(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】画像読取装置および画像読取装置を備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20230623BHJP
B65H 7/08 20060101ALI20230623BHJP
G03B 27/62 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
H04N1/12 Z
B65H7/08
G03B27/62
(21)【出願番号】P 2019145700
(22)【出願日】2019-08-07
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】中島 範智
(72)【発明者】
【氏名】樋口 誠
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-076647(JP,A)
【文献】特開2012-104933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
G06T 1/00
B65H 7/08
G03B 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた第1サイズの第1原稿および前記第1サイズより大きい第2サイズの第2原稿の2種類の原稿の読取機能を有する画像読取装置において、
ユーザーからの指令を受け付ける操作部と、
予め定められた搬送路に沿って前記各原稿を搬送する原稿搬送部と、
前記第1原稿を読み取って画像データを生成し、また、前記第2原稿の一部を
第1センサで読み取って前記搬送路の搬送方向に対する前記第2原稿の傾斜検知用の画像データを生成する第1原稿読取部と、
前記第2原稿を
第2センサで読み取って画像データを生成する第2原稿読取部と、
前記第2原稿の傾斜検知用の画像データに基づき、前記搬送路の搬送方向に対する前記第2原稿の傾斜を検知する原稿傾斜検知部と、
制御部とを備え、
前記第1原稿読取部の前記第1センサに対向する対向面には、前記第1原稿のスキャン幅に相当する部分が予め定められた第1色に塗られた対向領域と、前記対向領域の前記搬送方向に対して左側、右側または両側が前記第1色と異なる予め定められた第2色に塗られたバック領域とを有するパターンが設けられ、
前記制御部は、前記第1原稿の読取指令を前記操作部が受け付けたとき、前記第1原稿読取部に前記第1原稿を読み取らせて画像データを生成させ、
前記第2原稿の読取指令を前記操作部が受け付けたとき、前記第1原稿読取部に
、前記対向領域および前記バック領域もあわせて前記第2原稿の一部を読み取らせて前記第2原稿の傾斜検知用の画像データを生成させ、前記第2原稿の傾斜検知用の画像データに基づき、前記搬送路の搬送方向に対する前記第2原稿の傾斜を前記原稿傾斜検知部に検知させ、
前記第2原稿の傾斜を前記原稿傾斜検知部が検知した場合、前記制御部は、前記原稿搬送部に前記第2原稿の搬送を停止させ、
一方、前記第2原稿の傾斜を前記原稿傾斜検知部が検知しなかった場合、前記制御部は、前記第2原稿読取部に前記第2原稿を読み取らせて画像データを生成させることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記第1原稿読取部は、前記第2原稿の搬送方向に対して左側または右側のいずれか一方の側に片寄った予め定められた位置に設けられ、
前記バック領域は、前記第2原稿の搬送方向に対して前記第1原稿読取部が片寄って設けられた側とは反対側に設けられた請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記搬送路は、第1搬送路および前記第1搬送路に接続された第2搬送路を備え、
前記第1原稿読取部は、前記第1搬送路に設けられ、
前記第2原稿読取部は、前記第2搬送路に設けられ、
前記制御部は、前記第1原稿の読取指令を前記操作部が受け付けたとき、前記第1搬送路に沿って前記第1原稿を前記原稿搬送部に搬送させ、前記第1原稿読取部に前記第1原稿を読み取らせて画像データを生成させ、
前記第2原稿の読取指令を前記操作部が受け付けたとき、前記第1搬送路に沿って前記第2原稿を前記原稿搬送部に搬送させ、前記第1原稿読取部に前記第2原稿の予め定められた部分を読み取らせて前記第2原稿の傾斜検知用の画像データを生成させ、
前記第2原稿の傾斜検知用の画像データに基づき、前記第1搬送路の搬送方向に対する前記第2原稿の傾斜を前記原稿傾斜検知部に検知させ、
前記第2原稿の傾斜を前記原稿傾斜検知部が検知した場合、前記制御部は、前記原稿搬送部に前記第2原稿の搬送を停止させ、
一方、前記第2原稿の傾斜を前記原稿傾斜検知部が検知しなかった場合、前記制御部は、前記第2搬送路に沿って前記第2原稿を前記原稿搬送部に搬送させ、前記第2原稿読取部に前記第2原稿を読み取らせて画像データを生成させる請求項1
または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記原稿傾斜検知部は、前記第1原稿読取部によって予め定められた時間内に読み取られた前記第2原稿の搬送方向先端部分の画像データに基づき、前記第1搬送路の搬送方向に対して前記第2原稿が傾斜しているか否かを検知する請求
項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第2原稿が読み取った画像データを補正する画像補正部をさらに備え、
前記第2原稿の傾斜検知用の画像データに基づき、前記第1搬送路の搬送方向に対する
前記第2原稿の傾斜角を前記原稿傾斜検知部に検知させ、
前記第2原稿の傾斜を前記原稿傾斜検知部が検知したとき、前記第2原稿の傾斜角が予め定められた基準傾斜角よりも大きい場合、前記制御部は、前記原稿搬送部に前記第2原稿の搬送を停止させ、
一方、前記第2原稿の傾斜角が前記基準傾斜角以下の場合、前記制御部は、前記傾斜角に基づき、前記第2原稿読取部が読み取った画像データを前記画像補正部に補正させる請求項
3または4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記原稿をセットすべき原稿給紙トレイと、
前記第1搬送路に接続され、第1原稿を排出する第1原稿排出トレイと、
前記第2搬送路に接続され、第2原稿を排出する第2原稿排出トレイとをさらに備え、
