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  • 特許-充填装置、及び充填済み容器製造方法 図1
  • 特許-充填装置、及び充填済み容器製造方法 図2
  • 特許-充填装置、及び充填済み容器製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】充填装置、及び充填済み容器製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 3/12 20060101AFI20230628BHJP
   B65B 3/18 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
B65B3/12
B65B3/18
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021501804
(86)(22)【出願日】2020-02-01
(86)【国際出願番号】 JP2020003837
(87)【国際公開番号】W WO2020170773
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-11-05
(31)【優先権主張番号】P 2019026981
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】393030408
【氏名又は名称】株式会社シンキー
(74)【代理人】
【識別番号】100196014
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 直紀
(72)【発明者】
【氏名】姚 建国
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-012535(JP,A)
【文献】特開2009-113861(JP,A)
【文献】特開2014-000566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 3/12
B65B 3/18
B67C 3/00-11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を収容可能な第1容器を配置可能な配置部と、
前記配置部を回転可能に支持する支持部と、
前記第1容器の開口部より挿入可能であり、該第1容器の内部で前記材料を押圧可能な押圧部と、
前記押圧部に形成されて、前記材料を充填される第2容器を保持する保持部と、
前記押圧部を、回転させつつ、前記第1容器の底部に向けて移動させる操作部と、
を含み、
前記保持部は、前記第1容器の内部空間と前記第2容器の内部空間とを連通させ、
前記配置部は、前記押圧部が前記第1容器の底部に向けて移動する際に、所定の回転速度未満で前記第1容器を回転させ、
前記所定の回転速度は、前記第1容器の回転により生じる遠心力により前記材料の偏りが生じ始める回転速度であり、
前記押圧部は、前記第1容器の底部に向けて移動することで、前記第1容器に収容された前記材料を、前記保持部を介して、前記第2容器へ充填する、充填装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記配置部の回転を規制する規制機構を更に備える請求項1に記載の充填装置。
【請求項3】
前記第1容器は、前記押圧部の回転に従動して回転する、請求項1又は2に記載の充填装置。
【請求項4】
前記第1容器の回転速度は、前記押圧部の回転速度と異なる、請求項1~3の何れか1項に記載の充填装置。
【請求項5】
前記第1容器の回転速度は、前記押圧部の回転速度と等しい、請求項1~3の何れか1項に記載の充填装置。
【請求項6】
前記第1容器を回転させる駆動部を更に備える、請求項1又は2に記載の充填装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の充填装置を用いて、前記材料が充填された前記第2容器を製造する、材料充填済み容器製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に材料を充填する充填装置、及び該充填装置を用いた材料充填済み容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容器を自転させながら公転させることによって、その容器に収納された材料を撹拌脱泡する装置(自転・公転方式の撹拌脱泡装置)が知られている(特許文献1参照)。この装置は、はんだペーストや液晶パネルのシーラント剤等の電子部品材料の製造等に利用される。
【0003】
ところで、電子部品材料は、通常、シリンジ容器(バレル容器も含む。以下同様。)と呼ばれる容器に充填され、ディスペンサによって精密に塗布・吐出される。しかしながら、上記装置では、効率等の観点から、一般に、一括して材料の処理を行う。したがって、この一括して処理した材料は、別途、複数のシリンジ容器等の容器に充填しなければならない。
