさらに備え、
前記特定部が、前記他移動体方向が後方向であると特定すると、
前記走行制御部は、前記移動体が前記他移動体の後方向に居ることを前記報知部が報知するように制御する、請求項2に記載の移動体。
【請求項8】
走行する移動体を制御する移動体制御方法であって、
他移動体に配置されている識別子を検出する工程と、
前記識別子を検出した検出結果に基づいて、前記他移動体の状態を特定する工程と、
前記他移動体の状態を特定した結果に基づいて、前記移動体の走行を制御する工程と
を包含
し、
前記他移動体は、
走行する車体と、
前記車体へ移動可能に取り付けられる可動部と
を備え、
前記識別子は、前記可動部に配置されており、
前記特定する工程は、前記検出する工程が前記識別子を検出した結果に基づいて、前記可動部が移動しているか否かを特定し、
前記制御する工程は、前記特定する工程の特定結果に基づいて、前記移動体の走行を制御する、移動体制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体および移動体制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周囲の物体の位置情報に基づいて自律的に移動可能な自律走行車が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の自律走行車は、障害物情報取得部により取得した障害物の位置情報に基づいて自律的に走行する。特許文献1に記載の自律走行車は、障害物の位置情報から障害物の自律走行車から見た相対的な位置と向きとを表したローカルマップを作成し、ローカルマップと移動平面全体を表したグローバルマップとのマッチングにより、自律走行車の位置と姿勢とを推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自律走行車が走行する走行エリアに、自律走行車と異なる移動体(以下、他移動体と記載する)が走行する場合がある。例えば、他移動体としてフォークリフトが走行する可能性がある。しかしながら、特許文献1に記載の自律走行車と他移動体とが衝突する可能性があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は他移動体と衝突する可能性を抑制することができる移動体および移動体制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る移動体は、走行する。前記移動体は、本体部と、走行機構と、検出部と、特定部と、走行制御部とを備える。前記走行機構は、前記本体部を走行させる。前記検出部は、他移動体に配置されている識別子を検出する。前記特定部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記他移動体の状態を特定する。前記走行制御部は、前記特定部の特定結果に基づいて、前記走行機構を制御する。
【0007】
本発明に係る移動体制御方法は、走行する移動体を制御する。前記移動体制御方法は、他移動体に配置されている識別子を検出する工程と、前記識別子を検出した検出結果に基づいて、前記他移動体の状態を特定する工程と、前記他移動体の状態を特定した結果に基づいて、前記移動体の走行を制御する工程とを包含する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る移動体によれば、他移動体と衝突する可能性を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係る移動体のブロック図である。
【
図3】(a)は、移動体と他移動体とを示す模式的な上面図である。(b)はマークを示す模式的な側面図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係る移動体の走行制御方法を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態2に係る移動体のブロック図である。
【
図7】(a)は、フォーク部の模式的な拡大斜視図である。(b)は、スライド部の模式的な側面図である。
【
図8】(a)および(b)は、移動体と、他移動体とを示す模式的な上面図である。
【
図9】本発明の実施形態2に係る移動体の走行制御方法を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の実施形態2に係る移動体の走行制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
[実施形態1]
図1を参照して、本発明の実施形態1に係る移動体100について説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る移動体100のブロック図である。
【0012】
移動体100は、本体部110と、走行機構120と、検出部130と、記憶部140と、制御部150とを備える。移動体100は、例えば、AGV(Automated guided vehicle)である。移動体100は、予め設定された走行ルートにしたがって自律的に走行可能である。例えば、移動体100は、工場のような作業場で使用される。移動体100は、荷物を載せて走行することにより、荷物を搬送することができる。なお、移動体100は、荷物を載せた台車を引っ張って荷物を搬送してもよい。
