(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理装置における対象物の搬送方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20230628BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/30 562
(21)【出願番号】P 2019053368
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼原 丈二
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-133415(JP,A)
【文献】特開2005-203440(JP,A)
【文献】特開2018-121007(JP,A)
【文献】特開2017-041513(JP,A)
【文献】特開2018-137383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、
複数の搬送元のいずれかから搬送先の目標位置へ前記処理に関する対象物を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置による前記対象物の搬送動作よりも前に、前記目標位置を示す目標情報に基づいて前記複数の搬送元の各々から前記搬送先へ前記対象物が搬送されたと仮定した場合に発生する前記目標位置と前記対象物の実際の到着位置とのずれを相殺するための搬送制御情報を前記複数の搬送元の各々について記憶する記憶部と、
前記複数の搬送元のうち一の搬送元から前記搬送先への前記対象物の搬送時に、前記記憶部に記憶された複数の搬送制御情報のうち前記一の搬送元に対応する搬送制御情報に基づいて前記対象物を前記一の搬送元から前記搬送先の前記目標位置へ搬送するように前記搬送装置を制御する制御部とを備えた、基板処理装置。
【請求項2】
前記対象物は、基板であり、
前記複数の搬送元は、基板を支持する複数の第1の支持部であり、
前記搬送先は、基板を支持する第2の支持部である、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第2の支持部は、基板を水平姿勢で保持可能かつ回転可能に構成された、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、
複数の搬送元のいずれかから搬送先の目標位置へ前記処理に関する対象物を搬送する搬送装置と、
前記目標位置を示す目標情報に基づいて前記複数の搬送元の各々から前記搬送先へ前記対象物が搬送されたと仮定した場合に発生する前記目標位置と前記対象物の実際の到着位置とのずれを相殺するための搬送制御情報を前記複数の搬送元の各々について記憶する記憶部と、
前記複数の搬送元のうち一の搬送元から前記搬送先への前記対象物の搬送時に、前記記憶部に記憶された複数の搬送制御情報のうち前記一の搬送元に対応する搬送制御情報に基づいて前記対象物を前記一の搬送元から前記搬送先の前記目標位置へ搬送するように前記搬送装置を制御する制御部と、
基板を水平姿勢で保持可能かつ回転可能に構成された保持部と、
前記保持部により保持される基板に所定の処理液を供給する複数のノズルと、
前記複数のノズルを収容可能に構成された複数のノズル収容部と
を備え、
前記対象物は、前記複数のノズルのいずれかであり、
前記複数の搬送元は前記複数のノズル収容部であり、
前記搬送先は、前記保持部により保持される基板の上方の位置であ
る、基板処理装置。
【請求項5】
複数の搬送制御情報の各々は、前記ずれに対応する前記目標情報の修正情報であり、
前記制御部は、前記複数の搬送元のうち一の搬送元から前記搬送先への前記対象物の搬送時に、前記記憶部に記憶された前記一の搬送元に対応する修正情報により前記搬送先の目標情報を修正し、修正された目標情報に基づいて前記対象物を前記一の搬送元から前記搬送先の前記目標位置へ搬送するように前記搬送装置を制御する、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
複数の搬送制御情報の各々は、前記ずれに基づいて前記目標情報が修正された新たな目標情報であり、
前記制御部は、前記複数の搬送元のうち一の搬送元から前記搬送先への前記対象物の搬送時に、前記記憶部に記憶された前記一の搬送元に対応する新たな目標情報に基づいて前記対象物を前記一の搬送元から前記搬送先の前記目標位置へ搬送するように前記搬送装置を制御する、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
基板に所定の処理を行う基板処理装置において前記処理に関する対象物を搬送する搬送方法であって、
搬送装置による前記対象物の搬送動作よりも前に、搬送先の目標位置を示す目標情報に基づいて複数の搬送元の各々から前記搬送先へ
前記搬送装置により前記対象物が搬送されたと仮定した場合に発生する前記目標位置と前記対象物の実際の到着位置とのずれを相殺するための搬送制御情報を前記複数の搬送元の各々について記憶部に記憶するステップと、
前記複数の搬送元のうち一の搬送元から前記搬送先への前記対象物の搬送時に、前記記憶部に記憶された複数の搬送制御情報のうち前記一の搬送元に対応する搬送制御情報に基づいて前記対象物を前記一の搬送元から前記搬送先の前記目標位置へ搬送するように前記搬送装置を制御するステップとを含む、基板処理装置における対象物の搬送方法。
【請求項8】
複数の搬送制御情報の各々は、前記ずれに対応する前記目標情報の修正情報であり、
前記搬送装置を制御するステップは、前記複数の搬送元のうち一の搬送元から前記搬送先への前記対象物の搬送時に、前記記憶部に記憶された前記一の搬送元に対応する修正情報により前記搬送先の目標情報を修正し、修正された目標情報に基づいて前記対象物を前記一の搬送元から前記搬送先の前記目標位置へ搬送するように前記搬送装置を制御することである、請求項7記載の基板処理装置における対象物の搬送方法。
【請求項9】
複数の搬送制御情報の各々は、前記ずれに基づいて前記目標情報が修正された新たな目標情報であり、
前記搬送装置を制御するステップは、前記複数の搬送元のうち一の搬送元から前記搬送先への前記対象物の搬送時に、前記記憶部に記憶された前記一の搬送元に対応する新たな目標情報に基づいて前記対象物を前記一の搬送元から前記搬送先の前記目標位置へ搬送するように前記搬送装置を制御することである、請求項7記載の基板処理装置における対象物の搬送方法。
【請求項10】
基板に所定の処理を行う基板処理装置において前記処理に関する対象物を搬送する搬送方法であって、
搬送先の目標位置を示す目標情報に基づいて複数の搬送元の各々から前記搬送先へ搬送装置により前記対象物が搬送されたと仮定した場合に発生する前記目標位置と前記対象物の実際の到着位置とのずれを相殺するための搬送制御情報を前記複数の搬送元の各々について記憶部に記憶するステップと、
前記複数の搬送元のうち一の搬送元から前記搬送先への前記対象物の搬送時に、前記記憶部に記憶された複数の搬送制御情報のうち前記一の搬送元に対応する搬送制御情報に基づいて前記対象物を前記一の搬送元から前記搬送先の前記目標位置へ搬送するように前記搬送装置を制御するステップとを含み、
前記基板処理装置は、
基板を水平姿勢で保持可能かつ回転可能に構成された保持部と、
前記保持部により保持される基板に所定の処理液を供給する複数のノズルと、
前記複数のノズルを収容可能に構成された複数のノズル収容部とを備え、
前記対象物は、前記複数のノズルのいずれかであり、
