IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヒロテック株式会社の特許一覧

特許7303549IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法
<>
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図1
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図2
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図3
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図4
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図5
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図6
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図7
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図8
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図9
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図10
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図11
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図12
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図13
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図14
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図15
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図16
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図17
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図18
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図19
  • 特許-IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】IP-RF変換装置およびIP-RF変換方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/647 20110101AFI20230628BHJP
   H04N 21/61 20110101ALI20230628BHJP
   H04H 60/82 20080101ALI20230628BHJP
【FI】
H04N21/647
H04N21/61
H04H60/82
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019226576
(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公開番号】P2021097297
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】502340756
【氏名又は名称】ヒロテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098350
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 睦彦
(72)【発明者】
【氏名】栗須 基弘
(72)【発明者】
【氏名】栗須 顕人
【審査官】醍醐 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-061077(JP,A)
【文献】特開2019-161513(JP,A)
【文献】特開2011-010186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
H04H 20/00-20/46
H04H 20/51-20/86
H04H 20/91-40/27
H04H 40/90-60/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビ受信機の前段に配置され、IPネットワークから受信したテレビ放送のIPストリームをRF信号に変換して前記テレビ受信機へ送信するIP-RF変換装置であって、
IPネットワークからテレビ放送の複数のチャンネルの複数のIPストリームを受信するIP接続部と、
前記IP接続部に接続され、前記テレビ受信機から通信媒体を介した受信者の選局要求に応じて、前記受信された複数のIPストリームの中から所望のIPストリームを選択するIPストリーム選択部と、
前記選択された所望のIPストリームを所定の地上デジタル物理チャンネルのRF信号に変換して、放送波信号伝送媒体を介して出力する第1のチャンネル変換部と、
前記地上デジタル物理チャンネルの情報を前記テレビ受信機に通信媒体を介して通知し、当該テレビ受信機のチューナに当該地上デジタル物理チャンネルの周波数を設定させるよう制御する制御部と、
を備えたIP-RF変換装置。
【請求項2】
前記IPネットワークは広域マルチキャストネットワークである請求項1に記載のIP-RF変換装置。
【請求項3】
前記IP接続部に接続され、前記テレビ受信機に対する予め定められた複数の地上デジタル物理チャンネルについて、前記複数のIPストリームのうち2K地上デジタル放送チャンネルの複数のIPストリームを選択して対応する複数のRF信号に変換して出力する第2のチャンネル変換部をさらに備える請求項1または2に記載のIP-RF変換装置。
【請求項4】
用意された複数の地上デジタル物理チャンネルのうち、第1のグループの物理チャンネルは、前記第2のチャンネル変換部において受信者宅の区域内の複数の2K地上デジタルチャンネルに割り当てられ、第2のグループの物理チャンネルは、前記第1のチャンネル変換部において区域内2K地上デジタルチャンネル以外の少なくとも一つのチャンネルに割り当てられる請求項3に記載のIP-RF変換装置。
【請求項5】
テレビ受信機から所望のチャンネルの登録要求を受けて、当該テレビ受信機に対応づけて当該チャンネルを登録する登録手段と、
前記登録の後、前記テレビ受信機からチャンネルの選択を受けたとき、当該選択されたチャンネルが当該テレビ受信機について登録されているかを確認し、登録されているときに当該チャンネルの出力を許可し、登録されていないとき当該チャンネルの出力を不許可とする視聴制限手段と、
を備えた請求項1から4のいずれかに記載のIP-RF変換装置。
【請求項6】
前記チャンネルの登録に課金を伴う課金手段を備えた請求項5に記載のIP-RF変換装置。
【請求項7】
暗号を復号するための復号手段をさらに備え、
前記登録手段は各テレビ受信機について登録されたチャンネルのIPストリームに対する暗号を復号する復号キーを登録する手段を有し、
前記復号手段はあるテレビ受信機から暗号化されたIPストリームが選択されたとき当該IPストリームの対応するチャンネルについて該当する復号キーが登録されていれば、当該IPストリームの復号を行う請求項5または6に記載のIP-RF変換装置。
【請求項8】
前記テレビ受信機について、視聴されたチャンネルとその視聴開始日時情報とを視聴履歴データとして蓄積する視聴履歴データ蓄積部を備えた請求項1から7のいずれかに記載のIP-RF変換装置。
【請求項9】
前記視聴履歴データ蓄積部は、前記視聴履歴データとして、前記テレビ受信機について、視聴されたチャンネルとその視聴開始日時情報に加えて、その視聴終了日時情報を蓄積する請求項8に記載のIP-RF変換装置。
【請求項10】
前記視聴履歴データ蓄積部は、複数台の前記テレビ受信機に接続されている場合、各テレビ受信機毎に前記視聴履歴データを蓄積する請求項8または9に記載のIP-RF変換装置。
【請求項11】
テレビ受信機の前段に配置され、IPネットワークに接続されたIP-RF変換装置におけるIP-RF変換方法であって、
前記テレビ受信機から通信媒体を介した受信者の選局要求を受信するステップと、
前記IPネットワークからテレビ放送の前記受信した選局要求に対応するIPストリームを選択し、この選択したIPストリームに所定の地上デジタル物理チャンネルを割り当てるステップと、
前記選択したIPストリームを前記所定の地上デジタル物理チャンネルのRF信号に変換し、放送波信号伝送媒体を介して前記テレビ受信機へ出力するステップと
前記地上デジタル物理チャンネルの情報を前記テレビ受信機に通信媒体を介して通知し、当該テレビ受信機のチューナに当該地上デジタル物理チャンネルの周波数を設定させるステップと、
を備えたIP-RF変換方法。
【請求項12】
視聴の対象となる複数のチャンネルの情報を前記テレビ受信機へ伝送するステップをさらに備える請求項11に記載のIP-RF変換方法。
【請求項13】
テレビ受信機から所望のチャンネルの登録要求を受けて、当該テレビ受信機に対応づけて当該チャンネルを登録するステップと、
前記登録の後、前記テレビ受信機からチャンネルの選択を受けたとき、当該選択されたチャンネルが当該テレビ受信機について登録されているかを確認し、登録されているときに当該チャンネルの出力を許可し、登録されていないとき当該チャンネルの出力を不許可とするステップと
をさらに備えた請求項11または12に記載のIP-RF変換方法。
【請求項14】
前記チャンネルの登録に課金を伴うステップをさらに備えた請求項13に記載のIP-RF変換方法。
【請求項15】
前記登録の際、各テレビ受信機について登録されたチャンネルのIPストリームに対する暗号を復号する復号キーを登録するステップと、
あるテレビ受信機から暗号化されたIPストリームが選択されたとき当該IPストリームの対応するチャンネルについて該当する復号キーが登録されていれば、当該IPストリームの復号を行うステップと