【0013】
走行機構120は、本体部110を走行させる。
【0014】
検出部130は、周囲情報を検知する。周囲情報は、周囲の情報を示す。検出部130は、例えば、測距センサーである。詳しくは、検出部130は、移動体100と障害物との距離を検知する。より詳しくは、検出部130は、光を出射し、障害物からの反射光の強さおよび反射光が到達する時間を検知することによって、移動体100と障害物との距離を検知する。
【0015】
記憶部140は、移動体100が走行する領域を示すマップを記憶する。マップには、移動体100が走行する領域における、障害物(例えば、棚)の位置情報が含まれる。記憶部140は、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)である。ROMには、制御プログラムが格納されている。
【0016】
制御部150は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサー、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって構成されるハードウェア回路である。制御部150は、記憶部140に記憶された制御プログラムをプロセッサーが読み出して実行することによって、移動体100の各部の動作を制御する。詳細には、制御部150のプロセッサーは、記憶部140の記憶素子の記憶しているコンピュータープログラムを実行して、移動体100の各構成を制御する。例えば、特定部152および走行制御部154は、制御部150がコンピュータープログラムを実行することによって具現化される。
【0017】
特定部152は、検出部130の検出結果に基づいて、他移動体200の状態を特定する。例えば、特定部152は、検出部130がマークmkを検出したことによって、他移動体200が移動体100に近づいていることを特定する。特定部152の他移動体200の状態の特定については、
図3(a)および
図3(b)を参照して後述する。
【0018】
走行制御部154は、特定部152の特定結果に基づいて、走行機構120を制御する。例えば、他移動体200が移動体100に近づいていると特定部152が特定した結果に基づいて、走行制御部154は、走行を停止するように走行機構120を制御する。したがって、移動体100と他移動体200とが衝突することを抑制することができる。
【0019】
図1および
図2を参照して、移動体100についてさらに説明する。
図2は、移動体100を示す模式図である。
【0020】
図2に示すように、走行機構120は、車輪122と、走行駆動部124とを有する。車輪122は、本体部110に設置される。車輪122は、本体部110を支持する。走行駆動部124は、本体部110に設置される。走行駆動部124は、移動体100を走行させるための動力源である。走行駆動部124は、例えば、モーター、ギア、およびクラッチを含む。
【0021】
本実施形態では、検出部130は、本体部110の前方および後方に設置される。詳しくは、本体部110の前方に検出部130aが設置される。また、本体部110の後方に検出部130bが設置される。
【0022】
次に、
図3(a)および
図3(b)を参照して、他移動体200の検出について説明する。
図3(a)は、移動体100と他移動体200とを示す模式的な上面図である。
図3(b)はマークmkを示す模式的な側面図である。なお、
図3(a)および
図3(b)において、光Lは、検出部130aから出射される光を示す。また、
図3(a)において、図面の簡略化のため、検出部130bから出射される光は省略している。
【0023】
図3(a)に示すように、他移動体200には、マークmkが配置されている。他移動体200は、例えば、手動操作で動く移動体である。したがって、他移動体200は、予め定められたルートで移動しない。他移動体200は、例えば、フォークリフトである。なお、マークmkは、「識別子」の一例に相当する。
【0024】
マークmkは、光学的に検知可能である。マークmkは、例えば、バーコード画像である。マークmkは、吸収体aと反射体bとを含む。吸収体aは、光を吸収する色に着色されている。例えば、吸収体aの色は、黒色である。一方、反射体bは、光を反射する色に着色されている。例えば、反射体bの色は、白色である。すなわち、反射体bの光の反射率は、吸収体aの光の反射率よりも高い。したがって、検出部130から出射されマークmkに到達した光Lは、吸収体aにおいて吸収され、反射体bにおいて反射される。なお、吸収体aを光を吸収する部材で形成し、反射体bは、光を反射する部材で形成してもよい。
【0025】
図3(a)および
図3(b)に示すように、マークmkは、所定のパターンを有する。例えば、吸収体aと反射体bとは交互に配置されている。したがって、検出部130から出射されマークmkに到達した光Lが、吸収される箇所と、反射される箇所とが交互に現れる。ここでは、吸収体aの幅d1と、反射体bの幅d2とは、等しい。