【0004】
このような状況を鑑みてか、特許文献2には、一括して処理された材料を、シリンジ等の容器に充填する充填装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-271465号公報
【文献】特開2014-12535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記材料の中には、粘度が高い材料も存在する。特許文献2に開示される充填装置は、原則的に、ハンドルをユーザが回すことにより、シリンジ容器等に材料を充填するものであるが、材料の粘度が高い場合に、当該材料の充填作業を行うことが難しくなる場合がある。これは、材料の粘度の影響を受けて、大きな力が、ハンドルを回すために必要となることに起因する。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みなされたものである。その目的は、高い粘度の材料であっても、効率的にシリンジ容器等に充填できる充填装置、及び該充填装置を用いた充填済み容器製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、以下に示す発明特定事項乃至は技術的特徴を含んで構成される。
【0009】
すなわち、ある観点に従う発明は、材料を収容可能な第1容器を配置可能な配置部と、前記配置部を回転可能に支持する支持部と、前記第1容器の開口部より挿入可能であり、該第1容器の内部で前記材料を押圧可能な押圧部と、前記押圧部に形成されて、前記材料を充填される第2容器を保持する保持部と、前記押圧部を、回転させつつ、前記第1容器の底部に向けて移動させる操作部と、を含み、前記保持部は、前記第1容器の内部空間と前記第2容器の内部空間とを連通させ、前記配置部は、前記押圧部が前記第1容器の底部に向けて移動する際に、所定の回転速度未満で前記第1容器を回転させ、前記所定の回転速度は、前記第1容器の回転により生じる遠心力により前記材料の実質的な偏りが生じ始める回転速度であり、前記押圧部は、前記第1容器の底部に向けて移動することで、前記第1容器に収容された前記材料を、前記保持部を介して、前記第2容器へ充填する、充填装置である。
【0010】
また、上記充填装置において、前記支持部が、前記配置部の回転を規制する規制機構を更に備えてよい。
【0011】
また、上記充填装置において、前記第1容器は、前記押圧部の回転に従動して回転し得る。
【0012】
また、上記充填装置において、前記第1容器の回転速度は、前記押圧部の回転速度と異なり得る。
【0013】
また、上記充填装置において、前記第1容器の回転速度は、前記押圧部の回転速度と等しくなり得る。
【0014】
また、上記充填装置において、前記充填装置は、前記第1容器を回転させる駆動部を更に備え得る。
【0015】
また、ある観点に従う発明は、前記充填装置を用いて、前記材料が充填された前記第2容器を製造する、材料充填済み容器製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高い粘度の材料であっても、効率的にシリンジ容器等に充填できる充填装置、及び該充填装置を用いた充填済み容器製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る充填装置の概略図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る材料充填済み容器の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る充填装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る材料充填装置の概略図である。同図に示すように、充填装置1は、配置部10と、支持部20と、押圧部30と、操作部40と、第1容器50と、第2容器60と、ベース部70と、真空保持部80とを含み構成される。
【0020】
配置部10は、ベース部70に、支持部20を介して支持されて、仮想の直線である回転軸線Lを中心に回転可能に構成される。また、配置部10は、第1容器50の中心を通る仮想の直線である中心線Cが、回転軸線Lと一致するように、第1容器50を配置されて、該第1容器50と共に回転する。なお、配置部10は、第1容器50を自身に固定するための図示しない固定手段を備えてよい。なお、固定手段は、例えば、公知の吸着機構であって良い。その他、固定手段は、任意の機構であって良い。
【0021】
支持部20は、ベース部70に固定されて、回転軸線Lを中心として、配置部10を回転可能に支持する。支持部20は、ベアリング等を含み構成される。
【0022】
