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  • 特許-スナバ回路および電源装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】スナバ回路および電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
H02M3/155 R
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020072502
(22)【出願日】2020-04-14
(65)【公開番号】P2021170867
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】塩見 竹史
【審査官】町田 舞
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-206282(JP,A)
【文献】特開平05-161253(JP,A)
【文献】特開2002-272141(JP,A)
【文献】特開2008-206283(JP,A)
【文献】特開平06-209580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00-1/44
H02M 3/00-3/44
H02M 7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電位ノードとスイッチノードと基準電位ノードとを備えるスイッチング回路に接続されたスナバ回路であって、
上記スイッチング回路は、
上記高電位ノードと上記スイッチノードとの間に接続された上側スイッチ素子と、
上記スイッチノードと上記基準電位ノードとの間に接続された下側スイッチ素子と、
上記高電位ノードと上記基準電位ノードとの間に接続されたバイパスコンデンサと、を備えており、
上記スナバ回路は、スナバコンデンサとダイオードとコイルとを備えており、
上記スナバコンデンサは、負極が上記基準電位ノードに接続されており、
上記ダイオードは、(i)アノードが上記スイッチノードに接続されており、かつ、(ii)カソードが上記スナバコンデンサの正極に接続されており、
上記コイルは、(i)一端が上記スナバコンデンサの正極に接続されており、かつ、(ii)他端が上記高電位ノードに接続されており、
上記スナバコンデンサと上記コイルと上記バイパスコンデンサとから構成される経路のインダクタンスは、
上記バイパスコンデンサと上記上側スイッチ素子と上記ダイオードと上記スナバコンデンサとから構成される経路のインダクタンスの2倍以上であり、
上記下側スイッチ素子がターンONした後において、
上記コイルに印加される電圧振幅の共振周波数は、10MHz以下であって、
上記電圧振幅は2回以上継続される、スナバ回路。
【請求項2】
請求項1に記載のスナバ回路を備えた、電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、スナバ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
スナバ回路は、スイッチ素子に印加されるサージ電圧を抑制するために付加される。一方で、スナバ回路において発生する損失も問題になっている。特許文献1には、スナバ回路の損失削減を目的とした放電阻止スナバが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-39810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
但し、このような放電阻止スナバを用いても、なおも損失削減の余地がある。本開示の一態様は、従来よりも損失削減が可能なスナバ回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係るスナバ回路は、高電位ノードとスイッチノードと基準電位ノードとを備えるスイッチング回路に接続されたスナバ回路であって、上記スイッチング回路は、上記高電位ノードと上記スイッチノードとの間に接続された上側スイッチ素子と、上記スイッチノードと上記基準電位ノードとの間に接続された下側スイッチ素子と、上記高電位ノードと上記基準電位ノードとの間に接続されたバイパスコンデンサと、を備えており、上記スナバ回路は、スナバコンデンサとダイオードとコイルとを備えており、上記スナバコンデンサは、負極が上記基準電位ノードに接続されており、上記ダイオードは、(i)アノードが上記スイッチノードに接続されており、かつ、(ii)カソードが上記スナバコンデンサの正極に接続されており、上記コイルは、(i)一端が上記スナバコンデンサの正極に接続されており、かつ、(ii)他端が上記高電位ノードに接続されている。