【0026】
検出部130は、マークmkを検出する。詳しくは、検出部130は、マークmkの所定のパターンを検出する。より詳しくは、光Lが吸収される箇所と、光Lが反射される箇所とが交互に現れることを検出することによって、検出部130は、マークmkを検出する。検出部130は、検出部130と鉛直方向の高さが同じ位置にあるマークmkを検出する。
【0027】
特定部152は、検出部130の検出結果に基づいて、他移動体200の状態を特定する。例えば、特定部152は、検出部130がマークmkを検出したことによって、他移動体200が移動体100に近づいていることを特定する。
【0028】
走行制御部154は、特定部152の特定結果に基づいて、走行機構120を制御する。走行制御部154は、所定のルートを走行するように、走行機構120を制御する。また、走行制御部154は、他移動体200が移動体100に近づいていると特定部152が特定した結果に基づいて、走行制御部154は、走行を停止するように走行機構120を制御する。したがって、移動体100と他移動体200とが衝突することを抑制することができる。
【0029】
図1~
図4を参照して、本発明の実施形態1に係る移動体100の走行制御方法について説明する。
図4は、本発明の実施形態1に係る移動体100の走行制御方法を示すフローチャートである。
図4に示すステップS102~ステップS106の処理が実行されることによって、移動体100の走行制御が行われる。
【0030】
ステップS102:特定部152は、検出部130がマークmkを検出したか否かを判定する。検出部130がマークmkを検出していないと、特定部152が判定した場合(ステップS102:No)、処理は、ステップS102に戻る。検出部130がマークmkを検出したと、特定部152が判定した場合(ステップS102:Yes)、処理は、ステップS104に進む。
【0031】
ステップS104:特定部152は、検出部130の検出結果に基づいて、他移動体200の状態を特定する。例えば、特定部152は、特定部152がマークmkを検出したことによって、他移動体200が移動体100に近づいていることを特定する。処理は、ステップS106に進む。
【0032】
ステップS106:走行制御部154は、特定部152の特定結果に基づいて、走行機構120を制御する。例えば、他移動体200が移動体100に近づいていると特定部152が特定した結果に基づいて、走行制御部154は、走行を停止するように走行機構120を制御する。処理は、終了する。
【0033】
以上、
図1~
図4を参照して説明したように、移動体100では、特定部152は、検出部130の検出結果に基づいて、他移動体200の状態を特定する。走行制御部154は、特定部152の特定結果に基づいて、走行機構120を制御する。他移動体200が移動体100に近づいていると特定部152が特定した結果に基づいて、走行制御部154は、走行を停止するように走行機構120を制御する。したがって、移動体100と他移動体200とが衝突することを抑制することができる。その結果、他移動体200の操作者は、移動体100に注意を払うことが軽減される。
【0034】
[実施形態2]
図5を参照して、本発明の実施形態2に係る移動体100について説明する。
図5は、本発明の実施形態2に係る移動体100のブロック図である。報知部160をさらに備える点を除いて、実施形態2に係る移動体100は、実施形態1に係る移動体100と同様な構成を有するため、重複部分については説明を省略する。
【0035】
図5に示すように、移動体100は、本体部110と、走行機構120と、検出部130と、記憶部140と、制御部150とに加えて、報知部160をさらに備える。
【0036】
報知部160は、移動体100が他移動体200の後方向に居る場合、移動体100が他移動体200の後方向に居ることを報知する。報知部160は、例えば、警告音を発するブザーである。なお、報知部160は、光を発する点灯装置でもよい。報知部160が点灯装置である場合、報知部160は、光を点灯または点滅するによって、移動体100が他移動体200の後方向に居ることを報知する。
【0037】
例えば、特定部152が、他移動体方向が後方向であると特定すると、走行制御部154は、移動体100が他移動体200の後方向に居ることを報知部160が報知するように制御する。他移動体方向は、移動体100に対する他移動体200の向いている方向を示す。他移動体方向の特定については、
図6、
図7(a)および
図7(b)を参照して後述する。
【0038】
図6、
図7(a)および
図7(b)を参照して、他移動体200について説明する。
図6は、他移動体200の模式的な斜視図である。
図7(a)は、フォーク部210の模式的な拡大斜視図である。
図7(b)は、スライド部220の模式的な側面図である。
【0039】
図6に示すように、他移動体200は、フォークリフトである。他移動体200は、車体205と、可動部230とを備える。
【0040】
車体205は、走行する。
【0041】
可動部230は、車体205へ移動可能に取り付けられる。詳しくは、可動部230は、車体205へ上下方向へ移動可能に取り付けられる。可動部230は、フォーク部210と、スライド部220とを有する。