前記複数の搬送元は前記複数のノズル収容部であり、
前記搬送先は、前記保持部により保持される基板の上方の位置である、基板処理装置における対象物の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に所定の処理を行う基板処理装置および基板処理装置における対象物の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の各種基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられる。
【0003】
基板処理装置では、例えば一枚の基板に対して複数の処理ユニットにおいて連続的に処理が行われる。そのため、基板処理装置には、複数の処理ユニットの間で基板を搬送する搬送装置が設けられる。
【0004】
特許文献1に記載された基板処理装置においては、搬送ロボットが基板を搬送する際に、基板を保持するアームの最後の回転動作の方向が予め定められた一定の方向となるように搬送ロボットが制御される。それにより、位置決め精度の低下が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板処理装置における複数の搬送元のいずれかから所望の搬送先に基板等の対象物を搬送する際には、搬送先における対象物の到着位置のずれを簡単な制御で低減することが望まれる。
【0007】
本発明の目的は、対象物を簡単かつ正確に搬送することを可能にする、基板処理装置および基板処理装置における対象物の搬送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)第1の発明に係る基板処理装置は、基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、複数の搬送元のいずれかから搬送先の目標位置へ処理に関する対象物を搬送する搬送装置と、搬送装置による対象物の搬送動作よりも前に、目標位置を示す目標情報に基づいて複数の搬送元の各々から搬送先へ対象物が搬送されたと仮定した場合に発生する目標位置と対象物の実際の到着位置とのずれを相殺するための搬送制御情報を複数の搬送元の各々について記憶する記憶部と、複数の搬送元のうち一の搬送元から搬送先への対象物の搬送時に、記憶部に記憶された複数の搬送制御情報のうち一の搬送元に対応する搬送制御情報に基づいて対象物を一の搬送元から搬送先の目標位置へ搬送するように搬送装置を制御する制御部とを備える。
【0009】
その基板処理装置においては、搬送制御情報が複数の搬送元の各々について記憶部に記憶される。一の搬送元から搬送先への対象物の搬送時に、記憶部に記憶された一の搬送元に対応する搬送制御情報に基づいて対象物が一の搬送元から搬送先の目標位置へ搬送される。
【0010】
この場合、搬送先の目標位置を示す目標情報に基づいて複数の搬送元の各々から搬送先へ搬送装置により対象物が搬送されたと仮定した場合に発生する目標位置と対象物の実際の到着位置とのずれが相殺される。それにより、搬送制御情報に基づいて複数の搬送元の各々から搬送先へ対象物が搬送されたときの対象物の実際の到着位置が目標位置に一致する。したがって、基板の処理に関する対象物を簡単かつ高い精度で搬送することが可能になる。
【0011】
(2)対象物は、基板であり、複数の搬送元は、基板を支持する複数の第1の支持部であり、搬送先は、基板を支持する第2の支持部であってもよい。
【0012】
この場合、複数の第1の支持部のうちいずれかから第2の支持部上に高い精度で基板が搬送される。
【0013】
(3)第2の支持部は、基板を水平姿勢で保持可能かつ回転可能に構成されてもよい。
【0014】
この場合、第2の支持部により回転される基板に対して高い精度で各種処理を行うことが可能になる。
【0015】
(4)第2の発明に係る基板処理装置は、基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、複数の搬送元のいずれかから搬送先の目標位置へ処理に関する対象物を搬送する搬送装置と、目標位置を示す目標情報に基づいて複数の搬送元の各々から搬送先へ対象物が搬送されたと仮定した場合に発生する目標位置と対象物の実際の到着位置とのずれを相殺するための搬送制御情報を複数の搬送元の各々について記憶する記憶部と、複数の搬送元のうち一の搬送元から搬送先への対象物の搬送時に、記憶部に記憶された複数の搬送制御情報のうち一の搬送元に対応する搬送制御情報に基づいて対象物を一の搬送元から搬送先の目標位置へ搬送するように搬送装置を制御する制御部と、基板を水平姿勢で保持可能かつ回転可能に構成された保持部と、保持部により保持される基板に所定の処理液を供給する複数のノズルと、複数のノズルを収容可能に構成された複数のノズル収容部とを備え、対象物は、複数のノズルのいずれかであり、複数の搬送元は複数のノズル収容部であり、搬送先は、保持部により保持される基板の上方の位置である。
【0016】
この場合、複数のノズル収容部のいずれかに収容されたノズルが、保持部により保持される基板の上方の位置に高い精度で搬送される。それにより、保持部により回転される基板に対して高い精度で処理液を供給することが可能になる。
【0017】
(5)複数の搬送制御情報の各々は、ずれに対応する目標情報の修正情報であり、制御部は、複数の搬送元のうち一の搬送元から搬送先への対象物の搬送時に、記憶部に記憶された一の搬送元に対応する修正情報により搬送先の目標情報を修正し、修正された目標情報に基づいて対象物を一の搬送元から搬送先の目標位置へ搬送するように搬送装置を制御してもよい。この場合、修正情報に基づいて対象物が簡単かつ高い精度で搬送される。
【0018】
(6)複数の搬送制御情報の各々は、ずれに基づいて目標情報が修正された新たな目標情報であり、制御部は、複数の搬送元のうち一の搬送元から搬送先への対象物の搬送時に、記憶部に記憶された一の搬送元に対応する新たな目標情報に基づいて対象物を一の搬送元から搬送先の目標位置へ搬送するように搬送装置を制御してもよい。この場合、新たな目標情報に基づいて対象物が簡単かつ高い精度で搬送される。
【0019】
(7)第3の発明に係る基板処理装置における対象物の搬送方法は、基板に所定の処理を行う基板処理装置において処理に関する対象物を搬送する搬送方法であって、搬送装置による対象物の搬送動作よりも前に、搬送先の目標位置を示す目標情報に基づいて複数の搬送元の各々から搬送先へ搬送装置により対象物が搬送されたと仮定した場合に発生する目標位置と対象物の実際の到着位置とのずれを相殺するための搬送制御情報を複数の搬送元の各々について記憶部に記憶するステップと、複数の搬送元のうち一の搬送元から搬送先への対象物の搬送時に、記憶部に記憶された複数の搬送制御情報のうち一の搬送元に対応する搬送制御情報に基づいて対象物を一の搬送元から搬送先の目標位置へ搬送するように搬送装置を制御するステップとを含む。
【0020】
その基板処理装置における対象物の搬送方法においては、搬送制御情報が複数の搬送元の各々について記憶部に記憶される。一の搬送元から搬送先への対象物の搬送時に、記憶部に記憶された一の搬送元に対応する搬送制御情報に基づいて対象物が一の搬送元から搬送先の目標位置へ搬送される。
【0021】
この場合、搬送先の目標位置を示す目標情報に基づいて複数の搬送元の各々から搬送先へ搬送装置により対象物が搬送されたと仮定した場合に発生する目標位置と対象物の実際の到着位置とのずれが相殺される。それにより、搬送制御情報に基づいて複数の搬送元の各々から搬送先へ対象物が搬送されたときの対象物の実際の到着位置が目標位置に一致する。したがって、基板の処理に関する対象物を簡単かつ高い精度で搬送することが可能になる。