【0006】
また、上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係るスナバ回路は、高電位ノードとスイッチノードと基準電位ノードとに接続されたスナバ回路であって、上記スナバ回路は、スナバコンデンサとダイオードとコイルとを備えており、上記スナバコンデンサは、負極が上記基準電位ノードに接続されており、上記ダイオードは、(i)アノードが上記スイッチノードに接続されており、かつ、(ii)カソードが上記スナバコンデンサの正極に接続されており、上記コイルは、(i)一端が上記スナバコンデンサの正極に接続されており、かつ、(ii)他端が上記高電位ノードに接続されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、従来よりもスナバ回路の損失を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1のスナバ回路と電源回路とを示す図である。
図2】スナバ回路の電流経路を示す図である。
図3】スナバ回路の各部の動作波形を示す図である。
図4】スナバ回路のコイルの電圧波形を示す図である。
図5】実施形態2の電源装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
実施形態1のスナバ回路1は、電源回路10において発生するサージ電圧を抑制することに加えて、当該スナバ回路1において発生する損失も抑制する。これらの内容を図1から図4を用いて以下に説明する。電源回路10の構成は、図1を用いて説明する。電源回路10およびスナバ回路1の動作は、図2から図4を用いて説明する。
【0010】
実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、以降の実施形態では、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。記載の簡潔化のために、例えば「高電圧電源HV1」を、単に「HV1」とも表記する。また、以下に述べる各数値は、単なる一例であることに留意されたい。
【0011】
(電源回路10の構成の概要)
電源回路10は、高電圧電源HV1と低電圧電源LV1との間で、双方向に電力を伝達できる双方向DCDCコンバータである。電源回路10には、スイッチング回路5とスナバ回路1とが設けられている。スナバ回路1は、スイッチング回路5に接続されている。
【0012】
(電源回路10の高電圧部の構成)
高電圧部には、HV1とコンデンサHC1とバイパスコンデンサBC1とが設けられている。HV1の正極の電圧は400Vであり、負極の電圧は0Vである。HC1の静電容量は、1mFである。BC1は、静電容量が1μFのフィルムコンデンサである。実施形態1では、0Vを基準電位とする。そして、0Vのノードを基準電位ノードと称する。また、基準電位よりも高い電位を、高電位と称する。そして、高電位のノードを、高電位ノードと称する。本明細書における高電位は、例えば10Vから1200Vの電圧である。HV1の電圧によって決定される400Vのノードは、高電位ノードの一例である。
【0013】
BC1は、HC1に比べて、以下に述べるスイッチ部に近い位置に設置されている。BC1は、高電位ノードと基準電位ノードとの間に接続されている。
【0014】
(電源回路10の低電圧部の構成)
低電圧部には、LV1とコンデンサLC1とコイルCO1とが設けられている。LV1の正極(+側)の電圧は200Vであり、負極(-側)の電圧は0Vである。LC1の静電容量は、1μFである。CO1のインダクタンスは、1mHであり、CO1の平均電流は12Aである。
【0015】
(電源回路10のスイッチ部の構成)
スイッチ部は、上側スイッチ素子HS1と下側スイッチ素子LS1とのハーフブリッジ構造を備える。HS1とLS1との接続点が、スイッチノードである。スイッチノードには、CO1の一端が接続されている。HS1は、高電位ノードとスイッチノードとの間に接続されている。LS1は、スイッチノードと基準電位ノードとの間に接続されている。