【0042】
フォーク部210は、一対のツメを有する。一対のツメは、長手方向に延びる板状の部材である。フォーク部210は、スライド部220に取り付けられる。フォーク部210には、荷物が載置される。
【0043】
スライド部220は、上下方向へ移動可能である。スライド部220が、上下方向に移動することによって、フォーク部210は、上下方向に移動する。
【0044】
他移動体200には、複数のマークmkが配置されている。複数のマークmkは、マークmk1と、マークmk2と、マークmk3と、マークmk4と、マークmk5と、マークmk6と、マークmk7とを含む。なお、
図6において、マークmk1と、マークmk2と、マークmk4、マークmk7とは、図示されていない。
【0045】
マークmk1は、車体205の前面(-X側の面)に配置されている。マークmk2は、車体205の後面(+X側の面)に配置されている。マークmk3は、車体205の左面(-Y側の面)に配置されている。マークmk4は、車体205の右面(+Y側の面)に配置されている。マークmk5は、フォーク部210の前面(-X側の面)に配置されている。詳しくは、マークmk5は、フォーク部210の一対のツメの先端に配置されている。マークmk6は、スライド部220の左面(-Y側の面)に配置されている。マークmk6と同様に、マークmk7は、スライド部220の右面(+Y側の面)に配置されている。マークmk1~マークmk7は、それぞれパターンが異なる。このように、他移動体200には、他移動体200の異なる方向を向く少なくとも2つの面にそれぞれパターンの異なる識別子が配置されている。
【0046】
図7(a)に示すように、マークmk5は、フォーク部210の先端に配置されている。したがって、マークmk5が荷物によって隠れない。その結果、フォーク部210に荷物が載置された場合であっても、マークmk5を検出することができる。
【0047】
図7(b)に示すように、スライド部220には、マークmk6が配置されている。マークmk6は、マークmk61と、マークmk62と、マークmk63とを含む。このように、可動部230には、高さ方向に異なる位置に複数のマークmkが配置されている。マークmk61と、マークmk62と、マークmk63とは、上下方向(Z軸方向)に並んでいる。なお、マークmk7は、マークmk6と同様な構成であるため、説明を省略する。
【0048】
マークmk6は、マークmk61と、マークmk62と、マークmk63とは、パターンが異なる。詳しくは、マークmk61と、マークmk62と、マークmk63とでは、吸収体aの幅と、反射体bの幅とがそれぞれ異なる。具体的には、マークmk61では、吸収体aの幅d1は、反射体bの幅d2よりも広い。マークmk62では、吸収体aの幅d1は、反射体bの幅d2と等しい。マークmk63では、吸収体aの幅d1は、反射体bの幅d2よりも狭い。また、吸収体aの幅d1は、マークmk63、マークmk62、マークmk61の順に広くなっている。反射体bの幅d2は、マークmk61、マークmk62、マークmk63の順に広くなっている。
【0049】
特定部152は、複数のマークmkの検出結果に基づいて、可動部230の高さを特定する。詳しくは、特定部152は、検出部130がマークmk61、マークmk62およびマークmk63のうちいずれのマークmkを検出したかによって、可動部230の高さを特定する。具体的には、検出部130がマークmk61を検出した場合、可動部230の高さが最も下に位置していると特定部152は特定する。また、検出部130がマークmk63を検出した場合、可動部230の高さが最も上に位置していると特定部152は特定する。また、検出部130がマークmk62を検出した場合、可動部230の高さが最も上の位置と最も下の位置との中間に位置していると特定部152は特定する。
【0050】
特定部152は、検出部130がマークmkを検出した結果に基づいて、可動部230が移動しているか否かを特定する。詳しくは、可動部230の高さが最も下に位置していると特定した場合、可動部230が移動していないと特定部152は特定する。一方、可動部230の高さが最も上に位置していると特定した場合、可動部230が移動していると特定部152は特定する。
【0051】
走行制御部154は、特定部152の特定結果に基づいて、走行機構120を制御する。例えば、可動部230が移動していると特定部152が特定した場合、走行制御部154は、走行を停止するように走行機構120を制御する。一方、可動部230が移動していないと特定部152が特定した場合、走行制御部154は、走行速度を減速するように走行機構120を制御する。
【0052】
なお、特定部152は、他移動体方向を特定できることが好ましい。他移動体方向は、移動体100に対する他移動体200の向いている方向を示す。
【0053】
図5、
図8(a)および
図8(b)を参照して、他移動体方向の特定方法について説明する。
図8(a)および
図8(b)は、移動体100と、他移動体200とを示す模式的な上面図である。なお、
図8(a)および