をさらに備えた請求項13または14に記載のIP-RF変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP(Internet Protocol)ネットワーク経由でテレビ放送を伝送するIP放送に係り、特に、デジタルテレビ受信機の前段に配置され、IPネットワークから受信したテレビ放送の複数のチャンネルのIPストリームをRF信号に変換してデジタルテレビ受信機へ送信するIP-RF変換装置およびIP-RF変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送の伝送方式として、放送局や衛星から受信者宅の屋外に設置したアンテナへ電波で伝送する旧来の方式に加えて、近年、FTTH(Fiber To The Home)システムなどにより通信事業者の設備から各家庭にまで導入された光ファイバーを介してテレビ放送をRF(Radio Frequency)伝送する方式が普及してきている。
【0003】
例えば、NTT東日本・西日本が提供するフレッツテレビは、地上デジタル(以下、単に地デジともいう)、BS、CSの3波について、全国にある多数のRF受信設備(NTT基地局)で地デジ放送、BS放送、CS放送を受信して、各帯域の電気信号を光多重して光ファイバーで各受信者宅へ伝送し、各受信者宅内のVONU装置で光から電気信号に変換して、テレビ受信機での視聴に供するテレビ放送サービスを提供している。この伝送方式では、光アンプ、カプラ、分配器を用いて各受信者宅に配信し、テレビ受信機の前段でV-ONUを使用して光から電気信号に戻している。このようなテレビ放送システムによれば、放送種別ごとの専用アンテナを用いることなく、また雨風や高層ビルの影響を受けない安定したテレビ放送を受信できるという利点が得られた。
【0004】
省みれば、地上デジタル放送の開始以降、BS、CSなどの衛星が整備され、4K伝送、8K伝送など新しい放送が始まったが、そのたびに、変調方式が追加されてきた。これに伴って、周波数帯域の拡大も必要となり、その影響が配線設備にまで及んだ。実際、屋内のテレビ配線はUHFの帯域までに対応するものであったが、衛星放送が導入されて一挙に周波数帯域が2GHzにまで延びたため、それまで使用していた同軸ケーブルではテレビ放送を伝送できないことになり、ケーブルの交換が必要となった。4Kテレビ放送については、既存のBS右旋再編で一部、放送がなされるが、今後予定されたBS左旋、CS左旋でも4K放送が運用される計画がある。これによって、さらに使用帯域が伸びるため屋内配線のさらなる更新が必要となる。
【0005】
また、テレビ放送を事業者閉域網としてのIPネットワークを介して受信者宅までマルチキャスト送信するIP放送のサービスの運用も開始されている。このようなIP放送によれば、事業者側にはIP対応の汎用的な設備により放送サービスを提供できるので、設備費用や運用費用の低減が図れる一方、受信者側には専用のアンテナが不要となるとともにテレビ放送と通信サービスの両方を容易に利用できるようになるという利点がある(非特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】「4K・8K時代に向けたケーブルテレビの映像配信(IP放送の制度化)」通信ソサイエティマガジンNo.49夏号2019、pp72-78
【文献】「マルチキャスト配信による映像配信サービスの現状と今後」映像情報メディア学会誌Vol.63、No.5,pp590~594(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記IP放送を利用するには、受信者宅の屋内に専用のセットトップボックス(IP-STB)を配置する必要がある。セットトップボックスにはテレビ受信機用のリモコン(テレビリモコン)とは別途専用のリモコンが付属し、テレビリモコンとの関係が煩雑となる。例えば、テレビ受信機の入力切替ボタンを用いて、テレビ受信機、ビデオレコーダ(録画再生装置)、CATVチューナ等の間でソースを変更し、別のリモコンを用いて選局するといったことが可能であるが、リモコン操作に不慣れなユーザにはその使い方が必ずしも容易でないというのが実情である。また、ビデオレコーダ用リモコンやCATV用リモコン等にはテレビ受信機を操作するための主要な操作ボタンも用意されているが、操作によってはテレビ受信機のリモコンに持ち替えなければならない。
【0008】
さらに、受信者宅内に複数のテレビ受信機が存在する場合には各テレビ受信機ごとにIP-STBを用意しなければならないという問題もある。
【0009】
IP-STB機能を内蔵した新規のデジタルテレビ受信機を入手すればこれらの問題は解消されるが、既存のテレビ受信機を利用できなくなってしまう。
【0010】
また、従来のIP放送サービスでは、BS左旋、CS左旋(3.2GHzまで帯域が伸びる)の放送については屋内配線の更新が必要となる。この問題はIP-STB機能を内蔵したテレビ受信機でも解決されない。
【0011】
本発明はこのような観点からなされたものであり、その目的は、地上デジタル放送以外の衛星放送等も既存の屋内配線を用いてテレビ受信機へ伝送することができるIP-RF変換装置およびIP-RF変換方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、同じ放送波信号伝送媒体を介して接続された複数のテレビ受信機のうち特定のテレビ受信機にのみ特定のチャンネルの放送番組を視聴させることを可能とするIP-RF変換装置およびIP-RF変換方法を提供することにある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、テレビ視聴操作のために従来のSTB用リモコンのようなテレビ用リモコン以外の専用のリモコンを必要としないIP-RF変換装置およびIP-RF変換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によるIP-RF変換装置は、テレビ受信機の前段に配置され、IPネットワークから受信したテレビ放送のIPストリームをRF信号に変換して前記テレビ受信機へ送信するIP-RF変換装置であって、前記IPネットワークからテレビ放送の複数のチャンネルの複数のIPストリームを受信するIP接続部と、前記IP接続部に接続され、前記テレビ受信機から通信媒体を介した受信者の選局要求に応じて、前記受信された複数のIPストリームの中から所望のIPストリームを選択するIPストリーム選択部と、前記選択された所望のIPストリームを所定の地上デジタル物理チャンネルのRF信号に変換して、放送波信号伝送媒体を介して出力する第1のチャンネル変換部と、前記地上デジタル物理チャンネルの情報を前記テレビ受信機に通信媒体を介して通知し、当該テレビ受信機のチューナに当該地上デジタル物理チャンネルの周波数を設定させるよう制御する制御部とを備えたものである。
【0015】
この構成において、前記IPストリーム選択部が、前記テレビ受信機からの受信者の選局要求に応じて所望のIPストリームを選択し、前記第1のチャンネル変換部が、前記選択された所望のIPストリームを所定の地上デジタル物理チャンネルのRF信号に変換して、放送波信号伝送媒体を介して出力する一方で、前記制御部が、前記地上デジタル物理チャンネルの情報を前記テレビ受信機に通信媒体を介して通知し、当該テレビ受信機のチューナに当該地上デジタル物理チャンネルの周波数を設定させるよう制御することにより、当該選局要求を発したテレビ受信機が当該チャンネルの放送を視聴することが可能となる。
【0016】
前記IPネットワークは、典型的には広域マルチキャストネットワークである。
【0017】
前記IP-RF変換装置は、前記IP接続部に接続され、前記テレビ受信機に対する予め定められた複数の地上デジタル物理チャンネルについて、前記複数のIPストリームのうち2K地上デジタル放送チャンネルの複数のIPストリームを選択して対応する複数のRF信号に変換して出力する第2のチャンネル変換部をさらに備えてもよい。この第2のチャンネル変換部により、受信者は従来と同様の選局動作で複数の地上デジタル放送を視聴することができる。
【0018】
このIP-RF変換装置の一態様において、用意された複数の地上デジタル物理チャンネルのうち、第1のグループの物理チャンネルは、前記第2のチャンネル変換部において受信者宅の区域内の複数の2K地上デジタルチャンネルに割り当てられ、第2のグループの物理チャンネルは、前記第1のチャンネル変換部において区域内2K地上デジタルチャンネル以外の少なくとも一つのチャンネルに割り当てられる。
【0019】
前記IP-RF変換装置は、テレビ受信機から所望のチャンネルの登録要求を受けて、当該テレビ受信機に対応づけて当該チャンネルを登録する登録手段と、前記登録の後、前記テレビ受信機からチャンネルの選択を受けたとき、当該選択されたチャンネルが当該テレビ受信機について登録されているかを確認し、登録されているときに当該チャンネルの出力を許可し、登録されていないとき当該チャンネルの出力を不許可とする視聴制限手段とをさらに備えてもよい。これにより、テレビ受信機毎にチャンネルの視聴制限を行える。
【0020】
このIP-RF変換装置において、前記チャンネルの登録に課金を伴う課金手段を備えてもよい。
【0021】
前記IP-RF変換装置は、暗号を復号するための復号手段をさらに備え、前記登録手段は各テレビ受信機について登録されたチャンネルのIPストリームに対する暗号を復号する復号キーを登録する手段を有し、前記復号手段はあるテレビ受信機から暗号化されたIPストリームが選択されたとき当該IPストリームの対応するチャンネルについて該当する復号キーが登録されていれば、当該IPストリームの復号を行うようにしてもよい。これにより、テレビ受信機毎に登録したチャンネルについて特定のテレビ受信機以外での視聴を禁じることが可能になる。
【0022】
前記IP-RF変換装置は、さらに、前記テレビ受信機について、視聴されたチャンネルとその視聴開始日時情報とを視聴履歴データとして蓄積する視聴履歴データ蓄積部を備えてもよい。
【0023】
前記視聴履歴データ蓄積部は、前記視聴履歴データとして、前記テレビ受信機について、視聴されたチャンネルとその視聴開始日時情報に加えて、その視聴終了日時情報を蓄積してもよい。
【0024】
前記視聴履歴データ蓄積部は、複数台の前記テレビ受信機に接続されている場合、各テレビ受信機毎に前記視聴履歴データを蓄積するようにしてもよい。
【0025】
本発明によるIP-RF変換方法は、テレビ受信機の前段に配置され、IPネットワークに接続されたIP-RF変換装置におけるIP-RF変換方法であって、前記テレビ受信機から通信媒体を介した受信者の選局要求を受信するステップと、前記IPネットワークからテレビ放送の前記受信した選局要求に対応するIPストリームを選択し、この選択したIPストリームに所定の地上デジタル物理チャンネルを割り当てるステップと、前記選択したIPストリームを前記地上デジタル物理チャンネルのRF信号に変換し、放送波信号伝送媒体を介して前記テレビ受信機へ出力するステップと、前記地上デジタル物理チャンネルの情報を前記テレビ受信機に通信媒体を介して通知し、当該テレビ受信機のチューナに当該地上デジタル物理チャンネルの周波数を設定させるステップとを備えたものである。
【0026】
このIP-RF変換方法は、視聴の対象となる複数のチャンネルの情報を前記テレビ受信機へ伝送するステップをさらに備えてもよい。