【0016】
HS1およびLS1のそれぞれのゲート端子は、後述する制御回路9に接続されている。スイッチノードの電圧は、HS1またはLS1のスイッチングによって、400Vと0Vとに交互に切り替わる。
【0017】
HS1およびLS1はいずれも、ドレイン耐圧が650Vであり、かつ、オン抵抗が50mΩの、カスコード型のGaN-HEMTである。図1の例では、MOSFETの回路記号を用いて、カスコードGaN-HEMTを表している。HS1およびLS1は、電源回路の種類によって、他のスイッチ素子に置き換え可能である。なお、本明細書におけるスイッチ素子の定義は、以下の通りである。
【0018】
「スイッチ素子」:スイッチノードの電圧を変化させることができる素子。スイッチ素子には、整流素子、トランジスタ素子、および磁気素子(例:トランスの巻線およびコイル)が含まれる。
【0019】
(電源回路10のスイッチング回路5の構成)
スイッチ部であるHS1とLS1とに、BC1を加えた構成が、スイッチング回路5である。
【0020】
(電源回路10のスナバ回路1の構成)
スナバ回路1は、スナバコンデンサSC1とダイオードSD1とコイルSL1とを備える。
【0021】
SC1は、耐圧が630Vであり、かつ、静電容量が4.7nFの積層セラミックコンデンサである。SC1の負極(図1における下側)が、基準電位ノードに接続されている。
【0022】
SD1は、耐圧が600V、導通開始時点のVFが1V、導通状態における抵抗が0.13ΩのFRD(Fast Recovery Diode)である。SD1のアノードは、スイッチノードに接続されている。SD1のカソードは、SC1の正極(図1における上側)に接続されている。
【0023】
SL1は、インダクタンスが470nHであり、かつ、抵抗が70mΩのチップコイルである。SL1の一端は、SC1の正極に接続されている。SL1の他端は、高電位ノードに接続されている。
【0024】
(電源回路10の動作の説明)
電源回路10は、一般的な双方向DCDCコンバータと同じ動作を行う。HS1またはLS1のオンとオフとを制御することによって、双方向に電力を伝達する。LS1がオフする時に、基準電位ノードとスイッチノードとの間でサージ電圧が発生する。言い換えると、LS1にサージ電圧が発生する。
【0025】
図2から図4を用いて、スナバ回路1の動作を説明する。
【0026】
図2は、図1のスナバ回路1の電流経路を示す図である。図2では、図1と同じ回路図が示されているが、図1における一部の符号を省略している。
【0027】
図3は、スナバ回路1の各部の波形を、共通の時間軸(横軸)のもとに示している。図3の波形はそれぞれ、
・LS1V(LS1の電圧):基準電位ノードを基準としたスイッチノードの電圧;
・SC1V(SC1の電圧):負極を基準とした正極の電圧;
・SL1V(SL1の電圧):高電位ノード側の端子を基準とした、SC1側の端子電圧;
・SD1I(SD1の電流):アノードからカソードへ流れる電流;
・SL1I(SL1の電流):SC1側の端子から高電位ノード側の端子へ流れる電流;
・SC1I(SC1の電流):正極から負極へ流れる電流;
を示している。
【0028】
図4は、図3のSL1Vを拡大した図である。
【0029】
(スナバ回路1の動作方法)
スナバ回路1の動作では、以下の3つの工程が、この順に実行される。
【0030】
・第1工程:基準電位ノードとスイッチノードとの間にサージ電圧を発生させる;
・第2工程:サージ電圧を、SD1を介してSC1に充電する;
・第3工程:充電されたSC1の電圧を、SL1を介して高電位ノードへ放電させる。
【0031】
(第1工程:サージ電圧を発生させる)
第1工程において、LS1をオンからオフに切り替える。切り替えのタイミングは、図3の時点「1.47E-5sec」である。この切り替えによって、基準電位ノードを基準としたスイッチノードに、サージ電圧が発生する。スナバ回路1が電源回路10に接続されていない場合には、定常電圧400Vに対して、サージ電圧480Vが発生する(不図示)。実施形態1では、スナバ回路1が電源回路10に接続されているため、サージ電圧が410Vに抑えられる(図3のLS1Vを参照)。
【0032】
(第2工程:サージ電圧をSC1に充電)