図8(b)において、マークmk6(マークmk61、マークmk61およびマークmk62)およびマークmk7(マークmk71、マークmk71およびマークmk72)は、図示されていない。
【0054】
図8(a)では、他移動体200は、移動体100に対して前方向を向いている。前方向は、移動体100のフォーク部210が位置する方向を示す。特定部152は、検出部130の検出結果に基づいて、他移動体方向を特定する。詳しくは、
図6を参照して説明したように、マークmk1~マークmk7は、それぞれパターンが異なる。検出部130は、マークmk1~マークmk7のうち移動体100と対向しているマークmk1とマークmk5とを検出する。すなわち、検出部130は、他移動体200の前方向に配置されているマークmk1とマークmk5とを検出する。特定部152は、検出部130がマークmk1とマークmk5とを検出した結果に基づいて、他移動体方向が前方向であると特定する。
【0055】
一方、
図8(b)では、他移動体200は、移動体100に対して後方向を向いている。検出部130は、マークmk1~マークmk7のうち移動体100と対向しているマークmk2を検出する。すなわち、検出部130は、他移動体200の後方向に配置されているマークmk2を検出する。特定部152は、検出部130がマークmk2を検出した結果に基づいて、他移動体方向が後方向であると特定する。
【0056】
なお、同様に、特定部152は、検出部130がマークmk3を検出した結果に基づいて、他移動体方向が右方向であると特定する。また、特定部152は、検出部130がマークmk4を検出した結果に基づいて、他移動体方向が左方向であると特定する。
【0057】
図5~
図9を参照して、本発明の実施形態2に係る移動体100の走行制御方法について説明する。
図9は、本発明の実施形態2に係る移動体100の走行制御方法を示すフローチャートである。
図9に示すステップS202~ステップS208の処理が実行されることによって、移動体100の走行制御が行われる。
【0058】
ステップS202:特定部152は、検出部130がマークmkを検出したか否かを判定する。検出部130がマークmkを検出していないと、特定部152が判定した場合(ステップS202:No)、処理は、ステップS202に戻る。検出部130がマークmkを検出したと、特定部152が判定した場合(ステップS202:Yes)、処理は、ステップS204に進む。
【0059】
ステップS204:特定部152は、検出部130の検出結果に基づいて、可動部230が移動しているか否かを特定する。詳しくは、可動部230の高さが最も下に位置していると特定した場合、可動部230が移動していないと特定部152は特定する。可動部230の高さが最も上に位置していると特定した場合、可動部230が移動していると特定部152は特定する。可動部230が移動していないと特定部152が判定した場合(ステップS204:No)、処理は、ステップS208に進む。可動部230が移動していると特定部152が判定した場合(ステップS204:Yes)、処理は、ステップS206に進む。
【0060】
ステップS206:走行制御部154は、走行を停止するように走行機構120を制御する。処理は、終了する。
【0061】
ステップS208:走行制御部154は、走行速度を減速するように走行機構120を制御する。処理は、終了する。
【0062】
次に、
図5~
図8および
図10を参照して、本発明の実施形態2に係る移動体100の走行制御方法について説明する。
図10は、本発明の実施形態2に係る移動体100の走行制御方法を示すフローチャートである。
図10に示すステップS302~ステップS310の処理が実行されることによって、移動体100の走行制御が行われる。
【0063】
ステップS302:特定部152は、検出部130がマークmkを検出したか否かを判定する。検出部130がマークmkを検出していないと、特定部152が判定した場合(ステップS302:No)、処理は、ステップS302に戻る。検出部130がマークmkを検出したと、特定部152が判定した場合(ステップS302:Yes)、処理は、ステップS304に進む。
【0064】
ステップS304:走行制御部154は、走行を停止するように走行機構120を制御する。処理は、ステップS306に進む。
【0065】
ステップS306:特定部152は、検出部130の検出結果に基づいて、他移動体方向を特定する。処理は、ステップS308に進む。
【0066】
ステップS308:特定部152は、他移動体方向が後方向であるか否かを特定する。他移動体方向が後方向でないと、特定部152がした場合(ステップS308:No)、処理は、終了する。他移動体方向が後方向であると、特定部152が特定した場合(ステップS308:Yes)、処理は、ステップS310に進む。
【0067】
ステップS310:走行制御部154は、移動体100が他移動体200の後方向に居ることを報知部160が報知するように制御する。処理は、終了する。
【0068】
以上、
図5~