【0022】
(8)複数の搬送制御情報の各々は、ずれに対応する目標情報の修正情報であり、搬送装置を制御するステップは、複数の搬送元のうち一の搬送元から搬送先への対象物の搬送時に、記憶部に記憶された一の搬送元に対応する修正情報により搬送先の目標情報を修正し、修正された目標情報に基づいて対象物を一の搬送元から搬送先の目標位置へ搬送するように搬送装置を制御することであってもよい。この場合、修正情報に基づいて対象物が簡単かつ高い精度で搬送される。
【0023】
(9)複数の搬送制御情報の各々は、ずれに基づいて目標情報が修正された新たな目標情報であり、搬送装置を制御するステップは、複数の搬送元のうち一の搬送元から搬送先への対象物の搬送時に、記憶部に記憶された一の搬送元に対応する新たな目標情報に基づいて対象物を一の搬送元から搬送先の目標位置へ搬送するように搬送装置を制御することであってもよい。この場合、新たな目標情報に基づいて対象物が簡単かつ高い精度で搬送される。
(10)第4の発明に係る基板処理装置における対象物の搬送方法は、基板に所定の処理を行う基板処理装置において処理に関する対象物を搬送する搬送方法であって、搬送先の目標位置を示す目標情報に基づいて複数の搬送元の各々から搬送先へ搬送装置により対象物が搬送されたと仮定した場合に発生する目標位置と対象物の実際の到着位置とのずれを相殺するための搬送制御情報を複数の搬送元の各々について記憶部に記憶するステップと、複数の搬送元のうち一の搬送元から搬送先への対象物の搬送時に、記憶部に記憶された複数の搬送制御情報のうち一の搬送元に対応する搬送制御情報に基づいて対象物を一の搬送元から搬送先の目標位置へ搬送するように搬送装置を制御するステップとを含み、基板処理装置は、基板を水平姿勢で保持可能かつ回転可能に構成された保持部と、保持部により保持される基板に所定の処理液を供給する複数のノズルと、複数のノズルを収容可能に構成された複数のノズル収容部とを備え、対象物は、複数のノズルのいずれかであり、複数の搬送元は複数のノズル収容部であり、搬送先は、保持部により保持される基板の上方の位置である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、基板処理装置における処理に関する対象物を簡単かつ正確に搬送することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の模式的平面図である。
【
図2】基板搬送装置の機械的な構成に起因する搬送精度の低下を説明するための図である。
【
図3】基板搬送装置の機械的な構成に起因する搬送精度の低下を説明するための図である。
【
図4】基板搬送装置の機械的な構成に起因する搬送精度の低下を説明するための図である。
【
図5】基板搬送装置の機械的な構成に起因する搬送精度の低下を説明するための図である。
【
図6】
図1のハンド制御部の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図1のノズル搬送装置の構成を説明するための塗布処理部の平面図である。
【
図8】
図7の塗布処理部において待機ポットの複数の待機部が配置される複数の位置を説明するための平面図である。
【
図9】
図1のノズル制御部の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】基板搬送装置の記憶部に修正済みの位置情報が記憶された一例を示すハンド制御部のブロック図である。
【
図12】液供給装置の記憶部に修正済みの位置情報が記憶された一例を示すノズル制御部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置および基板処理装置における対象物の搬送方法について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。
【0027】
[1]基板処理装置の構成および動作
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置100の模式的平面図である。
図1に示すように、基板処理装置100は、2個のブロックB1,B2を備える。
図1に矢印で示すように、基板処理装置100においてはX軸およびY軸を有するXY座標系が定義される。本例のX軸およびY軸は、水平面内で互いに直交する。ブロックB1,B2は、Y軸の方向において互いに隣り合うように設けられている。
【0028】
ブロックB1は搬入搬出部110を含む。搬入搬出部110には、図示しない複数のキャリア載置部、受渡装置および制御装置が設けられる。搬入搬出部110に設けられる受渡装置は、複数のキャリア載置部に載置される複数のキャリアとブロックB2に設けられる後述する基板搬送装置200との間で基板Wの受渡を行う。また、搬入搬出部110に設けられる制御装置は、基板処理装置100に設けられる各部の動作を制御する。
【0029】
ブロックB2は、塗布処理部120、熱処理部130および搬送部140を含む。塗布処理部120と熱処理部130とは、X軸の方向において搬送部140を挟んで対向するように設けられる。
【0030】
塗布処理部120は、複数(本例では3個)のスピンチャックD1,D2,D3、複数(本例では3個)のカップcpおよび液供給装置300を含む。スピンチャックD1,D2,D3は、Y方向に並ぶように設けられている。スピンチャックD1,D2,D3の各々は、基板Wの下面中央部を吸着保持可能に構成され、吸着した基板Wを水平姿勢で回転させる。複数のカップcpは、スピンチャックD1,D2,D3をそれぞれ取り囲むように設けられている。基板処理装置100においては、スピンチャックD1~D3の回転中心の位置p1,p2,p3を示す座標(XY座標系の座標)が位置情報として予め定められている。
【0031】
液供給装置300は、複数のノズルnz、ノズル搬送装置10およびノズル制御部390を含む。ノズル搬送装置10は、ノズル制御部390の制御に基づいて複数のノズルnzのうち一のノズルnzをスピンチャックD1~D3のいずれか一のスピンチャックにより回転される基板Wの上方の位置まで搬送する。この状態で、一のノズルnzから基板Wにレジスト液が供給される。それにより、未処理の基板Wの上面上にレジスト膜が形成される(塗布処理)。基板Wに供給されたレジスト液はカップcpにより受け止められ、回収される。
【0032】
熱処理部130は、複数(本例では4個)の熱処理ユニットTU1~TU4を含む。複数の熱処理ユニットTU1~TU4は、Y軸の方向に並ぶように設けられている。熱処理ユニットTU1~TU4の各々は、塗布処理部120において塗布処理が行われる基板Wについて、塗布処理の前後に熱処理を行う。また、熱処理ユニットTU1~TU4の各々は、熱処理前の基板Wを後述する基板搬送装置200から受け取り、熱処理後の基板Wを基板搬送装置200に渡すための支持部S1~S4を有する。基板処理装置100においては、支持部S1,S2,S3,S4の中心の位置p11,p12,p13,p14を示す座標(XY座標系の座標)が位置情報として予め定められている。
【0033】
搬送部140は、基板搬送装置200およびハンド制御部290を含む。基板搬送装置200は、移動部材210およびハンドh1,h2を有する。移動部材210は、昇降可能、水平面内で移動可能かつ水平面内で回転可能に設けられている。また、ハンドh1,h2の各々は、基板Wを吸着保持可能に構成されるとともに、移動部材210から進退可能に支持されている。基板搬送装置200は、さらに図示しない複数の駆動機構を有する。ハンド制御部290は各駆動機構を制御する。それにより、移動部材210が昇降し、水平面内で移動し、水平面内で回転する。また、ハンドh1,h2の各々が移動部材210から進退する。