上記低減されたサージ電圧(480V-410V=70V)は、SD1を介してSC1へ吸収される。言い換えると、当該サージ電圧は、SC1を充電する。充電のタイミングは、第1工程の直後である(同時に近い直後である)。充電のタイミングは、図3の時点「1.475E-5sec」である。SD1IおよびSC1Iが流れていることと、SC1Vの上昇(SC1の充電)とが確認できる。
【0033】
SC1の充電経路は、図2の矢印AR1である。AR1には、BC1から、HS1とSD1とSC1とを介して、BC1に帰還する経路が含まれている。
【0034】
(第3工程:SC1の電圧を高電位ノードへ放電)
充電されたSC1の電圧は、定常状態(400V)から410Vへと変化している(図3のSC1Vを参照)。SC1の放電開始のタイミングは、図3の時点「1.48E-5sec」である。SC1の電圧は、「1.48E-5から1.53E-5secまで」の期間に亘り、SL1によってゆっくりと高電位ノードへ放電される。電源回路10の場合には、SC1の電圧は、高電位ノードに接続されたBC1を充電する。
【0035】
SC1の放電経路は、図2の矢印AR2である。AR2には、SC1から、SL1とBC1とを介して、SC1に帰還する経路が含まれている。
【0036】
SC1の放電電流は、SL1によって平滑化されて、ゆっくりとBC1を充電する。このため、スナバ回路1の損失を低減できる。
【0037】
(スナバ回路1を動作させるための改良点1~2)
実施形態1には、複数の好ましい改良点が適用されている。以下、これらの好ましい改良点について説明する。
【0038】
(改良点1:SC1の放電経路のインダクタンスは、SC1の充電経路のインダクタンスよりも大きい)
実施形態1の例では、経路AR1のインダクタンス(以下、L1)は、50nHと小さく設計されている。このため、サージ電圧は、SC1に速やかに吸収されるので、効果的にサージ電圧を抑制できる。一方で、経路AR2のインダクタンス(以下、L2)は、500nHと大きく設計されている。このため、SC1の放電は緩やかに実施されるので、損失を低減できる。L2を大きく、かつ、L1を小さく設計することが、サージ電圧の抑制とスナバ回路の損失低減とを両立させることに繋がる。具体的には、L2は、L1の2倍以上が好ましく、10倍以上がさらに好ましい。実施形態1では、L2は、L1の10倍として設計されている。
【0039】
(改良点2:LS1のターンONによるSL1Vの共振周波数は10MHz以下)
ここでは、LS1でなくSL1のサージ電圧の課題を取り上げている。
【0040】
LS1がターンONした時(図4の時点「1.99E-5sec」)に、SL1にサージ電圧が印加されることに起因して、SL1Vに共振が発生している。この現象がスナバ回路1のSL1に損失を発生させる。本改良点2では、SL1の電圧共振による損失低減を実施している。
【0041】
図4では、図3のSL1Vの時間軸を拡大したグラフを示している。図4の周期T1は、SL1Vの電圧振幅の周期3.00E-7secを示している。言い換えると、SL1Vの共振周波数は、3.3MHzである。
【0042】
なお、本明細書におけるSL1Vの「共振周波数」とは、SL1Vに含まれる周波数成分のうち、周期T1において最も大きい電圧振幅を示す成分の周波数(3.3MHz)を意味する。図4の例では、周期T1に含まれる高周波成分(例:50MHzの成分)は、電圧振幅が小さい。このため、50MHzは、本明細書における共振周波数の定義には該当しない。
【0043】
最も大きい電圧振幅を示すSL1Vの周波数成分が、SL1の損失に大きい影響を及ぼす。このため、上記の通り定義された共振周波数を低減することが、SL1の損失削減に有効となる。
【0044】
共振周波数を10MHz以下に抑えることで、SL1の損失(コア損失および渦電流損失)を低減できる。共振周波数を10MHz以下にすることで、フェライトを使った小型のコイルを使用することも可能になる。共振周波数は、AR2のインダクタンスとSC1の静電容量とによって決定される。この2つの値を適宜調整することで、共振周波数を10MHz以下に設定できる。
【0045】
〔実施形態2〕
図5は、電源回路10を備えた電源装置100を示す図である。電源回路10は、スナバ回路1とスイッチング回路5と制御回路9とを備えている。制御回路9は、電源回路10に設けられる各素子のON/OFFの切り替えを制御する。特に、制御回路9は、HS1およびLS1のON/OFFの切り替えを制御する。電源回路10の応用例としては、インバータ回路およびトーテムポールPFC(Power Factor Correction)回路等を挙げることができる。電源装置100は、スナバ回路1によってサージ電圧を抑制し、損失も低減される。