前記第1搬送路は、前記原稿給紙トレイから前記第1原稿排出トレイまで屈曲することなく前記第1原稿および前記第2原稿を搬送する経路を有し、
前記第2搬送路は、前記第1搬送路から前記第2原稿排出トレイまで屈曲して前記第2原稿を搬送する経路を有する請求項
3~
5のいずれか1つに記載の画像読取装置。
【請求項7】
請求項
3~
6のいずれか1つに記載の画像読取装置と、
前記第1原稿読取部または前記第2原稿読取部が読み取った画像データに基づき画像を形成する画像形成部とを備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像読取装置および画像読取装置を備えた画像形成装置に関し、より詳しくは、自動原稿送り機能を有する画像読取装置および前記画像読取装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取機能を有する複合機において、自動原稿送り装置(ADF)を備えたものが知られている。
【0003】
このような自動原稿送り機能を有する画像読取装置において、一部の機種においては、A4サイズやB5サイズ等の通常原稿のほかに、名刺等の小サイズのカードを読み取ることもできる画像読取装置も開発されている。
【0004】
このような画像読取装置の発明として、カード及び厚手の原稿と通常の原稿を読み取るADFにおいて、通常原稿を読み取る場合はADFの下トレイに読取原稿をセットし、読み取り後に屈曲した搬送経路を通って180度反転し、下トレイの上部に位置する排出トレイに排出する一方で、カード及び厚手の原稿を読み取る場合は、下トレイに原稿をセットし、読み取り後に反転を行わずにストレートに原稿を搬送し、専用の排出トレイに排出する画像読取装置の発明が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
また、カード及び厚手の原稿と通常の原稿を読み取るADFにおいて、通常原稿を読取る場合は、ADFの上トレイに読取原稿をセットし、読み取り後、屈曲した搬送経路を通って180度反転し、上トレイの下部に位置する下排出トレイに排出する一方で、カード及び厚手の原稿を読み取る場合は、下排出トレイの前方の直線上に専用の原稿給紙トレイを設け、原稿読み取り後に下排出トレイに排出する画像読取装置の発明が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5274522号明細書
【文献】特開2015-164292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、既存のADFを用いて名刺やカードをスキャンする従来の画像読取装置は、名刺・カードサイズのピッチで原稿を搬送するための搬送ローラやモータ・ギア等が必要となるため、搬送機構が複雑になりコストがかかる。
また、原稿の破損や斜め送りの防止のために、専用のセンサも必要となる。
【0008】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、従来よりも効率よく原稿搬送時の原稿の斜め送りを検知して防止する画像読取装置および前記画像読取装置を備えた画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)この発明は、予め定められた第1サイズの第1原稿および前記第1サイズより大きい第2サイズの第2原稿の2種類の原稿の読取機能を有する画像読取装置において、ユーザーからの指令を受け付ける操作部と、予め定められた搬送路に沿って前記各原稿を搬送する原稿搬送部と、前記第1原稿を読み取って画像データを生成し、また、前記第2原稿の一部を読み取って前記搬送路の搬送方向に対する前記第2原稿の傾斜検知用の画像データを生成する第1原稿読取部と、前記第2原稿を読み取って画像データを生成する第2原稿読取部と、前記第2原稿の傾斜検知用の画像データに基づき、前記搬送路の搬送方向に対する前記第2原稿の傾斜を検知する原稿傾斜検知部と、制御部とを備え、前記制御部は、前記第1原稿の読取指令を前記操作部が受け付けたとき、前記第1原稿読取部に前記第1原稿を読み取らせて画像データを生成させ、前記第2原稿の読取指令を前記操作部が受け付けたとき、前記第1原稿読取部に前記第2原稿の一部を読み取らせて前記第2原稿の傾斜検知用の画像データを生成させ、前記第2原稿の傾斜検知用の画像データに基づき、前記搬送路の搬送方向に対する前記第2原稿の傾斜を前記原稿傾斜検知部に検知させ、前記第2原稿の傾斜を前記原稿傾斜検知部が検知した場合、前記制御部は、前記原稿搬送部に前記第2原稿の搬送を停止させ、一方、前記第2原稿の傾斜を前記原稿傾斜検知部が検知しなかった場合、前記制御部は、前記第2原稿読取部に前記第2原稿を読み取らせて画像データを生成させることを特徴とする画像読取装置を提供する。
また、この発明は、前記画像読取装置と、前記第1原稿読取部または前記第2原稿読取部が読み取った画像データに基づき画像を形成する画像形成部とを備えた画像形成装置を提供する。
【0010】
この発明において、「画像読取装置」は、スキャナなど、原稿を読み取って画像データを取得する装置である。
「第1サイズの第1原稿」「第1サイズより大きい第2サイズの第2原稿」は、例えば、第1サイズの第1原稿を名刺等のカードとした場合、第2サイズの第2原稿は、カードよりも大きいA4,B5等の原稿用紙などがあげられる。
また、「画像形成装置」は、トナーによる像形成に電子写真方式を用いるプリンタなどの複写(コピー)機能を有する複写機や複合機、または複写以外の機能をも含むMFP(Multifunctional Peripheral:多機能周辺装置)など、画像を形成して出力する装置である。
【0011】
実施形態1において、この発明の「原稿搬送部」は、搬送部112によって実現する。また、この発明の「第1原稿読取部」は、読取部111によって実現する。また、この発明の「第2原稿読取部」は、名刺・カード読取部113によって実現する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、従来よりも効率よく原稿搬送時の原稿の斜め送りを検知して防止する画像読取装置および前記画像読取装置を備えた画像形成装置が実現される。
【0013】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
【0014】
