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特許7301625粉体回収容器及びそれを備えた画像形成装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】粉体回収容器及びそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20230626BHJP
   G03G 21/12 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
G03G21/16 190
G03G21/12
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019118970
(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公開番号】P2021004991
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】門脇 英明
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-130814(JP,A)
【文献】特開2012-203383(JP,A)
【文献】特開2019-101203(JP,A)
【文献】特開2012-103483(JP,A)
【文献】実開平04-018868(JP,U)
【文献】実開平03-065174(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体排出部の排出口から排出される粉体を収容する粉体回収容器であって、
前記粉体排出部が挿入される入口部と開口部が形成された平面状の底部とを有する挿入室と、
前記開口部を介して前記挿入室と連通する粉体回収室と、
前記挿入室内の前記開口部を閉塞する閉塞位置に配置され、前記粉体排出部の挿入動作と連動して前記開口部を開放し前記排出口と連通させる開放位置に移動する移動部材と、
を備え、
前記移動部材は、支持部から前記入口部側に向かって、互いに向かい合った状態で、前記挿入室の内壁に沿って延伸された第1案内部と第2案内部とを有し、
前記第1案内部は、前記挿入室の底部側に配置され、前記開口部を閉塞する平面状の閉塞部と、前記開口部の前記入口部側にある入口側端部と接触する接触ストッパと、を有する、ことを特徴とする粉体回収容器。
【請求項2】
前記移動部材を前記入口部側に付勢する付勢部材を更に備え、
前記移動部材は、前記付勢部材の付勢力によって前記接触ストッパが前記開口部の前記入口側端部と接触する前記閉塞位置に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の粉体回収装置。
【請求項3】
前記接触ストッパは、前記第1案内部から前記開口部側に突出して形成され、前記支持部側に向かって突出量が小さくなる第1傾斜部を有する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の粉体回収容器。
【請求項4】
前記第1案内部は、前記支持部から平板状に延伸されている、ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一つに記載の粉体回収容器。
【請求項5】
前記第1案内部は、前記移動部材の移動方向及び上下方向の双方に直交する幅方向における両端部から、前記第2案内部側に向かってそれぞれ立設された一対の側壁部を有する、ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一つに記載の粉体回収容器。
【請求項6】
前記挿入室は、前記各側壁部とそれぞれ向かい合う位置に、前記移動部材の移動方向に沿って形成された対向側壁を有する、ことを特徴とする請求項5に記載の粉体回収容器。
【請求項7】
前記第2案内部は、外周部が円弧形状で、前記外周部から前記第1案内部と反対側に突出した突出部を有し、
前記挿入室は、前記突出部と対応する位置に前記移動部材の前記移動方向に沿って形成された突出案内部を有する、ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一つに記載の粉体回収容器。
【請求項8】
前記第1案内部は、前記入口部側の端部が、前記支持部側より前記開口部側に突出するように前記支持部に支持される、ことを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一つに記載の粉体回収容器。
【請求項9】
前記移動部材の前記閉塞位置から前記開放位置への移動は、前記粉体排出部が前記挿入室に挿入された際に、前記粉体排出部と前記支持部が当接することによって行われる、ことを特徴とする請求項1から請求項8の何れか一つに記載の粉体回収容器。
【請求項10】
前記第1案内部は、前記接触ストッパの位置から前記入口側に延伸された覆い部を有し、
前記覆い部は、前記移動部材が前記閉塞位置にある状態において、前記開口部の前記入口部側の外縁部を覆う、ことを特徴とする請求項1から請求項9の何れか一つに記載の粉体回収容器。
【請求項11】
前記第1案内部は、前記移動部材の移動方向及び上下方向の双方に直交する幅方向における両端部から前記入口部に向かって、互いの間隔が広がる方向に傾いた傾斜部を、前記入口部に面した前記第1案内部の端面に有する、ことを特徴とする請求項1から請求項10の何れか一つに記載の粉体回収容器。
【請求項12】
前記挿入室は、前記入口部側とは反対側に、前記入口部側に向かって延出された延出部を有する対向壁部を有し、
前記移動部材の前記支持部は、前記延出部と対応する位置に前記延出部が挿通される挿通部を有する、ことを特徴とする請求項1から請求項11の何れか一つに記載の粉体回収容器。
【請求項13】
前記延部の前記入口部側端部は、前記移動部材が前記閉塞位置にある状態では、前記支持部を貫通しておらず、前記移動部材が前記開放方向に所定距離移動した時点から前記支持部を貫通して前記入口部側に突出し、前記粉体排出部の前記開口部を開口する、ことを特徴とする請求項12に記載の粉体回収容器。
【請求項14】
前記粉体回収室は、前記開口部の周縁部から前記粉体回収室側に立設された垂れ壁部を有する、ことを特徴とする請求項1から請求項13までの何れか一つに記載の粉体回収容器。
【請求項15】