【0034】
上記の基板処理装置100においては、未処理の基板Wが収容されたキャリアが搬入搬出部110のキャリア載置台に載置される(基板Wの搬入)。そのキャリアに収容された複数の基板Wが、ブロックB2の基板搬送装置200に順次渡される。ブロックB2においては、基板搬送装置200が塗布処理部120および熱処理部130間で基板Wを搬送する。それにより、基板Wに塗布処理および熱処理が施される。処理後の基板Wは、基板搬送装置200からブロックB1の受渡装置に渡され、キャリア内に収容される。その後、処理後の基板Wが収容されたキャリアが基板処理装置100の外部に運ばれる。
【0035】
[2]基板搬送装置200およびハンド制御部290
基板搬送装置200が有する複数の駆動機構には、ギア、プーリおよびベルト等の複数の動力伝達部材が設けられる。複数の動力伝達部材間にはバックラッシュが存在する。また、動力伝達部材によっては、動力の伝達方向に応じて動作量または変形量に差が生じる(ヒステリシス誤差)。このような機械的な構造に特有のバックラッシュおよびヒステリシス誤差等の存在は、基板搬送装置200による基板Wの搬送精度を低下させる。
【0036】
図2~
図5は、基板搬送装置200の機械的な構成に起因する搬送精度の低下を説明するための図である。ここでは、支持部S1に支持された基板WがスピンチャックD1に正確に搬送されるように、予め基板搬送装置200についてティーチングが行われているものとする。
【0037】
図2に示すように、支持部S1に支持された基板WがスピンチャックD1に搬送される。この場合、基板搬送装置200は、搬送元である支持部S1の位置情報「p11(-100,250)」に基づいて基板Wを位置p11から受けとる。その後、基板搬送装置200は、搬送先であるスピンチャックD1の位置情報「p1(100,300)」に基づいて基板Wの中心が位置p1に近づくように基板Wを搬送する。その結果、基板Wの中心は位置p1に正確に到着している。
図2の例では、基板Wの到着位置の座標は(100,300)となっている。
【0038】
また、
図3に示すように、支持部S2に支持された基板WがスピンチャックD1に搬送される。この場合、基板搬送装置200は、搬送元である支持部S2の位置情報「p12(-100,350)」に基づいて基板Wを位置p12から受けとる。その後、基板搬送装置200は、搬送先であるスピンチャックD1の位置情報「p1(100,300)」に基づいて基板Wの中心が位置p1に近づくように基板Wを搬送する。その結果、基板Wの中心は位置p1からずれた位置に到着している。
図3の例では、基板Wの到着位置の座標は(99,299)であり、搬送先の目標位置に対する到着位置のXY座標上のずれ(sx,sy)は(-1,-1)である。
【0039】
また、
図4に示すように、支持部S3に支持された基板WがスピンチャックD1に搬送される。この場合、基板搬送装置200は、搬送元である支持部S3の位置情報「p13(-100,450)」に基づいて基板Wを位置p13から受けとる。その後、基板搬送装置200は、搬送先であるスピンチャックD1の位置情報「p1(100,300)」に基づいて基板Wの中心が位置p1に近づくように基板Wを搬送する。その結果、基板Wの中心が位置p1からずれた位置に到着している。
図4の例では、基板Wの到着位置の座標は(98,299)であり、搬送先の目標位置に対する到着位置のXY座標上のずれ(sx,sy)は(-2,-1)である。
【0040】
さらに、
図5に示すように、支持部S4に支持された基板WがスピンチャックD1に搬送される。この場合、基板搬送装置200は、搬送元である支持部S4の位置情報「p14(-100,550)」に基づいて基板Wを位置p14から受けとる。その後、基板搬送装置200は、搬送先であるスピンチャックD1の位置情報「p1(100,300)」に基づいて基板Wの中心が位置p1に近づくように基板Wを搬送する。その結果、基板Wの中心が位置p1からずれた位置に到着している。
図5の例では、基板Wの到着位置の座標は(98,297)であり、搬送先の目標位置に対する到着位置のXY座標上のずれ(sx,sy)は(-2,-3)である。
【0041】
上記のように、一の搬送先に対して複数の搬送元が存在する場合には、複数の搬送元のうち一の搬送元から一の搬送先に正確に基板Wが搬送されても、他の搬送元から一の搬送先に正確に基板Wが搬送されるとは限らない。複数の搬送元にそれぞれ対応する実際の到着位置には、基板搬送装置200の機械的な構成に起因するばらつきが生じている。
【0042】
そこで、本実施の形態では、正確な位置決めが求められる搬送先について、各搬送元から当該搬送先へ基板Wが搬送されたと仮定した場合に発生する目標位置と基板Wの実際の到着位置とのずれを相殺するための修正情報が予め生成される。
【0043】
図2の例では、基板Wの実際の到着位置が目標位置に一致している。そのため、支持部S1に対応する修正情報は、修正が不要であるものとしてXY座標系で(0,0)と表される(後述する
図6参照)。
【0044】
図3の例では、基板Wの実際の到着位置が目標位置に対してXY座標系で(-1,-1)ずれている。このずれを相殺するためには、目標位置である位置p1の位置情報の座標を(+1,+1)ずらせばよい。そこで、支持部S2に対応する修正情報はXY座標系で(+1,+1)と表される(後述する
図6参照)。
【0045】
図4の例では、基板Wの実際の到着位置が目標位置に対してXY座標系で(-2,-1)ずれている。このずれを相殺するためには、目標位置である位置p1の位置情報の座標を(+2,+1)ずらせばよい。そこで、支持部S3に対応する修正情報はXY座標系で(+2,+1)と表される(後述する
図6参照)。
【0046】
図5の例では、基板Wの実際の到着位置が目標位置に対してXY座標系で(-2,-3)ずれている。このずれを相殺するためには、目標位置である位置p1の位置情報の座標を(+2,+3)ずらせばよい。そこで、支持部S4に対応する修正情報はXY座標系で(+2,+3)と表される(後述する
図6参照)。
【0047】
上記の修正情報は搬送制御情報としてハンド制御部290に記憶される。各搬送元から上記の搬送先への基板Wの搬送時には、記憶された複数の修正情報のうち当該搬送元に対応する修正情報に基づいて、基板Wを当該搬送元から搬送先の目標位置へ搬送するように基板搬送装置200が制御される。
【0048】
図6は、
図1のハンド制御部290の機能的な構成の一例を示すブロック図である。ハンド制御部290は、基板位置検出部291、記憶部292、搬送制御部293を含む。ハンド制御部290は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)および記憶装置により構成される。CPUがROMまたは記憶装置等の記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、ハンド制御部290の各構成要素の機能が実現される。なお、ハンド制御部290の一部またはすべての構成要素が電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0049】