(2)この発明による画像読取装置において、前記搬送路は、第1搬送路および前記第1搬送路に接続された第2搬送路を備え、前記第1原稿読取部は、前記第1搬送路に設けられ、前記第2原稿読取部は、前記第2搬送路に設けられ、前記制御部は、前記第1原稿の読取指令を前記操作部が受け付けたとき、前記第1搬送路に沿って前記第1原稿を前記原稿搬送部に搬送させ、前記第1原稿読取部に前記第1原稿を読み取らせて画像データを生成させ、前記第2原稿の読取指令を前記操作部が受け付けたとき、前記第1搬送路に沿って前記第2原稿を前記原稿搬送部に搬送させ、前記第1原稿読取部に前記第2原稿の予め定められた部分を読み取らせて前記第2原稿の傾斜検知用の画像データを生成させ、前記第2原稿の傾斜検知用の画像データに基づき、前記第1搬送路の搬送方向に対する前記第2原稿の傾斜を前記原稿傾斜検知部に検知させ、前記第2原稿の傾斜を前記原稿傾斜検知部が検知した場合、前記制御部は、前記原稿搬送部に前記第2原稿の搬送を停止させ、一方、前記第2原稿の傾斜を前記原稿傾斜検知部が検知しなかった場合、前記制御部は、前記第2搬送路に沿って前記第2原稿を前記原稿搬送部に搬送させ、前記第2原稿読取部に前記第2原稿を読み取らせて画像データを生成させるものであってもよい。
【0015】
このようにすれば、第2原稿読取部に到達する前に、第1原稿読取部に第2原稿の所定の部分を読み取らせて第2原稿の傾斜を検知することにより、従来よりも効率よく原稿搬送時の原稿の斜め送りを検知して防止する画像読取装置を実現できる。
【0016】
(3)この発明による画像読取装置において、前記原稿傾斜検知部は、前記第1原稿読取部によって予め定められた時間内に読み取られた前記第2原稿の搬送方向先端部分の画像データに基づき、前記第1搬送路の搬送方向に対して前記第2原稿が傾斜しているか否かを検知するものであってもよい。
【0017】
このようにすれば、第1原稿読取部によって所定時間内に読み取られた第2原稿の先端部分の画像データに基づいて第2原稿の傾斜を検知することにより、第2原稿をすべて読み取る必要はなく、従来よりも効率よく原稿搬送時の原稿の斜め送りを検知して防止する画像読取装置を実現することができる。
【0018】
(4)この発明による画像読取装置において、前記第2原稿が読み取った画像データを補正する画像補正部をさらに備え、前記第2原稿の傾斜検知用の画像データに基づき、前記第1搬送路の搬送方向に対する前記第2原稿の傾斜角を前記原稿傾斜検知部に検知させ、前記第2原稿の傾斜を前記原稿傾斜検知部が検知したとき、前記第2原稿の傾斜角が予め定められた基準傾斜角よりも大きい場合、前記制御部は、前記原稿搬送部に前記第2原稿の搬送を停止させ、一方、前記第2原稿の傾斜角が前記基準傾斜角以下の場合、前記制御部は、前記傾斜角に基づき、前記第2原稿読取部が読み取った画像データを前記画像補正部に補正させるものであってもよい。
【0019】
このようにすれば、第2原稿の傾斜を前記原稿傾斜検知部が検知したとき、第2原稿の傾斜角が所定の基準傾斜角以下の場合、前記傾斜角に基づき、第2原稿読取部が読み取った画像データを補正するため、従来よりも効率よく原稿搬送時の原稿の斜め送りを検知して補正する画像読取装置を実現することができる。
【0020】
(5)この発明による画像読取装置において、前記原稿をセットすべき原稿給紙トレイと、前記第1搬送路に接続され、第1原稿を排出する第1原稿排出トレイと、前記第2搬送路に接続され、第2原稿を排出する第2原稿排出トレイとをさらに備え、前記第1搬送路は、前記原稿給紙トレイから前記第1原稿排出トレイまで屈曲することなく前記第1原稿および前記第2原稿を搬送する経路を有し、前記第2搬送路は、前記第1搬送路から前記第2原稿排出トレイまで屈曲して前記第2原稿を搬送する経路を有するものであってもよい。
【0021】
このようにすれば、第2搬送路が屈曲した長い経路を有する場合であっても、原稿給紙トレイから第1搬送路に搬送された段階で第2原稿の傾斜を検知することにより、従来よりも効率よく原稿搬送時の原稿の斜め送りを検知して補正する画像読取装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】この発明の画像読取装置を備えたデジタル複合機の外観を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示すデジタル複合機の本体部分の機構的構成を示す断面図である。
【
図4】
図1に示すデジタル複合機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図5】従来のデジタル複合機の原稿搬送装置の原稿自動送り機構の問題点を示す断面図である。
【
図6】従来のデジタル複合機の原稿搬送装置の原稿自動送り機構の問題点を示す断面図である。
【
図7】
図1に示すデジタル複合機の名刺・カード読取部の概略構成を示す断面図である。
【
図8】
図1に示すデジタル複合機のADFのトレイに原稿をセットした様子を示す説明図である。
【
図9】
図1に示すデジタル複合機の名刺・カード読取部のCISの対向面に設けられた斜め送り検知用のパターンの一例を示す説明図である。
【
図10】
図1に示すデジタル複合機の名刺・カード読取部のCISと搬送された原稿との位置関係を示す説明図である。
【
図11】
図1に示すデジタル複合機の原稿読取処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】この発明の実施形態2のデジタル複合機のADFのトレイに原稿をセットした様子を示す説明図である。
【
図13】
図12に示すデジタル複合機の名刺・カード読取部のCISの対向面に設けられた斜め送り検知用のパターンの一例を示す説明図である。
【
図14】この発明の実施形態2のデジタル複合機の名刺・カード読取部のCISと搬送された原稿との位置関係を示す説明図である。
【
図15】この発明の実施形態2のデジタル複合機の原稿読取処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】この発明の実施形態3のデジタル複合機のADFのトレイに原稿をセットした様子を示す説明図である。
【
図17】この発明の実施形態3のデジタル複合機の名刺・カード読取部のCISと搬送された原稿との位置関係を示す説明図である。
【
図18】この発明の実施形態3のデジタル複合機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図19】この発明の実施形態3のデジタル複合機の原稿読取処理の一例を示すフローチャートである。
【