請求項1から請求項14までの何れか一つに記載の粉体回収容器を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体排出部の排出口から排出される粉体を収容する粉体回収容器及びそれを備えた複写機、複合機、プリンタ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体回収容器は、一般的に、粉体排出部を備える装置に着脱可能に取付けられる。
【0003】
例えば、画像形成装置では、粉体回収容器は画像形成部の粉体排出部と対応する位置に取り付けられ、粉体排出部から排出される粉体(廃トナー及び/又は廃現像剤)を、開口部を通じて粉体回収容器内に回収する。そして、粉体回収容器内が回収された粉体で満杯になると、操作者(ユーザー又はサービスマン)は、粉体回収容器を画像形成装置本体から取外し、代わりに空の粉体回収容器を画像形成装置に取付ける。また、粉体回収容器の画像形成装置への取付位置や構造によっては、画像形成部のメンテナンスを行う際にも、粉体回収容器の取外しと取付作業が必要になる。
【0004】
このように、粉体回収容器を装置から取外す作業を行った際に、開口部が開いたままであると、粉体回収容器内に回収した粉体が誤って外部に漏れる虞がある。そこで、開口部から粉体が漏れるのを防ぐために、開口部にシャッタが設けられることがある。
【0005】
特許文献1には、ノズル(粉体排出部)を挿入案内するノズルガイドに、シャッタによって開閉可能な排出口を設け、この排出口からノズルガイドの外側に配置された廃トナーガイドに廃トナー(粉体)を落下させ、廃トナーガイドに落下した廃トナーを落下口まで廃トナー搬送オーガによって搬送し、該落下口から落下させる廃トナーケースが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平9-160456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の粉体回収容器では、筒状のノズルガイドに設けられた排出口の上部をシャッタが開放位置と閉止位置に移動する構造が開示されているだけで、組立性や、シャッタが排出口を閉止する際の詳細な封止構造と封止性についての記載はない。また、ノズルガイドにノズルが挿抜される時の排出口からのトナー漏れの防止性も不明である。
【0008】
そこで、本発明は、簡単な構成でありながら粉体回収容器からの粉体の漏れを防止できる封止性のよい粉体回収容器及び画像形成装置を提供することを目的とする。特に、組立性がよく簡単で封止性のよい移動機構(シャッタ)を備える粉体回収容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明に係る粉体回収容器は、粉体排出部の排出口から排出される粉体を収容する粉体回収容器であって、前記粉体排出部が挿入される入口部と開口部が形成された平面状の底部とを有する挿入室と、前記開口部を介して前記挿入室と連通する粉体回収室と、前記挿入室内の前記開口部を閉塞する閉塞位置に配置され、前記粉体排出部の挿入動作と連動して前記開口部を開放し前記排出口と連通させる開放位置に移動する移動部材と、を備え、前記移動部材は、支持部から前記入口部側に向かって、互いに向かい合った状態で、前記挿入室の内壁に沿って延伸された第1案内部と第2案内部とを有し、前記第1案内部は、前記挿入室の底部側に配置され、前記開口部を閉塞する平面状の閉塞部と、前記開口部の前記入口部側にある入口側端部と接触する接触ストッパと、を有する、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記本発明に係る粉体回収容器を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、組立性がよく、簡単な構成でありながら粉体回収容器からの粉体の漏れを防止することができる。詳しくは、粉体を回収するために設けられた開口部からの漏れを防止し、粉体回収容器の封止性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態に係る画像形成装置を正面より視た概略断面図である。
図2図1に示す画像形成装置を正面側の斜め上方から視た斜視図である。
図3図1に示す画像形成装置の開閉扉を開放して画像形成装置本体から粉体回収容器を取り外した様子を正面側の斜め上方から視た斜視図である。
図4図3に示す粉体回収容器が画像形成装置本体の駆動部に取付けられた状態を背面側の斜め上方から視た斜視図である。
図5】粉体回収容器が画像形成装置本体から粉体を回収する状態を正面側の斜め上方から視た斜視図である。
図6A】粉体回収容器の挿入室部分を背面側の斜め上方から視た分解斜視図である。
図6B図6Aに示す挿入室において移動部材が取り付けられた状態を拡大して示す拡大斜視図である。
図7A】移動部材を背面側の斜め上方から視た斜視図である。
図7B】移動部材を正面側の斜め上方から視た斜視図である。
図7C】移動部材を側面から視た断面図である。
図7D】移動部材の背面図である。
図8A】移動部材と付勢部材とが挿入室に取り付けられる第1過程を側面から視た断面図である。
図8B】移動部材と付勢部材とが挿入室に取り付けられる第2過程を側面から視た断面図である。
図9A】粉体排出部が挿入室内に挿入される直前の第1過程を側面から視た断面図である。
図9B】粉体排出部が挿入室内に挿入され所定の位置で停止する途中の第2過程を側面から視た断面図である。
図9C】粉体排出部が挿入室内に挿入され所定の位置で停止する途中の第3過程を側面から視た断面図である。
図9D】粉体排出部が挿入室内に挿入され所定の位置で停止した状態を表す第4過程を側面から視た断面図である。
図10】第2実施形態に係る粉体回収容器の挿入室部分を正面側の下方から視た斜視図である。
図11】第3実施形態に係る移動部材が解放位置にある状態を背面側の斜め上方から視た斜視図である。
図12】粉体回収容器が正面側を下にして倒れた状態を側面から視た断面図である。
図13A】第4実施形態に係る粉体回収容器の挿入室部分を背面側の斜め上方から視た斜視図である。
図13B図13Aに示す粉体回収容器の挿入室部分を移動部材の真上から視た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0014】
[画像形成装置]