【0027】
前記IP-RF変換方法は、その一態様として、テレビ受信機から所望のチャンネルの登録要求を受けて、当該テレビ受信機に対応づけて当該チャンネルを登録するステップと、前記登録の後、前記テレビ受信機からチャンネルの選択を受けたとき、当該選択されたチャンネルが当該テレビ受信機について登録されているかを確認し、登録されているときに当該チャンネルの出力を許可し、登録されていないとき当該チャンネルの出力を不許可とするステップとを備えてもよい。
【0028】
前記IP-RF変換方法は、他の態様として、前記チャンネルの登録に課金を伴うステップをさらに備えてもよい。
【0029】
前記登録の際、各テレビ受信機について登録されたチャンネルのIPストリームに対する暗号を復号する復号キーを登録するステップと、あるテレビ受信機から暗号化されたIPストリームが選択されたとき当該IPストリームの対応するチャンネルについて該当する復号キーが登録されていれば、当該IPストリームの復号を行うステップとをさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明のIP-RF変換装置およびIP-RF変換方法によれば、地デジ放送以外の放送も既存の屋内配線を用いてテレビ受信機へ伝送することができる。
【0031】
本発明の他の見地によれば、同じ放送波信号伝送媒体を介して接続された複数のテレビ受信機のうち特定のテレビ受信機にのみ特定のチャンネルの放送番組を視聴させることが可能となる。
【0032】
本発明のさらに他の見地によれば、テレビ視聴操作のために従来のSTB用リモコンのようなテレビ用リモコン以外の専用のリモコンを必要としないIP-RF変換装置およびIP-RF変換方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の第1の実施形態におけるIPネットワーク経由のテレビ放送の送信側から受信側までのIP放送送受信システムの全体の概略構成を示す図である。
図2図1に示したIP-RF変換装置の内部の概略構成を示すとともに、IP-RF変換装置と2台のテレビ受信機の接続関係を示す図である。
図3図2に示したIP接続部の内部構成例を示す図である。
図4図3に示したIPストリーム選択再生部の内部機能の構成例を示す図である。
図5図3および図4に示したIPストリーム選択再生部と後段の地デジ変調部の概略の内部構成を示す図である。
図6図5に示した区域内2K地デジIPストリーム選択再生部の機能を概念的に示す図である。
図7図5に示した区域内2K地デジ以外IPストリーム選択再生部とパイプチャンネル用地デジ変調部の機能説明図である。
図8図7に示したチャンネルリストの内部構成例を示す図である。
図9】本発明の実施形態におけるIP-RF変換装置の稼働方法について説明するための図である。
図10】本発明の実施形態におけるテレビ受像機の選局フローを示すフローチャートである。
図11】本発明の実施形態におけるIP-RF変換装置の概略処理手順を示したフローチャートである。
図12】本発明の実施形態の選局プロトコルに従ったIP-RF変換装置とテレビ受信機との間のパイプチャンネルのオープンおよび選局に関する具体的なやりとりを例示したシーケンス図である。
図13】本発明の第2の実施形態におけるIP-RF変換装置の内部の概略構成を示すとともに、IP-RF変換装置とテレビ受信機との接続関係を示す図である。
図14】本発明の第2の実施形態におけるIP-RF変換装置とテレビ受信機との間でのパイプチャンネルによる選局の手順を示すフローチャートである。
図15】本発明の第3の実施形態に係るIP-RF変換装置とテレビ受信機の接続関係を示す図である。
図16】本発明の第3の実施形態における視聴制限を行うためのIP-RF変換装置の内部構成例を示す図である。
図17】本発明の第3の実施形態におけるIP-RF変換装置による有料チャンネルの初期登録処理の一例を示すフローチャートである。
図18】本発明の第3の実施形態におけるIP-RF変換装置の視聴制限付きチャンネルの選局処理の一例を示すフローチャートである。
図19】本発明の第4の実施形態によるIP-RF変換装置の内部構成例を示す図である。
図20】本発明の第4の実施形態におけるIP-RF変換装置と各テレビ受信機の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0035】
<第1の実施形態>
図1に、本発明の第1の実施形態におけるIPネットワーク経由のテレビ放送の送信側から受信側までのIP放送送受信システムの全体の概略構成を示す。
【0036】
このシステムは、テレビ放送局としてのIPテレビ放送事業者100、通信会社本局110、IPネットワーク150、中継局210、収容局220、受信者宅300内の放送受信設備およびデジタルテレビ受信機(以下、テレビ受信機という)500(500a,500b,…)により構成される。放送受信設備には光回線終端装置(ONU:Optical Network Unit)310、ルータ320、IP-RF変換装置400、HUB510等が含まれる。テレビ受信機500a,500bにはそれぞれテレビリモコン530a、530bが付属している。
【0037】
IPテレビ放送事業者100は、地デジ(地上デジタル)放送局101、CS放送局102、BS放送局103、CATV局104等の、テレビ放送番組(放送コンテンツ)をIPストリームとしてIPネットワーク150に送出するIP放送設備を備えたテレビ事業者であり、各自のIP送信装置(図示せず)から通信媒体を介してそれぞれのチャンネルの放送番組を通信会社本局110へ伝送する。本実施形態におけるIPネットワーク150は、典型的には、事業者閉域網としてのIP放送への優先制御(伝送品質等の維持および管理)が行われる広域マルチキャストネットワークである。
【0038】
通信会社本局110は具体的には日本の4つの大手通信事業者の本局であり、受信した放送番組をIPネットワーク150を介して各地の中継局210へマルチキャストで伝送する。IPネットワーク150上に送信されるテレビ放送番組のトランスポートストリーム(TS)等のIPパケットからなるIPストリームは、中継局210からさらに複数の区域の収容局220を経由して、各受信者宅300へ伝送される。
【0039】
現状、地デジ放送の番組は、受信者宅の区域毎に異なっているが、本実施形態においては、受信制限等の制約があるとしても、すべての区域の放送番組がIPネットワークを介してすべての区域に伝送されることを想定している。
【0040】
各受信者宅300内では、光ファイバー等の通信媒体を介して伝送されてきたIP放送の複数のチャンネルの番組(IPストリーム)はONU310およびルータ320を介してIP-RF変換装置400に入力される。ONU310はルータ320の機能を兼ね備えたものであってもよい。
【0041】
IP-RF変換装置400は、受信したIP放送の複数のチャンネルから抽出または選択されたチャンネルの番組(IPストリーム)を所定の地デジ物理チャンネル周波数のRF信号に変換して、放送波信号伝送媒体(例えば同軸ケーブル等)を経由して1台以上のテレビ受信機500(500a,500b)へ送出する。IPストリームの中身は、2K MPEG2-HDストリーム、H.264ストリーム、等と圧縮フォーマットで変わりうる。
【0042】
各テレビ受信機500はまた、通信媒体(例えばLAN)を介してIP-RF変換装置400に接続される。図1の例では、複数のテレビ受信機500に対応できるようにハブ(HUB)510を介してIP-RF変換装置400への接続が行われている。本実施形態では、テレビ受信機500からIP-RF変換装置400への通信媒体はテレビ受信機500からIP-RF変換装置400へ制御信号を伝送するために利用される。勿論、この通信媒体を介して逆方向にIP-RF変換装置400からテレビ受信機500へのデータの通信も可能である。
【0043】
図2に、IP-RF変換装置400の内部の概略構成を示すとともに、IP-RF変換装置400と2台のテレビ受信機500a,500bの接続関係を示す。本実施形態では、受信者宅内にある複数のテレビ受信機500a,500bで1台のIP-RF変換装置400を共用し、同時にそれぞれ別の番組を視聴することができる。
【0044】
IP-RF変換装置400は、IP接続部410、レガシーチャンネル用地デジ変調部430、パイプチャンネル用地デジ変調部440、および制御部(IPストリーム選択・選局制御部)450を備える。
【0045】
IP接続部410は、IPネットワーク150に接続されてデータを送受する部位であり、特に、本実施形態では複数の放送局からのIP放送の多数のIPストリームを受信する機能、制御部450からの制御に応じて、受信された多数のIPストリームの中から所定の、または選択されたIPストリームを抽出する機能、および、対応するTSを再生出力する機能を有する。
【0046】
パイプチャンネル用地デジ変調部440は、本発明における第1のチャンネル変換部であり、IP接続部410で選択された区域内2K地デジ放送以外(例えば、BS、CS110度、4K放送)のIPストリームに対応するTS(少なくとも1チャンネル分)を受けて、テレビ受信機500の地デジ放送の空きチャンネルに対応した周波数(周波数帯域)のRF信号として出力する部位である。パイプチャンネルとは、本実施形態において、IP-RF変換装置400とテレビ受信機500をRF接続するときの地デジ物理チャンネルの呼称である。物理チャンネルとは、当該周波数に対応したチャンネルに相当する。
【0047】
パイプチャンネルは受信者からの要求に応じて、選択された放送チャンネルについて、受信者宅内の個々のテレビ受信機500へRF信号で放送を伝送する。例えば、BS101チャンネルがテレビ受信機500側で選局されると、BSチューナに周波数情報を設定する代わりに、IP-RF変換装置400にBS101選局情報を送信する。IP-RF変換装置400は、後述するチャンネルリストの中のBS101に相当するIPアドレスとポート番号に従って、当該チャンネルのIPストリームを選択する。さらに、選択したIPストリームを地デジ変調するとともに、当該テレビ受信機500のみが視聴できるようにRF出力の周波数およびテレビ受信機50の地デジ物理チャンネルの周波数を設定する。
【0048】
パイプチャンネルの数は受信者宅内のテレビ受信機500やビデオレコーダ等の映像録画再生装置が同時に使用できる数に十分対応できるように選定する。
【0049】
レガシーチャンネル用地デジ変調部430は、本発明における第2のチャンネル変換部であり、IP接続部410で選択された区域内2K地デジ放送チャンネルのIPストリームに対応するTS(この例では複数チャンネル分)を受信し、テレビ受信機500の所定の地デジ物理チャンネルに対応した周波数のRF信号として出力する部位である。本明細書において「レガシーチャンネル」とは広義には地上デジタル放送チャンネルに対応し、狭義には区域内地上デジタル放送チャンネルを意味する。「レガシー放送」についても同様である。