押圧部30は、本体32と、保持部34と、シール部材36とを含み構成される。押圧部30は、第1容器50の開口部56から、該第1容器50の内部空間58に挿入可能に構成される。また、押圧部30は、操作部40のシャフト44に固定され、操作部40のハンドル42が回転させられることにより、回転軸線Lを中心に回転しながら、第1容器50の底部54に向けて移動可能に構成される。そして、押圧部30は、第1容器50の底部54に向けて移動することにより、第1容器50の内部空間58に収容された材料Mを押圧できる。
【0023】
本体32は、円筒状に形成されて、第1容器50の底部54側を向き、材料Mの押圧面となる第1面32aと、該第1面32aの裏面であり、操作部40のシャフト44を取り付けられる第2面32bと、シール部材36を取り付けられる外周面32cとを含み構成される。
【0024】
保持部34は、本体32に形成される。より具体的には、保持部34は、本体32の第1面32aと第2面32bとを貫通して、第2面32b側に、第2容器60を保持できるように構成される。保持部34は、例えば、図示しない公知のねじ機構を利用して、第2容器60の第1開口部64側を保持(固定)できる。保持部34は、押圧部30が第1容器50内に挿入された際に、第1容器50の内部空間58と、保持している第2容器60の内部空間68とを連通させる。なお、保持部34は、第2容器60の個数に対応する数量設けられる。
【0025】
シール部材36は、本体32の外周面32cに取り付けられ、円環状の弾性部材、例えばOリング等により構成される。シール部材36は、本体32と第1容器50の側面部52との間に生じる隙間を埋め、押圧部30が移動する際に、本体32と第1容器50との間の気密性を維持する。
【0026】
操作部40は、ハンドル42と、シャフト44と、駆動部46とを含み構成される。
ハンドル42は、図示しない所定の仮想の直線である軸線を中心に、回転可能に構成される。ハンドル42は、ユーザにより回転させることができる。
シャフト44は、一端側に押圧部30の本体32を固定される。
【0027】
駆動部46は、ハンドル42及びシャフト44に連結されて、ベース部70に固定される。駆動部46は、ハンドル42を第1の方向に回転させることで、シャフト44に固定された押圧部30を、回転軸線Lを中心に回転させつつ、第1容器50の底部54に向けて移動させる。加えて、駆動部46は、ハンドル42を第1の方向とは逆の第2の方向に回転させることで、シャフト44に固定されている押圧部30を、回転軸線Lを中心に回転させつつ、第1容器50の底部54から離れるように移動させる。なお、駆動部46は、例えば、公知のボールねじ機構等を含み構成される。
【0028】
第1容器50は、中心線Cに沿って円筒状に延びる側面部52を有して、一端側に底部54を形成され、他端側に開口部56を設けられた有底容器である。第1容器50は、内部空間58に材料Mを収納可能に構成される。なお、第1容器50は、特許文献1に示すような装置に搭載されて、材料Mを処理した後、配置部10に配置されてよい。
【0029】
第2容器60は、仮想の直線である図示しない中心線に沿って円筒状に延びる側面部62を有して、一端側に第1開口部64を設けられ、他端側に第2開口部66を設けられた容器である。第2容器60は、一般に、第1開口部64が、第2開口部66より小径に構成され、内部空間68に材料Mを充填可能に構成される。第2開口部66は、シリンジ容器等であってよい。
【0030】
ベース部70は、支持部20及び操作部40の駆動部46を支持して、それらの位置関係を定める。これに起因して、ベース部70は、配置部10(第1容器50)及び押圧部30を、回転軸線Lを中心に回転可能な状態とする。
【0031】
真空保持部80は、規制部82と、封止部84とを含み構成される。
規制部82は、第2容器60のうちの何れか1つの第2開口部66に取り付けられる。また、規制部82は、図示しない真空ポンプにも接続可能に構成される。規制部82は、真空ポンプによる、押圧部30の保持部34を介して互いに連通した、第1容器50の内部空間58、及び、各第2容器60の内部空間68の排気を許容しつつ、当該空間に空気等のガスが流入することを防止する。規制部82は、例えば、逆止弁を含み構成される。
【0032】
封止部84は、規制部82を取り付けられる第2容器60以外の第2容器60の第2開口部66に取り付けられる。封止部84は、押圧部30の保持部34を介して互いに連通した、第1容器50の内部空間58、及び、各第2容器60の内部空間68に、空気等のガスが流入することを防止する。
【0033】
真空保持部80は、規制部82及び封止部84が上記のように構成されることにより、真空ポンプによる、押圧部30の保持部34を介して互いに連通した、第1容器50の内部空間58、及び、各第2容器60の内部空間68の排気を可能とし、また、真空ポンプの停止、及び/又は、真空ポンプの規制部82からの取り外し後においても、当該空間の真空を維持する。
【0034】