図20】この発明の実施形態4のデジタル複合機のADFのトレイに原稿をセットした様子を示す説明図である。
【
図21】
図20に示すデジタル複合機の名刺・カード読取部のCISの対向面に設けられた斜め送り検知用のパターンの一例を示す説明図である。
【
図22】この発明の実施形態4のデジタル複合機の名刺・カード読取部のCISと搬送された原稿との位置関係を示す説明図である。
【
図23】この発明の実施形態4のデジタル複合機の原稿読取処理の一例を示すフローチャートである。
【
図24】この発明の実施形態5のデジタル複合機の名刺・カード読取部の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0024】
〔実施形態1〕
図1~
図4に基づき、この発明の画像読取装置2を備えた画像形成装置1の一実施形態であるデジタル複合機1の概略構成について説明する。
図1は、この発明の画像読取装置2を備えたデジタル複合機1の外観を示す斜視図である。また、
図2は、
図1に示すデジタル複合機1の平面図である。また、
図3は、
図1に示すデジタル複合機1の本体部分の機構的構成を示す断面図である。
【0025】
デジタル複合機1は、画像データをデジタル処理し、複写機能やスキャナ機能、ファクシミリ機能を有する複合機やMFP(Multifunctional Peripheral:多機能周辺装置)などの装置である。
【0026】
デジタル複合機1は、操作部103や通信部55を介して受付けたユーザーからの指示に基づいてスキャナ、印刷およびコピーのジョブを実行する。
【0027】
<デジタル複合機1の構成>
ここで、
図3に示すデジタル複合機1の内部的な構成を簡単に説明しておく。
【0028】
デジタル複合機1は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像を印刷用紙に印刷する。
それゆえ、デジタル複合機1の内部的な構成としては、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、および帯電器15等は、それぞれ4個ずつ設けられる。
【0029】
各色に応じた4種類のトナー像を形成するため、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0030】
なお、デジタル複合機1は、単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像を印刷用紙に印刷するものであってもよい。
【0031】
各画像ステーションPa,Pb,Pc,Pdのいずれにおいても、次のようにしてトナー像が形成される。
【0032】
ドラムクリーニング装置14は、感光体ドラム13表面の残留トナーを除去および回収する。
その後、帯電器15が感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させる。
次に、光走査装置11が均一に帯電した前記表面を露光して前記表面に静電潜像を形成する。
その後、現像装置12が前記静電潜像を現像する。
これにより、各感光体ドラム13表面に各色のトナー像が形成される。
【0033】
また、中間転写ベルト21は、矢印方向Cに周回移動する。
各感光体ドラム13表面の各色のトナー像が、中間転写ベルト21に順次転写して重ね合わせられて、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像が形成される。
ベルトクリーニング装置22は、周回移動する中間転写ベルト21の残留トナーを除去および回収する。
【0034】
前記印刷用紙は、ピックアップローラ33により4つある給送トレイ18のいずれか一つから引出されて、用紙搬送経路R1を介して2次転写装置23へ給送される。
あるいは、手差しトレイ19から図示しないピックアップローラによって給送され、用紙搬送経路R1を介して2次転写装置23へ給送される。
【0035】
用紙搬送経路R1には、印刷用紙を一旦停止させて印刷用紙の先端を揃えるレジストローラ34が配置されている。
また、印刷用紙の搬送を促す搬送ローラ35等が配置されている。
【0036】
2次転写装置23の転写ローラ23aと中間転写ベルト21との間には、ニップ域が形成されている。
レジストローラ34は、印刷用紙を一旦停止させた後、トナー像の転写タイミングに合わせて、前記ニップ域に印刷用紙を搬送する。
【0037】
印刷用紙が前記ニップを通過するとき、中間転写ベルト21の表面に形成されたカラーのトナー像が印刷用紙に転写される。
【0038】
印刷用紙は、前記ニップ域を通過した後、定着装置17の加熱ローラ24と加圧ローラ25との間に挟まれて加熱・加圧される。
この加熱・加圧により、カラーのトナー像が印刷用紙上に定着される。
【0039】
次に、定着装置17を通過した印刷用紙は、排出ローラ36aまたは36bを経て排出トレイ39aまたは39bへ排出される。
【0040】
印刷用紙の排出先は、後述する制御部100によって制御され、図示しない切替え機構によって排出トレイ39aおよび39bの何れかへ印刷用紙が導かれるように搬送経路が切替えられる。
【0041】
印刷用紙の搬送経路の切替え機構は、画像形成装置の技術分野で周知であるため、詳細な図示を省略する。
【0042】
続いて、
図4に基づき、デジタル複合機1の電気的な構成を簡単に説明する。
図4は、
図1に示すデジタル複合機1の電気的構成を示すブロック図である。
図4に示すように、デジタル複合機1は、通信部55、制御部100、印刷部102、操作部103、メモリ104、原稿傾斜検知部105、読取部111、搬送部112および名刺・カード読取部113を備える。
【0043】
また、実施形態1において、画像読取装置2は、制御部100、操作部103、メモリ104、原稿傾斜検知部105、読取部111、搬送部112および名刺・カード読取部113を備える。
なお、以下の説明において、単に「原稿」と記載したときは、名刺・カードよりも大きいサイズ(A4・B5等)の通常原稿を示すものとする。
【0044】
通信部55は、外部の機器と通信データを送受し、例えば外部のコンピュータから印刷ジョブの実行要求を受信する通信インターフェースの回路およびファームウェアである。
【0045】
制御部100は、デジタル複合機1を統合的に制御するものであって、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース回路等からなる。