【0050】
区域内地デジ放送(区域内2K地デジ放送)については、その区域のチャンネル数と同じ個数の周波数のRF信号が出力される。区域内地デジチャンネルについては当該区域の各地デジチャンネルの物理チャンネル周波数と同じ周波数でRF信号を出力することにより、テレビリモコンのチャンネルボタン(数字キーやチャンネル変更キー)を用いた通常の選局が行える。なお、この第2のチャンネル変換部は以下の第2の実施形態で説明するように、本発明において必須の要素ではない。
【0051】
レガシーチャンネル用地デジ変調部430のRF出力は、パイプチャンネル用地デジ変調部440のRF出力と混合して同一の放送波信号伝送媒体を経由して複数のテレビ受信機500へ送信される。
【0052】
制御部(IPストリーム選択・選局制御部)450は、各テレビ受信機500からの通信媒体515a,515b(例えばLAN)上の制御信号に応じて、IP接続部410におけるIPストリームの選択、ならびに、レガシーチャンネル用地デジ変調部430およびパイプチャンネル用地デジ変調部440における選局制御を行う部位である。
【0053】
IP-RF変換装置400に複数のテレビ受信機500が接続されるとき、IP-RF変換装置400の1つのRF出力が分岐されて複数のTVに伝送されている。このため、RF出力に関してはIP-RF変換装置400の側から特定のTVにのみRF信号を出力するということはできない。しかし、パイプチャンネルの利用を伴う選局の要求を行ったテレビ受信機500とIP-RF変換装置400との間で固有の物理チャンネル(例えば地デジの空きチャンネル)を割り当てることにより、そのRF出力は当該物理チャンネルに周波数設定された1台のテレビ受信機500のみが再生できる。これは実質的に、IP-RF変換装置400から特定のテレビ受信機500へのみテレビ信号を出力していると等価とみなせる。したがって、1台のIP-RF変換装置400の異なるパイプチャンネルを用いるとともに、異なる地デジ物理チャンネル(周波数)を用いることにより、複数のテレビ受信機500に対して同時にそれぞれ別のチャンネルの放送番組を排他的に視聴させることが可能となる。ここに「排他的」とは、あるパイプチャンネルから出力される放送番組は当該パイプチャンネルが割り当てられたテレビ受信機500のみが視聴できることを意味する。
【0054】
図3に、IP接続部410の内部構成例を示す。
【0055】
PHYチップ411は、通信媒体(例えば100M/1G LAN)に接続される送受信部である。このPHYチップ411は、デジタルのデータを分離するするとともに、リンク状態、スピード(10M/100M/1G)の特定、DUPLEX(FULL/HALF)の検出も行う。
【0056】
それに従って後段のMAC回路412が動作する。MAC回路412には固有のMACアドレスが設定され、これで、自分以外のMACアドレスが記述されている受信データを全て廃棄し、内部に取り込まないようにする(ユニキャスト伝送の場合)。MAC回路412ではブロードキャスト、マルチキャストアドレスも適切に処理する。これ以外にFCS(フレームチェックコード)を検出し、フレーム内データにエラーが起こっていると、パケットロスとして廃棄する。
【0057】
MAC回路412の後段には受信用と送信用の1.5KBのバッファ413,414を複数面有し、処理の取りこぼしが起きないようにしている。
【0058】
バッファ413,414の後段にはIPストリーム選択再生部415が配置される。このIPストリーム選択再生部415は、プロトコル処理部416とRTP受信部417を含む。
【0059】
プロトコル処理部416は、代表的な処理として、IPv4でのARP(Address Resolution Protocol)処理、IPv6でのICMPv6 ( Internet Control Message Protocol )処理、IGMP(Internet Group Management Protocol)処理等を実行する。IPv4 ARP処理/IPv6 ICMPv6処理は、IPアドレスからMACアドレスの情報を得るためのプロトコルであり、本実施形態ではIPアドレス-MACアドレステーブル作成用に用いられ、これによりIPアドレスを管理する。IGMP処理は、IPネットワーク上でマルチキャストを行うために、マルチキャストに参加するホストのグループを設定し、ネットワークに通知するための通信プロトコルである。本実施形態ではこれによりマルチ
キャストのジョインを実行してストリームの取り込みを可能にする。マルチキャストジョインとは、マルチキャスト受信者が、マルチキャストネットワークからデータを受け取れるように「マルチキャストグループ」と呼ばれるグループに参加することを意味する。
【0060】
RTP受信部417は、RTPプロトコルに則って伝送されてくるIPストリームの受信処理を行う部位であり、UDPパケット、RTPパケットの順で反応し、登録したIPパケットのみを再生して、もとのTSレートを生成し、TSを再生出力する。RTPはReal-time Transport Protocol(リアルタイムトランスポートプロトコル)の略であり、音声や動画などのデータストリームをリアルタイムに配送するためのデータ通信プロトコルである。
RTPは、シンプルな構成で制御が簡単なUDP(User Datagram Protocol)上で用いられる。
【0061】
図4に、IPストリーム選択再生部415の内部機能の構成例を示す。この図は1チャンネル(CH)あたりの構成を示している。
【0062】
まず、ストリーム選択部415aにおいて、IPネットワーク150から直列に受信したそれぞれ異なるチャンネルに対応した複数のIPストリームのうちの所望のIPストリームを選択して、後段のFEC(Forward Error Correction)リカバー部415bおよびレート演算部415eへ出力する。
【0063】
FECリカバー部415bは、選択されたIPストリームについて、RTPのシーケンス番号に欠落がないかを調べる。もし、欠落があるとCOLUMN FECおよびROW FECを調べてFECリカバリを行う。レート演算部415eは、RTPストリームに記載されたタイムスタンプとシーケンス番号からバイトレートを計算する。FECリカバー部415bの後段のTS蓄積バッファ415cは、FECリカバリ処理後のデータを一旦蓄積する。さらに後段のレート再生部415dは、レート演算部415eの出力に従って、TS蓄積バッファ415cからデータを読み出し、レートを忠実に再生してTSとして出力する。
【0064】
図5は、IPストリーム選択再生部415と後段の地デジ変調部430,440の概略の内部構成を示している。
【0065】
IPストリーム選択再生部415は、区域内2K地デジIPストリーム選択再生部423と区域内2K地デジ以外IPストリーム選択再生部425とを備えている。本実施形態において「区域内2K地デジ以外」とは、典型的には、区域外2K地デジ放送、BS放送、CS110放送および4K放送を含む。
【0066】
区域内2K地デジIPストリーム選択再生部423は、テレビ受信機500が設置されている区域の区域指定情報(例えば郵便番号)421に基づいて、該当する区域内2K地デジ放送に対応する複数のチャンネルのIPストリームを選択し、複数の地デジチャンネル(CH)のTSを再生出力する。この例では地デジCH1から地デジCH8までの最大8CHに対応している。
【0067】
各地デジCHの再生TSは、レガシーチャンネル用地デジ変調部430に入力される。このレガシーチャンネル用地デジ変調部430は、複数(この例では8個)のISDBT(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)変調器431を有する。各地デジCHの再生TSは、対応するISDB変調部431に入力される。各ISDBT変調器431の出力はアップコンバータ439により周波数アップコンバートされてそれぞれ所定の地デジ物理CH周波数の地デジRF信号に変換され、混合してテレビ受信機500へ出力される。
【0068】
パイプチャンネル用地デジ変調部440は、レガシーチャンネル用地デジ変調部430と同様に、複数(この例では8個)のISDBT変調器441を有する。区域内2K地デジ以外IPストリーム選択再生部425で選択された各選択TS(この例では最大8個)は、対応するISDBT変調器441に入力され変調される。各ISDB変調部441からの変調出力はアップコンバータ449によりアップコンバートされてそれぞれ上記と異なる地デジ物理CH周波数の地デジRF信号に変換され、混合してテレビ受信機500へ出力される。
【0069】
現状、地デジ放送の制約上、区域を越えての伝送はできないので、図6に概念的に示すように、区域内2K地デジIPストリーム選択再生部423には区域指定情報421に基づいて選択できる、地デジCH毎に接続すべきIPアドレス・ポート番号などが設定されたチャンネルリスト424が用意され、これに従ってIPストリームを特定して取得し、再生し、各地デジCHの放送信号(TS)として出力する。有効な区域内地デジCHの数は区域によって異なり、例えば5CHであったり、8CHであったりする。
【0070】
本実施形態ではIP-RF変換装置400内の処理チャンネル容量として8つのチャンネル(CH)を区域内地デジ放送用に用意してレガシー放送に対応するとともに、残り8CHをパイプチャンネル接続(以下に詳述する)用に用意している。
【0071】
したがって、本実施形態では、区域内地デジ放送についてはIP-RF変換装置400に接続されたすべてのテレビ受信機500に任意の区域内地デジチャンネルの視聴を可能にするとともに、区域内地デジ放送以外の放送(区域外地デジ放送、BS放送、CS110度放送等)のチャンネルについてはパイプチャンネル数に応じた最大8台のテレビに別々のチャンネルを同時に排他的に視聴させることが可能となる。
【0072】
図7に、区域内2K地デジ以外IPストリーム選択再生部425とパイプチャンネル用地デジ変調部440の機能説明図を示し、パイプチャンネルの選択の流れを説明する。
【0073】
制御部450内のプロトコル解析部445は、テレビ受信機500からHUB510(図1)を経由してアップリンク制御信号として、本実施形態に係るパイプチャンネルに関連するコマンド(パイプチャンネルコマンド)を受信する。実際には通常のネットワーク装置のプロトコル制御(ARP、ICMP、IGMP等)をしながら、送られてきたパイプチャンネルコマンドを解析する。パイプチャンネルを開通(オープン)させるコマンドを受信すると、パイプチャンネルの物理チャンネル(物理CH)を決定し、その物理チャンネルを当該パイプチャンネルに対応するアップコンバータ449に設定するとともに、ダウンリンクを介して、決定された物理CH周波数を当該テレビ受信機500へ通知する。図7ではパイプチャンネル用地デジ変調部440には1チャンネル分のみを示してある。