なお、真空保持部80は、第1容器50の回転を停止させる図示しない停止機構を含んでもよい。当該停止機構は、真空ポンプによる、第1容器50の内部空間58、及び、各第2容器60の内部空間68の排気中に、第1容器50の回転を停止させる。また、真空保持部80は、規制部82及び封止部84に代えて、押圧部30、第1容器50、及び第2容器60を少なくとも内部空間に収容して、当該内部空間を真空排気し、かつ、真空を維持できる、図示しないチェンバを含むように構成してもよい。
【0035】
材料Mは、流体として挙動するものであれば高い粘度のものであってもよく、その組成や用途は特に限定されるものではない。材料Mは、例えば、はんだペーストや液晶パネルのシーラント剤であってよい。
【0036】
図2は、本発明の一実施形態に係る充填装置を用いた材料充填済み容器の製造方法を説明するためのフローチャートである。かかる材料処理方法は、充填装置1を用いて実行される。
【0037】
まず、ユーザは、材料Mを収容した第1容器50を、配置部10に配置する。あわせて、ユーザは、第2容器60を、押圧部30の保持部34に保持させる(S201)。なお、第1容器50は、中心線Cが、回転軸線Lと一致するように配置される。これにより、第1容器50は、回転軸線Lを中心に配置部10と共に回転可能となる。また、第2容器60は、第1開口部64側を保持部34に挿入した状態で、押圧部30の第2面32b側に位置するように、保持部34に保持される。
【0038】
次に、ユーザは、真空保持部80の規制部82を、第2容器60のうちの何れか1つの第2開口部66に取り付ける。あわせて、ユーザは、真空保持部80の封止部84を、規制部82を取り付けられる第2容器60以外の第2容器60の第2開口部66に取り付ける(S202)。
【0039】
次に、ユーザは、押圧部30が第1容器50内に挿入され、且つ、第1容器50の内部空間58と、各第2容器60の第2容器60とが、保持部34を介して連通した状態となるように(すなわち、図1に示す状態となるように)、操作部40のハンドル42を回転させる(S203)。
【0040】
次に、ユーザは、図示しない真空ポンプを規制部82に接続し、該真空ポンプにより、押圧部30の保持部34を介して互いに連通した、第1容器50の内部空間58、及び、各第2容器60の内部空間68の排気を行う(S204)。ユーザは、排気完了後、真空ポンプを停止し、及び/又は、真空ポンプを規制部82から取り外す。
【0041】
次に、ユーザは、操作部40のハンドル42を回し、押圧部30を、回転軸線Lを中心に回転させつつ、第1容器50の底部54に向けて移動させる(S205)。この際、第1容器50には、第1容器50の側面部52と押圧部30の本体32とが、押圧部30のシール部材36を介して接触していること、及び、材料Mの粘度の影響を受けること(特に、材料Mが高粘度である場合に顕著となる。)に起因して、回転軸線Lを中心として、押圧部30に従動する回転力が作用する。そして、配置部10が、支持部20により、回転軸線Lを中心に回転可能とされていることから、第1容器50は、押圧部30に従動して回転軸線Lを中心に配置部10と共に回転する。なお、この際の第1容器50の回転速度は、基本的に、押圧部30の回転速度と同じとなる。ただし、第1容器50の回転速度は、第1容器50の側面部52と押圧部30のシール部材36との間、及び/又は、押圧部30の第1面32aと材料Mとの間で、スリップが生じること等により、押圧部30の回転速度より遅くなる場合もある。
【0042】
ここで、第1容器50の回転速度は、所定の回転速度である回転速度S未満にする必要がある。これは、第1容器50の回転により生じる遠心力により、第1容器50の側面部52側への材料Mの実質的な偏りが生じた場合、材料Mにより、第1容器50の底部54と反対側に、押圧部30の第1面32aを押す力が生じることとなる。そうすると、操作部40のハンドル42を回すための追加の力(押圧部30を第1容器50の底部54に向けて移動させるための追加の力)が必要となり得るためである。このことから、回転速度Sは、第1容器50の回転により生じる遠心力による、第1容器50の側面部52側への材料Mの実質的な偏りが生じ、操作部40のハンドル42を回すために追加の力が必要となり始める回転速度とする。言い換えれば、回転速度Sは、第1容器50の回転により生じる遠心力が、第1容器50の側面部52側への材料Mの実質的な偏りを生じさせ、操作部40のハンドル42を回すために追加の力が必要となり始める値(以下「所定値A」という。)となる時の第1容器50の回転速度といえる。所定値Aは、材料Mの特性(粘度等)に基づいて定まる値である。よって、回転速度Sは、まず、材料Mの特性に基づいて所定値Aを算出し、そのうえで、第1容器50の回転により生じる遠心力が当該所定値Aとなる回転速度を、第1容器50の半径等に基づいて算出することで求めることができる。また、回転速度Sは、第1容器50の回転により生じる遠心力による、第1容器50の側面部52側への材料Mの実質的な偏りが生じ、操作部40のハンドル42を回すために追加の力が必要となり始める第1容器50の回転速度を実測することにより求めることもできる。なお、通常、ユーザが操作部40のハンドル42を回す速度では、第1容器50の回転速度が回転速度S未満となる。これは、操作部40の駆動部46が、ユーザにより操作部40のハンドル42を回転させた際の押圧部30の回転速度を、第1容器50の回転速度を回転速度Sとする値以下とするように構成されるためである。ただし、より確実に、第1容器50の回転速度が回転速度S未満となるように、支持部20には、配置部10の回転を規制する、図示しないブレーキ等の規制機構を設けてもよい。