図1の基板搬送装置200には、ハンドh1,h2により基板Wが受け取られた際に、ハンドh1,h2における基板Wの複数の部分(例えば外周端部の複数の部分)を検出するための複数のセンサ(図示せず)が設けられている。基板位置検出部291は、それらの複数のセンサの出力に基づいてハンドh1,h2における基板Wの中心の位置を検出する。
【0050】
記憶部292には、スピンチャックD1~D3の回転中心の位置p1,p2,p3を示す位置情報と、支持部S1,S2,S3,S4の位置p11,p12,p13,p14を示す位置情報とが記憶される。
【0051】
図1の基板処理装置100においては、スピンチャックD1,D2,D3の回転中心上で基板Wの中心が正確に位置決めされることが求められる。そこで、記憶部292には、スピンチャックD1を搬送先とした場合の基板Wの複数の搬送元となる支持部S1~S4の各々について、上記の修正情報が記憶される。また、記憶部292には、スピンチャックD2を搬送先とした場合の基板Wの複数の搬送元となる支持部S1~S4の各々について、上記の修正情報が記憶される。さらに、記憶部292には、スピンチャックD3を搬送先とした場合の基板Wの複数の搬送元となる支持部S1~S4の各々について、上記の修正情報が記憶される。
【0052】
基板Wの各搬送先に対応する修正情報は、位置情報に基づいて基板搬送装置200を制御することにより各搬送元から当該搬送先に基板Wを搬送させ、実際の到着位置と目標位置のとのずれを測定することにより生成することができる。あるいは、複数の搬送元から一の搬送先にそれぞれ基板Wを搬送することによる基板Wの複数の到達位置間のずれを測定することにより生成することができる。
【0053】
複数の搬送元から一の搬送先にそれぞれ基板Wを搬送することによる基板Wの複数の到達位置間のずれは、例えば以下のように測定することができる。まず、位置情報に基づいて基板搬送装置200を制御することにより、レジスト膜が形成された基板Wを各搬送元から一の搬送先であるスピンチャック上まで搬送させる。次に、当該基板Wをスピンチャックにより回転させつつ、固定されたノズルから溶剤を供給することにより、基板Wの周縁部に形成された膜を除去する(エッジカット)。このとき、基板Wの中心がスピンチャックの回転中心からずれていると、膜が除去された領域の半径方向の幅(エッジカット幅)が基板Wの周方向で変化する。そこで、基板Wのエッジカット幅の偏心量を複数の到達位置間のずれとして測定する。
【0054】
上記の例の他、複数の搬送元から一の搬送先にそれぞれ基板Wを搬送することによる基板Wの複数の到達位置間のずれは、例えば以下のように測定することもできる。まず、一の搬送先において基板Wをスピンチャック上に正確に載置する。この状態で、基板Wを保持しない一のハンドを、複数の搬送元のうち一の搬送元の位置から一の搬送先まで移動させる。また、当該一のハンドによりスピンチャック上の基板Wを受け取らせる。その後、基板位置検出部291によりハンドにおける基板Wの中心の位置を検出する。この動作を搬送元ごとに繰り返す。それにより、複数の搬送元にそれぞれ対応するように、ハンドにおける基板Wの中心の位置の複数の検出結果が取得される。そこで、取得された複数の検出結果の間に発生する差分(複数の検出位置間のずれ)を複数の到達位置間のずれとして測定する。
【0055】
図6の例では、搬送先であるスピンチャックD1に対して複数の搬送元である支持部S1,S2,S3,S4にそれぞれ対応する修正情報が(0,0)、(+1,+1)、(+2,+1)および(+2,+3)となっている。また、搬送先であるスピンチャックD2に対して複数の搬送元である支持部S1,S2,S3,S4にそれぞれ対応する修正情報が(0,0)、(-1,+1)、(0,-1)および(+1,-2)となっている。さらに、搬送先であるスピンチャックD3に対して複数の搬送元である支持部S1,S2,S3,S4にそれぞれ対応する修正情報が(0,0)、(-1,+2)、(0,+2)および(+2,+3)となっている。
【0056】
搬送制御部293は、例えば搬入搬出部110の制御装置からの指令に応答して、指定された搬送元から指定された搬送先へ基板Wが搬送されるように基板搬送装置200を制御する。このとき、搬送制御部293は、位置情報と、記憶部292に記憶された修正情報とに基づいて基板搬送装置200を制御する。それにより、搬送先の目標位置へ基板Wが正確に搬送される。
【0057】
なお、搬送制御部293は、指定された搬送先に対応する修正情報が記憶部292に存在しない場合、位置情報に基づいて基板搬送装置200を制御する。例えば、
図6の記憶部292には、支持部S1を搬送先とする修正情報は存在しない。この場合、搬送制御部293は、スピンチャックD1~D3のいずれかから支持部S1に基板Wを搬送する際に、支持部S1の位置情報のみに基づいて基板搬送装置200を制御する。
【0058】
[3]ノズル搬送装置10およびノズル制御部390
図7は、
図1のノズル搬送装置10の構成を説明するための塗布処理部120の平面図である。
図7に示すように、液供給装置300のノズル搬送装置10は、X方向におけるスピンチャックD1,D2,D3の側方に設けられている。ノズル搬送装置10は、台座部19を有する。台座部19は、3個のスピンチャックD1,D2,D3に隣り合うようにY方向に延びている。台座部19には、その長手方向(Y軸に平行な方向)に直線状に延びるリニアガイド18が設けられている。
【0059】
台座部19上には、移動支持部12がリニアガイド18に沿ってY方向に移動可能に設けられている。移動支持部12は、複数(本例では6個)の待機部sbを有する待機ポット11を支持する。待機ポット11の複数の待機部sbには、複数(本例では6個)のノズルnzの先端部が収容されている。各ノズルnzには、図示しないレジスト液供給系から延びる配管が接続されている。レジスト液供給系は、各ノズルnzにレジスト液を供給することが可能に設けられている。
【0060】
移動支持部12は、さらにアーム13をY方向に移動可能に支持する。アーム13は、移動支持部12がスピンチャックD1~D3のいずれか一のスピンチャックに隣り合う状態で、待機ポット11の上方の位置から当該一のスピンチャックの上方の位置までX方向に延びる。アーム13には、X方向に移動可能にノズル把持部14が設けられている。ノズル把持部14は、ノズルnzを把持可能に構成されている。
【0061】
ノズル搬送装置10は、移動支持部12をY方向に移動させる図示しない駆動機構、アーム13をY方向に移動させる図示しない駆動機構およびノズル把持部14をX方向に移動させる図示しない駆動機構をさらに備える。これらの複数の駆動機構がノズル制御部390の制御に基づいて動作することにより、複数のノズルnzのうち一のノズルが待機ポット11と3つのスピンチャックD1~D3のいずれか一のスピンチャックの上方の位置との間で搬送される。
【0062】
ここで、待機ポット11は、処理対象となる基板Wが保持されるスピンチャックD1,D2,D3にそれぞれ隣り合うように、Y方向における3つの位置の間を移動する。基板処理装置100においては、Y方向において待機ポット11の複数の待機部sbが配置される複数の位置をそれぞれ示す座標が位置情報として予め定められている。
【0063】
図8は、
図7の塗布処理部120において待機ポット11の複数の待機部sbが配置される複数の位置を説明するための平面図である。
図8では、スピンチャックD1に隣り合うときの待機ポット11の状態が実線で示される。スピンチャックD2に隣り合うときの待機ポット11の状態が一点鎖線で示される。スピンチャックD3に隣り合うときの待機ポット11の状態が点線で示される。
【0064】