制御部100は、デジタル複合機1全体の動作をコントロールするために、各センサの検知、モーター、クラッチ、定着ランプ等、あらゆる負荷の監視・制御を行う。
【0046】
印刷部102は、電子写真方式により印刷画像を印刷用紙に印刷する。
印刷部102は、
図3における光走査装置11、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14および帯電器15に係る電気的構成要素を含んで構成される。 また、印刷部102は、中間転写ベルト21、定着装置17、用紙搬送経路R1、給送トレイ18および排出トレイ39a、39bに係る電気的構成要素を含んで構成される。
【0047】
操作部103は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)とタッチパネルから構成され、液晶ディスプレイに情報を表示し、タッチパネルを通じてユーザーからの指令を受け付ける部分である。
制御部100は、操作部103を通じて、デジタル複合機1の動作および状態の表示を行う。
【0048】
メモリ104は、RAM104aおよびROM104bを備え、例えばハードディスク装置(HDD)やフラッシュメモリ等不揮発性の記憶手段であって、種々のデータやプログラムを格納する。
【0049】
RAM104aは、制御部100がアクセス可能なメモリ(Random Access Memory)であり、一時的にデータを記憶しておくワークメモリを提供する。
RAM104aには、例えば、タッチパネルの静電容量の閾値や、さまざまな種類の画像のデータベースが記録される。
【0050】
ROM104bは、制御部100がアクセス可能な読み出し専用メモリ(Read Only Memory)であり、制御部100のプログラム制御のために必要なデータが格納される。
ROM104bには、例えば、画像読取機能やタッチパネル機能などの設定の基礎となる各種のデータが格納される。
【0051】
RAM104aおよびROM104bは、制御部100とバス接続されており、制御部100を動作させるためのプログラム格納、メモリ展開がなされる。
これらは一例の構成であって、複数のCPUや基板により構成されるシステムであってもよい。
【0052】
原稿傾斜検知部105は、搬送部112において搬送された原稿の進行方向に対する傾き(傾斜角)を検知する部分である。
【0053】
読取部111は、原稿台に載置された原稿を光学的に読み取るスキャナ部分である。
【0054】
搬送部112は、所定のトレイにセットされた原稿を読取部111まで搬送する部分である。
【0055】
名刺・カード読取部113は、所定のトレイにセットされた名刺・カードを光学的に読み取るスキャナ部分である。
実施形態1において、名刺・カード読取部113は、名刺およびカードの表面を読み取るための密着イメージセンサ(Contact Image Sensor、CIS)を備える。
【0056】
制御部100は、読取部111および搬送部112を制御して、搬送部112により原稿を搬送する。
そして、読取部111により原稿の画像を読取らせ、原稿の画像を示す画像データをメモリ104に格納する。
また、制御部100は、印刷部102を制御して、印刷部102でメモリ104内の画像データによって示される原稿の画像を印刷用紙に印刷させる。
【0057】
以上がデジタル複合機1の構成の概要である。
【0058】
<従来の原稿自動送り機構の問題点>
次に、
図5および
図6に基づき、従来の原稿自動送り機構の問題点について説明する。
図5および
図6は、従来のデジタル複合機1の搬送部112の原稿自動送り機構の問題点を示す断面図である。
【0059】
従来の原稿自動送り機構において、名刺・カードのサイズの用紙を搬送可能にするには、
図5に示すように、名刺・カードのサイズに合った短いピッチで搬送ローラRL1~RL9を搬送路に設ける必要がある。
そのため、駆動ギアおよびモーターの配置を含めた搬送機構が複雑になる。
【0060】
また、搬送経路の曲率が大きいコーナー部分CP(
図5の点線内)において、厚紙などの分厚い用紙を搬送すると、用紙が破損するおそれがあり、また搬送部112の故障の原因にもなる。
【0061】
また、厚紙などの分厚い用紙も搬送できるように、
図6に示すように、給紙トレイFTから曲率が小さい搬送経路、すなわち搬送ローラRL3~RL7が設けられた搬送経路を経由して読み取ることも可能だが、その場合、専用の給紙トレイFTが必要となる。
また、通常の用紙の搬送機構との整合も図る必要があるため、やはり搬送機構が複雑になる。
【0062】
<この発明の実施形態1のデジタル複合機1の名刺・カード読取部113の概略構成>
次に、
図7および
図8に基づき、この発明の実施形態1のデジタル複合機1の搬送部112の名刺・カード読取部113の概略構成について説明する。
【0063】
図7は、
図1に示すデジタル複合機1の名刺・カード読取部113の概略構成を示す断面図である。
【0064】
図7に示すように、この発明の実施形態1のデジタル複合機1は、読取部111、搬送部112および名刺・カード読取部113を備える。
【0065】
読取部111は、原稿表面読取部1111および原稿裏面読取部1112を備え、それぞれ原稿の表面と裏面を読み取る。
【0066】
名刺・カード読取部113は、原稿搬送経路R2に沿って、名刺およびカードの表面を読み取るための密着イメージセンサ(Contact Image Sensor、CIS)を備える。
【0067】
<この発明の実施形態1のデジタル複合機1の原稿の読み取り時の斜め送り検知処理>
次に、
図8~
図11に基づき、この発明の実施形態1のデジタル複合機1の原稿の読み取り時の斜め送り検知処理について説明する。
【0068】
図8は、
図1に示すデジタル複合機1のADFのトレイに原稿をセットした様子を示す説明図である。
【0069】
図8に示すように、搬送部112の上方に名刺・カード読取部113が設けられている。
名刺・カード読取部113のセンサ全体のスキャン幅は、名刺・カードの短辺または長辺より大きければよい。
また、他の読取部111と共通のA4の短辺方向を読み取れる幅であってもよい。
【0070】
図9は、
図1に示すデジタル複合機1の名刺・カード読取部113のCISの対向面に設けられた斜め送り検知用のパターンの一例を示す説明図である。また、
図10は、
図1に示すデジタル複合機1の名刺・カード読取部113のCISと搬送された原稿との位置関係を示す説明図である。
【0071】