【0043】
材料Mは、押圧部30が第1容器50の底部54に向かって移動することにより、本体32の第1面32aに押圧される。これにより、材料Mは、押圧部30の保持部34を介して、第2容器60の内部空間68に流入する(図3を参照)。したがって、第2容器60は、材料Mを充填されていくことになる。
【0044】
ユーザは、第2容器60に、所定の量の材料Mが充填された時点で、操作部40のハンドル42の回転を停止する(S206)。そして、ユーザは、第2容器60を、押圧部30から取り外す。これにより、材料Mを充填済みの第2容器60の製造は完了する。
【0045】
ここで、従来の充填装置では、特に材料Mの粘度が高い場合に、当該材料Mを第2容器に充填する作業が難しくなる場合がある。これは、第1容器が、押圧部に従動しようとする回転力に抗して、回転できないように固定されていることに起因して、操作部のハンドルを回すために大きな力が必要となるためである。
【0046】
これに対して、充填装置1は、上記のように、第1容器50が、回転軸線Lを中心として回転可能に構成されている。これにより、充填装置1では、第1容器50が、押圧部30により従動しようとする回転力に基づき、回転軸線Lを中心として回転する。そのため、充填装置1では、材料Mの粘度が高い場合であっても、操作部40のハンドル42を回す際に、大きな力が必要とならない。したがって、充填装置1は、材料Mの粘度が高い場合であっても、該材料Mを、ユーザの負担を軽減しつつ、効率的に第2容器60に充填できる。
【0047】
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0048】
例えば、本明細書に開示される方法においては、その結果に矛盾が生じない限り、ステップ、動作又は機能を並行して又は異なる順に実施しても良い。説明されたステップ、動作及び機能は、単なる例として提供されており、ステップ、動作及び機能のうちのいくつかは、発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略でき、また、互いに結合させることで一つのものとしてもよく、また、他のステップ、動作又は機能を追加してもよい。
【0049】
また、充填装置1は、押圧部30の回転速度と第1容器50の回転速度とを、確実に異なる値とできるように構成してよい。充填装置1は、押圧部30の回転速度と、第1容器50の回転速度とが異なることにより、複数の第2容器60に対し、より均一な量の材料Mを充填できる。
【0050】
なお、充填装置1は、例えば、図示しないブレーキ機構を支持部20に設け、配置部10の回転速度を低下させることで、押圧部30の回転速度より、第1容器50の回転速度を確実に遅くすることができる。また、充填装置1は、支持部20を利用して配置部10を能動的に回転させる、図示しない電動モータ等を含む駆動機構を設けることにより、第1容器50の回転速度を、押圧部30の回転速度に比べて、早くしたり、遅くしたりする等、任意に設定することが可能となる。これらの場合であっても、充填装置1は、第1容器50の回転速度を回転速度S未満とされる。
【0051】
また、本明細書では、さまざまな実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ(技術的事項)を、適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本発明の要旨に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、充填装置の分野に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1:充填装置、10:配置部、20:支持部、30:押圧部、32:本体、32a:第1面、32b:第2面、32c:外周面、34:保持部、36:シール部材、40:操作部、42:ハンドル、44:シャフト、46:駆動部、50:第1容器、52:側面部、54:底部、56:開口部、58:内部空間、60:第2容器、62:側面部、64:第1開口部、66:第2開口部、68:内部空間、70:ベース部、80:真空保持部、82:規制部、84:封止部、A:所定値、C:中心線、L:回転軸線、M:材料、S:回転速度
図1
図2
図3