図8に示すように、待機ポット11は、Y方向における3つの位置の間を移動する。本例では、スピンチャックD1に隣り合うときの待機ポット11における複数の待機部sbの位置p21,p22,p23,p24,p25,p26を示す座標(XY座標系の座標)が位置情報として予め定められている。また、スピンチャックD2に隣り合うときの待機ポット11における複数の待機部sbの位置p27,p28,p29,p30,p31,p32を示す座標(XY座標系の座標)が位置情報として予め定められている。さらに、スピンチャックD3に隣り合うときの待機ポット11における複数の待機部sbの位置p33,p34,p35,p36,p37,p38を示す座標(XY座標系の座標)が位置情報として予め定められている。
【0065】
基板Wの塗布処理時において、ノズルnzは、基板Wを保持するスピンチャックの回転中心の上方の位置に正確に位置決めされる必要がある。しかしながら、ノズル搬送装置10は、上記のように複数の駆動機構を有する。そのため、スピンチャックD1~D3の位置情報のみを用いてノズルnzの搬送を行うと、ノズル搬送装置10の機械的な構成に起因して搬送精度が低下する。
【0066】
そこで、ノズル制御部390においては、ノズル搬送装置10の機械的な構成に起因する搬送精度の低下を抑制するために、上記の基板搬送装置200の例と同様の制御が行われる。
【0067】
図9は、
図1のノズル制御部390の機能的な構成の一例を示すブロック図である。ノズル制御部390は、記憶部391および搬送制御部392を含む。ノズル制御部390は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)および記憶装置により構成される。CPUがROMまたは記憶装置等の記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、ノズル制御部390の各構成要素の機能が実現される。なお、ノズル制御部390の一部またはすべての構成要素が電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0068】
記憶部391には、複数のスピンチャックD1,D2,D3の回転中心の位置p1,p2,p3を示す位置情報が
図6の例と同様に記憶される。また、複数の待機部sbの位置p21~p38を示す位置情報が記憶される。また、スピンチャックD1を搬送先とした場合のノズルnzの複数の搬送元となる複数の位置p21~p38の各々について、搬送先で発生するずれを相殺するための修正情報が記憶される。また、スピンチャックD2を搬送先とした場合のノズルnzの複数の搬送元となる複数の位置p21~p38の各々について、搬送先で発生するずれを相殺するための修正情報が記憶される。さらに、スピンチャックD3を搬送先とした場合のノズルnzの複数の搬送元となる複数の位置p21~p38の各々について、搬送先で発生するずれを相殺するための修正情報が記憶される。
【0069】
ノズルnzの各搬送先に対応する修正情報は、位置情報に基づいてノズル搬送装置10を制御することにより各搬送元から当該搬送先にノズルnzを搬送させ、実際の到着位置と目標位置のとのずれを測定することにより生成することができる。例えば、塗布処理部120内にノズルnzの原点位置を定義し、その原点位置から一の搬送先まで一のノズルnzが正確に移動するようにティーチングを行う。その後、位置情報に基づいて、各搬送元(複数の位置p21~p38)から一の搬送先まで一のノズルnzを移動させたときの当該一のノズルnzと一の搬送先とのずれを測定する。これにより、測定されたずれに基づいて修正情報を正確に生成することができる。
【0070】
図9の例では、搬送先であるスピンチャックD1について、複数の搬送元である待機部sbの位置p21,p22,p23にそれぞれ対応する修正情報が(0,0)、(+2,-1)および(-2,+3)となっている。また、搬送先であるスピンチャックD2について、複数の搬送元である待機部sbの位置p21,p22,p23にそれぞれ対応する修正情報が(0,0)、(-1,+1)および(-2,0)となっている。
【0071】
搬送制御部392は、例えば搬入搬出部110の制御装置からの指令に応答して、指定された搬送元から指定された搬送先へ複数のノズルnzのいずれかが搬送されるようにノズル搬送装置10を制御する。このとき、搬送制御部392は、位置情報と、記憶部391に記憶された修正情報とに基づいてノズル搬送装置10を制御する。それにより、搬送先の目標位置へノズルnzが正確に搬送される。
【0072】
なお、搬送制御部392は、指定された搬送先に対応する修正情報が記憶部391に存在しない場合、位置情報に基づいてノズル搬送装置10を制御する。例えば、
図9の記憶部391には、待機部sbの位置p21を搬送先とする修正情報は存在しない。この場合、搬送制御部293は、スピンチャックD1~D3のいずれかの上方の位置から位置p21にノズルnzを搬送する際に、位置p21の位置情報のみに基づいて基板搬送装置200を制御する。
【0073】
[4]対象物搬送制御
上記のように、ハンド制御部290は、対象物としての基板Wを搬送するために基板搬送装置200を制御する。また、ノズル制御部390は、対象物としてのノズルnzを搬送するためにノズル搬送装置10を制御する。これらの制御は、対象物が異なる点を除いて基本的に同じである。そこで、上記のハンド制御部290およびノズル制御部390が行う一連の制御を、対象物搬送制御と呼ぶ。
【0074】
対象物搬送制御について、フローチャートを参照しつつ説明する。
図10は、対象物搬送制御のフローチャートである。以下の説明では、基板Wおよびノズルnzを対象物と総称する。また、
図6および
図9の記憶部292,391を記憶部と総称し、
図6および
図9の搬送制御部293,392を搬送制御部と総称する。さらに、基板搬送装置200およびノズル搬送装置10を搬送装置と総称する。対象物搬送制御は、例えば搬入搬出部110の制御装置からの対象物の搬送指令に応答して開始される。
【0075】
対象物搬送制御が開始されると、搬送制御部は、対象物の搬送指令に基づいて搬送元および搬送先の位置情報を記憶部から取得する(ステップS11)。次に、搬送制御部は、取得した搬送元の位置情報に基づいて対象物を受け取るように
搬送装置を制御する(ステップS12)。
【0076】
搬送装置により対象物が受け取られると、搬送制御部は、記憶部に搬送先に対応する修正情報が存在するか否かを判定する(ステップS13)。搬送先に対応する修正情報が存在する場合、搬送制御部は、対象物を受け取った搬送元についての修正情報に基づいて搬送先の位置情報を修正する(ステップS14)。その後、搬送制御部は、修正された位置情報に基づいて対象物を搬送先の目標位置へ搬送する(ステップS15)。上記のステップS13において、搬送先に対応する修正情報が存在しない場合、搬送制御部は、搬送先の位置情報に基づいて対象物を搬送先へ搬送する(ステップS16)。ステップS15またはステップS16の処理後、対象物搬送制御が終了する。
【0077】
[5]効果
(a)上記の基板処理装置100においては、搬送先への基板Wの搬送に関する修正情報が複数の搬送元の各々についてハンド制御部290の記憶部292に記憶される。一の搬送元から搬送先への基板Wの搬送時に、記憶部292に記憶された一の搬送元に対応する修正情報と搬送先の位置情報とに基づいて基板Wが搬送先の目標位置へ搬送される。
【0078】