図9(A)に示すように、CISの対向面に、名刺・カードのスキャン幅に相当する部分が白色に塗られた白色部と、その両端が黒色に塗られた黒バック部とを有するパターンが設けられる。
【0072】
名刺・カード読取部113のスキャン幅は、名刺・カードの短辺方向を読み取れる幅であってもよい。
このようにすれば、名刺・カードを長辺方向に搬送して短辺方向を読み取ることで、搬送ローラのピッチを長くすることができる。
また、名刺・カード読取部113のセンサのスキャン幅を短くすることもできる。
さらに、名刺・カード読取部113のセンサのスキャン幅を短くできる分、左右両端の黒バック部の長さを増やすことができるため、原稿の斜め送りが検知しやすくなる。
【0073】
また、名刺・カード読取部113のスキャン幅は、名刺・カードの長辺方向を読み取れる幅であってもよい。
この場合は、短辺方向を読み取る場合よりも、名刺・カードの読取のスピードが速くなる。
【0074】
なお、原稿の読み取り時において、CISは、名刺・カードのスキャン幅に相当する白色部だけでなく、白色部の両端の黒バック部もあわせて読み取るものとする。
【0075】
ここで、
図10(A)に示すように、原稿が斜めにならず真っ直ぐCISに搬送されてきた場合、両端の黒バック部において、CISが原稿の先端部をほぼ同じタイミングで検知する。
【0076】
一方、
図8に示すように、原稿の隅がステープル等によって綴じられた状態で、原稿の読み取りが開始された場合、
図10(B)に示すように、搬送中に原稿が斜めに傾き、斜め送りの状態でCISに搬送されることがある。
【0077】
この場合、そのまま原稿を搬送すると、うまく読み取れないだけでなく、紙詰まりの原因にもなる。
【0078】
ここで、
図10(B)に示すように、原稿が斜め送りの状態でCISに搬送されてきた場合、
図9(B)に示すように、原稿の先端部がCISによって検知されるタイミングが左右の黒バック部において異なる。
【0079】
図9(B)の黒バック部において、原稿の搬送方向から見て、左側の先端部が右側の先端部よりも先にCISによって検知される。
【0080】
図11は、
図1に示すデジタル複合機1の原稿読取処理の一例を示すフローチャートである。
【0081】
図11のステップS1において、操作部103の読取開始キーが押し下げられると(ステップS1)、ステップS2において、制御部100は、搬送部112に原稿搬送を開始させる(ステップS2)。
【0082】
次に、ステップS3において、制御部100は、CISによって原稿の先端部の検知を開始する(ステップS3)。
【0083】
続くステップS4において、制御部100は、原稿の先端部がCISによって検知されたタイミングが左右で異なるか否かを判定する(ステップS4)。
【0084】
原稿の先端部がCISによって検知されたタイミングが左右で異なる場合(ステップS4の判定がYesの場合)、ステップS5において、制御部100は、原稿搬送を停止してユーザーにエラーを報知する(ステップS5)。
その後、制御部100は、処理を終了させる。
【0085】
一方、原稿の先端部がCISによって検知されたタイミングが左右でほぼ同じ(すなわち、予め定められた許容範囲内にある)場合(ステップS4の判定がNoの場合)、ステップS6において、制御部100は、読取部111に原稿読取処理を行わせる(ステップS6)。
【0086】
なお、原稿の斜め送りの検知用の読取位置は、原稿の先端部に限らず、例えば、原稿の後端部がCISによって検知されたタイミングが左右で異なるか否かに基づいて、原稿搬送時の原稿の斜め送りを検知するようにしてもよい。
【0087】
続くステップS7において、制御部100は、搬送部112に原稿を排紙させ(ステップS7)、処理を終了させる。
【0088】
このようにして、名刺・カードスキャン用のCISによって原稿の傾きを検知することで、従来よりも効率よく原稿搬送時の原稿の斜め送りを検知して防止するデジタル複合機1を実現することが可能となる。
【0089】
〔実施形態2〕
<この発明の実施形態2のデジタル複合機1の原稿の読み取り時の斜め送り検知処理>
次に、
図12~
図15に基づき、この発明の実施形態2のデジタル複合機1の原稿の読み取り時の斜め送り検知処理について説明する。
【0090】
なお、その他の構成については、実施形態1のデジタル複合機1と同様であるため、説明を省略する。
【0091】
図12は、この発明の実施形態2のデジタル複合機1のADFのトレイに原稿をセットした様子を示す説明図である。
【0092】
図12に示すように、搬送部112の上方に名刺・カードス読取部113が設けられている。
実施形態1との相違点は、原稿の搬送方向の左側に名刺・カード読取部113が設けられている点である。
【0093】
図13は、
図12に示すデジタル複合機1の名刺・カード読取部113のCISの対向面に設けられた斜め送り検知用のパターンの一例を示す説明図である。
【0094】
図13(A)(B)に示すように、CISの対向面に、名刺・カードのスキャン幅に相当する部分が白色に塗られた白色部と、その右側が黒色に塗られた黒バック部とを有するパターンが設けられる。
【0095】
なお、原稿の読み取り時において、CISは、名刺・カードのスキャン幅に相当する白色部だけでなく、白色部の右側の黒バック部もあわせて読み取るものとする。
【0096】
図14は、
図1に示すデジタル複合機1の名刺・カード読取部113のCISと搬送された原稿との位置関係を示す説明図である。
【0097】
ここで、
図14(A)に示すように、原稿が斜めにならず真っ直ぐCISに搬送されてきた場合、黒バック部の任意の2点において、CISが原稿の先端部をほぼ同じタイミングで検知する。
【0098】
一方、
図12に示すように、原稿の隅がステープル等によって綴じられた状態で、原稿の読み取りが開始された場合、
図14(B)に示すように、原稿の先端部がCISによって検知されるタイミングが黒バック部の任意の2点において異なる。
【0099】
図14(B)の黒バック部において、原稿の搬送方向から見て、左側の先端部が右側の先端部よりも先にCISによって検知される。
【0100】
図15は、この発明の実施形態2のデジタル複合機1の原稿読取処理の一例を示すフローチャートである。
【0101】
なお、
図15のステップS11~S13およびS15~S17の処理は、それぞれ
図11のステップS1~S3およびS5~S7の処理に対応するため、説明を省略する。
【0102】