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置100を正面より視た概略断面図である。図2は、図1に示す画像形成装置100を正面側の斜め上方から視た斜視図である。また、図3は、図1に示す画像形成装置100の開閉扉101を開放して画像形成装置本体110から粉体回収容器200を取り外した様子を正面側の斜め上方から視た斜視図である。図1において、粉体回収容器200は図示を省略している。図において、符号Xは左右方向を、符号Yは奥行方向を、符号Zは上下方向(鉛直方向)をそれぞれ表している。
【0015】
本実施の形態に係る画像形成装置100は、用紙等のシートPに対して多色及び単色の画像を形成するカラー画像形成装置である。画像形成装置100は、原稿読取装置90により読み取られた画像データ、又は、外部から伝達された画像データに応じて、画像形成処理を行う。なお、画像形成装置100は、他の形態のカラー画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置100は、モノクロ画像形成装置であってもよい。
【0016】
画像形成装置100は、原稿読取装置90と、画像形成装置本体110とを備えている。画像形成装置本体110には、画像形成部102とシート搬送系103とが設けられている。
【0017】
画像形成部102は、露光ユニット1、複数の現像ユニット2BK,2C,2M,2Y、静電潜像担持体として作用する複数の感光体ドラム3~3、複数の感光体クリーニングユニット4BK,4C,4M,4Y、複数の帯電装置5~5、中間転写ベルト装置6、ベルトクリーニング装置4T、複数のトナーカートリッジ21~21及び定着ユニット7を備えている。また、シート搬送系103は、給紙トレイ81、排出ローラ31及び排出トレイ14を備えている。ここで、BK,C,M,Yは、それぞれ、黒色、シアン、マゼンタ、イエローを意味する。中間転写ベルト装置6は、中間転写ローラ65~65及び中間転写ベルト61を備えている。中間転写ローラ65~65は、中間転写ベルト61の内側に設けられている。中間転写ベルト61は、所定の周回移動方向Mに周回移動する。中間転写ローラ65~65は、感光体ドラム3~3の表面に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61の周回移動に伴い従動回転しつつ中間転写ベルト61に重ねて転写する。
【0018】
画像形成装置本体110の上部には、図示しない原稿の画像を読み取るための原稿読取装置90が設けられている。原稿読取装置90は、原稿が載置される原稿載置台92を備えている。原稿載置台92は、透明ガラスからなっている。また、原稿載置台92の上側には原稿読取装置90が設けられる。原稿読取装置90で読み取られた原稿の画像は、画像データとして画像形成装置本体110に送られ、シートP上に画像が記録される。
【0019】
画像形成装置本体110にはシート搬送路W1が設けられている。給紙トレイ81は、シートPをシート搬送路W1に供給する。シート搬送路W1は、シートPを転写ローラ10及び定着ユニット7を経て排出トレイ14に導く。定着ユニット7は、シートP上に形成されたトナー像をシートPに加熱定着する。シート搬送路W1の近傍には、ピックアップローラ11a、複数の搬送ローラ12a~12a、レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7におけるヒートローラ71及び加圧ローラ72、排出ローラ31が配設されている。
【0020】
画像形成装置100では、給紙トレイ81にて供給されたシートPは搬送ローラ12a~12aを経てレジストローラ13まで搬送される。次に、シートPはレジストローラ13によりシートPと中間転写ベルト61上のトナー像とを整合するタイミングで転写ローラ10に搬送され、転写ローラ10によりトナー像がシートP上に転写される。その後、シートPは定着ユニット7におけるヒートローラ71及び加圧ローラ72に通過し、搬送ローラ12a,12a及び排出ローラ31を経て排出トレイ14上に排出される。シートPの表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、シートPは排出ローラ31から反転シート搬送路W2へ逆方向に搬送される。シートPは反転搬送ローラ12b~12bを経てシートPの表裏を反転してレジストローラ13へ再度導かれる。そして、シートPは、表面と同様にして、裏面にトナー像が形成されて定着された後、排出トレイ14へ向けて排出される。
【0021】
現像ユニット2BK,2C,2M,2Yは、トナー及びキャリアを主成分とする2成分現像剤により感光体ドラム3~3上の静電潜像を現像する。
【0022】
感光体クリーニングユニット4BK,4C,4M,4Yは、中間転写ローラ65~65にてシートPに転写されずに中間転写ベルト61上に残った残留トナーを廃トナーとして収集し、回転駆動される搬送スクリュー42(後述する図5参照)により粉体回収容器200に搬送する。ベルトクリーニング装置4Tは、2次転写装置11にてシートPに転写されずに中間転写ベルト61上に残った残留トナーを廃トナーとして収集し、回転駆動される搬送スクリュー42により粉体回収容器200に搬送する。なお、感光体クリーニングユニット4BK,4C,4M,4Yは、感光体ドラム3と帯電装置5を支持する感光体ユニットに組み込んでもよいし、感光体ドラム3と帯電装置5及び対応する現像ユニット2BK,2C,2M,2Yが含まれたカートリッジに取り付けてもよい。
【0023】
粉体回収容器200は、画像形成装置本体110に着脱可能に設けられている。画像形成装置100では、トナーカートリッジ21~21から供給されるトナーにより画像形成部102で画像を形成(印刷)する一方、画像形成部102から排出される粉体F(廃トナー及び/又は廃現像剤、この例では廃トナー)を粉体回収容器200に回収する。
【0024】
粉体回収容器200は、画像形成装置本体110において奥行方向Yの一方側Y1(この例では正面側、操作側)に設けられている。粉体回収容器200は、感光体クリーニングユニット4BK,4C,4M,4Y及びベルトクリーニング装置4Tから送られてきた廃トナーを収容する。感光体クリーニングユニット4BK,4C,4M,4Y及びベルトクリーニング装置4Tは、それぞれ、粉体が排出される粉体排出部41BK,41C,41M,41Y,41Tを備えている。
【0025】
図3に示すように、粉体回収容器200は、画像形成装置本体110に対して奥行方向Yの一方側Y1(この例では正面側)に取り外され、奥行方向Yの他方側Y2(この例では背面側)に取り付けられる。粉体回収容器200は、画像形成装置本体110から排出される粉体を収容する。