この場合、搬送先の位置情報に基づいて基板搬送装置200が制御されることにより複数の搬送元の各々から搬送先へ基板Wが搬送されたと仮定した場合に発生する目標位置と基板Wの実際の到着位置とのずれが相殺される。それにより、修正情報に基づいて複数の搬送元の各々から搬送先へ基板Wが搬送されたときの基板Wの実際の到着位置が目標位置に一致する。したがって、基板Wを簡単かつ高い精度で搬送することが可能になる。
【0079】
その結果、スピンチャックD1~D3の回転中心を搬送先とすることにより、各スピンチャックD1~D3により保持される基板Wに対して高い精度で各種処理を行うことが可能になる。
【0080】
(b)また、上記の基板処理装置100においては、ノズルnzの搬送に関する修正情報が複数の搬送元の各々についてノズル制御部390の記憶部391に記憶される。一の搬送元から搬送先へのノズルnzの搬送時に、記憶部391に記憶された一の搬送元に対応する修正情報と搬送先の位置情報とに基づいてノズルnzが搬送先の目標位置へ搬送される。
【0081】
この場合、搬送先の位置情報に基づいてノズル搬送装置10が制御されることにより複数の搬送元の各々から搬送先へノズルnzが搬送されたと仮定した場合に発生する目標位置とノズルnzの実際の到着位置とのずれが相殺される。それにより、修正情報に基づいて複数の搬送元の各々から搬送先へノズルnzが搬送されたときのノズルnzの実際の到着位置が目標位置に一致する。したがって、ノズルnzを簡単かつ高い精度で搬送することが可能になる。
【0082】
その結果、スピンチャックD1~D3の回転中心を搬送先とすることにより、各スピンチャックD1~D3により保持される基板Wに対して高い精度でレジスト液を供給することが可能になる。
【0083】
[6]修正情報の生成方法の一例
図6の記憶部292に記憶される修正情報は、例えば以下のようにして生成されてもよい。スピンチャックD1を搬送先とする修正情報の生成手順の一例を説明する。
【0084】
まず、スピンチャックD1を搬送先とする複数の搬送元から一の搬送元を基準搬送元として決定する。また、基準搬送元の位置情報に基づいてハンドh1により基板Wを受け取るように基板搬送装置200を制御する。このとき、
図6の基板位置検出部291により検出されるハンドh1における基板Wの中心の位置を第1のハンド位置として記録する。
【0085】
次に、基準搬送元から受け取った基板Wが搬送先の目標位置へ正確に搬送され、スピンチャックD1上に載置されるように基板搬送装置200を制御する。また、基準搬送元についての修正情報を(0,0)とする。
【0086】
その後、基準搬送元以外の他の搬送元に空のハンドh1が移動するように、基板搬送装置200を制御する。空のハンドh1が他の搬送元にある状態から、スピンチャックD1の位置情報に基づいてハンドh1によりスピンチャックD1に支持された基板Wを受け取るように、基板搬送装置200を制御する。このとき、
図6の基板位置検出部291により検出されるハンドh1における基板Wの中心の位置を第2のハンド位置として記録する。
【0087】
第1のハンド位置と第2のハンド位置との差分は、基準搬送元から搬送先に基板Wが搬送される際に発生する搬送誤差と、他の搬送元から搬送先に基板Wが搬送される際に発生する搬送誤差との差分に相当する。そこで、第1のハンド位置と第2のハンド位置との差分に基づいて、スピンチャックD1を搬送先とする他の搬送元についての修正情報を生成する。
【0088】
[7]他の実施の形態
(a)上記実施の形態においては、特定の搬送先に正確に基板Wを搬送するために特定の搬送先の位置情報を修正するための修正情報が記憶部292に記憶されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、記憶部292には、修正情報に代えて、特定の搬送先に正確に基板Wを搬送するために特定の搬送先の位置情報が修正された修正済みの位置情報が記憶されてもよい。
【0089】
図11は、基板搬送装置200の記憶部292に修正済みの位置情報が記憶された一例を示すハンド制御部290のブロック図である。
図11のブロック図は、
図6のブロック図に対応する。
【0090】
図11の記憶部292には、スピンチャックD1を搬送先とした場合の基板Wの複数の搬送元となる支持部S1~S4の各々について、
図6の修正情報による修正済みの位置情報が記憶される。また、記憶部292には、スピンチャックD2を搬送先とした場合の基板Wの複数の搬送元となる支持部S1~S4の各々について、
図6の修正情報による修正済みの位置情報が記憶される。さらに、記憶部292には、スピンチャックD3を搬送先とした場合の基板Wの複数の搬送元となる支持部S1~S4の各々について、
図6の修正情報による修正済みの位置情報が記憶される。この場合、
図10の対象物搬送制御においては、ステップS14の処理が省略される。
【0091】
(b)また、上記実施の形態においては、特定の搬送先に正確に基板Wおよびノズルnzを搬送するために特定の搬送先の位置情報を修正するための修正情報が記憶部391に記憶されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、記憶部391には、上記の修正情報に代えて、特定の搬送先に正確にノズルnzを搬送するために特定の搬送先の位置情報が修正された修正済みの位置情報が記憶されてもよい。
【0092】
図12は、液供給装置300の記憶部391に修正済みの位置情報が記憶された一例を示すノズル制御部390のブロック図である。
図13のブロック図は、
図9のブロック図に対応する。
【0093】
図12の記憶部391には、スピンチャックD1を搬送先とした場合のノズルnzの複数の搬送元となる複数の位置p21~p38の各々について、
図9の修正情報による修正済みの位置情報が記憶される。また、スピンチャックD2を搬送先とした場合のノズルnzの複数の搬送元となる複数の位置p21~p38の各々について、
図9の修正情報による修正済みの位置情報が記憶される。さらに、スピンチャックD3を搬送先とした場合のノズルnzの複数の搬送元となる複数の位置p21~p38の各々について、
図9の修正情報による修正済みの位置情報が記憶される。この場合、
図10の対象物搬送制御においては、ステップS14の処理が省略される。
【0094】
(c)上記実施の形態においては、基板Wを搬送する基板搬送装置200が搬送部140に設けられたハンド制御部290により制御されるが、基板搬送装置200は搬入搬出部110の制御装置により制御されてもよい。
【0095】
また、上記実施の形態においては、ノズルnzを搬送するノズル搬送装置10が塗布処理部120に設けられたノズル制御部390により制御されるが、ノズル搬送装置10は搬入搬出部110の制御装置により制御されてもよい。
【0096】
(d)上記実施の形態においては、基板処理装置100においてXY座標系が定義されることについて説明したが、基板処理装置100には、実際にはX軸およびY軸に加えて、X軸およびY軸に直交するZ軸をさらに有するXYZ座標系が定義される。したがって、Z軸の方向(上下方向)においても、修正情報に基づく対象物搬送制御が行われることにより対象物を搬送先の正確な高さ位置に搬送することが可能になる。
【0097】
(e)上記実施の形態においては、塗布処理部120に設けられる複数のノズルnzは、基板Wにレジスト液を供給するために用いられるが、本発明はこれに限定されない。複数のノズルnzは、例えば基板Wに洗浄液または現像液等の他の処理液を供給するために用いられてもよい。
【0098】