ここでは、実施形態1に記載のない
図15のステップS14の判定について説明する。
【0103】
図15のステップS13において、CISによって原稿の先端部の検知を開始した後(ステップS13)、続くステップS14において、制御部100は、黒バック部において、原稿の先端部がCISによって検知されたタイミングが左右で異なるか否かを判定する(ステップS14)。
【0104】
黒バック部において、原稿の先端部がCISによって検知されたタイミングが左右で異なる場合(ステップS14の判定がYesの場合)、制御部100は、ステップS15において、原稿搬送を停止してユーザーにエラーを報知する(ステップS15)。
その後、制御部100は、処理を終了させる。
【0105】
一方、黒バック部において、原稿の先端部がCISによって検知されたタイミングが左右でほぼ同じ(すなわち、予め定められた許容範囲内にある)場合(ステップS14の判定がNoの場合)、ステップS16において、制御部100は、読取部111に原稿読取処理を行わせる(ステップS16)。
【0106】
このようにして、名刺・カードスキャン用のCISによって原稿の傾きを検知することで、従来よりも効率よく原稿搬送時の原稿の斜め送りを検知して防止するデジタル複合機1を実現することが可能となる。
【0107】
実施形態2の発明は特に、実施形態1と比べて、ステープル等で原稿が固定されている箇所によっては、検知時間を短縮することができる点でメリットがある。
ステープルの位置は原稿面の左上部分が多いため、原稿の搬送方向の左側に名刺・カード読取部113を設けることにより、左端をより早く検知して搬送を止めることが可能となる。
また、名刺・カード読取部113が手前側に設けられた方が、搬送された名刺等も手前に排紙されるため、ユーザーが視認しやすく、名刺を取り出しやすいというメリットもある。
【0108】
〔実施形態3〕
<この発明の実施形態3のデジタル複合機1の原稿の読み取り時の斜め送り検知処理>
次に、
図16~
図19に基づき、この発明の実施形態3のデジタル複合機1の原稿の読み取り時の斜め送り検知処理について説明する。
【0109】
なお、その他の構成については、実施形態1のデジタル複合機1と同様であるため、説明を省略する。
【0110】
図16は、この発明の実施形態3のデジタル複合機1のADFのトレイに原稿をセットした様子を示す説明図である。
【0111】
図16に示すように、搬送部112の上方に名刺・カード読取部113が設けられている。
実施形態1との相違点は、原稿の隅がステープル等によって綴じられていない点である。
このように、原稿の隅がステープル等によって綴じられていない場合であっても、搬送時において原稿が斜めになることがある。
この場合、紙詰まりによる原稿の破損や搬送部112の故障が生じるほどではないにしても、原稿が傾斜したまま、読み取られるおそれがある。
【0112】
図17は、この発明の実施形態3のデジタル複合機1の名刺・カード読取部113のCISと搬送された原稿との位置関係を示す説明図である。
【0113】
ここで、
図17(A)に示すように、原稿が斜めにならず真っ直ぐCISに搬送されてきた場合、両端の黒バック部において、CISが原稿の先端部をほぼ同じタイミングで検知する。
【0114】
一方、
図17(B)に示すように、搬送中に原稿がわずかに斜めに傾き、斜め送りの状態でCISに搬送されることがある。
【0115】
この場合、そのまま原稿を搬送すると、紙詰まりによる原稿の破損や搬送部112の故障が生じなかったとしても、原稿が斜めの状態で読み取られてしまうおそれがある。
【0116】
そこで、実施形態3においては、原稿の傾き量(傾斜角)が予め定められた範囲内の場合は、当該傾き量(傾斜角)に基づき、画像を補正する。
【0117】
図18は、この発明の実施形態3のデジタル複合機1の電気的構成を示すブロック図である。
図18に示すように、デジタル複合機1は、通信部55、制御部100、印刷部102、操作部103、メモリ104、原稿傾斜検知部105、読取部111、搬送部112および画像補正部114を備える。
【0118】
画像補正部114は、原稿傾斜検知部105によって算出された傾き量(傾斜角)に基づき、画像を補正する部分である。
【0119】
図19は、この発明の実施形態3のデジタル複合機1の原稿読取処理の一例を示すフローチャートである。
【0120】
なお、
図19のステップS21~S24およびS30~S32の処理は、それぞれ
図11のステップS1~S7の処理に対応するため、説明を省略する。
【0121】
ここでは、実施形態1に記載のない
図19のステップS25~S29の処理について説明する。
【0122】
図19のステップS24において、原稿の先端部がCISによって検知されたタイミングが左右で異なる場合(ステップS24の判定がYesの場合)、制御部100は、ステップS25において、原稿の傾き量(傾斜角)を算出する(ステップS25)。
【0123】
具体的な算出方法としては、例えば、左右それぞれの黒バック部で検知された原稿の先端部の検知タイミングの時間差に基づき、原稿の傾き量(傾斜角)を算出する。
また、予め定められた箇所の画素出力の平均値の増減によって原稿の傾き量(傾斜角)を算出するようにしてもよい。
このように算出された原稿の傾き量(傾斜角)は、メモリ104に保持される。
【0124】
続いて、ステップS26において、制御部100は、原稿の傾き量(傾斜角)が予め定められた許容範囲内か否かを判定する(ステップS26)。
【0125】
原稿の傾き量(傾斜角)が許容範囲内の場合(ステップS26の判定がYesの場合)、ステップS27において、制御部100は、読取部111に原稿読取処理を行わせる(ステップS27)。
【0126】
続くステップS28において、制御部100は、ステップS26で算出した原稿の傾き量(傾斜角)に基づき、ステップS27で読み取られた画像を画像補正部114に補正させる(ステップS28)。
【0127】
その後、ステップS29において、制御部100は、搬送部112に原稿を排紙させ(ステップS29)、処理を終了させる。
【0128】
このようにして、名刺・カードスキャン用のCISによって原稿の傾き量(傾斜角)を検知し、当該傾き量に基づき画像を補正することで、原稿搬送時の原稿の斜め送りを検知して画像を補正するデジタル複合機1を実現することが可能となる。
【0129】
〔実施形態4〕
<この発明の実施形態4のデジタル複合機1の原稿の読み取り時の斜め送り検知処理>
次に、
図20~