【0026】
(粉体回収容器)
次に、本実施の形態に係る粉体回収容器200について図4から図13Bを参照しながら以下に詳しく説明する。
【0027】
<第1実施形態>
-基本構成-
図4は、図3に示す粉体回収容器200が画像形成装置本体110の駆動部170に取付けられた状態を背面側から視た斜視図である。図5は、粉体回収容器200が画像形成装置本体110から粉体Fを回収する状態を正面側の斜め上方から視た斜視図である。なお図5では、一部断面を含んでおり、移動部材210等は図示を省略している。また図5は、感光体クリーニングユニット4BKから排出される粉体Fを粉体回収容器200が回収する回収構成を示しているが、他の感光体クリーニングユニット4C,4M,4Y及びベルトクリーニング装置4Tについても同様であるため、回収構成を示す代表図として示している。粉体排出部41BK,41C,41M,41Y,41T(図3参照)は、以下の説明及び図面では、単に粉体排出部41~41という。
【0028】
次に、図4図5を用いて、粉体回収容器200の基本構造と、粉体排出部41~41から排出される粉体Fの回収機構について説明する。
【0029】
粉体回収容器200は、樹脂製で画像形成装置本体110の複数の粉体排出部41~41がそれぞれ挿入される挿入室201~201を有する。
【0030】
挿入室201~201は、各底部201bに開口部203~203が形成されており、挿入室201~201は、開口部203~203を介して下方に配置された粉体収容室202と連通している。言い換えると、粉体収容室202は、挿入室201~201の下方に配置されており、開口部203~203を介して挿入室201~201と連通する。
【0031】
開口部203~203は、粉体排出部41~41が挿入室201~201に挿入された状態、すなわち粉体回収容器200が、画像形成装置本体110に取り付けられた状態において、粉体排出部41~41の排出口41a~41aと対応する挿入室201~201の各底部201bの位置に形成される。
【0032】
そして図5に示すように、粉体排出部41~41の排出口41a~41aから排出される粉体Fは、開口部203~203を通って粉体収容室202内に回収される。
【0033】
なお、粉体排出部41~41には、感光体クリーニングユニット4BK、4C、4M、4Y及びベルトクリーニング装置4Tに設けられた図示しないクリーニング部、例えばブラシやブレード等によって回収した廃トナー等の粉体Fを開口部203~203まで搬送する搬送スクリュー42~42が設けられている。
【0034】
また、本実施例では、開口部203~203は、挿入室201~201内の底部201b~201bと粉体収容室202内の天面202aとを貫通する穴状であったが、管状にしてもよい。
【0035】
挿入室201~201内には、移動部材210が配置されるが、これについては後述する。
【0036】
ここからは、粉体収容室202内に回収された粉体Fの処理について簡単に説明する。
【0037】
粉体収容室202内に開口部203~203から落下した粉体Fは、山形に積み上がるので、均一に均さないと粉体収容室202の空間を有効活用できない。そのため、粉体収容室202内には回転可能に支持された粉体均し部材220(図5参照)が配置されている。
【0038】
粉体均し部材220は、回転軸221と、均し部222とを有し、端部がギヤ151と係合している。
【0039】
一方、画像形成装置本体110には、粉体均し部材220を駆動する駆動源140と駆動伝達手段150と(図4参照)が設けられている。
【0040】
粉体回収容器200が画像形成装置本体110の駆動部170に取り付けられると、ギヤ151は駆動源140の回転力を伝える駆動伝達手段150に接続される。回転軸221は、粉体収容室202に左右方向Xに沿った回転軸線回りに回転自在に支持されているので、駆動伝達手段150からの回転力を受けて所定の回転方向R(図5参照)に回転駆動される。これによって粉体収容室202内に山形に積み上がった粉体Fは、均されて均一に積み上がるようになる。つまり、粉体収容室202の空間を有効活用することができる。
【0041】
-満杯検出-
次に、粉体回収容器200に取り付けられた図4に示す被検知部230の機能と粉体回収容器200の満杯検出のしくみについて簡単に説明する。
【0042】
被検知部230は、粉体収容室202に収容された粉体Fの量を画像形成装置本体110が検知するためのものである。被検知部230は、粉体収容室202内の粉体Fの量が少ないときは左右方向Xの一方側X1へ退避しているが、粉体収容室202内の粉体Fの量の増加に伴って左右方向Xの他方側X2へ移動し、粉体収容室202内の粉体Fの量が所定値以上になると左右方向Xの他方側X2への移動が停止し左右方向Xの他方側X2へ突出した状態となる。詳細な説明は省くが、この被検知部230の移動は、粉体均し部材220とギヤ151の間に配置され、粉体均し部材220が回転する時に粉体収容室202内の粉体Fから受ける力が大きくなると左右方向Xの他方側X2へ徐々に移動する移動部材240(図5参照)の動きと連動して行われる。
【0043】
画像形成装置100は、被検知部230のこの移動を検知する検知部160(粉体検知部)を備えている。検知部160は、被検知部230による光学的変化を検知する光センサーとされている。この例では、検知部160は、発光部161と受光部162とを備えている。検知部160は、発光部161と受光部162との間の被検知部230の有無を検知する。
【0044】
検知部160は、発光部161と受光部162との間に被検知部230が存在していないときにその旨を知らせる第1信号(ON信号)を制御部300(図1参照)に送信する。また、検知部160は、発光部161と受光部162との間に被検知部230が存在しているときにその旨を知らせる第2信号(OFF信号)を制御部300に送信する。これにより、制御部300は、粉体Fの満杯時期を検出(認識)することができる。
【0045】
以上のようにして画像形成装置本体110の制御部300が粉体収容室202の満杯を検出した状態になると、制御部300は操作部等に粉体回収容器200が満杯になった表示等を行う。そして、それを確認したユーザもしくはサービスマンは、粉体回収容器200を画像形成装置本体110から取外し、代わりに新しい空の粉体回収容器200を画像形成装置に取り付ける。このようにして粉体回収容器200の交換作業が行われる。