【0074】
IP-RF変換装置400を利用した選局(ネットワーク選局)において、IP-RF変換装置400はテレビ受信機500から例えば受信者の希望するチャンネル"BS101"の指定(チャンネル情報)を含む「パイプチャンネルオープンBS101」というコマンドを受けると、BS101を送出するパイプチャンネルの物理CH周波数を通信媒体(LAN)経由で当該テレビ受信機宛に通知する。また、IP-RF変換装置400内の制御部450は、BS101に割り当てられているIPアドレスとポート番号を確認して、IP接続部410により当該IPストリームを取得し、そのTSの再生を開始させる。チャンネル選択機能425aは、プロトコル解析部445が受信したチャンネル情報に応じて、区域外地デジ、地デジ4K、BS、CS110、新規チャンネル、については、チャンネルリスト424を参照し、当該IPアドレスとポート番号を選択し、出力する。すなわち、これらのIPアドレスはマルチキャストIPアドレスであり、IGMPコマンドを用いて最寄りの収容局220(図1)のルータにジョインする。これにより、IP-RF変換装置400は該当するBS101のIPストリームを受信し、TSレートを計算して、当該TSの再生を開始する。さらに、そのTSをISDBT変調器441に入力して変調し、アップコンバータ449で当該物理CHの周波数に合わせて周波数アップコンバートしてRF出力する。
【0075】
当該選局を行ったテレビ受信機500は、IP-RF変換装置400から通知された、BS101のパイプチャンネルの地デジ物理CH周波数を地デジチューナに設定して、RF信号を受信するまで待つ。ISDBT出力変調遅延は約300~400ms程度である。この遅延はチューナの設定遅延とほぼ同じなので、放送遅延を意識しなくても済む。
【0076】
BS以外のチャンネルについても同様のメカニズムでのネットワーク選局が可能である。なお、「新規チャンネル」とは新しく定義できるチャンネルという意味で、コミュニティチャンネル自主放送から、海外のチャンネルまでを含む。
【0077】
上記「当該IPアドレスとポート番号」は放送局(ホストサーバ)からマルチキャストで送信されている放送番組(IPストリーム)の中から所望の放送番組を選択したり、あるいは 特定のサーバをアクセスするなどの用途に用いられるチャンネルリスト424の構成要素である。好ましくは、チャンネルリスト424は、IP-RF変換装置400に予め登録され、ホストサーバから逐次自動更新される。IP-RF変換装置400内のチャンネルリスト424が更新されるたびに、テレビ受信機500(ビデオレコーダ等の映像録画再生装置)のチャンネルリストも更新される。
【0078】
図8に、図7に示したチャンネルリスト424の内部構成例を示す。このチャンネルリスト424には、例として、地デジ4K放送の8チャンネルと、BSの複数のチャンネルと、CSの複数のチャンネルのそれぞれのIPアドレスおよびポート番号が含まれている様子を示している。
【0079】
チャンネルリスト424のテレビ受信機500への伝送は、例えば、IPプロトコルに則り、通信媒体(LAN)により行うことができる。テレビ受信機500内のソフトウェア自体がすでに書き換えられていれば、テレビ受信機500のメイン電源がオンすると直ちに、接続されているIP-RF変換装置400を探し、もしあれば、BS・CS放送を選局するのではなく、IP-RF変換装置400を選択する。チャンネルリスト424はテレビ受信機500内の不揮発性メモリに蓄積される。この代わりに、チャンネルリスト424と同等のデータをソフトウェアに組み込んでおいてもよい。
【0080】
なお、チャンネルリスト424のテレビ受信機500への伝送は、通信によらずに、例えば、後述するレガシー地デジチャンネルの一つである初期設定チャンネル周波数のRF信号内のデータ放送を利用して行うことも可能である。
【0081】
図9により本実施形態におけるIP-RF変換装置400の稼働方法について説明する。
【0082】
<IP-RF変換装置の稼働方法>
IP-RF変換装置400を利用するための初期動作を説明する。
【0083】
図9(a)に示すように、IP-RF変換装置400はホストサーバ115から所定のTS(データ放送)により初期設定のためのデータを受信し、これを初期設定チャンネルのデータ放送としてテレビ受信機500へRF出力する。
1) そこでまず、各テレビ受信機500においてRFチャンネルの初期サーチを行うことにより、通常の地デジチャンネルと初期設定チャンネルとを受信する。
2) テレビ受信機500のネットワーク設定
ついで、ユーザの操作に応じてテレビ受信機500のネット接続設定を行う。これにより、テレビ受信機500は外部ネットワークにアクセスすることが可能となる。
3) 初期設定チャンネルの受信
テレビ受信機500は、予め定めた初期設定チャンネルを受信してデータ放送画面を表示する。このデータ放送画面は自動で起動する。
【0084】
データ放送画面では初期メニューで、テレビ受信機500の内部情報をIP-RF変換装置400に出力させる。データ放送には、送信先であるIP-RF変換装置400のIPアドレスとポート番号が内包されている。IP-RF変換装置400は、受信したテレビ受信機500の内部情報をホストサーバ115へ送出する。
【0085】
テレビ受信機500の内部情報としては、次のようなものが挙げられる。
A)B-CASカード番号
B)テレビ本体のIPアドレス+ポート番号
C)テレビの製造メーカー
D)モデル番号
E)再生可能なビデオフォーマット。
【0086】
一連の処理でソフトウェアアップデートが可能なテレビか否か、ホストサーバ側は確認することができる。
【0087】
次に、アップデートコードのダウンロードを承認させる。
4) IP-RF変換装置400への接続機能を有するソフトウェア(制御プログラム)をダウンロードする。
【0088】
図9(b)に示すように、例えば、SDTT(Software Download Trigger Table)を用いてテレビ受信機500がネットワーク選局できるようにソフトウェアをアップデートする。すなわち、ホストサーバ115から所定のタイミングでTS(SDTT)が送出され、これがIP-RF変換装置400によりテレビ受信機500へRF出力される。これにより、テレビ受信機500のソフトウェアが更新される。テレビ受信機500からIP-RF変換装置400へACK信号が返され、さらにIP-RF変換装置400からホストサーバ115へACK信号が返される。
【0089】
<初期設定チャンネルでのデータ放送メニュー例>
本実施形態によるIP-RF変換装置を利用するにあたって、その初期設定を行う必要がある。この初期設定はIP-RF変換装置400から初期設定チャンネルで提供されるデータ放送に基づいて表示されるメニューに従って、当該テレビ受信機500のユーザが必要な情報を入力する。
【0090】
IP-RF変換装置400に関するテレビ受信機500の設定メニュー画面に表示される項目としては次のようなものが挙げられる。
・郵便番号: 区域指定情報としてユーザ(またはIP-RF変換装置の設置担当者)が入力する。
・UPLINK IP ADDRESS:IP-RF変換装置のIPアドレスであり、上記のようにIP-RF変換装置400からデータ放送で通知されて自動設定される。あるいはユーザ(またはIP-RF変換装置の設置担当者)が入力してもよい。
・MY IP ADDRESS: テレビ受信機500のIPアドレスであり、ユーザ(またはIP-RF変換装置の設置担当者)が入力する。
・MY NET MASK: テレビ受信機500のIPアドレスの付属情報であり、ユーザ(またはIP-RF変換装置の設置担当者)が入力する。
・DEFAULT GATEWAY ADDRESS: デフォールトゲートウェイアドレスであり、ユーザ(またはIP-RF変換装置の設置担当者)が入力する。
【0091】
このほか、テレビ受信機500の情報として、メーカー名、型番、製造番号、ネットワーク対応の有無等の情報が表示される。
【0092】
なお、未設定の項目については、例えば、"---.---.---.---"のような表示により、入力が勧誘される。「ネットワーク設定ができていません。テレビの設定メニューから設定してください。」等の勧誘メッセージを表示するようにしてもよい。
【0093】
本実施形態で使用するチャンネルリスト424としては、ARIB STD-B10で規定された、MPEG-2 System規格における番組情報などを含めたSI(Service Information)に含まれるNIT(Network Information Table)を利用することができる。SIには、チャンネル番号や変調方式、ガードインターバルなど、送信するネットワークに関する情報が含まれている。
【0094】
<ネットワーク選局のあらまし>
本実施形態では、地デジ放送の直接選局はレガシー選局方法としてこれまで通り、サポートされる。BSやCS等の選局は開通したパイプチャンネルを用いて行う。選局できるチャンネルリスト424はネット経由で受領することができる。テレビ受信機500側では常に最新のチャンネルリスト424をホストサーバに問い合わせる機能を実装している。
【0095】
なお、テレビ受信機500のソフトウェアの変更に基づいて、パイプチャンネルを用いた選局であっても、メニュー選局以外に、BSボタンやCSボタンと数字キーの組み合わせによる直接選局が可能である。例えば、BSボタンが押されると、瞬時にラストチャンネルを呼び起こし、それをIP-RF変換装置400へ通知すると、IP-RF変換装置400はBSのラストチャンネルにチューニングする。ラストチャンネルとは既存のテレビ受信機500に備えられた機能であり、地デジ、BS、CS1、CS2の放送種別切り替えボタンと連動し、それぞれ直前に視聴されたチャンネルをラストチャンネルとして記憶しておき、放送種別切り替えボタンが押されたとき当該ラストチャンネルを自動的に選択する機能である。勿論、放送種別切り替えボタンに続いて数字キーが押下されればそのチャンネルへの移行が行われる。
【0096】
図10は、本実施形態におけるテレビ受像機500の選局フローを示すフローチャートである。この図10の処理は、テレビリモコンの操作等による選局動作に応じて実行される。
【0097】
選局動作が地デジ選局(区域内地デジCH)であった場合(S31)、テレビ受信機500に備わった通常の地デジ選局処理を行う(S37)。
【0098】
そうでなければ、当該選局動作に応じたIP-RF変換装置400用のチャンネルリスト424があるかどうかをチェックする(S32)。存在しなければ、このテレビ受信機500に備わったBS/CS選局処理を行う(S36)。
【0099】
当該選局動作に応じたIP-RF変換装置400用のチャンネルリスト424がある場合(S32,Yes)、IP-RF変換装置400に対してパイプチャンネルの割り当て要求および希望チャンネルの選択(選局)を行う(S33)。IP-RF変換装置400からパイプチャンネル割り当て応答を受信した後(S34)、当該パイプチャンネルに対応する地デジ物理CHの周波数をテレビ受信機500のチューナに設定する(S35)。