図23に基づき、この発明の実施形態4のデジタル複合機1の原稿の読み取り時の斜め送り検知処理について説明する。
【0130】
なお、その他の構成については、実施形態3のデジタル複合機1と同様であるため、説明を省略する。
【0131】
図20は、この発明の実施形態4のデジタル複合機1のADFのトレイに原稿をセットした様子を示す説明図である。
【0132】
図20に示すように、搬送部112の上方に名刺・カード読取部113が設けられている。
実施形態3との相違点は、原稿の搬送方向の左側に名刺・カード読取部113が設けられている点である。
【0133】
図21は、
図20に示すデジタル複合機1の名刺・カード読取部113のCISの対向面に設けられた斜め送り検知用のパターンの一例を示す説明図である。
【0134】
図21(A)(B)に示すように、CISの対向面に、名刺・カードのスキャン幅に相当する部分が白色に塗られた白色部と、その右側が黒色に塗られた黒バック部とを有するパターンが設けられる。
【0135】
なお、原稿の読み取り時において、CISは、名刺・カードのスキャン幅に相当する白色部だけでなく、白色部の右側の黒バック部もあわせて読み取るものとする。
【0136】
図22は、この発明の実施形態4のデジタル複合機1の名刺・カード読取部113のCISと搬送された原稿との位置関係を示す説明図である。
【0137】
ここで、
図22(A)に示すように、原稿が斜めにならず真っ直ぐCISに搬送されてきた場合、黒バック部の任意の2点において、CISが原稿の先端部をほぼ同じタイミングで検知する。
【0138】
一方、
図22(B)に示すように、CISに搬送された原稿の傾き量(傾斜角)が予め定められた範囲内の場合は、当該傾き量(傾斜角)に基づき、画像を補正する。
【0139】
図23は、この発明の実施形態4のデジタル複合機1の原稿読取処理の一例を示すフローチャートである。
【0140】
なお、
図23のステップS41~S43およびS45~S52の処理は、それぞれ
図19のステップS21~S23およびS25~S32の処理に対応するため、説明を省略する。
【0141】
ここでは、実施形態3に記載のない
図23のステップS44の判定について説明する。
【0142】
図23のステップS43において、CISによって原稿の先端部の検知を開始した後(ステップS43)、続くステップS44において、制御部100は、黒バック部において、原稿の先端部がCISによって検知されたタイミングが左右で異なるか否かを判定する
(ステップS44)。
【0143】
黒バック部において、原稿の先端部がCISによって検知されたタイミングが左右で異なる場合(ステップS44の判定がYesの場合)、制御部100は、ステップS45において、黒バック部の任意の2点において原稿が検知された時間の差に基づき、原稿の傾き量(傾斜角)を算出する(ステップS45)。
【0144】
具体的な算出方法としては、例えば、予め定められた箇所の画素出力の平均値の増減に基づき、原稿の傾き量(傾斜角)を算出する。
このように算出された原稿の傾き量(傾斜角)は、メモリ104に保持される。
【0145】
このようにして、名刺・カードスキャン用のCISによって原稿の傾き量(傾斜角)を検知し、当該傾き量に基づき画像を補正することで、原稿搬送時の原稿の斜め送りを検知して画像を補正するデジタル複合機1を実現することが可能となる。
【0146】
〔実施形態5〕
<この発明の実施形態5のデジタル複合機1の名刺・カード読取機構の概略構成>
次に、
図24に基づき、この発明の実施形態5のデジタル複合機1の搬送部112の名刺・カード読取部113の概略構成について説明する。
【0147】
なお、その他の構成については、実施形態1のデジタル複合機1と同様であるため、説明を省略する。
【0148】
図24は、この発明の実施形態5のデジタル複合機1の名刺・カード読取部113の概略構成を示す断面図である。
【0149】
図24に示すように、この発明の実施形態5のデジタル複合機1は、読取部111、搬送部112および名刺・カード読取部113を備える。
【0150】
読取部111は、原稿表面読取部1111および原稿裏面読取部1112を備え、それぞれ原稿の表面と裏面を読み取る。
【0151】
実施形態1との相違点は、名刺・カード読取部113が、原稿搬送経路R2に沿って、名刺およびカードの表面および裏面をそれぞれ読み取るための2つの密着イメージセンサ(Contact Image Sensor、CIS)を備える点である。
【0152】
なお、
図24に示すように、2つのCIS間の距離D1を名刺・カードの長さ以上にする。
このようにすることで、名刺・カードの表面を読み取った後で、裏面を読み取ることができるため、画像処理に必要なメモリ量を削減することができる。
【0153】
このようにして、名刺・カードスキャン用の2つのCISによって原稿の傾きを検知することで、従来よりも効率よく、より高い精度で原稿搬送時の原稿の斜め送りを検知して防止するデジタル複合機1を実現することが可能となる。
【0154】
また、実施形態3および4のように、画像補正部114をさらに設け、2つのCISで検知した原稿の傾き量に基づいて画像の補正を行うことで、より高い精度で画像の補正が可能になる。
【0155】
この発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0156】
1:デジタル複合機、 2:画像読取装置、 11:光走査装置、 12:現像装置、 13:感光体ドラム、 14:ドラムクリーニング装置、 15:帯電器、 17:定着装置、 18:給送トレイ、 19:手差しトレイ、 21:中間転写ベルト、 22:ベルトクリーニング装置、 23:2次転写装置、 23a:転写ローラ、 24:加熱ローラ、 25:加圧ローラ、 33:ピックアップローラ、 34:レジストローラ、 35:搬送ローラ、 36a,36b:排出ローラ、 39a,39b:排出トレイ、 55:通信部、 100:制御部、 102:印刷部、 103:操作部、 104:メモリ、 104a:RAM、 104b:ROM、 105:原稿傾斜検知部、 111:読取部、 112:搬送部、 113:名刺・カード読取部、 114:画像補正部、 1111:原稿表面読取部、 1112:原稿裏面読取部、 C:矢印方向、 CP:コーナー部分、 D1:距離、 FT:給紙トレイ、 Pa,Pb,Pc,Pd:画像ステーション、 R1:用紙搬送経路、 R2:原稿搬送経路、 RL1~RL9:搬送ローラ