【0046】
-移動部材と取付位置-
ここでは、図6A図6B図7A図7Dを参照して、本実施形態の移動部材とその取付位について説明する。また、これ以降の符号表記は一つだけを代表として表示することとする。
【0047】
図6Aは、粉体回収容器200の挿入室201部分を背面側の斜め上方から視た分解斜視図である。図6Aに示す分解斜視図では、説明のため一部断面を含み、移動部材210と付勢部材280とは、粉体回収容器200から取り外した状態を示している。また、図6Bは、図6Aに示す挿入室201において移動部材210が取り付けられた状態を拡大して示す拡大斜視図である。
【0048】
図7Aは、移動部材210を背面側の斜め上方から視た斜視図である。図7Bは、移動部材210を正面側の斜め上方から視た斜視図である。図7Cは、移動部材210を側面から視た断面図である。また、図7Dは、移動部材210の背面図である。
【0049】
図6A図6Bに示すように、粉体回収容器200の挿入室201には、付勢部材280と共に移動部材210が取り付けられる。移動部材210は樹脂製で、付勢部材280にはコイルスプリング等が使用できる。
【0050】
挿入室201の底部201bは平面状で、粉体収容室202との連通口である開口部203が入口部201a側に形成される。
【0051】
移動部材210には、開口部203を閉塞する平面状の閉塞部212aと、閉塞部212aの入口部201a側に開口部203の入口側端部203aと接触する接触ストッパ212bとが形成される。
【0052】
図6Bに示すように、挿入室201内に取り付けられた移動部材210は、付勢部材280の付勢力によって、入口部201a側に移動し、接触ストッパ212bが開口部203の入口側端部203aと接触する位置で停止する。このとき、開口部203は、閉塞部212aによって覆われ、完全に閉塞される。つまり付勢部材280によって移動部材210は、開口部203を閉塞する閉塞位置に配置される。なお、ここでは、接触ストッパ212bは、第1案内部212の端部210cと同一面上に形成されている。
【0053】
平面状の挿入室201の底部201bに形成されている開口部203は、底部201bの幅方向H(挿抜方向Sと直交する方向)において全面に形成されるのではなく、幅方向Hの両端部には、移動部材210の案内部201cが形成されている。案内部201cは、底部201bの一部であり、底部201bと同一平面を有する。そのため、開口部203の周縁部は平面状に形成される。平面は比較的精度よく成形することができ、寸法管理も容易であるため、平面状に形成された閉塞部212aによって開口部203の周縁部を一様に精度よく覆うことができる。つまり、開口部203の周囲を精度よく封止できるので、開口部203の封止性を向上できる。
【0054】
またこのとき、付勢部材280の付勢力によって接触ストッパ212bと開口部203の入口側端部203aとが密着するので、更に開口部203の封止性を向上できる。
【0055】
なお、移動部材210は、付勢部材280の付勢力によって閉塞位置に配置されているだけなので、移動部材210に付勢部材280の付勢力と反対向きの力を作用させれば、移動部材210は付勢力と反対の方向に移動させることができる。この移動部材210の移動に関しては後で説明する。
【0056】
また、挿入室201は、第1案内部212の幅方向Hの両端部と向かい合う位置に、挿抜方向Sに沿って形成された側壁対向壁201mを備える。これによって閉塞部212aを確実に開口部203の位置に案内することができる。
【0057】
-移動部材の形状-
ここでは、移動部材210の形状について図6B図7A図7Dを用いて説明する。
【0058】
図6Bに示すように、移動部材210は、支持部211から入口部201a側に向かって、互いに向かい合った状態で、挿入室201の内壁201kに沿って延伸された第1案内部212と第2案内部213を有する。このうち第1案内部212は、内壁201kの一つである平面状の底部201bに沿って延伸されており、第2案内部213は、円弧状の天面201dに沿って延伸されている。
【0059】
この延伸方向は、粉体排出部41の挿抜方向Sと同じで、後述する移動部材210の移動方向Tと同じであり、付勢部材280の付勢方向とも同じである。
【0060】
移動部材210は、図7A図7Dで分かるように、第2案内部213の外周部は円弧上で、第1案内部212の外側は、平面状である。第1案内部212は、支持部211から板状に延伸されており、支持部211と反対側に閉塞部212aと接触ストッパ212bとが形成される。接触ストッパ212bは、閉塞部212aから開口部203側に突出しており、支持部211側に向かって突出量が小さくなる第1傾斜部212cを有する。
【0061】
接触ストッパ212bは開口部203の入口側端部203aと当接できればよいので、開口部203の入口側端部203aを挿入室201の天面201d側へ突出させてもよい。つまり底部201bの入口側底部201fを全体的に天面201d側に突出した形状にしてもよい。このような構成にすれば、接触ストッパ212bは、開口部203側に突出させなくても、第1案内部212の入口部201a側の端部210cで、開口部203の入口側端部203aの封止性を確保できるようになる。つまり、端部210c自体を接触ストッパ212bとすることができる。
【0062】
また、支持部211の入口部201a側は、粉体排出部41の挿抜方向Sと直交する面を有している。そして、第1案内部212は、この面と略直交する角度θ1で支持されているが、この角度は、直角より多少大きくしてもよい。つまり、第1案内部212の入口部201a側の端部210cが支持部211の下端部211aより、開口部203側に突出するように形成してもよい。このようにすると、第1案内部212の端部210cが、より開口部203側に接近するので、より開口部203の入口側端部203aの封止性を向上できる。
【0063】
第1案内部212の支持部211から挿抜方向Sの長さL1と第2案内部213の挿抜方向Sの長さL2とは、同じか、L2の方がL1より長くなるように形成されている。このようにすることで、第1案内部212が底部201bに対して傾きにくくなり、ひいては閉塞部212aが開口部203に対して傾かず、安定して開口部203を封止できる。
【0064】
なお、支持部211は、付勢部材280と当接する付勢部材当接部211cを入口部201a側と反対側に有する。
【0065】