【0100】
ステップS35,S36,S37に続いて、当該選局されたチャンネルの放送番組のデコードが開始される。
【0101】
図11は、本実施形態におけるIP-RF変換装置400の概略処理手順を示したフローチャートである。
【0102】
IP-RF変換装置400は、その電源が投入されると、まず、その設置場所の区域指定情報421(図5)を読み出す(S11)。
【0103】
その後、IP-RF変換装置400は、まず、区域内の地デジチャンネルを登録する初期処理を行う。すなわち、区域内の2K地デジチャンネルリストから地デジCH1のIPアドレスおよびポート番号を取得し(S12)、この接続先にマルチキャストジョインを行うとともに、このチャンネルのIP-RF変換を行って当該地デジチャンネル周波数でRF出力を行う(S13)。このIPアドレスはマルチキャストIPアドレスである。より具体的には、IGMPコマンドを用いて最寄りの収容局のルータにジョインする。
【0104】
区域内の地デジCH全局について初期処理を完了するまで(S14)、チャンネル番号を更新(ここでは1増分)して(S15)、ステップS12へ戻る。
【0105】
区域内の地デジCH全局についての初期処理が完了した後(S14,Yes)、パイプチャンネル関連の処理に移行する。
【0106】
パイプチャンネル関連の処理では、テレビ受信機500からのパイプチャンネル要求の受信を待機する(S16)。パイプチャンネル要求とはパイプチャンネルオープン要求またはパイプチャンネルクローズ要求である。
【0107】
パイプチャンネル要求を受信したとき、IP-RF変換装置400はこの要求がどのテレビ受信機500からのものかを識別する(S17)。その識別のために、受信したソースIPアドレス(送った側のテレビ受信機500)またはB-CASカード番号等のテレビ受信機500の識別情報(TV識別情報)に基づいて、要求元のテレビ受信機500を認識し、当該テレビ受信機500にパイプチャンネルを割り当てるようにする。パイプチャンネルに割り当てる地デジ物理CH周波数はその時点で使われていないものを割り当てる。
【0108】
パイプチャンネル要求が「パイプチャンネルオープン」ではない、すなわちパイプチャンネルクローズであれば(S18,No)、当該パイプチャンネルを放棄し(S23)、当該マルチキャストを開放(リーブ)し(S24)、開放ACK応答を行う(S25)。その後、ステップS16へ戻る。マルチキャスト開放は、当該IPアドレスへのマルチキャストリーブ(IGMPのコマンド)により行われる。
【0109】
パイプチャンネル要求が「パイプチャンネルオープン」であれば(S18,Yes)、パイプチャンネルを確保するとともに、当該テレビ受信機500へ物理CH割当応答を行う(S19)。すなわち、地デジの空き物理チャンネルを割り当てる。使用中の地デジCH周波数は区域ごとに決められているので、それを参照するとともに、他のパイプチャンネルで使用中の地デジ物理CHを参照して空き物理CHを選択する。
【0110】
次いで、当該テレビ受信機500に対する以前のマルチキャストを開放する(S20)。さらに、チャンネルリストからIPアドレスおよびポート番号を取得し(S21)、マルチキャストジョインを行うとともに、このチャンネルのIP-RF変換を行って当該物理チャンネル周波数でRF出力を行う(S22)。その後、ステップS16へ戻る。
【0111】
マルチキャストの場合、最寄りの収容局のルータまではIPストリームが来ており、マルチキャストジョインによりそこからIPストリームを取り出すことができる。別のIPストリームを取り出す場合は、まず、現在ジョインしているものをリーブしてから、再度、別のIPアドレスでジョインする。
【0112】
図12は、本実施形態の選局プロトコルに従ったIP-RF変換装置400とテレビ受信機500との間のパイプチャンネルのオープンおよび選局に関する具体的なやりとりを例示したシーケンス図である。テレビ受信機500は複数のテレビ受信機500a,500bを含みうる。
【0113】
今、例えば、テレビ受信機500のネットワーク選局用の画面に対するテレビリモコンを用いたユーザ操作に基づいて、BS101を指定したパイプチャンネルオープン要求(選局要求)がテレビ受信機500からIP-RF変換装置400へ送出されたとする(S51)。この際、テレビ受信機500からはTV識別情報も併せて送信される。
【0114】
これに対してIP-RF変換装置400は、空いているパイプチャンネルを確保し(S41a)、地デジチャンネルの空きチャンネルの一つである物理CH1にBS101を割り当ててテレビ受信機500へ通知するとともにACK信号を返す(S41b)。さらに、BS101の放送番組を地デジ変調するIP-RF変換を開始し(S42)、割り当てられた地デジ物理CH1でRF出力を開始する(S43)。もし、割り当てるべき物理チャンネルがない場合は、NACK信号がテレビ受信機500へ返される。
【0115】
このテレビ受信機500は受信した物理CH1の周波数を自身のチューナに設定し(S52)、RF出力を受信して再生を開始する。その再生中、テレビ受信機500はBS101(物理CH1)について当該パイプチャンネルでの視聴を継続している旨を表すステータスを周期的に(例えば1秒間隔で)IP-RF変換装置400へ送信する(S53)。IP-RF変換装置400はその都度、当該テレビ受信機500へACK信号を返送する(S44)。
【0116】
IP-RF変換装置400では、あらかじめ定めた一定時間、チャンネル指定がない場合は、自動でパイプチャンネルがクローズされるようにしている。このため、テレビ受信機500は定期的にチャンネル指定を伴うステータスの送信を行う。指定されたチャンネルが前回と同じ場合、IP-RF変換装置400は継続して同チャンネルの番組を送信する。
【0117】
その後、テレビ受信機500が4K1チャンネルへの変更する選局を行ったとする(S54)。これに応答してIP-RF変換装置400は、同パイプチャンネルを維持し(S45a)、同じ物理CH1に4K1チャンネルを当該テレビ受信機500へ通知するとともに、ACK信号を返す(S45b)。このテレビ受信機500は受信した物理CH1の周波数の自身のチューナへの設定を維持し(S55)、RF出力を受信して再生を継続する。IP-RF変換装置400は、4K1チャンネルの放送番組を地デジ変調するIP-RF変換を開始し(S46)、割り当てられた地デジ物理CHでRF出力する(S47)。
【0118】
テレビ受信機500はその再生中、4K1チャンネル(物理CH1)について当該パイプチャンネルでの視聴を継続している旨を表すステータスを周期的に(例えば1秒間隔で)IP-RF変換装置400へ送信する(S56)。IP-RF変換装置400はその都度、当該テレビ受信機500へACK信号を返送する(S48)。
【0119】
その後、テレビ受信機500の電源がオフされると(S57)、ステータスの送信が途切れるため、所定時間ステータスの受信がない場合にIP-RF変換装置400は当該チャンネルの視聴が停止されたと判断して、IP-RF変換装置400はパイプチャンネルをクローズする(S49)。これに伴って当該IPストリームのマルチキャストも開放する。
【0120】
IP-RF変換装置400のこのような自動クローズ判定はテレビ受信機500の電源オフの場合のほか、パイプチャンネルを使用しないチャンネルへの切り替えが発生した場合にも生じうる。
【0121】
このような自動クローズ判定のほか、テレビ受信機500が特定の物理CHについて明示的にパイプクローズ指示をIP-RF変換装置400へ発行できるようにしてもよい。
【0122】
なお、パイプチャンネルをクローズすることなくオープンすると重ねて別のパイプチャンネル(物理チャンネル)が選択される。テレビ受信機500等でいわゆる裏録用にチューナを2~3台備えている場合がある。このような場合、一旦オープンしたパイプチャンネルを閉じることなく、新たなパイプチャンネルをオープンすることにより対応が可能となる。
【0123】
4K放送をデコードできる機能を有しているテレビ受信機500は、受信したIPストリームに4KのTSストリームが入っていれば、パイプチャンネルを用いて地デジ周波数帯域で4K放送の再生ができる。4KのTSストリームは2KのTSストリームと同じ構造である。パイプチャンネルで制限されるものは、伝送レートの最大が21Mbpsということだけで、4Kが包含されるレートである。
【0124】
以上説明した第1の実施形態によれば次のような効果が得られる。
【0125】
(a)区域内地デジ放送についてはIP-RF変換装置400に接続されたすべてのテレビ受信機500に任意の区域内地デジチャンネルの視聴を可能にするとともに、区域内地デジ放送以外の放送(区域外地デジ放送、BS放送、CS110度放送等)のチャンネルについてはパイプチャンネルの個数に応じた複数台のテレビに別々のチャンネルを同時かつ排他的に視聴させることが可能となる。
【0126】
(b)IPネットワーク経由で、区域内の2K地デジ放送については従来と同様の選局がサポートされ、区域外2K地デジ放送、BS放送、CS110放送については、パイプチャンネルを介して、地デジチューナを備えた従来のデジタルテレビ受信機500で、所望のテレビ放送を視聴することが可能である。
【0127】
(c)IP-RF変換装置400に対する初期設定およびチャンネル選択(選局)の動作はすべてテレビリモコンだけで操作が可能である。
【0128】
(d)各受信者宅に1台のIP-RF変換装置400で複数台のテレビ受信機500およびビデオレコーダ等の映像録画再生装置をサポート可能である。パイプチャンネルの割り当てについては、「テレビ受信機」の代わりにビデオレコーダ等の映像録画再生装置についても同様である。
【0129】
(e)複数のIPストリームに対して1つのパイプチャンネルを選択的に割り当てることができるので、将来、200~300チャンネルもの放送にも無理なく対応できる。すなわち、理論的に追加チャンネルに制限がない。これにより、海外のテレビ番組を直接視聴することも可能となる。
【0130】
(f)地デジのUHF帯域のみを用いることにより、BS左旋、CS左旋などの帯域が不要となり、これまでのUHFケーブル(同軸ケーブル)でテレビ放送信号を伝送することができる。
【0131】
(g)従来のデジタルテレビ受信機500に対して、最小限のソフトウェア修正で対応が可能である。
【0132】
<第2の実施形態>
ネットワーク課金の条件によってはIP-RF変換装置400においてレガシーチャンネルについて当該区域内のすべてのチャンネルを常時マルチキャスト要求した状態にしていることが事実上困難な場合がありうる。このような場合には、レガシーチャンネル用地デジ変調部430を備えずに、レガシーチャンネルについてもパイプチャンネル用地デジ変調部440のみで対応することも可能である。