【0046】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係るスナバ回路は、高電位ノードとスイッチノードと基準電位ノードとを備えるスイッチング回路に接続されたスナバ回路であって、上記スイッチング回路は、上記高電位ノードと上記スイッチノードとの間に接続された上側スイッチ素子と、上記スイッチノードと上記基準電位ノードとの間に接続された下側スイッチ素子と、上記高電位ノードと上記基準電位ノードとの間に接続されたバイパスコンデンサと、を備えており、上記スナバ回路は、スナバコンデンサとダイオードとコイルとを備えており、上記スナバコンデンサは、負極が上記基準電位ノードに接続されており、上記ダイオードは、(i)アノードが上記スイッチノードに接続されており、かつ、(ii)カソードが上記スナバコンデンサの正極に接続されており、上記コイルは、(i)一端が上記スナバコンデンサの正極に接続されており、かつ、(ii)他端が上記高電位ノードに接続されている。
【0047】
上記の構成によれば、下側スイッチ素子において発生するサージ電圧は、スナバコンデンサを充電する。スナバコンデンサは、バイパスコンデンサと上側スイッチ素子とダイオードとからなる経路にて充電される。この充電された電圧は、コイルによって平滑されてバイパスコンデンサに回生される(バイパスコンデンサをゆっくりと充電する)。このため、スナバ回路の損失を低減することができる。
【0048】
本開示の態様2に係るスナバ回路では、上記スナバコンデンサと上記コイルと上記バイパスコンデンサとから構成される経路のインダクタンスは、上記バイパスコンデンサと上記上側スイッチ素子と上記ダイオードと上記スナバコンデンサとから構成される経路のインダクタンスよりも大きい。
【0049】
上記の構成によれば、サージ電圧は、小さいインダクタンスの経路にて高速にスナバコンデンサを充電することができる。つまり、スナバコンデンサによって速やかにサージ電圧を吸収できる。サージ電圧の吸収により充電されたスナバコンデンサの電圧は、大きいインダクタンスによって平滑化されバイパスコンデンサへゆっくりと回生できる。
【0050】
本開示の態様3に係るスナバ回路では、上記下側スイッチ素子がターンONした後において、上記コイルに印加される電圧の共振周波数は、10MHz以下である。
【0051】
上記の構成によれば、コイルにおいて発生する損失を低減できる。
【0052】
本開示の態様4に係る電源装置は、本開示の一態様に係るスナバ回路を備えている。
【0053】
上記の構成によれば、損失が低減されたスナバ回路を用いることにより、損失が低減された電源装置を実現できる。
【0054】
本開示の態様5に係るスナバ回路は、高電位ノードとスイッチノードと基準電位ノードとに接続されたスナバ回路であって、上記スナバ回路は、スナバコンデンサとダイオードとコイルとを備えており、上記スナバコンデンサは、負極が上記基準電位ノードに接続されており、上記ダイオードは、(i)アノードが上記スイッチノードに接続されており、かつ、(ii)カソードが上記スナバコンデンサの正極に接続されており、上記コイルは、(i)一端が上記スナバコンデンサの正極に接続されており、かつ、(ii)他端が上記高電位ノードに接続されている。
【0055】
上記の構成によれば、高電位ノードとスイッチノードとの間で発生するサージ電圧は、ダイオードを介してスナバコンデンサに吸収される(スナバコンデンサが充電される)。この充電された電圧は、コイルを使って平滑されて、ゆっくりと高電位ノードへ放電される。このため、スナバ回路の損失が低減できる。
【0056】
〔付記事項〕
本開示の一態様は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本開示の一態様の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成できる。
【符号の説明】
【0057】
1 スナバ回路
5 スイッチング回路
10 電源回路
100 電源装置
HS1 上側スイッチ素子
LS1 下側スイッチ素子
BC1 バイパスコンデンサ
SC1 スナバコンデンサ
SD1 ダイオード
SL1 コイル
図1
図2
図3
図4
図5