移動部材210を入口部201a側から視た形状、すなわち挿抜方向Sの断面形状は、円形と矩形が上下に繋がった形状を有している。(図7D参照)この断面形状は、円の一部が直線であるD形状にしてもよい。なお、移動部材210が配置される挿入室201の挿抜方向Sの断面形状は、移動部材210の断面形状と略同一で、移動部材210の断面より少し大き目に形成されている。
【0066】
円(弧)の中心位置には、後述する延出部201hが挿通される貫通孔状の挿通部214が形成される。
【0067】
-移動部材の取付-
ここでは、図8A図8Bを用いて、移動部材210と付勢部材280とが粉体回収容器200に取り付けられる過程(工程)と動作を説明する。
【0068】
図8A及び図8Bは、移動部材210と付勢部材280とが挿入室201に取り付けられる第1過程及び第2過程を側面から視た断面図である。
【0069】
移動部材210と付勢部材280は、付勢部材280、移動部材210の順で、粉体回収容器200の挿入室201へ取り付けられる。
【0070】
図8Aは、図6Aの状態にある付勢部材280と移動部材210とを、挿入室201に挿入している途中状態を説明した図である。図8Aは、第1案内部212の接触ストッパ212bの第1傾斜部212cが、挿入室201の入口側底部201fに乗り上げた状態(第1過程)を示している。
【0071】
作業者が、粉体回収容器200の組立作業時に移動部材210を挿入室201に挿入しようとすると、第1案内部212の第1傾斜部212cが挿入室201の入口端部201eと当接する。入口端部201eは、挿入室201の入口側底部201fに向かって傾斜した傾斜部を有するため、作業者が更に移動部材210を挿入方向S1に移動させると、第1傾斜部212cは傾斜部に沿って移動する。このとき、第1案内部212が支持部211から板状に延伸された構造をしているので、第1案内部212が適度に撓んで第1傾斜部212cの位置が撓み方向E1に変位する。そのため、第1傾斜部212cは、スムーズに入口側底部201fに乗り上げることができる。
【0072】
作業者が更に移動部材210を挿入方向S1に移動させると、第1傾斜部212cは入口側底部201fから外れる。このとき、第1案内部212の撓みが開放されるので、復元力により第1傾斜部212cは解除方向E2に移動する。(図8B)このとき、作業者が移動部材210に加えていた力を取り去ると、移動部材210は付勢部材280の付勢力によって、離脱方向S2に移動するが、接触ストッパ212bが開口部203の入口側端部203aと当接して停止する。
【0073】
以上のように、第1案内部212が支持部211から板状、特に平板状に延伸されていることと、接触ストッパ212bが第1傾斜部212cを有することから、移動部材210を簡単に挿入室201に挿入することができる。つまり、組立性がよい。
【0074】
-移動部材と粉体排出部-
ここでは、粉体回収容器200の画像形成装置本体110への取付け動作と連動して移動部材210が移動する仕組みについて、図9A図9Dを用いて説明する。
【0075】
粉体回収容器200が作業者によって画像形成装置本体110に取り付けられるとき、画像形成装置本体110の粉体排出部41は、粉体回収容器200の挿入室201に挿入される。この挿入過程を順番に説明したのが図9A図9Dである。図9Aは、粉体排出部41が挿入室201に挿入される直前。図9Dは、粉体排出部41が挿入室201に挿入され所定の位置で停止した取付完了状態を表し、図9B図9Cはその途中過程を示している。いずれも状態を分かりやすくするために挿抜方向Sと直交する方向(左右方向X)の断面で表示している。なお、図中に表示されている移動部材210は、後述する第1案内部212の端部に形成される覆い部212eと、同じく後述する第2案内部213に形成された突出部213aとを備えているが、移動部材210の移動性についての違いはなく、図6から図8で説明した移動部材210と動作性は変わらない。
【0076】
粉体回収容器200が画像形成装置本体110に取り付けられる前は、図9Aに示すように、移動部材210は閉塞位置にあり、開口部203を閉塞している。一方、粉体排出部41の排出口41aも付勢部材44の付勢力によって付勢されたシャッタ部材43aで閉塞されている。粉体排出部41とシャッタ部材43aは円筒形状をしている。粉体排出部41の排出口41aは、粉体排出部41の円筒部を貫通するように形成されている。粉体排出部41の内部に配置されたシャッタ部材43aは、円筒の片側端が閉塞しており、閉塞した端部の下側の円筒部に排出口41aと粉体排出部41の内部空間とを連通させるための孔部が形成されている。搬送スクリュー42は、シャッタ部材43aと付勢部材44の内側に配置され、図示しない側の端部で回動可能に感光体クリーニングユニット4に支持される。感光体クリーニングユニット4が有するクリーニングブレード等の粉体回収部は、搬送スクリュー42の図示しない端部側に配置されている。
【0077】
また、粉体排出部41の粉体回収容器200側の端部には、挿入室201の対向壁部201gに設けられた延出部201hが挿通する挿通孔41bが形成されている。シャッタ部材43aは、閉塞された端部側が、付勢部材44によって挿通孔41bの形成された壁部と当接する位置、すなわち排出口41aが閉塞される閉塞位置に配置されている。なお付勢部材44は、シャッタ部材43aと係止部45の間に配置されている。以上のように図9Aの状態では、粉体回収容器200の開口部203も粉体排出部41の排出口41aも閉塞されている。
【0078】
図9Bは、作業者が粉体回収容器200を画像形成装置本体110に取り付け始めた初期状態における粉体回収容器200の開口部203と粉体排出部41の排出口41aの状態を説明した図である。図9Bは、移動部材210が、粉体排出部41の端部である被当接部43bに押されて開放方向T2に移動し、開口部203が半分開放された状態を示している。つまり粉体排出部41の被当接部43bが、支持部211と接触し支持部211を開放方向T2に移動させるので、第1案内部212の接触ストッパ212bが、開口部203の入口側端部203aから離れ、開口部203が開放され始める。このとき挿入室201の対向壁部201gに設けられた延出部201hの入口側端部が、移動部材210の支持部211の挿通部214と粉体排出部41の挿通孔41bとを貫通し、シャッタ部材43aと当接し排出口41aを開放する方向に移動させる。しかし図9Bでは、粉体排出部41の排出口41aが挿入室201内に完全に収容された位置まで挿入されているが、排出口41aはまだシャッタ部材43aによって閉塞されている状態にある。このように、図9Aから図9Bの過程では、排出口41aは開かないので、挿入室201内に排出口41aから粉体Fが落下することはない。