【0133】
第1の実施形態では、レガシーチャンネル用地デジ変調部430およびパイプチャンネル用地デジ変調部440の両方を備え、レガシーチャンネル用地デジ変調部430で複数の区域内2K地デジチャンネル(例えば8CH)を同時に地デジ変調してレガシー放送に対応し、残り8CHをパイプチャンネル用地デジ変調部440でパイプ接続に使用する例を示した。しかし、理論上、パイプチャンネルを少なくとも1つだけ用いることにより、テレビ受信機500に地デジ、BS、CS、および将来新規で登録したいチャンネルなどの全てに対応させることができる。すなわち、従来のテレビ受信機500ではチューナで周波数選択をして、特定チャンネルを受信するというのが基本であった。しかしもし、送出する側と受信する側が選択したチャンネルで合意している場合は、多数の周波数帯域を用いる必要はない。パイプチャンネルの利用により、たった一つの周波数帯域(CH)であっても選択的に複数のチャンネルを受信可能である。
【0134】
図13に、第2の実施形態におけるIP-RF変換装置400aの内部の概略構成を示すとともに、IP-RF変換装置400aとテレビ受信機500との接続関係を示す。第1の実施形態と同様、この図では2台のテレビ受信機500a,500bを示している。テレビ受信機500a,500bにはそれぞれB-CASカード550a,550bが装着されている。また、それぞれテレビリモコン530a,530bが付属している。
【0135】
第2の実施例はレガシーチャンネル用地デジ変調部430を有さず、パイプチャンネル用地デジ変調部440のみを備える。理論的には、一本の周波数帯域で全てのチャンネルの放送に対応することができる。但し、1台のテレビ受信機500に対してパイプチャンネルの個数は1つでもよいが、実際上、複数台のテレビ受信機500、あるいはビデオレコーダ等の映像録画再生装置に対応するために、複数のパイプチャンネルを用意することが好ましい。
【0136】
したがって、この実施形態では、区域内の2K地デジチャンネルについてもパイプチャンネルを経由して視聴することになる。そのため、チャンネルリストには上記の内容に加え、区域内の2K地デジチャンネルについても含め、その中から受信者が所望のチャンネルを選択する。
【0137】
図14は、本実施形態におけるIP-RF変換装置400aとテレビ受信機500との間でのパイプチャンネルによる選局の手順を示すフローチャートである。テレビ受信機500は複数のテレビ受信機500a,500bが平行してこの処理に関与しうる。
【0138】
テレビ受信機500は、今、例えば、テレビ受信機500の例えばネットワーク選局用画面に対するテレビリモコンを用いたユーザ操作に基づいて選局(CH指示)を受けると(S1)、通信媒体(LAN)経由でIP-RF変換装置400aに対して希望チャンネル(CH)情報とともにパイプチャンネルオープン要求(選局要求)を送信する(S2)。この際、テレビ受信機500からはTV識別情報も併せて送信される。
【0139】
このパイプチャンネルオープン要求を受けたIP-RF変換装置400は、希望CHのIPストリームに対してその時点で空いているパイプチャンネルを確保して割り当て(S3)、通信媒体(LAN)経由でその物理CHを当該テレビ受信機500へ通知する(S4)。また、当該希望CHのIPストリームを選択する(S5)。
【0140】
物理CHの通知を受けたテレビ受信機500は、内蔵する地デジチューナに当該物理CHの周波数を設定する(S7)。
【0141】
一方、IP-RF変換装置400は、当該パイプチャンネルを用いて、当該選択されたIPストリームのIP-RF変換を開始し(S6)、当該地デジ物理CH周波数のRF出力を放送波信号伝送媒体(同軸ケーブル)経由でテレビ受信機500へ送出する(S8)。
【0142】
テレビ受信機500は、送られてきたRF信号を受信して当該物理CHの再生を開始する(S9)。
【0143】
同じ放送波信号伝送媒体(同軸ケーブル)が接続された複数のテレビ受信機500が存在しても、適正な物理CHの周波数を設定したテレビ受信機500のみが当該放送を再生することができる。
【0144】
なお、この処理は、ネットワーク選局の対象に区域内2K地デジチャンネルも含まれる点を除いて、実質的に第1の実施形態におけるパイプチャンネルの選局の手順と同じである。
【0145】
以上説明した第2の実施形態によれば次のような効果が得られる。
【0146】
すなわち、レガシーチャンネル用地デジ変調部430により得られる効果を除いて、第1の実施形態と同様の効果が得られる。これに加えて、第2の実施形態によれば、レガシーチャンネル用地デジ変調部430を備えずにパイプチャンネル用地デジ変調部440のみで対応することにより、ネットワーク課金に対して無駄な課金を排除することができる。
【0147】
<第3の実施形態>
図15に、本発明の第3の実施形態に係るIP-RF変換装置400bとテレビ受信機500の接続関係を示す。上記と同様に1台のIP-RF変換装置400bに対して複数のテレビ受信機500を接続可能である。この図では2台のテレビ受信機500a,500bを示している。テレビ受信機500a,500bにはそれぞれB-CASカード550a,550bが装着されている。また、それぞれテレビリモコン530a,530bが付属している。
【0148】
この第3の実施形態では、IP-RF変換装置400bに視聴制限部460が備えられている。視聴制限部460はIP-RF変換装置400bに接続されたテレビ受信機500に対して、チャンネル毎の視聴制限を行う機能を有する。加えて、複数のテレビ受信機500が接続されている場合には、テレビ受信機500毎にチャンネルの視聴制限を行うことができる。例えば、有料のチャンネルについてテレビ受信機500毎に予め登録したチャンネルのみ視聴が可能という制御を行うことができる。
【0149】
そのためにテレビ受信機500上に例えば有料チャンネル登録用画面を設け、その上に例えば、購入用の指示手段としての購入ボタンを実装するようにしてもよい。
【0150】
新規で登録したいチャンネルの選局方法としては次のような方法が考えられる。例えば、その選局用にはテレビリモコンの決定ボタンを使用することができる。映像表示でデータ放送を表示していない場合には、決定ボタンを押すと全テレビ共通の選局メニューが表示されるようにする。選局はカーソル移動で実現することができる。
【0151】
有料チャンネル登録用画面上の選局メニューとしては、以下のものが考えられる。
1) プレイリスト
2) 2K区域内地上波テレビ局
3) BSテレビ局
4) CS1 CS2 テレビ局
5) スカイパーフェクトテレビ局
6) 2K区域外地上波テレビ局
7) 地デジ4Kテレビ局
【0152】
この選局メニューはIPネットワークを通じてダウンロードすることができる。そのフォーマットとしては種々の既知のものが利用可能であり、特に限定するものではない。
【0153】
受信者は区域内の地デジ以外のチャンネルについては一旦選局したチャンネルをプレイリストに登録しておくことにより、以後、プレイリストから選択することができる。
【0154】
図16は、そのような視聴制限を行うためのIP-RF変換装置400bの内部構成例を示している。
【0155】
この例では、IP-RF変換装置400bはIPストリーム選択部415a、視聴制限部460、地デジ変調部440、IPストリーム選択・選局制御部450を備えている。地デジ変調部440は上述したパイプチャンネル用地デジ変調部であり、さらにレガシーチャンネル用地デジ変調部430を含んでもよい。IPストリーム選択再生部415は上述した図3のIPストリーム選択再生部415の機能に加えて暗号デコード機能(復号部)を有している。
【0156】
視聴制限部460は、チャンネル登録部461、視聴制限制御部462、課金処理部463および記憶部464を有する。視聴制限部460としては、既知のセキュリティチップ等を利用することができる。
【0157】
チャンネル登録部461は、テレビ受信機500から所望のチャンネルの登録要求を受けて、当該テレビ受信機500に対応づけて当該チャンネルを登録する機能(初期チャンネル登録機能)を有する。チャンネル登録部461には、IPストリームが暗号化されたチャンネルについて、各テレビ受信機500について登録されたチャンネルのIPストリームに対する暗号を復号する復号キー(例えば視聴ライセンスキー)も併せて登録される。本明細書において「チャンネル登録」にはチャンネルの番組単位の登録も含みうる。
【0158】
なお、このIPストリームの暗号化は衛星放送のスクランブル化されたチャンネルとは異なり、放送局が有料チャンネルに対して独自に設定する暗号である。例えば、本願出願人に係る特願2016-116127(特開2017-220886号公報)に開示されたような暗号を利用することができる。
【0159】
視聴制限制御部462は、チャンネル登録の後、テレビ受信機500からチャンネルの選択(選局)を受けたとき、当該選択されたチャンネルが当該テレビ受信機500について登録されているかを確認し、登録されているときに当該チャンネルの出力を許可し、登録されていないとき当該チャンネルの出力を不許可とする機能を有する。
【0160】
課金処理部463は、有料チャンネルの登録時に所定の課金処理を行う部位であり、課金手段を構成する。この例ではオンラインで所定のサーバへアクセスすることにより行われる。
【0161】
記憶部464は、この例では、区域指定情報、TV識別情報および視聴制限情報を不揮発的に記憶し、これらに基づいて視聴制限が行われる。区域指定情報は区域内の地デジ放送チャンネルは視聴制限を課さず(無料)、区域外の地デジチャンネルは課金(有料)を条件として視聴を許可するために利用することができる。
【0162】
上述したように、TV識別情報は個々のテレビ受信機500を識別するための情報であり、例えばそのテレビ受信機500に装着されているB-CASカード番号や当該テレビ受信機500に割り当てられたIPアドレスである。本実施形態ではB-CASカード番号を使用した例を説明する。TV識別情報は、狭義にはテレビ受信機の識別情報であるが、広義にはB-CASカードが装着される映像記録再生装置の識別情報も含みうる。この意味ではTV識別情報はデバイス識別情報とも言える。視聴制限情報はTV識別情報毎に設定される許可チャンネルの情報である。
【0163】
チャンネル登録は上述したような初期設定チャンネルでのデータ放送画面を用いて行うことができる。初期チャンネル登録の起動の方法は特に限定しないが、例えばテレビリモコンの決定ボタンを用いて行うようにしてもよい。決定ボタンはデータ放送が駆動されていない状態では全く意味をもたないので好都合である。なお、視聴制限部460内の一部の要素は制御部450等の別のブロックに属するものであってもよい。
【0164】
図17は、IP-RF変換装置400bによる有料チャンネルの初期登録処理の一例を示すフローチャートである。
【0165】