図10を参照して説明したように、他移動体200には、他移動体200の異なる方向を向く少なくとも2つの面にそれぞれパターンの異なる識別子(マークmk)が配置されている。特定部152は、検出部130の検出結果に基づいて、他移動体方向を特定する。したがって、走行制御部154は、他移動体200が向いている方向に応じて走行の制御を行うことができる。
【0069】
また、特定部152が、他移動体方向が後方向であると特定すると、走行制御部154は、移動体100が他移動体200の後方向に居ることを報知部160が報知するように制御する。したがって、他移動体200の操作者は、移動体100が後方向に居ることを知ることができる。その結果、移動体100と他移動体200とが衝突する可能性を抑制することができる。
【0070】
また、他移動体200には、高さ方向に異なる位置に複数の識別子(マークmk)が配置されている。特定部152は、複数の識別子の検出結果に基づいて、可動部230の高さを特定する。したがって、走行制御部154は、可動部230の高さに応じて、走行機構120を制御することができる。
【0071】
また、可動部230が移動していると特定部152が特定した場合、走行制御部154は、走行を停止するように走行機構120を制御する。したがって、移動体100と他移動体200とが衝突する可能性を抑制することができる。
【0072】
また、可動部230が移動していないと特定部152が特定した場合、走行制御部154は、走行速度を減速するように走行機構120を制御する。したがって、移動体100を走行させつつ、移動体100と他移動体200とが衝突する可能性を抑制することができる。
【0073】
以上、図面(
図1~
図10)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記に示す(1)~(6))。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0074】
(1)実施形態2では、特定部152は、他移動体200の異なる方向を向く4つの面に配置されたマークmkに基づいて、他移動体方向を特定していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、特定部152は、異なる方向を向く2つの面に配置されたマークmkに基づいて、他移動体方向を特定してもよい。この場合、他移動体200の前面と後面とにマークmkが配置されてもよい。
【0075】
(2)実施形態1および実施形態2では、検出部130は、本体部110の前方および後方に設置されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、検出部130は、本体部110の前方および後方のいずれか一方にのみ設置されてもよい。また、検出部130は、本体部110の前方および後方に加えて、右方および左方にも設置されてもよい。
【0076】
(3)実施形態1および実施形態2では、識別子は、マークmkであったが本発明はこれに限定されない。例えば、識別子は、他移動体200に形成された凹部と凸部とを有する凹凸形状のパターンでもよい。この場合、検出部130は、凹部と凸部からの光の反射光の強さおよび反射光が到達する時間の違いを検知することによって、識別子を検出する。
【0077】
(4)実施形態1および実施形態2では、検出部130は、光によって識別子を検出していたが、本発明はこれに限定されない。検出部130は、超音波によって識別子を検出してもよい。
【0078】
(5)実施形態1および実施形態2では、移動体100が1台の場合について説明したが、移動体100が複数台の場合にも本発明は適用可能である。この場合、特定部152は、複数の移動体100が検出した他移動体200の位置情報に基づいて、他移動体200の位置を特定することが好ましい。位置情報は、複数の移動体100のそれぞれの位置と他移動体200との距離に基づいて特定部152が特定する。したがって、したがって、ある移動体100の死角に他移動体200が居る場合であっても、別の移動体100によって他移動体200の位置を検出することができる。その結果、移動体100と他移動体200とが衝突する可能性を抑制することができる。
【0079】
(6)実施形態1および実施形態2では、検出部130は、光を出射し、マークmkからの反射光に基づいて、マークmkの所定のパターンを検出していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、検出部130は、光を出射せずに、マークmkを撮像し、撮像したマークmkの画像に基づいて、マークmkの所定のパターンを検出してもよい。検出部130は、例えば、カメラである。検出部130がカメラである場合、検出部130が撮像した画像に基づいて、マークmk3と、マークmk61、マークmk62およびマークmk63(
図6参照)との相対的な高さを特定部152が特定することによって、特定部152は可動部230の高さを特定してもよい。
【符号の説明】
【0080】
100 移動体
110 本体部
120 走行機構
130、130a、130b 検出部
152 特定部
154 走行制御部
160 報知部
200 他移動体
205 車体
230 可動部
mk、mk1、mk2、mk3、mk4、mk5、mk6、mk61、mk62、mk63 マーク