【0079】
作業者が粉体回収容器200の取付け作業を進め、粉体回収容器200を画像形成装置本体110の取り付け位置側に移動させると、移動部材210は、粉体排出部41に押され更に挿入方向S1側に移動する。この状態を示したのが図9Cである。
【0080】
図9Cは、粉体排出部41の排出口41aを閉塞していたシャッタ部材43aが、延出部201hによって入口部201a側に移動し、シャッタ部材43aが排出口41aを開放し始めた状態を示している。この状態において、排出口41aの下側に配置された開口部203は、既に3/4解放状態にあり、排出口41aから排出され始めた粉体Fは、解放された開口部203を通じて粉体収容室202に落下し始める。言い換えると、開口部203が開放された状態で、排出口41aの開放が始まる。
【0081】
図9Dは、粉体回収容器200の画像形成装置本体110への取付けが完了した状態で、排出口41aの開放領域が図9Cより更に拡大した状態を示している。
【0082】
このように、粉体回収容器200が画像形成装置本体110に取り付けられると、粉体排出部41が粉体回収容器200の開口部203を閉塞する閉塞位置にある移動部材210を開放方向T2に移動させ開口部203を開放させると同時に、粉体回収容器200が備える延出部201hと当接することで排出口41aを閉塞しているシャッタ部材43aが開放方向T2に移動する。つまり、粉体回収容器200の取付動作と連動して、排出口41aと開口部203が開放され、粉体排出部41の内部と粉体収容室202とが連通する。
【0083】
なお粉体回収容器200を画像形成装置本体110から取り外す際には、上述した反対の動作が行われる。粉体排出部41が挿入室201から離脱する離脱方向S2に移動すると、移動部材210とシャッタ部材43aとは付勢部材280,44によってそれぞれ閉塞位置に移動し、開口部203と排出口41aは、それぞれ閉塞される。特に排出口41aは、完全に閉塞してから挿入室201から取り出されるので、粉体回収容器200の外側に粉体Fが落下することはない。
【0084】
以上のように本実施形態によれば、開口部203と排出口41aは、粉体回収容器200の取り付け作業と連動して開放と閉塞が自動的に行われる。つまり特別な動作をしなくても自動的に開口部203と排出口41aを閉塞できるため、効果的に開口部203と排出口41aを封止できる。
【0085】
更に、排出口41aが開きながら挿入室201に挿入されることがないので、装着動作時に粉体Fが挿入室201の外側、すなわち粉体回収容器200の外に漏れ落ちることがない。また、排出口41aは完全に閉塞してから挿入室201から取り出されるので、取り外し作業時においても挿入室201に粉体Fが落下することを効果的に防止できる。
【0086】
なお本実施形態では、挿入室201の入口部201aに、スポンジ等の弾性部材で形成され、粉体排出部41が挿通される孔部を有するシール部材270が配置されている。シール部材270の孔部の挿抜方向Sの断面形状は、挿入室201の挿抜方向Sの断面形状より小さい。
【0087】
このように構成することで、上述した粉体回収容器200の着脱作業時において、万一挿入室201に粉体Fが落下したとしても、挿入室201に落下した粉体Fをシール部材270によって堰き止めることができる。従って、より確実に挿入室201の外側に粉体Fが漏れることを防止できる。
【0088】
<第2実施形態>
図10は、第2実施形態に係る粉体回収容器200の挿入室201部分を正面側の下方から視た斜視図である。図10に示す斜視図では、一部断面を含んでいる。
【0089】
本実施の形態では、移動部材210の第1案内部212が、開口部203の入口側端部203aの外縁部を覆う覆い部212eを有している。そのほかの構成は、第1実施形態と同じであるため、ここでは覆い部212eについて説明する。
【0090】
覆い部212eは、第1案内部212の端部210cにある接触ストッパ212bの位置から入口部201a側に所定の長さL3だけ延伸されて形成される。覆い部212eの開口部203側は平面形状で、挿入室201の底部201bに沿うように閉塞部212aと同一平面に形成される。
【0091】
覆い部212eは、移動部材210が閉塞位置にある状態において、開口部203の入口部201a側にある端縁部201jを覆うので、開口部203の入口部201a側端部における封止性を更に向上させることができる。
【0092】
なおこのように覆い部212eを設ける場合は、入口部201a側の封止性が向上するので、接触ストッパ212bの幅方向Hの長さを短く構成してもよい。
【0093】
<第3実施形態>
図11は第3実施形態を有する移動部材210が解放位置にある状態を背面側の斜め上方から視た斜視図である。図11は、説明のため、一部に断面表示が含まれている。
【0094】
本実施の形態では、図11に示すように、第1案内部212は、一対の側壁部212dを更に有している。一対の側壁部212dは、第1案内部212の幅方向Hにおける両端部から第2案内部213側にそれぞれ立設されている。こうすることで、第1案内部212の剛性が向上して閉塞部212aが反りにくくなるので、閉塞部212aの平面性をより向上できる。それゆえ、開口部203における封止性を更に向上できる。
【0095】
また挿入室201の各側壁部212dと対向する位置には、移動方向Tに沿ってそれぞれ形成された側壁対向壁201mが、形成される。これによって、第1案内部212を移動方向Tにスムーズに移動させることができる。
【0096】
更に、第3実施形態においては、第2案内部213の外周部に突出部213aを有する。
【0097】
この例では、突出部213aは、支持部211と対応する位置から入口部201a側の端部まで形成されており、突出部の幅方向Hの長さは、第2案内部213の幅方向Hの長さより短い。つまり突出部213aの幅方向Hの外側には第2案内部213の円弧状の外径部が存在する。
【0098】
以上のように構成することで、第2案内部213の剛性を上げることができ、支持部211から延伸されている第2案内部213の捩じれや反りを防止することができる。つまり、第2案内部213と挿入室201との隙間管理、ひいては移動部材210と挿入室201との隙間管理が精度よくできるようになり、移動部材210の移動を滑らかに行うことができる。更に、第1案内部212の閉塞部212aでの開口部203の封止性も向上できる。