IP-RF変換装置400bはテレビ受信機500からチャンネル登録要求を待機する(S60)。
【0166】
テレビ受信機500からチャンネル登録要求を受けると(S60Yes)、ネットワーク経由で所定のサーバ(登録用サーバ)にアクセスしてデータ放送を受信し、テレビ受信機500にデータ放送画面を表示させ、そこに選局可能チャンネルを全て表示させる。この際、テキストに加えて、当該チャンネルを表す絵柄や静止画等を含めることもできる。
【0167】
テレビ受信機500からチャンネルの選択があると、当該TV識別情報と、受信者の希望するチャンネル情報(CH情報)とを確認し(S61)、それらの情報を当該登録用サーバに送る(S62)。この登録用サーバは図1の通信会社本局110内または外のいずれに設けられてもよい。
【0168】
受信者の購入の意思表示(例えば購入ボタンの押下)を受けて当該登録に問題がなければ(S63,Yes)、課金処理を行う(S64)。問題があれば所定のNGメッセージを出力し(S65)、最初のステップS60へ戻る。
【0169】
課金処理では、例えば受信者のクレジットカード情報を受け付けることにより、有料チャンネルの登録手続が完了する。これに応じて、登録チャンネル情報および視聴ライセンスキーなどを受け取り、当該TV識別情報に対応付けて内部に蓄積(登録)する(S67)。次いで、登録受付が完了した旨のメッセージを出力して(S68)、最初のステップS60へ戻る。
【0170】
課金処理に問題があれば(S66,No)、所定のNGメッセージを出力して(S69)、最初のステップS60へ戻る。
【0171】
これまで衛星放送などの視聴制限解除は、例えば衛星放送からは定期的に送信されるEMMストリームをテレビ受信機500に装着されたB-CASカード宛に送ることにより行われた。この方法では相当の時間が掛かった。本実施形態の場合には、チャンネル登録および視聴制限解除はテレビ受信機500からIP-RF変換装置400bを介してホストサーバへ直接アクセスすることにより行えるので極めて迅速に行うことができる。
【0172】
図18は、IP-RF変換装置400bの視聴制限付きチャンネルの選局処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、テレビ受信機500におけるIP-RF変換装置400bを用いたネットワーク選局用画面からテレビリモコンの操作で行うことができる。
【0173】
IP-RF変換装置400bは、テレビリモコンから受信者の希望するチャンネルの指示を待機する(S80)。チャンネル指示があれば、そのチャンネルが有料かどうかをチェックする(S81)。
【0174】
有料でなければステップS89へ進み、上記第1または第2の実施形態と同様の処理で当該チャンネルのRF出力を行う(S89)。
【0175】
有料であれば、当該チャンネル指示を発行したテレビ受信機500のTV識別情報を確認するとともに、そのTV識別情報に対応する当該チャンネルの登録内容を確認する(S82)。その際、視聴ライセンスキーの有無も確認する。
【0176】
そのTV識別情報に対応する当該チャンネルの登録がなければ(S83,No)、その選局を拒否するNGメッセージを出力して(S90)、最初のステップS80へ戻る。
【0177】
そのTV識別情報に対応する当該チャンネルの登録があれば(S83,Yes)、同TV識別情報に対して当該チャンネル用にパイプチャンネルをオープンする(S84)。チャンネルの切替時など既にパイプチャンネルが確保されている場合には一旦そのパイプチャンネルをクローズして新たにパイプチャンネルをオープンする。この代わりに、当該パイプチャンネルは確保したまま当該パイプチャンネルに流すIPストリームのみを切り換えるようにしてもよい。
【0178】
ステップS84に続いて、当該チャンネルのIPストリームが独自暗号化されているかどうかをチェックする(S85)。そうでなければステップS88へ移行する。独自暗号化がなされていれば、当該視聴ライセンスキー(復号キー)が保存されているかどうかをチェックする(S86)。保存されていなければ、その旨のNGメッセージを出力して(S91)、最初のステップS80へ戻る。
【0179】
当該視聴ライセンスキー(復号キー)が保存されていれば、そのキーを用いて当該IPストリームの復号を行う(S87)。ついで、この選択されたチャンネルについて当該パイプチャンネルを用いたRF出力を行い(S88)、最初のステップS80へ戻る。
【0180】
<第4の実施形態>
図19に本発明の第4の実施形態によるIP-RF変換装置400cの内部構成例を示す。上記と同様の構成要素には同様の参照符号を付して、重複した説明は省略する。この実施形態は、上述したIP-RF変換装置400(400a,400bを含む)を利用して視聴履歴データを蓄積する視聴履歴データ蓄積部470を備えたものである。視聴履歴データ蓄積部470は、IPストリーム選択・選局制御部450も接続され、個々のテレビ受信機500の選局動作(チャンネル指定およびチャンネル変更)等が行われる度に、その履歴データを視聴履歴データとして蓄積する。この視聴履歴データは、視聴率データ等の計測のために所望の時点で外部のホストサーバ等から取り出され、またはホストサーバ等へ送信される。その際の視聴履歴データには当該IP-RF変換装置400の識別情報も付加される。
【0181】
図20に第4の実施形態におけるIP-RF変換装置400cと各テレビ受信機500の処理フローの一例を示す。
【0182】
各テレビ受信機500は視聴者によるテレビリモコン等を用いたチャンネル指定またはチャンネル変更の操作の有無を監視し(S101)、そのような操作があれば、IP-RF変換装置400cに対して当該テレビ受信機500のTV識別情報とともに指定後のまたは変更後のチャンネル情報を通知する(S102)。この通知を受けたIP-RF変換装置400は、当該テレビ受信機について、TV識別情報に対応付けて視聴履歴データを蓄積する(S203)。具体的には、IPストリーム選択・選局制御部450は、そのような通知を受けた時、指定されたチャンネルまたは変更先のチャンネルとその日時情報とを対応づけた時系列データを視聴履歴データ蓄積部470に蓄積していく。これにより、IP-RF変換装置400は時系列のチャンネルの指定および更新の履歴情報を得ることができる。特に図示しないが、IP-RF変換装置400は時計機能を有している。
【0183】
チャンネル変更またはテレビ受信機500の電源オフの場合には(S202,Yes)、当該テレビ受信機500の電源オフの日時も視聴履歴データに含める(S203)。テレビ受信機500の電源オフについてはIP-RF変換装置400は上述した方法で検出することが可能である。日時情報はテレビ受信機500側で確認して当該通知に含めて送信してもよい。
【0184】
テレビ受信機500からIP-RF変換装置400への上記指定されたチャンネルまたは変更先のチャンネルの通知は、上述したパイプチャンネル要求が兼ねることができる。この意味で本実施形態は第2の実施形態に適している。但し、第1の実施形態において、テレビ受信機500において少なくともレガシーチャンネルの選択時には所定の周期(例えば1秒)毎にチャンネル変更の有無を確認し、チャンネル変更が確認されたときにその変更先のチャンネル情報を通信媒体(LAN)経由でIP-RF変換装置400へ送信するようにする等の措置を採ることにより本実施形態は第1の実施形態にも適用することができる。また、この措置の代わりに、チャンネル変更の有無に関わらず、現在選択されているチャンネルの情報を常時所定の周期(例えば1秒)でテレビ受信機500からIP-RF変換装置400へ送信するようにしてもよい。この場合、チャンネル変更の有無はIP―RF変換装置400の側で判断することができる。
【0185】
視聴履歴データとしては、指定されたチャンネルまたは変更先のチャンネルとその日時情報とを対応づけた時系列データに代えて、または加えて、チャンネル毎の視聴開始日時情報および視聴終了日時情報を求めて蓄積するようにしてもよい。チャンネルの指定または変更があった日時が視聴開始日時となる。チャンネル変更またはテレビ受信機500の電源オフがあった場合、それまで視聴されていたチャンネルについて視聴が終了したと判断され、その時点の日時が当該チャンネルについての視聴終了日時となる。あるチャンネルの1組の終了開始日時から終了開始日時までの時間を1回の視聴時間として算出し、併せて蓄積してもよい。
【0186】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上記で説明した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。
【0187】
例えば、上述したシステム全体および各部の構成、個数、動作、処理の細部、処理の順序等、必ずしも上記のとおりである必要はなく、支障のない範囲で変形、変更が可能である。
【0188】
IPネットワーク150は広域マルチキャストネットワークを例として説明したが、必ずしもこれに限るものではなく、上記と実質的に同等の機能が実現できれば、他の通信ネットワークであってもよい。今後普及が見込まれる第5世代(5G)ネットワークなどの利用を排除するものではない。また、通信方式は「マルチキャスト」について説明したが、必ずしもユニキャスト等の他の通信方式の利用を排除するものではない。
【符号の説明】
【0189】
100 テレビ放送事業者
101 地デジ(地上デジタル)放送局
102 CS放送局
103 BS放送局
104 CATV局
110 通信会社本局
115 ホストサーバ
150 ネットワーク
210 中継局
220 収容局
300 受信者宅
320 ルータ
400,400a,400b,400c IP-RF変換装置
410 IP接続部
411 PHYチップ
412 MAC回路
413,414 バッファ
415 IPストリーム選択再生部
415a ストリーム選択部
415b リカバー部
415c 蓄積バッファ
415d レート再生部
415e レート演算部
416 プロトコル処理部
417 RTP受信部受信部
421 区域指定情報
423 区域内2K地デジIPストリーム選択再生部
424 チャンネルリスト
425 区域内2K地デジ以外IPストリーム選択再生部
425a チャンネル選択機能
430 レガシーチャンネル用地デジ変調部
431 ISDBT変調器
439 アップコンバータ
440 パイプチャンネル用地デジ変調部
441 ISDBT変調器
445 プロトコル解析部
449 アップコンバータ
450 ストリーム選択・選局制御部
460 視聴制限部
461 チャンネル登録部
462 視聴制限制御部
463 課金処理部
464 記憶部
470 視聴履歴データ蓄積部
500,500a,500b テレビ受信機
515a,515b 通信媒体
530a,530b テレビリモコン
550a,550b B-CASカード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20