[8]請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、基板Wおよびノズルnzが対象物の例であり、基板搬送装置200およびノズル搬送装置10が搬送装置の例であり、スピンチャックD1,D2,D3の回転中心の位置p1,p2,p3が目標位置の例であり、スピンチャックD1,D2,D3の位置情報が目標情報の例である。
【0099】
また、複数の支持部S1~S4が複数の第1の支持部の例であり、スピンチャックD1~D3の各々が第2の支持部および保持部の例であり、待機ポット11の複数の待機部sbが複数のノズル収容部の例であり、位置情報および修正情報と他の実施の形態における修正済みの位置情報とが搬送制御情報の例であり、記憶部292,391が記憶部の例であり、搬送制御部293および搬送制御部392が制御部の例であり、他の実施の形態における修正済みの位置情報が新たな目標情報の例である。
【0100】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
[9]参考形態
(1)第1の参考形態に係る基板処理装置は、基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、複数の搬送元のいずれかから搬送先の目標位置へ処理に関する対象物を搬送する搬送装置と、目標位置を示す目標情報に基づいて複数の搬送元の各々から搬送先へ対象物が搬送されたと仮定した場合に発生する目標位置と対象物の実際の到着位置とのずれを相殺するための搬送制御情報を複数の搬送元の各々について記憶する記憶部と、複数の搬送元のうち一の搬送元から搬送先への対象物の搬送時に、記憶部に記憶された複数の搬送制御情報のうち一の搬送元に対応する搬送制御情報に基づいて対象物を一の搬送元から搬送先の目標位置へ搬送するように搬送装置を制御する制御部とを備える。
その基板処理装置においては、搬送制御情報が複数の搬送元の各々について記憶部に記憶される。一の搬送元から搬送先への対象物の搬送時に、記憶部に記憶された一の搬送元に対応する搬送制御情報に基づいて対象物が一の搬送元から搬送先の目標位置へ搬送される。
この場合、搬送先の目標位置を示す目標情報に基づいて複数の搬送元の各々から搬送先へ搬送装置により対象物が搬送されたと仮定した場合に発生する目標位置と対象物の実際の到着位置とのずれが相殺される。それにより、搬送制御情報に基づいて複数の搬送元の各々から搬送先へ対象物が搬送されたときの対象物の実際の到着位置が目標位置に一致する。したがって、基板の処理に関する対象物を簡単かつ高い精度で搬送することが可能になる。
(2)対象物は、基板であり、複数の搬送元は、基板を支持する複数の第1の支持部であり、搬送先は、基板を支持する第2の支持部であってもよい。
この場合、複数の第1の支持部のうちいずれかから第2の支持部上に高い精度で基板が搬送される。
(3)第2の支持部は、基板を水平姿勢で保持可能かつ回転可能に構成されてもよい。
この場合、第2の支持部により回転される基板に対して高い精度で各種処理を行うことが可能になる。
(4)基板処理装置は、基板を水平姿勢で保持可能かつ回転可能に構成された保持部と、保持部により保持される基板に所定の処理液を供給する複数のノズルと、複数のノズルを収容可能に構成された複数のノズル収容部とをさらに備え、対象物は、複数のノズルのいずれかであり、複数の搬送元は複数のノズル収容部であり、搬送先は、保持部により保持される基板の上方の位置であってもよい。
この場合、複数のノズル収容部のいずれかに収容されたノズルが、保持部により保持される基板の上方の位置に高い精度で搬送される。それにより、保持部により回転される基板に対して高い精度で処理液を供給することが可能になる。
(5)複数の搬送制御情報の各々は、ずれに対応する目標情報の修正情報であり、制御部は、複数の搬送元のうち一の搬送元から搬送先への対象物の搬送時に、記憶部に記憶された一の搬送元に対応する修正情報により搬送先の目標情報を修正し、修正された目標情報に基づいて対象物を一の搬送元から搬送先の目標位置へ搬送するように搬送装置を制御してもよい。この場合、修正情報に基づいて対象物が簡単かつ高い精度で搬送される。
(6)複数の搬送制御情報の各々は、ずれに基づいて目標情報が修正された新たな目標情報であり、制御部は、複数の搬送元のうち一の搬送元から搬送先への対象物の搬送時に、記憶部に記憶された一の搬送元に対応する新たな目標情報に基づいて対象物を一の搬送元から搬送先の目標位置へ搬送するように搬送装置を制御してもよい。この場合、新たな目標情報に基づいて対象物が簡単かつ高い精度で搬送される。
(7)第2の参考形態に係る基板処理装置における対象物の搬送方法は、基板に所定の処理を行う基板処理装置において処理に関する対象物を搬送する搬送方法であって、搬送先の目標位置を示す目標情報に基づいて複数の搬送元の各々から搬送先へ搬送装置により対象物が搬送されたと仮定した場合に発生する目標位置と対象物の実際の到着位置とのずれを相殺するための搬送制御情報を複数の搬送元の各々について記憶部に記憶するステップと、複数の搬送元のうち一の搬送元から搬送先への対象物の搬送時に、記憶部に記憶された複数の搬送制御情報のうち一の搬送元に対応する搬送制御情報に基づいて対象物を一の搬送元から搬送先の目標位置へ搬送するように搬送装置を制御するステップとを含む。
その基板処理装置における対象物の搬送方法においては、搬送制御情報が複数の搬送元の各々について記憶部に記憶される。一の搬送元から搬送先への対象物の搬送時に、記憶部に記憶された一の搬送元に対応する搬送制御情報に基づいて対象物が一の搬送元から搬送先の目標位置へ搬送される。
この場合、搬送先の目標位置を示す目標情報に基づいて複数の搬送元の各々から搬送先へ搬送装置により対象物が搬送されたと仮定した場合に発生する目標位置と対象物の実際の到着位置とのずれが相殺される。それにより、搬送制御情報に基づいて複数の搬送元の各々から搬送先へ対象物が搬送されたときの対象物の実際の到着位置が目標位置に一致する。したがって、基板の処理に関する対象物を簡単かつ高い精度で搬送することが可能になる。
(8)複数の搬送制御情報の各々は、ずれに対応する目標情報の修正情報であり、搬送装置を制御するステップは、複数の搬送元のうち一の搬送元から搬送先への対象物の搬送時に、記憶部に記憶された一の搬送元に対応する修正情報により搬送先の目標情報を修正し、修正された目標情報に基づいて対象物を一の搬送元から搬送先の目標位置へ搬送するように搬送装置を制御することであってもよい。この場合、修正情報に基づいて対象物が簡単かつ高い精度で搬送される。
(9)複数の搬送制御情報の各々は、ずれに基づいて目標情報が修正された新たな目標情報であり、搬送装置を制御するステップは、複数の搬送元のうち一の搬送元から搬送先への対象物の搬送時に、記憶部に記憶された一の搬送元に対応する新たな目標情報に基づいて対象物を一の搬送元から搬送先の目標位置へ搬送するように搬送装置を制御することであってもよい。この場合、新たな目標情報に基づいて対象物が簡単かつ高い精度で搬送される。
【符号の説明】
【0101】
10…ノズル搬送装置,11…待機ポット,12…移動支持部,13…アーム,14…ノズル把持部,18…リニアガイド,19…台座部,100…基板処理装置,110…搬入搬出部,120…塗布処理部,130…熱処理部,140…搬送部,200…基板搬送装置,210…移動部材,290…ハンド制御部,291…基板位置検出部,292,391…記憶部,293,392…搬送制御部,300…液供給装置,390…ノズル制御部,B1,B2…ブロック,D1,D2,D3…スピンチャック,S1,S2,S3,S4…支持部,TU1~TU4…熱処理ユニット,W…基板,cp…カップ,h1,h2…ハンド,nz…ノズル