【0099】
また、挿入室201内には、突出部213aと対応する位置に、移動方向Tに沿って形成された案内部201iを有する。このようにすることで、第2案内部213の円弧部の周方向の位置決めがなされるので、移動部材210の移動方向Tの移動を安定させることができ、ひいては第1案内部212の閉塞部212aでの開口部203の封止性も向上できる。
【0100】
更に、突出部213aは入口部201a側が最も高く突出するように形成されている。こうすることで移動部材210と挿入室201とのクリアランスを移動部材210の入口部201a側、すなわち閉塞部212aのある側で最小にすることができる。つまり、一番漏れやすい開口部203の入口側端部203aを効果的に閉塞することができる。なお、移動部材210と挿入室201とのクリアランスが狭いのは、移動部材210の入口部201a側の端部だけなので、移動部材210の移動性を阻害することはない。
【0101】
ところで、粉体回収容器200が倒れた場合(例えば正面側を下にして倒れた場合)、開口部203またはその周囲が粉体回収容器200内の粉体Fに汚染されることがある。
【0102】
図12は、粉体回収容器200が正面側を下にして倒れた状態を側面から視た断面図である。
【0103】
本実施の形態において、図12に示すように、粉体収容室202内の天面202aには、垂れ壁部202cが設けられている。垂れ壁部202cは、開口部203の周縁部202bにおける少なくとも一部(この例では正面側の縁部分)において下方に立設されている。
【0104】
こうすることで、粉体回収容器200が図中のJ1の方向に倒れたとしても(正面側を下にして倒れたとしても)、開口部203側に移動する粉体Fの流れを、垂れ壁部202cによって図中J2の方向に跳ね返し、粉体Fが開口部203部に直接流れ込まないようにできる。つまり、粉体Fが勢いよく開口部203に流れ込まないので開口部203から粉体Fが漏れ出ることを抑制することができる。なお、垂れ壁部202cは、天面202aの開口部203の周縁部202bの全周に亘って設けられていてもよい。
【0105】
<第4実施形態>
図13Aは、第4実施形態に係る粉体回収容器200の挿入室201部分を背面側の斜め上方から視た斜視図で、説明のため、一部に断面表示が含まれる。図13Bは、図13Aに示す粉体回収容器200の挿入室201部分を移動部材210の真上から視た断面図である。
【0106】
本実施の形態は、第1案内部212の端部210cに、一対の第2傾斜部210bを有している。その他の構成は上述した実施形態と同じであるため、ここでは各第2傾斜部210bについて説明する。
【0107】
各第2傾斜部210bは、第1案内部212の幅方向Hの両端部から入口部201a側に突出して設けられている。各第2傾斜部210bは、移動部材210の移動方向Tに対して所定の傾斜角度θ2(図13B参照)を有する傾斜面を有し、互いの傾斜角度θ2が交差する方向に配置される。言い換えると一対の第2傾斜部210bは、端部210cから入口部201a側に向かうほど、互いの間隔距離が広がるように構成されている。
【0108】
ここで、移動部材210の移動方向Tと直交する幅方向Hの長さである第1距離d3(図13A参照)は、開口部203の幅方向Hの長さである第2距離d4(図13A参照)よりも大きく、各第2傾斜部210bの幅方向Hの間隔である第3距離d5(図13B参照)は、端部210cでは、第2距離d4より短く、入口部201a側の端部では、第2距離d4より長く構成される。
【0109】
このように構成することで、粉体Fが万一何かの拍子で挿入室201内に落下しても、移動部材210が付勢部材280に押されて閉塞方向T1に移動するときに、第2傾斜部210bが落下した粉体Fを開口部203に案内し粉体収容室202に回収することができる。
【0110】
(その他の実施の形態)
本実施の形態において、第1案内部212の幅方向Hにおける両端部と第2案内部213の幅方向Hにおける両端部とのそれぞれの間に一対の側壁が設けられていてもよい。一対の側壁は、第2案内部213の曲率半径と同じであり、第2案内部213とで円弧形状を構成する態様を例示できる。また、一対の側壁には、支持部211の入口部201a側の端部から閉塞方向T1に延びるスリットがそれぞれ設けられていてもよい。
【0111】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、係る実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。更に、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0112】
100 画像形成装置
101 開閉扉
200 粉体回収容器
201 挿入室
201a 入口部
201b 底部
201c 案内部
201d 天面
201e 入口端部
201f 入口側底部
201g 対向壁部
201h 延出部
201i 案内部
201j 端縁部
201k 内壁
201m 側壁対向壁
202 粉体収容室
202a 天面
202b 周縁部
202c 壁部
203 開口部
203a 入口側端部
210 移動部材
210b 第2傾斜部
210c 端部
211 支持部
211a 下端部
211c 付勢部材当接部
212 第1案内部
212a 閉塞部
212b 接触ストッパ
212c 第1傾斜部
212d 側壁部
212e 覆い部
213 第2案内部
213a 突出部
214 挿通部
220 粉体均し部材
221 回転軸
222 均し部
230 被検知部
240 移動部材
270 シール部材
280 付勢部材
41 粉体排出部
41a 排出口
41b 挿通孔
42 搬送スクリュー
43a シャッタ部材
43b 被当接部
44 付勢部材
4BK 感光体クリーニングユニット
4C 感光体クリーニングユニット
4M 感光体クリーニングユニット
4Y 感光体クリーニングユニット
4T ベルトクリーニング装置
E1 撓み方向
E2 解除方向
F 粉体
H 幅方向
R 回転方向
S 挿抜方向
S1 挿入方向
S2 離脱方向
T 移動方向
T1 閉塞方向
T2 開放方向
X 左右方向
Y 奥行方向
Z 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12
図13A
図13B